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ロリショタバトルロワイアル15

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 12:49:21 ID:BMNxEsT6
本性を晒け出せ!
衝動をぶち撒けろ!
欲望を解き放て!
情熱を、燃やせ!



ここは真性の漢共(女性可)が集まり、
ジャンルを問わないロリショタキャラでバトルロワイアルを行う、
あまりにもCOOLなスレです。
紳士淑女の心を忘れず冷静に逝きましょう。

前スレ
ロリショタバトルロワイアル14
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1192364080/

過去スレ
ロリショタバトルロワイアル13
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1187884192/
ロリショタバトルロワイアル12
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1183849166/
ロリショタバトルロワイアル11
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1179760274/
ロリショタバトルロワイアル10
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1177507709/
ロリショタバトルロワイアル9
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1175607059/
ロリショタバトルロワイアル8
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1174298614/
ロリショタバトルロワイアル7
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1173267370/
ロリショタバトルロワイアル6
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1171953607/
ロリショタバトルロワイアル5
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1170746599/
ロリショタバトルロワイヤル4
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1169810359/
ロリショタバトルロワイアル3
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1169293272/
ロリショタバトルロワイアル2
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1168265134/
ロリショタバトルロワイアルをやれるか話し合うスレ
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1167045572/

テンプレは>>2-5辺に
ロリショタロワ避難所(したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/8274/
LSロワお絵描き掲示板
ttp://oekaki2.basso.to/user11/hisou/
まとめwiki
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 12:50:02 ID:BMNxEsT6
〜参加者一覧[作品別]〜
【魔法少女リリカルなのは】高町なのは/フェイト・テスタロッサ/ヴィータ/八神はやて/アリサ・バニングス
【ローゼンメイデン】真紅/翠星石/蒼星石/雛苺/金糸雀
【魔法陣グルグル】ニケ/ククリ/ジュジュ・クー・シュナムル/トマ
【ポケットモンスターSPECIAL】レッド/グリーン/ブルー/イエロー・デ・トキワグローブ
【デジモンアドベンチャー】八神太一/泉光子郎/太刀川ミミ/城戸丈
【ドラえもん】野比のび太/剛田武/リルル
【魔法先生ネギま!】ネギ・スプリングフィールド/エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/犬上小太郎
【絶対可憐チルドレン】明石薫/三宮紫穂/野上葵
【落第忍者乱太郎】猪名寺乱太郎/摂津のきり丸/福富しんべヱ
【名探偵コナン】江戸川コナン/灰原哀
【BLACKLAGOON】ヘンゼル/グレーテル
【クレヨンしんちゃん】野原しんのすけ/野原ひまわり
【ドラゴンクエストX】レックス(主人公の息子)/タバサ(主人公の娘)
【DEATH NOTE】メロ/ニア
【メルティブラッド】白レン/レン
【ちびまる子ちゃん】藤木茂/永沢君男
【カードキャプターさくら】木之本桜/李小狼
【テイルズオブシンフォニア】ジーニアス・セイジ/プレセア・コンバティール
【HUNTER×HUNTER】キルア/ゴン
【東方Project】レミリア・スカーレット/フランドール・スカーレット
【吉永さんちのガーゴイル】吉永双葉/梨々=ハミルトン
【ヴァンパイアセイヴァー】リリス
【MOTHER】ネス
【サモンナイト3】ベルフラウ=マルティーニ
【Fate/stay night】イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
【みなみけ】南千秋
【武装錬金】ヴィクトリア=パワード
【BLACKCAT】イヴ
【からくりサーカス】才賀勝
【銀魂】神楽
【ひぐらしのなく頃に】古手梨花
【灼眼のシャナ】シャナ
【とある魔術の禁書目録】インデックス
【るろうに剣心】明神弥彦
【ボボボーボ・ボーボボ】ビュティ
【一休さん】一休さん
【ゼルダの伝説】リンク(子供)
【ベルセルク】イシドロ
【うたわれるもの】アルルゥ
【サザエさん】磯野カツオ
【せんせいのお時間】鈴木みか
【パタリロ!】パタリロ=ド=マリネール8世
【あずまんが大王】美浜ちよ
【ポケットモンスター(アニメ)】サトシ
【SW】ベルカナ=ライザナーザ
【Gunslinger Girl】トリエラ
【ぱにぽに】レベッカ宮本
【FINAL FANTASY4】リディア
【よつばと!】小岩井よつば
計86名

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 12:50:43 ID:BMNxEsT6
〜参加者一覧[あいうえお順(名簿順)]〜

01:明石薫/02:アリサ・バニングス/03:アルルゥ/04:イエロー・デ・トキワグローブ/05:イシドロ/
06:泉光子郎/07:磯野カツオ/08:一休さん/09:猪名寺乱太郎/10:犬上小太郎/
11:イリヤスフィール(略)/12:インデックス/13:イヴ/14:エヴァンジェリン(略)/15:江戸川コナン/
16:神楽/17:金糸雀/18:城戸丈/19:木之本桜/20:キルア/
21:ククリ/22:グリーン/23:グレーテル/24:小岩井よつば/25:剛田武/
26:ゴン/27:才賀勝/28:サトシ/29:三宮紫穂/30:シャナ/
31:ジーニアス・セイジ/32:ジュジュ・クー・シュナムル/33:白レン/34:真紅/35:翠星石/
36:鈴木みか/37:摂津の きり丸/38:蒼星石/39:高町なのは/40:太刀川ミミ/
41:タバサ(主人公の娘)/42:トマ/43:トリエラ/44:永沢君男/45:ニア/
46:ニケ/47:ネギ・スプリングフィールド/48:ネス/49:野上葵/50:野原しんのすけ/
51:野原ひまわり/52:野比のび太/53:灰原哀/54:パタリロ/55:雛苺/
56:ビュティ/57:フェイト・テスタロッサ/58:福富しんべヱ/59:藤木茂/60:フランドール・スカーレット/
61:ブルー/62:古手梨花/63:プレセア・コンバティール/64:ヘンゼル/65:ベルカナ=ライザナーザ/
66:ベルフラウ=マルティーニ/67:南千秋/68:美浜ちよ/69:明神弥彦/70:メロ/
71:八神太一/72:八神はやて/73:吉永双葉/74:李小狼/75:リディア/
76:リリス/77:梨々=ハミルトン/78:リルル/79:リンク(子供)/80:レックス(主人公の息子)/
81:レッド/82:レベッカ宮本/83:レミリア・スカーレット/84:レン/85:ヴィータ/
86:ヴィクトリア=パワード
計86名

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 12:51:24 ID:BMNxEsT6
〜ロリショタロワ・基本ルールその1〜
【基本ルール】
参加者全員で殺し合い、最後まで生き残った一人が優勝となる。
優勝者のみが生きて残る事ができて『何でも好きな願い』を叶えて貰えるらしい。
参加者はスタート地点の大広間からMAP上にランダムで転移される。
開催場所はジェダの作り出した魔次元であり、基本的にマップ外に逃れる事は出来ない。

【主催者】
主催者:ジェダ=ドーマ@ヴァンパイアセイヴァー(ゲーム・小説・漫画等)
目的:優れた魂を集める為に、魂の選定(バトルロワイアル)を開催したらしい。
なんでロリショタ?:「魂が短期間で大きく成長する可能性を秘めているから」らしい。

【参加者】
参加者は前述の86人(みせしめ除く)。追加参加は認められません。
特異能力を持つ参加者は、能力を制限されている場合があります。
参加者が原作のどの状態から参加したかは、最初に書いた人に委ねられます。
最初に書く人は、参加者の参戦時期をステータス表または作中に記載してください。

【能力制限】
参加者は特異能力を制限されることがある。疲労を伴うようになっている能力もある。
また特別強力な能力は使用禁止になっているものもあるので要確認。

【放送】
放送は12時間ごとの6時、18時に行われる。内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」
「過去12時間に死んだ参加者名」など。

【首輪と禁止エリア】
・参加者は全員、爆弾の仕込まれた首輪を取り付けられている。
・首輪の爆弾が起爆した場合、それを装着している参加者は確実に死ぬ。
・首輪は参加者のデータをジェダ送っており、後述の『ご褒美』の入手にも必要となる。
(何らかの方法で首輪を外した場合、データが送られないので『ご褒美』もない)
・首輪が爆発するのは、以下の4つ。
1:『禁止エリア』内に入ってから規定時間が過ぎたとき。
2:首輪を無理やり取り外そうとしたとき。
3:24時間で死者が出なかったとき。
4:ジェダが必要と判断したとき(面と向かって直接的な造反をした場合)。

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 12:52:05 ID:BMNxEsT6
〜ロリショタロワ・基本ルールその2〜
【舞台】
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa?cmd=upload&act=open&pageid=8&file=76.gif

【作中での時間表記(2時間毎)】(1日目は午前6時よりスタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 真昼:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

【支給品】
・参加者が元々所持していた装備品、所持品は全て没収される。
・ただし体と一体化している装備等はその限りではない。
・また衣服のポケットに入る程度の雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される物もある。
・ゲームの開始直前に以下の物を「ランドセル」に入れて支給される。
「食料」「飲料水」「懐中電灯」「地図」「鉛筆と紙」「方位磁石」「時計」「名簿」
「ランダムアイテム(1〜3種)」。
なおランドセルは支給品に限り、サイズを無視して幾つでも収納可能で重量増加もない。
その他の物については普通のランドセルの容量分しか入らず、その分の重量が増加する。

【ランダムアイテム】
・参加者一人に付き1〜3種類まで支給される。
・『参加者の作品のアイテム』もしくは『現実に存在する物』から選択すること。
(特例として『バトルロワイアル』に登場したアイテムは選択可能)。
・蘇生アイテムは禁止。
・生物および無生物でも自律行動が可能なアイテムは参加者増加になる為、禁止とする。
・強力なアイテムには能力制限がかかる。非常に強力なものは制限を掛けてもバランスを
取る事が難しいため、出すべきではない。
・人格を変更する恐れのあるアイテムは出さない方が無難。
・建前として『能力差のある参加者を公平にする事が目的』なので、一部の参加者だけに
意味を持つ専用アイテムは避けよう。出すなら多くの参加者が使えるようにしよう。

【ご褒美システム】
・他の参加者を3人殺害する毎に主催者から『ご褒美』を貰う事が出来る。
・トドメを刺した者だけが殺害数をカウントされる。
・支給方法は条件を満たした状態で、首輪に向かって『ご褒美を頂戴』と伝えるか、
次の放送時にQBが現れるので、以下の3つから1つを選択する。

1:追加のランドセルが貰える。支給品はランダムで役に立つ物。
2:ジェダに質問して、知人の場所や愛用品の場所などの情報を一つ聞ける。
3:怪我を治してくれる。その場にいれば他の人間を治すことも可能。

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 12:52:46 ID:BMNxEsT6
〜ロリショタロワ・基本ルールその3〜
【ステータス表】
・作品の最後にその話に登場した参加者の状態、アイテム、行動指針など書いてください。
・以下、キャラクターの状態表テンプレ
【現在位置(座標/場所)/時間(○日目/深夜〜真夜中)】
【キャラクター名@作品名】
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(身に装備しているもの。武器防具等)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なもの。
     収納している装備等、基本的にランドセルの中身がここに書かれます)
[思考・状況]
(ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
 複数可、書くときは優先順位の高い順に)

◆例
【D-4/学校の校庭/1日目/真夜中】
【カツオ@サザエさん】
[状態]:側頭部打撲、全身に返り血。疲労
[装備]:各種包丁5本
[道具]:サイコソーダ@ポケットモンスター
[思考]
第一行動方針:逃げた藤木を追い、殺害する
第二行動方針:早く仲間の所に帰りたい
基本行動方針:「ご褒美」をもらって梨花の怪我を治す

【予約】
・キャラ被りを防ぐため、書き手は自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
・期間は基本的に予約から72時間(3日)です。
・やむにやまれぬ事情で完成が遅れる場合、最大で一週間まで期限を延長することができます。
 ただし、3日の期限の間に、進行状況の報告も合わせて延長申請を行う必要があります。
・予約期間終了後は、他の人がそのキャラを使った話を投下して構いません。
・予約しなくても投下することはできますが、その際は他に予約している人がいないか
十分に確認してから投下しましょう。

【投下宣言】
・投下段階で被るのを防ぐため、投下する前には必ずスレで 「投下します」 と宣言を
して下さい。 投下前にリロードし、被っていないか確認を忘れずに。
・近頃連投規制が厳しくなっております。居合わせた方は、できるだけ支援するようにしましょう。

【トリップ】
 投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
 本人確認のため、書き手は必ずトリップをつけてください。

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 13:18:02 ID:ghohQnVr
>>1乙!

前スレは短めのssならもう一ついけそうだけど…
感想とか指摘とか考えると、埋めたほうがいいだろうか?

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 15:00:17 ID:BveIKcq1
>>1乙。
40k近くあるから埋めはまだいいかなと思う。

9 : ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:00:00 ID:otuDKd30
投下開始します。

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:00:59 ID:BveIKcq1
 

11 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:01:12 ID:otuDKd30

ヒュンッ――。
巨大な建物の探索も、彼女にとっては何の苦労も無いことだった。
未だ目覚めぬ仲間を残したまま、彼女は病院内を「跳び」始める。
じっとしていたらあの「嫌な夢」の記憶に絡み取られてしまいそうで、だから彼女は動き始める。

ヒュンッ――。
壁も床も、瞬間移動能力者(テレポーター)である彼女の前には意味を成さない。
廊下を駆けるより早く部屋から部屋へ。エレベーターを使うより早く階から階へ。
彼女は病院の中を跳ぶ。連続して跳ぶ。

ヒュンッ――。
素っ裸だった『親友』に着せるための服は、すぐに見つかった。入院患者用の無個性なパジャマ。
距離を無視して『親友』が寝ている部屋に飛び戻り、着せてやる。
本来、脱力しきった人間に服を着せるのは結構な重労働なのだが、それも彼女には何の問題もない。
床に綺麗に並べたパジャマを『親友』の周囲に転移させるだけでいい。一瞬で着替えが完了する。
BABELの制服への早着替えと、同じ要領だ。

ヒュンッ――。
一瞬で『親友』の眠る病室に戻れるから、『親友』の所から離れることにも不安はない。
部屋の外に1歩出るのも、他の階へ行くのも、彼女には同じこと。彼女の前に距離はほとんど意味を成さない。
周囲や病院内に誰も居ないことは既に確認している。何か異常を感じたらすぐに戻ればいい。
テレポートは一種の複合能力なのだ。「見えない場所」の気配を感じ取る能力にも、自信はある。
彼女は病室から病室へ、診察室から診察室へと跳んで、目的のモノを探す。

ヒュンッ――。
辿り着いたのは、札に「リハビリテーション科」と掲げられた部屋。
いくつか転がっていた義足を目の前にテレポートで引き寄せてみて――彼女は小さく溜息をつく。
どうもサイズが合いそうにない。専門家なら微調整もできるのかもしれないが、しかしやり方が分からない。
連続転移の応用で擬似的な空中浮遊も出来るが、それでもやはり片足の欠損は不便なものだ。
代わりの足の入手を諦めた彼女は、そして部屋の片隅に転がっていた「もっとシンプルなもの」を引き寄せる。
長さ、よし。重さ、よし。両手が塞がっても彼女の能力があれば何の問題もない。これで多少はラクになる。

ヒュンッ――。
松葉杖を両脇に抱えた格好で、彼女は病院内を跳ぶ。
『親友』の服は見つかった。自分の左脚の代用品も、見つかった。
あとは『親友』が目覚めた時のために、おいしいゴハンでも確保しておくか――そう考えて1階に跳ぶ。
病院の構造なんて、どこに行ってもそう大差あるものではない。病室以外の施設は1階に集中するのが常だ。
食堂や売店を探し、廊下を連続跳躍していた彼女は、そしてふと、遠くから響く電子音に気が付いた。

pururururu……pururururu……。
予想もしなかった、しかし慣れ親しんだ音に一瞬だけ思考が停止した彼女。しかしすぐにそちらに向けて跳ぶ。
何度か小刻みに転移して、辿り着いたのは玄関近く。外来総合受付のカウンターの内側。
鳴り続ける電話を前に、意味もなくキョロキョロと周囲を見回し、唾を飲み込んでから手を伸ばす。

「……もしもし?」
『あっ――やっと繋がった! もしもし? そちらは『病院』ですか?』
「……誰や、アンタ?」

彼女は――野上葵は、BABELの特務チーム「チルドレン」の中では一番の常識人だ。
どこからかかってきたのか分からない電話に対し、警戒心を露わに眉を顰めたが、電話の相手はお構いなく。
真っ直ぐな明るい声で、あっさりとその問いに答えた。

『僕ですか? 僕はトマと言います。よかったら少し情報交換でもしたいのですが、どうでしょう?』

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:02:32 ID:BveIKcq1
 

13 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:03:17 ID:otuDKd30

        *     *     *

そう、もちろんそれは、シェルターにいるトマであった。
彼はファクトリアルタウンの“白”との会話の後、あちこちに電話をかけていたのだ。
島の他の場所にも、“白”と同じように情報交換に乗ってくれる人が居るかもしれない。
さらに仲間が、絆が広がるかもしれない。そんな期待があった。

だが……短縮ダイアルで登録された相手に片端から電話をかけても、なかなか相手が出ることはなかった。

『D−4 学校』――繋がらない。
火災のせいで職員室に置かれていた電話も焼け落ちてしまっていたのだが、トマが知る由もない。

『E−8 救いの塔』――繋がらない。
開幕直後にジーニアスが目撃したこの塔は、しかし誰1人訪れることなく、完全な無人状態のままだ。

『B−7 タワー』――繋がらない。
タワー1階の管理室への直通電話。もしあと僅かばかり早ければ、まだキルアがいたはずなのだが。

『B−3 廃病院』――繋がらない。
凝った演出の一環なのか、それともジェダも意図せぬミスか。廃病院の電話は他の調度品と同様、壊れている。

『F−3 城』――繋がらない。今までとは違う電子音に、トマは首を傾げる。
実はタイミング悪く『通話中』だったのだが、トマには理解できない。ほんの数秒遅れのすれ違いにも気付かない。

いずれも不運としか言いようがないが、しかしトマにはそれを知る術はない。
なかなか繋がらない電話に、いい加減諦めて夷腕坊の修理に戻ろうか、と思いかけたその時。
『G−7 病院』――これでダメなら後回しにしよう、と決めた最後の一箇所が、繋がったのだった。

        *     *     *

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:03:26 ID:QrALamsQ
 

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:03:43 ID:BveIKcq1
 

16 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:04:37 ID:otuDKd30

「えーと、そちらはどうお呼びすればいいですか?」
『ウチの名前は、のが……いや、えーと、『あお』……やのうて……その……」
「?? “青”さん、ですか?」
『あー、まあ、それでええわ』

どこかはやてを思い出させる独特の口調で、“青”と呼ばれた少女は曖昧に語尾を濁す。
真っ直ぐに人を信じてしまうトマには、想像もできない。
電話の向こうにいる野上葵は、本名を言いかけた所で、本名を明かすことの危険に思い至り、口篭っただけ。
『葵(あおい)』を途中で切って『青(あお)』――トマの早とちりにそのまま乗っただけなのだ。
しかし、情報を秘するために偽名を使う、という発想自体のないトマは、全くあさっての方向に思考を巡らせる。

(“白”さんの次には、“青”さんですか……色を呼び名にする人、結構いますね。
 青色さん、ということは、この名簿で「ブルー」って登録されてる人でしょうか……?)

トマは考える。
名簿の上で、色がそのままストレートに名前になっているのは、レッド、グリーン、ブルー、イエロー、真紅の5名。
しかしそれがそのまま普段の呼び名に使われているかどうかは分からない。
格式ばった場で使う「本名」が「ブルー」、くだけた場で使う普段の呼び名が「青」、ということもあるかもしれない。

さっきの“白”という名前の方は、また違うルールによるものだろう。
一番それらしいのは、「白レン」という、とても人名には見えないような名前で登録されている人物。
無理やり解釈すれば、『レン』というのがファミリーネームで、“白”というのが個人の名なのかもしれない。
これなら、「“白”と呼んで」という彼女の言葉もしっくり来る。

それは、全く見当違いの解釈。なまじ頭が回り、「異なる世界の住人」を受け入れられるトマだからこその誤り。
しかしそんな自分のミスに気付くことなく、トマは会話を続ける。

「で、まずはそちらから。“青”さんは何か知りたい情報とかってあります?」
『そやなぁ……できれば合流したい子が1人おるんやけど、どこにおるかとか分からへん?』
「探してる子、ですか。名前とか外見の特徴とか、教えて貰えませんか?」
『シホ、って言うんやけどな。三宮紫穂。ふわふわの髪した、見た目だけなら可愛い女の子や』

“青”の言葉に、トマはしばし考え込む。
少なくともトマの出会った相手には、それに該当する少女は居ない。はやてやアリサの話にも出てきていない。
さっきの電話の時、“白”さんが遭遇した相手の話も聞いておくんだった、と後悔するが、仕方がない。

「えーっと、僕はまだ紫穂さんという方とはまだ会ってません。名前も聞いたことがないです。
 ひょっとしたら、今外に出ている僕の仲間たちが何か情報を持って戻ってくるかもしれませんけど」
『そか……しゃーないな。知らんのやったらええんや。何か分かったらまた教えてくれへん?』
「分かりました。すいません、こちらから情報交換を申し出ていながら、お力になれなくて」

時刻はもう夕刻。きっと“青”は病院で夜を越すのだろう。
その頃には、はやてとアリサも帰ってきているかもしれない。集めた仲間の中に「三宮紫穂」もいるかもしれない。
彼女たちが帰ってきたら再度病院に電話しよう。トマはそう心に決める。

『そんな、謝らんでもええて。じゃ、次はウチの番やな。トマはんが知りたいことって何やの?』
「僕は、仲間を集めてこの島を脱出するつもりです。そのためには、まだ情報が足りません」
『……脱出……』
「何か、役に立ちそうな情報はありませんか? ……もしもし? “青”さん?」

        *     *     *

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:05:12 ID:BveIKcq1
 

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:06:00 ID:BveIKcq1
 

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:06:26 ID:QrALamsQ
 

20 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:06:34 ID:otuDKd30

脱出――。

そう、『脱出』だ。野上葵が目指すものも、それ以外にはありえない。
上の階の病室で寝息を立てている明石薫と、未だ行方も掴めない三宮紫穂。
身を守り、薫を保護し、紫穂を探すことで精一杯だった葵だが、「その先」を考えれば脱出以外の選択肢はない。
優勝狙いでは、3人揃って皆本の所に帰ることはできない。
葵がその望みを叶えるには、どこかでジェダに対して反抗する必要がある――あの絶大な力を持つジェダに。
そして、この少年は明確にその道を目指しているのだ。迷うことなく、目指している。

『もしもし? “青”さん? 大丈夫ですか?』
「……あー、大丈夫や。
 脱出……ウチ、そんなこと全然考えてなかったわ。ただただ、生き延びるのに必死でな。
 そうや、みんなで揃って帰るには、それ考えなアカンやん! 何で思いつかなかったんやろ」
『それは仕方ないですよ、こんな状況ですから。僕だって昼間はそれどころじゃ無かったんです。
 あなたのせいじゃありません。自分を責める必要はないですよ』
「トマはんは優しいな……。この島にもアンタみたいな人がおったんやね。
 今日1日でウチが会った奴、揃いも揃ってロクな奴おらんかったから……」

顔も知らないトマという少年の言葉に、葵は少しだけ癒される。
言葉は弱気だし腰は低いし、とても似ては似つかないが、何故だろう、彼の温かさが皆本と重なって見える。
数少ないレベル7超能力者として腫れ物のように扱われていた自分達に、ごく普通に接してくれた皆本。
奇人変人悪人変態ばかり(と、葵の目には映っていた)の狂った島で、ごく普通に会話が成立するトマ。
どちらも、砂漠の中に見つけたオアシス。暗い海で見つけた灯台の灯り。
彼は信頼できる。彼を助けよう。葵は心からそう思う。

「それで、具体的には何を知りたいん? ウチに何が出来るか分からへんけど、なんでも協力するで?」
『とりあえず、この『首輪』を外す方法と、この島の外に物理的に出て行く方法を探しています。
 どっちも難しいことだっていうのは、分かってるんですけど』
「なんや、そんなことか。それなら――」

あくまで弱気で慎重なトマの口調に、葵は思わず呆れたような声を上げてしまった。
首輪を外す? 島から出る? なんだ、そんなことか。
その程度の障害、彼女の前には障害に成りえない。何故なら。

「それなら――ウチの力なら、どっちも簡単やわ。考えるまでもあらへん」

世界でも数少ない最高ランク、レベル7の瞬間移動能力者。
精密な物体転移も、長距離大人数の連続テレポートも、お手の物だ。
彼女なら首輪を分解するまでもなく、一瞬で外すことが出来る。
首輪の方を転移させてもいい。首輪だけをその空間に残して、身体の方を転移させてもいい。
そしてまた、船を調達するまでもなく、みんなで島の外に逃げ出せる。
普段の飛距離なら、連続転移で大陸横断すら簡単にこなす彼女だ。こんな小島から出ることなど容易い。
兵部京介が『光速の女神(ライトスピード・ゴッデス)』と呼んだ彼女を鎖に繋ぐことなど、誰にもできないのだ――

――――本来なら。

        *     *     *

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:06:35 ID:ghohQnVr


22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:06:36 ID:BveIKcq1
 

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:07:48 ID:BveIKcq1
 

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:08:01 ID:ghohQnVr


25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:08:13 ID:QrALamsQ
 

26 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:08:21 ID:otuDKd30

『それなら――ウチの力なら、どっちも簡単やわ。考えるまでもあらへん』
「ええっ!? ほ、本当ですか!? それは凄い!」

電話の向こうから聞こえてきた“青”の力強い断言に、トマは驚く。
ここまでの短い会話の中で、既に“青”と名乗る少女の性格は大体把握している。
常識的で、良心的で、少しばかり弱さも抱えた、しかし真っ直ぐで真っ当な人物だ。
できもしない大風呂敷を無闇やたらと広げるような人間とは思えない。
いったいどんな方法で?! そもそも、そんな凄い彼女の『力』とは何なのだろう?!
思わず聞き返そうとしたトマの言葉を、しかし彼女はすぐに遮る。

『あ……ちょっとタンマ。ぬか喜びしとるところ悪いけど、少し言い忘れたわ。
 あくまでそれは、ウチが『普段通りの力が出せれば』、やな。
 なんかこの島に来てから、力の調子がおかしいんよ。
 もし上手くできずに爆発とかしたら、シャレにならへんし』
「ああ、確かに……。ジェダもそこまで間抜けではないでしょうしね」

膨らみかけた希望が一瞬にして萎んでしまう。確かにそうだ。ちょっと考えれば分かる。
参加者の能力で簡単に首輪が外せるのなら、この殺し合いのゲーム自体が成立しない。
何らかの仕掛けによって外せないようになっている、と考えた方がいい。トマは溜息と共に呟く。

「そう言えばジェダも言ってましたね。『強い力は制限させてもらう』って。その一環でしょうか」
『言われてみれば、そんなこと言うとったな。ECMなんて『普通の人々』でも手に入れられる装置やし」
「?? 『いーしーえむ』、ですか? 何です、それ?」
『知らへん? 『超能力対抗装置』言うてな、周囲の超能力を打ち消す機械や。
 普通のECMやったら完全に使えなくなるところやけど、変な調整してるかもしれへんし』
「装置、ですか……。もう少し詳しく教えてくれませんか? その装置の形とか、性質とか」
『形は、まあ色々やな。傍目にはただ怪しい機械、ってだけで、偽装されとることもある。
 ただ『効果に比例して大型化する』のは確かや。『効果に比例してエネルギーを喰う』のもな。
 島のどこでも効いてるなら、よっぽど大きな装置で、電気代も相当かかっとるはずやで』
「ということは――それを何とかすれば、首輪が外せて、脱出も出来るってことですよね」

トマは考える。新たな材料を元に、魔技師ならではの推測を組み立てる。
周囲の人間の特殊能力を妨害する装置の存在。そして、ファクトリアルタウンに遺されていたというメモ。
2つの情報が、トマの頭の中で1つに繋がる。
いくらジェダに余裕があっても、無意味に解体と組み立てを繰り返すだけのものは作らない。
工場を丸ごと使ってチェック機構とするエネルギー源を用意したなら、それを使う本来の目的があるはずだ。
そして、島全体を覆うような妨害装置を動かすには、莫大なエネルギーが必要となってくる――!

島のどこかにあるはずの『動力炉』。それと繋げられたECM、あるいはそれに類する『妨害装置』。
そのどちらかを破壊する・停止させることができれば、『能力制限』を解除できる?
“青”がその『普段通りの力』を発揮して、首輪の解除と島の脱出、その双方を解決することができる!?
それはもちろん、仮定の上に仮定を重ねた、弱々しい仮説でしかないが……

『ただ、ECMやのうて、ESPリミッターみたいなモンかもしれんけどな』
「ESPリミッター? それは?」
『こっちは広範囲に念波を妨害するんやのうて、触れてる人間の超能力を、ちょっとだけ弱める装置や。
 ESPリミッターならアクセサリーくらいの大きさにできるしな。この首輪の中に仕込むことも出来るはず。
 もしそうなれば、ウチとしては完全にお手上げやね』
「…………」

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:08:31 ID:BveIKcq1
 

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:09:42 ID:BveIKcq1
 

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:09:53 ID:ghohQnVr


30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:09:54 ID:QrALamsQ
  

31 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:10:18 ID:otuDKd30

少しだけ考えて、それはない、とトマは思う。
トマなら、首輪だけにそこまでの機能は詰め込まない。一極集中は避ける。
仮に、魔技師としてこの殺し合いのシステムの設計を任されたとしたら、トマなら機能を分散させたい。

ジェダの立場に立って考えてみよう。
主催者にとって最も厄介な展開は、参加者が殺し合いを始めず、手を取り合ってジェダに反抗するケースだ。
強力な武器を与えられ、強力な力を持った者たちが一致団結したら、あのジェダだって危機感を覚える。
そして、その予想しうる危機を防ぐ手段として用意されたのが、「首輪の爆破」と「能力の制限」であるはずだ。
能力の制限は「どの幼子にもチャンスがあるように」と説明していたが、それを素直に信じるわけにはいかない。
昼間に出会ったレックスなどを見ても分かるように、それでもなお参加者の戦闘力には大きな隔たりがあるのだ。
参加者の機会を均等にする、というのはおそらく言い訳に過ぎないだろう。

さてそこで、もしこの2つの重要な機能を、揃って首輪の中に押し込んでしまったとしたら?
どんな機械も魔法も絶対ということはない。何かの拍子に壊れることもある。機能を失うこともある。
トマのように器用な参加者に解体されてしまう展開も、あるかもしれないのだ。
そして、万が一にも首輪が外れてしまったら、ジェダはその参加者をコントロールする手段を完全に失う。
「爆破の脅し」と「能力制限」、その2大反抗抑制処置が、一気に失われてしまうのだ。

ここまで慎重に戦いの舞台を整え、状況を整えたジェダが、そんな危険性を良しとするはずがない。
技術的に可能であるなら、2つを分けて管理したいと思うのは必然。
何らかのトラブルで片方がダメになっても、もう片方は残る。ジェダは参加者に対して優位を保てる。
仮にイレギュラーが発生しても、最悪の事態だけは回避できる――そう考えるはず。

そしてその、二重に保険をかけようとする思考こそ、トマたちがジェダを攻略する糸口になりうるのだ。

現時点では、まだほとんど何も分かっていないに等しい。
『動力炉』の位置も分からない。ECMあるいは『それに類する装置』の位置も分からない。
ひょっとしたら、能力制限は全く違う仕組みによって成されているのかもしれない。だとしたら最初からやり直しだ。
それでも今、はっきりと見えた。ジェダへの反抗と脱出の筋道が、初めてくっきりと見えてきた。

  まず『能力制限』をなんとかする。そして“青”の力で首輪を外し、“青”の力で島の外に逃げ出す。

あるいはひょっとしたら、“青”以外にも、能力制限の解除で事態が打開できる人がいるかもしれない。
強力な魔法使いである八神はやて、高町なのは、フェイト・テスタロッサ。愉快型魔術礼装カレイドルビー。
彼女たちの力を結集し、また、まだ見ぬ人々の力も結集すれば、きっと何か上手い方法が――!

「……ありがとうございます、“青”さん! あなたとお話が出来て、本当に良かった!
 今まで手も足も出なかった宿題が、これでなんとかなるかもしれません。あなたのお陰です!」
『な、なんや急に改まって。そんな……照れるやないか』
「良ければ、直接会って詳しい話をしませんか? “青”さんの『力』も一度見せて欲しいですし。
 事情があって僕はここから動けないんですけど、そこの病院からはそう遠い場所じゃありません。
 H−5とG−5に跨った『シェルター』という大きな建物、分かりますか?」
『ああ、川の北側の、大っきな奴?そういや『跳んで』くる途中にそれっぽいの見えたわ。そこにおるん?』
「ええ。外からは入れない構造になってますけど、“青”さんが来て下さるのなら扉を開けますから!」
『その必要はないわ。だってウチの力なら――』

『 ――――穢れ無き魂を持つ幼子達よ。久しいな 』

それは、唐突だった。身を震わせるようなその声に、2人ははッと口を噤む。
反射的に視線を時計にやる。午後6時ジャスト。予告されていた時間。
受話器を握ったままの2人の前で、第一回目の定期放送は始められた。

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:10:23 ID:BveIKcq1
 

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:11:40 ID:BveIKcq1
 

34 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:11:45 ID:otuDKd30

        *     *     *

『 まず禁止区域の発表を行う。 これから一時間後に最初の禁止区域が発動す―― 』

「アカン、今手元に地図ないわ。ちょっと取ってくる」
『いや、僕がメモしておきますよ。後で“青”さんにも改めて教えてあげますから』
「そう? 取ってくるのに時間はかからへんのやけど……トマはんがそう言うなら、お願いするわ」

『 19時より B-7  21時より H-8  23時より A-1  1時より G-4  3時より E-7……』

『僕たちにはあまり影響のない場所ばかりのようですね。病院とシェルターの間は指定されてませんよ』
「ひとまずは安心やな。ここやそっちが指定されなくて良かったわ」
『全くです。出て行ったお2人は大丈夫ですかね。まあ、放送は聞いてると思いますが……』

『 該当時刻になってもその場所にいる場合、首輪が爆発するぞ。自ら命を絶ちたい愚かな者以外は…… 』

「やっぱり、この首輪はなんとかせなアカンな」
『そうですね。あ、くれぐれも、軽はずみに『実験』したりしないで下さいよ? 万が一のことでもあったら……』
「分かっとる。ウチ1人のことやないからな。心配せんでも無茶はせぇへん」

それはきっと、幸せな会話だったのだろう。
常識人同士、頭のいい者同士、チームのサポート役同士、そして何より、真っ直ぐに正義を愛する者同士。
ほんの短い時間の会話で、2人は確かに、互いを「仲間」として認め合っていたのだ。
2人とも、素直に信じていた。
この幸せな時間がまだまだ続くと。自分たちが協力すれば、きっと幸せな未来を作りだせるのだ、と。

『 ――――次はこの放送までに命を落としてしまった者達の名前を発表する。 』

無情にもその名が呼ばれる、その瞬間までは。


『  01番   明石薫  』


葵の手から、音も無く受話器が滑り落ちた。


        *     *     *

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:11:49 ID:QrALamsQ
 

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:12:33 ID:QrALamsQ
 

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:12:44 ID:BveIKcq1
 

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:13:17 ID:BveIKcq1
 

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:13:19 ID:ghohQnVr


40 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:13:33 ID:otuDKd30

『……もしもし? もしもし、“青”さん!? どうかしましたか!? もしもし!』
「――――嘘やっ!!」

ヒュンッ――。
数秒の間を置いて、思考停止から立ち直った彼女は絶叫する。絶叫と共に瞬間移動する。
能力を制限されている今、目的地まで1跳びでは届かない。
コンマ数秒のタイムロスが、恐ろしいほど長く感じられる。
未だにジェダの放送は流れ続け、延々と人名が読み上げられていたが、彼女の意識には届かない。

「そんなはずあらへん――だって、ついさっきまで――!」

ヒュンッ――。ヒュンッ――。
3回目の空間跳躍で辿り着いたのは、あの病室の前。
ほんの一瞬、中に飛び込むのを躊躇する。見たくもないものが見えてしまう気がして、足が竦む。
トマとの会話に夢中になって、すっかり『親友』のことを忘れていた自分を、今さらながらに呪う。
大きく深呼吸1つ、そして彼女は。

「――薫ッ!!」

ヒュンッ――。
そうして飛び込んだ、その病室は。
彼女が親友を運び込み、パジャマを着せ、布団をかけて寝かせておいた、その病室は。

  はだけた布団の皺もそのままに、誰も居なかった。

「そ……そんな……!?」

全くの無人。見回す限り誰一人おらず、置き去りにしていたランドセルも見当たらない。
良く見たら他人がそこに寝ていました、ということもない。
葵の焦燥を嘲笑うように、空っぽの病室が、ただそこにあった。

「な……何があったんや……薫……どこ行ったんや……?」

頭の中身が、ゴチャゴチャになる。
部屋に飛び込む直前、一瞬思い浮かべてしまった「最悪の想像」は、血に染まった病室。
葵が目を離した隙に、誰かに侵入され殺されてしまった薫の姿だ。
けれども――死体すらない。争った形跡もない。
まさに神隠しのように。あるいは、高度なテレポーターの手でどこか遠くに転移させられたかのように。
ベッドの上に僅かな温もりだけを残して、綺麗さっぱり、消えうせていた。
思考の纏まらない頭で、葵は必死で考える。ありそうもない、しかし僅かな可能性を捏造する。

「は……はは……わ、わかったで。ジェダの阿呆、嘘ついとるんや。
 か、薫のバカ、目ぇ覚めて勝手にどこかに行きよったんやな。し、心配ばかりかけさせて。
 おーい薫、どこ行ったん〜? あの子が飛んでも、そう遠くには行っとらんはずや。見つけなあかん……!」

ヒュンッ――。
野上葵は転移する。どこかにいるはずの明石薫の姿を求めて病院内を跳ぶ。
昼間に眠って、それっきりで、きっとお腹を空かしているに違いない。なら食べものを探して歩いているのか。
それとも、あの好奇心旺盛な薫のこと、この見知らぬ建物の探検でも始めてしまったか。

ヒュンッ――。
ヒュンッ――。
ヒュンッ――。
葵は跳ぶ。連続して跳んで、薫の姿を探し続ける。
信じられない。信じたくない。でも彼女を見つけるまで、否定しきることもできない。
逆に言えば、死体でも目の当たりにしない限り、信じるわけにはいかない。
放送はまだ続いている。けれども一言だってその意味は頭に入らない。
目の端に溢れる熱いモノを拭う余裕もなく、松葉杖を両脇に抱えたまま、彼女は無闇やたらと跳び続けた。


41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:14:02 ID:BveIKcq1
 

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:14:34 ID:ghohQnVr


43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:14:51 ID:QrALamsQ
 

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:15:00 ID:BveIKcq1
 

45 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:15:31 ID:otuDKd30

        *     *     *

「もしも」を挙げていけばキリがないが、もしも仮に、野上葵がもう少し冷静だったとしたら。注意深ければ。
彼女は、気が付いていたに違いない。
テレポートは一種の複合能力。PK系の物体移動能力のみならず、ESP系の要素もある。
見えない壁の向こうの様子を直感的に把握できる彼女に、「その程度の擬態」は通用しなかったに違いない。
なにしろ彼女は、完全に目隠しされた状態で完璧な戦闘を演じたこともあるのだ。
「そういう敵」に対しては、相当に「強い」。

けれど放送で薫の名を聞いた彼女は、明らかに動揺していた。混乱の極みにあった。
だから、気付くことができなかった。

無人にしか見えない病室の中、壁際で息を潜める透明人間の存在に。

(咄嗟に『カメレオン』を唱えてしまいましたけど……さてこれからどうしましょう?)

野上葵が本物の「明石薫」だと信じて連れてきた少女、ベルカナ・ライザナーザは、小さく溜息をつく。
目が覚めたのはほんの数分前。6時間を越える睡眠で、精神力も完全に回復している。
辺りを見回せば、そこは信じられないほど綺麗で清潔な部屋。
魔法としか思えぬ蛍光灯の灯りも含めて、フォーセリアでは見たこともないような空間だった。
いわゆるファンタジー世界の住人である彼女にとって、近代の病院は異界のようにしか感じられない。

(古代王国の遺跡が「遺跡」でなかった時代には、ひょっとするとこんな感じだったのかもしれませんわね)

ぼんやりとそんなことを考えるが、しかし現在地を掴む手掛かりにはならない。
ここはどこなのか。今地図の上でどこに居ることになるのか。
指定された禁止エリアは聞いて大方覚えたが、現在地が分からないと動きようがない。

(丈さんのお仲間のお名前も呼ばれていますわね。生き延びているのは「太刀川ミミ」さんだけ、でしょうか。
 イエローさんはまだ無事のようですが、レッドという名前も呼ばれてましたし……早く合流しないと)

最初は、明石薫のフリをしてこの場を乗り切るつもりだった。
荷物が残されていたことから、葵が近くにいるだろうとは思っていた。偵察でもしているのだろうと思っていた。
だから、帰ってきた彼女と合流して、口先三寸で誤魔化そう。そう考えていたのだが……
その矢先に、「明石薫」の名が呼ばれてしまったのだ。

反射的に、マズい、と思った。
『シェイプ・チェンジ』による変身が簡単に看破されるとは思わない。
けれど名前が呼ばれ、死人のリストに載せられてしまえば、きっと疑われてしまうだろう。
そんな状況で「記憶喪失になりました」、なんていうベタな嘘で乗り切れるとは、とても思えなかった。

選択肢はほとんど存在しなかった。葵がいつどこから戻ってくるかも分からない。
走って逃げても間に合わないかもしれない。なにせ相手は『テレポート』をほぼ無制限に使える存在である。
考える時間すらほとんどない状況の中、ベルカナが選んだのは、魔法を使って「姿を消す」ことだったのだ。
葵が病室内に姿を現したのは、まさに壁際に貼りついた彼女が魔法を唱え終わった直後であった。

(しかし、せめてケチらずに『コンシール・セルフ』にしておくべきでしたわね。これでは1歩も動けませんわ)

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:16:47 ID:QrALamsQ
 

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:16:51 ID:ghohQnVr


48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:16:58 ID:BveIKcq1
 

49 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:17:04 ID:otuDKd30

心の中で小さく舌打ちをする。
午前中は、魔法を大盤振る舞いし過ぎてあやうく死ぬところだった。その恐怖が頭を過ぎったのか。
ベルカナが咄嗟に選んだ『カメレオン』は、周囲の景色に同化して姿を隠す、初級の幻覚魔法である。
これを維持している限り、視覚によって彼女を捉えることは誰にもできない。
精神力の消費も極めて少なく、難易度も低く、手軽に緊急避難できる便利な魔法であった。

ただし……簡単かつ効果的な魔法だけあって、欠点も多い。
その最たるものが、「移動できない」という問題だ。
普通の精神集中を要する魔法は、それでもゆっくりと歩いて移動することができる。動き回ることができる。
けれども、周囲の景色と同化しているに過ぎない『カメレオン』では、位置がズレればそれで終わり。解けてしまう。
ついでに、視覚以外の感覚ならば簡単に捉えられてしまうのも心細いところだ。
もちろんこの魔法の維持中は、他の魔法を使うことはできない。複雑な動作もできない。

ベルカナは思案する。精神を集中し『カメレオン』を維持している頭の片隅で、これからの行動を考える。
透明になってはいるが、まだ『シェイプ・チェンジ』は維持されている。まだ『明石薫の姿形』はカードとしてある。
いずれ戻ってくるかもしれない、あの『テレポート』使いに対して、取るべき策は――

まだ残っている『明石薫の外見』を活かして、葵を騙して利用する?
彼女が戻ってくるよりも先に、『フライト』か何かを使ってここから逃げ出す?
逆に彼女が諦めてどこか遠くに行くまで、『カメレオン』などで隠れ続ける?
それとも――姿を隠す前に拾い上げた、この2つのランドセルの中身に打開策を見出す?

ベルカナは悩む。どの選択にもリスクが伴い、結論を出すのは簡単ではない。
そして、彼女が取った選択は――

        *     *     *

「そん、な……はやて、さん……!」

明石薫の名が呼ばれ、野上葵の手から受話器が滑り落ちてから、数十秒後、
トマもまた、電話の前で崩れ落ちていた。

ジュジュの名前が呼ばれた時も、ショックだった。泣きたくなった。
フェイトの名前が呼ばれた時も、ショックだった。はやてやアリサも泣いているだろう、と思った。
人数が30人を越えたあたりで、叫びたくなった。いったいどれだけの人を殺せば気が済むのか、怒りすら湧いた。
けれども、名前の羅列が終わろうとした時に呼ばれた、その名前には――
『 72番 八神はやて 』という、その宣告には――。

「はやて、さん……!」

トマの頬から零れ落ちた熱い雫が、無数のバツ印がつけられた名簿を濡らす。
ジェダが嘘を言うとは思えない。嘘をつく理由がない。必要がない。
そうと理解できてしまう自分の頭脳が、トマには憎く、また辛かった。


50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:18:16 ID:+z7CMYS+
 

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:18:37 ID:BveIKcq1
 

52 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:18:47 ID:otuDKd30

【H−5/シェルター地下/1日目/夜】
【トマ@魔法陣グルグル】
[状態]:健康。激しい精神的動揺
[装備]:麻酔銃(残弾6)@サモンナイト3、アズュール@灼眼のシャナ
[道具]:基本支給品、ハズレセット(アビシオン人形、割り箸鉄砲、便座カバーなど)、
    参號夷腕坊@るろうに剣心(口のあたりが少し焼けている) はやて特製チキンカレー入りタッパー
[思考]:…………ッ!!
第一行動方針:ひとまず落ち着いて冷静になる(できるかどうか分からないが)
第二行動方針:参號夷腕坊の修理。
第三行動方針:他の参加者と情報と物の交換を進める。必要ならその場で道具の作成も行う。
第四行動方針:『三宮紫穂』の情報を掴んだら、「病院」にいる“青”さん(ブルー?)に教えてあげる。
第五行動方針:『首輪の解除』『島からの脱出』『能力制限の解除』を考える。そのための情報と物を集める。
第六行動方針:できればトリエラと再び会いたい。それまでは死ぬわけには行かない。
基本行動方針:ニケたちとの合流。及び、全員が脱出できる方法を探す。
※ハズレセットのうち、豆腐セット、もずくセット、トイレの消臭剤、根性はちまきを使用しました。
   割り箸鉄砲の輪ゴムは、まだ残りがあります。
※「工場」にいる自称“白”の正体は「白レン」、「病院」にいる自称“青”は「ブルー」、と誤った推測をしています。


【G-7/病院内(??)/1日目/夜】
【野上葵@絶対可憐チルドレン】
[状態]:左足損失、超能力の連続使用による微疲労、激しい混乱
[装備]:松葉杖×2
[道具]:なし
[思考]:……薫!? どこ行ったん!? 嘘やろッ!?
第一行動方針:病院内から消え失せた薫を探しだす(放送で死を告げられたことは半信半疑?)
第ニ行動方針:紫穂を探す。
第三行動方針:シェルターにいるトマと直接会って協力する? テレポートで首輪解除と脱出?
第四行動方針:レミリアかフランドールに出くわしたら逃げる
第五行動方針:逃げた変質者(ベルカナとイエロー)は必ずぎったんぎったんにしたる
基本行動方針:三人揃って皆本のところに帰りたい
[備考]:イエローをサイコキノ、ベルカナも何らかのエスパーと認識しました。
   なお二人が城戸丈を猟奇的に殺害し、薫に暴行をしたと思っています。
   テレポートに掛かっている制限は長距離転移不可(連続転移は可)、
   「意識のある参加者(&身に着けている所持品)は当事者の同意無しでは転移不可」です
   他者転移禁止の制限には気づいていません。
   首輪の転移・首輪を残して身体だけ転移、といったことが可能かどうかはまだ分かりません。
   第一回放送の、「明石薫」の名前が呼ばれた以降の内容を完全に聞き落としました。


53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:18:52 ID:ghohQnVr


54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:19:59 ID:BveIKcq1
 

55 :電話越しの希望、放送越しの絶望 ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:20:04 ID:otuDKd30

【G-7/病院内(病室内)/1日目/夜】
【ベルカナ=ライザナーザ@新ソードワールドリプレイ集NEXT】
[状態]:明石薫に変身中。左腕に深い切り傷、全身に打撲と裂傷(手当済み)、
     あばら骨数本骨折(他も骨折している可能性あり)
     古代語魔法『カメレオン』で透明化中(移動不可能)、精神力消耗微少
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、懐中時計型航時機『カシオペア』@魔法先生ネギま!、飛翔の蝙也の翼@るろうに剣心
    支給品一式、黙陣の戦弓@サモンナイト3、返響器@ヴァンパイアセイヴァー、消毒薬や包帯等
[服装]:入院患者用のパジャマ
[思考]:さて、これからどうしましょう……?
第一行動方針:葵への対処を考える。このまま逃げる? 隠れてる? 明石薫のフリをする?
第二行動方針:現在地を把握したい。
第三行動方針:イエローと合流し、丈からの依頼を果たせるよう努力はする(無理はしない)
第四行動方針:仲間集め(イエローと丈の友人の捜索。ただし簡単には信用はしない)
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
参戦時期:原作7巻終了後
[備考]:制限に加え魔法発動体が無い為、攻撃魔法の威力は激減しています。
変身魔法を解除した場合、本来の状態(骨折数箇所、裂傷多数、他)に戻ります。
荷物もろとも『カメレオン』の魔法で透明化しています。動かないかぎり、視覚で彼女を捉えることはできません。


※古代語魔法「カメレオン」について
 見るものの視覚を欺瞞し、背景と同化して術者の姿を隠す幻覚魔法の一種。
 必要とするレベル・精神力消費共に非常に低く、古代語魔法としては最も初級の部類に属する。
 ただし、欺瞞できるのは視覚のみ。聴覚や嗅覚などは誤魔化せない。
 また、維持には精神集中を要する上、他の集中を要する魔法と違い、その場から移動することもできない。
 上位魔法に「コンシール・セルフ」という魔法もある。こちらは匂いや音も隠してくれ、ゆっくりとなら移動も可能。
 ただし精神点の消耗は多い。


56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:20:45 ID:BveIKcq1
 

57 : ◆sUD0pkyYlo :2007/11/23(金) 20:20:46 ID:otuDKd30
投下完了。支援感謝です。

トマの考察が正しいかどうかは、今後の展開次第でしょう。やっぱり首輪で制限してるのかもしれません。
あ、人名考察は明らかに間違いですがw 彼は探偵でなく魔技師なんで、技術が絡まないことはからきしかと。
電話の繋がる先はまだ他にもあるかもしれません。神社とか温泉旅館とか携帯とか。


58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:25:32 ID:BveIKcq1
投下GJ。立て、立つんだトマぁ!
ベルカナは助かったのか助かってないのか……。
放送前に目覚めるのは予想してなかった。
しかも、それで状況が悪化したように見えなくもないw
葵も動けるようになれば、これほど足の速いキャラはいないからな。
次にどう動くかは重要だし自由度も高そう。

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:26:11 ID:QrALamsQ
投下GJ。
葵が悲惨すぎる……。放送後は確実に荒れるだろうと思ってたけど、予想以上だった。
心理描写が巧いので、読んでるこっちまで胸が痛くなりましたよ。
あと、トマの考察もナイスだったと思う。漸く対主催に希望の光が見えてきた…のか…?

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:33:07 ID:ghohQnVr
投下乙!
ベルカナはまた微妙な状況になったなぁ…

薫とトマの考察で対主催側が少し進展した感じがしたが、直後にあの放送…やり切れん。
それとトマ、その白さんに本物の白さんが狙われてるんですw

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 23:51:29 ID:JzFqqj58
今後ニケとトマが上手い事やれば、
なのは、ヴィータ、エヴァ、アリサ、葵、トリエラが
対主催者グループの戦力として。
選択ミスれば…………
グルグル勢責任重大?


62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 23:56:19 ID:+z7CMYS+
>>60
前スレで…

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:00:51 ID:DDyr2V1d
>>61
ニケトマ自業自得なところがあったからなあ……。
自分で崩した積み木を元に戻せるかどうか気になる。

>>62
志村ー時間ー

64 : ◆CFbj666Xrw :2007/11/24(土) 03:45:15 ID:NFhjT6QK
予約延長を申請します。
毎度延長してすみません。

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 09:16:00 ID:qxy3C4fS
投下GJ
ベルカナの魔法は便利だがクセがあるんだよな。万能選手にどう立ち向かうか……
葵とトマの心情が痛い。いの一番に薫が呼ばれたから余計に痛い。

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 13:09:00 ID:O26TZlve
>>57
投下GJ。ほとんど進んでいなかった脱出の道筋を作ったのは見事の一言です。
妨害装置とエネルギーの関連づけも上手い。電話も役に立ってるなあ。
色を使った名前の誤解が今度どう転がるのか楽しみです。

>>64
期待!

67 : ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 16:59:31 ID:O26TZlve
20時ごろから投下する予定です。
時間がある方は支援をお願いします。

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 17:05:19 ID:DDyr2V1d
了解

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 17:10:14 ID:e9CYmXC2
了解、wktkして待ってます。

70 : ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:03:31 ID:O26TZlve
それでは投下を開始します。

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:04:14 ID:ctGqP1PE
灼眼の支援!

72 :ファンブル ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:04:33 ID:O26TZlve
「……至急、今すぐ、即座に、ソッコーで、なのはを探し出すべきだね」
『……うむ。我も同意見だ。今のあの子は危うすぎる』

長い沈黙を破ったのは、張り詰めたインデックスの声だった。
頷くアラストールの響きにも苦々しげな成分が混じっている。
「なのはのやつ……何考えてんだ?」
二人からやや遅れて、ヴィータも苛立たしげに息を吐いた。
搾り出す言葉に含まれているのは、まぎれもない怒り。
(あたしに説教垂れておいて、腕まで潰しておいて……!)
動かぬ拳を軋ませながら怒気を噛み殺す。
(自分はあっさり人殺しかよ……!)
踏みしめる石段に、亀裂が入った。
「……高町なのははいい仲間を持っているようなのです」
二人と一柱の反応を見て、梨花の視線が同情的なものへと変わる。
「全員が彼女のような性格だったらどうしようかと思っていたので良かったのです。にぱー」
軽口に反応する者はいなかった。

古びた朱色の鳥居の下で伝えられた事実は、インデックス達に衝撃を与えるに足るものだった。
当然といえば当然である。勝と斥候に出たはずのなのはが、学校で大量殺人を行っていたのだから。
境内での邂逅の後、自分が殺し合いに乗っていないことを証明した梨花は、真っ先に高町なのはの所業を告発した。
『高町なのはの仲間』が、どう反応するか見るために。
反応は、おおよそ梨花が予想した通りのものだった。
学校で起こった事件のあらましを聞き終えたインデックス達は、“ただ”驚いたのだ。
感情的な反論はしなかった。
話を嘘だと断ずることもしなかった。
受け入れて、絶句した。

(この人達は『高町なのはならやりかねない』と、心のどこかで思っていたのね)
普通、仲間が人を殺したなどと言われたら、まず始めに虚言を疑う。
ましてや『二人の人間を下半身だけ残して蒸発させた』などという話は信じるほうがおかしい。
だが、目の前の『仲間』は受け入れた。
『殺し合いに乗った殺人鬼』として貶め陥れるような情報でないとはいえ、
高町なのはが危険人物の排除という理屈をもって人を殺したという事実を、受け入れた。
梨花は確信する。
この人達は間違いなく高町なのはの仲間だ、と。

「小太郎の情報では他に三人ほどいるという話なのですが……」
『エヴァは神社の中に寝かせてある。ニケは斥候中でここにはいない。もう一人……勝は行方不明だ』
質問に答えたのは、インデックスの首から垂れ下がっているペンダント。
「……みぃ。あなたがアラストールなのですね」
喋る装飾品に梨花は改めて戸惑ったが、すぐに気を取り直した。
「アラストールを探している、シャナという人物の居場所を小太郎から聞いているのです」
『む。それはありがたい。して、一体何処に?』
「ここから西へ行ったところにある廃病院に――」

言い終える前に、轟、と島が揺れた。

森が咆えた。
空がうねった。
大地が震えた。
梨花が言葉を止めた。
アラストールが黙り込んだ。
インデックスが空を仰いだ。
リンクが周囲を見渡した。
ヴィータが顔を上げた。
誰も彼もが、一瞬停止した。

第一放送が、始まったのだ。

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:05:12 ID:MkXSLrkh
 

74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:05:28 ID:DDyr2V1d
 

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:05:29 ID:e9CYmXC2


76 :ファンブル ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:05:51 ID:O26TZlve
    ※    ※    ※    ※    ※


“――以上、37名だ”

「ウソ……だ……」

零れ落ちた言葉が地面に落ちて砕け散る。
無情な現実は全ての未来を打ち消して。
ガラス玉の希望は、木っ端微塵に吹き飛んだ。

「はやてが死んだなんて……間違いに、決まっ……て……!」

言葉が詰まった。台詞が喉の奥から出てこない。
虚構に縋る思考を、理論が、理屈が、理性が打ち崩す。
夜天の主であるはやてが死ぬはずがない?
否。デバイスがない八神はやては足が不自由な唯の少女だ。
夜天の騎士である自分が消えていないからはやては生きている?
否。守護騎士システムは切り離されており、はやてが死んでも自分は存在し続ける。
同姓同名の人違い?
否。本物の『高町なのは』や『ヴィータ』が参加している以上、そんな都合のいい展開はない。
ジェダが嘘を吐いている?
否。嘘を吐いてまで生かしておく理由がない。
――結論。八神はやては、死んだ。

「ち、くしょおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!」

吼える。吠える。咆える。
真っ赤になった視界の中で、はやてのいない世界がグニャリと歪む。
見上げた空は血よりも紅く、肌を刺す風は刃より冷たい。
頬を伝う感触が情けなさに拍車をかける。
主を守れなかった騎士に、涙を流す資格などありはしないのに。
鉄槌の騎士は、八神はやてを見殺しにしたというのに。

「うああああああああああああッッッ!」
「ヴィータ!」
突然駆け出したヴィータに、インデックスが金切り声を上げた。
鬼のごとき形相で地面を蹴る赤毛の少女は、一切合切を無視して神社を飛び出そうとする。
「駄目だ!」
だが、両腕が使えず、片足に傷を負った動きは粗末なものだった。
立ち塞がるリンクが足払いをかけると、碌にバランスが取れないヴィータは無様に転がる。
「離せッ! 離せよぉッ!」
「落ち着け!」
地面に押し倒され動きを封じられたヴィータは拘束から抜け出そうと身を捩る。
暴れる身体を押さえつけながら、リンクは声を張り上げた。
「いったい、一人でどこへ行くつもり――」
「はやての仇を討つに……決まってんだろうがぁッ!」
一喝とともに、尋常ならざる膂力がリンクを襲った。
「ぐうっ……!」
「リンク!」
もつれる二人に梨花とインデックスが組み付く。
梨花は足を、インデックスは肩をそれぞれ押さえてヴィータの動きを封じにかかるが、夜天の騎士を制圧するには十分とは言えない。
「があああああッ!」
牙を剥き爪を立て髪を振り乱し、自傷行為にも似た少女の狂乱は止まらない。
まるで、自分自身を罰しているかのように。

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:06:23 ID:DDyr2V1d
 

78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:06:39 ID:MkXSLrkh
 

79 :ファンブル ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:06:43 ID:O26TZlve
「よく考えなよヴィータ! 当てもないのに突っ走るのは無謀すぎるよ!
 もし見つけることができたとしても、その腕じゃ返り討ちにあうよ!」
三人がかりで押さえられてもなお暴れ続けるヴィータをインデックスが諭す。
『復讐なんて無意味だ』とは言わない。大切な人を喪った相手には逆効果だ。
『気持ちはわかる』なんて言えるわけがない。虚偽の慰めは何の力も持っていない。
感情による説得は感情による暴走を加速させるだけ。
故に、理性に訴えかける。
「……ヴィータ。蛮勇による無駄死にには、何の意味もないんだよ?」
抗う動きが徐々に鈍くなる。
憤怒の炎が哀惜の泥へと変わっていく。
「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょおぉッ……」
砂利の海に埋もれた口は、ただただ嗚咽を漏らし続けた。
世界の全てを、呪うように。


「……なんとか、落ち着いたかな。リンク、リカ。協力、ありがとうなんだよ」
「いや、たまたまタイミングが合っただけだよ。でも、止めることができて本当によかった……」
ようやく暴走を抑えきった三人は安堵の吐息を吐く。
未だヴィータは怨嗟の声を上げていたが、すぐに暴走することはないだろうと判断できた。
少なくとも、今しばらくは。
「いきなり叫び出すからびっくりしたのですよ」
服に付いた土埃を払いながら、梨花が疲れたような声を出す。
どことなく口調が刺々しいのは、ヴィータの暴走によって放送の後半部分を聞き逃してしまったせい。
禁止エリアや死者名といった最低限の情報は聞こえたが、細かな情報を手に入れられなかった可能性がある。
梨花の心情を察してか、インデックスは素直に謝った。
「ごめんね。放送については後からニケに詳しく聞こう。
 でも……『八神はやて』はヴィータにとって、本当に本当に、大切な人だったんだよ。
 理解してとまでは言わないけど、考慮してくれると嬉しいな」
『……インデックス』
今まで沈黙を貫いてきたアラストールが、遠雷のような声を響かせた。
『八神はやてもそうだが、もう一人聞き捨てならぬ名前が呼ばれたのはわかっているか?』
「うん……。まさる、だね」
才賀勝。
山小屋で出会った仲間にして、高町なのはと共に斥候に出た少年。
そして、第一放送で脱落が伝えられた37人の内の一人。
『梨花よ。一つ確認しておくが……。確かになのはは一人で行動していたのだな?』
「小太郎と出会ったとき、高町なのはは一人だったようなのです。勝という参加者についての情報は、何も」
『ふむ』
山小屋から出発した高町なのはは才賀勝と一緒だった。
斥候に出たはずの二人は、結局帰ってこなかった。
その後、高町なのははたった一人で学校に現れた。
才賀勝は――死んでいた。
軌跡は不明。道程を埋める情報はない。
『うむ……。本人に聞くのが一番早そうではあるな』
「高町なのはなら西に向かったようなのですよ?」
『西か。確か、シャナがいるという廃病院も西方になるな』
梨花の補足にアラストールが唸る。
なのはもシャナも西方にいることがわかっている。
移動する可能性を考えれば、すぐに向かわないとせっかくの情報が無駄になる可能性がある。
とはいえ、気絶中のエヴァと不安定なヴィータを放っておくわけにもいかず、ニケは学校から帰ってこない。
単独行動は常に危険が伴う以上、梨花達に二人を任せてインデックス一人で捜索に向かうわけにもいかない。
『八方塞りか……』
「どのみち高町なのはがじっとしているとは思えないので、単純に西へ行っても会えない可能性が高いのです」
沈んだ声を出すアラストールに追い討ちをかけるように、淡々とした予測が述べられる。

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:07:39 ID:DDyr2V1d
 

81 :ファンブル ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:07:42 ID:O26TZlve
(……あいつは、高町なのはは一ヶ所で大人しくしているような性格じゃない)
梨花は、思い出していた。
殺し合いに乗った少年を、そうでない少年ごと容赦なく焼き殺した後の無表情な顔を。
傷つき、苦しみ、死にかけている二人の命を平気で天秤にかけた冷たい目を。
灰原哀を――梨花の友人を撃ち殺したときの、悪魔のような立ち姿を。
「……学校での行動からして、またどこかで暴れているんじゃないの?」
苦虫を噛み潰した言葉は、素の口調に戻っていた。

「な……のは……?」
不意に、ずるり、と亡者が動き出した。
「そうだ……。まだ、あいつがいた……」
梨花の言葉に反応して、ヴィータが幽鬼のように立ち上がる。
「あちこち動き回ってるなら、はやてを殺した糞野郎の情報を持ってるかも……」
手負いの騎士は片足を引き摺りながら動き出す。
虚ろな目は闇以外を映しておらず、呟く言葉は誰にも向けられていない。
鬼気迫る様子は、さながら螺子が外れた機巧人形だった。
「ダメだよヴィータ! その傷じゃ……」
「どうせ治る見込みはないんだろ……? だったら関係ねーよ。それに……」
インデックスの言葉を一蹴した後、自嘲気味な掠れ声が漏れる。
「何か行動してねーと、自分で自分を殺しそうだ」
カラカラと、乾いた嗤いが空に溶けた。
壊れかけた灰色の言葉に、インデックスは思わず息を詰まらせる。
再びずるずると動き始めたヴィータを、ただ見つめることしかできない。
(これは、重症だね……)
ヴィータにとって八神はやては己の命より大切な存在であったと、今更ながらにインデックスは思い知る。
わずかな目当てができただけで再び飛び出そうとするなど、完全に予想の埒外だった。
『諦めよインデックス。もはやあの子は止まらんだろう。
 どうしても止めたいのであれば、今度は両足を潰すほか手段はあるまい』
見かねたアラストールが口を挟む。
ヴィータを止めることは不可能だ、と。
今のヴィータは、たとえロープで縛ったところでそのまま進み続けるだろう。
それこそ、高町なのはがしたような手段でも取らない限り。
「だけど、あの腕じゃとても戦えないよ。一人で行かせることなんてできない」
『エヴァを治療したときのように、ヴィータの傷も治せないのか?』
「そうは言うけどさ。強力な魔術は安易に使えないんだよ。ニケは一回使っちゃってるし」 

人間が『魔道書』の魔術を行使するとき、そこには常に失敗のリスクが存在する。
手順を踏み違えた場合、魔術を行使した人間の神経回路と脳内回路を焼き切り、最悪の場合は死に至らしめる可能性すらある。
宗教防壁で脳と心を守っている聖職者や、人間を超えようとして自ら発狂を望む魔術師ならばある程度は耐えられるが、
宗教観の薄い人間が何度も『魔道書』の知識を使おうとすれば、終わる。
そのため、既に一回『魔術』を行使しているニケが再び魔術を行使することは、あまりにも危険すぎたのだ。

「私には魔力がないし、エヴァは気絶してるし、体調が万全じゃないヴィータ自身に使わせるのは避けたいし……」
『ならば、あの二人ではどうだ?』
アラストールの意図を読み取ったインデックスが慌てて振り返ると、
石畳の上で、梨花とリンクが居心地悪そうに立ち尽くしていた。
「僕たちがどうしたのですか?」
自分達のことが話題に上がったと勘付いた梨花に、インデックスは少しだけ躊躇しながら、言った。

「ごめん。ちょっと、力を貸してくれる?」

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:07:59 ID:e9CYmXC2


83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:08:30 ID:DDyr2V1d
 

84 :ファンブル ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:08:39 ID:O26TZlve
    ※    ※    ※    ※    ※


闇の中に一つの人影が在った。
周囲の黒に匹敵するほどの気配を発しているのは、人ならぬ夜の眷属。
放送の音で目を覚ました吸血鬼は無言で闇を見つめている。
「…………」
人形使い。
闇の福音。
不死の魔法使い。
いくつもの恐るべき二つ名を持つ吸血鬼はしかし、全くと言っていいほど威圧感を放っていなかった。
放送で弟子の名が呼ばれてから、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの時間は止まっている。
「……そうか。ぼーやは死んだか」
ようやく気だるげに呟いたエヴァは、放送の残響に包まれている暗い部屋を見渡した。
「ふん」
生活臭のない部屋には、エヴァ以外誰もいなかった。
眠りに落ちる前には確かにいたはずの同行者が、一人残らず消えている。
白い少女も。変態勇者も。シスターも。剣の少年も。赤毛の敵も。
誰も、残っていなかった。
「クク。言いつけをちゃんと守っているじゃないか」

“私のことは放っておけ”
意識が消える直前に出した命令がしっかり守られていることに、氷のような笑みが零れる。
割と甘いところがある連中だったが、気絶した人間を置いていく程度の非情さは持ち合わせていたようだ。
(それでいい)
足手纏いを切り捨てる覚悟があるならば、ある程度は生き残れるだろう。
役に立たない者を見捨てることは、別に悪いことではない。
所詮、この島で出会っただけの赤の他人なのだから。
だから別れた今、なのはやニケが何をしようと知らないし、自分も勝手にやらせてもらうことにする。
ちょうど“脱出よりも優先すべき目的ができたから都合がいい”
皮肉気に歪めた顔を隠そうともせず、エヴァは近くに置いてあったランドセルを掴む。
中を改めると、支給品はそっくり残っていた。
「……道具をそのまま置いていったのか? 少しは見直したと思ったが、やはり甘いな」
苦笑しつつ蓋を閉じたエヴァは、ふとあることに気付いた。
よく見ると、今いる部屋は気絶する直前に見た山小屋ではない。
「ここはどこ、だッ……!?」
立ち上げかけた足に力が入らず、エヴァは大きくバランスを崩した。
寸前で手をついたため身体を打ち付けることは防げたが、起き抜けの頭に甘い衝撃が走る。
「ちっ……」
エヴァの魔力は、ほとんど残っていなかった。
それこそ、通常の運動にも支障をきたすほどに。
(いかんな……)
舌打ちとともに苛立たしげな言葉が漏れる。
リリスとの戦闘で消費した魔力に加えて、八卦炉に使った分も馬鹿にならなかった。
ふらつく身体に鞭打って部屋を漁ってみても碌な物が出てこず、早々に手詰まり状態に陥ってしまう。
フェアリィリングは消費魔力を減らすことはできるが、失った魔力を補充する分には役に立たない。
現状において、手持ちの札による魔力の回復は絶望的だった。
それはつまり、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの能力の殆どが使用不能だということ。
(……りん)
この戦いにおいて、魔力の枯渇は致命的な隙となる。
合気道などの接近戦術も苦手ではないが、力の大部分を殺ぎ落とされたまま戦うのは好ましくない。
雑魚には対抗できてもリリスのような実力者相手には通用しないだろう。今、そんな相手に当たればアウトだ。
(……足りん)
ジェダを打ち滅ぼすための、
リリスを屠り去るための、
――“出来の悪かった弟子”を殺した犯人を豚のように虐げ、豚のように縊り、豚のように砕き、
足の先からゆっくりと裁断し、骨を挽いて髄を引き抜き、蛆虫の群れにその身を喰らわせ、
生かしたままぐちゃぐちゃの肉片に磨り潰すための力が、魔力が、絶対的に足りない。

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:09:03 ID:MkXSLrkh
 

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:09:05 ID:DDyr2V1d
 

87 :ファンブル ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:09:35 ID:O26TZlve
(……が、足りん)
滅多にない緊急時において、貧血気味の頭は一つの答えを弾き出す。
道具による魔力補充は不可能。
自然回復を待つ余裕はない。
魔力を融通してくれそうな仲間は皆無。
ならば、手段はただ一つ。

「血が、足りん」
他者の血から、魔力を奪い取るまで。


    ※    ※    ※    ※    ※


「治っ、た……?」

未だ痺れが残る拳を何度も握り直しながら、ヴィータは呆けたような声を出した。
高町なのはによって赤黒い肉塊へと変貌させられていたはずの両腕を、無心に動かし、曲げ、伸ばす。
「うご、く……?」
元の機能を取り戻した腕は思うままに動いてくれた。
こそぎ落とされた肉は埋め立てられ、焼き切られた神経は繋ぎ合わせられている。
痺れるような感覚は残っているが、たいした問題ではない。
「動く……!」
これで、戦えるのだから。
これで、はやての仇を討てるのだから。

「いま使ったのは『ヘルメス文書』の白魔術だよ。自然魔術とも呼ばれる癒しの魔術だね。
 その名の通り自然の力を借りる魔術で、神社の下を通る竜脈と大地の恵みである果物の生命力を利用して……って、もう走り出してる!?」
「遅れんなインデックス! 置いてくぞ!」
「ちょっとくらいは聞いてくれたっていいのに! おに! あくま!」
インデックスの説明を無視してヴィータが走り出した。
逸る気持ちが脚に表れているのか、走る速度が徐々に上がっている。
『追うぞインデックス。我もシャナのことが気にかかる』
「みんなして私をこき使って! ああもう、わかったよ!」
次々と勝手なことを言う仲間達に嘆くと、インデックスもヴィータを追って走り出した。
「わかってるよねヴィータ! 私達の目的はシャナが属する集団となのはの捜索だよ!」
「わかってる!」
「両方見つけたら一度神社に戻ってニケと合流するんだよ! ニケがはやての情報掴んでるかもしれないんだから!」
「わかってる!」
「……日が完全に落ちたときも、一旦戻るんだよ?」
「わかってる!」
「朝は足4本、昼は足2本、夜は足1本。なーんだ?」
「わかってる!」
「絶対聞いてないよね!?」
ぎゃあぎゃあ騒ぎながら、二人は道の先へと消えていった。
後に残されたのは、ぽかんと口を開けた一組の男女のみ。

「……行っちゃったね」
「騒々しい人達だったのです」
梨花は溜息を吐きながら周りを見渡す。
境内の土砂利の上に、大きな魔法陣が描かれていた。
大きな円の中に小さな円。そして、小さな円に接するように星を描くような線が引かれている。
いわゆるペンタグラムという魔法陣だ。
円周上には魔術的な意味を持っているらしい単語が並び、五芒星の各頂点には干からびたリンゴやバナナが置かれている。
果物の生命力を神社の神気に乗せて魔法陣中央の負傷者に集めたとかなんとか。
「……よくわからないのです」
「無理に理解する必要はないと思うよ、梨花ちゃん」
よく理解しないまま魔術儀式に手を貸した二人は、やはり深く考えないことにした。

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:09:37 ID:DDyr2V1d
 

89 :ファンブル ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:10:30 ID:O26TZlve
「まあ、とりあえず当初の目的は達成できたかな?」
二人が小太郎に頼まれたのは、『シャナ一行に学校での出来事を伝えること』と『山小屋組との合流』。
幸運なことに、山小屋組との合流はアッサリと達成できた。
そして、シャナ達に情報を渡す役目はインデックス達が請け負ってくれた。
梨花達も同行すると言ったのだが、インデックスとアラストール曰く、
『ニケが戻ってきたときに事情を説明できる人が必要なんだ。私達のことを伝えておいてくれないかな?』
『神社の中で寝ているエヴァもよろしく頼む』
結局、二人は神社に残って皆の帰りを待つことになった。
若干の不安はあったが、二手に分かれるのが最も効率的なことは確かだったからだ。
というより、血気逸るヴィータのおかげで二手に分かれざるを得なかったのだが。
「でも、これで脱出チーム結成の目途が立ったね」
「高町なのはと合流するのは気が進まないけど……我慢するしかなさそうね」
「梨花ちゃん?」
「なんでもないのですよー」
ニケはまもなく神社に戻ってくるだろう、とはアラストールの言である。
メロという同行者もついているらしい。
インデックスとヴィータは西方に捜索に出かけたが、この二人もしばらくすれば帰ってくる。
うまくいけば、小太郎の仲間であるシャナ一行を連れてくることができるかもしれない。
……高町なのはと合流できる可能性もないわけではない。
これに小狼と小太郎を加えれば、おそらく島中最大となるであろう反ジェダ集団が形成されることになる。
「この神社で、反撃の烽火を上げるのですね……!」
「ああ。できたらいい、じゃない。やらなくちゃいけないんだ。がんばろう!」
暗闇の中に、小さな光が見えた気がした。

「……それにしても、あの変態坊主が生きているとは思わなかったのです」
不意に、梨花の口調が忌々しい響きに変わる。
放送で呼ばれた脱落者の中に『一休』の名が入っていなかったことを思い出したからだ。
「絶対に倒したと思ったんだけど、やっぱりぶっ飛ばしたアレも幻覚だったのかな」
「その可能性は高そうなのです」
小太郎によると、一休は幻覚魔術師である可能性が高いという。
幻覚魔術師とは幻覚や幻聴など人の五感を欺く魔法を使う者達の総称で、非常にタチの悪い連中らしい。
「生きてるってことは……また、襲撃してくるだろうね」
リンクが予測する未来は暗い。
相手は女の子二人を性的な意味で襲った変質者だ。そして変質者はねちっこいと相場が決まっている。
このまま引き下がるとはとても思えない。
「……それは、とても大変なのです。すぐに対策を立てないと……!」
梨花が一休に抱いている想いは、嫌悪などという生易しいものではない。憎悪、あるいは殺意だ。
『男で*しましょう』などと言われた恨みは忘れていない。
個人的な恨みを別にしても、神社を荒らされるのは絶対に避けなければならなかった。
拠点になる場所を守ることこそ、今の梨花達の役割なのだ。
そのために必要なのは――武器。
(もしここが本当に古手神社なら……!)
一縷の望みを賭けて梨花は記憶を辿った。
何度も何度も繰り返した、仄暗い記憶の端を。

目的の建物はすぐに見つかった。
「やっぱり、あったのです」
本来なら集会所の裏にあるはずの古びた蔵は、本殿から少し離れた森の中で木々に埋もれていた。
人目から逃れるようにして存在している建物の名は『祭具殿』。
血生臭い歴史を持つ、拷問具の封印地。
鬼ヶ淵村の暗黒史が収められている神殿が、辺りの空気を澱ませている。
「ここに、武器が?」
異様な雰囲気を感じ取ったのか、リンクが不安げな声を出す。
「武器に使えそうなものもあったはずなのです……。
 リンク。鍵を取ってくるのでちょっと待っててください」
「だったら僕も一緒に行ったほうが……」
「すぐに戻ってくるので心配しなくてもいいのですよ。この神社は僕の庭みたいなものなので任せてほしいのです」
身を案じるリンクを置いて、何度も通った道を駆け出した。

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:10:51 ID:DDyr2V1d
 

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:11:13 ID:MkXSLrkh
 

92 :ファンブル ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:11:25 ID:O26TZlve
足が軽い。
心が軽い。
まさか、見慣れた古手神社があるとは思わなかった。
配置は違うしジェダの目的も不明だが、正直とても心強い。
建物の構造は完全に把握しているし、道具の所在だって完璧だ。
祭具殿の道具を使えば、集結する仲間の武器も補充できる。リンクに合う道具はあっただろうか。
(……羽入には悪いことするわね。帰ったら甘いものでも奢ってあげよう)
仲間が集まる。
拠点ができた。
何より、自分にもできることがある。
それが、たまらなく嬉しい。
(大丈夫。ジェダは倒せる。一人じゃどうにもならないけど、皆の力を合わせれば……!)
サイコロの6は続いている。
奇跡の光は、すぐそこに――

あっという間に本殿に辿り着いた梨花は、勢い勇んで戸を引いた。
血が凍るほどの殺気を纏った金髪碧眼の吸血鬼が、そこにいた。

「――なんだ。ちょうどいいところに餌があるじゃないか」

梨花の不運は6つ。
1つ。ヴィータの暴走によりインデックスとアラストールが早々に神社を離れてしまったこと。
2つ。ニケが学校に出かけており、まだ帰ってきていなかったこと。
3つ。一休憎しと、神社内の『仲間』より祭具殿を優先してしまったこと。
4つ。見知った建物を見つけて舞い上がってしまったこと。
5つ。神社には気絶した『仲間』がいるだけだから安全だと思っていたこと。
6つ。その『仲間』の機嫌が、最悪だったこと。
2つ振ったサイコロの目は両方とも1。
――ファンブル。致命的、失敗。

「……あ」
アラート。アラート。アラート。
ここは危険です目の前にいるのは化け物ですこのままだと貴女は死にます逃げてください逃げてください。
「おまえがどんな人間なのかは知らん。聞くつもりもない」
逃げてください逃げてください早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早くはやザンネンテオクレデス。
「――ただ、私の目的のためだけにおまえを喰らおう」

その後のことは一瞬で。
恐怖に竦んだ人間の少女に避けきれるはずもなく。
がぶりと、白い首筋に吸血鬼の牙が突き立てられる。




数十秒後、全身の血を吸い取られ、干からびた死体が転がった。





93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:11:26 ID:DDyr2V1d
 

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:11:55 ID:e9CYmXC2


95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:12:25 ID:DDyr2V1d
 

96 :ファンブル ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:12:36 ID:O26TZlve
【C−4/神社西の森/2日目/夜】

【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:はやての死により激昂、両腕に痺れが残っている、左足に火傷跡、左手爪全剥(痛みは減衰)
[装備]:祈りの指輪@DQ
[道具]:基本支給品 ぬのハンカチ×20(即席ロープ)
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:はやてを殺した糞野郎め、覚悟しやがれ!
第一行動方針:はやてを殺した犯人を見つけ出し、殺す。
第二行動方針:第一行動方針を達成するためにインデックスとともになのはを探し出し、はやてに関する情報を引き出す。
基本行動方針:もうどうでもいい。


【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康、それなりに疲労
[装備]:水の羽衣@ドラゴンクエストX、コキュートス@灼眼のシャナ、葉っぱの下着
[道具]:逆刃刀・真打@るろうに剣心、支給品一式(食料−1日分)
[思考]:待ってよヴィータ!
第一行動方針:ヴィータとともになのは、シャナ一行の捜索。見つけたら神社に戻ってニケ達と合流。
第二行動方針:第一行動方針が達成できなくても、捜索が困難なほど暗くなったら一旦神社に戻る。
第三行動方針:状況を打破するため情報を集める。
第四行動方針:普通の下着、てか服がほしいかも。
基本:誰にも死んで欲しくない。この空間から脱出する。


【C−4/古手神社・祭具殿前/2日目/夜】

【リンク(子供)@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
[状態]:左太腿、右掌に裂傷(治療済み)
[装備]:勇者の拳@魔法陣グルグル
[道具]:共通支給品一式、あるるかん@からくりサーカス
[服装]:中世ファンタジーな布の服など。傷口に包帯。
[思考]:……イヤな、予感がする。
第一行動方針:梨花が鍵を持って帰ってくるのを待つorやっぱり心配だから後を追う。
第二行動方針:神社にて待機。集まってくる参加者との合流を目指す。
第三行動方針:もし桜を見つけたら保護する。
基本行動方針:ゲームを壊す
参戦時期:エンディング後


【C−4/古手神社本殿内/2日目/夜】

【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:『悪』モード、静かな怒り(冷静さを失っている)、衰弱(中)、魔力(吸血により中回復)
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、歩く教会の十字架@とある魔術の禁書目録、クロウカード 『希望』@CCさくら
   なのはの荷物(基本支給品、時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん)
[思考]:まだ足りんか……。
第一行動方針:ネギを殺した犯人とリリスを見つけ出し、殺す。特に前者は徹底的に。
第二行動方針:ジェダが島の地下に居る、という仮定に基づき、地下空間に通じる道を探す。
基本行動方針:ジェダを殺す。が、今は復讐最優先。自分勝手に動く。
※ジェダの甘言は無視しています。
※なのは、ニケ達が気絶していた自分を切り捨てたと思っています。そして、そのことを喜んでいます。


【古手梨花 死亡】

※梨花のランドセル(共通支給品×2(食料は1人分)、エスパー錠とその鍵@絶対可憐チルドレン、ふじおか@みなみけ(なんか汚れた)、
          5MeO-DIPT(24mg)、(古手梨花の)平常時の服)は梨花の死体が所持しています。
※祭具殿内に何があるかは不明です。

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:14:27 ID:MkXSLrkh
 

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:15:58 ID:e9CYmXC2


99 : ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 20:16:12 ID:O26TZlve
投下終了です。支援ありがとうございます。

ヴィータの腕を治した魔術についてですが、せっかく神社にいるし、前話で果物手に入れたし、ヘルメス文書を知ってるみたいだし……
ということで白魔術にしました。まずかったら原作でも描写のある共感魔術に書き換えます。

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:24:00 ID:DDyr2V1d
さて、この島には3人の吸血鬼がいた。
一人は血吸う加減ができなくて身体を吹き飛ばす上に退場済み。
もう一人は小食。最後の一人はずっとお昼寝のターン。
だから吸血死が来るとは思わなかったんだよ。……ぎゃあああああああGJ!
エヴァ様いきなり面目躍如を(悪い方向で)しすぎだろっ!
一時的とはいえヴィータ抑えて一安心だったのに!
危険なタイプのマーダーキラーがまた一人生まれちまった!

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:24:43 ID:MkXSLrkh
投下乙。
え……エヴァ様何やってるのぉぉぉぉッ!! 梨花哀れ。
一瞬にして復讐鬼2体誕生か。しかもそのターゲットを考えると……恐ろしいことになるなぁ。
本当にこのロワは対主催とかマーダーとかいった分類の意味が無さ過ぎるよ!
GJ。

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:25:22 ID:94d1dOvO
投下乙
梨花……
リンクの疑心暗鬼と死亡フラグktkt
なんという爆弾だらけの話なんだ
最大勢力チームオワタ

話に引き込まれて面白かった

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:33:40 ID:e9CYmXC2
うおおおおい!エヴァ様やりやがったぁ!!
梨花ちゃま、古手神社で死ぬなんて…運命からは逃れられなかったか……
インデックスは相変わらず苦労人だなぁ。
そしてヴィータ…それはなのはなんだ、なのはなんだよっ……!
その事実を知ってるのは本人とマジカルルビーだけか。
ちくしょう…面白くなってきやがったw
とりあえずGJ!!


104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:39:55 ID:/X+pTvJt
エヴァ様復活

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:45:09 ID:NDAFu1Na
ちょ、エヴァ様ぁぁぁぁぁぁ!?あんた何やってんのぉぉぉぉぉ!?
ヴィータもエヴァもマーダー化はしてないけど、凄まじすぎるぜ……

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:52:40 ID:htykiqtv
このロワはホントになかなか対主催集団が出来ないなw
今現在、二人以上で行動してる対主催なんてほとんど無いし

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:00:01 ID:SiPHbPZC
ああああ、やっぱりエヴァ様暴走しちゃったよ。しかもかなりヤバイ方向へ。
荒れるのは半分予想していたが、まさか他キャラを吸血するとは……。
そうだよね、考えてみれば吸血鬼なんだものね。……でもビックリした。心臓に悪いです。
梨花ちゃんは本当にご愁傷様。折角、対主催集団に光が見えそうだったのにね…。

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:06:44 ID:qxa7aDyI
嗚呼、投下乙……悲惨だ、南無い。
ファンブルというタイトルが実にらしいな。最悪の場面で出て事故って即死かあ……。

ただ気になるのが一点。
魔力が枯れてる時のエヴァって血を吸えたっけ。牙が無くなっちゃうし。
もちろんざっくり何かで切って飲めばちゃんと吸血になるとは思うけど。

109 : ◆JZARTt62K2 :2007/11/24(土) 21:16:08 ID:O26TZlve
>>108
満月の夜以外は碌に吸血鬼としての魔力は使えないという設定ですね。
この島に来ている時点で「登校地獄」は(一時的にしろ)解けているものと判断しました。
夜なので満月にしても良かったのですが、あんまり決定事項を増やすのは良くないと思いまして。

110 : ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 21:26:29 ID:DDyr2V1d
23時から投下します。
のび太一人なのに20k近くになってしまった……。
なので、お時間のある方支援お願いします。

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:27:43 ID:htykiqtv
任された

112 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:49:46 ID:rqDap941
やっとの思いで六月を越えたのに、梨花ちゃまは結局、古手神社でお亡くなりになったか…。
リンクがどうなるか楽しみだ。

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 22:49:17 ID:cQwk8NZX
>>55
GJです。ここで『カメレオン』か!?事態がどんどん混沌としてきましたね。
ようやく、考察が進んだにも関わらず、その直後この後どうなるか分からない
状況に戻ってしまう・・・。このバランスが絶妙です。
>>109
こちらもGJ!! 
ヴィータの鬱っぷりが痛々しい。こうなると、リンクとエヴァの対決は避けられないな。
この結末を予測しなかったとはいわないけれど、まさか一気にミイラ化するとは思わなかったなぁ。
こちらも痛々しすぎる。

あ、TRPG知らない人のために8レス目にファンブルの説明を付け加えた方がいいと思います。
もう、知らない人はいないかもしれませんが。
ファンブルは、サイコロで行動の正否を判定するTRPGにおいて、最悪の出目。失敗するうえに
多くの場合悲惨な事態が発生する。
参加作品、ソードワールドでは、二つ振るサイコロが両方とも一になるとファンブルである。

上手く入れられなかったら入れなくてもいいかも。

114 : ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 22:59:27 ID:DDyr2V1d
投下します。

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 22:59:43 ID:MkXSLrkh
 

116 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:00:24 ID:e9CYmXC2


117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:00:38 ID:cQwk8NZX
支援

118 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:01:03 ID:DDyr2V1d
ある日、一本の草は突然無造作に摘まれ、見知らぬ土地へと植えられた。
その土地は、今まで草が過ごしていた日当りのよい長閑な丘とは、
比較に値しないくらい凄惨で、酷薄な世界だった。
暖かな陽光など望むべくも無く、土壌から吸い上げられる水と養分は、
生を保つのがやっとという有様。
生きるには過酷であり、死ぬには不足している苦痛。
その加減は喝采を贈りたくなるほどに絶妙なもの。
どう考えたって、誰かが悪意を持って計算した末に産まれた世界だとしか思えなかった。

死にたくない。普通に立っているだけじゃ、すぐに死んでしまう。
恐怖と狂気に中てられてしまった草は、あっさりと自分が何者なのかを忘れた。
もともと大した名前なんてついてはいない。
鮮やかな花弁で目を惹けるわけでもなければ、芳烈な香りで癒しを与えられるわけでもない。
秀麗な草花たちの中に混ざれば、一本だけひどく浮いてしまう。
あるいはその華やかな列に埋もれて呆気なく消えてしまう。そんな、名無し草だったから。
自分の在り方を見失った草に残っていたのは、純粋な生存本能だけだった。
粗悪で僅少な水と栄養を少しでも求めて、ひたすら固い地面に根を下ろす。
下に掘ればきっと水が見つかる、広く掘ればきっと美味しいご飯にありつける。
その思いに囚われた草は、我武者羅に動きつづけた。
時には他の草花の邪魔までして、貪戻に光と水と栄養を求めつづけた。

そうして勝手気侭に私腹を肥やしてから、草は気づいた。
すぐ近くに、一輪の小さな花が咲いていることに。
鮮紅と呼ぶのが相応しい、小さく可憐でありながら強烈な印象を焼き付ける花だった。
ただし、それはあくまで第一印象に過ぎない。
よくよく観察してみると、赤い花びらには今にも裂けるのではないかというくらいに
不自然な皺が寄り、左右に広げられた葉からも瑞々しさが失われ、力なくしおれている。
――ねえ、君。どうしたの?
そう話し掛けようとした草は、ギリギリのところで踏みとどまった。
尋ねるまでもなく、理由が分かった。
奔放に伸ばした自分の根が、花の周辺にまで達してしまい、
花に行くはずだった水と養分を奪っていたのだ。
その事実を認識している間にも、まるでビデオが早回しにされているように、
みるみるうちに花が枯れていく。
カサカサになった花弁が一枚、また一枚と落ちる。
その身を優しく撫でるはずの微風は、茎を折ろうとする悪質な暴風のようにまで見えた。
しなびた葉が重力に屈して、とうとう地面にへたりこんでしまったとき。
――駄目だ! と、草は絶叫した。
「あ」とか「い」とか文章にならない震えた声を出したあとに、やっとのことでそう叫べた。
生きるために他者を騙し、傷つけようとまでした草は、
最後の一線を踏み越える前に本来の自分のあり方――優しい心を取り戻すことができた。
燭火のごとく弱い光。
けれども、確かに胸に灯った光はその身を奮い立たせ、
もう絶対、生きるために他のものを騙したり、傷つけたりはしないと心に決ることができた。

その心変わりが気に入らなかったのか。あるいは単なる気紛れなのか。


119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:01:05 ID:htykiqtv


120 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:01:41 ID:DDyr2V1d
瞬きよりも短い時間。
そのあいだに、草はまたも場所を移動させられていた。
その事実に気付いた主因は、いきなり降り注いだ太陽の光。
さっきまでの自分が、追い求めてやまなかったものだ。
自分の根が掴んでいるのは相変わらずの貧土だが、
つい先ほどまでいた暗い日陰の世界からすれば、天国と言っても差し支えのない。
光に満ち溢れた、場所だった。

頭上に、一人の男がいなければの話だが。

紛れもない、男は草をこの地獄に連れてきた張本人だった。
草はガタガタとその身を揺らし、竦然とする。
その内心を知りながら、いや、知っているからこそ。
ニタリ、と愉快そうに男が笑う。
同時に、燦燦と降り注いでいた陽の光が唐突に陰った。
雲かな? 草は恐怖も忘れて呑気にそう思う。
しかし、そんなはずはなかった。
何か、黒くて大きなものが太陽と草の間に割って入っている。
アスファルトだった。
道路を四角く切り取って持ってきたような、石油の残りかす。
現実にもあるそれが、非現実的に宙に浮いていた。
身じろぎ一つもできないでいた草は、ゆっくりと落下し始めた塊を見て叫声をあげた。
いやだ、うそだ、ゆるして、ごめんなさい。
延々と続く叫びを封殺するように、冷たいアスファルトはその温度そのままに、冷酷に草を押しつぶした。
押しつぶして、当然その声は途絶えた。
暖かで眩しい天光は、もう草には届かない。
草に許されたのは、アスファルトの天上と一片の光も存在しない暗闇の世界だけだった。


  *  *  *



121 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:02:18 ID:DDyr2V1d
野比のび太の運は底なしに悪い。
ぼーっと外を歩いていれば、当たり前のように犬の尻尾を踏んで何百メートルも追いかけられる。
ジャイアンやスネオが空き地に作った落とし穴にも、吸い寄せられるように簡単に引っかかる。
不幸なことは、いつも向こうのほうから勝手にやってくる。
ゆえに幸運がやってくること、例えば宝くじの当たりを期待するなんて以っての外だった。
仮に当たったとしても、それは大体ドラえもんの道具頼りの話なのである。
買う度に増えるのは溜息の回数と役目を果たした紙屑ばかり。
そうして、いつしかくじを買うこと自体殆どなくなっていった。
どうせ買っても当たりはしないのだから、最初からそんなものを買ってもしょうがない。
そう、諦めていたから。


だから、今回も外れてくれると信じていた。



『――穢れ無き魂を持つ幼子達よ。久しいな』



放送が始まって、のび太は慌てながらも地図と名簿を取り出した。
テストができないのび太にだって、この放送の意味と、
やらなければならないことくらい分かっている。

『まず禁止区域の発表を行う』

地面に広げた地図に、ガリガリと鉛筆を突き立てる。
禁止エリアの情報が淡々と告げられていく。

『23時よりA-1』

ビクリ、と背筋が強制的に伸ばされ、思わず西のほうを振り向く。
(こ、ここの隣りくらいじゃないか!?)
しかし、落ち着いて考えてみたらまだ時間があることに気付き、ホッと胸を撫で下ろす。


『次はこの放送までに命を落としてしまった者達の名前を発表する。01番明石薫……』 


(……やっぱり、本当に殺し合いが起こっているんだ。
 あの子豚の他にも、死んじゃった人はたくさんいたんだ)
知らない名前が読み上げられ、のび太は名簿上に黙々とバツ印を付けて行く。
胸が痛かった。名前にバツを付けると、まるで自分が今まさにその人を殺しているような
錯覚が湧き起こってしまい、どうしようもなく怖かった。
そして――


『07番磯野カツオ』


息が詰まった。
遂に、知っている人の名前が呼ばれてしまった。
一緒に過ごした時間は短かったし、交わした言葉だって少ない。
けれど、この島に来た直後、弥彦と一緒に自分といてくれたというだけで充分だった。
それだけで、のび太は安心することができたのだから。
のび太にとって、これが一つ目の不幸。

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:02:39 ID:cQwk8NZX



123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:02:50 ID:e9CYmXC2


124 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:02:59 ID:DDyr2V1d


『18番城戸丈。24番小岩井よつば』


対するこちらは、一つ目にして最後の幸運。
もちろん、人の死を告げる放送に良いことなんてあるはずがないし、あってはならない。
けれど、不謹慎だと思いつつものび太は喜ばずにはいられなかった。
(お兄さんは、生きている!)
そう。あのとき自分とひまわりを逃がすために、
一人勇敢にリリスに立ち向かったグリーンの名前が、呼ばれなかった。
諦め半分で名簿上のグリーンの名前を注視していたのび太は、
放送がグリーンの名前を飛び越して、その先の名前を読み上げたことに気がついた。
(すごい! お兄さんはちゃんと逃げられたんだ!)
瞳に光が宿り、小刻みに震えていた身体に一本の芯がしっかりと通る。
希望が繋がった。この殺し合いの暴力にグリーンは負けなかったのだから。
冷静に首輪と脱出のことまで考えていた頼れる少年が、生き残ってくれた。
別れ際に見たグリーンの力強い姿と言葉を思い返したのび太は、
まるで漫画の中の正義の味方が、そのまま飛び出してきたみたいだと歓喜した。
希望が胸一杯に風船のように膨らんた瞬間。


『25番剛田武』


ぷつり、と。
希望の袋に、針を刺された。

「……………………え?」

声ともつかない間抜けな音を出すのが、精一杯だった。
止まらない。心に空いた穴から、たった今生まれた希望が漏れ出す。
流れ出た希望が、絶望に食われてどんどん死んでいく。
今わかった。さっき口をついて出たのは自分の声なんかじゃない。
穿たれた穴から飛び出した希望が最期にあげた、薄弱な断末魔だったのだ。
同時に、のび太の身体からも力が失われ、鉛筆が地に落ち、カラカラと音を立てた。

『26番ゴン』

放送が続く。だけど、のび太の耳にそんなものは入らない。
絶望がケタケタと笑いながら耳と心に蓋をする。


『……では、次の放送は午前六時の予定だ。その時にまた会う事にしよう。
 これにて放送を終了する』



125 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:03:36 ID:DDyr2V1d
結局、のび太は放送が終わるまでずっと動かなかったし、何も喋らなかった。
ただただ膝をついて、焦点の合わない瞳を、
橙と紺色によるグラデーションに彩られた夜空に向けるだけ。
放送の残響が完全に掻き消え、耳が痛くなるほどの静謐さが訪れる。
時間が止まった世界。
その中でふいに、強い風が吹いた。
冷々とした夜風が目にしみたのだろうか。
のび太の両目から静かに涙が溢れ出し、

「ウソだ……」

流れ始めた涙が、感情の堰を切った。

「ウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだあーーーーっ!!」

人目を全く気にすることなく、のび太は空に向かって吼えた。
その行動がどれだけ目立ち、どれだけ危険なのかを理解できていない。
理解できないほどに、のび太は暴走した。
そして、

「信じないぞ! 僕はおまえの言うことなんか信じないからなっ!」

正常な思考能力を奪われたのび太は、愚考に走った。
友達の死を信じたくない、おまえの言ってることは間違いだ。
聞こえ方だけなら、運命に抗い、決意を促す美しい言葉。
だが、否定する根拠も力も伴っていないそれは、
聞き分けのない子供が駄々をこねているのと何ら変わらない。
むしろ、この殺し合いを管理しているジェダのもたらす情報を、
頭から否定することは、そのまま死に直結するかもしれない悪手だ。

「ジャイアンが死んだりするもんか! そんなわけないだろぉ!」

それでも、のび太は認めようとはしない。
ジェダの言うことを論破する材料は何もないのに、ただ泣き叫ぶ。
惨めで、情けない慟哭が辺りに響き続ける。
負け犬の遠吠えとはよく言ったものだ。
やはり、のび太はダメな子供だった。
幾度も世界を救ってきたはずなのに、ドラえもんがいなければ何も出来ないのだ。
その事実が、ここで無様に露呈する。
のび太の精神がガラガラと音を立てて崩れていく。

「っ……死ぬもんか…………死ぬわけないよぉ……ジャイアァン……」

しゃくりあげていた声がどんどん小さくなる。
もう、声を張り上げる力さえ残っていなかった。
薄志弱行。最初から無理だったのだ。
何もできないのび太が、このバトルロワイアルに抗うことなど。
戦う力がない。貫き通す意志もない。
のび太は、全てにおいて無力だったのだから。

126 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:04:24 ID:DDyr2V1d





――――否。


違う。無力などではない。
まだ、のび太には信じるものがある。
放てる言葉と守りたい想いが残されている。
だから、突き立てることができる。
夜天に響いた悪魔の声、その向こうに対して。
心の友が生きているという、確かな証を。



「だって、僕は見たんだ……」
喉から搾り出す。
「21世紀の未来で、僕はしずかちゃんと結婚していて……」
俯いた顔をゆっくりと上げる。
「スネ夫は貿易会社の社長になって忙しそうに働いていて……」
涙と鼻水でグシャグシャになった顔を、空に向ける。
「ジャイアンは大きなスーパーを経営していて――」
深呼吸。そして、

「――みんな、幸せに暮らしていたんだっ!!!」

天に届かんばかりの怒号を打ち上げた。
その叫びは転機だ。
人が産まれたときにあげる声。産声という名の転機。

「ジェダぁ!! もう一度言うぞお!! 僕はおまえの言うことなんか信じない!!」

言葉が止まらない。
体内から湧き出る叫びは、封じてしまえば身を砕く。
だから、吐き出さずにはいられない。
たとえ、それが愚かな行為であったとしてもだ。

「僕が信じるのはドラえもんが見せてくれた未来だけだ!!
 みんな揃って大人になって! 時間が経っても仲が良くて!
 たまには一緒にお酒を飲みあって、楽しそうに昔話をしていた――
 ――そんな未来だけだあっ!!! それ以外認めるもんかあぁっ!!!」

荒い息遣いが、咆哮に取り残される。
叫び終えたのび太は、何キロも走ったあとのように肩で息をした。
のび太が信じたもの。
それはどこの誰とも分からない冥王の、冷徹な宣告などではない。
いつも自分のことを思ってくれた、掛替えのない親友が見せてくれた暖かい未来だ。
あの風景があるのを知っているから、のび太は希望を失わずに済んでいる。
あの未来に辿りつきたいから、のび太は足掻くことができる。

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:04:47 ID:e9CYmXC2


128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:05:10 ID:cQwk8NZX



129 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:05:15 ID:DDyr2V1d

――けれど。

(……本当は、僕だってわかってるよ……。ジャイアンは、きっともう……)
戻ってこない。
ドラえもんの道具を使っても、死んだ人間を生き返らせることはできない。
仮にできたとしても倫理や法律、色んな事情が許さないだろう。
でも、もしかしたら。
どこかに希望の抜け道があって、ジャイアンを生き返らせられるんじゃないか?
ジェダは極悪な時間犯罪者なのだから、タイムパトロールが何とかしてくれれば、
またジャイアンに逢うことができる、そんな特例が許されるんじゃないか?
そう願わずにはいられなかった。
願い。

――私は最後まで残った子を救世主として迎え『何でも好きな願いを……

願いといえばこれだ。
ジェダの言うことを信じるなら、やはりこれが一番確実だと思えてしまう。
だけど、
(黙ってよ)
のび太は一瞬で自分の弱い心と、空隙に滑り込むジェダの甘言をまとめて葬り去る。
この島のルールに則って、人を殺してジャイアンを生き返らせるなんて発想は、
既にのび太の中には存在していない。
確かに、のび太は殺し合いの圧力に潰されて、堕ちるところまで堕ちた。
女の子も赤ん坊も、更には子豚までも、本気で手にかけようとした。
あのときのままだったなら。負の方向に歩み続けたままだったなら。
ジャイアンの死によって、のび太は二度と引き返せない畜生道へ進むしかなかっただろう。
だが、のび太は気付けたのだ。
人を殺すことは間違っているということに。
自分が陥れた少女、シャナが死んでしまう直前になって、
のび太は自分の本質、世界だって救ってこれた優しい心を取り戻すことができた。
だから、のび太は揺らがない。
幾多の冒険がのび太に残していった勇気の種が、今ここで芽を吹き、成長を始める。
しかし、その決意は身を裂くほどに悲壮なものだ。
のび太が人を殺さないと心に決めれば決めるほど、
ジェダにジャイアンを蘇生させてもらうことから遠ざかるのだから。
それでも、のび太は人を殺さない。
ジャイアンのことを、大切に思っていないわけじゃない。
人を殺すのが怖いわけでもない。いや、怖いけれど我慢できないわけじゃない。
どんなに勇気を振り絞っても、やっぱり自分の命は大事だ。
襲われたときに、正当防衛で殺してしまうことだってあるかもしれない。
だから、そのくらいの覚悟はできている。
でも、私利私欲を満たすためだけに、人を殺すわけにはいかない。
なぜなら、そうしてしまったら最後――

(……きっと、僕は僕じゃなくなっちゃうんだよ。
 人を殺して帰れたとしても、知らんぷりすれば誰にも分からないかもしれない。
 ドラえもんやみんなに話しても、仕方ないよって赦してもらえるのかもしれない。
 でも、ダメなんだ。そんなの僕には耐えられない。
 人殺しになっちゃったら、そこからどんなに頑張っても。
 たとえジャイアンが生き返ったとしても。
 ……僕は、あの未来に行けなくなる。
 みんなと一緒に、笑っていることができなくなる。
 ……そんなの、イヤなんだ……)


130 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:06:06 ID:DDyr2V1d
のび太が人を殺さないのは、自分のため。
自分の心を、守るため。
残酷な言い方をすれば、自分の心と友達の命を秤にかけて、
自分の心のほうに重きを置いたのだ。
ジャイアンにはもう逢えないかもしれないのに。
生き返らせるチャンスは、これっきりかもしれないのに。
のび太はそれを、ふいにしようとしている。
ここにはない不確かな要素が、ジャイアンを助けてくれると祈って。
みんな一緒に、21世紀の未来に辿り付けると願って。
ありもしない奇跡を、それでも信じる。
だから、謝った。
自分の手で助けてあげれらないことを、とにかく謝った。

「ごめんよぉ、ジャイアン……。
 僕は、……弱虫だから、ッ、……こう、思ってないと……」

両手を地面につく。
最後の叫声。

「もう一歩も! ――――歩けないんだよぉーーーーーーっ!!!
 ごめん! ごめんよジャイアーーーーーーン!!!」

出来損ないの土下座みたいな体勢で、のび太はわんわんと泣いた。
泣いているあいだにも、夕日が力尽きていき、辺りが闇に包まれていく。
しかし、そんなことはどうだっていい。
たとえ世界が闇に満ちたとしても、光は自分の中にちゃんとある。
だから、今はただ。
泣くための時間と場所さえあれば、それでいい。



  *  *  *




131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:06:51 ID:MkXSLrkh
 

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:06:53 ID:e9CYmXC2


133 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:06:58 ID:DDyr2V1d
日が完全に落ちきったころ。
島全体に、夜の帳が完全に掛けられたころ。
暗く、荒涼とした地面に、人影がぽつりと直立している。

地面から立ち上がったのび太は、唯一の光源、
太陽に代わって空に浮かんだ、月を眺めていた。
優しく、ぼんやりと光る月だ。
月明かりに照らされたのび太の顔と身体は、ぐちゃぐちゃになっている。
涙、汗、鼻水、唾、血。
パッと思いつく人間の体液、その殆どが一同に会していた。
挙句の果てに、乾いたとはいえズボンには失禁の染みまで残っている。
しかし、それが何だというのか。
月を見やるのび太の瞳は、どこまでも澄み切っている。
覗き込めば、磨礪を重ねた鏡のように像を返せる双眸だ。
眉は逆八の字のように強く吊り上り、引き結んだ口は真一文字。
背筋には決して折れない鉄心が真っ直ぐと。
心臓は力強く拍動し、熱い血液が全身を駆け巡る。
握り締めた拳。地を踏みしめる足。
大丈夫。
身体中にこびりついた、泥と汚水は何の障害にもならない。

「……行こう!」

決意を言葉にして、自分の中に刻み込む。
寸退尺進の意気込みを胸に、一歩一歩、歩みを進め始める。
のび太は生まれ変わった。
でも、それで変えられたものなんて多くはない。
急に力が強くなったわけでも、頭が良くなったわけでも、足が速くなったわけでもない。
今だって、ドラえもんや他の人が助けに来てくれることを願っている。
けれど、その想いは今までとは少し違うもの。
(まずは、自分の足で真っ直ぐと歩こう)
今までは、ドラえもんが来てくれること、誰かがなんとかしてくれることに縋っていた。
自分では何もしようとしないで、ただ他の誰かに寄りかかっていただけだった。
もう、そんなことはしない。
他の人を信頼はする、けれど任せっぱなしにはしない。
心境の変化と共に、心の底に沈んでいた言葉が再浮上する。

――お前の用事だろう、お前が片付けるんだ。

今なら、グリーンの言葉にしっかりとした意思を返すことだってできる。
(分かったよ、お兄さん。やってみる)

僕はダメ人間だ。
そんなことは分かっている。
生きていても、何の役にも立たないのかもしれない。
それでも、それを解かった上で前に進むんだ。
半人前以下、“0.5”の僕がやらなければいけないのは、“1”の人の足を引っ張る掛け算なんかじゃない。
“1”の人を助けて“1.5”にする足し算だ。
簡単な計算くらい、僕にだってできる。
この島にいるみんなと力を合わせて、絶対に生きて帰るんだ。
生きて帰って、もう一度確かめるんだ。
いつか見た未来が、消えたりなんかしないってことを。


  *  *  *



134 :いつか見た、懐かしい未来 ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:07:29 ID:DDyr2V1d
アスファルトに埋もれた草は、それでも死ぬことはない。
何も見えない真っ暗な世界にいても、自分が伸びるべき方向は判っている。
伸びる先には黒く、堅い天井。
ちっぽけな草の弱さを嘲笑する、強靭で、重厚な壁。
貧相な草は、必死でその身を壁に叩きつけ、立ち向かう。
葉先がボロボロになっても、芯が折れてしまっても、絶対に止まらない。

――無理、無駄、無謀だ。愚か者め。

絶望を誘う声が届く。だが、草はその進撃を緩めない。
蔑みたければ、思う存分そうすればいい。
しかし、心して待っていろと忠告しておく。
なぜなら、草は思い出せたのだから。
諦めずに、何度も頭上の掩蓋を突き続ければ、いつか突き破ることができるということを。
アスファルトを断ち割って堂々と生きている、路傍の雑草の存在を思い出せたのだから。
だから、草もまた同じように目指すのだ。
黒い天井を突き抜けたその先。
いつか見た暖かい太陽の光に、再び出会うために。
抜けた先に広がるのが、暗鬱とした曇天だったとしても構わない。
草はただひたすら晴天を信じて、空を目指すだけなのだから。




【B-1/道路/1日目/夜】
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:心身ともに疲労、鼻骨骨折、額に小さな切り傷
[装備]:なし
[道具]:グリーンのランドセル(金属探知チョーク@ドラえもん、基本支給品(水とパンを一つずつ消費)、
   アーティファクト『落書帝国』@ネギま!(残ページ無し))、ひまわりのランドセル(基本支給品×1)
[服装]:いつもの黄色いシャツと半ズボン(乾いた失禁の染み付き)
[思考]:暗いよ、怖いよ。でも、行かないと!
第一行動方針:リルルたちを追って、北東の街へ向かってみる。
第二行動方針:最初の子豚≠ジャイアンだと確信するために、ジャイアンを探す。出来るなら、埋めてあげたい。
基本行動方針:もう、他の人を殺そうとしたり嘘をついたりは絶対にしない
[備考]:「子豚=ジャイアン?」の思い込みは、今のところ半信半疑の状態。
[備考]:剛田武の名前が呼ばれた以降の第一回放送を聞いていません。

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:08:24 ID:cQwk8NZX



136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:08:28 ID:e9CYmXC2


137 : ◆IEYD9V7.46 :2007/11/24(土) 23:09:46 ID:nHDOkXA+
投下終了です。支援ありがとうございました。
問題点、指摘などありましたらお願いします。

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:17:17 ID:e9CYmXC2
投下乙!
のび太の心情がいい感じにこちらに伝わってくるよ…
こののび太なら何かやってくれる、そう思わされた。
非常に上手いと思います、GJ!

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:17:46 ID:MkXSLrkh
……鳥肌立った。
泣いて喚いて悔やんでいるのに、なんでこんなに輝いてるんだ。
GJ。生まれ変わったのび太の活躍が実に楽しみです。

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:23:36 ID:WEnru3jZ
……前々から思っていたんだが、IE氏の演出力はマジ神すぎるって。
何ていうか、リレーSSの中の一話というよりも、一本の完成された短編を読んでるみたいな気分になる。
今回のも構成と比喩が上手すぎて、思わず一書き手として嫉妬を覚えましたよ、ええ……。
のび太の心情描写も素晴らしかったと思う。GJでした。

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:31:30 ID:cQwk8NZX
>>137
GJです。ここへ来て、のび太覚醒!?
自分と仲間の未来を見たことがあるという、『ドラえもん』にしかない要素を絡めたのが
上手いです。
ここまで汚くて、情けない醜態をさらせるのものび太だけなら、それでも格好良く
振る舞えるのも、のび太ぐらいのものだろう。
のび太の今後に期待だが、グリーンの現状が波乱の要素を残している・・・。
のびたは果たして今後活躍できるのか!?今後の展開にwktkです。

あえて言うなら、最初の男の名前が気になるので、道路工事?など、草の環境の
悪化を気にならない形に変えた方が良いと思います。
自分には、良い代案が思い浮かばないのですが・・・。少年の無邪気ないたずら?うーん。




142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 00:03:54 ID:IkZLBbNy
のび太かっけえ・・・

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 00:36:41 ID:lIYUdRaS
投下GJ。初っ端から比喩が上手い……。
現実を見てないところがダメっちゃダメだが、のび太にしては頑張った!
北東の激戦地(予定)でもがんばってくれ。

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 01:03:36 ID:gjLkjvZy
GJ!のび太なりの覚醒だな、これは
元の世界に帰ればタイムマシン他色々が使える訳だから
「優勝した上で時間を遡り根本を断つ」というパタリロ思考に行く事も出来るだろうに
それが出来ない弱さとそれでも尚殺人はしないという決意を翻さない強さ
ジェダが指し示す現状を否定する駄目さとジャイアンの死を受け止め前進する固い意志
いや、いい物を読ませて頂きました

形振り構わず泣けるってのもある意味強さだよね

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 01:04:19 ID:WOrlOGQ0
>>141
男はジェダのこと指してるんじゃね?
環境の悪化は元の世界からこの島に連れてこられたこと表してる比喩だろうから
その詳細はなんでも良かったんだと思われ

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 01:13:27 ID:67aXhzXj
大長編のび太きたああああああああああ!!!

「ごめんよぉ、ジャイアン…」からの台詞が良すぎる。
モニタが霞む良作でした、GJ!

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 02:46:48 ID:mwJjUxfh
のび太って小数のかけ算できるのか?

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 09:41:03 ID:M8JeinpJ
前スレの埋めの人いつもGJ
ジェダのせいで各世界が大変なことにwww

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 10:32:28 ID:xcdKpgr4
同じく前スレ埋めの人GJ!!

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 10:43:25 ID:JIkAyJJX
前スレ埋めの人GJ・・・ってかひでえwww

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 10:49:06 ID:4bPDDBYz
前スレ埋めの人GJ! ……一部のに激しく吹いたw
上から武藤カズキ・紅 美鈴・薔薇水晶・DQV主人公でFAかな?


152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 11:34:06 ID:nqc2onkY
>>147
確か小4までの勉強は完璧なんじゃないか? ってことは……できるのかな?

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 11:41:21 ID:4bPDDBYz
ちょっと指導要領確認してきた
小数は4年で足し引き、5年で乗除を習うみたいだ。 
ただのび太だからなぁ……

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 12:48:09 ID:oeW7Yjs9
一桁の点数は取れるみたいだから、簡単な計算くらいなら出来る…と信じたいw

155 :sage:2007/11/25(日) 13:22:28 ID:GNiPDjOK
前スレ埋めの人GJ!
つかあれだ、前のも含めて、まとめwikiに載せてもいいんじゃなかろうか。

156 : ◆IEYD9V7.46 :2007/11/25(日) 14:00:03 ID:ZW+xqvyu
感想指摘ありがとうございました。
>>141
冒頭のあれは>>145さんが言ってる通りです。これで答えになってるのか分からないですし、
指摘を自分が読み違えてるかもしれないので、まだ何かありましたらお願いします。

>のび太の小数計算
これはすみません。正直明確な資料が見つからなかったのと文章の治まりが良かったので
半ば無理矢理入れてしまいました。のび太の知力は原作中でも一定じゃないんですよね。
話によっては足し算すら間違えたこともあるかと思えば、暗算で簡単な時間の掛け算をしたこともあります。
小数、分数の計算もできたような気もするのですが、そのときはドラえもんの道具頼りだった気もします。
結局、道具なしで小数の掛け算を解いた明確な描写は見つけられませんでした。
個人的には1と0.5だけの簡単な掛け算ならできるかなとは考えたのですが、
違和感を感じる方が多いようなら、その一文の削除をしたいと思っています。


話変わりますが前スレ埋めGJ!
美鈴逃げてー! しかしなぜ突然バイストンウェルかと思ったら、そういえばリーンの翼の主人公とボスだったw
まずい、聖戦士エイサップカズキが誕生してしまうw

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 14:15:00 ID:e4CZdrCe
読み返してて気になったことがあるので、◆JZ氏にちょっと質問です。
保健室組は、一休の名前を知る機会がなかったのでは?
少なくとも前話までで、一休が自分の名前を保健室組へ名乗った描写は無かったように思う。
梨花達も、ずっと「変態坊主」としか呼んでなかったし。

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 15:04:31 ID:lIYUdRaS
>>157
168話【そして誰も東に行かなかった】で、

>保健室で戦った『一休』が「幻術の使い手」だった――なるほど、当事者でない小太郎だからこその発想。

という記述があったので、知っているものとしました。
多分、SSの合間に名乗ったりとかしてたんじゃないでしょうか?

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 15:05:32 ID:VKXfGBNN
>>147
前にどっかで見たけど、
のび太が苦手なのは足し算引き算で、掛け算割り算は比較的得意だとか
得意っつっても、やっぱり人並以下だとは思うけど

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 15:11:56 ID:e4CZdrCe
>>158
あ、なるほど確かに書いてありますね。了解しました。


161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 15:17:26 ID:NaPH/COt
投下も前スレ埋めもGJ
ロワでこんなに対主催がやばい状態なのははじめてみた
引きこもりエリア組もすでに期待できない
のび太に期待

夜になるからドラクエ組の再会フラグも立ってるよな

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 15:19:26 ID:1rRTRWMn
>>156
別に違和感はなかったですよ。
まあ、確かに足し算や引き算を間違えまくってるイメージはあるけど
一応5年生なわけだし簡単な掛け算の構造ぐらい理解してる・・・はずw

163 : ◆sUD0pkyYlo :2007/11/25(日) 15:36:17 ID:pdM/fyB9
>>158
すいません、それはきっと168話書いた私のミスです。

168話の時点での表記ミス(というより勘違い)ですね。
で、読み返すと、私の書いた141話の 保健室の幻覚の混乱の中で、リンクの「心の声」にもミスがあるんです。
口には出してませんが、リンクが『一休』って言ってしまってるんですよ。明確に名乗ったシーンも無いのに。

あの幻覚の混乱の中、一休がどこかで自分の名前を言っていた(そして少なくともリンクが聞いて覚えていた)、
というのが一番自然で全体への影響のない解釈&修正かと思いますが。
場面転換の多い話だったので、隙間はいっぱいありますしね。

どうしましょう。
遡って141話にちょっと手直ししましょうか?
大した修正じゃありませんし、手間はかかりませんし、(たぶん2、3行挿入する程度)
解釈が曖昧だったところをはっきりさせておく、という程度の位置付けだと思いますが。

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 15:47:20 ID:Cv/LAidI
重要そうなので避難所から転載

42 名前: ◆CFbj666Xrw[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 15:43:58 ID:CICXTOgU0
規制中の為、こちらで途中報告。まだ数日かかりそうです。
あのネタが被るとは、とか言ってみる。


>本スレで話題になっている一休の名前を学校組が知っているかについて
地の文では何度も出てるけど、名乗ってないから学校組は知らないんだなと思って
なのはの前でブルーが使った『同行』には反応させずに居たのですが、こちらはどうしましょう。
(ブルー&イヴが“一休”という参加者の下に飛んだ事が予想できるが、それと“変態坊主”が結びつかないでいた)

なのはは(少なくともその時は)気付かなかった事にするか、
あるいは学校組からなのはには一休の名前が伝わっていなかったとすれば矛盾はなさそうですが。

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 15:58:20 ID:pdM/fyB9
>>164
幻覚の中で見たことを詳しく話し合えたのは、なのはが去った後なんですよね。
彼女が居た時点ではみんな混乱しまくってますし、彼女は惨劇の後、最低限の会話の後、すぐにその場を去っていますし。
そういう意味でも、幻覚の中で聞いた、とすれば「なのはには伝わってなかった」、とするのも自然な流れになるかと思います。

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 17:04:30 ID:BY+AGRqH
>>99 >>137 両氏乙です。

ファンブルして一撃死とかよくわかってらっしゃるw
着々となのはに死亡フラグが立っているような気がする・・・
だが、恋愛フラグをことごとく折ってきたなのはさんだからきっと(ry

のび太・・・がんばれ凡人!いつか何かやってくれそうだ

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 17:35:37 ID:M8JeinpJ
>>165
読み返してみましたが、それで矛盾はなさそうです。
「あったこと」にして描写しなくてもいいとは思いますが。

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 17:44:01 ID:JcaRcRzb
>>167

本スレでの相談を知らない読者に今後疑問を抱かせるかもしれませんので
「一休の名前を知る機会があった」と確定できる描写は必要だと思います。

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 18:05:53 ID:M8JeinpJ
>>168
それもそうですね……
この場合は修正もやむなしかな。

170 : ◆sUD0pkyYlo :2007/11/25(日) 18:33:54 ID:pdM/fyB9
では、上に挙げた方向で修正を考えることにします。
明日か明後日くらいに修正スレに上げられるかと思います。

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 18:37:49 ID:Cv/LAidI
修正頑張って

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 20:01:33 ID:R1NBSoO5
ちょっと質問なんだけど
ラナルータって禁止級?

ちょっとDQ組のSS構想中で、気になったので。

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 20:39:07 ID:ArcChW/k
難しい気がするな。
タバサのいる地域だけ昼夜逆転するとか?

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 20:46:45 ID:NaPH/COt
タバサの半径数メートルだけとか?
そこだけ明るくなったら目立ちそうだな

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 20:53:32 ID:pdM/fyB9
ラナルータの解釈も色々言われてますからね。ちょっと上げてみると、

解釈A:地球を直接、半回転させてしまう(たった4点のMPで!)
解釈B:時間移動する。最大で半日、未来へ一方通行のタイムワープ
解釈C:体感時間を大きく操作して、主観として「気が付いたら夜/昼」という結果を得る
     (魔法の効果中は、ハタ目から見ればほとんど停止して見える?)
解釈D:解釈Cに加えて、何らかの保護効果もある(停止中、敵に襲われない・傷つけられない)

……と、ざっとこんなところですか。各解釈にもさらにバリエーションありますし、他にもあるかも。
どの解釈をとって、どう書くか次第じゃないでしょうか。どう議論しても結論でない部分ですし。

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 20:59:48 ID:NaPH/COt
このロワはマーダーが少ないし、奇襲もそんなにないし一時間ぐらいなら昼にしても面白いと思うな
対主催組も明るい方が動きやすいし、ごたごたが起きそうだww

でもバランスがなぁ

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 21:02:15 ID:67aXhzXj
>>172
何気にここじゃ今まで言及されてなかったんだね
FFDQと同様、完全に禁止されてるんだと思ってた

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 21:05:10 ID:oeW7Yjs9
ジェダがこの閉鎖空間(?)で昼夜逆転の能力を制限していないというのも、微妙に不自然な気が…
一定の時間だけという制限を掛けても、連発されたら意味無いしなぁ。

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 21:15:56 ID:VKXfGBNN
禁止にしとくのが無難じゃないかな

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 21:19:28 ID:67aXhzXj
ただ>>174のような「レミーラ」的な効果にするのもそれはそれで面白そうな気もする
難しいところだね

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 21:32:23 ID:NaPH/COt
ポケモンのフラッシュぐらいの効果しか出ないとか
もはや違う技だけど

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 21:36:31 ID:2+hTsjat
梨花ちゃまぁぁぁぁぁぁ
ここで退場は予想外すぎた。
これでニケグループは崩壊か……

てか対主催がかなり酷い

なのは様:殺害数7。ただしマーダーはたった2。
エヴァ:暴走。
ヴィータ:暴走?
リンク:暴走フラグ
ニア:引き籠もっていたお城が落ちた。
キルア:グレーテルに危険なフラグを立ててしまいました。
パタリロ:当然ながらほぼ全参加者にマーダー認定されてる。

逆にマーダー陣営が

メロ:学校へ向かって良かったね。ヘンゼルの時といい死亡回避が上手すぎる。
グレーテル:とんでもない強化フラグ。
雛苺:さくらを従えて、ほぼ万全。

と、すばらしすぎる。

183 : ◆4weZRGO1tI :2007/11/25(日) 21:52:37 ID:R1NBSoO5
>>173-180
サンクス。やっぱり議論が紛糾するね。
目処が立ったら予約入れてテスト投下してみる。
問題作になるかもしれないから、他に書き手希望者が居るならそちらを優先して欲しい


あと、関係ないけどふと思ったこと。
雛見沢症候群は血液感染・粘膜感染する→梨花吸血→エヴァ疑心暗鬼フラグktkr

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 21:58:45 ID:Qo36NzIa
なるほど。エヴァ様L5フラグが立ったのか……。
本当に対主催はどうなってしまうんだw

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 22:09:04 ID:/cJjOIhh
L5発症しても当面は問題ないっぽいかな
暴走してるしリンクとは初対面だし
インデックスやらと再会したら面白くなりそうだ

>>182
メロは一応対主催じゃないか?
情報得るためにご褒美もらおうとしてるけど
目標はニアに勝つあるいはジェダを出し抜くだし

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 22:09:10 ID:oeW7Yjs9
むしろエヴァが女王感染者に…ってあれ?
何だか訳が分からなくなってきたぞ??

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 22:10:36 ID:2+hTsjat
L5発症のヤバさは他ロワで実証済みだからな。
エヴァが疑心暗鬼で"喉を掻き毟りながら"大暴れとか想像するだけで怖いわww

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 22:12:24 ID:2+hTsjat
>>185
対主催だけどマーダーだからマーダー陣営に組み込んでみた。
それだけです。本当にすみません(ry

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 22:20:29 ID:mwJjUxfh
>>182
タバサ&蒼星石は健在
トリエラ&リルルのマーダーキラー?コンビも健在
イエローも目覚めたら金糸雀とベルフラウを手なづけれるかもしれない
トマは首輪解体の希望の星
ニケは変態というある意味一番得意な人種に出会いそう
ククリ&ひまわりは引きこもってたほうがいい。ヴィクトリアが手出ししないからあそこはとりあえず安全
梨々は余計なことをせず隠れていてください
小狼はとっととさくらを助けにいってくれ


ひどくないところも結構ある気がする

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 23:59:23 ID:Cv/LAidI
>>189
上2つ以外フォローになってないのは気のせいか?w

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 00:24:46 ID:mW/P7Y9M
>>189
タバサ&蒼星石は確かに強力だ。思考が「見敵必殺ゥ」でなのはと同じくらい危険だけど(おまけに「生き返れるから安心」的思考)!
トリエラ&リルルは「対主催」でなく「脱出(優勝できるならそれに越したことはない)」目的。おまけにシャナ、小太郎、エヴァに狙われてるね。
イエローは金糸雀に荷担してベルフラウ達に敵対したから言い訳はきかないな(そのせいでレミリアやプレセアが大怪我負ったり死んだりした)。
トマはみか先生にマーダーだと思われてる。実際攻撃して火傷させたからこれも言い訳きかない。
ニケは周りほとんどマーダー(ブルーとメロ)。唯一の対主催は……変態坊主。
ククリ&ひまわりは……トリエラ&小太郎の因縁コンビや仲間全滅ミミが近付いてるくらいしか不安要素がないか。
梨々は仲間ゼロの疑心暗鬼地獄でどうするんだろうねえ。しかも現在中央部在住。
小狼? さくら放っぽって南西に向かいましたが何か?


ひどくない……か……?

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 00:42:45 ID:O8TdNfZw
>>191
だめだこいつら、早く何とかしないと……
対主催で一番、派閥の架け橋になってるのは誰だろう…小太郎?

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 00:49:57 ID:ksjadRRV
前スレとか避難所のまとめ見る限り小太郎だね。
何か意外だけど、単独行動が似合うキャラだからそうでもないか。
電話確保してるトマにも期待。

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 00:52:44 ID:mW/P7Y9M
いや小太郎もトリエラに復讐フラグ立ててるんだが。
とはいえ殺すつもりはないらしいからまだマシなほうか。
……むしろトリエラは殺したほうが今後のため(ry

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 00:56:44 ID:Jy1IsePZ
小太郎は、廃病院組と保健室組と山小屋組を繋ぐ貴重な存在。
トマは現状はそこまででも無いが、電話攻勢があるから今後色んなチームの橋渡しになれるかも。
どっちも、各派閥を纏めるには重要なポジションだな。

ただ、トリエラ関連のせいで、その二人が一番分かり合えそうに無いんだよなぁ……。
トリエラ―トマの繋がりは結構強固だし、一方で小太郎は親友殺した相手を許すとも思えないし。

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:15:46 ID:GhRutO7l
まだ大丈夫、遺恨のない10人以上の対主催パーティが組める…ハズ。
もっとも、あの人とあの人と(ry が無難にいなくなるのが条件だがw

なんだか、いっそ雛苺が優勝して、
「みんな一緒に仲良く死者スレで暮らしました」
ってエンディングが一番幸せな気がしてきたよ。

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:19:32 ID:ksjadRRV
>>196
死者スレにも書かれてたなそれw
みんな幸せ、ジェダも幸せ。ああ、素晴らしきかな。
……ホントにこれが一番楽に思えるから困る。

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:23:59 ID:Z0Y+TSn9
まー、その分外部が更に不幸になる訳だが。
前スレ埋めで嘆いてた人のようになw

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:28:53 ID:5xnq59W8
>>198
タバサ「全部終わってからお父さんが復活呪文使いまくればいいんだよ」

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:36:02 ID:Z0Y+TSn9
ok、成功率体感1/5位のザオラルを君は85×α回も使わせる気かい?

……今のタバサなら言うな。うん。

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:40:07 ID:Jy1IsePZ
>>200
タバサ「85回…? 何言ってるの、そんなにいらないよ。だって『悪い人』は生き返らせないもん!」

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:44:47 ID:f339ED3q
まさしく、歪み方すら真っ当じゃねぇw

……そういや、復活に対する態度でも対主催陣は分裂しそうだな。
今ののび太なら、ジャイアン復活の可能性を持つタバサたちの存在を喜ぶだろう。
でも、なのははPT事件のトラウマがあるから、きっと肯定しない。
だいたい、死体も残さず消滅しちゃったはやては、ザオリクも効かない。救われない。
「悪い人以外は〜!」って言っても、いい人全員を救えるわけじゃないのが痛い。
下手すりゃ、その不公平で理不尽な事実がさらに団結を阻む

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:54:16 ID:gJXudiB7
引きこもりエリア組も忘れないでー。
一応対主催がバラバラだけど4人もいる。

こんな空気なのは書き手が現れないせいだろうな。
書いてみたいが、パタリロもキルアも難しいぜ。
放送後に二アを動かしたいんだが、その前に周りの4人をどうにかしないといけないしな。
他力本願で悪いが、誰か任せた

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 03:12:11 ID:ksjadRRV
時系列と投下順と本編SS更新。SSのほうは勝手に弄るのもあれなのでしたらばの修正を反映してません。
投下順SSはそのまま投下順に並べたので、14スレの最後に投下された0g氏の作品が本スレ15のほうに入っています。
追跡表とかはまた時間のあるときにでも。


205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 03:32:52 ID:Z0Y+TSn9
wiki更新乙です
自分も寝る前に一部のSSのしたらばでの修正を掛け、元ネタを分かる分だけ更新しておきました。

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 03:44:22 ID:Z0Y+TSn9
追記。アイテム説明追加、
東方の作品紹介欄を、幻想郷ワールドガイド閉鎖の為後釜の十六夜ネットに変更しました。

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 08:46:33 ID:+Wie94HN
>>202
死体再生はドラえもんに任せてもらおう
タイムテレビでその人物が悪人かどうか判断しタイムふろしきで一発だ
つきの月で不幸の代名詞なDQ5主人公のサポートもバッチリ


ポケスペからセレビィ連れてくるのが一番早いんだがな

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:24:12 ID:Ba+hbaWL
>>96
今読んだ
タイトルでSW連想させて釣られたら梨花が退場してるじゃないか
アニロワでステルスだった分対主催で超期待してたのに…
しかもせっかく昭和58年6月を超えたのにまた神社に野ざらしとは…

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:25:18 ID:VEGoMRTc
それがLSロワクオリティ

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:35:34 ID:ksjadRRV
そういえばこれで登場話で手を組んだ組は全部消滅したか
……と思ったらタバサと蒼星石がまだいたか

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 00:06:56 ID:wkfmYDo7
>>200
仮に生き返らせるべき良い子が50人
ザオラルの成功率を1/5とすると
50*5*10=2500
エルフの飲み薬が大量に必要だな
魔界から復活の杖を仕入れてきて皆で振ってもいいけど

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 00:14:13 ID:79CXz4ud
なにやら毒吐きで割と重要そうな指摘が出てる。
そういえばエヴァ様、女子供は殺さない(覚悟してきた敵や悪党は例外)という信念はどうしたんだ、という。

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 00:15:48 ID:frNda4V4
タバサは、純粋に歪んでる所がいいな
これが現代のゲーム脳
前に新聞で、今の子供の半分ぐらいが死んでも生き返ると思ってるとか言うニュースあったよな
パタリロがみたらゆとり乙されそうだけど

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 00:46:36 ID:z6Mf/zw8
>>213
あの世界は実際に生き返るからなあw
つかパタリロも生き返りアリの思想だ
あいつはたいがいなんでもできるから

215 : ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 00:51:30 ID:yhC8ssuB
雛苺、桜、梨々の三人を予約します。

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 00:52:55 ID:z6Mf/zw8
>>215
ktkr

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 00:53:49 ID:r0EbuPPt
ktkr! o.l氏の予約が来るのを待ってたんだぜ

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 01:27:37 ID:ea7W8enB
>>212
言われてみると、確かにそんな信念を持っていたな……

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 01:41:58 ID:fWD9UhFK
まぁあれは殺しというより捕食という感じだし
食欲に負けたという事でいいんじゃないか?



220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 02:11:33 ID:6BTpem/y
うーん、そう解釈するとしても描写の追加は必要だと思う。

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 02:18:25 ID:79CXz4ud
>>219
捕食過程の殺しも殺しに含んでると思う。VSネギ初戦勝利時の台詞から見るに。
(ギャグ調では有るが割とキレており、またネギの血を大量に吸う事が自分の目的の為に必要だったが、
 この時にも女子供は殺さないと宣言しており、失血死しない程度の吸血で済ますつもりだった)
あと食欲に負けたも無いと思う。
原作で、吸血鬼にありがちの吸血衝動が全く無いんだ。魔力補給としてしか吸血してない。

これが男相手だったり、相手が悪や覚悟した相手なのを確認してからだったり、失血死しない程度なら有り得るんだけど、
今回のは少女相手に問答無用で死ぬまで血を吸ってるからどれも当てはまらない。
……大した問題じゃないと思ってたけど、結構問題の気がしてきたな。難しい。

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 02:23:49 ID:r0EbuPPt
ネギが死んだというだけで理由なんか充分だ! とはならないのか?
ネギま深く読んでたわけじゃないから、その設定に気付くこともできなかった俺がいうのもなんだけど。

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 02:51:42 ID:frNda4V4
状況が特殊だしなぁ
怒り+憎しみ+疲労で手加減が出来なかった、でいいと思うよ
あの場面は、衝撃的だから余計な描写はそれを削ぐ事になりかねないし

あそこで出血死しない程度に、血を吸うってちょっとww
そんな事を考えている余裕のあるエヴァは嫌だww

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 02:56:30 ID:OPVQwf8n
これは、ファンブルは無かった事にっていう、
ローカルルールが発動するということでs(ry

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 04:18:14 ID:nAsQ5uES
うーん、エヴァ→ネギの繋がりってどれくらい強固なものなんだろう?
同話に出てきたヴィータ→はやては「はやての幸せの為なら、己の全てを捧げる」
っていうくらいのレベルだったからあの暴走っぷりも納得できる。
エヴァにとってネギの死は、冷静さを失って己のポリシー(女子供云々)を曲げるほど重いものだったんだろうか?

ネギま結構読んでたんだけどなぁ、その辺のところが完全に忘却の彼方……

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 05:45:02 ID:OPVQwf8n
初出では、
「こんなものに乗ったと知られたら……ぼーやに……ナギに合わす顔がなくなる」
なんて格好良い事言ってくれたのに・・・・・・。
学祭前だから、結構思い入れはあるとは思うけど、
自分の中の絶対的なスタンスを崩すかどうかといわれると、ちょっと・・・・・・。って感じ。

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 06:10:26 ID:ea7W8enB
自分で決めたルールだけは、意地でも守り通しそうなイメージはあるかもしれないな

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 06:49:45 ID:yF7ysxVD
>>エヴァ→ネギの繋がり
「死んだらそれまでのことだ」とか原作では言ってる。
エヴァは結構、死というものについては達観してる感じ。
ネギが死んだから暴走――ってのは、確かに無理があるかもなぁ。
むしろ、リリスへの怒りで暴走したような。

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 08:30:34 ID:cGNbcN3n
>>238
騙されちゃ駄目だぜ、同志。
あれは伝説の属性‘ツンデレ’だぜ、言葉の表層だけを追ってるとフラグ折られる。

逆に考えればいいんじゃない?
梨花が敵対行動をとれば殺してしまってもエヴァの大失敗ということで済む。
まぁそれでも十分苦しいが。

230 : ◆JZARTt62K2 :2007/11/27(火) 08:37:08 ID:LV3ta6f7
あそこで切ったときが一番綺麗だったからズバッと削ったんですが……どうも失敗したみたいだorz

もし正式に修正依頼が出たときの修正案は以下の二つです。

1.最後の一文を削って噛み付いたところで切る。この場合は梨花が生き返ります。
2.冷静じゃなかったエヴァが加減を間違えて血を1/3以上吸ってしまった、という感じに描写追加。
  当初はこっちでいくつもりでした。後半部分の雰囲気が変化します。

状態表だけ変えるという手もありますが。

>>228
個々人の解釈の問題になりますが……
ナギが生きてるのを知ったときの喜びようを見ると、そこまで悟りきってはないと思います。
口ではあーだこーだ言ってるけど、常に本心を晒すほど素直な性格はしてないと思いますし。
(師匠としては「直弟子が敗北し死亡した」というだけで自らの名誉を守るため相手を殺す云々……
 という描写も入れていたんですが、エヴァが冷静すぎるように見えたのでこれは削りました)

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 10:11:39 ID:Vk2oJ+uj
意識もーろーとしてたということにはできない?

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 12:17:06 ID:5d6Xy9Z+
梨花が扉を開ける際、これからどうするか考えていたらふとなのはの事を思い出して
「悪魔みたいな…いや悪魔そのもの」と呟いたのを聞きつけたエヴァが
自分の事を言ったと感じ自分の敵対者と判断した

うん、無理だな

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 12:41:42 ID:frNda4V4
幼女が、血の三分の1もなくなったら行動に支障がでるんじゃないか?
梨花ちゃんちっちゃいし

修正するなら、エヴァは多少手加減したけど梨花が耐えきれなかったとか
キルアのカツオ殺しみたいに

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 12:51:11 ID:Vk2oJ+uj
それだとこの後のエヴァ様の行動に影響を与えることになるね

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 12:51:20 ID:PLk5THWx
エヴァの吸血回復能力に制限 → この程度の回復量なら死なないだろ → あれ、死んだ。しかもまだ足りない

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 13:00:07 ID:ea7W8enB
修正案1を適用するなら展開上は問題ないように感じるし、その後の自由度も高そうだが……
既に死亡判定されている梨花が生き返るという点が問題、なのか?

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 13:00:14 ID:frNda4V4
→どうせ死んだなら残りの血も吸っとくか

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 13:10:41 ID:K3cFOjIj
まあ、人間の血が3分の1近くも出るような血管に牙立てたら
吸うの止めても普通死ぬけどな。
吸引器みたいな器具使わないと静脈から大量に血を採れないし。

ふと気になったが、吸血鬼ってみんな真空ポンプみたいな肺持ってるんだろうか。

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 16:45:56 ID:M8XVeV9W
ちょっと問題点を整理しよう。

・エヴァが自分のポリシーを曲げてまで過剰な吸血行動をするのはおかしくないか。
 ├→それほどエヴァがネギの死亡通告にキレていた?
 │└→そもそも、そこまで暴走するほどの関係だったのかどうか?
 │ ├→でもツンデレじゃね? ネギ殺した犯人突き止めるなら何でもしそう。
 │ └→殺し合いの場だし、ネギの仇は討ちたいがそれほど揺らぎはしないのでは?
 │  
 └→殺す気は無かったが、体調や感情の乱れからうっかり血を吸い過ぎてしまった?
  └→セリフからすると殺る気マンマンですが……
 

・修正するとしたら、どんな感じにしたらいいだろうか?
 ├→梨花が噛み付かれたところでストップ。
 ├→エヴァがやりすぎてしまったということが分かるように描写を追加&添削。
 ├→別に暴走したままでよくないか?
 └→安西先生…紅魔郷がノーコンでクリアできません……

こんな感じかな?

240 : ◆JZARTt62K2 :2007/11/27(火) 17:09:24 ID:LKxWRmOL
おそらくたたき台がないと議論が進めにくいと思うので、自分の案を提示します。

修正するかしないかは『する』で。これ以上結論延ばすのは他書き手さんに迷惑すぎる。

>>239でいうところの、
>殺す気は無かったが、体調や感情の乱れからうっかり血を吸い過ぎてしまった。
>エヴァがやりすぎてしまったということが分かるように描写を追加&添削。

てな感じで修正しようと思います。
異論や意見があるかたは言ってください。ただ、早めにお願いします。
このロワでは修正期間は規定されていませんが、長引かせるのは得策ではありません。

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 17:20:14 ID:cGNbcN3n
>>239

・梨花がかみつかれたところでストップ。
 死者への不満に屈することになりはしないか、さらに書き手さんの書きたかったものを削るのは問題。

・エヴァがやり過ぎたように……
 冗長になる。絵として美しくない。書き手さんの意図から外れる以上そこは避けたい。

・別に暴走したままでも
 よくない、この手のズレは確実に敬遠、空気、ズガンコンボの始動キー

・安西先生
 球をよく見て、軌道性質やパターンを把握すること。それに対しセオリカルな動きを作っておく。
 中級者のリプを見てとそのトレースをする。真似できないところは素直にボムる。とにかくボムをケチらない。
 最後に一日一回プラクティス。コインは一日一個まで。とにかく失敗したところで切らないこと、死ぬまで粘れ。

242 : ◆JZARTt62K2 :2007/11/27(火) 17:34:55 ID:LKxWRmOL
>>241
冗長にならないよう努力します。

ここから先は避難所でやりましょう。本スレで議論すると他書き手さんが投下しにくくなります。

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8274/1194874907/l50

243 : ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 21:28:56 ID:yhC8ssuB
10:30〜11時くらいに投下予定です。
そう長くも無いですが、支援してくださる方いましたらお願いします。

244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 21:36:53 ID:rKmFlR0G
おお、早っ! 支援!

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:32:05 ID:z46tALMf
支援
そういえば桜と梨と苺って植物だらけだな

246 : ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 22:40:11 ID:yhC8ssuB
では、投下開始します。

247 :今度は私がこの花を ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 22:41:16 ID:yhC8ssuB
目の前で起こったことに、脳の処理能力が追いつかない。
視界がぐにゃりと暗く歪んで、同時に桐で頭蓋に穴を空けられたようなひどい頭痛がした。


世界が、ぎしぎしと音を鳴らして軋む。


両足を支えている地面の感触すらおぼろげで、気付けば膝ががくがくと大きく笑っていた。
そのまま走り出そうとして、足元の小石に蹴躓き無様に転倒する。
純白のタキシードに茶色い泥が跳ねて、小さく染みを作った。
慌てて立ち上がろうとするものの、恐怖に竦んだ両足が思ったとおりに動かない。
もどかしげに瞳を泳がせて、梨々は這いずるようにしながらその場を逃げる。
疲弊した身体の心臓を打つ、鼓動のスピードが痛かった。
よりにもよってさくらに裏切られたという想いが、その心拍を加速させる。
頬を伝う濡れたような感触に驚いて手を伸ばせば、知らぬうちに両目から涙が零れていた。
泣いているんだ、と一度そう気付いたら最早止められなくて、梨々は嗚咽を上げて泣きじゃくった。
ひっくひっくと咽喉が震え、塩辛い水滴が顔中をべたべたと汚す。
震える指先でそれを拭って、泣き濡れて腫れた兎のように赤い目を必死に見開いた。

今しがた太った男の子を撲殺したのは、確かにさくらだった。
嘘だと思いたい。夢か幻なのだと、そう信じてしまいたい。
ずっと自分を励まし続けてくれたさくらが人殺しだったなんて、絶対に考えたくない。
けれど、だとしたらあれは何なのだ。
今、眼前であの少年をバットで殴り殺したさくらの姿は、一体何だったというのだ。
分からない。分からない。分からない。分かれない。分かりたくない。分かる筈がない。
『理解不能』という文字列と共に、脳内を鳴り響くエラー音と赤色の回転ランプ。
それでもたった一つだけ確実なのは、今ここにいてはいけないということ。
逃げなきゃ。脳から発された単純にして絶対なその指令に、梨々は従いもう一度起き上がる。

震える身体に鞭打って、凍り付いていた足を必死に動かそうとした。
しかし駆け出そうとして彼女は気付く。その両足が、最早自分の命令下に無いことを。
草の間を縫い、梨々の背後からいつの間にか忍び寄っていたそれは、既に梨々の両足首を絡め取っていた。
「何、これ……? ……ひぁっ!!!」
ずるずると伸び来るそれが足を伝って上へ上へと迫り寄り、その全身をぎちぎちと拘束する。
皮膚の柔らかい部分に小さな棘がぷつぷつと刺さり、彼女の咽喉へ強制的に悲鳴を上げさせた。
「やっ、嫌ぁ……やぁっっ!!」
恐怖に慄きながらそう叫び、全身を左右に揺さぶって何とか束縛から逃れようとする。
けれど張り巡らされた苺の蔦はその叫声に歓喜するように締め付ける力を強くし、梨々を更に甚振った。
万力のような威力で四肢に巻きついたそれが、ゆっくりとその圧力を増していく。
薄皮一枚隔てたところでぎしぎしと嫌な音が立ち、全身の骨が軋んだ。
圧迫に耐えられなくなった細い血管が見る間に浮き上がり、のた打ち回る蛇のような静脈を柔肌に浮き上がらせる。
焼けた火箸で全身を串刺しにされたかのような、理不尽にして圧倒的な激痛。
我慢しきれずただひらすらに叫び狂う梨々が、倒れ臥していた身体を僅かに持ち上げる。
自分を殺そうとする相手の表情を窺えば、そこにあったのは半ば予想通りさくらの姿だった。


友達だと思っていたのに。
仲間だと思っていたのに。
無事にこの島から脱出できたら、おじさん仕込みの手品をたくさん見せてあげる。
双葉ちゃんのお母さんが作ってくれた浴衣を着てお祭りに行ったり、商店街のお店も案内してあげよう。
それから皆でスキヤキパーティーをして、デザートに苺タルトも食べるんだ。

――――そう、思っていたのに。


248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:41:20 ID:PLk5THWx
 

249 :今度は私がこの花を ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 22:42:20 ID:yhC8ssuB


「さくら、ちゃん……、どうして……?」
呆然としてそう尋ねるも、瞳の先のさくらは何も答えずただじっと立ち尽くしていた。
感情の読み取れない光を失った虚ろな瞳で、彼女は梨々をぼんやりと見つめている。
立ち竦むさくらの後ろからちょこまかと現れたアンティークドールのような容姿の少女が、
思わずぞっとするほどに朗らかな笑みを浮かべ、お茶会の開始でも告げるように楽しげな声で言った。

「さくら、今度はこの子でばっていんぐなの!!」

少女がそう口にしたと同時に、さくらの腕が操られてでもいるような動きでぴくりと持ち上がる。
その手の中に、べっとりと鮮血の纏わりついた大振りのバットが握られているのを見て、梨々は悟った。
ああ、結局さくらちゃんもそうだったんだ、と。
この島のなかに、本当に信用できる相手なんか一人もいないんだ。
イリヤちゃんもベルちゃんも薫ちゃんもアルルゥちゃんも、決して信頼しきれはしなかった。
けれど、さくらちゃんだけは絶対に大丈夫だと、そう信じていたっていうのに。

さくらの手にしたバットが、彼女の痩身目掛けて盛大に振り被られる。
けれどその姿を眼前すぐ側で目撃しながらも、未だ梨々には何が起こっているのか理解できなかった。
いかにも頑丈そうなそれは緩慢な動作でゆっくりと振り下ろされ、梨々の背中を強かに打つ。
ぐちゃりと林檎を握り潰したような音が響き、一瞬遅れてから鋭い痛みが総身を駆け抜けた。
噛み締めていた唇の隙間から、吐息と共にくぐもった悲鳴が漏れ出る。
けれど凶行は、その一撃だけで終わらない。終わるわけがない。
二度、三度、四度。梨々の背部を断続的に激痛が襲い、彼女はその度に言葉にならない絶叫を上げる。
白いタキシードの背中に血が滲み、その生地にじくじくと赤黒い染みを作り出した。
そうして垂れ落ちた血液が、最早感覚のない両腕を伝って草の間に血溜りを生む。
いつの間にか目の前が真っ暗に霞んで、何も見えなくなった。
それでも身体を揺さぶる衝撃の感覚だけはしっかりと、むしろ先刻よりも鋭敏に感じ取られて――。
「いたい……、いたいよ、さくらちゃん……」
うわごとの様に繰り返すその言葉に、けれど当然、相手は答えてくれなどしない。
ほんの少しだけ宙に伸ばした指先を、握り返してくれさえしない。
骨が折れる。皮膚が裂ける。血管が千切れる。臓腑が抉られる。
神経を直接切断されているような痛みが梨々を苛み、その意識を奪っていく。
こみ上げてくる吐き気に身体をくの字に折って、ごぷぅっと黄色い胃液を嘔吐した。
鼻をつく臭いが、ぷんと辺りに立ち込める。
「さ、くらちゃ……」
吐瀉物に塗れて汚れた顔で恨めしげにそれだけ呟いて助けを乞うも、返事は無い。
深い闇のような色をした絶望が梨々の胸中を支配し、そのまま奈落の底へと落ちていく。
眠りにつく直前のように混濁した意識の中、最後に脳裏によぎったのはどうしてか。


「絶対、大丈夫だよ」

そう力強く告げてくれた、さくらの笑顔だった。


     *     *     *



250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:42:23 ID:PLk5THWx
 

251 :今度は私がこの花を ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 22:43:02 ID:yhC8ssuB

上げて、下げる。上げて、下げる。上げて、下げる。上げて、下げる。
他のことは何も考えず、さくらは腕を上下させるその運動だけに全神経を集中させた。

飛び散る鮮血の赤。嘔吐した胃液の黄。生気を失っていく青褪めた顔。
――視覚は無い。何も見えないし見たくない。
悲鳴。呻き声。懇願。骨の折れるばきばきという音。血の落ちるぽたぽたという音。
――聴覚も無い。何も聞こえないし聞きたくない。
鉄錆のような血の臭い。酸っぱい胃液の臭い。むせ返る様な草いきれの臭い。
――嗅覚も無い。何も嗅げないし嗅ぎたくない。
流れる汗の味。口中に湧き出る唾液の味。噛み締めた唇から流れた血液の味。
――味覚も無い。何も味わわないし味わいたくない。
骨を叩き割る重さ。皮膚を切り裂く鋭さ。鼓動。体温。呼吸。
――触覚も無い。何も感じないし感じたくない。

腕の下で徐々に力を失っていく梨々を、さくらはぼんやりと眺める。
ついに絶命したのか、彼女は最早悲鳴さえも上げようとしない。
草叢に倒れたその姿は、まるで使い終わってゴミ箱に捨てられたぼろ雑巾のように見えた。
真っ白いタキシードにはあちらこちらに赤い染みが浮き上がり、顔には涙で前髪がはり付いている。
そんな梨々を目の前にしても、さくらは表情一つ変えず立ち呆けるだけだった。

……私が殺したんだ。あの男の子も、梨々ちゃんも、みんな私が殺したんだ。
私がこの手で殴って打って叩いて挽いて潰して折って千切ってぐちゃぐちゃのぐちゃぐちゃに……。

そう思っても、涙の一滴すら流れなかった。
何の感慨も沸かないし、苦痛も苦悩もまったくもって感じはしない。
けれどそれは、仕方の無いことだった。
全てを正面から受け止めてしまえば、狂うより他にさくらに道は無い。
それを避けるため、自動的に生まれた心の防御反応によって、さくらは生かされている。
精神と肉体を乖離させ、ただ操り人形のように淡々と命じられたまま動き続けるさくら。
その双眸に生気の色はなく、闇夜のように深いぽっかりとした虚無が鎮座しているだけだ。

「すごいすごい! さくらは名バッターなの!!」

視線の先で、誰かがそう言って楽しそうに笑声を上げた。
その笑い声も聞こえない。笑顔も見えない。
ただ『そこにある』と認識するだけ。意味は無い。
さくらは何も言わず、ぴくりとも表情を変化させないまま、声の主を見下ろす。
「つぎの遊び相手を探すの。 ほら、さくらもはやく来るのよ!!」
心底嬉しそうな声音でそう告げると、『それ』が小さな手を精一杯に伸ばしてさくらの腕をぎゅっと掴んだ。
その手に引きずられるようにして、さくらは歩く。


よかった、と思う。これで暫くはまた一つのことだけに集中していられる。
右足を出して、左足を出して。右足を出して、左足を出して。右足を出して、左足を出して。



     *     *     *


252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:44:12 ID:Vk2oJ+uj
 

253 :今度は私がこの花を ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 22:44:24 ID:yhC8ssuB


身体が、じんわりと暖かい。
吉永家のガーゴイルが放つ『癒し光線』を浴びたときのような心地よさが全身を覆っている。
天国へ着いたからだろうか。
それとも、もしかして今までのは全部夢で、起きたらいつものベッドにいたりするのかな?
そう思いながら梨々はゆるゆると重い瞼を開け、ぱちぱちと数度瞬きをする。
見上げた先にあったのは鬱蒼と茂る森林で、梨々は少なくとも先ほどまでのことが夢で無いのを知った。
けれどこうして目覚めたということは、最悪の状況は免れられたのだ。
自分は死んでいない。殺されていない。あんなひどい目にあったのに、まだ生きている!
梨々は、自分の着用している特製タキシードに大きく感謝した。
分厚いガラスを突き破っても怪我一つしない、強力な防刃仕様のそれが、身体へ掛かる負担を相当に緩和してくれたらしい。
けれど、それだけでこれほど身体が楽になるだろうか。骨も血管も、全身ぼろぼろにされた筈なのに。
「ん……?」
上半身を起こそうとした梨々が、知らぬ間に握っていた六角形の金属片に気付く。
どうやら意識せず手にしていたそれが、梨々の身体を回復してくれたらしい。
『癒し光線』に似た治癒のの力があることを考えると、もしかして錬金術製の道具なのだろうか。
梨々は不思議に思いつつもその金属片を握り締めると、今度こそ身体を真っ直ぐに起こした。
気絶していた間にかなりの時間が経過しているのか、既に辺りは薄暗い。
これでは恐らく、夕方にあるという定刻の放送も聞き逃してしまったことだろう。
「さくらちゃんは、もう居ないのかな……」
先刻目の当たりにしたさくらの姿を思い起こし、肩をぶるっと震え上がらせる。
座ったまま周囲一帯をぐるりと見回すと、人の気配が感じられないのを確認し胸を撫で下ろした。
そうして人心地つくと、改めて恐怖と悲しみに心がざわめき立つ。
「さくらちゃん、何で……? ずっと騙してたの?」
自分を助けてくれたのは何だったのか。あの穏やかな笑顔は何だったのか。
全部梨々を油断させる演技で、本当は自分のことなんかなんとも思っていなかったとでも言うのか。
梨々はまた泣きたくなって、咽喉をしゃくり上げながら身体を俯かせた。
零れ落ちる涙に両手で顔面を覆おうとして、今更ながらその左手のなかにあったものを知覚する。


梨々が無意識に掴んでいたものは二つ。
一つはその傷だらけの身体を癒してくれた『シルバースキン・アナザータイプ』
そしてもう一つ、震える左手の指先が触れていた柔らかな何かの正体は――。

「……これ、パンジーのお花?」

森の中にひっそりと咲いた、一輪のパンジーの花だった。
風に花弁を揺らすその小さな花を見た瞬間、梨々は反射的にある出来事を思い出す。
研究所で薬漬けにされ、父の実験体として扱われてきた自分を救い出してくれた人・怪盗百色。
梨々が誰より大好きなその人がはじめて手品を見せてくれたとき、彼女に渡してくれたのが、カードを変化させたパンジーだった。
「はい、プレゼントだ」と。そう言いながら造花を手渡してくれた日のことを、梨々は一生忘れないだろう。
手品を見たのも、プレゼントを貰ったのも、あんなふうに笑いかけて貰ったのも全部初めてだった。
梨々は百色の優しさに救われた。笑顔を作ることのできなかった自分が、百色のおかげで笑えるようになった。
そう。それまでの自分は、感情なんて無いような人形みたいに冷たい目の色をしていて――――。
「あれ……?」
以前の自分を思い出し、梨々はふと何かに気付く。
あの頃の自分がしていた瞳が、何かに似ているような気がする。
意志と感情を閉じ込めて、人の言うまま指示されるままに作業をこなして、『楽しい』なんて感情は忘れていて。
嫌なことを嫌だと言えず、苦手なものを苦手と言えず、その繰り返しの中で光の消えてしまった虚ろな双眸――。


「……さくらちゃん、だ」



254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:44:52 ID:Vk2oJ+uj
 

255 :今度は私がこの花を ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 22:45:38 ID:yhC8ssuB

思い返す。さくらが自分に注いでいた視線は、あのときの自分と同じもの。
百色を騙し、ガーゴイルを騙し、吉永家の皆を騙していたときの自分とそっくりなもの。
本当はやりたくなかったのに、好きになってしまった人たちを傷つけるのが嫌だったのに、
それでも居場所がなくなるのが怖くて、お仕置きを受けるのが怖くて父の命令通りにしていた自分と変わらないもの。

「……そうだ。あれは、私と一緒なんだ。
 本当は嫌なのに怖くて逃げ出せない、あの頃の私とおんなじ目だ」

漸く気付く。
さっき殴られているとき、さくらのことが怖くて怖くて仕方なかった。
裏切られたのだと思うと、悲しくて苦しくて悔しくて憎くて仕様がなかった。
それなのに、意識を失う瞬間さくらの笑顔が脳裏をよぎったのは、梨々が無意識的に感じ取っていたからなのだ。


――――引き裂かれそうなさくらの心が叫ぶ、無言の悲鳴を。
「助けて」あるいは「ごめんなさい」と、必死で梨々に訴え続けるその言葉を。


曲げるだけで痛みの走る指先をぎゅっと握り締めて意を固め、よろけながら立ち上がる。
それだけで全身が痺れを訴えて、倒れ込みそうになりながらごほごほと咳き込んだ。
けれどそんなことは、今の梨々をとめる障害になどならない。
手にしていたままだった一輪のパンジーを、タキシードの胸ポケットに差して飾る。
それに満足して小さく微笑むと、最早ぼろぼろになっているその衣服を見て誇らしげに顔を引き締めた。
世界最高の怪盗がくれた真っ白のタキシードは、梨々に勇気を与えてくれる。
これを着ている限り、自分は怪盗だ。たとえまだまだ未熟でも、確かに一人の怪盗なのだ。
怪盗ならば、盗むのが仕事。「誰かのために」盗むのが仕事。
怪盗百色は自分に言った。『どんな理由だろうと盗みは悪なんだ』と。それはよく分かっている。
でも、盗むことでしか解決できない事柄があるのだとしたら。そうだとするなら――――。

「……大丈夫だよ、さくらちゃん。私が、あいつからさくらちゃんを盗んであげる。
  あのとき、おじさんが私を盗み出してくれたみたいに、私が盗んであげるから」

確固たる想いを言葉に込めて、梨々は力強くそう宣言する。
よろめきながらも確実な足取りで、純白のタキシードを身に纏った少女は前へと歩を進めた。
潜り込んでしまった迷路から抜け出すように、森の出口へ向かって歩く。
その様子に、最早迷いは感じられない。戸惑いも躊躇いも怯えも、余計なものは何も無い。


     周囲を包むのは、真っ暗な色をした深い闇。
     頭上に照り輝くのは、銀色に光る星と月。
     

「――――さあ、夜は怪盗の時間だよ。盗みに出かけよう!」





256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:45:54 ID:PLk5THWx
 

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:46:05 ID:r0EbuPPt
 

258 :今度は私がこの花を ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 22:46:24 ID:yhC8ssuB
【E-5/森/1日目/夜】
【梨々=ハミルトン@吉永さん家のガーゴイル】
[状態]:右腕含む全身に骨折及び電撃のダメージが僅かに有り(核金で回復中) 。
    イリヤとベルフラウに確信的疑念。
[装備]:白タキシード(パラシュート消費)&シルクハット@吉永さん家のガーゴイル +パンジーの花飾り
   :ワイヴァーン(サモナイト石・獣)@サモンナイト3、核鉄(シルバースキン・アナザータイプ)】
[道具]:支給品一式
[服装]:白タキシード&シルクハット
[思考]:待ってて、さくらちゃん。
第一行動方針:さくらを助ける。そのために、雛苺からさくらを盗む。
第二行動方針:錬金術の道具?を使って、身体を回復させる。
第三行動方針:アルルゥを信じればいいのか分からない。アルルゥとベルフラウは危険人物同士のいさかいかもしれない。
第四行動方針:双葉かリィンちゃんの友達(はやて優先?)及び小狼を探す。
第五行動方針:殺し合いに乗ってない人と協力する。
[備考]:永沢、レックス、イリヤ、ベルフラウを危険人物と認識。薫とアルルゥの事も少し疑っている。
ランクB〜Aの召喚術のため、梨々はワイヴァーンを使えません。 桜の知り合いの情報を聞いている。
18時の放送を丸々聞き逃しています。


【E-5/森/1日目/夜】
【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:血と脳漿まみれ、左腕に矢傷(処置済)、魔力消費(極大) 、疲労(大)
   かなり精神不安定、雛苺のミーディアム
[装備]:マジカントバット@MOTHER2、パワフルグラブ@ゼルダの伝説、クロウカード『水』『風』
   リインフォースII@魔法少女リリカルなのはA's
[道具]:基本支給品
[服装]:梨々の普段着
[思考]:右足を出して、左足を出して。右足を出して、左足を出して
※魔力があるため、雛苺が戦闘しない限りは持ちこたえられます。
 ただ回復していく分の魔力はほとんど雛苺に持っていかれます。

[リインフォースIIの思考・状態]:
※永沢、レックスを危険人物と認識。梨々の知り合いの情報を聞いている
※魔力不足により、現在使用不能


【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:真紅と翠星石のローザミスティカ継承。精神崩壊。見るものの不安を掻き立てる壊れた笑顔。
   桜をミーディアムにしたことにより消耗回復&自動回復付加。
[服装]:普段通りのベビードール風の衣装。トレードマークの頭の大きなリボンが一部破けている。
[装備]:生首付きジャック・オー・ランタン@からくりサーカス(繰り手もなしに動ける状態)
    ※ジャコの首には真紅と翠星石の生首が髪の毛で括り着けてあります。
[道具]:基本支給品一式、ぼうし@ちびまる子ちゃん ツーカー錠x5@ドラえもん
    光子朗のノートパソコン@デジモンアドベンチャー、ジュジュのコンパス
[思考]:はやく新しい相手を見つけるの!!
第一行動方針:どこか人の居る場所へ行き、新しい遊び相手(獲物)を探す。
第ニ行動方針:桜をミーディアムとして、戦う。 彼女の負担なんて知ったことではない。
第三行動方針:「新ルールのアリスゲーム」(=殺し合いのゲーム)に乗って、優勝を目指す。
基本行動方針:優勝して、「永遠に孤独とは無縁な世界」を作り、真紅を含めた「みんな」と暮らす。
[備考]:
雛苺は真紅と翠星石のローザミスティカを獲得したため、それぞれの能力を使用できます。
自分の支給品をマトモに確認していません。
『ジャック・オー・ランタン』は、真紅の持っていた「人形に命を吹き込む力」によって一時的に動ける状態です。
雛苺の『力』を借りて動いているので、この状態は維持するだけでも雛苺の『力』を消耗しますが現在負担は桜へといきます。
雛苺とさくらがどこへ向かったのかは、次の書き手さんにお任せします。

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:46:53 ID:r0EbuPPt
 

260 : ◆o.lVkW7N.A :2007/11/27(火) 22:47:52 ID:yhC8ssuB
以上です。支援ありがとうございました。
これ書くためにガーゴイル読んで、完全に百色さんにはまってしまった。かっこいい……。

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:51:08 ID:ii7GRLIf
投下乙!
最初の方だけ読んで、鬱展開かと思ったら…
ひさびさにちょっと希望の持てる話でしたね
GJです

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:54:24 ID:PLk5THWx
ちょっ、また人間サンドバッグ!? と思ったら……。
GJ。
なんというか……梨々が大きく「化けた」気がするなぁ。
今まではどこか流されてた感じだったのに。これは今後に期待。

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:55:23 ID:POITCpA/
乙!
読んでしまったら、もうこれ以外の展開は考えられなくなるくらい見事な流れでした。
梨々のために用意されたかのような舞台。ああ――と胸の中にストンと落ちる感じ。
うまく表現できませんが、とにかくGJです!

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:57:59 ID:9cPg8zGN
GJ
梨々、かっこいいじゃあないか…これは応援したくなるな、敵は強大だが頑張って欲しいぜ

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 23:01:53 ID:Vk2oJ+uj
桜、もう頑張らなくっていい…誰か桜を助けてあげて
梨々格好いいよ頑張れ
パンジーが利いてる

ところで核鉄って誰かが落としたんでしたっけ

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 23:04:07 ID:POITCpA/
>>265
プレセアの死体の傍辺りに落ちてたものですね。

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 23:05:01 ID:r0EbuPPt
GJ。ロワの恐怖に翻弄されてフラフラしてた梨々もついに立てたか。かっけーなぁ……。
さくらを助けられるのは小狼だけかと思ったけど、梨々が立ち上がるってのも燃えるな。

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 23:06:55 ID:Vk2oJ+uj
>>266
ありがとう

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 23:18:47 ID:z46tALMf
GJ!
梨々完全に死んだと思ったよ
雛苺にリバースを使った場合蔓も全て覆われるのかな?

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 23:27:41 ID:5d6Xy9Z+
投下乙です
梨々も覚醒したか…白いタキシードの胸元にパンジーを飾った姿なんて絵になり過ぎるぜ
ただ放送を聞き逃しているのが気になる
うっかり禁止エリアに踏み込んで(ryてのは勘弁な

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 00:12:59 ID:MFF9AErX
投下GJ。描写が緻密で美しい文でした。
梨々、遂に目標が定まったか。さくらが凄くヒロインみたいだ(捕らわれるのはヒロインの条件)。
ヒナ倒すとノーパソもついでに手に入るぞ、がんばれー。
とはいえ一人じゃ無理だろうからなんとかして仲間を……周囲にゃ癖のあるやつしかいないなw

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 01:06:29 ID:fRmtLhHH
投下乙!
他の人も言ってるが、始めは陰惨な鬱展開かと思って胃が痛くなった。
だけど、それだけに、後半の梨々の決起がより一層映えたと思う。
今後の活躍に超期待。
のび太といい梨々といい、ここに来て覚醒する奴が多いなあ。

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 02:10:44 ID:Zj4V+NiB
投下GJ
鬱展開も良いけど、燃え展開も良いね。

誰か、梨々を手伝ってあげて!!


ところで、ちょっと前に皆が元々居た世界の話で思ったんだけど、
はやて死んで、ヴィータはともかく、
シグナム達はどうなったんだろね?
場合によってはヴィータ無事帰れても………
どう転んでも鬱展まっしぐらっぽい、
ヴィータがどんな末路を辿るか気になって気になって。

鬱展カモ〜ン!!!!

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 03:09:58 ID:wcy6sQuc
同じくはやて死んでるアニロワではその事は完全ボカされてた

まぁ細かい設定になっちゃうけど
今回のなのは組はA's終了後で、確か闇の書と守護騎士システムは切り離された筈だから
主抜きでも魔力の自給は十分可能になっているはず

ちなみに2chのStrikerSスレのQ&Aから抜粋

>Q.はやてが死んだらヴォルケンリッター達は消えるの?
>A. 再生ができなくなるだけで消えたりはしません。
>魔力自体は現時点でも自給自足です。

だそうな。

275 : ◆sUD0pkyYlo :2007/11/28(水) 22:05:52 ID:8FlF+/2n
予告より少し遅れましたが、>>170でお約束した141話の修正をwiki上で行いました。

具体的には、141話の(1)の、『斜院征伐(しゃいんせいば)』の下りにサラッと一休の名を混ぜただけです。
あとは、微妙なミス(それ以前に心の声で一休と呼んでいるとか)を正しました。
あまりにサラッと流れたので(そして直後に大混乱があったため)、
あそこに居た人間の中でも気付いた者・気付かなかった者が分かれた、と。

案外、名乗りを上げるのに適切な流れがなくて苦戦しました。
あそこがほぼ唯一、ハッタリ交じりで自己主張できる部分だったので。
本当はあの話は手直ししたい所が山ほどあったのですが、古い話を大改造しても何ですし、最小限に留めました。
(結果だけ見るとなんでこんなに時間かかったんだか、と自分でも思いますが)

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 22:09:09 ID:+PwLIDWf
乙です。修正って大変だよな……。

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 22:23:28 ID:bRnGCxda
丁寧な修正作業乙です

278 : ◆CFbj666Xrw :2007/11/28(水) 23:48:03 ID:3IkVuDIt
修正乙です。

そしてこちら……完成せずorz
ルール上では予約破棄ですが、明日には完成するので出来ればお待ち頂きたいです。
重ね重ね申し訳有りません。

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 23:51:10 ID:+PwLIDWf
とりあえず規制は解けたのかな?だとしたらその点は良かった

280 : ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:27:02 ID:utU2cSeA
はい、幸い鯖の規制の方は解けてます。

というわけで投下開始します。
さるさん規制の方の対策としてかなりゆっくり投下する予定です。
投下し終わった後で見るのもよろしいかと。

でも五分以上空いたら多分さるさん規制喰らってます。

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:27:28 ID:NVK9ACvi


282 :すべては妹のために(前編)(1/12) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:28:28 ID:utU2cSeA
――フランドール・スカーレット。
その名前が呼ばれたとき、彼女は咄嗟にその意味を理解できなかった。
だってそれは、有り得ない事なのだから。
フランを殺せる者なんて居るはずがない。だから放送で呼ばれる事は無い。
ただ単にそれだけの事が、覆った。
「――アイゼン」
『なんでしょう?』
「リピート」
『……放送で呼ばれた名は、フランドール・スカーレットです。
 加えてプレセア・コンバティールも死亡したとの事です』
「そう」
死んだものは死んだこと。それを確認する。
死んだのが事実だというならば、事実を元に考えるしかない。
「驚いた。あの子、殺されたのね」
ただそれだけの事だ。
だからレミリアはさっぱりとした口調で言った
憎しみが篭もる事はなく、悲しみに満たされる事もなかった。
「ついでにプレセアも死んで、しんべヱっていう餓鬼も死んだか。
 しんべヱの死体捜し……はもういいか。レイジングハートという奴を捜すとしよう」
『――レイジングハートはデバイスです』
「へぇ……」
グラーフアイゼンが唐突に情報をもたらした。
「おまえと似たような物かしら。なんだ、喋る杖の方だったのね。
 そうすると仮にそこで死んだとすれば、殺した奴は謎の仮面の女か。……ふん」
レミリアは訊いた。
「まあいいわ。その杖について説明なさい」

     * * *

「………………」
「………………」
レックスは。アルルゥとレベッカは息を潜めて睨み合う。
敵である少女を、少年を警戒しながら子供達は静かに睨み合っていた。
定時放送が流れていた。

ジェダはまず、禁止エリアを告げた。
19時よりB-7。島の南西部。
21時よりH-8。島の南東端。
23時よりA-1。島の北西端。
1時より G-4。島の東部。
3時より E-7。島の南部。
5時より E-2。島の北部。
しばらくの間、この中央部周辺に禁止エリア指定は無いらしい。
その事に三人ともが小さく安堵する。


283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:29:21 ID:NVK9ACvi


284 :すべては妹のために(前編)(2/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:30:33 ID:utU2cSeA
次に無数の名前が連ねられる。
死者達の名だ。
その場にいた彼ら、彼女らが聞いた名も幾つかあげられた。
01番、明石薫。アルルゥとレベッカは敵の一人が死んだ事を知った。
11番、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。更なる敵の死を知った。
18番、城戸丈。アルルゥは脱出を目指した一人の少年の死を知った。
死者の名前は十を数えても止まらない。
31番、ジーニアス・セイジ。アルルゥとレベッカは彼の死を知った。
「………………」
アルルゥはただ戸惑った。
「そんな……ジーニアス、死んだのか!?」
レベッカは衝撃を受けた。心は千々に乱され、冷静さをこそぎとる。
34番、真紅。35番、翠星石。彼女達の死をレベッカは知っていた。
レベッカは翠星石の死を思い出した。自分とジーニアスを庇って死んだ彼女の死を。
翠星石の友人である真紅は、今や無惨な首飾り。
……どうにもならない。
44番、永沢君男。レックスは自らが殺した少年の名を知らない。
死者の名前は二十を数え尚止まらない。

だがそれでもレックスは安堵する。
発音順に読み上げられる死者の名はタバサを呼ばずに通り過ぎた。
(タバサはまだ、生きているんだ)
死者の羅列はアルルゥ達に暗澹たる未来を告知し続ける。

58番、福富しんべヱ。
「……ウソだろ」
レベッカは言葉に詰まる。ほんの数分前に仲間を呼びに行った少年は死者へと変わる。
60番、フランドール・スカーレット。
「レミリア…………」
アルルゥは呟く。フランドールの“おねえちゃん”である吸血鬼の名を。
63番、プレセア・コンバティール。
「……ぁ…………」
そして茫然となる。この島に来てから出会った、アルルゥにとっての“おねえちゃん”。
その名を読み上げられた。
殺された。死んだ事を告げられた。衝撃はただ激しくて。
「ぁ……バカ! 前!!」
「え……」
“一足早く何も失ってない事を確信した”レックスがそれにつけ込む事は容易だった。

「オピァ……」「させるか!」
一閃。
タマヒポを喚ぼうとサモナイト石をかかげたその手が、斬り飛ばされた。
右手の手首から先が宙を舞い、血飛沫が夜天の光を照り返す。
アルルゥがその激痛と恐怖に襲われるよりも早く、勢いを殺さず飛び込んだレックスが剣を振るう。
懐まで飛び込んでは刃を振るえない。それでも突進の勢いを乗せた柄の打突は重かった。
人として鍛え抜かれた腕が、人として有り得ない怪力を絞り出す。
――レックスの手の中で刀身が黄金色の輝きを放っていた。
肋骨を折りながら食い込んだ柄がアルルゥの小さな体を跳ね飛ばす。
背後の樹に叩きつけられ、湿った嫌な音が響きわたる。
めりめりと音を立て、へし折れた樹が地に伏していった。
「アルルゥ!!」
レベッカの悲鳴が上がる。
アルルゥは動かない。悲鳴を上げる事もない。
それを確認すると、彼女達の敵対者は安堵の息を吐きだした。
「……今度こそ、ようやくだ。もうミスなんてするもんか。
 ここでこれまでの失敗を纏めて取り返す。この場で二人殺してご褒美をもらってやる」
「ひっ……」
この場における二人目、レベッカは恐怖した。


285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:30:39 ID:lhPysAyJ


286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:30:47 ID:NVK9ACvi


287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:30:49 ID:FQRalofI
 

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:31:19 ID:Zpm/ePf1


289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:31:29 ID:FQRalofI
 

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:31:54 ID:lhPysAyJ


291 :すべては妹のために(前編)(3/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:32:39 ID:utU2cSeA
――だけど、逃げる事はできない。
(だってアルルゥはまだ、生きている)
右手首を切り飛ばされて、肋骨の骨は恐らく何本もへし折れ、
その挙げ句に樹がへし折れるほどの勢いで叩きつけられた小さな少女。
それでもアルルゥはまだ生きていた。
胸が上下しているのが見えた。かすかな息づかいと呻き声が聞こえた。
アルルゥはまだ生きていた。……まだ。
(でもあんなの……もうどうしようもないじゃないか)
確実に致命傷だ。放っておけば確実に死ぬ。
治す方法だって見当も付かない。どうしようもない。
見捨てて逃げるしか手はないはずのに、それさえも出来なかった。
(くそ、何か無いのか、何か……! 今、私が持ってる物で!
 魔導ボード……ダメだ、こんな森の中じゃあいつの足の方が速い! ていうか壊れてるし!
 木刀……あんなの相手にできるか! 宇宙服……意味ねー!?
 くそ、なにか、なにか……!)
手が、布きれを掴んだ。
レックスが駆け出す。剣を振り上げて。距離が詰まり間合いが迫り刃が走り。
「このぉっ!」
レックスが剣を振り下ろす瞬間、レベッカは反射的にその布切れを振るっていた。
…………ひらり。

「え…………?」「な、なんで!?」
レベッカの放心とレックスの動揺が交差する。
レックスはすぐに気を取り直して第二撃。だがレベッカはそれに対して再び振るった。
……ひらり。
振るわれた赤いマントに当たる寸前、剣は逸れて空を切る。
「なんでだ!!」
レックスは続けざまに剣を振る。
袈裟切り。逆風。逆袈裟。右薙ぎ。刺突。唐竹割り。
ひらり。ひらり。ひらひらり。
「さっきは当たったじゃないか! なのにどうして、どうしてまた当たらないんだよ!?」
「うわ、来るな!?」
逆上したレックスは無闇矢鱈に斬りつける。
その斬撃は全て重く、神速を持っていた。だがその全てが空を切る。
レベッカは当然ながら気付いていた。
この赤いマントが全ての攻撃を受け流している事に。
しんべヱのちょんまげに絡んでいたこのマントは、本人も知らなかった強力な防具だ。
一太刀一太刀が必殺の攻撃を全て完璧に受け流してくれる。
(ど、どういう原理なんだ。いや、それはどうでもいい。とにかく今の内にどうにかしないと……!)
レックスは逆上して無闇に斬りつけてばかりいる。
だけど落ち着けばこのマントが盾である事に気付くだろう。
それまでに何か手を打たないと殺される。アルルゥだって助けられない。
何かを手を打たなければならない。どうにかして。
マントを振るい続けなければ一瞬で斬り殺されるこの状況から。
(……こんなのどうにもなるもんか)
どうしろというのか。
時間を稼ぐ以外に何が出来る。負けを引き延ばした所で何がある。
ジーニアスとプレセアは放送で死を告げられた。
助けを呼びに行ったしんべヱは数分で殺されて、きっと何処にも辿り着けなかった。
レミリアはまだ生きているようだけど、この状況で間に合うわけがない。
そんな都合の良い展開なんて……。

「どいつもこいつも落ち着きのない奴らね」


292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:32:56 ID:FQRalofI
 

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:33:29 ID:lhPysAyJ


294 :すべては妹のために(前編)(4/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:34:17 ID:utU2cSeA
「え……?」
……有るわけ無いと思った。ただの幻想だと。
「くそ、仲間を呼んだのか!?」
だけどレックスが悔しげに距離を取り、視線を逸らした事で知った。
どういう偶然かそれ以外の何かか、それともしんべヱが間に合ったのか。
レミリア・スカーレットが現れたのだ。
レベッカは思った。助かったかもしれないと。だから喜色を露わにレックスの視線の先を追って。
「レミリ……ひっ、おまえさっきの!?」
先程レベッカから血を吸った、紅い悪魔の姿を見た。

「ああ、さっきのB型の血の奴ね」
気にもせずに言うレミリアの姿は紅く血に濡れていた。
爆発で受けた傷を治そうとレベッカから血を吸った名残だ。
血を飲む時に派手に零して服を真っ赤に染めてしまう事から、かつてレミリアはこう呼ばれた。
スカーレット・デビル(紅い悪魔)。
理由を辿ればどこか抜けた異名とさえ言えたが、
それでも全身を紅く血に染めたその姿は否応なしに一つの事実を突きつける。
此は人ではない物だ、と。
「まあおまえの事はどうでもいい」
レミリアはレックスとレベッカの間を堂々と横切って、倒れ伏すアルルゥへと近づいた。
レミリアはアルルゥを見下ろした。
アルルゥの右手は手首から切断され、折れた木の下敷きになっていた。
服の上からは見えないが、服の破れ方は体が壊れるほど強烈な打撃を受けた事を物語っていた。
アルルゥはレミリアを見上げた。
痛みに涙が零れる。
「……れみ……りあ…………いたい…………」
息も絶え絶えに声を絞り出したアルルゥに、レミリアは冷たく言い放つ。
「あの二匹の『召喚獣』を喚びなさい」
「おい、まだ戦わせる気かよ!」
レミリアは背後で憤るレベッカを無視して、言った。
「今度こそきっちり叩きのめしてやるわ。私の勝ちを確認するためにね」
三者三様の動揺が場に広がった。

「れみり……どうして……?」
アルルゥの掠れた声。
「フランが死んだから、最強の証明でもしてみようかと思ったのよ」
レミリアの冷たい言葉。
「どういう事だよ、それ。フランドールって、おまえの妹なんだろ」
レベッカの声を荒げた叫び。
「………………」
レックスは傍観していた。いわば様子を見ていた。突然現れた彼女の目的を知るために。
それぞれの射線上から離れて静かに傍観し様子を観察し続ける。
(フランドール? そういえばさっき、放送にそんな名前が有った。
 あのモンスターの女の子の妹なのか。だけどそれじゃどうして……あんなに冷たいんだ?
 それにここに居るアルルゥっていうモンスターの女の子も仲間じゃないのか?)
レックスが見守る中、少女達の言葉が交わされる。

「ええそうね、フランドール・スカーレットは私の妹よ。どこかで死んだみたいだけど」
レミリアの言葉はあまりにも素っ気なくて、冷たかった。
「それじゃ、悲しくないのか?」
「悲しい? 私が?」
「そうだよ、妹が死んだんだろ! お姉ちゃんなんだろ!
 それなら……悲しくなったり、怒ったりするだろ。そういうもんだろ……」
(……なのに、どうしてそんなに冷たいんだ)
レミリアはレベッカを見つめて……嗤った。
その笑顔はこれっぽっちも楽しそうではなくて、見ている誰も楽しくなれなかった。
何かを嘲笑う昏い嗤いだった。だからみんな、嗤うレミリアが気に障った。
そしてレミリアは、酷いことを告げた。
「495年間地下に閉じこめて一緒にいてやった時間すら殆ど無い妹の死に、どう悲しめというんだ?」


295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:35:08 ID:NVK9ACvi


296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:35:37 ID:Zpm/ePf1


297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:35:39 ID:FQRalofI
 

298 :すべては妹のために(前編)(5/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:36:00 ID:utU2cSeA
レミリアは嗤う。
「フランを殺した奴も別に恨んで何かいないよ。
 フランはこの島でも弾幕ごっこで遊んでいたみたいだし、その結果の生き死にを気にする理由は無いな。
 弾幕ごっこで死んだなら、それはフランの行為の結果に過ぎないんだし」
レミリアはただ嗤う。
「結局こうなる運命だったのよ、あの子は」
なにも楽しげではないのに、なにかを面白がるように嘲笑う。
おかしくて無様だと嘲笑う。
「久しぶりに外に出されて、はしゃいで遊んで殺されて。まあそれだけの事よ、大した事じゃないわ」
そして全てを切り捨てて。
「遊びの時間が終わっただけ。
 冥界でも地獄だろうとフランの魂を捜し出して、引きずってでも家に連れ戻せば一件落着。
 まあちょっぴり面倒くさいか」
自らの方針を確固と示す。
「だからフランの死はそれだけの事」
レミリアは嗤う。
「私の戦いにはこれっぽっちも関係無いわ」
吸血鬼は嗤う。
「私はこれから最強を証明する」
悪魔は嗤う。
「立ち塞がる者は全て叩き潰す。
 フランを殺した奴も、他の兵どもも、そしてジェダ・ドーマも、一切合切区別せず。
 全て纏めて叩き潰すことで勝者となって、何者も怖れることない無敵の存在だと証明してやるわ。
 その後で冥界の底からだろうとフランを引きずり出す。
 たったそれだけの事」
傲然と。

「バ、バカ言うな、生き返らすとかみんな殺すとかそんな無茶苦茶出来るわけ……」
ハッと我に返るレベッカの常識を、レミリアは軽くはね除けた
「私を誰だと思っているのかしら。
 私の名はレミリア・スカーレット。『運命を操る程度の能力』を持つ吸血鬼よ」
そして迫る。
アルルゥに要求する。
「さあ、『召喚獣』を喚びなさい。昼に遊んだときだってもちろん私の勝ちだけど、確認するわ。
 私の方が強いって事を」
……アルルゥは、手を伸ばした。
「やめろ、アルルゥ! 殺されるぞ!」
レベッカの叫びを聞かず、アルルゥは言った。
「……アルルゥのおねーちゃんは、やさしい」

アルルゥは、言う。
「アルルゥのおねーちゃんは、薬師をしてる」
アルルゥは目の前に転がっていた、切り飛ばされた右手首を掴んだ。
レックスに切り飛ばされた自分の手。その根本は今、叩きつけられ倒れた木に挟まれている。
「人をたすけるおしごと。おとーさんの戦争も手伝ってるけど、でも人をたすけるおしごと」
左手で自分の右手を掴み取る。
痛みは無い。切り飛ばされた右手がものすごく痛かったのに、今は何故か気にならなかった。
「アルルゥのおねーちゃんはとってもやさしい。時々しかられるけど、でもすごくやさしい。
 アルルゥのこと、気にしてくれる。アルルゥがケガしたらすごく心配してくれる」
その右手首が掴み続けていた、小さな石を摘み取る。
タマヒポのサモナイト石。念じることで召喚獣を呼び出す不思議な石だ。
「プレセアおねーちゃんも、おねーちゃんだった」

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:37:03 ID:FQRalofI
 

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:37:09 ID:NVK9ACvi


301 :すべては妹のために(前編)(6/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:37:34 ID:utU2cSeA
一瞬感覚が無くなり、左手から石がこぼれ落ちる。暗い地面に紛れてしまう。
それでも諦めずに足下を見回して、月明かりを照り返す小さな石を摘み上げた。
「プレセアおねーちゃんはとってもかっこよかった。アルルゥのこと、気にしてくれた。
 ジーニアスはにげだしたけど、でもプレセアおねーちゃんはかっこよかった」
指先には強い力が篭められて、もう石を落とさない。
アルルゥは、怒っていた。怒りのあまり痛みも忘れていた。
「生き返らせてくれるのはすごい。でも……」
サモナイト石がゆっくりと掲げられる。
「アルルゥ、アルルゥがいたがってるのを笑うおねーちゃんなんてキライ!!」

その側に一人、寄り添った。
「……どうした。おまえには関係無いでしょう?」
レミリアの問いに、レベッカ宮本は答えた。
「…………私も、お姉ちゃんが居るんだ」
それがレベッカの答えだった。
「私に色んな服を着せて楽しんだり、料理してくれたりもするお姉ちゃんでさ。
 時々いじわるだったり、怒るとすっごく怖かったりするけど……私はお姉ちゃんのこと、大好きだ」
レミリアはただ聞いている。
彼女達の答えを聞いている。
「私はレミリアとレミリアの妹の関係なんて知らないし、口出す権利も無いんだろうけど……でも」
レベッカはレミリアをキッと睨んだ。精一杯の怒りを篭めて。
「おまえなんて最低のお姉ちゃんだ! このバカ姉!!」
宣戦を布告した。

     * * *

「オピァマタ!」
アルルゥが叫び、空間が捻れ、限りなく球体に近い不格好な巨犬が姿を顕わした。
アルルゥの命名とは違い、本来の名はタマヒポという。
そのタマヒポは軽く息を吸い込み、次の瞬間、溜めに溜めた毒素を吐息に乗せて吐き出した。
毒消しの手段が無いとき、毒は必殺の武器となる。その毒は吸血鬼すら冒すのだ。
更にレベッカはひらりマントを手にしてアルルゥの前に立ち、レミリアからの攻撃に備える。
万全の布陣で吸血鬼に挑む。
レミリアは毒の魔獣と攻撃を逸らすマントを前に、宣言した。
「スペルカード……『マイハートブレイク』!」
手を掲げる。掲げたその手に強大な魔力が集中する。
瞬時にその魔力は長大な紅い槍へと姿を変えた。
迫り来る毒の吐息と、その先に居るタマヒポ、その向こうに居る守りのマントを持つレベッカ、そしてアルルゥ。
レミリアはその全てを睨み付けて狙いを定める。
『よろしいのですか?』
逆の手に握るハンマーから声がした。
「……良いのよ」
レミリアは短く答えて。
――全力で必殺の槍を投げ放った。

槍はまず毒の吐息とぶつかった。
――魔槍が纏う魔力の渦は毒の吐息を吹き飛ばす。
槍は次に召喚獣タマヒポに直撃する。
――タマヒポはドーナツの様に消し飛んだ。
槍は瞬時にレベッカの構えるマントに到達した。

ひらりマントの力が槍を押しとどめる。それはありとあらゆる攻撃を弾き飛ばす鉄壁の盾。
だがひらりマントも無敵というわけではない。
幾度も使い続ければボロボロになるように、決して無敵の盾ではないのだ。
「く、くそぉ……」

302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:38:17 ID:FQRalofI
 

303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:38:57 ID:NVK9ACvi


304 :すべては妹のために(前編)(7/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:39:33 ID:utU2cSeA
特にこの『マイハートブレイク』は纏う魔力の渦によってギリギリの見切りを無効とし、
ありとあらゆる防御を貫き穿つという、レミリアの大技グングニルの強化版たる必殺の槍だ。
全力で投げる隙につけ込む高速回避こそが最も効果的な防御法。
知った所でレベッカにもアルルゥにもどうしようもない、正面から防ぐ者を叩き潰す必殺の正面突破。
相手がそうである事を知って放った以上、これはもう弾幕ごっこの域を外れた殺意の具現に他ならない。
穂先は徐々に、確実に、ひらりマントの防御圏へと食い込んでいく。
「は……弾けえ!!」
レベッカは力を篭めて、マントを大きく翻した。
――――弾いた。

即座に続く魔力の渦が襲い掛かった。
「え……!?」
槍の後に泡のように残った無数の魔弾が、槍の作った魔力の渦に流れて襲い来る。
威力は劣る。必殺とは決して言えまい。だが充分な威力を秘めた第二の槍。
「あ……」
ギリギリでレベッカはもう一度マントを振るおうとして、数個の魔弾を弾き飛ばした所で渦に呑み込まれた。
背後のアルルゥ諸とも。
――直撃した。



レミリアはゆっくりと足を進める。
地に伏すのは二人の少女。レミリアのではない、だけど誰かの妹達。
呻き声を上げて藻掻く敗者達。
「……まだ二人とも生きてはいるようね」
少し離れた所にはレベッカ、目の前にはアルルゥが倒れている。
レベッカはひらりマントをボロボロにしたが、体中の数ヶ所を魔弾に小さく抉られた程度だった。
血が流れ出ているが、血を止めれば助かるだろう。がんばれば動けるかもしれない。
しかし気を失っているのか、動く様子は無かった。
アルルゥは……こちらも思ったほどではない。まだ息はしているし意識もある。
切断された右手が木に挟まれ止血されていた事も幸運だったのだろう。
即死するかと思ったが、まだ生きていた。死を目前に迎えて生きていた。
「だけどすぐに死ぬわね。楽にしてあげようか?」
アルルゥの瞳にレミリアが映る。
傲然と高慢に聳える吸血鬼が目に映る。
「……れみ……りあ…………」
アルルゥがレミリアを見つめ、か細く呟く。
戸惑いと苦痛と、恐怖と悲しみと、無数の雑多な感情が湛えられた瞳。
その目に映るのは仲間だったはずなのに突如凶行に走った悪魔の姿だろうか。
その瞳が、冷たい眠気と苦痛に呑まれてゆっくりと閉じていく。
レミリアは結局何も手出しせず、自らの与えるその死を見送ろうとする。
別れはゆっくりと確実に訪れて。

とさっと。空き瓶が草むらに落ちる音がした。
「ベホマ」
割り込んだ声は僅かな戸惑いを秘めていた。
「ベホマ」
暖かい輝きを持っていた。
強い憤りと、純粋な意志を持っていた。
「ベホマ! ベホマ!」
制限されて尚強い癒しの力を、ありったけに注ぎ込む。
冷たく青ざめていたアルルゥの肌に温もりが戻る。
血が止まる。傷が塞がる。切断された右手首すら、薄皮が張り出血が停止する。
アルルゥは閉じかけていた目を、開いた。唇が潤い言葉を紡ぐ。
「…………たすけてくれたの……?」
でも……どうして?
レックスはアルルゥの困惑に直接答えず、彼女を背にレミリアと向かい合う。
「しばらく動かない方が良い。多分、まだ痺れが残ってるだろうから」
背中越しの労りが確かな答え。


305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:39:50 ID:Zpm/ePf1


306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:40:43 ID:NVK9ACvi


307 :すべては妹のために(前編)(8/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:41:26 ID:utU2cSeA

「おまえ、名前は?」
「…………レックス」
悪魔の問いに少年は名乗る。
「僕の名前は、レックスだ」

     * * *

最初は勿論、アルルゥとレベッカを助けるつもりなんてなかった。
レックスの望みはただ妹のタバサを生還させる事だ。
それに“出来れば”タバサと一緒に自分も生還したいと続く。
他の者達は全て、その為なら犠牲にしても良いと思っている。
(……いや、良いわけじゃない。悪い。悪いけど、それでも僕は、タバサを守りたいんだ)
そしてもしタバサが殺されたなら、優勝のご褒美で生き返らせてもらう為に殺し続けようと思ってい。
生き返らす為に戦うのは彼にとっても理解できる。
「……復活は貴い。それは僕達に与えられた奇跡だ。それは知ってるし、否定もしない。
 この世界に制限されていなければ僕も使える……回復の奥義だ」
「へぇ……」
「僕は妹のタバサの為にこのゲームに乗っていた。タバサを帰す為に殺し合いを認めていた。
 もしタバサが死んでも、優勝した後にタバサを生き返らせれば良い。そう考えてた。
 今も間違ってたなんて思わないし、おまえがおまえの妹を生き返らせるのも貴いと思う。
 ……でも、だから」
生も死も溢れた世界に居たレックスは、その思想を持っていた。
これまでもここまでは。
「だから……おまえとは違う! 僕はタバサが居なくなるのはイヤだ。
 タバサが死ぬのもイヤだ。タバサが傷付くのもイヤだ、タバサが泣くのもイヤだ!
 生き返らせる事が出来たって死んでほしくない。傷付いてほしくない!
 僕はタバサが居なくなるのも、死ぬのも、傷付くのも、泣くのも……」
最低でもタバサが生き続ければそれで良いと思っていた。
そうでなくても傷付くことも泣くことも無ければそれで良い。満足だ。
そう思っていて、でもアルルゥとレベッカの言葉を聞いて、思った。
「………………妹に嫌われるのも、イヤだ」

兄としてタバサの事を守らないといけないと思っていた。
タバサが守れれば、タバサが幸せになれればそれで良いと思った。
(でもやっぱり……イヤだ)
タバサに嫌われるのは、イヤだ。
タバサを助ける為に身を磨り減らして、顧みられずに捨て行かれるのはイヤだ。
タバサに憎まれるのは、イヤだ。
「だから殺し合いに乗るのは、もうやめにする。
 僕はタバサに嫌われたくない。タバサに好かれるように生きたい」
「なんだかみっともないわね」
「みっともなくてもいい。もっとみっともないままでいるよりマシだもの」
烏滸がましくても自分の中では筋を通せる。
だから、決めたのだ。
「僕の名はレックスだ。
 誇り高きグランバニアの王子にして魔物使いの息子、天空の勇者レックスだ!
 今からもう一度、そう生きる!」
レミリアは笑った。
「それなら力を示すがいい。今も昔も妖怪を屈服させるのはそれがルールだ」
レックスは小さく頷いた。


308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:41:55 ID:FQRalofI
  

309 :すべては妹のために(前編)(9/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:43:04 ID:utU2cSeA
レックスはアルルゥを背中に守り、闇夜に立った。
その手に握る両刃の剣は黄金色に輝いている。
天空の勇者は光輝を手に悪魔と対峙する。
レミリアはグラーフアイゼンを固く握り締め、構えた。
月光を浴びるだけのその姿は、殆ど暗闇と一体に見えた。
悪魔は闇夜を背に勇者と対峙する。
そして両者は駆け出した。
光を伴って。闇に潜んで。

ラグナロクとグラーフアイゼンが交差した。

     * * *

先手は吸血鬼。視界から消える神速の踏み込みがレックスに迫る。
(速い!)
振るわれたハンマーの狙いは正確に頭部。翳した剣がそれを受け止める。
衝撃は重く、弾かれまいと踏みしめる足が土を削った。
「へえ、受けたか」
レミリアの小さな驚き。レックスはそれに乗じて剣を振り上げる。
レミリアはグラーフアイゼンでそれを受け流し、足が宙に浮く。
すかさずレックスは再び剣を振り下ろした。受け止めたレミリアの足が地に沈む。
「ちっ……」
「力なら負けない!」
レックスは即座にレミリアとの能力差を理解した。
(攻撃は相手の方がずっと速い。力も相当だ。多分どっちも、生物としての限界近い。
 だけど僕も、この剣を足せば力は限界を超えられる!)
それは天賦の素質を絶対条件にどこまで鍛えられるかという世界。
人間のみならず魔物も含めた生物としての限界領域。レミリアの身体能力はそれに近い。
レックスも鍛えれば何時かは辿り着ける、だけどまだ辿り着けない領域に居る。
本来あるその差を、手の中の剣が埋め尽くした。腕力においてレミリアを超える場所に導いた。
「受けろ!」
レックスは体勢の崩れたレミリアを下から逆風に切り上げる。
レミリアはそれを受け、支えの無い空中へ。即座にレックスは追撃の斬撃を放ち。
「甘いよ」
空中で半回転したレミリアの足が木の枝を踏みしめた。蝙蝠のように逆さに直立する。
振るうハンマーが剣を弾き、羽が夜気に膨らみバランスを保つ。
「今度はこっちのターンね」
その言葉と共に続けざまに振るわれるハンマーの連撃。天から墜ちる暴力の乱打。
剣で受け止め、流し、必死に凌ぐ。地面に足が打ち込まれていく。
(まずい! この体勢から使える手は……)
レックスは上半身に向けて集中する連撃を必死に受け流しながら唱えた。
「ライデイン!」

更なる上空から降りた雷撃は木を焼き、枝を貫き、レミリアを穿つ。
しかしその雷撃は当然そのまま下へと流れ落ちた。
レミリアからグラーフアイゼンへ、グラーフアイゼンからラグナロクへ、そしてレックスを突き抜ける。
「ぐうっ」
レックスは呻きを上げて膝をついた。
レミリアは優雅に地面に舞い降てり、僅かに足取りをふらつかせる。
「痛ぅ……随分と無茶をする奴ね……」
「この位……なんてことないさ」
睨み合いつつ、ベホマを一回。ライデインの痺れを回復する。
レックスはしっかりとした足取りで立ち上がった。ダメージはもう残っていない。
ただでさえ頑強なレックスに、ラグナロクの体力精神力大幅強化効果が重なっているのだ。
普通人なら即死するライデインのダメージも、制限下のベホマで回復出来る程度まで軽減されていた。

310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:43:13 ID:lhPysAyJ


311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:43:16 ID:NVK9ACvi


312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:43:53 ID:Zpm/ePf1


313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:44:02 ID:FQRalofI
 

314 :すべては妹のために(前編)(10/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:44:55 ID:utU2cSeA
「……訂正。面倒な奴ね」
レックスがまだ何度か回復出来るならば、レミリアは優勢とは言えない。
相打ちでもダメージを与えていけば、長く耐え、多く回復できる方が勝つ。
本来ならそれは圧倒的耐久性と再生力を誇る吸血鬼有利の出来レースになるはずだが、
この局面においてはむしろレックスの方が優勢だった。
「行くよ」
一声を上げて、レックスが再び駆け出す。
「まあいい、一撃で叩き潰してやる」
レミリアもそれに応え飛翔した。

再びの激突は最初から地と空の激突となった。
レミリアが鉄槌を振り下ろす。レックスは受け止め、切り返す。
レミリアは押し合わずに距離を取り、立木の側面に着地。そして宣言ではなく、唱えた。
「グラーフアイゼン、ラケーテンフォルム」
『Raketenform』
グラーフアイゼンがカートリッジを装填、炸裂、排出した。
変形する。ハンマーの打撃部に尖角が生え、逆側にはジェット噴射の排出口が形成される。
そこから魔力がジェット状に噴き出す。アイゼンを握るレミリアを中心にくるりと回転。
くる、くる、くるくるくるくるくるくるくるくる。
そこに宣言を重ねた。
「受けなさい。『バッドレディスクランブル』!」
自前の螺旋加速をそこに重ね、跳躍。踏み締めた木がそれだけでへし折れた。
アイゼンの加速とレミリアの加速が。それぞれの螺旋運動が絡み合い、捩れて尖る。
「ベギラマ!」
レックスが試しに放ったベギラマはレミリアの纏う魔力の渦を破れず消えた。
舌打ちと共に次の手を打つ。
「スクルト。……スクルト!」
スクルトを重ね掛けラグナロクを構える。鉄壁の防御でレミリアの必殺の一撃と交錯する。
そしてグラーフアイゼンとラグナロクが、激突した。雌雄を決する為に。

それは長い長い一瞬の激突。
螺旋に歪み捩れた軌道を描き、ハンマーの先端がラグナロクの刃先と噛み合う。
火花が散り金属音が響く。閃光と轟音の世界。夜を照らす激突。
ジェット流を噴き出すハンマーが、黄金に輝く刀身が互いの意義を主張する。
より強い武器である事を声高く咆哮する。
……ピキリと音を立て、アイゼンの尖角にヒビが入り。

しかし力の奔流を抑えきれなかったのはレックスの方だった。
打撃自体は物理攻撃。だがそれに伴うレミリアの魔力の渦とアイゼンから流し込まれる力は魔法攻撃。
(ダメだ、スクルトじゃ一手足りない――!)
気付いたときにはもう遅い。レックスの手からラグナロクが跳ね飛ばされた。
直撃を受けて吹き飛ばされたレックスは夜の木陰へと吹き飛ばされ、叩きつけられる。
宙を舞うラグナロクはレミリアの手へと納まった。
「――――神々の黄昏。いや、“神々の運命”……ね」
レミリアは剣の銘を読み上げた。
「…………ふふっ。ふふ、あは、あはははははははは!
 面白いな。そうね、神の運命すらも私の物にしてやるわ。全ての運命は私が操る。
 この世界の全てを跪かせてやる! 私の下に!」
それは傲慢で子供じみた、禍々しい宣言。
まるで魔王のように、吸血鬼は闇夜へと宣言する。

「……させない、そんな事」
そんな宣言を聞いたなら、立ち上がらなければならない。
「そんな事は、絶対にさせない!」
魔王の侵略に抗するのは勇者の務めだ。ならば戦わなければならない。
どれだけそれが強大でも挫けず、どれだけ打ちのめされようとも立ち上がらなければならない。
戦って戦って打ち勝たなければならない。
(エーテルもこれで打ち止めだ)
レックスは空き容器を投げ捨てる。エーテルはこれで使い切った。
直前に受けた攻撃の傷は癒えたが、残ったマジックポイントを使い切ればもう回復は無い。

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:45:53 ID:NVK9ACvi


316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:46:04 ID:FQRalofI
 

317 :すべては妹のために(前編)(11/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:46:28 ID:utU2cSeA
(それがどうした)
それでも立ち止まらない。まだレックスは戦える。
「人間が、武器も無しに?」
「武器なら有る」
レックスはランドセルに仕舞っていたもう一本の武器を抜き出した。
ドラゴンの杖。伝説の聖剣と同格の強大な力を秘めた杖。
「父さんの愛用の杖だ」
「……本当に面白いわね、人間って」
ドラゴンの杖を装備したレックスを前に、レミリアはラグナロクを構えて言った。
「おまえは休みなさい、アイゼン」
『……Jawohl』
了解の意を示し、グラーフアイゼンが待機状態に移行する。
ペンダントのようなそれを首にかけ、ポケットに入っていた爆薬を地面に投げ捨てる。
ライデインに引火しなかったのは騎士甲冑が雷撃を大幅に緩和していた事を意味する。
「防護服も今は良いわ」
だがその騎士甲冑もレミリアの言葉に従い、解かれた。
つまり防具であり、衣服を脱ぎ捨てた。

「な、なんで……?」
「ハンデと思うことね」
月と剣の光を浴びて、吸血鬼の裸体が夜闇に浮かび上がる。
露わになった肋が浮き出るほどに未熟な肢体には無数の青痣が浮かんでいた。
(こいつ、こんな傷を負っていたのか)
おそらくはレックスと戦う前に受けていた傷だ。レックスも似たような傷を見た事はある。
イオ系やメガンテなど魔力の爆発による傷に違いない。
それも死に瀕するほどの重傷。防具も無い今なら、当たれば終わる。
それがドラゴンの杖による打撃なら当然のこと、ベギラマでも今直撃すれば致命傷となる。
一撃で吹き飛ぶたった一つの命を賭場に出して、レミリアは不敵に笑った。
「そろそろ本気で殺すわよ。健気な勇者」

やはり踏み込みは神速。小細工無しにレミリアは突撃、斬撃を振るう。
レックスはドラゴンの杖をかざしその斬撃を受け止めるが、重い。
(あの剣の力か……!)
レミリアの手の中でラグナロクは黄金に輝き、その力を爆発的に増大させる。
レミリアとレックスの力を逆転させていた強大な力が根こそぎレミリアに流れたのだ。
効力を発揮するスクルトの重ね掛けが打撃を大幅に緩和し、辛うじて受け止めた。
瞬間には人間を凌駕する反射速度で横薙ぎの斬撃が迫っていた。
後ずさり受けた次の瞬間には刺突が。頬を切られながらも避けた瞬間には避けた方向からの袈裟斬りが。
体を捻りかわし強引に杖を振るい反撃。だが杖を突きだし始める瞬間には既に半歩の見切りでかわされている。
(さっきより速くなった!? いや、違う!)
脳天から叩き降ろされた斬撃を更に体をよじりかわす。肩口を刃が通り抜けた。
そこから血が噴き出すより早く迫る次の斬撃。完全に体を転倒させて空振りさせる。
「ベギラマ!」
そこから放った炎の筋は髪がちりつく程の距離で見切られた。
それで生まれた刹那の隙に体を転がし地に突き立つ追撃を躱す。
力任せに地面に突き立ったまま横薙ぎに迫る更なる斬撃を杖で受け止め跳ね飛ばされて起きあがる。
「ライデイン!」
既にこちらに向けて突進していたレミリアの行く先にライデインを放つ。だがそれすらも速度を落とさずすりぬける。
右薙ぎの斬撃を後退して避けた瞬間に刺突に変化した切っ先を杖で受けた次の瞬間に脳天から次の斬撃。
(レミリアは攻撃を見切ったんだ!)
レックスの白兵攻撃。ベギラマ。ライデイン。全ての攻撃の速度と間合いを完璧に把握し、見切った。
だからレックスの攻撃が当たらない。レミリアは全てをかわして全ての時間を攻撃に注ぎ込んでいる。
それは回避行動の時間が減るだけではない。攻撃からも余分が消えた。
一見無謀な突撃をして防御を顧みない前のめりな攻撃をしても、
その裏には相手の反撃を躱す絶対の自信が潜んでいる。
(だけどはぐれメタルとは違うんだ。一撃当たりさえすればそれで……!?)
脳天からの斬撃を紙一重で凌ぎ、刃が離れレミリアの居るはずの目の前を睨み、何も居ない空間を見た。
寒気に襲われて全力で前に跳躍する。次の瞬間背中に熱い感覚が走った。
「うあっ」

318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:46:42 ID:lhPysAyJ


319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:47:34 ID:FQRalofI
 

320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:47:35 ID:Zpm/ePf1


321 :すべては妹のために(前編)(12/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:48:30 ID:utU2cSeA
「ふん、仕留めきれないか」
高速で背後頭上まで回り込んで放たれた斬撃に背中を大きく切り裂かれた。勢いよく血が噴出する。
(スクルトを重ね掛けしたのに……!)
鋼鉄の如き守りもレミリアとラグナロクの合力の前には薄紙のように脆い。
レミリアはラグナロクの刃先をレックスに向けて突きつけると、余裕を見せて笑った。
「回復してもいいわよ? その位は待ってやるわ」
「くそ……」
当たれば一撃。だがその一撃が当たっていない。防戦の合間に放つ攻撃ではとても倒せない。
(どうすれば良い? どうすればこいつを倒せる?)
既に見切られた攻撃は当たらない。一度でも使った攻撃は全て見切られている。
逆に言えば一度も使ってない攻撃を放つしかない。
(ドラゴンの杖の力を使うか? だけど……)
ドラゴンの杖で竜になった時の攻撃は底無しだが、単調だ。
それで押しきれる相手なら良いが、レミリアを倒せるとはとても思えない。
(そうなると残るは……ギガデインだけだ)
ライデインより強烈な雷の一撃で吹き飛ばす。これなら当たる見込みはある。
そしてだとすればその機会は“今をおいて他にない”。
(回復する為に呪文を使う時間を与えられた今だけが勝機だ)
レックスはレミリアを見つめた。
「あら、もう回復しないの? それならそれでいいけど」
「……一つ、聞いていいかな」
「何かしら」
レックスは問い掛けた。
「本当に君は、妹が死んだ事を何とも思っていないの?」
「………………弟妹が死んでも泣けない兄姉なんて幾らでもいるわ」
「……そっか」
レミリアの答えは何も変わらなく思えた。
「それだけかしら?」
「ううん、あと一つだけ……僕から送る言葉がある」
決意を固めた。そして息を吸って、発した。
一撃必殺の破壊の呪文を。

「――ギガデイン!」

     * * *

その瞬間だけ、そこは確かに真昼と化した。
凄まじい閃光はまるで地上に太陽が生まれたかのようで、轟音は音とすら認識できない衝撃だった。
「やったか!?」
その強烈な閃光が落ちる直前、レックスは確かに見た。
虚を突かれたレミリアの体勢は飛び退く準備が出来ていなかった。
幾らあの速度が有ったとしても、当たったはずだ。当たっていなくてはならない。
これはレックスにとって最後の切り札なのだから。
果たして閃光が収まり、闇夜に目が慣れたレックスが見たのは……クレーターに突き立つ聖剣だけだった。

「……勝った…………」
ホッと安堵の溜息を吐いた。
――――微かな違和感。
「今度こそ、決まりだ」
そう思う。
――――何かを忘れている。
「今度こそ…………」
そう、今度こそ……?
――――思い出せ。
「………………」
そうだ、前にもこんな事が有った。
――――警鐘が鳴る。
(…………本当に、終わったのか?)
あの時はどうなった?
――――前に撃った時も仕留め損ねたのに?

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:48:42 ID:FQRalofI
 

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:48:50 ID:NVK9ACvi


324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:49:08 ID:lhPysAyJ


325 :すべては妹のために(前編)(13/13) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:50:23 ID:utU2cSeA

羽音が、聞こえた。
無数の黒い影が夜闇を飛び交う。それぞれに光るは二つの紅い瞳。
キイキイと耳障りな鳴き声と共に影の獣共が舞い降りてくる。
無数の蝙蝠は地に突き立つラグナロクにまとわりつき……凝縮された。
「悪いけど、もう油断も慢心もする気はないんだ」
レミリア・スカーレットは地に突き立つ聖剣を引き抜く。月の光を照り返し、刀身が黄金に輝いた。
首に下がるアイゼンのペンダントを除けば生まれたままの姿で、レミリアは傲然と宣言する。
「それじゃ、続きをやろうか」

(この戦い、僕の負けだ……)
レックスはがくりと膝をついた。

     * * *

アルルゥは、徐々に痺れが抜け自由を取り戻していく体で足掻いていた。
何かがおかしい。
何か……今の、ここの、この状況は何かがおかしい。
何かを見落としている。
(レミリア……)
その中心は間違いなくレミリアに他ならない。
そもそもレミリアの心変わりはあまりにも唐突だった。
レックスは……朧気ながら判る。彼は妹と自分の為に動いているのだ。
例え方針が変わろうともその根底は変わらない。だから引っかかりがない。
だがレミリアは何かが足りない。
レミリアは妹に対して酷い仕打ちをしていたのかもしれない。
その上にアルルゥに戦いを挑んできたから、アルルゥは怒ってそれを受け、戦った。
(……どうして?)
どうして急にアルルゥを襲ったのだろう。アルルゥとレミリアの間には何も起きていなかったのに。
「どうして……」
アルルゥは息を吸い込み、言葉を紡ぐ。
レミリアがそれに気づき、アルルゥの方を振り向いた。
アルルゥの透明な眼差しがレミリアの瞳を射抜く。
「レミリア……どうして……」
どうしてだろう。
あの時、アルルゥとレベッカに向けて魔槍を投げた時のレミリアが――
「…………どうして、泣いてるの……?」
――まるで泣きじゃくっているように見えたのはどうしてだろう。

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:50:32 ID:lhPysAyJ


327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:50:41 ID:FQRalofI
 

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:51:02 ID:1bto2uv+
 

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:51:35 ID:lhPysAyJ


330 :すべては妹のために(後編)(1/8) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:52:04 ID:utU2cSeA
「……泣いてなんていない」
レミリアは涙を流してはいない。
顔を歪めているのは全てを嘲笑っているからだ。全てを嗤っているからだ。
「うそ……レミリア、泣いてる…………」
アルルゥはその嘘を穿つ。
根拠は無い。理屈なんて知らない。心に映り込んだ光景をありのままに語るだけ。
「…………レミリア、すごくかなしそう」
それは限りなく純粋な刃だった。
レミリアは煩わしげにアルルゥに剣を向ける。
「うるさいわね。おまえから殺すわよ」
「させない」
立ち上がったレックスがその間に割り込んだ。
例え勝つ自信はなくとも、時間を稼ぐ自信ならまだ有った。
(レミリアは……動揺している)
レミリアの言葉に含まれた僅かな焦りにその場の誰もが気付いていた。

「図星突かれて焦ってんのか? ほんとバカだな」
だからレベッカ宮本も立ち上がる。アルルゥは目を丸くして驚いた。
「ベッキー……起きてたの?」
「ああ、そこのレックスって奴が名乗った辺りからな」
レックスが思い返す。それは確か……
「…………殆ど最初じゃないか」
「うるさい。起きても何もできなかったんだから仕方ないだろ」
レベッカは恐らく、この場で最も無力だった。
確かにひらりマントという盾は有る。だがそれすらも破る手段は有るのだ。
レミリアとレックスの戦いに至っては速すぎて殆ど反応できなかった。
そんなレベッカをレミリアが睨む。
「今なら何か出来るとでも言うのかしら?」
「おまえにそいつらを殺させないくらいはできるよ」
レベッカは軽くそう言った。
その表情は青い。魔槍の余波で刻まれた全身の傷口は血を流し、刻一刻とレベッカの体力を奪っていく。
「無理しちゃダメだ! いま、僕が回復するから……」
「なあ、レミリア」
レックスの言葉を遮ってレベッカは言葉の槍を投げ放つ。
「私達に投げたあのなんか凄い槍……なんでマイハートブレイクなんだ?」
「え…………?」
戸惑いはレミリア自身。
レベッカはレミリアが他にどんな技を持っているか、一つしか見ていない。バッドレディスクランブルだけだ。
だから推測の材料はあまりに少なく、これは半ばカマ掛けに近かった。
だけどもう確信した。
「my heart break……『私の心は砕け散る』。必殺技っぽくない名前だぞ」
「別に……前から付けていた名前よ」
それは事実だ。だが。
「じゃあなんであの時、それを選んだんだ?」
「………………」
レミリアは押し黙る。
あの時にはそれが有効だったから。言い訳は通る。
だけど有効なスペルカードは他にも有った。その中からレミリアはあれを選んで使用した。
そしてレベッカは核心を貫いた。
「それに……さっき気付いたんだ。レミリアはまだ一回も答えてないぞ。
 『本当にレミリアは妹が死んだ事を悲しんでないのか?』」
「そんなの二度も答えて……」
「おまえが答えたのは二度。返答は『どう悲しめばいい?』に『妹が死んで泣けない姉も居る』だ」
誰もが息を呑む。並べればその意味する所は明白だった。
「だ、だまれっ!」
次の瞬間、レミリアはこの島で初めて心底から激情を爆発させた。
矢のように放たれた突撃は神速中の神速。
レックスに向けた如何なる攻撃よりも速く正に雷撃の速度で突き進む。
レベッカの命を狙って。

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:52:20 ID:NVK9ACvi


332 :すべては妹のために(後編)(2/9) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:53:54 ID:utU2cSeA

     * * *

――反芻する。
「フランが死んだから、最強の証明でもしてみようかと思ったのよ」
それがレミリアの新たな行動方針だった。
フランドールが死んだから選んだ新たな目的。
「どういう事だよ、それ。フランドールって、おまえの妹なんだろ」
「ええそうね、フランドール・スカーレットは私の妹よ。どこかで死んだみたいだけど」
だけどその目的はそっけなく、冷たい。
「それじゃ、悲しくないのか?」
「悲しい? 私が?」
「そうだよ、妹が死んだんだろ! お姉ちゃんなんだろ!
 それなら……悲しくなったり、怒ったりするだろ。そういうもんだろ……」
その目的に激情は篭もらず、あっさりと感情を押し隠す。
当然だ。これは妹の復讐とかそういったものではないのだから。
レミリアは嗤った。
別に楽しくはなかったけれど、今の自分が滑稽でたまらなかった。
「495年間地下に閉じこめて一緒にいてやった時間すら殆ど無い妹の死に、どう悲しめというんだ?」
悲しみ方は判らなかった。
そして怒る事も出来なかった。
「フランを殺した奴も別に恨んで何かいないよ。
 フランはこの島でも弾幕ごっこで遊んでいたみたいだし、その結果の生き死にを気にする理由は無いな。
 弾幕ごっこで死んだなら、それはフランの行為の結果に過ぎないんだし」
――何故ならそれが彼女達のルールだからだ。

弾幕ごっこは一種の決闘である。
ルールを決め、戦い、その結果として『死んでしまっても仕方がない』という部分まで約束事の一部だ。
その枠内には結局の所、決闘の当事者だけが存在する。
そうやってルールを決めて戦いの規模を制限しておく事が必要だった。
弾幕ごっこが行われていた幻想郷は狭い世界なのに、その中に住まう妖怪達の力は剰りに強大だったからだ。
もしも感情に任せて無分別に争えば、小さな幻想郷はすぐに滅びてしまっていただろう。
だから弾幕ごっこでついた決着には当人が口出す事は出来ないし、部外者も同じ事だ。
加えてレミリアは絶対に『約束事』を破る事が出来ない。
それがレミリアの種族、悪魔の一種である吸血鬼の種族的特徴の一つなのだ。
約束をしたならそれがなんであれ絶対的拘束力を持ってしまう。
即ちこういう事だ。
フランドールが弾幕ごっこの結果として死亡したなら、レミリアはその事について一切の手出しが出来ない。
仕方のない事故なのだから。
例え目の前でそいつが幸せに笑って居ようとも、多くの仲間達と共に安息を得ていても。
レミリアはその相手に対し、『妹を殺した仇』として接することが許されない。
絶対に。
…………だけど、その事を恨む事すらできなかった。


333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:54:07 ID:FQRalofI
 

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:54:19 ID:Zpm/ePf1


335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:55:39 ID:FQRalofI
 

336 :すべては妹のために(後編)(3/9) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:55:40 ID:utU2cSeA
「結局こうなる運命だったのよ、あの子は」
避けた筈の運命だった。判っていた筈の運命だった。
フランの運命は何れその行く先を破滅に繋げる事が判っていたのに。
「久しぶりに外に出されて、はしゃいで遊んで殺されて。まあそれだけの事よ、大した事じゃないわ」
結局、レミリアは妹を破滅の運命から逃しそこねた。
フランは殺され、もう戻ってくる事は無い。
(――――違う)
「遊びの時間が終わっただけ。
 冥界でも地獄だろうとフランの魂を捜し出して、引きずってでも家に連れ戻せば一件落着。
 まあちょっぴり面倒くさいか」
(そう、遊びの時間はもう終わりだ)
それは無謀に等しい可能性だ。理屈で考えれば万に一つも成功しない。
だが、それがどうした。
「だからフランの死はそれだけの事」
レミリアは自らを嗤う。
「私の戦いにはこれっぽっちも関係無いわ」
吸血鬼は目の前にある苦難を嗤う。
「私はこれから最強を証明する」
悪魔の姉は過ぎ去った運命を笑い飛ばす。

レミリア・スカーレットは最強などではない。
喩え地獄の底に居ようとも妹を見つけて連れ戻すと宣った。
だが単純な実力で言えば、地獄の閻魔の力はレミリアの力を大きく上回っている。
そこに確実な勝機なんてものはない。

レミリア・スカーレットは無敵などではない。
人でありながら博麗の巫女には何度もしてやられた。
幻想郷に訪れていなや仕掛けた侵略戦争でも強大な妖怪に破れた。
敗北の数は少なくない。
いや、そもこの島に来てからの事を考えてみれば良い。
何度傷付き、何度死にかけ、陽の光から隠れ何時間を城で過ごした事か。
これで無敵など笑い話にすぎない。

レミリア・スカーレットは勝者などではない。
そもそもレミリアは生まれて数年で敗北を喫したとなった。
レミリアは妹の力を超えられなかった。
ありとあらゆるものを破壊する力を抑えこむ事が出来なかった。
だから、レミリアには妹を地下に閉じこめておく事しか出来なかった。
妹の側に居た時間すら短くて、遊んでやった事なんて数える程だった。
フランドールはそれすらも享受し、レミリアを慕い続けてくれた。
それ以外を知らなかったから、それ以上を望む事もなかった。
――間違っていたとは思わない。
そうしなければやがて、フランドールの破滅の運命はありとあらゆる全てを呑み込んでいただろう。
だけど495年に渡ったその在り方は、フランドールに一つの餓えをもたらした。

吸血鬼が血に餓えるように。
悪魔の妹は絆に餓えた。

レミリアはフランドール殺しの共犯を一人知っていた。
装飾的に言えば――
あの決定的に封建的で独断的、かつ一意的なほど絶対的超越的な力が。
徹底的に刹那的遊戯的で、暴力的致命的悲劇的なまで盲目的な手に握られていたのに。
破壊的壊滅的破滅的に終末的で、猟奇的ですらなく無目的に虚無的で末期的な、
本能的に絶望的に病理的に暴力的に悲劇的な『破壊』が起こらなかった。
端的にたった一言に集約すればつまり――
『ありとあらゆるものを破壊する程度』の能力が使われなかった。
その事が意味するところを知っていた。
周囲の全て、つまりこの世界を壊す為に目的を持って使われなかっただけではなく、
誰かに殺されたのに、その誰かを撃退する為にさえ使われなかった理由。
それはフランドールが最後まで遊びを望むからに他ならない。

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:56:48 ID:FQRalofI
 

338 :すべては妹のために(後編)(4/9) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:57:16 ID:utU2cSeA

別に遊び好きな事自体はレミリアだって変わらない。
レミリアも遊びにかまけて愚かな失敗を何度も冒した。
だけどレミリアは遊びを諦められる。約束事を抜きにすれば、レミリアにとって遊びはその程度のものだった。
フランにとっての遊びは約束事無しでもその程度のものではなかった。
フランドールの遊び場は暗い地下室だけで、遊ぶ相手は誰も居なかった。
だからこの異常な世界さえも貴重な遊び場として楽しもうとした。
形振り構わぬ殺意を抱いた者達すら遊び相手にしようとした。
――殺されたのはそのせいだろう。
フランはレミリアの与えた孤独により殺された。

だからレミリアは誓う事にした。
「立ち塞がる者は全て叩き潰す。
 フランを殺した奴も、他の兵どもも、そしてジェダ・ドーマも、一切合切区別せず。
 全て纏めて叩き潰すことで勝者となって、何者も怖れることない無敵の存在だと証明してやるわ。
 その後で冥界の底からだろうとフランを引きずり出す。
 たったそれだけの事」

レミリアは最強ではないし無敵でもない。
これまでは勝者ですらなかった。
だからせめてこれからは最強である事を誓おう。
絶対無敵なる勝者として、フランの為にしてやれなかった事を今からでもしてやろう。
ありとあらゆるものを破壊する“程度”の能力が生みだした孤独を否定してやろう。
もしもフランの破滅が運命だったならば、新たな運命でその全てを取り返してやろう。
それが既に過ぎ去った運命で有ったとしてもだ。
その“程度”の事が出来なくてどうする。
「私を誰だと思っているのかしら。
 私の名はレミリア・スカーレット。
 『運命を操る“程度”の能力』を持つ吸血鬼よ」

フランを殺した奴は必ず叩き潰す。
なぜならそれがフランより強い事を証明する手段だからだ。
それはあくまで復讐ではない。
単に自らが最強である事を証明する過程に過ぎない。
そしてフランを生き返らせたら、今度は自由と未来の両方を与えてやる。
問題は無い。レミリアがフランより強いならば、フランを怖れる必要はないのだから。
その為に最強を証明しよう。無敵になろう。勝者となろう。
それはレミリアが自分とした約束事。
絶対に破れない、力の限り命の限り完遂しなければならない自らとの契約だ。

     * * *


339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:57:25 ID:si0sfVAo
 

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:58:02 ID:FQRalofI
 

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:58:03 ID:1bto2uv+
 

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:58:12 ID:Zpm/ePf1


343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:58:18 ID:si0sfVAo
 

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:58:19 ID:lhPysAyJ


345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:58:52 ID:lhPysAyJ


346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:58:57 ID:FQRalofI
 

347 :すべては妹のために(後編)(5/9) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 20:58:58 ID:utU2cSeA
「おまえが答えたのは二度。返答は『どう悲しめばいい?』に『妹が死んで泣けない姉も居る』だ」
「だ、だまれっ!」
だからレベッカのその言葉を許すわけにはいけなかった。
一欠片でも自らの弱さを認めるわけにはいかないのだ。
即座に自らを弾丸と化して撃ち放つ。
だが弾丸と等しい速度の突撃はねじ曲げられた。
レミリアのこれまでの小細工を弄さない突撃は何も考えない突撃ではない。
率直でありながら相手が何をしようと対応する備えを用意した上での突撃だ。
その備えすら無い突撃など撃たれるのが判っている銃弾と同じ。
ボロボロのひらりマントでも回避できる。
「おまえは本当にバカな姉だ! 私はおまえと妹の関係なんて知らない!
 だけど家族が死んだら悲しんだり泣いたりして良いんだ! 泣いちゃいけない理由なんて有るもんか!」
「この……! 黙りなさい!」
妹に孤独を与えた姉が? その中で死なせた姉が? 妹を殺した相手を恨む事すら出来ない姉が?
それに泣くものか。泣くのは弱さだ。弱さは不要だ。
弱くては例えフランドールを救えたところで同じ道しか選べない。
それではダメだ。そんな救いでは足りない。何にもならない。何の意味も有りはしない。
「おまえに私の何が判る!」
「おまえがバカだって事は判るさ!」
そして同情され憐憫を受ける事もレミリアには許せない。
それは上位の余裕を持った者がする事だ。この行為はレミリアの弱さを糾弾する挑発に他ならない。
レミリアからその様子を見て取ったレベッカが、にやりと笑った。

「じゃあ答え合わせするぞ。私がおまえにその二人を殺させない方法のな」
「なんだって?」
レベッカは小脇に抱えていた魔導ボードを宙に浮かべた。
先程調子が悪くなっていたそれだが、気絶したふりをしながら色々と弄る――叩いたりするとひとまずは再起動した。
またいつ止まるかも判らないが今はそれで充分だ。
レベッカは魔導ボードに飛び乗った。
「……そういう事。ジーニアスといいそういうのが好きだな、おまえ達は」
「ああ、やっぱりそういう事か。……だと思ったよ」
レミリアの忌々しげな呟きにレベッカは得心する。やはりそういう事なのか、と。
「ベッキー、それどういう……」
アルルゥの戸惑いにレベッカは笑みを作ってみせる。
レベッカの顔が青ざめているのは貧血のせいだけではなかった。
その表情は怯えていた。泣き出しそうになるのをこらえていた。
それでもなんともないという笑いを作ってみせて、言った。
「……私がこんな事できるのはきっと、翠星石とジーニアスに感化されたからだ。
 あと貧血で怖いとかそういうのが鈍ってるせいかもな。
 だからジーニアスの事も信じてくれよ。あいつ、ほんとうに良い奴だったんだ。きっと、最後まで。
 ……それから、レミリアの事も恨まなくていいぞ。こんなバカ、可哀想なだけだ」
「ベッキー……?」
アルルゥは戸惑う。レベッカは何をしようとしているのか。
「それからレックスっていったっけ。……おまえ、勇者っていうならアルルゥのこと頼んだからな!
 絶対に守れよ!」
「君は……まさか!」
レックスは気付いた。レベッカは恐らく……。

「じゃあな! 二人ともまた会ったら承知しないぞ!」
レベッカは魔導ボードを走らせた。川を目指して。
「…………チッ」
レミリアは舌打ちと共にそれを追撃した。
レミリアにもレベッカの狙いは判っている。だけどそれでも、今はこうする他にない。
逆鱗を刺激したレベッカは今やレミリアにとって最重要目標なのだから。
あるいはそうしたくてそうした……レベッカの誘いに乗りたかったのかも知れない。
なんにせよレミリアはレベッカを追って、その場から去った。
アルルゥとレックスを置いて。


348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 20:59:22 ID:si0sfVAo
 

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:00:11 ID:si0sfVAo
 

350 :すべては妹のために(後編)(6/9) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 21:00:34 ID:utU2cSeA
「ベッキー…………?」
アルルゥは茫然としていた。まだ何が起きたのかを理解できない。
レベッカは何をしたのか。ジーニアスも同じというのがどういう事なのか。
判らない。
……レックスが口を開いた。
「……ずっと昔の事だ」
訥々とレックスが語り教える。
「お父さんが本来治めるべきだったグランバニアの国王になった戴冠式の夜。
 僕とタバサが生まれた日でもある。……その夜、城に魔物達が襲撃してきたんだ。
 僕とタバサを狙ってきたんだって」
自らも覚えていない過去。自らの生誕に関わる話。
「その時、お母さんは僕とタバサを隠して身代わりに捕まった。
 魔物達は目的の僕達を見つけられなかったけれど、お母さんを捕まえて帰っていった」
その話でアルルゥは理解した。
「ジーニアスも?」
繋がらない文脈。通じる意志。
「…………多分ね」
アルルゥは殺されていない。梨々に捕まった時も、今この時も。
それが彼らの行動の意味する所。

     * * *

レミリアは幾度となくレベッカに突撃をしかける。
その攻撃は本来ならひらりマントが有った所でどうしようもないものだ。
直前で方向転換しマントとは逆側に回り込んで襲えばそれで済む。
だがレミリアの攻撃は激情からかあまりにも単純だった。
魔導ボードの上で後方に対応できる事も有ってか、攻撃の何れもが決定打となりえない。
(このままなら……もうちょっと足掻いてやる!)
レベッカの魔導ボードが川辺に飛び出す。
そしてそのまま水面に向けて滑り出そうとして。
「なんだ、結構判ってる奴だな、おまえは」
魔導ボードの真下から声がした。
最大加速状態から急停止。たまらず体が宙に浮いた。
「うわあ!?」
川辺のぬかるみに叩きつけられた。泥に柔らかく受け止められ、まみれる。
顔を上げたら、そこにはレミリアが居た。
「吸血鬼は流れ水を渡れない。合ってるわよ、少し前ならともかく今はね」
「……もう、冷静になったのか」
「何度も失敗してるのに熱いままでいるものか」
それが最後の足掻きだった。
もし川の上に出れば、もう追って来られないかもしれない。そうすれば、逃げきれる。
傷だって止血をちゃんとすれば助かるかもしれない。
結局それはただの足掻きに終わった。……ベッキー自身あまり期待していなかったが。
「だけど私の弾幕はどうするつもりだったのかしら。そのボロマント如きで防げると思った?」
「じゃあなんで追っかけてるときに撃たなかったんだよ」
「余裕よ」
「……嘘吐け」
レベッカは無理矢理に笑った。
「おまえ、殆ど余裕無かっただろ」
「………………」
レベッカはずっと戦いを観察していた。そうすれば端々に感じられた。
最強であり無敵であるように振る舞うレミリアが、どこかしら余裕無く見える事に。
そしてそれはその通りだった。

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:00:40 ID:1bto2uv+
 

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:01:11 ID:si0sfVAo
 

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:01:45 ID:FQRalofI
  

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:02:17 ID:pA3TeySe


355 :すべては妹のために(後編)(7/9) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 21:02:24 ID:utU2cSeA
レミリアは思う。
(……この剣を持ってる時のレックスはあの月を砕く鬼みたいに力強かった)
何故もっと強い力が無いのだろうか。
(最初のライデインを受けた時、あの傷じゃアイゼンの騎士甲冑が無ければ死んでいた)
どうして自分の強さはもっと圧倒的な物ではないのだろうか。
(騎士甲冑を外したのはあそこで魔力が尽きたからだし、
 ギガデインはこっちが与えた隙以外に撃たれたらどうなっていたか)
自分自身の強さは知っている。
総合的に見れば最も優れていると思うことにしているし、実際にも間違いなく強い。
(それにこいつの言葉が……)
だけどどうしてもっと、全て圧倒してねじ伏せるような力が無いのだろうか。
フランが何をしようと易々押さえ込めるような、何でもさせてやれる力がなかったのだろうか。
……レミリアはフランの姉なのに。

「おまえはバカだ」
「……まだ言うか」
レベッカはせせら笑う。
レミリアを嗤い、嘲笑い、心の底から真実の言葉を投げ放つ。
それがレベッカに与えられた最も鋭い槍だった。
「自分一人で何もかも抱え込んでどうするんだ。
 誰とも一緒に笑えず世界中を馬鹿にし続けるのか。
 誰にも叱られず傲慢になっていくのか。
 それをする自分自身が一等バカなのに気付かずに!
 レミリア、おまえはバカだ! おまえは裸の王様だ!!」
「黙れ!」
レミリアはレベッカの喉元を掴み血に叩きつける。
永劫埋まらない肉体の差がレベッカを押さえつける。絶対なる死の予感。
「死を怖れる人間のくせに意地を張っているのはどっちだ!」
「そうだよ! 意地張って暴走するおまえも、意地張って命捨てる私も!」
それでもこの瞬間、確かにレベッカはレミリアを圧していた。
「天才だの吸血鬼だの言っても、私達はただの大バカなんだ!!」
「この……!!」
レミリアはレベッカの喉笛に噛み付いた。
レミリアは自分を怖れる人間の血しか吸わない。
だから目の前に居るレベッカが自分を怖れるただの人間に過ぎないことを証明するために、
レミリアは彼女の血を吸い尽くして、殺した。
小食の彼女でも、既に大量に血を失ったレベッカは無理をすれば飲み干す事ができた。
……結局それは、ただの意地だった。
レミリアは回復した魔力で再び騎士甲冑を纏うと、逃げるようにその場を飛び去った。

     * * *

「……う…………ひっく……う……うぅ…………えぐっ……」
童が泣いていた。
夜の森で泣いていた。
「う……みんな……みんな、死んじゃった……」
アルルゥは、泣いていた。
ぽろぽろと涙を零し、死を悼んでいた。
「プレセアおねーちゃんも……ジーニアスも…………ベッキーも。
 アルルゥを守ってくれたひと、みんなみんな死んじゃった……」
レックスは聞いた。
「守ってくれる人が居ないのは、こわい?」
アルルゥは首を振った。
「アルルゥを守ってくれる人、アルルゥも好きになれる。
 好きな人、好きになれる人が死んじゃうの、こわい……」
「…………そっか」

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:02:48 ID:sjcvq7G9
支援

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:03:18 ID:NVK9ACvi


358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:03:18 ID:Zpm/ePf1


359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:03:18 ID:si0sfVAo
  

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:03:50 ID:si0sfVAo
 

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:04:02 ID:lhPysAyJ


362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:04:24 ID:si0sfVAo
 

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:04:27 ID:FQRalofI
 

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:04:47 ID:1bto2uv+
 

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:05:10 ID:Zpm/ePf1


366 :すべては妹のために(後編)(8/9) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 21:05:18 ID:utU2cSeA
誰かに守られるのは嬉しくて、だけど守ってくれた人が死んでいくのは怖い事。
その人達は自分を守らなければ生き残ったのではないだろうか。
自分のせいで死んだのではないだろうか。
たとえ自分がその隣で精一杯戦っていたとしても、その思いは消えてくれない。
「でも……今度は僕が守るよ」
「え…………」
「ベッキーに頼まれたしね。勇者として約束するよ。僕は死なない」
アルルゥはレックスを見つめた。
「でもレックスも、何度も傷を受けて……」
「もう大丈夫だよ。ほら」
一番深い背中に受けた傷すらも、うっすら痕が残るだけ。ベホマで治したからだ。
(マジックポイントはもう限界近いけど……これだって睡眠さえ取れればなんとかなる。
 ラグナロクは取られたけど、僕には父さんの杖が有る。
 まだだ、まだ大丈夫だ。僕は戦える)
その意志が挫けない限り。
「それより……ごめんね。その手」
「う…………」
アルルゥは自分の手を見つめた。レックスに切り飛ばされた右手首。薄膜を張った断面。
レックスはそこに拾いあげた右手首を当てて、唱えた。
「ベホマ」
右手首が吸い付いた。……だけど。
「…………ダメ、うごかない」
「やっぱり無理か。ごめんね」
右手首は繋がったけれど、制限下ではここまでだった。
アルルゥの右手はもうなにも掴めない。
「……ううん。いい」
それでもアルルゥがそれを恨む事はなかった。だってレックスはもう敵ではないのだから。
だからそれがどんな相手でも恨むことはない。
元居た世界で和解した敵軍の将を恨まなかったように、悲しみと憎しみは別の物だ。
そしてレミリアに対してもまた、別な理由で憎まないでいた。
(ベッキー、レミリアをうらまなくていいって言った)

実を言うとその本質は単なる優しさではない。
それは、精神の余裕こそレミリアに抗する最大の武器になるからだ。
吸血鬼に限らず妖怪は肉体より信念に依存する。
肉の傷みより心の痛み。精神的なダメージが最も致命的な傷へと変わる。
だからレベッカは心の余裕や優しさを手放さない事で戦い抜いたのだ。
レベッカがどうやってその解答に気付いたのかは想像すらできない。
本人に言わせるならば天才だからという答えが返るに違いない。
いや、そもそもレベッカ自身そこまで厳密に理解していたかどうか。

というよりアルルゥも全く理解してはいなかった。
ただその本質だけを感じ取っていた。
「レックス。……アルルゥ、レミリア止めたい」
「……良いよ、行こう。僕はタバサを捜したいけど、どっちも手掛かりはないんだ」
レックスは右手を差し出した。
「あ、ごめ……」
すぐに気づき下げようとしたその手に右手が当てられる。
アルルゥは左手で自分の右手を掴んで、レックスの右手と握手した。
レックスは空いた左手でアルルゥの涙を拭ってやった。
アルルゥが、少しだけ笑った。
「……うん。いこう」

こうして魔物使いの息子と魔獣使いの少女は手を組んだ。


367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:05:32 ID:si0sfVAo
 

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:06:09 ID:lhPysAyJ


369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:06:11 ID:1bto2uv+
 

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:06:15 ID:si0sfVAo
 

371 :すべては妹のために(後編)(9/9) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 21:06:22 ID:utU2cSeA
【E-4/川岸から移動/1日目/夜】
【レミリア・スカーレット@東方Project】
[状態]:魔力消費(中・吸血で回復)全身への魔力ダメージ(中・自然治癒中)飲み過ぎ胃のもたれ
[装備]:ラグナロク@FINAL FANTASY4、グラーフアイゼン(待機フォルム)@魔法少女リリカルなのはA’s
[道具]:なし
[服装]:バリアジャケット・パチュリーフォーム
[思考]:………………。
第一行動方針:基本的に出会った奴は全て叩きのめす。
        フランを殺した奴は=フランより強い=最優先目標。
基本行動方針:島の全て(含むジェダ)を叩きのめし最強を証明する。
※フランドールに関する情報、
『紙の束』『赤い宝石』『レイジングハートと遊ぶ』『喋る杖』『貴女自身の魔法、スペルカードを使ってください』『仮面の女』
を手に入れました。 レイジングハートについて大まかな情報を得ました。
※グラーフアイゼンはレミリアをあまり好いてはいません。


【E−4/森/一日目/夜】
【レックス@ドラゴンクエスト5】
[状態]:疲労、魔力大消費。
[装備]:ドラゴンの杖@ドラゴンクエスト5 (ドラゴラム使用回数残り2回)
[道具]:基本支給品、GIのスペルカード(『交信』×1、『磁力』×1)
[思考]:それじゃ、行こう。
第一行動方針:アルルゥを守りつつ、レミリアとタバサを捜す。
第ニ行動方針:余裕があったら、お城を調べてみたい。
第三行動方針:雛苺に対して対抗心。準備が整ったらリベンジする?
基本行動方針:勇者としてタバサの兄として誇れるよう生きる。でも敵には容赦しない。
[備考]:エンディング後なので、呪文は一通り習得済み
アルルゥや真紅はモンスターの一種だと思っています。

【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:疲労(大)、魔力消費(中)、右腕の手首から先が動かない。
[装備]:タマヒポ(サモナイト石・獣)@サモンナイト3
[道具]:基本支給品(食料−1)、クロウカード『泡』
[服装]:普段着である民族衣装風の着物(背中の部分が破れ、血で濡れている)
[思考]:うん、いこう!
第一行動方針:レミリアを捜して止める。
第二行動方針:イエローを捜したい。
基本行動方針:優勝以外の脱出の手段を捜す。敵は容赦しない。
参戦時期:ナ・トゥンク攻略直後
[備考]:アルルゥは獣属性の召喚術に限りAランクまで使用できます。
    ゲームに乗らなくてもみんなで協力すれば脱出可能だと信じました。
    サモナイト石で召喚された魔獣は、必ず攻撃動作を一回行ってから消えます。攻撃を止めることは不可能。
    梨々のことは「怖くて嫌いなひと」です。
    本能的に、アリス・イン・ワンダーランドに対して嫌悪を覚えています。

飛翔の蝙也の爆薬(残十発)@るろうに剣心
が転がっています。


372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:06:28 ID:FjBRe63M
        

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:07:26 ID:pA3TeySe


374 : ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 21:07:52 ID:utU2cSeA
これにて投下完了、ですが……。
実を言うとあと1レスだけ投下分が有りまして。
特に審議が必要な内容の為、別にしています。
これより投下します。

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:08:47 ID:NVK9ACvi


376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:08:52 ID:1bto2uv+
 

377 :すべては妹のために(後編追記)(1/1) ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 21:08:58 ID:utU2cSeA
月が綺麗だった。
空に浮かぶ月はまん丸で、とても美しかった。
夜風は寒かった。
背中に浸る水の感触がすごく冷たかった。
だけど全身は震えていなかった。
(……ああ。死んだな、これ)
そう思う。体が正常な反応を示していないのだから、多分そういう事だ。
思えば無茶な事をしたものだと思う。
殺されて死ぬことが判っていたのに、体が勝手に動いていた。
……いや、今更言い訳はやめよう。心も動いていた。だから体も動いた。
アルルゥを助けたいと思った。この島に残る最後の仲間を死なせたくなかった。
同じように死んでいった翠星石とジーニアスの為にも。
「ははっ、ほんとバカだな。私もあいつも……」
思わず笑いがこみ上げた。
冷たく麻痺したはずの唇が動いていた。
「…………え?」
指を動かしてみた。確かに動いた。
足を動かしてみた。泥を踏みしめる感触を感じた。
上半身を起こした。
……目の前には静かな水面が広がっていた。
「私……生きてるのか?」
茫然となる。
あそこまで死を覚悟して生き残ったなんて笑い話だ。間抜けすぎる。
いや、生きてたなら万々歳だがそれにしたって理解できない。
「…………なんで?」
レミリアは自分を殺さなかったのだろうか。あれだけ怒り狂っていたのに。
有り得ない。そもそもレミリアが殺さなかったところであの傷で放置されたら直に死ぬ。
それなのに体にはむしろ力が漲るようだった。
そして無性に……喉が渇いた。
「………………水」
レベッカ宮本は水を飲もうと水面に顔を近づけて、気付いた。
自分が何に渇いているのかに。

「…………ああ、そっか」
そうだ、そういえばレミリアは自分の事をそう言っていた。
つまりそういう事だ。この島ならそれが実在している事も今や納得できる。
「そっか、そういう事か。納得した」
レベッカは呻きをあげる。
そして、言った。
「台無しだよ、全部」
生き残って嬉しいはずなのに、溢れた涙は喜びの涙じゃなかった。
涙は水面に落ちて無数の波紋を作り、水面に映ったレベッカの顔を掻き消してくれた。
目が紅く染まり、犬歯を生やしたレベッカの貌を。

伝承は語る。
――曰く、吸血鬼に血を吸い尽くされて死んだ者は吸血鬼となって甦る……と。


【E-4北部/川岸/1日目/夜】
【レベッカ宮本@ぱにぽに】
[状態]:吸血鬼化、疲労(大)、全身傷だらけ(再生中)、血が不足
[服装]:普段通りの服と白衣姿(ただしボロボロ)
[装備]:木刀@銀魂、魔導ボード@魔法陣グルグル!(不安定)、ヒラリマント@ドラえもん(ボロボロだが一応使える)
[道具]:支給品二式、15歳のシャツ@よつばと!を裂いた布、宇宙服(最小サイズ)@からくりサーカス
[思考]:ひどいオチだ……
第一行動方針:??????
基本行動方針:??????
参加時期:小学校事件が終わった後

378 : ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 21:11:37 ID:utU2cSeA
今度こそ投下完了です。
延長に継ぐ延長申し訳有りませんでした。
たくさんの投下支援ありがとうございます。

結構派手で濃い口の話になっていますので、特に最後の1レスについて意見お願いします。
他も拡大気味の解釈が幾つか有りますので。

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:15:59 ID:sjcvq7G9
投下乙
レベッカがマジかっこよすぎる
原作でもこんなキャラなのか?
レックスは改心してしまったか、まぁサラマンダーだったからね
だがそのかわりレミリアがマーダーに
こっちも手負いだがこっちの方が少しはいけるかもね

そして吸血鬼化の件ですが
レミリアは普段は少量を吸っているから対象者は
吸血鬼にならなかったはずなんだよね
しかし、全部吸われたんだから吸血鬼になったから
う〜ん、あれは完全に死んだことにしたいけど
この場合吸血鬼化はやむを得ないか?

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:17:43 ID:FQRalofI
GJ!!
レックス!レックス?レックスゥゥゥ!!?
なんて言うかもうレックスを見てるだけで笑いが込み上げて来るw
いい話なのに、何でこんなに駄目駄目に見えるんだろう、レックスはw

ベッキーが逝ったか…とか思ってたらこう来たか。
これって下手すると吸血鬼大量発生とかなりえないか?

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:22:19 ID:NVK9ACvi
投下乙。
妹繋がりでこう来たか……!
レックスは改心するしレミリアは悪い方向に振り切れちゃうし。アルルゥは許すし。
実に読み応えのあるお話でした。

で……問題の件。
ぶっちゃけ、「吸血鬼」って世界設定によって全然違うんですよね。
弱点とか、二次感染が起こるかどうかとか、「親」の吸血鬼に絶対服従になるのかどうか、とか。
同じ「吸血鬼」扱いでももう全然違う。参考にすらならない。
今後のことを考えると、「東方世界での」設定、詳しく知りたいな、と思ってしまいます。
もし詳細な設定があるならそれの提示を、無いのなら……どうするべきなんでしょう?
そこが不安なだけで、吸血鬼化そのものは禁じ手だとは思いません。

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:23:24 ID:9A/++ViP
投下乙です。

レベッカかっこいいなぁ……
レックスがマトモになった……のか?タバサも戻してやってくれw
まぁレミリアに関しては最初からスタンスあまり定まってなかったしマーダー転向でも別に問題は無いか
……どこぞのメイド長が泣くぞ。いや泣かないか。むしろ喜ぶなw

というかここでレミリアかレックスどっちか死ぬと思ってた。タイトル的に。

最後の奴に関しては……んー……どうしてもロワの禁忌である死者蘇生に関わる以上個人的には無しかなと。
某ロワの如く吸血鬼だらけでもそれはそれで面白いけど。
ただレミリアは飲む血の大半を零すから、吸血鬼化しきれるか?ってところが疑問。

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:24:52 ID:pA3TeySe
大作投下乙!
レミリアの葛藤が非常に綿密でよかったです。
何だかんだ言ってフランの事、気に掛けてるんだなぁ。
そしてレックス…妹の為にコロっと方針変えるなんて、このシスコン!w

吸血鬼化の件はちょうど避難所で話題になってますね。
死亡する前の吸血鬼化だったら問題ないんでしょうけど、復活には否定的な意見が多いようで。
個人的にも死者の復活はちょっと……と思います。

最後にもう一つ。
レミリアの状態欄ワロタw

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:25:37 ID:lhPysAyJ
投下GJ
なんて派手な撃ち合いだ……。こいつら間違いなく歩く環境破壊。
ベッキーかっこええなあ。この漢技はロリキャラの仕事じゃないよ!
放送後はキャラが覚醒しまくるな。元マーダーの二人が組むことになるとは思わなかった。
だがお前ら、自分達がどれほどの参加者から恨み買ってるかわかってるか?
トマなんかから見たら100%マーダーコンビだぞw

吸血鬼化に関しては自分は何も言えません。どちらでもいいとは思うけど。

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:26:22 ID:9A/++ViP
>>381 東方求聞史記では

「主な食事は人間の血液であり、血液を吸い尽くされた人間は死ぬことも幽霊になる事も適わず
 ゾンビとなってしばらく動いた後に日光で消滅する」

とは書かれている。
吸血鬼にはならないのかもね。

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:29:42 ID:9A/++ViP
ごめん、追記。  

「彼女は少食で、多くの血を食べきれず残すため、吸われた人間も死なないで貧血になるだけが多いのです。
 そのため、いつも同族を増やすことに失敗してしまいます」

紅魔郷おまけテキストでこう書かれてるんだわ。
……どっちなんだろう。この場合ゾンビ=吸血鬼(同族)と見るのがいいのかな

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:38:28 ID:NVK9ACvi
>>385-386
おおっと、素早い対応感謝。

ゾンビと呼ばれるなら、犠牲者には吸血鬼と同等の能力は付加されないのかな?
それなら、血や肉を求めるかもしれないけど、二次感染はなさそう。
で、明確に日光が即死級の弱点、と。
その上で「同族」扱いなら、「同族」という言葉が「アンデッド」という程度の意味で使われていて、
吸血鬼>>(超えられない壁)>>ゾンビ、ということなのかも。

吸血鬼の犠牲者がグールなどと呼ばれて
「同族だけど下級の存在」扱いされる設定は結構広く見られますしね。
吸血鬼を増やすためにはただ血を吸うだけじゃ足りずに、いくつか条件と手続きが必要、とか。

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:38:31 ID:V8TExwUs
投下GJ! 業の深い勇者が目覚めて……どうなるんだろww

吸血鬼化に関しては、エヴァと足並みを揃える必要があるように思う。
ベッキーが血を吸い尽くされて吸血鬼化するんなら、
同じ境遇の梨花が吸血鬼化しなかったのが不自然。
それぞれの原作の設定はともかくとして、エヴァのそれが制限されてるんなら、
レミリアのも制限されてるべきじゃないかなぁ。
個人的には好きな展開なんだけどね……。梨花の死亡確定が先だったことだし、
そっちに合わせるべきかと思う。

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 21:47:50 ID:HhOnOTJr
吸血鬼の件はアニロワでもあったなぁ
ヘルシングのセラスが死ぬ寸前のみくるの血を吸って吸血鬼化するという話だったが
流石にややこしくなって無しになったな

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:11:29 ID:si0sfVAo
>>378
投下GJ。最強クラス(実績ボロボロだったけど)の二人の撃ち合いは迫力があった。
やっぱ氏の戦闘描写はうまい。レミリアが放送後何を思うのかずっと気になっていたので
なんかスッキリしました。ドライな反応か暴走するのかどっち?と思っていたら両方とも微妙に外れた…。
で、ベッキーは熱かったなー。放送後はどのキャラもなんか方向性はどうあれ活き活きしてて面白い。

最後のは……エヴァと足並み揃えようにも設定に違いありましたよね?
レミリア:血吸い尽くさないと同族にできないが小食なので基本的には無理。
エヴァ:少量でも血を吸えば同族にできる?(すまん、ネギまの吸血鬼設定あんま覚えてない)

自分としては乱発は困るけど禁止ってのは勿体無いとも思ってますが……。

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:24:57 ID:F8uzxw/1
レックス覚醒ッ!レックス覚醒ッ!
結局は「妹のため」が最優先目標だったのだから、どっちに転んでもおかしくなかったんだよね。
「妹」であるアルルゥとベッキー、レックスと同じように「妹」を持つレミリアが一同に集ったここは
そのきっかけとするにはまさに完璧というか、こうもしっくり来ると狙ってたのか?といわんばかりのシチュでしたね。
レミリアのツンデレというか、ひねくれたというか、素直に泣けない…っていう思考も凄く感情移入できたし、
まさにGJな内容でした。

吸血鬼のほうはどうなんでしょう。レミリアもエヴァも原作知らないから言及できないな…

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:28:09 ID:lhPysAyJ
エヴァは自分の血液を体内に混入させたときのみ吸血鬼化することができる。
参戦作品で言えば禁書、SWあたりもそんな感じ。
レミリアは血を吸って殺した相手が吸血鬼化する。
参戦作品でいえばメルブラの世界がこの方式。結構違ったりする。

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:30:39 ID:/iFpUiDN
投下乙
最強クラスの二人の戦いは燃えた
戦闘描写が素晴らしいな
レックスはやっと勇者に覚醒したかww今までマーダー一人しか殺してない戦歴が役にだったなな
対主催組に新たな火種がww

吸血鬼化は、無しが無難かなと思う
二人も生き返りみたいな事になるし、吸血鬼が便利すぎてしまうな、と
個人的にはレベッカが、格好良くて頂点にいるのでこのまま退場の方が、逆に印象に残っていいとオモ

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:33:10 ID:si0sfVAo
確かにこの散り際はいいな、とは思う。

395 : ◆CFbj666Xrw :2007/11/29(木) 22:33:50 ID:utU2cSeA
レベッカは1〜6巻一気読みした後にロワ内の経緯を考えてかっこよく書いてみました。
あれだ、原作読んでも熱い場面なんてたまに有るような全然無いようなでも少しは有るかも。

>>381
吸血鬼についての設定は既に>>385-386で説明された通り一見矛盾した設定が二つあります。
この二つだけど東方求聞史記は『東方世界に有る同名の本の再現』という形を取っていて、
一部仮説や明らかに間違っている設定も載ってたりします。
その為、この作中では東方求聞史記の方の設定は信じず、紅魔郷おまけテキストであった
「つまり吸い尽くせば同族が生まれる?」という設定に準拠して書いてみました。

ただこれって一度完全に死んでるんですよね。
もう少し様子見ますが、問題有りそうだし最後の1レス部分は撤回しようかと思っています。
その場合は【レベッカ宮本@ぱにぽに 死亡】で……おやすみベッキー。

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:38:11 ID:NVK9ACvi
>>390
エヴァも……正直、分かりにくい。

少量の血を吸うことで半吸血鬼化させることができる、というのは確実。
半吸血鬼の能力も大体分かってる。運動能力が上がって、親には絶対服従。
エヴァ本人の魔力の多寡によって症状が潜伏したりもする。ネギの治療で治すこともできる症状らしい。
いわゆる、死者が復活して〜というものとは別枠で考えた方がいいと思う。催眠術の犠牲者みたいなもん。

ただ、血を吸われたら確実に半吸血鬼化する、というわけでもないのが厄介。
ネギも何度も血を吸われているわけだから。何か半吸血鬼化させるための条件(+α)があるんだろうけれど。
また、死ぬような量の血を吸われたらどうなるかも分からない。
最初のころネギに対して「死ぬまで吸ってやる」とか言ってたけど、ただ言ってただけだし。
エヴァ本人は「真祖」で普通の吸血鬼とは別格であることは何度か強調されてる。
だから、真祖以外に普通の吸血鬼がいるはずなんだけど……。

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:52:26 ID:BxPJxneo
エヴァの吸血鬼化は親への忠誠が伴うから、増殖されたらロワが成立しなくなる。
だから制限対象。
レミリアのそれは彷徨のアンデッドを生み出すだけだから、制限対象外。
――というなら納得できるかな。

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:03:07 ID:oKdgVOKY
投下GJ!
紅魔郷で散々苦しめられたお嬢様が帰ってきやがった
いいぞもっとやれ
レックスは勇者としての心意気を取り戻したのはいいんだが
割と多くの人から危険人物とみなされてるから後々大変そうだな
あと妹さんがかなり命を軽視してんのが何ともw
各人各様の心理描写も良かったです

吸血鬼化(アンデット化?)については俺はこのままでもいいかなと
仲間を生かす為に覚悟を決めたベッキーが衝動とどう折り合いをつけようとするのか見てみたい

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:14:54 ID:4XhHfk/B
投下GJ!
レックス覚醒キタコレ!
レミリアの素直じゃない方針もおもしろい!
ベッキーはかっこよすぎる死に方だったからこのまま退場してほしいな
この最期は映える

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:28:30 ID:in8kfy3w
これは面白い、GJ!
レミリアの苦悩が丁寧に描写されていて何ともいえない気分に

ベッキーは格好良くここで退場してほしい
……と思う反面退場したい時に退場できないというやるせなさもLSロワらしくていいと思う
うん、生き残ってくれた方が嬉しいかな

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:40:38 ID:G5D/VohY
投下GJ
レミリアの心理描写がいいな
正直レミリア死ぬと思ったけどマーダー化とは!なのはさんだっけ、仇
レックスがまともだWW
タバサが強力すぎるせいか。レックスはザオリク使えないから、ちゃんと理解してるんだな
戦闘は熱かった。

吸血鬼化はどうだろー
書き手の腕に左右されそうな問題だね。
エヴァとレミリアの吸血鬼の設定がバラバラなら、ややこしくなるからやめたほうが良いような
吸血鬼についての設定が共通だったら分かりやすくて良いんだけど、作品の壁が!

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:48:00 ID:in8kfy3w
ちょw冤罪wwフラン殺したのはヴィクトリア

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:50:02 ID:si0sfVAo
⌒*(・∀・)*⌒「あ、ありのまま今起こったことを話すの。『それでも私はやってません』
         な、何を(ry

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:55:53 ID:G5D/VohY
まじかwww間違えた

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:56:43 ID:0y6qCoTf
なんか、真っ二つに意見が割れてるねww
まとめてみると、

否定派
・死者復活は禁じ手っぽい。
・梨花の方は死んでるし、設定がちがうからややこしくなる。
・ベッキーの散り様が美しい。

肯定派
・吸血鬼化そのものを禁じ手にするのは惜しい。
・レミリアの場合下僕にはならないから、ロワ運営を支障しない。
・ベッキーの苦悩はドラマになる。

こんな感じかな?

406 : ◆CFbj666Xrw :2007/11/30(金) 00:00:01 ID:hqvLSUFg
最後の部分、撤回しようと思ってたけど肯定派も割と居るんですね。
もうちょっと意見の様子見てみます。

407 : ◆JZARTt62K2 :2007/11/30(金) 00:25:48 ID:6cBRp2rp
したらばの修正スレに【ファンブル】の修正版を落としました。
変更点としては次の二点です。

・エヴァの衰弱具合を更に強調
・エヴァは梨花を殺す気はなかったが、手加減を間違えて殺してしまったことに

なお、「力を入れすぎて梨花の首をへし折った」としたため、吸血鬼化の制限に関係なく梨花の死亡は確定します。
つまり、>>405

>・梨花の方は死んでるし、設定がちがうからややこしくなる。

については削れます。私の書いたものについては考慮しなくてもOKです。

並行議論は混乱を招くため、修正に対する反論・意見は避難所でお願いします。

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 00:41:20 ID:doeSl9WF
首は痛い…修正乙。

投下も乙!
読み応えがあったぜ。
レックスは妹好きすぎだろww自重ww
吸血鬼化はどっちでもいい

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 01:36:53 ID:mKAFLcDO
レックス萌え
今更改心しても暴れすぎたし妹はあんなだしで前途多難だろうが頑張れw

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 01:51:21 ID:umCS3bN1
これで対主催相関図がさらにカオスな事に…

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 05:34:16 ID:8DpcgoMi
吸血鬼化は、見てみたいなぁ。
服従状態でないのなら、問題ないだろうしw

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 10:51:05 ID:covcCKIe
全妹達の希望の星!
シスコン勇者爆誕!!

レックスなら魔王やら撲殺天使やらになってる
魔法少女達を救ってくれると信じてるよ。

まあ救えたら、その時点で死亡確定だろうけど…


413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 11:35:04 ID:VcyEAH4r
遅れて言いたいことは全部取られてるが、二転三転する話にびびった!GJ!!

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 11:41:36 ID:VcyEAH4r
あと吸血鬼化については、主観で無い方がきれいかなと思った。

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 12:29:47 ID:YNVIF7jc
結局は好みの問題になるかな
ナシだと話として美しいけど、今後吸血鬼化は難しくなる
アリだと面白くなりそうだけど、東方に子吸血鬼の設定がほとんどないから扱いに困るかもしれない

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 14:05:15 ID:Ucsqq+53
救いようがない方がロワらしいじゃないか。吸血鬼化ありに一票。

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 15:47:16 ID:f6ltQO8T
なし派で一票で。
あんまり吸血鬼が大量発生したりすると困るだろうし。

418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 15:57:40 ID:7nfwtMGz
ありに一票。

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 16:12:08 ID:9u3pgWPQ
CF氏の判断に一存、なんてのは自分の意見がなさ杉か。
とはいえここまで割れてると、最終的には作者の意思次第って話になりそうな。投票しても仕方ないし

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 16:42:25 ID:ADdPDJSk
>>406
GJです。相変わらず全キャラを活躍させているのが凄い。
アルルゥ可愛いし、ベッキーもレックスも格好いい。
しかし、タバサはレックスのマーダー化をあっさり許しそうだと思うのは、
私だけでしょうか?

あ、アイゼンにはヒビが入ったので状態表にダメージを追加した方が良いと
思います。

吸血鬼化については、後出の設定では無いようなので無しに一票。
吸血鬼化は面白いと思いますが、結局のところ、リレーしやすいのが一番だと思います。

>>407
修正乙です。ミイラ化が修正されたのに、悲惨さは全然減ってないあたりがGJ。

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 16:42:45 ID:Ucsqq+53
俺の書き方がまずかったのかごめん、投票するつもりはないよ

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 16:47:45 ID:kMbDaivy
どちらになっても、違う味わいがあるから困る。
ルール上の問題は無いんじゃないか、とは思うが、それ以上は何とも。

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 16:58:15 ID:rZv9BceH
同意…だからこそ悩む。前の話で死亡確定したのが
生き返ったのならともかく、今回もグレーテルのも違うからなー。
他にも懸念されていることへの反論はあるけど、
今は時間がないし、自分はどっちに転んでもいいと思っている。

424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 16:59:47 ID:ADdPDJSk
>>406
そうそう、レミリアがコウモリ化してギガデインを避けたみたいですが、
首輪解除に使えないように、状態表に追記とかした方が良いです。
案1 コウモリ化しても、その内の一匹に首輪が付いており、それが弱点になる。
案2 コウモリ化すると、首輪も分裂する(白レンの場合に準拠)
案3 コウモリ化は出来ない。

あたりがいいのでは無いかと。何度もすいません。


425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 17:32:54 ID:/f7HsPU8
レミリアは本来小食だし毎回吸血をして殺すわけではないから吸血鬼化は有りでいいと思うな
まぁ何度も吸血して吸血鬼大量発生なんてのがあったら問題かもしれんが…

あと関係ないけどヘルシングのアーカードって今ロリになっているんだよな
もし参加していたらおっそろしい吸血鬼大戦が勃発していただろうね…

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 17:46:06 ID:1nyaM1Z9
在 日 参 政 権 付 与 反 対 デ モ に 来 れ る 者 援 軍 求 む !
http://sports11.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1196265306/

外国人参政権がなぜいけないか
http://jp.youtube.com/watch?v=reIRrRDzFxE
【政治】 「放置すると、日韓関係にヒビ」 外国人参政権付与、成立への流れ加速も…公明に各党同調、自民反対派は沈黙、首相次第か★20
http://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1196405135/

この法案が成立したオランダじゃ、永住イスラム人がどんどん増え
そのせいで今もどんどん文化と国そのものがぶち壊されちまってる。
そして、オランダ以外のこの法案が成立した国々でも全く同じことが起こってる。

永住外国人にはかなりありがたい法律だけど、国民にとっちゃ百害あって一利なし。

そ ん な 悪 法 が 日 本 で も 成 立 し よ う と し て る ん だ。

こんな大事になのに、マスコミは沈黙を決め込んでいる。
だから 俺らの力で何がなんでも阻止しなきゃならない。
     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
このコピペをみた奴はMixiや自分のブログにこのことについて記事を書いてほしい。
どんな簡単な記事でもいい。アドレスを貼るだけでもいい。
もしくは、このコピペをどっかに投下するのでもいい。
とにかくどんな方法でもいいから、できるだけ多くの人にこのことを伝えてほしい。


お願いだ。今回は冗談抜きで日本の未来が危ない。

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 18:32:02 ID:/jty0NJZ
出来がいいから有りとか、無しとかはあんまり考えない方がいいと思うな。

出来がいいからって、こういうのを通していくとgdgdになりそうな気がする。

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 18:47:19 ID:Je/dKBM1
誰も話の出来で判断なんてしてないだろ
別にgdgdになるなんてことも無いと思うし

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:14:37 ID:q1EU7vhC
出来がいいからって理由で押すなら、何の迷いもなく吸血鬼化反対派に移れるんだがなー。
死に際の出来を考えればここで死んだほうが美味しい。


430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:14:55 ID:kMbDaivy
666さんの議論の途中にすいません。
JZ氏の修正は>>407で決着ってことでいいんでしょうか。
もしいいなら、予約考えてるんですが。

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:21:19 ID:q1EU7vhC
予約……だって? どっちの組だろう?
実は俺も予約考えてます。インデックスヴィータのほうで。
もし被ったなら予約時間決めて早い者勝ちってところですかね?

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:22:37 ID:CqN+J9iw
SS見た直後は反対だったけど…ちょっとベッキーの悲壮さを見てたら考えが変わった。
それなりに強力な制限が加わるのであれば賛成かな。
例えば「吸血鬼一人につき一人、最初に吸血鬼化させたキャラ以外には無効・二次感染も無し」とか。

でもやはり、最終的なベッキーの生死は666氏の判断に委ねたい。
あの部分を残しても削っても、考えた末の決断なら俺は支持します。


>>430
特に修正に対する文句も出ていないし、問題もキレイに片付いているのでOKではないでしょうか。

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:23:02 ID:q1EU7vhC
っと、ごめん。偉そうだった。被ったら先に名乗りあげたそちらにお譲りします。

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:25:56 ID:kMbDaivy
>>431
ありゃ。どうしましょう。完全に被ってますね、それ。
(こっちもインデックス・ヴィータ+α)
いや、考えやすい所ですけど。

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:30:09 ID:kMbDaivy
ってリロードしてなかった orz
>>433
本当にいいんですか? そりゃ、言うからには書きたいですが……

……予約制度、ちょっと整備しなおした方がいいかもしれませんね。
例えば、「投下や修正後きっちり24時間は修正申請受付期間」とか、
「その間はその組の予約なし」とか、「修正申請や議論がないようなら24時間後から予約OK」とか。
いや、適当に今考えただけですが。

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:32:57 ID:q1EU7vhC
>>434-435
何ということだ……。まぁ確かに考えやすかったですねw
あ、今予約とっても期限内に書ききるか未知数だったので、こっちのことは気にしなくて結構です。
今までこんな短い間に同パートの予約入ることなかったもんな。

437 : ◆sUD0pkyYlo :2007/11/30(金) 21:35:35 ID:kMbDaivy
申し訳ありません。では、お言葉に甘えて。

インデックス、ヴィータ、シャナ、双葉、紫穂、アリサ、 以上6名 予約します。

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:36:56 ID:q1EU7vhC
やっぱり面子も丸被りだったぜ。期待してます。

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:39:55 ID:CqN+J9iw
>>437
期待!!

そしてID:q1EU7vhC氏、乙……

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:12:51 ID:oF1Sxyqq
うわ、いきなりはやて殺しの下手人がヴィータにばれそうだ。
怖いけどwktk

441 : ◆IEYD9V7.46 :2007/11/30(金) 23:25:32 ID:q1EU7vhC
ヴィクトリア予約します。せっかくの休みだし思いついたものは書いておこう。

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 23:38:58 ID:IpX6shBo
話題の仇、登場ww
期待。

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 23:42:37 ID:kMbDaivy
って貴方だったのかw
期待

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 00:25:29 ID:NywORa8j
死に場所を奪われたベッキーの苦悩の様子、というのもドラマになりそうです。
ので、吸血鬼化は有りでいいと思います。

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 00:30:46 ID:PaTBNt+k
日に当たると死ぬ、という設定なら良いかもな
数時間に限定できるし

個人的にミミ辺りに接触して、朝になって目の前で干からびてトラウマを植え付けて欲しい

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 01:21:51 ID:yC0i80UF
吸血鬼化は扱いにくくなる危険性もあるし……うーん
個人的にはもう666氏に決めてもらっていいと思う
どっちにしろ矛盾は出ない
好きな結末にしちゃってください、それなら文句もない

447 :sage:2007/12/01(土) 03:27:11 ID:BA048Qp4
 そういえば、今予約待ちのキャラってどんな奴らでしたっけ?

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 10:26:00 ID:FKyZN88h
予約済み
(インデックス、ヴィータ、シャナ、双葉、紫穂、アリサ)、ヴィクトリア

未予約
「放送後未行動」
(リルル、トリエラ)、ミミ、(メロ、ニケ、ブルー)、一休、グレーテル、
(パタリロ、キルア)、ニア、弥彦、千秋、小太郎、(蒼星石、タバサ)、
(グリーン、リリス)、(ベルフラウ、イエロー、金糸雀)、みか、小狼、
(ククリ、ひまわり)


「夜行動済み」
なのは、イヴ、エヴァ、リンク、(雛苺、さくら)、梨々、トマ、葵、ベルカナ、
のび太、(レックス、アルルゥ)、レベッカ(*1)、レミリア

*1:修正次第で死亡

第1回定時放送後の死亡者
死亡者:殺害者:死因
白レン:なのは:頭部破壊
古手梨花:エヴァ:首骨折
レベッカ:レミリア:吸血(*2)

*2:修正次第で吸血鬼化。

漏れがあったらスマソ

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 11:22:52 ID:npx6cVSy
>>448
カッコで括ってるのは、そのセットで動かさなきゃならない所か。
案外バラけてきてるんだな。

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 14:05:59 ID:FKyZN88h
はやて死亡の全てを知っている支給品ルビーちゃんとはやての復讐に燃えるヴィータが接触するわけだから、
なのは包囲網がさらに強くなりそうだな。
さて、放送を契機に引き篭もり約2名は積極的行動を起こしてくれるかな。

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 16:13:41 ID:PaTBNt+k
結構バラバラなんだな
書き手さん頑張ってるな

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:23:49 ID:2CSr+uLH
う〜ん、大集団を形成してのドラマも見てみたいけどな。
某ロワのマンション組の様に。

453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:25:58 ID:E7wsy9aF
Fラインは十分大集団のドラマだった気がするが

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:30:55 ID:RJuqacex
>>452
あれは参加人数が多いから生まれた話だから……ってここも最近のロワの中では大人数のほうだった。
もう少し人数減ったり状況が落ち着けばそういう話する余地も出るんじゃないかな。
初期はともかく今なら書き手のキャラ把握数もだいぶ増えただろうから、多少は無理利くようになるかもしれんしね。
自分も今の生存者なら7割くらいは多分書ける。

>>453
あれはリレーの流れが良かった。タイトルも統一感あるし。
他にも学校あたりはいろいろあったね。

455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:32:52 ID:npx6cVSy
位置的にはバラけても精神的には繋がってる面々も多いし。
ま、バラけた先で悲惨なことになったり、バラけて行く方向間違えてたりするんだけど

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:43:56 ID:EKfLtshL
一つの話の中では大人数になることも多いでしょ。
現在ばらけてるのは「単独でも話が作れる」のであって「大人数で話が作れない」わけじゃない。その話の冒頭で集めりゃいいんだから。

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:48:35 ID:FKyZN88h
暴走、誤認、誤殺、マーダーからの転向、過激思考で対主催陣営がカオスだからな。
多人数集まる展開が乱戦以外思い浮かばないんだけど。

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:09:01 ID:PaTBNt+k
個人的にはタバサ教に期待してるww
ドラクエが好きになった

知らない作品も多いから誰がどのくらい強いのかワカンネ
状況によって変わるだろうけど、上位層ってどの辺?

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:16:24 ID:ngzhOMJs
強さ関連は色々と荒れるから控えた方がいいと思うんだぜ
超人、一般人、その間に分けるくらいなら全然OKだと思うけど

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:24:02 ID:RJuqacex
前にランキングはやめるべきってあったからな……。ということで戦えそうな連中の得意距離くらいで分けてみた。
支給品や状態も考慮したけど主観入りまくりで全く意味はないが。

近距離
蒼星石、小太郎、アリサ、イエロー、グリーン、ニケ、ヴィータ、リンク

遠距離
リルル、なのは、アルルゥ、ベルフラウ、一休さん、トマ、葵、ベルカナ

遠近対応
トリエラ(ただし銃の残弾がやばい)、ヴィクトリア(魔法が実用に足るか微妙)
タバサ、イヴ、レミリア、レックス、雛苺、リリス、グレーテル(ただし銃の残弾がやばい)
キルア、パタリロ(?)、エヴァ、シャナ、紫穂(?)

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:26:48 ID:npx6cVSy
能力制限もあるし、書き手の都合もあるし、強さランキングはロクな結果を呼ばないよねw
wikiのキャラ紹介は結構参考になる。

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:29:44 ID:yC0i80UF
強さなんて状況によっていくらでも変化するしな。
アリサやみかなんて本来戦闘力はないけど支給品のおかげである程度戦える。
逆に、ヴィータやリンクなんかは碌な武器持ってないせいで真価を発揮できない。
ガチバトルでなく奇襲が得意なトリエラとかコンビで実力を発揮するグリーンとか特殊なやつもいる。

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:34:27 ID:PaTBNt+k
禁止話題だったのか、すまん
キャラ紹介熟読してくるよ

464 : ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 09:06:01 ID:nxO04lY9
予約分、お昼前の11時頃からの投下を考えています。
時間のある方、支援よろしくお願いします。

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:08:14 ID:2NIajSjT
了解です

466 : ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:01:06 ID:nxO04lY9
では、投下を開始します。

今回、前後編の2本立てです。
なお実験的試みとして、前編と後編でタイトルを変えています。
では。

467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:02:12 ID:9oJ7I2rt



468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:02:27 ID:2NIajSjT
 

469 :血と涙は―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:03:36 ID:nxO04lY9

 暖かな部屋に、みんなの笑い声が響く。
 なのはがいる。フェイトがいる。はやてがいる。すずかがいる。トマもいる。もちろん、自分もいる。
 和服の上に割烹着を着た、紅い髪の女性もいる――初めて見る顔だが、よく知ってる存在だと直感できる。
 みんな、笑ってる。楽しそうに、笑ってる。

      (これは、夢だ)

 「あ、そうそう、大したものじゃありませんけど、これ、お土産です。
  以前僕が店を開いていた町で、人間が着てた服で……」
 「へ〜、変な服やなぁ。って言うか……着ぐるみ? ハロウィンの仮装? ま、ちょっとみんなで着てみよか」
 「ちょっとトマ、こっちの腰ミノは何よ! アンタまさか、私たちにこれを着ろって言うんじゃないでしょうね!?」
 「え? あれ? なんで『あの踊り』の衣装がここに……? 僕、入れた覚えないんですけど?!」
 「キタキタ」
 「ん? 何か聞こえた?!」

 あの悪夢のような「殺し合い」から、みんなで力を合わせて無事に脱出して。
 なのはやフェイトの知り合いの力を借りて、次元を超えた異世界からトマたちが遊びに来て。
 いつもの平和な海鳴市。遠くから来た友達を迎えての楽しいパーティ。
 はやてが腕を振るった豪勢な料理が、テーブルに並んでいる。美味しそうに湯気を立てている。

      (でも、夢でいい。いつまでもこのまま、『ここ』で楽しく……)

 「トぉ〜マぁ〜〜!? あんた、また私の裸覗くなんて、いい度胸じゃない……!
  どんな目に会うか、分かってるんでしょうねぇ……!」
 「ウフフ、バレちゃいましたね〜トマさん♪ せっかく私が気を引いてあげてたのに♪」
 「の、覗くつもりは無かったんですぅ〜〜! 本当ですってばぁ〜〜!」
 「許さ〜〜ん! ってかルビー、アンタも笑ってるんじゃないわよッ!!」
 「ちょ、ちょっと、アリサちゃん、そんなにしたらトマが……」
 「大丈夫よフェイト。コイツ、この程度じゃ全然反省なんて――」

 怒ってはみせても、それはやっぱり平和な光景。
 暴れる彼女も笑っている。止める周囲も笑っている。ボコボコにされるトマも笑っている。
 いつまでも続いて欲しい、幸せな時間。
 あまりに幸せ過ぎて、涙が出てくる。

 それでも、彼女は。

      (……そっか。それでもやっぱり、――は笑えないんだ)

 ふと、気が付いてしまった。
 輪の中に居ながら、ただ1人笑っていない親友の存在に気が付いてしまった。
 発言もせず、笑いもせず、暖かな部屋の中、凍りついたような表情で佇む少女に、気が付いてしまった。

      (……夢の中にいたい。いつまでもいたい。でも……!)

 この幸せな夢の中でも、――が笑えないなら。笑うことができないなら。
 アリサ・バニングスが取るべき道は、きっと……!

        *     *     *

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:04:04 ID:2NIajSjT


471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:04:52 ID:2NIajSjT


472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:04:54 ID:lezdyECe
 

473 :血と涙は―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:05:18 ID:nxO04lY9

『 ――では、次の放送は午前六時の予定だ。その時にまた会う事にしよう。 これにて放送を終了する。 』

(……ふぅ)

急速に明るさを失っていく空の下、焼け跡の真ん中で、杖に宿った人工精霊は声も無く溜息をつく。
第一回目の、定期放送。その内容は実に大変なものだった。
契約者が動けない今、知恵ある杖は頭の中でその内容を反芻する。

禁止エリアは――まあ、大丈夫だろう。
現在地も東西南北も正確には分からないが、ここからは森と山脈、広い道路が見える。
地図を思い出せば、当てはまりそうなのは島の西側、中央近くやや北寄り。A−4かB−4あたりだ。
そして先ほどの放送では、この近くは呼ばれていない。隣接してはいない。

(少し歩いたくらいでは、禁止区域を踏むことはなさそうですね〜。
 メモも取ってないですから、もういちど誰かと確認したいですけど)

それよりも気になるのは、呼び上げられた死亡者。
その数実に、37人。ジェダは笑って喜んでいたが、杖にとっては全然愉快でも何でもない。
そして、呼ばれた名前もまた問題だ。

トマの仲間の1人であるという、ジュジュ・クー・シュナルム。
アリサの友人の1人、フェイト・テスタロッサ。
そして、目の前でその「消滅」を目撃してしまった、八神はやて。

失われたものは多い。あまりに多すぎる。
はやての「家族」であるヴィータの名前は呼ばれていなかった。
シェルターで待つトマの名や、トマの仲間のニケ、ククリ、トリエラの名も呼ばれてなかった。
それらのことは、僅かに残された希望と言ってもいいだろうか。
けれども、危険人物であるレックスの名は呼ばれていない。アルルゥの名も呼ばれていない。

そして――放送中に示唆された、優勝者の権利。
これだけの死人が出ていれば、大切な人を失った者も少なくないだろう。
そのうち何割かは、ジェダの言葉によって、悪い方向に心を決めてしまうに違いない。
つまり、危険人物が一気に増える。

先ほど、放送直前に来た金髪の少女は、ルビーの話術とハッタリによって、なんとか遠ざけることが出来た。
けれども、あんな風に上手く行くことなど、そうそう無いだろう。
アリサは相変わらず、無防備に仰向けに倒れたまま。ピクリとも動かない。

こんな状況で、自分は……
愉快型魔術礼装カレイドステッキに宿る人工精霊マジカルルビーは、契約者アリサを守れるのか。

らしからぬシリアスな問題に、ルビーは悩む。思い悩む。
契約者がこんな状態では、彼女にできることは何1つ無くって。杖は心の中で小さく呟く。

(まあ、アリサさんが眠っててくれたのは不幸中の幸いでしたね。
 壊れかけのアリサさんがあんなものを聞いてたら、私としてもフォローのしようがありませ……)
「…………るびー? ねぇ、るびーさん。
 ちょっとききたいことがあるんだけどー」
『!!』

――それは、唐突だった。
急速に暗くなっていく空の下。森が焼き払われた焼け跡の真ん中で。
平坦な、感情のない声が、上がった。

        *     *     *

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:05:24 ID:NYOGVKzz
 

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:05:39 ID:9oJ7I2rt



476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:06:17 ID:lezdyECe
 


477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:06:40 ID:NYOGVKzz
 

478 :血と涙は―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:07:04 ID:nxO04lY9

「……いまさー、よばれたよねー。はやてと、ふぇいとー。ほうそうで、しんだってー」
『…………ッ!』
「わたしのききまちがいじゃ、ないよねー」
『…………』
「あと……はやてころしちゃったの、やっぱりなのはなんだよねー。よくわかんないけどさー。ちがうー?」
『…………ッ』

アリサの問いに、ルビーは答えられない。
まさか、あの放送を聞いていたなんて。すっかり寝てると思ってたのに。
まさか、あの瞬間の様子を覚えているなんて。完全に把握しているわけでもないようだけど。
肯定してしまったらどうなるのか。
否定してしまったらどうなるのか。
ただでさえ壊れかけたアリサの心は、いったいどうなってしまうのか。
アリサのことを思うからこそ、ルビーは答えられない。沈黙するしかない。

「もしもーし? るびー? きこえてるんでしょー。こたえなさいよー」
『…………』
「あんた、つまんないじょーだん、いっぱいいってたけどさー。だいじなところじゃ、うそつかなかったわよねー。
 だから……こたえて。ほんとうのことを、いって」
『…………』
「あたしのしつもんに、こたえて」
『…………』
「こたえて」
『…………』
「答えて」
『…………』

アリサの詰問にも、ルビーはすぐには答えられない。
確かに自分は冗談と悪意と猛毒を煮詰めて作られたような存在だ。存在自体が悪い冗談だ。
しかし同時に、誇りはある。プライドもある。正義の心もある。小恥ずかしいから絶対に認めたりはしないけど。
そんなルビーの本質を見抜いたかのような言葉をかけられたら……
これ以上、沈黙を守ることは、できなかった。
たとえそれでアリサが決定的に壊れてしまったとしても、彼女の信頼を裏切ることはできなかった。

『…………はい。
 私も、聞きました。私も、見ました。
 放送で、お2人の名前は呼ばれましたし……あの攻撃を撃ったのも、たぶん、なのはさんです』
「…………そっか」

絞り出すようなルビーの返答に、少女は再び黙り込む。
親友たちの死を知って、何を感じ何を考えているのか。
相変わらずの呆けたような表情のまま、沈黙を続けること、数十秒。

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:07:32 ID:9oJ7I2rt



480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:07:53 ID:NYOGVKzz
 

481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:08:36 ID:NYOGVKzz
 

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:08:36 ID:lezdyECe
 

483 :血と涙は―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:08:59 ID:nxO04lY9

大きく深呼吸1つした少女は、そして、大声で叫んだ。


  「 もう、たっぷり泣いた!
    もう、たっぷり笑った!
    もう、たっぷり落ち込んだッ!!
    もう十分よっ! 泣くのも悲しむのも呆けるのも、もう十分ッ!! 」


それは、赤子の産声にも等しい、新たに生まれ変わるための叫び。生命力に溢れた爆発。
叫び終わると同時に、一挙動で起き上がる。跳ねるようにして、立ち上がる。
しっかりと刀を握り締めた少女の顔は、もう呆けてはいない。
いつもの勝気な表情に、僅かに強がりと涙の跡を残したまま、彼女は力強く宣言する。

「いくわよ、ルビー!」
『ど、どこに行くんですか、アリサさん!?』
「なのはを追うに、決まってるじゃない!
 あの子に追いついて、なんなら1発くらい殴ってでも、止めてやらなきゃ!
 私がやらなきゃ、誰がやるって言うのよ!」

        *     *     *

さっきまで見ていた夢の内容は、よく覚えていない。
幸せな夢だったことしか覚えていない。
それでも、確実に覚えていることがある。確実に言えることがある。

(あの子が笑ってくれるなら、あのまま夢の中に居てもよかった。
 でもダメ。なのはは、あのままじゃ絶対に笑えない。笑うことができない。
 そんな夢……いくら幸せでも、真っ平御免だわ!)

アリサ・バニングスと高町なのはは、親友である。長い付き合いである。
第一印象は最悪だった。激しいケンカで始まった関係だった。
友人となってからだって、衝突したことは幾度となくある。
けれど、だからこそ、彼女は知っている。
高町なのはの魂のあり方を。
こういう局面で彼女がどう考え、どう自分を追い詰め、どういう方向に暴走してしまうかということを。

484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:09:21 ID:NYOGVKzz
 

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:09:31 ID:9oJ7I2rt



486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:09:35 ID:2NIajSjT


487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:09:55 ID:NYOGVKzz
 

488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:10:05 ID:lezdyECe
 

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:10:14 ID:2NIajSjT


490 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:10:49 ID:NYOGVKzz
 

491 :血と涙は―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:10:56 ID:nxO04lY9

最後に別れた時、アリサを突き飛ばして飛び去っていったあの時。
なのはは、泣いてはいなかった。
涙も流さず、懺悔もせず、ただ吼えた。
大声で吼えた「だけ」だった。
あの時、彼女があんな行動を取らなければ、アリサももっと早く立ち直れたかもしれない。
謝罪の言葉の1つでもあれば、なのはを恨むことで楽になれたのかもしれない。

でも、今なら分かる。
なのはは決して、悲しくなかったわけではない。後悔してなかったわけでもない。
あまりの衝撃に、心を凍らせるほかなかったのだ。
泣く気も起きなかったのではない、泣くことさえ耐え切ってしまったのだ。
その強靭な精神力で。強靭過ぎる意志力で。
今さっきの放送でフェイトの死を知ったとしても、彼女はきっと揺るがないだろう。
むしろ、ますますその態度は頑ななものになっていくはずだ。
涙をこらえて、その身が滅びるまで暴走を続けて、たぶんまた同じような悲劇を繰り返す。

(だけど……泣きたい時にも泣けないなら、笑いたい時にも笑えなくなるじゃない!
 あのバカ、この先ずっと「はやてのせい」にしてニコリともしないつもり!? 冗談じゃないわよ!)

きっとなのはは、「はやてのためにも頑張らないと」と思っているはずだ。
その犠牲を単なる無駄にしないためにも、ここで折れるわけにはいかない、とでも思っているはずだ。
けれど、それは違う。絶対に間違ってる。
その態度は、実は辛いこと苦しいこと全てを「はやてのせい」にしてしまうようなものだ。
はやての犠牲を「言い訳」に使われたのでは、はやてだって浮かばれまい。

(何より……1人で突っ走ってんじゃないわよ! 1人で背負い込んでんじゃないわよ!
 これじゃ、何のための友達よ! これじゃ、何のためにルビーと契約したんだか、分かんないじゃない!)

悲しい時に共に泣き、楽しい時に共に笑う。それが親友というものであるはずだ。
だから、1人で頑張ろうとするなのはの後姿が、アリサには我慢できない。
無理して、涙を堪えて、暴走していく彼女のことが、許せない。

今のアリサには、力がある。
借り物の力でしかないが、なのはをサポートし、なのはと共に戦える力がある。
何より、なのはを止められるかもしれない力もある。

 『はやてさんとアリサさんには力があります。
  戦うための力はもちろんですが、一番強いのは『安心』を与える力だと思うんです』

トマの言葉が脳裏に蘇る。
その言葉を一緒に聞いたはやては、もういない。でも彼は、アリサにもその力があるのだと言った。
なら、頑張るしかないではないか。自分にその力があると信じるしかないではないか!

        *     *     *

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:11:20 ID:NYOGVKzz
 

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:11:21 ID:9oJ7I2rt



494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:11:54 ID:lezdyECe
 

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:12:11 ID:2NIajSjT


496 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:12:35 ID:NYOGVKzz
 

497 :血と涙はもう要らない ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:12:56 ID:nxO04lY9

「なのはに追いついて、なのはを捕まえて、あの子の頭をきっちりと冷やしてやる!
 ちゃんとこのはやての腕に謝らせて、ちゃんと泣かせて、この先ちゃんと笑えるようにしてやるのよ!
 そのためにも……ルビー、改めてお願いがあるの」
『なんでしょう?』
「私に、力を貸して。私には、ルビーの力が必要なの。
 愛と正義(ラブアンドパワー)の名の下に、面白おかしく笑って過ごさせるのがあんたの本分なら……
 これからしばらくの間は、面白くもおかしくも何ともないかもしれないわ。
 でもきっと、これはなのはが笑顔を取り戻すのに必要な過程。だから」

急速に暗くなっていく空の下、アリサ・バニングスは凛々しい表情で言い切る。その瞳に、迷いの色はない。
特別な力を持っているわけでもなく、特異な生まれ方をしたわけでもない。
衝撃的な事件を前に落ち込んで、現実逃避に走ってしまうような弱さも持つ少女。
それでも、アリサは立ち直った。
自分の力で、自分のためではなく親友のために、立ち直った。
こんなにも「強い」少女にカレイドステッキが支給されたのは、きっと偶然なんかじゃない。
もっと大きな、別の何かだ。

ルビーはふと思う。ある小さな一言を思い出す。
自分に向かって言われたあの言葉は、ひょっとしたら、自分だけに宛てたものでは無かったのではないか?
その性格を知り尽くした親友に向けての言葉でもあったのではないか?
そう思ったら、自然と口が開いていた。

『……はやてさんから、伝言があります。最期に遺された、遺言を預かっています』
「え?」
『ただ一言、『たのんだよ』、とだけ』

短い伝言。それを聞いたアリサの顔が、一瞬歪みかける。涙が零れかける。
けれどもすぐに彼女は強気な笑みを取り戻す。頑張って強がって、不敵な笑みを作る。
目の端に綺麗な雫を溜めながら、それでも立ち上がる。

「分かったわ。任されてやるわよ。一切合切、全部任されてやるわよ!
 さあ、行くわよルビー! なのははどっちに行ったの?!」
『あっちです! 右の方の森の奥に向かって……!』

アリサ・バニングスは歩き出す。
ルビーに導かれて、闇に覆われつつある深い森に分け入っていく。
このまま進んでも、高町なのはは居ないかもしれない。もう別の方向に進んでしまっているかもしれない。
それでも、前に進む。
進まないことには、なのはには追いつけないから。
ここでじっとしてても、ここで現実逃避を続けていても、なのはを救うことはできないから。

もう、これ以上は要らない。
血と涙は、もう要らない。
これ以上無駄な血が流される必要はない。これ以上ここで泣いている意味もない。
いつかみんなで笑い合える未来を手にするために、アリサは再び歩き出した。


498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:13:26 ID:9oJ7I2rt



499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:13:49 ID:NYOGVKzz
 

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:14:16 ID:lezdyECe
 

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:14:32 ID:NYOGVKzz
 

502 :血と涙はもう要らない ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:14:45 ID:nxO04lY9

【B−3/森の中/1日目/夜】

【アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:全身に軽い火傷(右腕・顔は無事)、左腕から出血(打撲、軽度)、背中から出血(切り傷、深い)
    上記の怪我は全て応急処置済み。
    精一杯の強がりと確固たる意志。
[装備]:贄殿遮那@灼眼のシャナ、カレイドステッキ@Fate/stay night
[道具]:ヘルメスドライブ@武装錬金(破損中、使用者登録なし、再使用可能時間不明)、
    支給品一式(ランドセルの右の肩紐破損)、マシカルアンバーミサイル×6@メルティブラッド 、
    救急箱、はやて特製チキンカレー入りタッパー、はやての左腕
[服装]:割烹着
[思考]:まってなさい、なのは……!
第一行動方針:なのはを見つけ出し、はやての腕に謝らせ、その暴走を止める。
第二行動方針:そのために、とりあえずなのはが向かった方向(廃病院?)に向かう。
第三行動方針:ヴィータやトマの仲間達とも合流したい。
第四行動方針:歩きながらでも、はやての死の詳しい様子や、自分が寝ていた間のことをルビーから聞く。
基本行動方針:ゲームからの脱出。
[備考]:救急箱の詳細な中身は156話参照。
[備考]:マジカルルビーは、金髪の少女(イヴ)について以下のように認識しました。
  ・少なくとも、殺人を躊躇する参加者ではない。
  ・「高町なのは」または「A−4での砲撃を行った参加者」を捜索している。
    はやてにより、リリカルなのはの世界観と参加者の情報を得ています。
    
[備考]:はやての左腕は、アリサが拾って自分の荷物の中に加えました。


503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:15:13 ID:NYOGVKzz
 

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:15:23 ID:9oJ7I2rt



505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:15:58 ID:NYOGVKzz
 

506 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:16:39 ID:2NIajSjT


507 :血と涙が―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:16:50 ID:nxO04lY9

『 ――では、次の放送は午前六時の予定だ。その時にまた会う事にしよう。 これにて放送を終了する。 』

(時間がない――)

森の出口近くで島に流れる放送を聞きながら、シャナは焦りを覚える。
第一回目の、定期放送。その内容は予想していたよりも酷い。
苛立たしさを感じながらも、頭の中で再度反芻する。

37人の死亡。確かに多い。けれどもそれは、予想よりほんの少し悪いという程度のことだ。
無惨に殺された死体もいくつか見ている。殺し合いに乗った敵とも遭遇している。間接的に話も聞いた。
島の各所で殺し合いが進行しているのなら、それくらいには達していてもおかしくない。

呼ばれた名前にも、そう驚くものは無い。
ネギやコナンの名前も、高町なのはの話の裏が取れた、という以上の意味を持たない。
リリスの参戦も、既に聞いていた通り。
梨々や小太郎といった、聞こえて欲しくない名前も、呼ばれていない。
総じて、定期放送の後半部分に、シャナの興味を引くものは無かった。

ただ、無視できないことが1つ――それは、禁止区域。
あろうことか、リリスの尻尾を捕まえるつもりのポイント、エリアB−7のタワーが指定されている。
それも、放送のあった18時現在から、わずか1時間後の19時に。

実のところ、シャナの予定は当初の計画から大きくズレてしまっている。
16時には廃病院を出発するつもりが、複数のトラブルで大きく後ろにズレ込んで。
18時の放送の時点でタワーに着いているつもりが、今なおB−4の森の中。
同行者は2人。
双葉は自分の足で歩けるものの、怪我と消耗が酷くて普段通りには走り回れない。
紫穂に至っては、気絶したまま、今もシャナに背負われている格好。
この状態で、高町なのはに頼まれたアリサ・バニングスを保護せねばならないのだ。
アリサは廃病院から南西の方角に居るというが、双葉の状態も考えれば、森を突っ切って行くことはできない。
森の中に半ば消えかけている、南北に走る道。遠回りになることを承知で、歩きやすい道を進む。
そして森を出た所で西に進路を変え、アリサを回収するつもりでいたが……

(……時間が、ないわ)

動きが鈍くなるからといって双葉や紫穂を見捨てるつもりはない。
義理が無いからといってアリサを放置するつもりもない。
けれども、時間がない。せっかくの好機を前に、あまりに時間がない。
リリスが確実にタワーにやってくるこの時間帯は、主催者側の事情を掴むためのまたとない好機なのだ。
保護せねばならない者たちが居なければ、自分1人であるならば、すぐにでも飛んでいけるのだ。

シャナは歯噛みする。
チラリ、と、少し遅れて歩いている同行者の方を振り返る。

「畜生っ……! なんでなんだよ……! なんで、そんなに平気で殺せるんだよ……!」

定期放送が流れてからというもの、双葉は苛立ちを隠しきれない。
多すぎる人の死を嘆き、そして何もできない自分の無力さを嘆き。
しかし、愚痴を口にするくらいのことしか出来ない存在。

508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:16:51 ID:NYOGVKzz
 

509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:17:28 ID:9oJ7I2rt



510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:17:46 ID:lezdyECe
 

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:18:14 ID:NYOGVKzz
 

512 :血と涙が―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:18:56 ID:nxO04lY9

足手まとい。シャナの頭の中に、そんな言葉がよぎる。
双葉の精神が善良で真っ直ぐなのは確かだが、この殺し合いの極限状況の中では何の役にも立たない。
ああ、ここに小太郎がいてくれたなら。
小太郎でなくてもいい、戦闘力のある仲間がいれば、双葉や紫穂の身を任せられるのに――!

森が開ける。森から南に道路が、T字路を作っている。
開けた空間に辿り着いたシャナたちは、そしてそこで、東からやってきた2人の少女と遭遇した。

        *     *     *

――互いに互いの情報を聞いていたのが幸いした。
廃病院にいた面々は、高町なのはから。神社から来た面々は、小太郎から梨花・リンクを経た伝言ゲームで。
それぞれの簡単な特徴、行動方針は既に把握していたのだ。
せいぜい、シャナの銀色の髪と目、そしてインデックスや紫穂の微妙な格好が互いを驚かせた程度。
出会った途端に、緊張は解けた。

簡単に名前を確かめ合った後、ゆっくり歩み寄ったのは、インデックス。
その手には、赤い宝玉が握られている。

「シャナ。まずは預かっていたものを返しておくね」
『しかしどうしたのだ、その髪の色は……』
「詳しい話をしているヒマはないわ。放送は聞いたでしょう?」

積もる話は山ほどあり、聞いておきたいことも無数にあったが、今は何より、時間が惜しい。
アラストールとの『再会』を喜ぶ間もなく、シャナは急いで要点だけを確認する。

「そちらの2人は、戦えるの?」
『む。まあ、不安は残るが……それでも、身を守るくらいのことはできよう。
 そうでなくては、この少人数で行動させたりはせん』
「なら、こっちの2人を任せても大丈夫ね。」

結局小太郎は戻って来なかったが、代わりにちゃんと「代理人」を寄越してくれた。
これも彼なりの筋の通し方なのだろう。双葉を救ったことに対する、彼なりの責任の取り方なのだろう。
シャナは背負っていた紫穂を地面に下ろす。
話の急転についていけずにいる双葉とヴィータをチラリと見てから、改めてインデックスに向き直る。

「私は急ぐの。分かるでしょう?」
「うん。19時になる前にタワーに行って、リリスから情報を引き出すんだね」
「今は一分一秒さえも惜しいわ。この2人と、高町なのはから頼まれた探し人のことは、任せるわ」
「高町なのはの……探し人?」
「詳しい話は双葉から聞いて。私も、そっちの詳しい話はアラストールから聞いておく」

シャナの言葉に、インデックスは頷く。インデックスだけが頷く。
2人とも、タイプや性格は違えど、基本的に合理的な思考の持ち主だ。時に合理的過ぎるほどの存在だ。
言葉は、さほど必要ない。
シャナは走り出そうとして、ふとあることを思い出す。荷物から何かを取り出すと、インデックスに投げ渡す。

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:19:19 ID:NYOGVKzz
 

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:19:21 ID:9oJ7I2rt



515 :血と涙が―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:20:24 ID:nxO04lY9

「ああ、そうそう、行く前にコレを預けておくわ」
「これって……首輪?!」
「私が殺したわけじゃないけどね。私には調べている時間がないし、その能力もない。でも必要でしょう?」
「分かったんだよ。あ、そうだ、武器は大丈夫?
 いつもはサムライのカタナ使ってるんだよね? だったら、これはどうかな?」

首輪を受け取ったインデックスが取り出したのは、逆刃刀・真打。
1人で強敵リリスに立ち向かうつもりなら、武器は良いものがあるに越したことはない。
受け取ってみればマスターソードよりも軽く、また手に馴染む。シャナの剣技を活かすには、こちらの方がいい。

「刃が逆についた刀、か……。何を考えてるのか知らないけれど、確かに良いもののようね。
 じゃあ、代わりにこの剣を。重いけれど、身を守るには何も無いよりマシでしょう?」
「うん、そうだね。じゃあ……気をつけて」

コキュートスとビュティの首輪、逆刃刀とマスターソード。手早く持ち物を交換しただけで、実にあっさりと。
十万三千冊の禁書目録と銀髪白眼の討ち手は、再会を約す言葉すらも交わさずに、別れてしまった。

        *     *     *

シャナは駆ける。草原を駆ける。
長い銀髪をなびかせて、目標目指して疾走する。

(ジェダを討つ、自動人形も討つ……どちらもやらねばならないのが『しろがね』の辛いところね)

19時になる前にタワーに到達して、リリスを取り押さえる。
情報を引き出したら、取って返して夜が明ける前に島の北東の市街地に向かい、自動人形たちを討つ。
全てが終わったら、仲間たちと合流する。
やらねばならぬことは数多く、側にいるのは戻ってきたコキュートスだけ。
それでもシャナは急ぐ。山脈を目の前にして、炎の翼を広げながらなお急ぐ。

もう、止めねばならない。
血と涙がこれ以上流される前に、止めなければならない。
シャナは往く。時間的な余裕の無い中、それでも先を急ぐ――。


【B−5/山脈上空/1日目/夜】
【シャナ@灼眼のシャナ】
[状態]:しろがね化。炎の翼で飛行中
[装備]:逆刃刀・真打@るろうに剣心、コキュートス@灼眼のシャナ
[道具]:支給品一式(水少量、パン一個消費)、包帯、
[思考]:
第一行動方針:19時になる前にB-7のタワーに到達してリリスと接触し、情報を引き出す。
第二行動方針:移動しながらでも、アラストールからこれまでの経緯を聞きだす。
第三行動方針:夜が明ける前に北東の市街地に向かい、いるはずの自動人形(トリエラ・リルル)を破壊する。
第四行動方針:要件が済んだら、インデックスや双葉たちと合流。
基本行動方針:ジェダを討滅する。自動人形(と認識した相手)は、全て破壊する。
[備考]:義体のトリエラ、及びロボットのリルルを自動人形の一種だと認識しました。
    アラストールから、詳しい経緯を聞きだしている最中です。

[備考]:アラストールは、これまでのインデックスの行動の全てを知っています。
    神社を拠点にする計画も知っています。

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:20:45 ID:9oJ7I2rt



517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:20:45 ID:NYOGVKzz
 

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:21:41 ID:2NIajSjT


519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:21:45 ID:NYOGVKzz
 

520 :血と涙が―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:22:12 ID:nxO04lY9

        *     *     *

――太陽はすっかり水平線の向こうに姿を隠し、橙色に染まっていた西の空も急速に色を失っていく。
深い藍色の闇が空に広がり、太陽に代わって青白い月明かりがあたりを照らす。
彼女たちがそこに到着した時、そこにはただ、無人の焼け跡が残っているだけだった。

「……いない、ね」
「……いない、な」

インデックスと双葉は、揃って首を傾げる。
2人の後ろには、シャナに代わって紫穂を背負うことになったヴィータも立ち尽くしている。
高町なのはがシャナたちに回収と保護を依頼したアリサ・バニングスは、はやての親友の1人でもある。
ヴィータにとっても他人事では無いのだが、しかし肝心のアリサの姿が無い。
ここまで歩きながら双葉から聞きだした話では、このあたりに居るはずなのだが。

「高町なのはは、『とても落ち込んで、混乱しているはず』って言ってたんだよね?」
「あ、ああ。あたしは確かにそう聞いたぞ」
「だとしたら、そう遠くに行っているはずはないんだよ。できれば見つけ出したいところだけど……」

そこで言葉を切って、インデックスは険しい顔で空を見上げる。
日没からけっこう時間が経って、もう夕焼けの残り火は空に無い。ひんやりした夜の空気が漂い始めている。
本当なら、暗くなったら神社に引き返すつもりだった。この空の色は、想定していたタイムリミットを過ぎている。
予定よりも「戦えない人間」が増えた今、あまり暗い中を歩き回りたくはない。
大体、人を探すにしたって、こう暗くなってしまっては。

(……だけど、気になるんだよ。
 この破壊の跡がどうやって出来たのかとか、何でそこに高町なのはとアリサ・バニングスがいたのかとか)

焦げた地面を、そっと指でなぞる。
高町なのはがこの場に居合わせたのなら、この圧倒的な破壊を可能とする手段には心当たりがある。
でも――話が繋がらない。
何故その破壊の跡でアリサが放心している「はず」だったのか。
何故なのははそのアリサを放置していったのか。
何故なのはの言葉に反して、アリサがここに居ないのか。
戻って来なかった勝のことは、何か関係があるのか。
破壊の痕跡が途中で割れて、Yの字状になっているのはどういうことなのか。
疑問は次から次へと湧いてくるけれど、情報はあまりに乏しく、結論は何も出せない。

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:22:28 ID:9oJ7I2rt



522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:23:29 ID:NYOGVKzz
 

523 :血と涙が―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:24:13 ID:nxO04lY9

「見つけたいところだけど、って……見捨てるのかよ!? そのアリサって奴のこと!」
「いや、そうじゃないよ。でも、既に移動してるなら、この辺を探しても見つからない可能性が……」
「あたしは嫌だからな! 見捨てるなんて、そんな……!」

双葉は猛る。誰かを見捨てるのがそんなに嫌なのか、大きく吼える。
インデックスだって、その魔法名に賭けて弱者を見捨てるつもりは全くない。
ただ、どうすれば一番良いのか、どうすれば確実に保護できるか、冷静に検討しているだけなのに。
そこまで考えていないであろう双葉の気迫に、インデックスは小さく溜息と共に譲歩案を示す。

「……分かった。もうちょっとだけ、手分けしてこの辺を探そう。
 でもあと少しだけだからね。ダメだったら、一旦神社まで戻ってみんなと合流して考え直すんだよ?」
「わかってるっ!」
「森に入ってっちゃダメだよ? 双葉が二次遭難したら何にもならないんだよ?」
「わかってるっ!」
「算数の問題。1たす1は?」
「わかってるっ!」
「絶対分かってないねっ!?」

双葉といいヴィータといい、どうしてこう、人の話を聞かない奴が多いのか。
どっと疲れを感じた彼女は、ふと思い出して、残るの同行者の方を振り返る。
気絶したままの紫穂を含め、この場にいる4人のうち、ほぼ唯一、直接的な戦闘能力を持つ人物。
神社を飛び出した時には、今の双葉と同じように頭に血を昇らせていたはずの人物。

「ヴィータ? ヴィータもちょっと手伝って欲しいんだよ。ボーッとしてないで」
「……あ、ああ。ごめん、ちょっと考え事してた。じゃ、あっちの方調べてくる」

覇気のない声で、ヴィータは生返事を返す。そのまま、双葉の歩き出した方向とは逆の方にゆっくりと向かう。
いったい何を考えているのか。あの時の勢いはどこに消えたのか。
妙に引っ掛かりを覚えたインデックスだが、すぐに走り出した双葉に気を取られて、その疑問を棚上げとした。

        *     *     *

524 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:24:41 ID:NYOGVKzz
 

525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:25:04 ID:2NIajSjT


526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:25:41 ID:NYOGVKzz
 

527 :血と涙が―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:25:49 ID:nxO04lY9

(こんなことをしている場合じゃ、ねぇ……)

ヴィータはずっと考えていた。
この圧倒的な破壊が起きた原因ではない。双葉の話の中で出てきた、あることについて。

(高町なのはは、夜が明けるまで隠れて回復を待つ、って言ってた……。
 ってことは、もうアイツを探したって意味ないんじゃねーか?)

探しても見つからないだろう、というのは、双葉を通して聞いたシャナの評だ。
そしてヴィータもその考えを肯定する。
高町なのはは、ある意味では完璧主義者だ。一度「やる」と決めたら容赦はない。
彼女が感情を廃し、隠れることに徹したのなら、見つけ出すことはかなり困難だろう。
時間ばかり余計にかかって、成果を得られない可能性は高い。

(それに、なのはを探そうと思ったのだって、「動き回ってるなら色々知ってるかもしれない」ってだけだ。
 見つけたところで、はやての死の真相を知ってるとは限らねぇ)

紫穂を背負ったまま、ヴィータはインデックスや双葉から離れる方向に歩みを進める。
形だけなら辺りを調べているようで、その実、彼女の意識はそこにない。
ただ、考える。焼けつくような激情を胸の奥に飲み込んで、考える。

(なら――どうしたらいい?
 はやての仇を討つためには、いったいどうすれば――わわっ!?)

――考え事をしていたのが、悪かったのかもしれない。
暗くなってきた焼け跡で、そしてヴィータは「何か」につまづきかける。
紫穂を背負ったまま、何度かたたらを踏んで、ようやくバランスを取り戻す。なんとか転ばずには済んだ。
木の根でも張り出していたのだろうか。思わず振り向いたヴィータは、そして、

「あぶねーなぁ。いったいなんだよ……って、え?!」

呪いの言葉を吐きかけて……硬直した。
一瞬にして、全ての思考が吹き飛んだ。

  そこにあったのは、見覚えのある剣を握った、見覚えのある腕。
  赤く、捻じ曲がった刀身を持つ剣を握った、生傷だらけの少年の腕。

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:26:48 ID:NYOGVKzz
 

529 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:27:15 ID:2NIajSjT


530 :血と涙が―――― ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:28:03 ID:nxO04lY9

辺りがここまで暗くなってなければ、もっと早く見つけられていたのかもしれない。
ヴィータより先に、インデックスや双葉が見つけていたのかもしれない。
けれども実際には、こうしてつまづくまで誰も気が付かなくて。
ヴィータは呆然となる。踏みつけてしまった腕を前に、呆然となる。

「な……こ、これって……!」

放心したヴィータの背から、ずるりと紫穂の身体がずり落ちる。
支えていた腕から力が抜けて、小さな音を立てて紫穂の身体が地に落ちる。
けれどもヴィータにそれを気にする余裕はない。震える手を伸ばし、赤い炎の剣に手を伸ばす。

何故ここにこの剣があるのか。無数の傷痕のせいで一発で彼と分かる腕を残して、才賀勝はどうなったのか。
無数の疑問は全て一旦棚上げされ、ヴィータの脳裏に浮かぶのはその剣を手にしていた頃の自分の姿。
はやてを救うためなら何でもする、誰が相手でも殺すんだ、と決めたあの時の決意。
その記憶は、自然と彼女に「ある方法」を思いつかせる。
人の道から外れた、ある外道な方法。

「そうだよ……その方法があったじゃねーか……! 何で気付かなかったんだよ……!」

かつて、はやてと合流する手段として狙っていた、3人抜きの「ご褒美」。
それはこの局面でも利用可能なはずだ。
誰でもいいから3人殺して、ジェダにこう尋ねればいい。

  『はやてを殺した犯人は今どこに居る?』、と。

提示された3つの権利のうち、最後の「ジェダに質問する権利」については説明も曖昧だ。
どんな質問が許されるのか、どんな質問ならジェダにも答えられるのか、いまいちよく分からない。
でも、この質問にはきっと答えてくれるはずだ。答えられるはずだ。
何しろ「ご褒美」を授ける都合上、ジェダたちは「誰が誰を殺したか」を把握しているはずなのだから。

そして――「ご褒美」を得るために好都合な獲物も、すぐ近くにいる。
ちょうど3人、いる。

  装備と知識はそれなりに充実しているが、自分自身では魔法の1つも使えないインデックス。
  溢れる気力でカバーしてるが、良く見ればかなりの重傷、つついただけでも死にそうな気配の双葉。
  全身タイツにスクール水着という不審者そのもの、底が知れない存在だが、気絶して無力な紫穂。

熱にうなされたような表情で、ヴィータはフランベルジュを拾い上げる。
指を引き剥がすようにして、勝の腕を打ち捨てる。
痺れの残る腕の調子を確かめるように、その柄を握り締める。

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:28:11 ID:NYOGVKzz
 

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:28:21 ID:2NIajSjT


533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:29:12 ID:lezdyECe
 

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:29:23 ID:NYOGVKzz
 

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:29:36 ID:2NIajSjT


536 :血と涙がまだ足りない ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:29:49 ID:nxO04lY9

きっとそれは、最低な発想だ。
「そんなこと」をしたら、きっとヴィータはもう『騎士』とは名乗れない。
ベルカの騎士としての誇りは、無力な者を不意打ちで殺すようなことをよしとしない。
はやての守護騎士としての思い出は、そんな行為を許さない。はやてが生きていたら、絶対に許さない。
そして、ヴィータは……

「でも、あたしは……あたしはもう、『騎士』じゃなくていい」

幼い顔に、獰猛な肉食獣の如き壮絶な笑みが浮かぶ。
肝心のはやてを守れなくて、何が騎士か。今さら誇りも何もあったものか。
それにこれは、あくまでヴィータの我侭。
「はやてのため」でもなく、「はやてのせい」でもなく、単に「ヴィータ個人」が望んでやること。
だから。


まだ足りない。
血と涙がまだ足りない。
はやての死という欠落を埋めるには、血と涙がまだまだ足りない。
これではやての仇の居場所が分かる。これではやての仇が取れる。
ヴィータはそして、こちらに背を向けているインデックスと双葉に、歓喜の色を全身に滲ませ、向き直った。

        *     *     *

――そして、だから。
頭の中に、そのアイデアがいっぱいになってしまっていたから。
ヴィータは、気付かなかった。インデックスや双葉も、もちろんまだ気付いていなかった。

三宮紫穂が、ヴィータの背に背負われ、ずっと『触れて』いたレベル7接触感応能力者(サイコメトラー)・紫穂が。
地面に倒れたまま、うっすらとその眼を開けていた。



537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:30:07 ID:9oJ7I2rt



538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:30:25 ID:2NIajSjT


539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:30:35 ID:lezdyECe
 

540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:31:07 ID:zgzTUT+5
 

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:31:08 ID:NYOGVKzz
 

542 :血と涙がまだ足りない ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:31:11 ID:nxO04lY9

【A−4/砲撃跡地/1日目/夜】
【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康、それなりに疲労
[装備]:水の羽衣@ドラゴンクエストX、葉っぱの下着
[道具]:マスターソード@ぜルダの伝説(重量感あり)、支給品一式(食料−1日分)、 ビュティの首輪
[思考]:気になることは多いけど、そろそろ戻らないと危険かもしれないんだよ。
第一行動方針:焼け跡を調べる。焼け跡自体の検証、およびアリサの捜索。
第二行動方針:暗くなってきたので、適当な所で探索を切り上げ、双葉や紫穂を保護しつつ神社に戻る。
第三行動方針:落ち着いたら、明るい所でじっくりビュティの首輪を調べたい。
第四行動方針:状況を打破するため情報を集める。
第五行動方針:普通の下着、てか服がほしいかも。
基本:誰にも死んで欲しくない。この空間から脱出する。

【吉永双葉@吉永さん家のガーゴイル】
[状態]:腹部の銃創と胸部の刺傷は塞がったが、激しい運動は禁物。全身に打撲や擦り傷。
[服装]:血のついたオーバーオール、腹部にカラフルな包帯。
[装備]:メガネ@ぱにぽに、コキリの剣(泥がついている)@ゼルダの伝説
[道具]:支給品一式(水少量、パン一個消費)、ショックガン@ドラえもん、きんのたま@ポケットモンスター、
     邪剣ファフニール@TOS、包帯
[思考]:あたしは諦めねーぞ!
第一行動方針:アリサという子を探したい。暗くなってはきたが絶対に見つけたい。諦めたくない。
第二行動方針:インデックスたちと行動を共にする。
第三行動方針:気絶している(?)紫穂に責任感。面倒を見る
第四行動方針:梨々と合流
基本行動方針:このふざけた殺し合いを終わらせ、脱出する


【A−4/砲撃跡地(南東・才賀勝死亡地点)/1日目/夜】
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:はやての死により激昂、両腕に痺れが残っている、左足に火傷跡、左手爪全剥(痛みは減衰)
[装備]:祈りの指輪@DQ、フランベルジュ@テイルズオブシンフォニア 
[道具]:基本支給品 ぬのハンカチ×20(即席ロープ)
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:……やるか?
第一行動方針:はやてを殺した犯人を見つけ出し、殺す。
第二行動方針:目の前の3人を襲って殺して「ご褒美」を得る? はやて殺しの犯人をジェダに聞く?
基本行動方針:もうどうでもいい。

【三宮紫穂@絶対可憐チルドレン】
[状態]:覚醒。詳細不明。
[装備]:ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
    スクール水着@魔法先生ネギま!、全身黒タイツ@名探偵コナン
[道具]:支給品一式×2(水少量、パン一個消費)、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE、
     血濡れの庭師の鋏@ローゼンメイデン、包帯
[服装]:スクール水着の上に全身タイツを重ね着
[思考]:???
第一行動方針:???
第ニ行動方針:誰も信用しない。状況に応じてどのスタンスもとれるように構えておく
第三行動方針:利用できそうな仲間を探す
基本行動方針:元の世界に帰るためには手段を選ばない。自分の安全は最優先。

[備考]:紫穂がいつから目覚めていたのか、邪剣による精神汚染の程度など、一切不明です。


543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:31:29 ID:lezdyECe
 

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:31:32 ID:9oJ7I2rt



545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:32:00 ID:NYOGVKzz
 

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:32:21 ID:2NIajSjT


547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:32:28 ID:zgzTUT+5



548 : ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 11:32:30 ID:nxO04lY9
以上、投下終了。支援感謝です。
ということで、アリサ・ヴィータは接触しませんでした、と。それが良かったのか悪かったのか分かりませんが。
まとめwiki収録時には、前編タイトルは「血と涙はもう要らない」、後編は「血と涙がまだ足りない」でお願いします。

最後、インデックス&双葉、ヴィータ&紫穂は表示上では距離を離しましたが、
どれくらい離れているのかは次の書き手さんにお任せします。
また、紫穂の状態も完全にお任せします。
いつ起きたのか、意識の状態はどうか(汚染/正常/単に寝ぼけてる?)、何をどの程度「読んだ」のか、
など、いろんな可能性、いろんな展開が考えられるかと思います。

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:41:44 ID:2NIajSjT
投下乙!
アリサの「なのはをぶん殴る」という思考は自然で面白いな。出会ったときが楽しみだ。
もう一つのほうは完全に予想を外してきたか。こういう事態があるからリレーは面白い。

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:44:12 ID:zgzTUT+5
投下乙
アリサにはくぎみぃジンクスの仲間入りをしてほしいなと思っていたが
こっちもいいな。立ち直るアリサとってもたくましい

そしてヴィータが再びマーダー化か
インデックス、双葉逃げてーー!
ただ紫穂がいるからどうなるかは分からないけどなぁ

それともしアリサとヴィータ出会ったらどうなんだろ?
なのは救出で団結したんかね?

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:59:14 ID:NYOGVKzz
投下GJ。なのは勢の明暗が分かれたな。前半はアリサが自分らしい理由で復活したのが印象的。
後半は今にも堕ちそうなヴィータが印象的。こうなるとシャナが離脱したのは痛いぜ……。
しかし、混沌とした状況だ。どう転ぶのか読めない。

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 12:12:22 ID:9oJ7I2rt
>>548
GJです!アリサの決意が格好いい!!
間違った友人相手には、直接ぶつかって改心させる!これがなのは世界の魔法少女!!
ヴィータと紫穂もどうなるか分からなくて良い感じです。
インデックスは数少ない魔法関係の考察が出来るキャラなのに、大ピンチのうえに誤解
フラグまで生まれている。これが、LSロワの恐ろしいところだぜ。インデックスはLS
ロワの名探偵となれるか!?

あ、コキュートスは『赤い』宝玉じゃなくて、『黒い』宝玉です。
あとこちらは細かいですが、フランベルジュ(正確にはフラン『ヴェルジュ』)も
刀身がねじ曲がっているというのはやや間違いかと。
シンフォニアのワンコインフィギュアで『クラトス』というキャラが特別装備で持ってるやつがそれです。


553 : ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 12:16:26 ID:nxO04lY9
>>552
ありゃ。指摘感謝です。コキュートスは完全に勘違いでしたね。
フランヴェルジュは……波打ってる、程度ですかね? 表現として

554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 12:19:18 ID:NYOGVKzz
適切な表現が浮かばなかったorz
波打ってるならピッタリですね。

555 :552:2007/12/02(日) 12:24:23 ID:9oJ7I2rt
>>553
『波打っている』で良いと思います。以前のSSにもそういう表現がありましたし。


556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:26:46 ID:8HxntEDm
GJでした。
良く考えれば、紫穂のすぐそばに居るインデックスは、
頭の中に一万三千の魔道書を持っている危険人物か・・・・・・。
触れたのがヴィータで良かったね・・・・・・。

557 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:35:19 ID:EkCW219x
投下乙!
アリサが「お話聞かせて」モードktkr!
立ち直り方が非常に「らしく」て良かったと思う。
だが向かっている廃病院になのははいないんだぜ……

そしてヴィータがヤバイ。
というかヴィータさん、貴方の怪我を治したのはインデックスさんなのに……
紫穂のサイコメトリーも絡んできて、さあどうなる?

558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:46:36 ID:PQpsOcWX
インデックスの一万三千冊の魔道書は「猛毒」で一目見るだけでも発狂しかねないとか
本編中でも覗こうとした魔術師が酷い目にあってたし、ホント良かった

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:47:48 ID:PQpsOcWX
>>558
紫穂が覗かなくて

560 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:00:17 ID:8HxntEDm
あと、禁書世界だと超能力者が魔術を使うと
死ぬほどのダメージを受けるという設定はあるけど、
呼び名が同じ超能力者ってだけで別物か。
設定的には、似た感じだっけ。

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:04:01 ID:NYOGVKzz
やってることは似てるけど、確か禁書は投薬やカリキュラムで超能力発現、
絶チルは生まれつき素養があって自然発現するんじゃなかったかな。

562 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:09:26 ID:TmpSJfQx
乙!
レックスが対主催側に傾いたかと思ったら、今度はヴィータが乗る側に傾いたか…。
のび太、梨々に続きアリサと、覚醒を遂げるキャラも続き、ますます目が離せなくなってきてるぜ。

こう中庸というか、どっちに転ぶか分からんキャラを見てハラハラするのはロワの醍醐味だよな。
LSは子供中心だから(にしては精神面成熟してるのも多いが)、そういうキャラが多くて素敵だわ。

563 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:11:56 ID:8HxntEDm
いや、インデックスが魔術が持たざるものが持つものに
対抗するための手段と明言しているから、生まれつきの超能力者もいるはず。

564 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:14:40 ID:NYOGVKzz
生まれつき?当麻という特例除いて誰かいたっけ?
と思ってから吸血殺しを忘れていたことに気付いたぜ

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:20:30 ID:PQpsOcWX
>>564
ああ、■■■■か

566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:23:42 ID:NYOGVKzz
>>565
そう、それ。忘れてても仕方なくねと弁解し(ry
あ、細かいけど一応sageのほうお願いします。

567 : ◆IEYD9V7.46 :2007/12/02(日) 18:26:22 ID:NYOGVKzz
投下します。

568 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 18:26:51 ID:nxO04lY9
 

569 :蜘蛛の網 -hell and heaven- ◆IEYD9V7.46 :2007/12/02(日) 18:27:51 ID:NYOGVKzz
初期段階。
まずは、頭の中に思い描く。例えるなら、未開の地を自らの足で踏破し、開拓していくイメージ。
更に正確性を期すなら、トンネルを作るために岩盤を掘削していると言ったところだろうか。
兎に角、重要なのは“広げる”というイメージだ。
自分の脳内で想像、或いは創造したものを現実の世界に押し出す。
大丈夫、私にはそれができる。
要はアンダーグラウンド・サーチライトの構築と同じ。
避難壕内の部屋の数、位置、役割、通路の配置、ライフラインの引き込み口……、
自分の外の世界に、自らの意思を具現化したことなんて幾らでもある。
だから、これも同様にこなせるはず。
……とはいえ、少し集中し過ぎたわね。
息抜きも兼ねて、ここ数十分にあったことを整理しましょうか。

    *    *    *

午後6時。第一回定時放送。
思い返しただけで耳が腐る。放送の内容以上にあの愉悦に富んだ声そのものが腹立たしい。
人間だったころの私なら「生理的に嫌悪を感じる」とでも口走ったかもしれない。
黒いタールのような哄笑は島を覆い尽くし、皮膚の中にまで染み入るように響いた。
拡声器のような常識的な伝達手段ではありえない。
何か特殊な手段を使ったのだろうと推測し……結果としてその推測は私にとって一つの、小さな指針となった。
これについては後で述べようと思う。

禁止エリアと死亡者の情報を記録し終えた私は、まずは後者の考察を行うことにした。
思ったより死亡者数が多い。その上、死者の内訳は少々頭を抱えたくなる結果となっていた。
泉光子郎とイリヤスフィール。
実益と興味から接触を計りたいと思っていた4人のうち、既に2人が脱落した。
特にイリヤスフィールに対してはホムンクルスとしての奇妙な連帯感
――口に出すのは憚られるけど――が心のどこかに確実にあった。
彼女はこの島で何を思い、何を為そうとして散ったのだろうか?
遠く西の空。夜に押されて、地平に消える赤い太陽を見やる。
揺々とした落日を眼に焼き付け、そのまま思いを馳せようとして――我に返る。
……私は、何をしているの。
感傷なんかに意味がないことくらい、疾うの昔に悟りきったはずだ。
しかも、見ず知らずの存在に情を絆されるなんてどうかしている。
そう、今必要なのは不明瞭な感情なんかじゃない。
求めるのは、厳然たる事実のみ。イリヤスフィールというホムンクルスがいて、
それを打ち倒した強者がいるというだけで充分。
ホムンクルスを殺せる者がいるのなら、この死亡者数の多さも頷けるというものだ。
おまけに当初懸念していた通り、ジェダ子飼いの女――リリスがこの殺し合いに送り込まれたらしい。
片隅で考慮していたとはいえ、途中から刺客を追加したのは何故かと疑問が湧く。
これもジェダの計画通りか、それとも否か。
……判断できない。意図が見えないのだから考えるだけ無駄だろう。


570 :蜘蛛の網 -hell and heaven- ◆IEYD9V7.46 :2007/12/02(日) 18:28:40 ID:NYOGVKzz
私が直接遭遇した参加者は少ない。ゆえに、死亡者発表を聴いても得られるものは多くなかった。
焼失した詳細名簿の内容、その半分が頭の中に朧気に残っているが、
それだけで事を進めるなど机上の空論もいいところ。
隠れ潜むことをよしとしていたとはいえ、そろそろ直に動く必要があるだろう。
……その前に。
もう少し情報を引き出してみようかしら。甚だ不本意だけど。
私は“努めて優しく”、黙過し続ける杖に先の放送について尋ねてみた。
…………たっぷり3秒ほど経ってから、短い応答。不快だ。
内部の回路と信号の動きが透けて見えたような気がした。
命令を伝達する信号が、同じところで酔っ払ったようにループ演算に引っかかり、遅延される。
グルグルグルグル……。
馬鹿みたいに幾度も同じ道を回って、漸く抜けたと思えば今度は違うループに嬉々として突入する。
上等だ。そちらが感情の赴くままに反抗するなら、それを逆手にとるまで。

“言うことを聞かなければ高町なのはを殺す”

このようなニュアンスを話の端に混ぜてみたら、反応速度が幾らか素直になった。
本気で殺すかどうかは会ってみるまで判らないけれど、
レイジングハートが私のことを極悪人だと認識しているなら、実体のない威脅だけでも充分拘束力があるだろう。
何せ、私には既に実績がある。
私としては、全参加者にとって有害な吸血鬼を一匹処分しただけのつもりだけど、
この杖はそれが甚く気に入らなかったらしい。
正義を掲げる杖は、しかし狂った悪魔に肩入れしている。
理解に苦しむが、今はそんなことはどうだっていい。

発する言葉以上に豊かな感情を内包しているこの杖は、今ごろ理不尽な仕打ちに憤りを感じているだろう。
しかし、受け入れることね。この世は不条理に満ちているのだから。
その思考に至ると同時に、脳天からストン、と落ちてくるものがあった。
“今私がやっているのは、人面獣心の錬金戦団の屑どもやジェダと同じではないか”
他者を不条理で抑えつける様は、彼らのそれと酷似している。
DVを受けて育った子供が大人になると、自分の子供にもDVを行う。
以前どこかで聞いた話を思い出し、僅かに気が滅入った。
……違う、道具を個として認めることがそもそも間違っている。
道具は道具。それ以上の存在ではないし、大人しく使い手に従わないなら欠陥品だ。
考え方の軌道修正を行い、落ち着こうとする。だが、
“化け物に人格も人権もない、早くヴィクターを倒して来い”
大昔に身も心も抉られ、道具以下の扱いを受けたことを思い出してしまい、更に気が沈んだ。


一苦労を重ねて、レイジングハートから聞き出せた情報は思いの外多かった。
まずは死者について。
フェイト・テスタロッサと八神はやて――二人とも有能な魔導士だったそうだ――の死は、
レイジングハートにとって衝撃的だったらしい。
片やスプライトザンバーなる結界破砕魔法の使い手で、閉鎖空間から脱出した経験の持ち主。
片や条件次第でありとあらゆる魔法を行使し得る、強大な夜天の主。
両者とも脱出のキーを持つ、代え難い存在だったようだ。
レイジングハートが知る限りでは、この殺人遊戯の盤上を覆せるのはその二人をおいて他にはいなかったらしい。
高町なのははこの状況を打破できる人間ではないの?
そう尋ねて、返って来た答えを要約するとこうなる。
“結界の破壊はできます、力づくで”
……あまり意見を交わしたくない類の人間だということはよく分かった。



571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 18:28:54 ID:nxO04lY9
 

572 :蜘蛛の網 -hell and heaven- ◆IEYD9V7.46 :2007/12/02(日) 18:29:22 ID:NYOGVKzz
死亡者の考察を終えて、次は禁止エリアの考察に移る。
発表された6箇所の禁止エリアは、概ね島全体に偏りなく配置されていた。
地図を信じるなら交通の要所、大掛かりな建造物を避けているようにも見える。
偶然かもしれない――と、そのように思考停止したのでは何も掴めない。
あえて徹底的に穿った見方をしてみる。
すると禁止エリアの一つに、看過できない異質さがズシリと乗っていることに気付いた。
B-7、タワー。
ここだけは、ドロドロと渦巻く恣意的なものを感じる。
この島一番のランドマークを、初回の放送の最初の禁止エリアで塞ぐ?
他の禁止エリアが要所を潰していないことも考慮すれば、明らかにおかしい。
ジェダにとって、参加者に調べられたくない“何か”がタワーにあるのかもしれない。
それなら、是が非でも調査しなければ。時間がない。
タワーの禁止エリア化まで、とっくに一時間を切っている。
距離はここから道なりに進んで、約10kmほど。
余裕で間に合う。
普段どおりの力が出せて、周囲への警戒を完全にカットして夜闇を突き進めば、余裕で間に合う。
……前提からして砂上の楼閣に立っている。話にならない。
よしんば間に合ったとしても、探索時間など皆無だろう。
これに関しては諦めるほかない。次善策を考える。

地図上の禁止エリアと自分の位置を再確認。私のいる北東部の禁止エリアは、どれも発動時間が遅い。
ならば、距離と時間、その両方の釣り合いをとれば21時のH-8、もしくは23時のA-1のどちらかがベターだろう。
何をするつもりなのかは決まっている。――禁止エリアと首輪の調査だ。
試したいこと、確かめたいことが数多くある。私はずっと待ち焦がれていたのだ。
ジェダが手札のオープンを開始する、このときを。
これから先は、大人しく後手に回るつもりはない。
あの男の鼻柱を、一刻も早く折るためにも。……しかし、一抹の不安は残る。
ジェダは自らの気分で首輪を爆破できる。その匙加減の判別が全くつかない。
不自然に禁止エリアに近づいただけでも爆破してくるかもしれない……が、
成果を得るためには虎穴に身を置くことも肝要だ。行くしかない。
どうせいつ死のうが生きようが構わないのだから、高いリスクにも飛び込んでやる。
それで死んだなら、あの世でママと一緒にジェダの小物さでも笑えばいい。

方針を決定したところで、ふと先の放送を回想する。
あの得体の知れない声は、どこから、何を使って響かせたのか……。
私は多少従順になってくれた杖に、期待半分で訊いてみた。
するとレイジングハートは逡巡し、あの放送は念話に近いものではないかと返答した。
念話というのは文字通り、思念を相手に伝えることで会話する手段で、
魔法の心得があるものなら簡単に習得できる初等技術らしい。
逆に言えば魔法が使えないものには何も伝えられないので、ジェダの放送はこれとは違うものだとも補足された。
これは使える。
首輪には間違いなく盗聴機能が備わっているのだから、参加者同士で密談するのに最適な手段になるだろう。
念話までもジェダに盗聴されているかもしれないという疑念は拭えないが、その可能性は相当低いとのこと。
いや、低いと見るほかない。念話という使い手が限定される手段まで抑えるくらいなら、
その前に首輪に盗撮機能を付加したほうが全参加者にとって脅威となる。
それら全ての機能が首輪に備わっているのかもしれないが、もしそうだとしたら誰もジェダに刃向えなくなる。
情けない話だけど、その最悪の前提は思考から排除する。
でなければ、先に進むことは絶対にできないのだから。
仮に首輪のキャパシティに限界があり、機能の取捨選択を行わざるを得ないなら、
優先順位は盗聴、盗撮、そして最後に念話盗聴の順のはずだ。
どうしようもない。念話まで拘束されていることはないと祈って動くしかない。
思考をそこで打ち切り、意を決して、するべきことを確認。
魔法の適性が殆どない私でも、デバイスの補助を受ければ念話の使用も可能となるらしい。
使えるものなら藁にだって縋りたい。私は今後のためにもこれを習得することにした。

    *    *    *


573 :蜘蛛の網 -hell and heaven- ◆IEYD9V7.46 :2007/12/02(日) 18:29:56 ID:NYOGVKzz
そうして現在に至る。
魔法を練る感覚に慣れた私は、次のステップ、別のイメージの構築に励んでいた。
念話の感覚は高い場所に手をかけて、昇ろうとすることに近い。
通常の魔導士ならこれを一人でこなして悠々と昇降できるらしいが、
私の場合はどんなに上達しても上から手を伸ばしてくれないと昇ることはできない。
今はひたすらこの手を高く伸ばす作業を繰り返す。まだ、上にいるレイジングハートの手には届かない。
難儀だ。けど、今の私は間違いなく満たされている――明確な目的が定まったのだから。
ジェダは放送によって絶望を振り撒いたつもりなのだろう。
だが、そんなものは私には通用しない。この島で、絶望する理由が何もない。
おおよそ考えられうる苦難苦痛は100年も前に経験し尽くし、数日前に両親との別れも経たばかりだ。
これ以上、何に消沈する必要がある。
思考を整理し終え、再び空へと手を伸ばす。


    *    *    *


――――蜘蛛は、糸を吐き出した。
糸は幾重にも張り巡らされ、線から面が形成される。
やがて現れたのは獲物を捕らえ、待ち構えるための広大な巣。
幾何学的な模様は、それ単体なら芸術性すら感じられる。
しかし、それは叶わない。そこにはおぞましい主がいる。
巣の中心で、蜘蛛は静かに羽虫がかかるのを待ち……、
時間の経過とともに、糸という絶望に囚われる虫の数が増えていく。
蜘蛛は二度、三度と口元の牙を開閉して、満足げに嗤う。
哀れな犠牲者を、どこまでも愉快だとばかりに見つめている。

……なるほど。
死亡者の読み上げ、そして禁止エリア。
確かに希望を奪い、人を狂わせるのには充分過ぎるカードだ。
しかし、思い知らせてやる。おまえが絶望を煽る為に吐き出した無数の糸。
それに囚われることなく、それどころか逆にその糸を伝って、
おまえのもとに辿り着き――牙を突き立てる者がいるということを。
抗う者は何人も残っている。例えば、ここにも一人――


    *    *    *   



574 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 18:30:00 ID:nxO04lY9
 

575 :蜘蛛の網 -hell and heaven- ◆IEYD9V7.46 :2007/12/02(日) 18:30:27 ID:NYOGVKzz
ピクリ。
指先に今までにない感触が返り、私は上方を見やる。
目一杯、空に向かって伸ばした指の先。
そこに自分のものではない、他の誰かの手があった。
私はその手をしっかりと、握り締める。

“Connection was completed,my I.M.”

成功だ。レイジングハートからの念話が届いた。
ちなみにI.M.というのはillegal masterの略であるらしい。何度も呼んでるから面倒になったのだろう。
やはり、妙に人間臭い杖だ。まあ、使えさえすれば呼び方なんて何だろうと構わない。
これで第一段階、受信過程は終了。次はより難易度の高い、自分の思念を他者に送る送信過程に移る。
これから数十分か、あるいは数時間か……。
兎に角、習得までまだ時間が掛かるだろう。しかし、順調だ。十二分な手応えも感じる。
後は止まることなく行動し続けてて、結果を手繰り寄せるのみ。
ふっ、と。軽く口元が吊り上るのを自覚する。
……ああ、そうだ。これが始まりだ。
私は今ここから、ジェダの振りかざす不条理に意志を打ち立てるのだ。
徹底抗戦の、確固たる意志を。



【G-1/民宿2階/1日目/夜】
【ヴィクトリア=パワード@武装錬金】
[状態]:精神疲労(中)。
[服装]:制服の妙なの羽織った姿。(バリアジャケット展開時の外見は『ルリヲヘッド』そのもの)
[装備]:i-Pod@現実?、レイジングハート・エクセリオン(スタンバイモード)@魔法少女リリカルなのは(カートリッジ残数5発)
[道具]:アイテムリスト、天空の剣@ドラゴンクエストX、基本支給品×2(食料のみは1人分)、
    首輪×2、詳細名簿(ただし損傷して情報が一部欠損)、
[思考]:習得
第一行動方針:念話(送信)の習得完了までここに留まる。
第ニ行動方針:参加者を見かけたら慎重に観察し、場合によっては接触。
第三行動方針:禁止エリアが発動したら調査に赴きたい(候補はH-8かA-1)
第四行動方針:首輪を外す。主催者の目的について考える。
第五行動方針:“信用できてなおかつ有能な”仲間を捜す。
第六行動方針:インデックス、エヴァとネギにできれば接触してみたい。
基本行動方針:様子見をメインに、しかしチャンスの時には危険も冒す
参戦時期:母を看取った後
[備考1]:能力制限により再生能力及び運動能力は低下、左胸の章印を破壊されたら武器を問わずに死亡。
     いわゆる「ジョーカー」の存在を疑っています。
[備考2]:「詳細名簿」はア行の参加者の情報は無事です。それ以外の参加者の情報は顔写真と名前以外はすべて灰となりました。
      リリスの情報は載っておらず、ふみこ・O・Vの情報は載っていました。
[備考3]:
レイジングハートは、ヴィクトリアに非協力的です。ヴィクトリアのことを憎んですらいます。
レイジングハートは、ヴィクトリアの持ち物や情報をほとんど把握していません。
(特に、アイテムリストの存在を知らないため、自分をどうやって使ったのかが大きな謎になっています)

576 :蜘蛛の網 -hell and heaven- ◆IEYD9V7.46 :2007/12/02(日) 18:31:19 ID:NYOGVKzz
投下終了です。支援ありがとうございました。ヴィクトリアが動く理由と動かない理由の両方を立てました。
今回の禁止エリアに出向くという考えは、引き篭もりの彼女が移動する理由付け程度に考えて頂ければと思います。
疑問点、指摘などありましたらお願いします。

577 : ◆IEYD9V7.46 :2007/12/02(日) 18:33:49 ID:NYOGVKzz
って早速ヴィクトリアの思考欄がorz
正しくは↓です。
[思考]:習得時間がどれだけ掛かるか……。



578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 18:39:36 ID:nxO04lY9
投下乙です。
そうか、盗聴対策で念話……。
やり方次第じゃ、隠れたまま他者との接触も可能という実にヴィクトリアらしい行動も可能になりますね。
考察もまた、性格の悪さがいい意味で滲み出てて実に上手い。
戦団から受けたトラウマもいい感じで……GJです。

579 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 18:52:14 ID:EkCW219x
投下乙!
いつ死んでも構わない、か……
そこら辺に関して達観してるから禁止エリアと首輪に対して大胆な行動に出れるんだよなぁ。

しかしレイハに脅しをかける辺り、相変わらず性格悪いな〜
そりゃレイハもillegal masterって言いたくなるわw

580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 19:04:03 ID:X5Fk1f7I
投下乙。

ようやく放送後に冷静な考察が出来るキャラが描かれたな。
まぁ、それどころじゃない連中ばかりだったから仕方ないことではあるが
考察パート好きの自分としてはGJでした。

あと重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが、状態表のネギに関しては
カットしていいんじゃないでしょうか。


581 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 19:05:53 ID:NYOGVKzz
>>580
まだあったかorz 重箱なんてとんでもない、指摘感謝です。
あとでまとめてwikiにて訂正します。

582 : ◆sUD0pkyYlo :2007/12/02(日) 19:10:26 ID:nxO04lY9
あ、そうそう。こちらも>>552で指摘された所はwiki上で直すつもりです。

583 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 19:30:44 ID:i7RXWP43
投下乙です
うん腹黒だ
タワーに向かいそうかな?と思ってたんだが動き出すには時間がかかりそうだね
ニアは脱出できるのか引きこもったまま爆死するのか

584 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:38:35 ID:J1WSdaWW
タワー集中してるよな
弥彦とか千秋とかパタリロ、キルアとも接触させやすい

585 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:58:49 ID:nxO04lY9
大事そうなことなので転載

90 名前: ◆CFbj666Xrw 投稿日: 2007/12/02(日) 20:55:39 ID:gX4H39r20
ベッキーの件、迷いましたが吸血鬼化して生き残る方向にし、その内容でwiki掲載しました。
また指摘の有った蝙蝠時の首輪、状態表のアイゼンのダメージも修正しています。
賛成意見と消極的反対+反対意見の数が殆ど変わらなかった為、
自分の判断で決定させていただきました。たくさんの意見ありがとうございます。

それにしても、eoはほんと規制喰らいやすい……。

586 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:12:20 ID:X2m36m6y
タワー組は組み合わせは面白そうなんだが
仲は良くなりそうにないな

もしあいつらが組むとしたら中心はパタかな
なんというか、全員に口で勝てそうなのがパタしかいないw

587 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:26:23 ID:IdmOPnpN
せっかくなので、本スレでもちょっと宣伝。

放送到達を記念して、したらばで第一回作品投票開始ます。
【朝】〜【昼】の時間帯で、特にお気に入りの作品がある人、
以前のSSについて、今更だけど感想言いたいぜ!な人など、是非どうぞ。

前のSSに感想を言うスレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8274/1169473650/

588 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:58:02 ID:J1WSdaWW
後で投票するよ乙

タワーってリリス達もくるよな?
放送前の血みどろ中心地は学校だったが、第一放送後はタワーか
頭脳派と肉体派が揃ってるが、仲悪そうだ

589 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:22:05 ID:eIMpqeKL
頭脳派の中心たるべきニアがどう見ても人好きしないキャラだからなあ

590 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:54:23 ID:sWGAGh1M
今更だが666氏対応乙!
死に場所すら与えられずに吸血鬼化したベッキーの今後に超期待

個人的にはれみりゃにも大いに期待してるんだが、スレ内ではどうも影が薄いよね
日中派手に動けないという吸血鬼の特性が災いしたか……

591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:58:26 ID:EkCW219x
タワー内orタワーの近くにいる
(ニア、キルア、パタリロ、千秋、弥彦、グレーテル)

タワー方面に向かっている
(リリス、グリーン、シャナ、小狼)

色々と荒れそうな面子だな…グレーテルなんか特に。

592 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:30:43 ID:PgfNEktJ
すごい武闘派集団だ……。ニアと千秋は戦闘力低くても機転が利くから全員戦えるな。

593 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:35:01 ID:kxhDdOfs
ちょww
二アフルボッコの予感。戦闘のプロが集まりすぎwwカツオは大変なことをしていきましたな
パタリロも誤解を解かないとやばい

594 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:39:26 ID:EUNdfEw5
グリーンとリリスはそろそろラブラブ効果が抜けるんじゃないの?

595 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:06:25 ID:0DPPRu2y
効果が抜けてどう転ぶかが見物なんじゃあないかww

596 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:38:45 ID:OJDfZQD+
カオスすぎる
本当にニア涙目な展開が続くなw

597 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:43:55 ID:9FtTmeuZ
なんと言うか、普通対主催キャラってそれなりに応援したくなるものなんだが、
ニアに関しては一切そういった感情が沸いてこないんだよなww
それよりもイライラがつのってつのって……。前回のSSとか、キルアGJとしか思わなかったし。

598 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:45:52 ID:EUNdfEw5
篭城は危険だな

599 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:02:58 ID:kxhDdOfs
リリスという共通の敵を倒すために共闘!とかいう展開を考えられないのは何故だ
マジで二アは早く逃げないとやばいな
予測できない人達大杉
リリス達の今後とかグレーテル、放送聞いた後のキルア等

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:06:14 ID:EUNdfEw5
弥彦が案外うまくやりそう
特にパタの誤解関係

601 : ◆Gs3iav2u7. :2007/12/03(月) 02:37:21 ID:Mkpeh9qq
千秋と小狼を予約します。

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:38:24 ID:PgfNEktJ
ktkr!

603 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 11:32:49 ID:IOqUcZnK
ニアはあれだな
「僕が推理して指示出しますから皆さんその通り動いて下さいね」な本音を隠す気もないからな
すこしでも「利用されるのは嫌だ」って思う奴は反発するだろそりゃ

>>601
期待

604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 18:33:36 ID:37RC+xrz
今週号のジャンプでキルアがゴン見捨ててたな。

こっちのキルアにも影響出るのかwktkが止まらない。


605 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:00:00 ID:kxhDdOfs
あれは見捨てるというか、今まで友達が1人しかいなかったキルアに友達が複数できて、混乱したんだよな
まあ見捨て(ry

606 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:02:23 ID:PgfNEktJ
最近は結構いろんな原作作品で「おお、これは」って思う。
ネギ魔は少し前にこのロワみたいな感じの爆発する首輪出たし、
ベルセルク最新刊今日立ち読みしてきたらドラゴン殺しがなんかすごいもの斬ってた。
絶チルは大体毎回能力の使い方に驚いている。

607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:04:16 ID:6k8MpwnM
南西のタワーのニアと、北東の町のヴィクトリアって好対照なんだよな。
どっちも対主催で、動き回らずに情報と仲間を求めてる。
ヴィクトリアは仲間を吟味しようとしてチャンスを見送ってる一方、
ニアは手当たり次第にババ引いてる感じww

608 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:08:07 ID:PgfNEktJ
ニアとヴィクトリアは性格や思考は割と近いから、もし出会って利害が一致すれば
うまく組む(利用ともいう)可能性は高いと思うんだけどなぁ

609 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:18:51 ID:IOqUcZnK
手を組みつつ見下し合う仲になりそうだな

610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:29:52 ID:tiCVSgM1
ヴィクトリアとレイハの仲がさらに険悪に。
肝心なときに足の引っ張り合いになっても知らないぞ。

ニアとヴィクトリアは相性最悪なんじゃない?
どっちも「他人に動け」と指示を出すタイプだし。

611 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:59:24 ID:Odc+jZv2
うーん、ヴィクトリアは案外、不言実行のイメージがあるけど。
原作でも描写は少なかったからなぁ。
蝶様の研究を手伝ってたのも、自発的行動じゃないかなと思うし。
まあ、自身のメリットも計算してだろうけど。

612 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:20:24 ID:9L8osVkL
ヴィクトリアの活躍に期待。
存在を忘れてたよ。引きこもりの二アと違って印象に残らないのは、接触人数が少ないからだな。
アイテム&メンバーリスト、天空の剣、デバイスと強アイテムばっかりなのに。
ヘタレックスに剣を返してやって欲しいぜ。
ヘタレックスはゲーム脳じゃないんだっけ

613 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:36:48 ID:oG/46fSY
ゲーム脳ではない、タバサ教だ
でもそのタバサもお兄ちゃんがザオリク使えないと知ったら…
あれ?この兄妹会わない方がいいんじゃね?

614 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:42:24 ID:G7Nd7x3y
ゲーム脳じゃありません、ただのへタレです。
しかし同じ兄弟で結構考え方違うよな。
…タバサは何処でどう間違ってああなったんだが。
DQ世界でもあの考えはちょっとやばい様な気がするぞw

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:01:29 ID:VZP1zf0z
今は結構位置が離れてるが、密かにレミリア対ヴィクトリアの対決に期待してる俺
ヴィクトリアがフランの仇というのもあるが、フランの姉に出会った時のレイハ姐さんの葛藤が見たいw

616 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:16:04 ID:9L8osVkL
今戦闘直前なメンバーは
放送前
イエロー組vsベルフラウ。パタリロvsキルア。
放送後
ヴィーダ

ぐらいだっけ?
もうすぐ作品数も200行くな。職人達GJです

617 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:47:31 ID:GRrjtaDI
タバサは回復魔法持ってないから制限されてること知らないってのが命に対する認識の歪みに繋がってるのかな
元からかも知れんが

関係ないがうちの人間メンバーはルイーダの酒場で飲み明かしてる
子供達を危険な魔王討伐に連れて行くなんて俺にはできない

618 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 02:47:43 ID:6hJ981FV
ぼくにはとてもできない

619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 04:01:54 ID:W0r+wKTh
タバサは>>617に加えて「仲間になりたいやつは倒しても起き上がるから大丈夫」と
考えている魔物使いの性質もあるからあそこまで歪んでるんだと思う。

620 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 08:37:18 ID:z/+p4sPD
タバサとレックス育てたのが
サンチョとか魔物達なんだから歪んでてもしょ〜が無いよ。
産まれた時からスミスとかと一緒なんだぜ?


621 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 09:34:51 ID:OFAxygAo
スミスって腐った死体だっけ


622 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 09:49:30 ID:9L8osVkL
タバサは戦ってやっちゃうたびに引きずる棺桶が増えるのか?あ、悪い人は放置か
ドラクエは魔法使いタイプもわりと戦えるんだっけ
最近、一撃でも物理攻撃くらうと死ぬ後衛しかいないゲームしかやってないからな

623 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 10:47:02 ID:z/+p4sPD
>621腐った死体だよ
>622ドラクエはレベル次第
レベル高ければタバサ1人で魔法無しでもドラゴンとか魔神とかボコれる。

624 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:23:09 ID:Q7eOIhVf
まぁDQは装備とアイテム次第でLv1桁台でもラスボスに勝てないことは無いけどな



625 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:32:03 ID:maHoCvSX
タバサはレックス共々EDを迎えた辺りの時間軸なんだっけ
少なくとも全ての呪文を修得できてるレベルなら呪文なしでもかなり強い筈

626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:36:11 ID:9L8osVkL
おーありがと。
タバサ強いなWW俺のドラクエイメージが、剣しか使えない勇者と犬姫とどっちつかずで止まってるから、レックスが魔法使ったときは驚いた
リメイク出たらきっと買うんだ

627 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 12:05:42 ID:+ttv+sgP
同じ魔法使いでもジーニアスは完全な後衛型だったな。
一人で魔法封じて戦えばレベル差があってもキツイ。
闘技場ではコンセントレート、属性無効、秘奥技の超チキン戦法
使わないと勝てなかった…

628 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 12:06:18 ID:984dPj+3
というか、ドラクエって魔法使いが毎ターン魔法使ってたらすぐにMP尽きるからな。
ダメージ低くても構わず殴ってるターンの方が多い気が。

629 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:20:00 ID:T5+NiC9g
>>626 そんな君にDS版DQ5(開発中)とPS2版DQ5(発売中)。
 
 そういや俺ジーニアスは使ってなかったな……姉は特技的に当然レギュラーだったが。
プレセアは使ってたが。

630 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 19:24:58 ID:6YEBQDpa
ついに仏教 VS 神道 ガチ対決!!??

126?名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りすっしょ。。[]?投稿日:2007/12/04(火) 18:52:29.58 ID:c8I2g9bd0
巫女とか非処女ばっかじゃん、大嘘こいてんじゃねーよ糞神道

127?名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りすっしょ。。[]?投稿日:2007/12/04(火) 18:55:43.28 ID:9XiI161E0
>>126
当方現役巫女ですが処女ですよ。
見た目も見苦しくない程度の自信はあります。
うpでもなんでもやってやりますよ。

口だけで死人に名前付けて金取るような宗教に難癖つけられる筋合いないですよ。


http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1196761949/

631 : ◆LxeSFbmkr. :2007/12/04(火) 23:35:43 ID:C6pFB73g
面白いトリできたので自慢
SS書けないから使う機会ないけどw

632 : ◆Gs3iav2u7. :2007/12/05(水) 22:10:31 ID:ovb6BaYv
0時頃に投下します。
この板って、1レス何行までOKでしたっけ。

633 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 22:40:03 ID:/Bxzatb6
支援。60行だったかと。

634 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 23:07:30 ID:NpLCYgDK
>>632
期待してます。
そしてしたらばにIE氏の予約ktkr

635 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/05(水) 23:16:47 ID:gn+2G6Db
6 : ◆IEYD9V7.46:2007/12/05(水) 20:43:14 ID:ocKR..xA0
被った予約の骨子が流用できそう。というか明らかにやりやすくなってる……。
避難所で意見くれた方に改めて感謝。登場済みキャラばかりで申し訳ないですが、
インデックス、ヴィータ、紫穂、双葉以上4名を予約します。……OCN全滅か、何てこった。

636 : ◆Gs3iav2u7. :2007/12/05(水) 23:59:50 ID:ovb6BaYv
投下を始めます。

637 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:00:32 ID:gn+2G6Db
 

638 :まっくら隧道 ◆Gs3iav2u7. :2007/12/06(木) 00:01:31 ID:ovb6BaYv

暗い。
ただ一言でその場所の描写は済んだ。
山を一直線に貫く、二車線長さ約千三百メートルの山岳トンネル。
電気の不通と利用者の不在によって溜め込まれた闇と静寂は、
闖入者を一人迎えた程度では揺るぎはしない。

(今、どれくらい来たんだ?)
冷涼と淀む空気を吸い込みながら、小狼は思う。
トンネルに入ってから、何一つとして彼の周囲に変化は無い。
懐中電灯の光が照らし出すのは、黒々としたアスファルトの地面。
耳に聞こえるのは、自身の靴と衣擦れと呼吸の音。
右手から伝わるのは、ざらついた冷たいコンクリートの感触。
小狼は最初のうちこそ警戒を怠らずに進んでいた。
だが、ただ単調に続く光景を前に催眠にも似た状態に陥り、今では半ば機械的に手足を動かしていた。
閉塞感。
何も変わらないという苦痛。
(あれは……臨海学校の時だったか)
ふと、過去のことが思い出される。入ってくる情報が少なすぎて暇を持て余した脳みそが勝手に物を考えている。
まだクロウカードを巡って桜と競っていた頃、海岸にあった岩場の洞窟での肝試し。
クロウカードの力によってクラスメイト達が消され、それを桜とともに解決した。
泣かれるのがいやでハンカチを貸したら優しいと言われて照れくさかった。
ここよりもずっと狭く短い洞窟の中を蝋燭の火を頼りに二人で歩いた。
クロウカードがもたらすこの世の災いについて話し合った。
祠に潜んでいた『消』を桜が封印するのを見た。
ありがとうと言われた。
脳みその散発的な回想はとどまる所を知らず続く。
その間も小狼は、懐中電灯に照らされたアスファルトが自身の歩みに合わせて手前に流れるのを見続けていた。
小狼の視覚においては、その楕円形に切り取られた地面だけが世界の唯一の基準であり、全てだ。

だから、懐中電灯の光が消えたのを小狼は一瞬「地面が消滅した」と錯覚した。

「な……!?」
平衡感覚を失いかけた体をなんとか立て直した。
目に焼きついた楕円形の残像を振り払い、消えたのが地面ではなく電灯の光であることに気づく。
まさか。
カチリ、と電灯のスイッチを入れ直す。光は戻らない。
何度もスイッチを入れ直すも、やはり結果は同じだった。
「電池切れ……か」
何もこんな時に、と小狼は思う。そもそも懐中電灯はまだ二時間も使っていないはずだ。
わざわざ古い電池入りの懐中電灯をよこすなど、嫌がらせとしか思えない。
「くそっ、ジェダのやつめ。電池くらい新しいのを入れておけ」
小狼は――彼にしては珍しく――ややピントのずれた悪態をついた。
そして、ちょうど悪態をついた相手の声が聞こえてきたことに本気で驚いた。

『――――穢れ無き魂を持つ幼子達よ。久しいな』



639 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:01:32 ID:NpLCYgDK
 

640 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:01:55 ID:gn+2G6Db
 

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:01:59 ID:SMGW2VmT
 

642 :まっくら隧道 ◆Gs3iav2u7. :2007/12/06(木) 00:02:10 ID:ovb6BaYv

あまりにもタイミングが良すぎたためにジェダが今の悪態に反応したのではないかと身構えたが、
続く言葉からこれが定時放送であることが分かった。
『まず禁止区域の発表を行う。これから――』
あまり聞いていたくない声だが、聞き漏らすわけにはいくまい。
小狼は急いでランドセルを下ろし、名簿と地図、鉛筆を用意しようとして、気づく。
「しまった!」
見えない。
名簿も、地図も。
懐中電灯が切れてしまい、完全な暗闇となったこの場では。
『――以後は二時間毎に追加していくが、発表は各放送の時にしか――』
「っ、仕方無い!」
考える暇など無い。手探りで鉛筆と、大きさから地図と思しき紙を取り出して壁に押し付ける。
何も見えないが、書き留めることならなんとか出来るはずだ。
『19時よりB-7。21時よりH-8。23時よりA-1――』
表面か裏面かもわからない紙に放送内容を綴る。
自分の筆跡がせめて読めるものであることを祈りながら。
『――――次はこの放送までに命を落としてしまった者達の名前を発表する』
名簿があることを前提にしているのか、ジェダの放送の速度はかなり早かった。
フルネームを書くことなど到底できず、番号と、苗字もしくはファーストネームだけを綴っていく。
それでも最後の方は間に合わなくなって書き殴りに近い有り様になってしまった。
その後『ご褒美』の話や、コナンとネギからも聞いていたリリスが参加しているという話などが続いた。
『これにて放送を終了する』
その言葉を最後に、声はトンネルに残響音すら残さず消えた。
静寂が戻る。
小狼は少しの間身動きをしなかった。
今の放送が幻聴でなく確かに聞こえたことを確認し、内容を反芻し、
「さくらは生きているんだな」
呟いた。
これ以上無いほどの安堵の念を込めて。
そう、今の放送では、木之本桜の名は呼ばれなかった。
桜はまだ生きているのだ。今も、この島のどこかで。
それがわかっただけで、小狼の体には活力がみなぎってきた。
「よしっ……待っていろ、さくら。今行くからな!」
そうと分かれば、いつまでもこんな所で立ち止まってはいられない。
とにかく、このトンネルを抜けることだ。そして記憶があやふやになる前に、放送の内容を確認すること。
ランドセルに荷物を戻し、背負い。
小狼は、まるでその先すぐに桜が待っているとでも言わんばかりの勢いで、
暗闇の向こうにあるであろう、トンネルの出口をにらんだ。

(――いや、待て。暗闇の向こうにある?)
違和感を覚えた。
「……まだ、着かないのか?」
地図を見る限りでは、このトンネルはせいぜい一キロちょっとしかない筈だった。
だというのに、何故だ。もう大分歩いているはずなのに、出口がまるで見えないのは。
出口が何かの陰になっていて暗いから? それとも既に日が沈んでいるから?
そうだとしても……空気が淀み、風が全く吹いてこないのは何故だ?
悪い予感がする。魔法使いの予感はよく当たる。
知らず、早足になっていた。
そう時間はかからなかった。小狼は自身の靴音が立てる残響音が変わっていくことに気づいた。
今までのような、左右の壁と地面と天井だけではない。
前からも、音が反響してくる。その響きは脳みそで処理され、前進を拒むような圧迫感として感じられる。
本能的に手を前に突き出しながら進んだ。
そして、たどり着いた。
圧迫感の正体。冷たい、鉄の感触。その向こうから微かに聞こえる、風の音。
わずかな光も漏らさない、大きな大きな鉄の蓋。

出口は、閉ざされていた。


643 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:02:36 ID:ZjVsWKI6



644 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:02:57 ID:Bz6IzH86
 

645 :まっくら隧道 ◆Gs3iav2u7. :2007/12/06(木) 00:03:05 ID:ovb6BaYv




「お前は何をしていたのか」と問われれば、「何もしていませんでした」と答えるだろう。
南千秋の、タワーを離れて以降の行動である。

「……そろそろ夜か」
舗装された道路の上、夕陽の残照を浴びて黒い影と化したタワーを背に、千秋は黒ずむ空を眺めていた。
視線を落とせば、そこには毒々しい色の沼が広がっている。
触れると何かのステータス異常にかかりそうな色彩を前にして、千秋はぼんやりと嫌悪の意を表した。
「これを渡るのは、イヤだな」
タワーを離れた後に千秋が向かったのは、タワーから真東にあるこの沼だった。
何があるわけでも無い。南は海で北が山のこの地形で、タワーから裏路地を通って離れようとすればここにたどり着く。
当然の結果だ。それ以上でもそれ以下でもない。
しかし……その普通に歩けば三十分とかからない場所に着くまでに、千秋は実に三時間近くの時間を費やした。
三時間。
実にだらだらとした、実入りの無い時間だった。
その間千秋は決して超スローモーに歩いていたわけでも無いし、二時間三十分棒立ちしていたわけでもない。
家屋の中を漁ったり、そこそこ高いビルから周囲の様子を見たりした。
奇妙な六角形の金属片を以前みたいにジャケットに変形させられないか調べてもみた。
ベッドで一眠りしたあげくシャワーまで浴びた。替えのパンツを見つけられたのはこの三時間最大の収穫である。
それでも、これらの行動は千秋にとって何もしていないのと同じだった。
何か目的があってやったことでは、ないのだから。

結局のところ千秋は三時間かけて、下がりに下がった“殺し合い”のモチベーションを上げるどころか、
ぐずぐずに腐らせてもっとタチの悪いものに変質させてしまった。
未練がましい、と自分でも思う。
自分は、別の事をして時間を潰すことで“やらなければいけないこと”を先延ばしにしているだけだ。
らしくもない。
もう戻れないと、分かっているくせに。
夏休み終盤になって宿題が出来ていないと嘆く人々はこんな心境なのだろうか。近くにそんな人間のいない千秋には分からなかった。
自分もハルカ姉さまも宿題はすぐに済ませてしまうし、カナは宿題の存在自体を忘却して二学期突入するし。

ゴポン、と沼から変な色の泡が一つ浮き出て消えた。
「……何かガスでも出ているんじゃないのか、これ」
決めた。この沼を渡るのはやめよう。
心情的にはとっくに出ていた結論を後押ししてくれた泡に感謝して、千秋はのろのろと歩き出した。
向かうは北。山登りは億劫だが、自分でも登れない高さではないだろう。


646 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:03:50 ID:/Bxzatb6
 

647 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:03:54 ID:gn+2G6Db
 

648 :まっくら隧道 ◆Gs3iav2u7. :2007/12/06(木) 00:04:16 ID:sPWTgH+n

車線が四から二に減った道路は、途端にみすぼらしい様相を呈してきた。
白いラインは途切れ途切れになり、ヒビ割れと雑草がアスファルトを侵食する。
道路脇で顔を覗かせている土管やパイロンの残骸を横目に見ながら、千秋は首輪探知機を片手に進んだ。
(そういえば……この道路、どこにつながっているんだ?)
ぐちゃぐちゃに丸まった「立入禁止」の標識テープを踏みつけて、疑問に思う。
前を見れば、道路はそのまま直進して山に吸い込まれるように消えていた。
(――違う、あれは)
目をこらして、ようやく見つけた。
馬蹄型のコンクリートが縁取る、トンネル。
入り口が何かで塞がれ、さらに雑草や蔦で覆われていたため今まで気づかなかったのだ。
近づいてみると、塗装の剥げた鉄の壁がぴったりとトンネルに嵌まっているのが分かった。
壁には二つ、やはり鉄製の頑丈なドアが付いている。入り口用と出口用だろうか。
どちらも鍵は閉められているようだった。

なんの脈絡もなく、放送が始まった。

千秋は放送に従って地図と名簿に記録をつけていく。
気楽なものだった。
禁止エリアに挟まれたとはいえまだ時間はあったし、
生死を心配しなければならない人間だって自分には――
『これにて放送を終了する』
その言葉を最後に、声は山彦すら残さず消えた。
風の音が聞こえる。
「生きているのか、あいつは」
ずいぶんとたくさんの線が引かれた名簿を見て、千秋は思った。
やっぱり、という感想だった。パタリロは、あの珍妙不可思議にして胡散臭い男は何をしても死にそうにない。
(あの男にまた会ってしまったら、私は)
どうすればいいのだろう。
何を言ったら、どんな顔をすれば。
(……やめよう)
これ以上考えたら、どうにかなってしまいそうだ。
千秋は考えを打ち切るために、何か別のことをしようと手に持った首輪探知機を覗き込んで、

「え、」

光点がある。
慌てて荷物をランドセルに詰め込む。探知機のモニターを再度見る。
光点の位置は、真北にあった。
山を振りあおぐ。ゴツゴツした、岩だらけの山。
この上に、誰か人がいる?
無理すれば登れるかもしれない。が、少し迂回すれば無理をせずとも登れる斜面がある。
わざわざこんな路を選ぶなんて、よほど山登りが好きなのだろうか。
あるいは――
いるのか。
この壁の向こうに。
この、トンネルの中に。
しかも、その光点は。
「こっちに……向かってる?」


649 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:04:41 ID:ZjVsWKI6



650 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:04:50 ID:lAZqxS4X


651 :まっくら隧道 ◆Gs3iav2u7. :2007/12/06(木) 00:04:53 ID:sPWTgH+n





「『ぶそーれんきん』っ!!!」
小太郎から教わったキーワードを叫ぶと、金属片が展開され武器に変化した……らしい。
暗闇なので確認が取れないのだ。
それでも太股の固定具から伸びたアームが自分の意思通りに動くことを知ると、
小狼は躊躇なくそれを振るった。
ガギンという硬質な音、飛び散る火花。
鉄壁は、傷すらつかなかった。
「くそぉっ……!」
半ばやけになって鎌を振るう。何度も、何度も叩きつける。
ホムンクルス達を粉微塵に刻める程の処刑鎌はしかし、
三つのアームを破損して本来の性能をろくに発揮できない。
(もし、ここから出ることが出来なかったら……)
引き返す、しかない。あの単調な暗闇の中を。
多くの時間をふいにして。なんてことだ。
やっとのことで見つけたドアは二つとも閉ざされていた。
鎌でこじ開けようと試みる。無駄だった。
「くそぉっ、くそぉぉっ!」
こんな。
こんな所で。
こんな所で、足踏みしているわけにはいかないのに!
小狼は探す。暗闇の中を手探りで。
なりふり構わず、頭も手足もフル稼働させて。
「なにか……なにか、ないのか!?」
現状を打開する手段は。
この暗闇を払拭する、光は。





652 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:05:34 ID:ZjVsWKI6



653 :まっくら隧道 ◆Gs3iav2u7. :2007/12/06(木) 00:05:57 ID:sPWTgH+n
壁の向こうから、ガギン、ガギン、と金属を叩きつける音が聞こえる。
相当激しい。檻に入れられた猛獣の叫び声のようにも聞こえる。
彼我の距離は二メートルも無いのだろう。
千秋は、探知機の光点が壁にぶつかるまで、その場に留まっていた。
特に考えなど無い。あえて言うなら逃げ損なった、というべきか。
千秋の手には、一個の鍵が握られていた。ドアの下に落ちていたものだ。
親切なことに「ト S 入」と書かれた紙が貼ってある。
トンネルの、南側の入り口の鍵。
これを差し込めばドアは開き、トンネルの内と外は繋がる。

千秋の表情は変わらない。いつものように目を半分閉じた、眠そうで愛想の無い顔。
それでも、その心の内はかつてないほど盛大に混乱していた。

どうしよう。

――開けてやればいいじゃないか。ここで恩を売っておけば、後々役に立つかもしれない。
  信用できそうなら、そいつに守ってもらえばいい。
――バカ野郎。早く逃げろ。恩を売ることと、相手がその恩を着るかは別問題だ。
  首輪探知機さえあれば誰にも会わず安全に過ごせるのに、余計な真似をするんじゃない。
――バカ野郎。これはチャンスだ。こいつを殺して、武器と食料を奪ってしまえ。
  そうすれば優勝に近づける。コンチュー丹のある今の私なら、それが出来る。
――バカ野郎。何でもいいから何かしろ。ここに鍵があるんなら向こうにだってあるかもしれないんだぞ。
  相手がドアを開けて出てきた時に目の前で私が突っ立っていたら気まずいことこの上なしだ。

自分と同じ顔をした小人達が脳みその中で丁々発止の大激論を繰り広げている。なんてバカな絵面だ。

どうしよう。
どうしよう。

自分がこんなに混乱していることに自分で驚く。
なんで今さら迷うんだ。
太一みたいな奴と関わってしまったのがいけなかったのか。

私は優勝しなきゃいけないのに。
もう戻れないなんて、分かっているのに。
だらだらと時間を浪費していたさっきまでの自分がうらめしい。
下手に時間なんか空けるから、せっかくの決意も鈍ってしまって。最悪だ。泣きたくなってくる。

自分は『ひとごろし』にならないために戦っているはずなのに、どうして人を殺しているんだろう。
この問いは前に答えを出したんじゃなかったか。

自分はどうすればいいんだろう。
自分はどうするべきなんだろう。
自分はどうしたかったんだろう。
自分はどうしたいんだろう。
自分はこんな優柔不断な人間だっただろうか。

何も分からない。

まっくらだ。

どうしよう。
どうしよう。

654 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:06:14 ID:Bz6IzH86
 

655 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:06:23 ID:lAZqxS4X


656 :まっくら隧道 ◆Gs3iav2u7. :2007/12/06(木) 00:06:45 ID:sPWTgH+n
【D−7/トンネル南側出口/1日目/夜】
【李小狼@カードキャプターさくら】
[状態]:健康。
[装備]:核鉄(バルキリースカート)@武装錬金(展開中)
[道具]:共通支給品一式(懐中電灯は電池切れ)、きせかえカメラ@ドラえもん
[思考]:くそっ……どうにかして開けられないのか!?
第一行動方針:何を差し置いても桜を探し出し、守る。
第二行動方針:当面、南西の市街地を目指し、調べる。
第三行動方針:桜を保護できたら(あるいは、桜が死亡したら?)梨花たちと再合流を図る。
第四行動方針:信頼できる仲間を増やす(必ずしも行動を共にする必要はない)
基本行動方針:桜とともに島を脱出する。
[備考]:一休のことを、放火魔、かつ幻術能力を持った魔法使いの類だと確信しました。
    シャナ一行の行動予定(16時に廃病院に集合、18時タワー到着を目指して移動)を知りました。
    バルキリースカートは、アームのうち3本が破損した状態です(現在自己修復中)
    放送の記録がどこまで正確に書き取れているかは不明です。

【南千秋@みなみけ】
[状態]:肉体的には健康、人間不信&精神衰弱(見た目は普通)。
[装備]:ロングフックショット@ゼルダの伝説/時のオカリナ、
    祝福の杖(ベホイミ残1回)@ドラゴンクエスト5、
    首輪探知機、核鉄(シルバースキン)@武装錬金(展開せずポケットに)
[道具]:基本支給品×2、ルーンの杖(焼け焦げている)@ファイナルファンタジー4、コンチュー丹(容器なし、2粒)@ドラえもん、
    青酸カリ(半分消費)@名探偵コナン、的の書かれた紙×5枚@パタリロ!、太一のゴーグル(血がついている)、
替えのパンツ×3枚、トンネル南側入り口の鍵
[思考]:ぐちゃぐちゃ
第一行動方針:目の前の事態に対処する。
第二行動方針:パタリロとの合流はできれば避ける?
第三行動方針:自分を人殺しと疑う者がいれば排除したい?
第四行動方針:全て終わったら、八神ヒカリに形見のゴーグルを渡したい(自分が殺した事実は隠す)?
基本行動方針:誰も信用せず、いつもの自分を演じてみんなに殺し合いをしてもらう?
最終行動方針:このゲームを知るもの全員に死んでもらって家に帰る?

657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:06:54 ID:ULkC9Z1e



658 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:07:55 ID:ULkC9Z1e



659 : ◆Gs3iav2u7. :2007/12/06(木) 00:08:17 ID:sPWTgH+n
以上です。支援してくれた人達と、行数を教えてくれたお二人に感謝。

以下補足。
千秋の傷が治っているのは核金の治癒効果によるものです。
作中出てきたトンネルを塞ぐ壁は、↓をもっと大きく堅固にしたようなものと想定しています。
ttp://www.csync.net/service/file/view.cgi?id=1196865759
あくまでも参考程度ですが。

660 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:16:09 ID:Bz6IzH86
投下乙。これは予想外。
トンネルの出口が閉鎖されていたのもびっくりだし、千秋の心理状況がまた上手い……。
というか小狼、いいから落ち着けw
これは先が読めない。鉄の扉を挟んで、これから2人はどうなるんだろう。GJ。

661 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:17:34 ID:UI4vmUZR
意外な展開乙。そうか、トンネル塞がれてるのか。
チアキの心情が見事。そうだよね、追いつめられた時ほど、むだに時間過ごしちゃうんだよね。
自分の事のようによくわかるよww
そして小狼。悪いこと言わないから引き返すんだっ! さくらはあっち! 後ろの方だよー!

662 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:18:05 ID:lAZqxS4X
投下乙!
「まっくら」なのは小狼だけじゃなかったのね……
しかしトンネル片方だけ封鎖とか、ホントにジェダは嫌がらせ大好きだなw

663 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 00:27:11 ID:6gewYUpU
ナイス繋ぎ! 乙

664 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 01:02:53 ID:Gh4i9RH4
投下GJ
情景が目に浮かぶようだ……
千秋は凄く一般人だ。なんか一番共感できる(マーダーだけど

665 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/06(木) 12:51:28 ID:Ur/EDuKy
繋ぎ上手いな!
GJ

666 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/07(金) 20:13:51 ID:iOgTJwlh
リルル、トリエラ、小太郎、レミリアで予約。
内容は完成しているのですぐに投下します。

667 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/07(金) 20:14:45 ID:iOgTJwlh
死亡者37名。
課題を与えてあるトマの名前はなかったものの、全体数と時間から鑑みるにかなり大きい数字だ。
平均すると1時間に3人のペースで殺人が行われていることとなる。
私はこの12時間でゲームに乗っていた人間(実は勘違いなのだが)を2人始末している。
これをゲームに乗っている人間に当てはめてみよう。
同じペースだと考えるならば、17,8人がゲームに乗っている計算となる。
全体数の4割強が死滅していることから残るテロリストは11,12人といったところか。
殺し合いは私の思った以上に激しいらしい。

次に禁止エリアだが、これは問題ないだろう。
目的地が指定されたわけでもなし。
タワーを除けば全てどうでもいいような場所ばかりだ。
うっかり爆死するような人物は放送を聞いていない間抜けぐらいか。

さて、いよいよ橋を渡れば目的の町なのだが。
これは休めないかもしれない。
桜の近くで墓を暴いた形跡がある。死体すら残っていない。
これをやった人間はよっぽどどうかしている。
十分警戒すべきだ。ゲームに乗っているどころか話すら通じない可能性が高い。
途中で他の参加者とのすれ違いがなかったことから町に残っている可能性もあり得るのだ。
繰り返すが警戒すべきだ。

この島にいる限り、安全はないということだろう。

668 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/07(金) 20:15:34 ID:iOgTJwlh
【F-1/桜の木正面の道路/1日目/夕方】

【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:胴体に重度の打撲傷、中程度の疲労。右肩に激しい抉り傷(骨格の一部が覗いている)
[装備]:拳銃(SIG P230)@GUNSLINGER GIRL(残段数1)、US M1918 “BAR”@ブラックラグーン(残弾数0/20)
   ベンズナイフ(中期型)@HUNTER×HUNTER、 トマ手作りのナイフホルダー
[道具]:基本支給品、回復アイテムセット@FF4(乙女のキッス×1、金の針×1、うちでの小槌×1、
   十字架×1、ダイエットフード×1、山彦草×1)
   ネギの首輪、金糸雀の右腕(コチョコチョ手袋が片方だけついている)、血塗れの拡声器
[思考]:休めればいいんだけど……
第一行動方針:リルルに警戒しつつも、一時的な同盟を了承。足を引っ張ったり敵対するようなら始末も考える。
第二行動方針:安全な場所まで移動して休息。
第三行動方針:好戦的な参加者は倒す。
第四行動方針:南西or北東の街に行き、銃器店or警察署を探して武器弾薬の補給を図る。
第五行動方針:トマとその仲間たちに微かな期待。トマと再会できた場合、首輪と人形の腕を検分してもらう。
基本行動方針:最後まで生き延びる(当面、マーダーキラー路線。具体的な脱出の策があれば乗る?)
[備考]:
US M1918 “BAR”@ブラックラグーンは、地面に叩きつけられた際、歪みを生じている可能性があります。
少なくとも肉眼的には異常は見られません。

サトシの墓を暴いた人物を好戦的かつ異常者と判断。警戒しています。



【リルル@ドラえもん】
[状態]:左手溶解、故障有(一応動くが、やや支障あり)、人間への強い興味
[装備]:長曾禰虎徹@るろうに剣心
    (※レッドの体液でべっとりと汚れ、切れ味がほとんどなくなっている)
[道具]:基本支給品×2、さくらの杖@カードキャプターさくら、クロウカード(花、灯、跳)@カードキャプターさくら
[服装]:機械部分の露出している要所や左手を巻いたシーツで隠した上から、服を着ている
[思考]:サトシ君の死体がなくなってるわ。何があったのかしら。
第一行動方針:とりあえずトリエラに同行。邪魔をしないよう注意しながら、観察を続ける
第二行動方針:人間に興味。「友達」になれそうな人間を探す
第三行動方針:強い参加者のいる可能性を考え、より慎重に行動する。
第四行動方針:兵団との連絡手段を探す。
第五行動方針:のび太に再会できたら、そのときこそ一緒に行動する
基本行動方針:このゲームを脱出し(手段は問わない)、人間についてのデータを集めて帰還する
参戦時期:映画「のび太と鉄人兵団」:中盤
(しずかに匿われ、手当てを受ける前。次元震に巻き込まれた直後からの参戦)

669 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 20:15:46 ID:tqNSvTLt


670 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/07(金) 20:16:30 ID:iOgTJwlh
――ネギ・スプリングフィールド

すでに知った親友の死。
にも関わらず、放送は小太郎の心に鋭く突き刺さる。
同時に頭の中がネギのことで埋め尽くされた。

ネギはなぜ死んだのか。
ネギの追った人形は何者なのか。
ネギの殺されたあの場で何があったのか。
あの場にいた『3人目』は誰なのか。

これの手がかりは黄色い服の人形しかない。
北へ向かったそいつは、そのまままっすぐ行ったとは考えられない。
先にあるのは海岸だけだからだ。
西か東へ方向を変えたことになる。
可能性から言えば西の方が高い。
移動を制限する湖のようなものはなく。工場、廃病院、塔と施設もある。
だが、廃病院にシャナ達がおり、別行動をとった手前、今更戻りにくい。

となると東。湖のおかげで進入ルートは限られているがきちんと街がある。
目立った施設はないものの、ここに向かう可能性は十分にあり得る。
とりあえずはこちらを探索すべきだろう。

671 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/07(金) 20:17:02 ID:iOgTJwlh
【E-2/草原/1日目/夜】

【犬上小太郎@魔法先生ネギま!】
[状態]:気が僅か、疲労(中)
[装備]:手裏剣セット×11枚@忍たま乱太郎
[道具]支給品一式(水少量、パン一個消費)、工具セット、包帯、指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXT
    未確認支給品0〜1
[思考]:まずは北東の街やな。
第一行動方針:ネギの死の真相を知るために、「黄色い服の人形」と「現場にいたもう1人」を探す。
第二行動方針:ネギの件が一段落した後、シャナ一行あるいは梨花一行との合流を図る
第三行動方針:双葉に頼まれた梨々、小狼に頼まれた桜を探す。見つけたら保護する。
第四行動方針:信頼できる仲間を増やす(必ずしも行動を共にする必要はない)
[備考]:紫穂に疑いを抱いていますが確信はしていません。

672 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/07(金) 20:17:35 ID:iOgTJwlh
地の吸い過ぎで胃が相当もたれている。
気持ち悪い。とはいえ休む気などない。
そんな時間があるならば仮面の女を捜すべきだ。
手がかりは妹と接触したというあの肉塊。
どんぶらこと桃太郎よろしく漂流したことを考えると、手がかりは湖の沿岸。
手に入れた時期から考えるともう遅いかもしれないが闇雲に飛び回るよりはマシというものだ。

地図を眺めたレミリアは、島の北東、橋にある街に目的地を定めた。
この選択に合理的な理由はない。
ただ、街なら人が集まると考えただけ。
B型の女と戦った場所からできるだけ離れたかっただけ。
そして、その戦いを忘れる時間がほしかっただけ。

合理的な理由などなかった。
北東の街へ行き、仮面の女の手がかりを得る。
ダメならそこにいる参加者を片っ端から叩き潰す。
心の中でつぶやくと、不思議と気が楽になっていった……

673 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/07(金) 20:18:07 ID:iOgTJwlh
誰も知らなかった。
墓荒らしがゲームに乗っていないことを知らなかった。
親友の仇が同じ場所に向かっていることを知らなかった。
妹の仇が同じ場所に留まっていることを知らなかった。

歯車はおかしいほどに綺麗に噛み合う。偶然は戦士達を引き合わせる。
回る歯車は運命そのもの。徒に歯車を回すのは女神かそれとも悪鬼か。
先に待つのは喜劇か悲劇か、それとも狂気か。
運命の申し子達に示される道は今は、まだ――――――

674 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/07(金) 20:18:41 ID:iOgTJwlh
【E-4/上空/1日目/夜】

【レミリア・スカーレット@東方Project】
[状態]:魔力消費(中・吸血で回復)全身への魔力ダメージ(中・自然治癒中)飲み過ぎ胃のもたれ
[装備]:ラグナロク@FINAL FANTASY4
[道具]:グラーフアイゼン(待機フォルム)@魔法少女リリカルなのはA’s(多少ダメージを受けている)
[服装]:バリアジャケット・パチュリーフォーム
[思考]:まずは北東の街。
第一行動方針:基本的に出会った奴は全て叩きのめす。
        フランを殺した奴は=フランより強い=最優先目標。
基本行動方針:島の全て(含むジェダ)を叩きのめし最強を証明する。
※フランドールに関する情報、
『紙の束』『赤い宝石』『レイジングハートと遊ぶ』『喋る杖』『貴女自身の魔法、スペルカードを使ってください』『仮面の女』
を手に入れました。 レイジングハートについて大まかな情報を得ました。
※グラーフアイゼンはレミリアをあまり好いてはいません。

675 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/07(金) 20:20:04 ID:iOgTJwlh
人生初SSながら投下終了。タイトルは「集結の夜」で。
会話文のないサイレントなお話です。
今更ながらレベルの低さを思い知ったorz

676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 20:47:17 ID:i1KGDQ5x
初投下お疲れ様です。
結局レミリアと小太郎は北東の街に向かうわけか。

えーっと、指摘をひとつ。
>>667はトリエラ視点なんですよね?
なら、カッコ内の (実は勘違いなのだが) は不適切です。削った方がいいかと。
無くても読んでる側に勘違いは無いでしょうし。

677 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 20:50:54 ID:vwmZ8Y5t
投下乙。
短いとはいえ大きな粗は無いし、初SSでこれなら将来に期待するよ。
自信が無いなら大人しい場面から書いていくのは効果的だと思うし。
気になるのは()内位だけどもう言われたw

678 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:07:16 ID:V3sY6w3p
初投下乙
まず始めに放送前の連中を動かしたのは見事
今後も期待です
あと、ocn規制で書き込めない方がしたらば避難所で感想書いてますよと報告

679 : ◆iCxYxhra9U :2007/12/07(金) 21:21:34 ID:JGmTOy+X
投下乙。
やはりみんな町を目指すか……。因縁が渦巻いてどんな展開になるか、期待大。
ククリとひまわりも巻き込まれそうだしね。
しかし、ミミはどこ行っちゃったんだろw 誰も出会ってないみたいだし。

そしてドキドキしつつ、エヴァとリンクを予約します。
今まで死者スレ小ネタ専門だったんだけど、勇気を出して。

680 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 21:38:38 ID:i1KGDQ5x
>>679
期待!

681 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/07(金) 22:10:01 ID:RyZcWrdV
投下乙!
繋ぎGJ!読みやすかったです。初投下なのにすごいな
放送後はタワーがやばいかと思ったらもうひとつやばい場所が……
放送聞いてない組がだいぶ減ったな

新人さんラッシュktkr
リンク逃げてー

682 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:37:59 ID:LktGLjJm
今気付いたので転載


6 : ◆IEYD9V7.46:2007/12/05(水) 20:43:14 ID:ocKR..xA0
被った予約の骨子が流用できそう。というか明らかにやりやすくなってる……。
避難所で意見くれた方に改めて感謝。登場済みキャラばかりで申し訳ないですが、
インデックス、ヴィータ、紫穂、双葉以上4名を予約します。……OCN全滅か、何てこった。

683 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:39:38 ID:6UAzF4CU
デジャヴw

684 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 00:50:21 ID:LktGLjJm
もう張られてたかw

685 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 02:21:19 ID:T3RHdQt9
しかし、おれの記憶違いじゃなければ、放送後未行動、まだこんなけいるんだよな。
ミミ、(メロ、ニケ、ブルー)、一休、グレーテル、
(パタリロ、キルア)、ニア、弥彦、(蒼星石、タバサ)、
(グリーン、リリス)、(ベルフラウ、イエロー、金糸雀)、みか、
(ククリ、ひまわり)



686 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 02:34:38 ID:53ibpdqP
まだそんなにいたのか
結構山場な所だから書きにくいのかな
イエロー組とパタリロ組は戦闘ありそうだから、戦闘描写できない俺涙目

687 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 03:22:29 ID:WlJfCB5f
逆に考えるんだ
そこであえて戦闘なしの話を書くことで読み手の意表をつくと

688 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/08(土) 09:45:32 ID:U1wizeIb
ご指摘ありがとうございます。
wikiにて修正しました。

689 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 11:48:23 ID:IRnek6L3


690 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 16:49:59 ID:53ibpdqP


土日だから投下あればいいな

691 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/08(土) 23:03:15 ID:6RlLIa17
ミミ…

692 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:42:45 ID:IPjL+A9u
放送さえ終わればミミは引く手数多……そんな風に考えていた時期が俺にもありました

693 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:49:12 ID:0kLRTpZf
◆IEYD9V7.46 氏の転載します。
いる人、支援よろしくお願いします。

694 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 00:51:20 ID:0kLRTpZf
(まずは、あの二人からだ……!)
ヴィータは荒れ狂う激情を胸に秘め、狩り前の捕食者のように気配を押し殺す。
視認性を奪う夜のヴェールの向こうに、獲物が二人。
ここからではその姿を確認できない。いつの間にか、かなり離れてしまったようだ。
それでも、方向にあたりをつけることくらいはできる。
気を失っている紫穂は後回し、今は確実にインデックスと双葉を仕留める。
日没によって、周囲に広がる森は底の見えない闇に満ち――時間と共にその明度を更に下げるだろう。
逃げられたら、まず見つけられない。
自然と、フランヴェルジュを握る指に力が込められる。
力みと詳慎の狭間。
陰森とした湿気が鬱陶しく纏わりつき、薄っすらと滲んだ汗と溶け合う。
(シグナム。あたしは馬鹿だし、もう遅すぎるのかもしれないけど……力を貸してくれ)
手中の炎の剣をレヴァンティンと重ね、強く祈る。
するとどうだ。夜気を掃う剣の熱がそのまま流れ込んだかのように、ヴィータの身体もまた熱を帯びる。
錯覚かもしれない、しかしヴィータはそう思わない。流入する熱から疑いなき勇気を得る。
これは仲間たちが、ヴォルケンリッターが力を与えてくれているのだと。
(……分かってる)
彼らが怒り、嘆いていることを。
(当たり前だよな)
同じだ。離れていても心は一つ。願い叫ぶことも、ただ一つ――!

『主を屠った怨敵に死を! 報復の鉄槌を打ち下ろせッ!!』

体内で爆発が起こったかのような熱量。その大半が、迷いを吹き飛ばす衝動へと変化。
莫大な残火はヴィータ自身の熱となり、血液を沸騰させんばかりの力を付与する。
炎の剣と一体化したような、凄絶な熱が全身に等しく行き渡った。
ただし、ある一部分だけは違う。
燃えるような総身の中で唯一、氷のように冷たい部分が残されている。
それは冷酷な思考を促す頭脳にか? ――違う。
全て等しく殺す、機械のような心にか? ――違う。
はやて以外の過去と未来を断ち切る、記憶の蓋にか? ――違う。
では、いったいどこに? 


カチャリ、と金属が打ち合う。


「はい、そのまま動かないでね」

695 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 00:52:41 ID:0kLRTpZf
ヴィータの身体が凍りつく。氷結の始点は首筋。
そこに何か、氷点下に迫る冷ややかなものが当てられている。
振り向かなくても解かる。皮膚を伝う堅い冷気が嫌でも伝えてくる。
伝わってくるが、脳が現状の把握を拒否し続け――無駄だった。それで現状が変わるはずがない。
(銃……だと……? ウソ、だろ?)
一気に血の気が失せる。
ミッドチルダやベルカでは廃れて久しい質量兵器。
歴戦の戦士であるヴィータですら、ここに来るまで知識の上でしか知らなかったものだ。
「こっちを向くのもダメ。あ、申し開きを聞くつもりもないから、そのまま黙って私の話を聞いてね」
不甲斐なさを悔いている間もない。有無を言わさぬ声が届く。
「まずは、その物騒な剣を捨ててもらおうかしら」
くそ、とヴィータは歯噛みする。
(どこまで迂闊なんだよ、あたしはっ! まだ、何も始まってもいないってのに!
 こんなんじゃ、こんなんじゃはやての仇を――ッ!!)
「聞こえなかったの?」
低く濁った声と同時。またも金属音が張り詰めた空気を震わす。
今度は銃口を当てるのではなく、押し付ける、或いは突き刺すといった強さだ。
辛苦するヴィータの手から、フランヴェルジュが力なく落下する。
「いい子ね。そのまま前に5歩、ゆっくり歩いてからこっちに振り向いて」
抵抗しようにも、背後を取られていてはどうしようもない。
言われたとおりに足を踏み出し……5歩歩いたところで身を翻す。
話すのは初めてだが、振り向いた先にいる人物が誰なのかは判りきっている。
当然だ。さっきまで自分が背負っていたのだから。
向き直った視線の先。悠然と立つのは一人の少女。
まだ薄暗いと形容できる森の闇を、一箇所に凝縮したような漆黒の総身――三宮、紫穂。
ヴィータは初対面の相手に対して、奥歯をギリギリと軋ませ、猛獣の如き剛の視線をぶつける。
相対する紫穂はそれを柔の視線でやんわりと受け止め、値踏みするように、しかし柔和に微笑む。
やがて、一頻りヴィータの形相を観察した紫穂は、桜唇から場にそぐわない蕩けそうな吐息と声を同時に漏らす。
「……いい表情だわ……。見込みどおりね……」
うっとりとした笑みが零され、ヴィータは寒気すら感じるほどの違和感を覚える。
アンバランス。身に着けている衣服までもが景色に馴染んでいるというのに、
その笑みは徹底的に世界との調和を拒んでいたのだ。
その異質さが原因か、それとも否か。「馬鹿にしてんのか」と叫ぼうとしたヴィータは面食らい、
口を軽く開いたまま何も継げなくなる。
(……見込みどおり、だと? 何だよそれ?
 いったい何の話をしてんだ、コイツは? あたしをどうするつもりなんだ?)
次から次へと、疑問が浮かんでは溜まる。
そうして、紫穂へ向けていた憤りの矛先が曖昧になった瞬間。
銃を突きつけ、絶対的に有利なはずの紫穂から、ありえない提案がなされる。

「ねぇ、取り引きしてみない?」


    *    *    *


696 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 00:54:40 ID:0kLRTpZf
「ふたばー、もう戻ったほうがいいかも……」
「うるせー! まだ全然探しきれてないだろ!?
 だいたい、『かも』なんて弱い意志であたしを止められると思うな!」

穏やかな嗜めは逆効果だったらしい。軽く憔悴した様子のインデックスが、溜息と共に引き下がる。
撥ねつけたのはやや暴走気味の少女、双葉だ。さながら、火を落とせない蒸気機関と言ったところか。
彼女がいつも以上に向こう見ずなのには理由がある。
一つは、高町なのはへの暴言に対する負い目。
なのは本人に謝ることができないから、せめて彼女からの依頼だけでも成功させようと奔走しているのである。
もう一つは、シャナの足を引っ張りたくないという意地。
シャナはある意味で双葉たちを信頼したからこそ、たった一人でタワーに向かったのである。
その信頼に応えたい、シャナがいなくても大丈夫だということを証明したい。
これらの想いが、元来義理に厚い双葉の心を後押しし、頑固とも言える強さとなっている。
それこそ、インデックスが手を焼くほどに。
「ふたば、本当にそろそろ限界だよ。ヴィータと合流してもど――」
インデックスが再度の説得を試みようとしたそのとき。

「おーい、インデックスー、双葉ー!」

遠く、後方から呼びかけが届いた。
双葉と一緒に振り返ると、傷跡のように抉られた森の跡地を背景に、二人の少女が早足で歩いている。
それを視認して、双葉は目を輝かせた。
「紫穂! 目が覚めたのか!」
何事もなかったかのように歩く紫穂の姿を確認し、嬉々として双葉が駆け寄る。
僅かに遅れてインデックスもそれに続いた。
「双葉ちゃん……ごめんなさい。私、ヒドイことたくさん言ったわよね……」
「気にするなよ、悪いのは全部あの変な剣なんだからさ……ん?」
再会の喜びも束の間、双葉の口から怪訝な声が漏れる。
というのも、紫穂が一枚のメモ用紙を何も言わずにおずおずと差し出してきたからだ。
それも、周りを警戒しながら隠すようにして、だ。
(何だ、見られちゃまずいもんなのか? でもここにいるのは――)
インデックスの注意は現在、「大事は話がある」と前置きしたヴィータのほうに向けられていて、
こちらのやり取りを気にしてはいないようだ。
耳の端でインデックスたちの話を聞き流しながら、双葉はメモを開く。

『インデックスとヴィータは危険よ』

――なっ。
声をあげそうになった双葉は、紫穂の視線に制されて危ういながらも堪えた。
微かに乱れた呼吸を落ち着け、メモの続きを黙読する。

『理由は後で話すわ。少ししたらあの二人が揃ってここを離れるから、
 それまでうまく話をあわせて。いい?』

メモを読み終わり、双葉は目線で肯定の意を示す。
間を置いて、恐る恐るインデックスたちのほうに目を向けると、
丁度、ヴィータの話が始まるタイミングだった。

「インデックス。……勝の死体が見つかった」
「……そう。それで、まさるはどこにいるの?」
「ここから南に行ったところだよ。それでさ、おまえに死体と現場の検証をしてもらいたいんだ。
 あの死体は何かがおかしい、普通の殺し方じゃないんだ。だから、おまえの口から意見を聞きたい」
「うん、わかったんだよ。しほとふたばも一緒に着いてきて」

話を振られた双葉はビクリと緊張する。
が、それを見越したかのように、紫穂が流れるようなフォローを入れる。

697 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:55:04 ID:ByUsJbU3
 

698 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 00:56:00 ID:0kLRTpZf
「ごめんなさい。さっきの勝くんの有様を見たせいなのかな……。
 ちょっと気分が悪くなってきちゃったみたい。
 少し休めば大丈夫だと思うから、双葉ちゃんと一緒にここで待っててもいい?」
「え、でも……」
「インデックス、すまねえ。あたしがさっき、紫穂に無理させちまったせいなんだよ。
 紫穂が死体の簡単な検分ならできるっていうから、つい……。
 だから、少し休ませてやってくれないか? 頼む」
「あ……、し、心配すんなよ! あたしがちゃんと紫穂に付いていてやるからさ!」

ヴィータと双葉の熱意を受けて、インデックスは逡巡する。何か腑に落ちないものは感じる。
けれど、自分以外の全員が賛成しているのだからここは折れるしかないだろう。
そう結論付けて、すぐに思考を切り替える。

「……仕方ないね、分かったよ。少し調べてすぐ戻ってくるから。
 行こう、ヴィータ。案内して」
「ああ」

そうしてインデックスとヴィータは懐中電灯の明かりを頼りに、荒地の向こうへ駆け出していった。
二人の後姿がみるみる小さくなり、完全に闇に埋もれたころ。
双葉は紫穂のほうへと顔を向け、静かな口調で問う。

「なあ、紫穂。さっきのメモっていったい――」

ずぶり、

という音だった。まるで底なし沼に勢い良く足を踏み入れたような、粘着性の水気のある音。
何をされたのか、何が起こったのか。双葉には判らない。
本当は解かっているはずのに、今日一日だけで一生分味わった感覚だというのに、それでも判ろうとしない。
だって、そんなはずはない。そうされる理由が何もない。問題は全て取り除いた。救えたはずだ。
絶対にそうだ。なのはが提示し、シャナが保証していた。だから大丈夫だ。そのはず、なのに。

(……な、んで……だよ……っ?)

茶色を焦がした地面に赤い斑点が乗る。
紫穂は肉を刺した短刀を左右に細かく揺らしながら、乱暴に双葉の脇腹から引き抜く。
数瞬後、電池を抜かれたように双葉の身体が地に臥した。


   *    *    *

699 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 00:56:49 ID:0kLRTpZf
夜気を振りほどくように二つの人影が地を駆ける。
先導するのはヴィータ、追走するのはインデックスだ。

「あそこだインデックス!」

ヴィータの声に促され、インデックスは前方に集中する。
走りながらじっと目を凝らして……見えた。
黒一色の暗幕に包まれながらも、その存在を煌びやかに主張する、灼熱の剣。
才賀勝が持っていたフランヴェルジュが、墓標のように地面に突き刺さっていた。
視界に捉えてから数秒後。突き立つ剣の前に辿り着き、二人は息を整える。

「……本当だね。まさるが持ってた剣……。それで、まさるはどこ? 
 正確に場所を指してくれないと暗くて見つけられないかも」
「勝の死体はその剣の向こうだよ。そこに、ひどい凸凹があるだろ? その奥だ」

えーと、どこー? とインデックスが懐中電灯をぶらぶらと左右に振り回す。
一歩、二歩。足元を確かめながら段々奥へと進んでいき――

――ざくっという音。

何かが潰れたような、裂けたような音が響いた。
一緒に、瑞々しい果実を搾ったような音も混ざっている。

(え……?)

遅すぎる。思考も行動もアフターケアも。全てが遅すぎる。
脳がやっと反応したのは、背中の激痛が命の危険に警鐘を鳴らす段になってからだ。
荒れた地面にうつ伏せにドサッと倒れる。そこで初めて、インデックスは答えに行き着いた。
背後からランドセルごと、真一文字に切り裂かれたのだと。
ただの斬撃ではない。裂かれた痛みが生み出す熱、それだけでは説明できない異常発熱。
思い違いではない。周りを揺蕩う夜風は、肉の焦げる臭いを間違いなく撒き散らしている。
疑いようがない。灼熱を伴った炎の斬撃だ。そして、そんなことが可能なのは――
(フラン、ヴェルジュ……)
認めたくない、しかし暴れ狂う痛覚がそれを無理矢理認識させてくる。
焼け爛れた皮膚が、噴き出す血が、切り裂かれた背中の傷が、
全ての要素が致命傷だと訴えかけてくる。
だが、それだけでは終わらない。肉体の次に抉られるのは――心だ。
インデックスが今一番聴きたくない言葉が、一番聴きたくない声によって背中に突き立てられる。

700 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 00:57:34 ID:ByUsJbU3
 

701 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 00:58:01 ID:0kLRTpZf

「……悪いな、インデックス。おまえには、世話になったよ。……じゃあな」
「ま……」

待って、という単語は形にならない。喉が正しく震えてくれない。だから「ダメだ」とインデックスは思う。
言葉が放てないなら、せめて思考の中だけでも抗い続けようとする。
しかし、現実は残酷だ。どんなに強く思っても、それは実世界に何の影響も及ぼさない。
今、声を張り上げなければ、間違いなくヴィータは行ってしまう。
それなのに、そのことが解かっているのに、インデックスの口からは音のない呼気が漏れるだけだ。
ああ、そうだ。とっくに解かっていた。
主を、八神はやてを失ったヴィータは、張り詰めた風船が弾けるように、いつこうなってもおかしくなかったのだと。
それでも信じたくなかった。後ろから斬られたときも、それは絶対ヴィータ以外の誰かに違いないと信じていた。
けれど、それはもう叶わない。ヴィータ自身がたった今、自分の仕業だと肯定してしまった。
足音が生まれ、刻々と遠ざかっていく。音が奇妙なほどに遠くで聞こえる。
ヴィータがこの場を去っていくから、そして、インデックスの意識が現世から離れていくから。
それらの相乗効果で、音が、視界が、世界が遠のく。
(そ、んな……ヴィーた……)
首を上げても、うつ伏せに倒れこんでしまったせいでヴィータのほうを向けない。
暗くなっていく視界の中。唯一、代わりに見えたのはハラハラと舞う――
(……ゆ、き?)
違う、雪じゃない。雪はもっと細かいし、こんなに細長い形もしていない。
(ああ、そっか……)
意識が泥に沈む寸前になって、インデックスは得心する。
これは、生まれてからずっと付き合ってきた、自分の髪。
背中を斬られた際にまとめて刈り飛ばされた――宙を漂う銀髪だったのだと。
瞼が落ちる。もう、風音しか聴こえない。
 

    *    *    *

702 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 00:59:45 ID:0kLRTpZf
紫穂は血濡れの七夜の短刀をてきぱきと操り、手早く双葉が背負っているランドセルの肩紐を切り裂いた。
一見冷静で沈着な様を装ってはいるが、時間を惜しんでいるように見えるのは誰の目にも明らかだ。
彼女は両手で胸の高さまでランドセルを掲げ、蓋を外して乱雑に中身をぶち撒ける。
水、食料、地図、黄金の玉、おもちゃみたいな銃……。
種々雑多な支給品が投げ出され、ランドセルの中身が空になる。
地面に落ちた支給品。その中の一つを彼女が捉えた瞬間。
清冽な川に過量な重油を流し込み、悪質な意志を以って掻き混ぜたかのように。
紫穂の目の色が、暗く濁った。

「これよ……これが欲しかったの……鋭くて、硬くて、私に力をくれるこの剣が……」

先端が二又に分かれた赤い短剣を手に取り、恍惚とした声が湧き出る。
邪剣ファフニール。呪われた短剣を頭上に掲げ、紫穂は年齢にそぐわない妖艶な笑みを浮かべる。
そのまま何時間でも溺れてしまいたい、歪んだ多幸感。
紫穂はそれを渋々振り払い、双葉の支給品を自分のランドセルに入れ替えてその場を立ち去ろうとする。
だが、

「……待て、よ……ッ!」

身を返した瞬間。喉から押し出したようなハリボテの声が、背中を叩く。
紫穂は珍しい生き物でも見るような眼差しで、声の発生源へとゆるりと身体を向けた。

「驚いたわ。まだ動けたの?」

小馬鹿にしたような声の先。そこにいるのは一人の少女、――吉永双葉だ。
双葉は地面に打ち付けたコキリの剣を支えにして、全身を震わせながらも立ち上がろうとしていた。
その震えの原因は失血か痛みか、それとも怒りか失望か。
完全に立ち上がった双葉は、自分が生きている証を打ち立てるように大地を踏みしめ、
支えにしていた剣を紫穂へと向け、今尚鋭さを残す眼光を燃え上がらせる。
複雑な色だ。その瞳には悲哀までもが混ざっている。

「……なに、かの、間違いだろ……? だって……おかしいじゃんか?
 何で……いまなんだよ? おまえが、あたしを殺すつもりだったらさ……、
 廃病院で二人きりのときに、やってるはずだろ……?
 しかも、さっきまであの剣を持ってなかったのに……何で、あのときよりひどくなってんだよ……ッ?」

なのはとシャナの見立てが間違っていたとは思いたくない。だからこそ、双葉は疑問を投げ掛ける。
数秒の後。問いを受け取った紫穂の顔から笑みが消える。
同時に彫像のような無機質な雰囲気を纏い、彼女はおもむろに口を開いた。

「……正三角形と正方形の違いって判るかしら? 
 正方形ってね、どこかの一角に力を加えると簡単に歪んで形を崩して菱形になってしまうの。
 対して、正三角形のほうは三つの角のどこに力を加えても、一辺の長さが変わらない限り、決して歪まない。
 私は、そんな正三角形が大好きだったわ……。
 でもね、欠けちゃったの。いつも3つ一緒で、いつも無敵だった正三角形の一辺が。
 一度壊れちゃうとダメね。辺が2つあっただけじゃ、もう二度と美しい面を描くことはできないのよ」

持って回った言い方をされ、血が足りない双葉の脳に負荷がかかる。
時間をかけ、辛うじて頭の回転が追いついた瞬間。双葉は雷に打たれたようにハッとする。

703 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:00:39 ID:ByUsJbU3
 

704 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:02:24 ID:0kLRTpZf
「おまえ……知り合いはいないって……」
「嘘に決まってるじゃない。私は最初から誰も信用してないもの。
 ……けどね、実はほんの少しだけ期待してたんだ……。シャナちゃんや、小太郎君に。
 もしかしたら、こんな世界を全部壊して、みんな揃って元の世界、元の生活に戻れるんじゃないかなって。
 でも、無理だったわ。薫ちゃんは死んじゃった。ジェダに立ち向かうって言ってた小太郎くん、
 その友達のネギ君も死んじゃった。やっぱり、誰も逆らえないのよ。
 この島でみんな死んじゃうの。だから、もうどうでもいいのよ」
「な……! いいわけあるか! まだ……一人生きているんだろ!? 
 だったら、そいつのためにできることがあるはずだ!
 おまえ、やっぱその剣のせいでおかしくなってるんだよ! 
 本当のおまえは……そんなやつなんかじゃない!」

双葉の激昂を受けて、紫穂は心底おかしそうに、しかし空虚に笑う。

「ええ、そうね。きっと本当の私は今の私とは違っていたわ。
 でも、本当の私って何? 誰が本当の私だってことを確認してくれるの?
 そんなもの、誰にも判るはずないわ。
 だって私はここに来てからずっと、本当の私ではいられなかったもの。
 最初の剣で心に亀裂ができて、二本目の剣で頭はぐちゃぐちゃになった。
 元の形なんてとっくにぼやけてしまって、もう戻れないのよ」

達観した微笑みが浮かぶ。だが、

「やってみないと、分からないだろ……ッ!」

それが気に入らないのが吉永双葉だ。
双葉は回想する。あのときの判断は間違いだったのかもしれない、と。
けれど、今ならきっと。なのはもシャナも間違いなくこうするに違いない。
だから双葉は、絶対の確信を持って意志を撃ち出す。

「……おまえから、その剣を取り上げてやる。
 取り上げて、誰の手も届かない場所に捨てるんだ……ッ!」

双葉は荒い息を吐きながら、改めて右手の剣を構える。

「笑えない冗談ね。そんな泥だらけのみすぼらしい剣で私を止める気なの?
 分かっていないみたいだから教えてあげる。剣っていうのは、農作業をするものじゃないわ。 
 剣はね、血を吸うからこそ剣なのよ。このファフニールみたいにね」
「……うるせー、馬鹿にすんな……。これは、あたしの剣だ。
 ヒーローみたいにあたしを助けてくれた……神楽がくれた、あたしの剣だ!
 ……そんな気味のわりぃ剣に――――負けるはずがないだろ!」

双葉の抗弁を聴き、紫穂は何かが腹に落ちたような、すっきりとした表情を作る。

705 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:03:45 ID:ByUsJbU3
 

706 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:04:10 ID:0kLRTpZf
「そっか。今のあなたを支えているのはその剣なのね。……ねえ双葉ちゃん」
「……何だよ」
「あなたって一生懸命、何にでもぶつかっていくわね。
 流れる水みたいに事象に対して無関心ではいられないし、衝撃を受け流すこともできない。
 いつも全力でぶつかって、傷ついて、それでも壊れない。どこまでも堅い氷みたいに強い心……。
 だからね、私知りたくなったの――――氷が、砕ける様を!!」
「ッ!?」

紫穂の左手で何かが閃く。ファフニールではない、銃だ。
双葉はその銃を知っている。
(さっき盗ったショックガンか!?)
把握したときには既に地面を蹴っている。
傷ついた身体に鞭打ち、いつもの半分のスピードも出せない足を回して、左右に揺動。
紫穂の射線をずらしながら接近する。
(持ってくれよ……! あの剣さえ、落とせれば――ッ!)
上下左右の振動を受け、意識が飛びそうになる。頭も朦朧としてくる。だけど、今はそれでいい。
考えることは紫穂の懐に飛び込むこと、それだけだ。
そこに至る過程は思考ではなく本能で処理する。
双葉は計算では到底読みきれない、無茶苦茶なランダム軌道で疾駆する。
いかに速度が遅くとも、これだけ撹乱されれば銃を命中させることは不可能だろう。


――扱う者が、素人ならば。超度7の、世界最高のサイコメトラーでなければ。


双葉は、自分の戦法が正しいのだと信じていた。
紫穂が一発もショックガンを撃ってこないのは、
狙いを定められないからなのだと、最後まで思い込んでいた。


彼我の距離数メートル。
双葉はあと一歩というところまで辿り着く。
剣の柄を握り締めた指。
そこにピンポイントで光線が当たり、感覚が失せる。
違和感。双葉は気がつかない。
剣が地面に落ちて音を立てるまで、気がつかない。
気がついた。頭が戦慄で埋め尽くされる。
神楽の剣がない。右手が動かない。動いてくれない。
脳が一瞬、機能を止める。どこを見ればいいのか分から――

「……これで、支えがなくなったわね」

聴覚が双葉を現実に引き戻す。遅い。
眼前に、ファフニールを振りかぶった紫穂がいる。

「――聴かせて。堅い氷が、砕ける音を」

告げ終えると同時。鈍い音と共に双葉の鳩尾にファフニールが叩き込まれた。
下段からの一撃に、双葉の身体が突き上げられる。
ただし、それは刃ではない。柄のほうだ。
短剣の柄が深々と双葉の腹に打ち込まれ、

「が、ぁ……?」

707 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:05:34 ID:0kLRTpZf
肺の空気が強制的に搾り出される。
ついで2、3歩後ずさりして、双葉は仰向けに倒れこみ、ゴホゴホと咳き込んだ。
その様子を眺め、紫穂は優雅な足取りで双葉に近づく。
苦悶し、瞳に涙を溜めた顔を愉悦たっぷりに観察する。
そして、右足を軽く上げて――――脇腹を、思い切り踏みつけた。

「ぐ――あああああああああああああああああああああああああああっ!!?」

傷から更に血が溢れる。上半身がのた打ち回ろうとして失敗し、両足だけを狂ったように暴れさせる。
悲鳴をBGMに、紫穂が深い息を吐きながら幸せ一杯の声を漏らす。

「いい音色、いい反応……。期待通りだわ……。でも、こんな時間に煩くするのは良くないわね」
「ああああああああああああああぐっ!?」

双葉の絶叫が止まる。いや、止めさせられる。
何が起こったのか双葉には分からない。
激痛を棚上げにして現状把握。声が出ない。口からは篭もった音しか出てくれない。
そもそも口が塞がらない。何かが詰められている。
噛む。舐める。布の感触がする。――――包帯だ。
未使用の丸めた包帯が、口腔に無理矢理押し込められている。
双葉の顔に恐慌の色が混ざる。紫穂が薄っすらと笑う。

「名残惜しいけど、仕方ないわよね。これからはマナーモードで遊びましょ」

双葉の、涙で滲んだ視界の中。
黒い夜空と黒い枝の連なりを背景に、赤い短剣が現れる。
血を固めたような赤さに目が釘付けになり、双葉の胸の中に恐怖と諦観が広がる。
負の感情が許容量を超える。自己保護のために自分の中に冷静な第三者が生まれる。
他人事が聞こえる。

……ついにあたしの視覚は狂ったか……。
短剣が動いているように見える。
生き物みたいに蠢いているように見える。
剣の先端。二又に分かれた部分が鋏みたいに左右に広がって見える。
広がって閉じて、ガチガチと歯みたいに刃を打ち鳴らしている。
打ち鳴らす? ヤバイ、幻聴まで聴こえてきた……。
でもあたしは信じねー。そんなはずない。だってそうだろ?
これじゃ、まるでライオンだかトラだかが口を開けてあたしを食おうと――

「食事よ、ファフニール」

幻覚じゃ、なかった。
幻覚だったら、まだマシだった。
動けよ、あたしの身体。食われるぞ。


「――――いただきます」


顎が、あたしの皮膚に食らいついた。
ぶちぶちぶちぶちガリガリガリガリ。
すげー痛い。そんなにがっつくなよ。
逃げねーから。……逃げられねー……か、ら……。


    *    *    *


708 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:05:46 ID:ByUsJbU3
 

709 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:07:14 ID:ByUsJbU3
 

710 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(後編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:07:30 ID:0kLRTpZf
ヴィータがその場所に辿り着いたとき。彼女は一瞬目を逸らし、顔を思い切り顰めた。
視線の先。人間大の地獄がそこに広がる。
最大限好意的に見れば、箸の使い方を知らない子供が、焼き魚の骨を避け、
肉だけを取ろうとして失敗してしまったような有様。
それ以外で見れば、ゴミ袋一杯に詰まった生ゴミを、下賎なカラスの群れが勝手次第に食い荒らし、
周囲を巻き込んでぐちゃぐちゃに散らかしてしまったような有様。

人には、恐いもの見たさという厄介な感情がある。
ヴィータもその魔性に魅入られ、嫌悪しながらもそれを凝視し、思う。
赤い。元の色を忘れてしまうくらい、ただただ赤い。
四肢胴体、その全てのどこかしこに必ず不自然な窪みがある。
両手両足はちゃんとある。だが、左右で太さが違う部分が多すぎる。
人間の身体は、いつからこんなにも非対称になったのだろうか?
着ていた服は原型を留めていない。布が裂けて、はだけた部分からあばら骨が見える。
皮に包まれていない、剥き出しのあばら骨が見える。
時折ピクリ、と。
機械が誤動作したように、身体の一部が跳ね上がる。
恐ろしい。あんなにボロボロで、こんなに血を流しているのに。
心臓が動いているという意味では、吉永双葉は生きている。
見開かれた虚ろな目は疑いようのない死人の目だ。
それなのに、まだ死んでいない、死ねていない。
その事実が、ヴィータにとっては何よりも恐ろしい。

ヴィータの接近にやっと気がついたのか、或いは知っていて放っていたのか。
紫穂は存分に玩弄の限りを尽くしていた双葉の身体から目を離し、ヴィータのほうへ向き直る。

「……あら、早かったのね。もっとゆっくり来ればよかったのに」
「……あたしにはおまえみたいに猟奇趣味も拷問趣味もないからな。人殺すくらい、一撃あれば充分なんだよ」
「私だって、今日これに目覚めたばかりよ。あなたも今から始めれば、きっとすぐに追いつけるわ。
 あ、そうだ! ちょっと見てほしいものがあるの!」

紫穂が左の手のひらに何かを載せ、ヴィータのほうへ差し出す。
鼻先まで近づけられたそれを見た瞬間。肺が爆発したかのように、ヴィータの呼吸が止まった。
そこにあったのは大小様々な――肉片の山。
紫穂はヴィータの反応を確かめることなく、コレクションを自慢する子供のようにはしゃぐ。

「ねえ、見てよ。何度か失敗しちゃったけど、綺麗に斬れてるでしょ?
 えーっとこれがももで、これが脇腹、こっちが肩のあたりだったかな?
 それで、こっちのがお気に入りの耳たぶと二の腕のお肉。
 両方ともぷにぷにしてて気持ちいいのよ……。
 薫ちゃんのセクハラ趣味が何となく理解できた気がするわ。
 お尻のあたりも捨てがたいけど、やっぱりこの二つが最上級だと思うの」

澄み渡る喜悦満面の声に対し、ヴィータは低く、重みを載せた声を返す。

「……もういいだろ。とっとと殺せよ」
「? 双葉ちゃんに情でも移ったの?」
「違う、いつまでも遊んでるなって言いたいんだよ。取り引きの内容の続きがあるんだろ」

紫穂が銃を突き付けながら持ちかけてきた取り引き。
あの取り引きでヴィータが得るメリットは二つあった。
一つは、銃を向け、生殺与奪の権利を握っていた紫穂がヴィータを見逃すこと。
もう一つは――

「あたしは速く、はやてを殺したヤツの情報が欲しいんだよ」

711 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:07:57 ID:FO8NVAYA


712 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(後編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:08:32 ID:0kLRTpZf
ヴィータが紫穂に協力した理由、その最たるものがこれだ。
紫穂は、はやて殺しの犯人を知っているのだと言う。ヴィータとて、正直鵜呑みにしたわけではない。
しかし、紫穂が最初に示した取り引きの条件、邪剣ファフニールの入手をアシストすることは、
ヴィータにとっても利益があったからとりあえず従ってみただけだ。
その利益とは、双葉とインデックスを引き離し、一対一という状況を作り出せること。
ヴィータ一人でもインデックスと双葉を始末することはできただろうが、万が一の事態もあり得る。
ゆえにヴィータは一人ずつ確実に仕留めるために、紫穂の策に乗り、
結果として何の苦もなくインデックスを葬れたというわけである。
そして、この話にはまだ続きがある。
なぜなら、この取り引きは釣り合いが取れていないからだ。
ヴィータが得るのは自分の命とはやて殺害犯の情報、
対する紫穂が得るものは邪剣ファフニール一本のみ。
互いに得る利益の数が合わない、立場が上だった紫穂が持ちかけた取り引きのはずなのに、
紫穂のメリットが一つしかないのだ。だから、続きがあり、紫穂は告げる。
利益の差を埋める、最後の提案を。

「じゃあ、私からのもう一つの条件を出すわね。
 それが成立したら、はやてちゃんを殺した犯人のことを教えるわ」
「勿体つけるな、速く教えろ」
「そんなに急かさないで。私の出す条件はね……、
 ヴィータちゃんに、朝の放送まで私のボディーガードをしてもらいたいの」

紫穂の眉間に炎の剣が向けられる。激しい憤怒の意志も突き刺さる。

「ふざけんな。あたしが暢気におまえのお守りなんてすると思ってんのか?
 しかも朝までだと? そんなに待つくらいなら、今ここでおまえを殺す。
 丁度いい、そこで寝てるヤツもまだ息があるみたいだから、そいつも殺して3人だ。
 ジェダの糞野郎に訊いたほうがよっぽど早ぇよ。だから、おまえにもう用なんてない。
 最初から期待してたわけでもない。とっとと死んでくれ」

額に剣が刺さるのに一秒もいらない。だというのに、紫穂は全く動じない。
余裕綽々、微笑みさえも湛えながら臆することなく言葉を紡ぐ。

「ええ、構わないわよ。でも、本当にそれでいいの?」
「……何だと?」
「確かに、ご褒美であなたの知りたいことは分かるかもしれない。
 けど、それだけよ。あなたにはその先が何もない。
 考えてみて。本当に、今のあなたははやてちゃんを殺した人間に勝てるの?
 その絶対的な自信があるの? 両腕が本調子じゃなくて、武器だってその剣一本。
 私の持ってる武器を奪ったところで、あなたに使えるものなんて殆どないわ。
 そんな状態で、犯人を確実に殺せるの?」
「……ッ」
「命を捨てれば勝てる、なんて言い出さないでしょうね?
 美徳に殉じて死にたいなら別だけど……あなたは違うでしょう?
 より確実に、100%、絶対に犯人を討ち滅ぼす手段が欲しい、そう思っているはずよ。
 それなら私に従ってじっくりと力を蓄えて、万全を期すべきだわ。
 ご褒美で貰うのは回復か追加の支給品、犯人の情報は私から訊けばいい。
 悪くない条件だと思わない? それに、朝まで付き合ってくれれば犯人捜しを手伝ってあげてもいいわ」

713 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:09:26 ID:eKayeGE7


714 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(後編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:09:57 ID:0kLRTpZf
紫穂は目を弓にして続ける。

「これで解かって貰えたかしら?
 ここまで聞いて、それでも私を殺したいなら好きにすればいいわ。でもね――」

視線はヴィータに向けたまま。
紫穂の右手が左から右、弧を描くように振り上げられる。
一瞬の後、打撃音。発生源はヴィータの身体ではない。
紫穂の脇に横たわっていた双葉の身体が1メートルほど吹き飛んでいる。
邪剣から生まれた魔神剣。
地を爬行する衝撃波が、双葉の身体を殴打したのだ。
ボウリングのピンが弾けるように、血肉骨が胸から飛び出し、双葉は完全に事切れる。
紫穂は最後まで一度も双葉を見ない。ただ、ヴィータに向かってニコリと微笑む。

「今の私は、あなたに遅れを取るつもりはないわ」

邪気の欠片も感じられない、完璧な笑顔だった。
呆気に取られたヴィータは、半自動的に口を動かす。
 
「……おまえの言うことを信じる根拠が、何もない」
「根拠か……示すのは難しいわね。私はただ、いろいろなことを知っているだけだから。
 紅の鉄騎さん、もちろんあなたのことも知っているわ」
「!? ……何でその名前を?」
「言ったでしょ? 私はいろんなことを知っているの。
 ミッドチルダ、ベルカ、時空管理局、ロストロギア、ヴォルケンリッター、闇の書事件……。
 このあたりを説明できれば信じてくれるのかしら?」
「……おまえ、何者だよ? 闇の書事件の情報はまだ秘匿されてて、
 管理局上層部か事件の当事者でないと存在すら知らねえはずだぞ」

一瞬、なのはか誰かに聞いたのかとも思った。けれど違う、それにしては知りすぎている。
事のあらましを説明するだけなら、必要ないはずの単語がいくつかある。
ヴィータの胸中に得体の知れないものが渦巻いた。だが、紫穂はそれを一笑に付す。

「私が何者なのかは重要ではないはずよ。あなたにとって大事なことは、
 私がはやてちゃんの殺害犯を知っていること。それだけで充分でしょ?」
「…………そう、だな。……分かった、おまえの話に乗ってやるよ。
 けど、最後に一つだけ訊いておく。おまえ、あたしを護衛につけて一体何をする気なんだよ?」

ヴィータの問いを受けて、紫穂はどこか遠くを見つめる。
その瞳はどこまでも黒く、深い。真っ黒な穴が空いている。そう思えるくらいに、底がない。
入射した光が、全く返ってこない完全な黒。
そんな目をしながら、紫穂は口を開く。

「……私はね、面白いものが見れればそれでいいの。放送があったでしょう?
 あれを聞いて、大切な人を亡くした人が、たくさんいると思うの。
 あなたみたいにね」

ヴィータの目が僅かに吊り上る。しかし、紫穂はそれを気にせずに言葉を続ける。

715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:10:35 ID:FO8NVAYA


716 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:10:50 ID:ByUsJbU3
 

717 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(後編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:10:54 ID:0kLRTpZf
「復讐したい、仇をうちたい……。私は、そう思う人たちの心をそっと後押ししていきたいの。
 素晴らしい慈善事業だと思わない?」
「……反吐が出るな」
「でも、あなたは私に従うでしょ? 他にも、きっとそういう人はいるわ。
 仲間にできれば良し、できなくても不和と疑心暗鬼を撒ければ上出来。
 そうやって他の人同士で潰しあってもらったほうが、あなたも楽になるわよ。
 ……あ、そうだ。言い忘れてたけど」
「何だよ?」
「さっきの放送では呼ばれてなかったわ、はやてちゃんを殺した人の名前。
 だから、しっかりと英気を養うことね。……話は終わりよ。行きましょうか。
 あなたには、色々と期待しているわ。色々と、ね……」

話を打ち切り、紫穂は歩き出す。その後を少し遅れてヴィータが追い始める。
荒んだ森の傷跡に生まれたのは、たった二人の小さな行軍。
女王と、それに付き従う傭兵。夜闇に、そして人の心に入り込む、小さな軍隊だった。


    *    *    *


……ずっと昔、人は欲しいものは全部自分の力で得ていたらしいわ。
道具が欲しければ自分で作り、何か食べたければ自ら山を駆け回って獣を追う。
そうやって、自分の極周辺、狭い世界の中だけで物品の流れは完結していたの。
やがて人が集まって集落が出来て、文化が生まれた。
狩りは猟師に、漁は漁師に、農業は農民に任されるようになり、
彼らは自分たちが作ったものを持ち寄って交換するようになった。
その流れが更に進んだ結果、画期的な発明――貨幣が生まれた。
これのおかげで、今の私たちは畑を持っていなくても、マーケットでいくらでも食べ物を買うことができるの。
お金は何でも買えるわ。研究や医療が目的なら、人の臓器や血液だって平然と買っている人たちがいる。
技術発展のための尊い犠牲ってやつね。
でも、いつの時代にもそういった行為に異を唱える人はいるのよ。
古い殻を破って新しい世界に踏み出すのは誰だって怖いらしくてね、
この手の議論はいつも推進派と反対派がギリギリのラインでせめぎ合っているの。
やれ人間の尊厳がどうとか倫理がどうとか。
人の命を金で買う気なのかって煩い文句を飛ばしてくるのよ。
滑稽だわ。本当に、何でそんなことで悩んでるのかな、って憐れに思う。
今の私なら「人の命を金で買うのか、買えるのか」って尋ねられたら迷わず答えるわ。
買える、って。
倫理とか尊厳、権利なんてものを話し合うのは、同じテーブルに着いてる者同士だけ。
人の心が希薄になって、別の生き物になりつつある私が、何で今さらヒトと同じ席に着く必要があるの?
人間が家畜に倫理や尊厳を説いたりする? しないでしょう。それと同じよ。
だから、私はなんでも買える。人の命も心も全部。
幸い、私にはお金がある。いえ、あるというより「作り出せる」のほうが近いかな。
私はサイコメトリーを使って、私だけの小切手に好きなだけ数字を書き足せるから。
やろうとすれば、それこそ無限の貨幣を生み出せるの。
心の価値が億、命の価値が兆だとしても全然関係ない。それを上回る0を付け足せば購入手続は終わるわ。
しかも、たった今、それを実現して自信をつけたところよ。
シャナちゃんの背中から、なのはちゃんのことを視て。
ヴィータちゃんの背中から、はやてちゃんのことを視て。
勝君の死亡現場から、なのはちゃんが車椅子の女の子を焼き殺したのを視て――
迷路の正解が一瞬で分かったみたいに、全部繋がったわ。
おかげで、私はこうしてヴィータちゃんの心を買えたわけなの。
すごい快感だった、もう絶対やめられない。
だから私は、最後の生になるかもしれないこの島での生活を、思う存分楽しむの。
今この一瞬だけを大事にして、パァーっと騒げればそれでいいと思わない? 
後先なんて少しも考えないで、ね。


718 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:11:36 ID:eKayeGE7


719 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(後編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:11:51 ID:0kLRTpZf



【A−4/砲撃跡地/1日目/夜】
【三宮紫穂@絶対可憐チルドレン】
[状態]:精神汚染。
[装備]:邪剣ファフニール@TOS、ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
    スクール水着@魔法先生ネギま!、全身黒タイツ@名探偵コナン 、
    ショックガン@ドラえもん
[道具]:支給品一式×3(水1.5人分、パン二人分弱)、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE、
     血濡れの庭師の鋏@ローゼンメイデン、きんのたま@ポケットモンスター、包帯、
     双葉の肉片セット
[服装]:スクール水着の上に全身タイツを重ね着
[思考]:???
第一行動方針:利用できそうな仲間を探す
第二行動方針:参加者の復讐心や不和を煽る。
第三行動方針:邪魔者は消す。
基本行動方針:扇動、ステルス、実力行使、あらゆる手段を用いて殺し合いを加速させて楽しむ。

【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:はやての死により激昂、両腕に痺れが残っている、左足に火傷跡、左手爪全剥(痛みは減衰)
[装備]:祈りの指輪@DQ、フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア 
[道具]:基本支給品 ぬのハンカチ×20(即席ロープ)
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:気にいらねーが、乗ってやるよ。
第一行動方針:一先ず紫穂に従う。
第二行動方針:はやてを殺した犯人を見つけ出し、殺す。
基本行動方針:もうどうでもいい。

[備考]:紫穂は朝の放送ではやて殺害犯のことをヴィータに教える約束をしています。


720 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:12:47 ID:eKayeGE7


721 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(後編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:12:52 ID:0kLRTpZf
できることは全部やった。
分かったことは少なかったけど、アラストールにはみんな伝えておいた。
それに、彼を契約者であるシャナにちゃんと送り届けることができた。
だから、……もう動けなくてもいいよね。
……前にもこんなことがあったっけ。
あのときもやっぱり歩く教会は壊れてて、背中を同じように斬られた。
あのときと違うのは、とうまもこもえもいなくて、助けてくれる人が誰もいないこと。
……何でこんなこと考えてるんだろ。というか、何で死んだのにこんなにはっきりとした自意識があるんだろ。
「我思う、故に我あり」って言葉が、とてもうそ臭く思えてきちゃったんだよ。
私は死んだ。だから、次に目を開ける機会があったとしても、そこには見たことのない景色が――

「……あれ?」

目に飛び込んだのは、微かな夜光を反射する銀色。
死ぬ前にも見た、斬り飛ばされた自分の後ろ髪だ。
死後の世界にも一緒に着いて来るとは忠義に厚い、とインデックスは半ば本気で思う。
目覚めてから3分。寝そべったまま手を握ったり開いたりする。
足を上下に少しばたつかせてみる。
深呼吸。鼻に掛かった自分の髪がくすぐったい。
そこまでやって、ようやく確信する。

「わた、し……生きて……? ぐ……ぁ!?」

両手を使って上体を起こそうとした瞬間、背中に激痛が走る。
だが、その痛みこそがインデックスに生を実感させた。
背中には確かな傷がある、今までのことは夢や幻ではない。
ならば、なぜ生きている?
時間をかけてゆっくりと立ち上がったインデックスは現状の確認に努め始めた。
肺が半分なくなったような圧迫感を感じるが、不思議と死ぬ気がしない。
背中の傷をさすってみると……、

「塞がってる……?」

触るたびに激痛が走る、けれど間違いなく傷が塞がっている。
血も出ていない。寒さは感じるが、軽い貧血程度の症状しかない。

「そんなはずは……。私は、確かにヴィータにフランヴェルジュで……。……あ」

そこでインデックスは一つの仮説に辿り着いた。
インデックスは伊達や酔狂で透明な服を身に着けているわけではない。
その服は魔術的な加護を受けたれっきとした防具――水の羽衣だ。
対して、ヴィータが使った剣の名前はフランヴェルジュ――炎の剣だ。
この二つがぶつかったときに起こり得る事態に、こういうことが考えられる。

「……水の羽衣が、フランヴェルジュと相殺しあったのかも」

剣が骨まで断ち切っていたら助かる術はなかっただろう。
フランヴェルジュの炎の熱の大半は、水の羽衣によって打ち消され、
本来なら肉を「溶かす」はずの極熱は、肉を軽く「焼く」程度にまで減衰した。
結果、刃によってつけられた傷は、炎の余熱が肉を焼くことで、肉同士が再結合し、無理矢理塞がれたのである。
例えるなら傷がついたそばから、傷口を針で縫われたようなものだ。
一番恐れていた失血死の危険は、最初の段階で回避されていたことになる。

「生きている……。なら、まだできることがあるよね」

近くに落ちていた懐中電灯を使い、辺りを照らす。
ランドセルが真っ二つになったため、中身が周囲に散乱していた。

722 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(後編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:14:11 ID:0kLRTpZf
「どのくらい気を失っていたんだろう、時計時計……うそ」

愕然とする。地面から拾い上げた時計の針が止まっていたからだ。
恐らくこの時計が指しているのは、ヴィータに斬られた時間なのだろう。
壊れている。よくよく見たら表面のガラスにも罅が入っていた。

「これじゃ時間が分からないんだよ……星見ても知らない並びばかりだし……」

溜息を吐いて、思考を切り替える。
ランドセルは壊れているが、底が抜けたわけではないからどうにか物は入る。
しかし、内容物の大きさや質量を無視する効果は失われてしまったらしい。
地図、食料、名簿等の基本支給品はどうにか納まった。
けれど、

「……この剣は無理、だね……」

地面に倒れているマスターソードを眺める。
もともと、インデックスの腕力では運ぶのもやっとという重さの剣だ。
ランドセルの本来の機能が破損し、背中に傷を負っている状態では到底運べるものではない。
諦めてその場に放置して、インデックスは歩き始めた。
生きているなら、一刻も早くやらなければならないことがある。

「ヴィータを止めないと……!」

それは、愚かしいほど楽観的な考えなのかもしれない。
インデックスはまだ、ヴィータのことを信じている。
信じる根拠は何もない、強いて言うなら自分がまだ生きていること、それだけだ。
ヴィータはなぜ止めを刺して、インデックスの死を確認しなかったのか?
その疑問に対してインデックスはいくつかの答えを推測する。
偶然かもしれない。気紛れかもしれない。
インデックスの傷が致命傷に見えたから放っておいたのかもしれない。
或いは。――まだ、迷いが残っているのかもしれない。
そんなか細い期待に、縋りたくなってしまう。
だから、

「助けるよ……。まだ、大丈夫……。まだ、取り戻せる。
 私一人じゃ無理でも……神社にはニケがいる、リンクがいる、りかもいる。
 みんなが、いる……。だからきっと、止めてみせる……!」

真っ暗な世界。照らし出すのは手中の懐中電灯ただ一つ。
道を示すのはちっぽけな磁石だけ。信じる仲間が待つ神社は、未だ遠い――。


723 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:14:13 ID:eKayeGE7


724 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:15:49 ID:eKayeGE7


725 :血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(後編) ◇IEYD9V7.46:2007/12/09(日) 01:16:10 ID:0kLRTpZf



【A−4/砲撃跡地(南東・才賀勝死亡地点)/1日目/???】
【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:軽度の貧血、背中に大きな裂傷跡と火傷
[装備]:水の羽衣(背部が横に大きく裂けている)@ドラゴンクエストX、葉っぱの下着
[道具]:支給品一式(食料−1日分、時計破損)、 ビュティの首輪
[思考]:速くみんなに伝えないと……!
第一行動方針:神社に戻る。
第二行動方針:ヴィータおよびアリサの捜索。 紫穂と双葉も気になる。
第三行動方針:落ち着いたら、明るい所でじっくりビュティの首輪を調べたい。
第四行動方針:状況を打破するため情報を集める。
第五行動方針:普通の下着、てか服がほしいかも。
基本:誰にも死んで欲しくない。この空間から脱出する。
[備考]:ランドセルは壊れているので内容物の質量と大きさを無視できません。
    時計が壊れて現在の時間が分かりません。少なくとも周りは暗い。
    マスターソードは重くて持てないのでA−4/砲撃跡地(南東・才賀勝死亡地点)に放置しました。

【吉永双葉@死亡】

726 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:21:13 ID:IPjL+A9u
うわぁぁぁぁぁぁ志穂恐い、邪剣テラヤバスww
インデックスも死地に戻ってくし/(^o^)\ナンテコッタイ

志穂のモノローグの部分とか鳥肌たった投下GJ!
代理投下してくれたID:0kLRTpZfも乙

727 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:22:55 ID:0kLRTpZf
代理投下終了です。

728 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:26:07 ID:0kLRTpZf
おっと、最後に◇IEYD9V7.46 の短文も転載↓

インデックスの時間と紫穂たちの次の行き先は次の方にお任せします。
早めに目覚めたってことでインデックスの時間はまだ夜である可能性もあります。

↑以上転載。

で……。
……うわぁぁあ、双葉ーッ!!
紫穂はなんて所に堕ちてしまったんだ。ヴィータも危険な話に乗ってしまったし。
ボロボロのインデックスはこの脅威を伝えられるのか……って伝える相手が残ってるかどうかも怪しいが。
GJでした。

729 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:27:00 ID:ByUsJbU3
投下GJ&代理投下乙です!
あああ、紫穂怖いよ。薫の死を知ってまともになるかと思ったら、更に狂化しちゃうとは予想外。
それにしても、紫穂の台詞や言動が、一々恐ろしすぎでgkblですよ。ぐちゃぐちゃ拷問…orz
つか、サイコメトリー能力持ちの扇動マーダーって反則過ぎ。これは、今後の暗躍に期待できそうだ。

730 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 01:33:44 ID:vFvbuSP0
投下&代理投下乙。
紫穂、なんたる狂いっぷり。各所のあらゆる誤解を解ける可能性のある子だったのに。
とんでもないサイコなマーダーが誕生したなぁ。
そしてついに、死者が40名に到達。
ああでも、インデックスが生きていてくれて本当によかった!GJ!

731 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 02:15:03 ID:se+LYlJk
投下GJ! 紫穂の残酷っぷりが凄い好み。笑顔で知り合いを惨殺できる子はいいなあ!
サイコメトリーの能力も遺憾なく発揮できそうで今後が楽しみだ。
双葉はよく頑張った。正直廃病院でブルーやグレーテルに殺されなかったことが奇跡に近かった……
ああ、正義漢から死んでいく無情はロワらしくてステキ。

732 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 02:48:17 ID:ddwHMrTz
投下乙です!
地獄の釜の底に新たな火種が
ヴィータはほとんど葛藤なしかい、そうとう頭に血が上ってんだろうな
扇動サイコメトラーは事故とか無差別に狙われん限りは各地で騒動を演出しそうだし

733 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 03:49:01 ID:SG03aH/Q
投下GJ
薫の死は影響大きすぎ。葵もそうだけど本当に仲が良かったからね…
対主催同士の誤解で死んでるのが余計にやるせない。
インデックスは本気で死んだと思った。あぶねー。

734 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 07:54:18 ID:SPnabWBY
別に誤解なんてないんじゃ?

735 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 08:38:04 ID:/jdZlMG4
>>734『薫が』対主催同士の誤解で死んでるってことだね。

736 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 10:35:19 ID:SPnabWBY
ああ、そういうことか

737 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 12:46:48 ID:BBrnu9XJ
GJ!
インデックスはずっと半裸で行動していた甲斐があったな
ヴィータを説得するにはなのはとお話しないと駄目かな?
扇動マーダーになるには紫穂はまずまともな服を着るべきだと思う

738 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 17:02:06 ID:14l+Eo1o
>>737
紫穂なら説得不可能な所までヴィータを堕とせるような……
正直、サイコメトラーと扇動の組み合わせは凶悪すぎる。

739 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 18:28:38 ID:wk8B+jHk
それでもなのはさんなら・・・
なのはさんなら迷わず塵にしてくれる・・・

740 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 19:21:39 ID:SjswPxpY
白い悪魔再び
なのはさん大丈夫か。負い目があるから不利じゃね?
別に煽動される要素も特にないタバサなら……なんとかしてくれる…みんな生き返ると公言するタバサにヴィーダならきっと

741 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 19:36:05 ID:Pz4ByIhB
GJ!!
扇動サイコメトラーマーダーは本当極悪すぎるな。
つーか対主催もマーダーも壊れすぎてて怖ぇえよw

742 :sage:2007/12/09(日) 21:45:28 ID:FBJ2/4IF
>>740
自分はヴィータを両腕を潰してまで止めておいたにも関わらず、だからな。
「ヴィータになら殺されてもいい」と考えてもおかしくはないか?

だとしても、全てが終わらないうちに殺されるのは断固拒絶するような気もする。

743 : ◆iCxYxhra9U :2007/12/09(日) 22:19:44 ID:0w0iHxMm
今日中に書き上げるつもりでしたが、どうにも無理っぽいorz
現在7割強といったところ。まだちょっと説得力が足りない感じ。
明日は仕事が忙しい日なので、今のうちに延長を申請します…
金曜までには必ず。

744 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/09(日) 22:29:22 ID:se+LYlJk
期待してます
納得いくまで練ってくださいな

745 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/11(火) 20:12:25 ID:THlRzSUW
ジョジョの56巻32ページ7コマ目のナランチャを見てくれ。
ショタ好き紳士には感じるものがないか?

746 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 08:18:14 ID:aW9uDSVH
わーい過疎ってるー
早くパタリロの断末魔聞きたいぜ!!

747 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 08:33:31 ID:KjCzTAPK
2日たっただけで過疎ってるって
お前は数時間たったらすぐレスがくるロワにいるんだな
だったら是非見て見たいねぇ

748 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 11:37:40 ID:tHS52t5x
まあ無理して話題を出すこともないだろ
沈静時はこんなもんだし盛り上がるときは盛り上がるさ
マターリいこうぜ

749 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/13(木) 21:34:26 ID:xuSLv3BX
>>747
まあそう熱くなるなって
>>746も別にそんなつもりで言ったんじゃないと思うぞ

750 : ◆o.lVkW7N.A :2007/12/14(金) 00:15:12 ID:KEW+Ua6U
この週末で書き上げるぞー、という事で、
千秋、小狼、弥彦、グレーテルの4人をを予約します。



751 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 00:18:26 ID:/oQ7MVz5
>>750
期待!

…えっと、この顔ぶれだと危ないのは誰?

752 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/14(金) 00:19:10 ID:bvm4mZWs
さくら、雛苺、トマ、みか先生で予約します。
大冒険になりそう……

753 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 01:10:01 ID:lKpc2iD5
楽しみにしてます!

しかしさくらと小狼は本当にもう……

754 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 01:11:18 ID:pxMs6fFC
>>752
期待!

えっと、この顔ぶれだと危ないのは…聞くまでもないかw

755 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 01:19:17 ID:dFlV5Lpu
おっと、気が付いたら2つも予約がっ!
両者ともガンガレー

756 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 08:47:43 ID:7KLhNc2/
両方とも期待!
両者とも男連中がヤバそうだ
それでもトマなら…それでもトマならハーレムフラグを立ててくれる!

757 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 10:02:12 ID:DQU7cflK
7

758 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/14(金) 17:44:38 ID:bvm4mZWs
完成しました。投下、開始します。

759 :sin, you are guilty:2007/12/14(金) 17:46:00 ID:bvm4mZWs
「よかった…ベルフラウちゃん生きてる……」
恐怖に駆られるまま城から飛び出したみかはちょうど橋の真ん中で放送を聞いていた。
城から離れなきゃ、別の場所に避難しなきゃと恐慌状態だった彼女は放送どころではなかったのだが、
死亡者の情報が流れ出すと、顔に冷水をかけられたかのようにその足を止めた。
ベルフラウちゃんが死んでいたら。たったひとりの信用できる人がもしも――――――
城から飛び出したときとは全く別物の恐怖に囚われて、放送される名前を聞き取っていく。
そしてその中にベルフラウの名前がなかったことに安堵のため息をついたのだった。

安心感を胸に、ゆっくりと橋を渡りきると――――――
濃霧の中、前方から規則正しい足音が聞こえてきた。

「ひっ……」

小さな悲鳴が漏れる。
彼女の頭の中はふたたび恐怖一色に塗りつぶされていた。

―――こっちにこないで
―――そのまままっすぐいって

念じて、念じて、念じて。そうするうちに足音は聞こえなくなった。

「助かった……」

これは事実だ。
前方に居たのは発狂した人形とその従者である。
もし接触なんてしていたら、そのまま人間ノックであの世逝きだった。
もちろん彼女は知る由もない。
それでも落ち着かせるには十分だった。

760 :sin, you are guilty:2007/12/14(金) 17:47:10 ID:bvm4mZWs
「顔…どうしよう……」

アリス・イン・ワンダーランドの効果をすっかり確信した彼女の関心は別の方向へと向いた。
果たしてこの顔で人前に立って―――

―――化け物
―――妖怪
―――来るな
―――近寄るな
―――スガタヲミセルナ

「ひっ……」

それは恐怖だった。
今まで慕っていた人や慕われていた人から罵倒される自分を想像して絶句する。
拒絶の言葉を向けられ、四方から石を投げられる。

「いや…嫌……」

火傷を治したい。
顔を元に戻したい。
平穏な日常を失いたくな―――

―――3人殺せばご褒美を貰える

ふと、恐ろしい考えが頭をよぎった。
手には銃、目先に物言わぬ死体。
自分が人を殺している場面だった。
ぶるり、と全身を嫌な物が襲う。
でも、だけど、これで火傷を治せるなら―――

「やれる……かな。」

それに。

どうせベルフラウちゃん以外は敵なんだ。
敵は死んでしまった方がいいに決まってる。
それなら私が殺してしまっても大差なんてない。

どうせこの島に居るのは人殺しばかりなんだ。
たとえば雷を落としてきたり。
たとえば火炎瓶を投げてきたり。
殺されたって文句なんか言えやしないんだ、こんな奴ら。
向こうのほうに非があるし、罪もある。

「大丈夫、やれるよね。」

静かに抱いている人形に語りかける。
返事は、ない。

761 :sin, you are guilty:2007/12/14(金) 17:47:58 ID:bvm4mZWs
【F-4/道路/1日目/夜】

【鈴木みか@せんせいのお時間】
[状態]:顔面左側に大火傷(性別が判別できないほど)。精神不安定状態にあり、自分の服装について客観的に見れていない。
[装備]:エスパーぼうし@ドラえもん、FNブローニングM1910(5/6)、核鉄LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)@武装練金
    赤いボロボロの覆面(真紅の服製)、パピヨンマスク@武装練金、首の無い真紅の残骸
[道具]:支給品一式
[服装]:『怪人パピヨンレッド』(赤色の覆面と蝶々覆面で顔を隠し、エスパー帽子を被っている)、真紅の残骸を抱き締めており、服は少ししめっている。
[思考]:大丈夫、やれる……
基本行動方針:ベルフラウ以外の他参加者は信用しない。
第一行動方針:3人抜きを達成して、ご褒美で顔の火傷を治す。
第二行動方針:ベルフラウを探す。
第三行動方針:銃を持った少年(永沢)、刀を持った少女(アリサ)、火炎瓶の少年(トマ)を危険人物と認識。警戒。
※みかは、ベルフラウの説明によりここが「リィンバウム」だと思っています。
※リィンバウムについての簡単な知識を、ベルフラウから得ました。
 同時に、ベルフラウの考察を教えてもらっています。
※FNブローニングM1910は38口径の.380ACP弾に確定しました。

762 :sin, I am guilty:2007/12/14(金) 17:49:09 ID:bvm4mZWs
わたしはどうしたかったんだろう。
小狼くんといっしょに脱出するはずだったのに。
リインちゃんや梨々ちゃんと協力するはずだったのに。
イリヤちゃんにだまされて。
プレセアちゃんを死なせちゃって。
ついにはわたし自身も人を殺して。
仲間だった梨々ちゃんもこの手で殺して

「さくら、この建物に入るなの。扉をぶち破るなの。」

わたしはどうしちゃったんだろう。
1人ぼっちは寂しかったはずなのに。
小狼くんに会いたかったはずなのに。

今は1人の方がいい。
わたしは小狼くんに会いたくない―――

763 :sin, I am guilty:2007/12/14(金) 17:49:46 ID:bvm4mZWs
こんなはずではなかった。
友達と合流させたかったはずなのに。
僕と一緒よりも安全だと考えたはずなのに。
僕と一緒より幸せだと信じたはずなのに。

「何で……」

自問しなくてもわかる。どうしてこうなったかなんて明快じゃないか。
高町なのはは戦闘中だったんだ。
戦場の真ん中に転移して。
はやてさんはそこで死んで。
アリサさんは命からがら生き延びて。
3人の幸福はズタズタに引き裂かれた。
違う、僕が引き裂いた。

「僕のせいだ……僕がはやてさんを……」
殺したんだ、とまでは口に出せなかった。

思えば。
転移先の安全が保障されないことは考えればわかるはずだった。
あの時、壊れた人形に捕まって、レックスという少年に雷を落とされたとき。
はやてさんはヘルメスドライブを使った。
でも、あの時は運が良かっただけ。
アリサさんはシェルターの中に居て、そしてそこは安全そのものだった。
だから助かった。"賭け"に勝った。

ただ1回、買っただけに過ぎないのにヘルメスドライブの力を過信した。
使えば確実に逃げられると。
使えば確実に出会えると。
これは"最高の支給品"だと。

たとえ、はやてさんやアリサさんが気づかなくても僕は気づくべきだった。
魔技師ならば気づかなければいけないはずだった。
モノの本質を見誤り、盲信するなんて魔技師失格じゃないか……!!

764 :sin, I am guilty:2007/12/14(金) 17:51:06 ID:bvm4mZWs
不意にトマの体が浮く。
動揺している間に四肢は完全に絡め取られ、身動き1つ取れなくなっていた。
見覚えのある葦が体の自由を奪っていた。

トマがあっさりとつかまった原因は2つ。
1つ目、自責の念に駆られていたこと。
周囲の変化、迫り来る危機に気づけなかった。
2つ目、機械室の騒音が響く地下に居たこと。
地上の扉が盛大に破られてもなお気づけなかった。

「つかまえたなの♪」

声のするほうに視線を投げるとあのときの人形がそこに居た。
変わらぬ壊れた笑顔でトマを迎え入れ、恐怖の底へと叩き落す。

だが今回は付き人が居た。
少女の全身は血と脳漿にまみれ、手に持つバットは乾いた真紅に染まっていた。

「さあ、さくら。この子でばっていんぐなの♪」

彼女の瞳は何も見えていないかのように呆としていて。
彼女は幽霊のように緩慢に、静かに近づいてくる。
それで理解できた。彼女は操られてる。

だから、"少女"というよりむしろ"人形"だった。
人形が、ゆらりと、凶器を、構える。
後は雛苺の合図だけ。

「せ〜の、い〜ち♪にーぃ♪さーん♪」

765 :sin, I am guilty:2007/12/14(金) 17:52:25 ID:bvm4mZWs
ひとつ数えるたびに体に稲妻が駆ける。
ひとつ数えるたびに肉が潰れていく。
ひとつ数えるたびに関節が壊れていく。
ひとつ数えるたびに骨が砕けていく。

人は死ぬ間際に走馬灯を見るって話だけど、僕が見ているのはそれなのだろうか。
この島に連れて来られてから色々なことがあった。
死にかけていたとき、トリエラさんが毒消しをくれた。
その後、はやてさんに出会ってこれまた助けられた。
出会ったアリサさんはいつも支えになってくれた。

ああなんだ。僕は支えられてばっかじゃないか、助けられてばっかりだ。
だったら―――あやまらないと。

すみません、トリエラさん。課題、達成できませんでした。
すみません、アリサさん。幸せ、壊してしまいましたね。
すみません、はやてさん。僕の、せいで――――――

【トマ@魔方陣グルグル 死亡】

766 :sin, I am guilty:2007/12/14(金) 17:53:24 ID:bvm4mZWs
【H-5/シェルター地下/1日目/夜中】
【備考】
※麻酔銃(残弾6)@サモンナイト3、アズュール@灼眼のシャナをトマの死体に装備されています。
※ランドセル【基本支給品、ハズレセット(アビシオン人形、割り箸鉄砲、便座カバーなど)、参號夷腕坊@

るろうに剣心(口のあたりが少し焼けている) はやて特製チキンカレー入りタッパー】がトマの死体の傍に放

置されています。

【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:血と脳漿まみれ、左腕に矢傷(処置済)、魔力消費(極大) 、疲労(大)
   かなり精神不安定、雛苺のミーディアム
[装備]:マジカントバット@MOTHER2、パワフルグラブ@ゼルダの伝説、クロウカード『水』『風』
   リインフォースII@魔法少女リリカルなのはA's
[道具]:基本支給品
[服装]:梨々の普段着
[思考]:小狼くんに会いたくない……
※魔力があるため、雛苺が戦闘しない限りは持ちこたえられます。
 ただ回復していく分の魔力はほとんど雛苺に持っていかれます。



[リインフォースIIの思考・状態]:
※永沢、レックスを危険人物と認識。梨々の知り合いの情報を聞いている
※魔力不足により、現在使用不能




【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:真紅と翠星石のローザミスティカ継承。精神崩壊。見るものの不安を掻き立てる壊れた笑顔。
   桜をミーディアムにしたことにより消耗回復&自動回復付加。
[服装]:普段通りのベビードール風の衣装。トレードマークの頭の大きなリボンが一部破けている。
[装備]:生首付きジャック・オー・ランタン@からくりサーカス(繰り手もなしに動ける状態)
    ※ジャコの首には真紅と翠星石の生首が髪の毛で括り着けてあります。
[道具]:基本支給品一式、ぼうし@ちびまる子ちゃん ツーカー錠x5@ドラえもん
    光子朗のノートパソコン@デジモンアドベンチャー、ジュジュのコンパス
[思考]:さくらは名バッターなの!!
第一行動方針:どこか人の居る場所へ行き、新しい遊び相手(獲物)を探す。
第ニ行動方針:桜をミーディアムとして、戦う。 彼女の負担なんて知ったことではない。
第三行動方針:「新ルールのアリスゲーム」(=殺し合いのゲーム)に乗って、優勝を目指す。
基本行動方針:優勝して、「永遠に孤独とは無縁な世界」を作り、真紅を含めた「みんな」と暮らす。
[備考]:
雛苺は真紅と翠星石のローザミスティカを獲得したため、それぞれの能力を使用できます。
自分の支給品をマトモに確認していません。
『ジャック・オー・ランタン』は、真紅の持っていた「人形に命を吹き込む力」によって一時的に動ける状態

です。
雛苺の『力』を借りて動いているので、この状態は維持するだけでも雛苺の『力』を消耗しますが現在負担は

桜へといきます。

767 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/14(金) 17:54:58 ID:bvm4mZWs
以上、投下終了です。
トマのハーレムフラグは折れました。

768 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:00:57 ID:AAa6FG2J
投下乙
軽く鬱話を書いてくれたあじゃないか、だがそれがいい
オマケでひょっこり死亡したトマだがさすがに今回は無理そうな状況だしな
しかし桜ヒナコンビがここまで殺しまくるとは最初の登場話で予想できただろうか


769 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/14(金) 18:16:29 ID:bvm4mZWs
状態表に記入漏れがあったので修正スレのほうにあげて起きました。
何やってんだ俺orz

770 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:17:35 ID:YxNrbkke
……うーん。そう簡単にシェルターが外部から破られてしまうものでしょうか。
失礼ながらこの流れではGJとは到底言えません。

771 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/14(金) 18:22:36 ID:bvm4mZWs
一番の突っ込みどころはそこですよねぇ……
ただ、シェルターに篭りっ放し=安全ってのはどうしても避けたかったんだけど……
議論の対象ですね。
もう少し意見を待ってみます。

772 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/14(金) 18:37:46 ID:bvm4mZWs
したらばで相当不評を買っているので、修正します。
間に合わないようなら破棄しますので……
それでは。

773 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:38:55 ID:jmdLf2//
桜の力だとシェルターどころか普通のマンションの扉も破れないと思うが。
腕力でシェルター破れるのってキルアかホムンクルスか吸血鬼位じゃね?

それにシェルターの扉を力づくで破れば流石に音で気付くと思う。

取りあえずシェルター破り以前は問題無く乙です。


774 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 18:47:33 ID:z/zbkWha
投下乙。
トマには「シェルターから出るフラグ」も立っていたので、アリサを探しにでも何でも理由をつけて外に出たところを殺せば問題ないと思います。
シェルター引きこもりが懸念材料ならその際に入り口の鍵(これくらいは壊せるはず)でも壊せばいいかと。

775 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:00:06 ID:YxNrbkke
素早い回答と対応、乙です。
とりあえず、修正を待たせて頂きます。

776 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 19:06:57 ID:J6gWd7WD
投下乙です
修正なら>>774あたりが妥当かなあ

777 : ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 19:31:11 ID:8BXCkGLU
20時頃から投下します。

778 : ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:00:12 ID:8BXCkGLU
それでは、投下を開始します。

779 :破れた誓い、そして…(1/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:01:48 ID:8BXCkGLU
なかなか戻ってこない梨花に不安を掻き立てられ、リンクは小走りで、彼女が向かった道を辿った。
なんだか猛烈にイヤな予感がする。
足跡を追うと、すぐに荘厳な雰囲気の木造建物を見つけた。
リンクには馴染みのない様式だが、直感でわかる。この建物は、神殿の中心部だ。
梨花は間違いなくここにいる。
そんな確信と、根拠のない焦燥を抱いて、リンクは勢いよく扉を開いた。

「梨花ちゃんっ !?」
「……ニケ、か?」

返事があった。しかし、梨花の声ではない。
中は薄暗い。微かに射し込んだ光が、片膝をついている金髪の少女の輪郭を照らしている。
その少女の足元に、仰向けになったもう一人の影があった。

リンクは思わず息を呑む。
間違いなく、梨花だ。さっきまで一緒に笑いあっていた梨花が、今は眠るように倒れている。
その顔を覗き込むようにしていた金髪の見知らぬ少女が、ゆっくりとこっちを向いた。
振り返ったその顔には、なんの感情もない。
リンクの全身が警報を発した。
同時に、認めたくない絶望感に襲われる。
そんなはずはない。だって、さっきまで一緒にいたのに。
絶対に、そんなはずはない――。

金髪の少女が、つまらなさそうに口を開いた。

「声が似ているだけの別人か……。この娘の仲間か?」
「そ、そうだ! 梨花ちゃんを――」
「死んでいる」

リンクの言葉を遮って、金髪の少女は素っ気なくそう言った。

「私が殺した」

その冷淡な言葉を聞いた途端に、リンクの頭に血がのぼった。
目の前が真っ白になって何も見えない。
なにか叫んでる自分の声も聞こえない。

先刻学校での、復讐を諌めた梨花の言葉も、
その時の、殺さないと約束した小太郎の言葉も、
一瞬で記憶の中から弾け飛んだ。

気付いた時には、すでに殴りかかった後だった。

次の瞬間、リンクは宙を舞って、扉に叩きつけられていた。
衝撃で扉ははずれ、そのまま外まで転がり落ちてしまう。

「ぐっ、つぅ――!」

リンクは呻きながら立ち上がる。
身体が自然と戦いに備えていたせいで、ひどい怪我はなかった。リンクはこう見えて、歴戦の勇者なのだ。
仰ぎ見ると、はずれた扉を踏みつけて、金髪の少女はリンクを追うように外に姿を見せた。


780 :破れた誓い、そして…(2/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:03:01 ID:8BXCkGLU
梨花と同じくらいの背格好だが、身に纏う雰囲気がまるで違う。
夜風になびく金色の髪は、無数の捩れた刃のようだ。
冷たさを湛えた深緑色の瞳は、底のない沼のようだ。
そして、口元にこびり付いた赤い血は……。

リンクは思い出す。インデックスたちがエヴァと呼んでいた、寝ているはずのもう一人の仲間の事を。
小太郎が言っていた、吸血鬼の真祖の事を。

「まさか、お前がエヴァ? インデックスが仲間だって言ってた……なのにどうしてっ !?」

リンクの問いに、少女は口を歪めて嗤った。
初めて見せるエヴァの表情。リンクは鮫に睨まれたかのような印象を受ける。

「私に仲間はいない」

冷笑しつつも抑揚のない声で、エヴァは言い切った。

「理由? そんなものあるわけないだろう。
 意味もなく人が死ぬ、ここはそんな世界だ」
「ふ、ふざけるなっ !!
 梨花ちゃんは……さっきまで、さっきまで笑ってたんだ!
 それなのに、こ、こんな酷い事を……っ」

込みあがる感情の奔流で、言葉にならない。
そんなリンクの様子を見て、エヴァは不機嫌そうに眉を寄せた。

「そうか、ならばどうする。私を倒すか?」
「あ、当たり前だ! 許さないぞっ!」

リンクの気勢に、エヴァは鼻からふっと息を吐いた。
笑ったようだった。

「……よかろう。面倒だ、一瞬で終わらせてやる」

なんの気負いもない様子でエヴァは段を降り、リンクの目前へと足を運ぶ。
本殿を背にして、吸血鬼の真祖はハイラルの勇者と対峙した。
エヴァは手ぶらだ。なんの武器も持っていない。
そればかりか、周囲を軽く見渡して、「なかなか静謐な空気だな」などと呟いている。
その瞬間だけ、エヴァから感じる威圧が薄らいだ気がしたが、リンクはすぐに気を引き締めた。
油断できる相手じゃない。勇者としてのリンクの直感が、そう告げていた。

リンクは一歩飛び退き、エヴァと距離を取った。
ちらりと左腕を見る。そこには、勇者の拳が変化した腕輪が嵌められている。

さっき殴りかかった時、勇者の拳はなんの反応もしてくれなかった。
学校で一休を倒した時のように、巨大な拳となってエヴァを吹き飛ばしてはくれなかった。
いや、一休の件は幻覚だった可能性が高いのだが……。
とにかく、この拳の発動条件を満たしていなかったのだ。
さっきなにを叫んでいたのかは、自分でも覚えていない。きっと、意味のない怒声だったのだろう。


781 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:04:02 ID:YxNrbkke
 

782 :破れた誓い、そして…(3/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:04:16 ID:8BXCkGLU
勇者の拳は当てにできない。この拳は、間違ったものを正す拳なのだ。
明らかに怪訝しいものにしか反応しない。或いは、可笑しいものにしか。
確かに今のこの状況はおかしい。不条理だ。許せない。
しかしリンクには、それを叩きつけるための言葉が見付けられなかった。
“許さない”“倒してやる”では、勇者の拳は反応しない。
紛れもなく勇者であるはずのリンクだったが、理屈よりも感情が先に立って、適切な言葉が出ないのだ。
こんな心理状態で、冷静な指摘などできるはずもない。

余裕からかエヴァは無防備に佇んでいる。なにを考えてるか知らないが、隙だらけだ。
なめられてる。そう思ったリンクは素早くランドセルを開き、もう一つの武器を取り出した。
それは白い羽飾りをなびかせた、黒衣隻腕の懸糸傀儡。
エヴァの顔が喜色に歪んだ。

「ほう、面白いものを持っているじゃないか」

素早く糸を指に嵌め、リンクはあるるかんを構える。
ゆらり――と懸糸傀儡は、リンクを守るかのように立ち上がった。

「踊れあるるかんっ! 炎のボレロっ!」

軽快なステップで、あるるかんは一気に距離を詰める。
そのリズムは、かつてリンクが旅の中で繰り返し奏でた馴染みのものだ。
人形繰りを始めて間もないとは思えないほどの練度で、リンクはあるるかんを駆る。

「――くらえっ」

裂帛の気合を込めた右の拳撃。
腕に仕込まれたギミックが作動し、一度の突きを無数の連続突きに変える。
あるるかんの基本攻撃技、フレッシュ・アンフラメ(炎の矢)だ。

「ぬるいな」

目にも止まらない連続突きを、エヴァはあるるかんの左側に回りこむようにして躱していく。
それを追って、リンクはあるるかんを左へ左へと転回させる。
しかし、届かない。
あるるかんの右手には、ちぎれた人形の腕が握られている。それがいわば、あるるかんの武器だ。
その代わり、というわけではないのだが、あるるかんには左腕がない。
だからどうしても、左に回りこまれると攻撃が届きにくくなるのだ。
エヴァは余裕を持って怒涛の突きを避け続ける。
しかし、リンクに焦りはない。
これは人形だ。だから、人間には不可能な動きだってできる。
そのためのギミックも仕込まれている。
いつしか、両者の立ち位置は逆転していた。リンクが本殿を背負い、エヴァの後ろには参道が延びている。
リンクは一転してリズムを変え、今度は逆にあるるかんを右回転させた。

「嵐の歌っ!」

あるるかんの胴体がスライドし、歯車が露出した。
上半身が勢いよく回転し、唸りを上げながらエヴァめがけて突撃する。

「――回転斬りだっ!」


783 :破れた誓い、そして…(4/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:05:30 ID:8BXCkGLU
回転数を数えるのもバカらしいほどの激しさで、独楽のようにあるるかんはエヴァを噛み砕かんと迫る。
コラン――事実上あるるかんの最大攻撃といってよいその仕掛けを、エヴァは紙一重の見切りで躱した。
しかし、コランは連続攻撃だ。当たるまで、あるるかんの突進は止まらない。エヴァはそのまま退がり続ける。
エヴァとリンクの距離が広がる。逃げるエヴァ。追うあるるかん。
空気が渦を巻き、エヴァの髪が激しくたなびく。
さらに、リンクの攻撃はそれだけでは終わらない。
突如、あるるかんの腕が伸びるようにして、殺傷圏が増した。
聖ジョージの剣と呼ばれる、腕に収納された可動式の刃が展開したのだ。
だが、追いつめられているエヴァは逆に不敵な笑みを浮かべた。

「バカめ、回転速度が落ちたぞ!」

エヴァは体勢を低く取り、攻めの構えを見せる。
回転する刃をかい潜って、リンクに接近するつもりなのだ。
だがそれすらも、リンクは読んでいた。
彼が狙ったのはエヴァ本人ではなく、地面に敷き詰められた玉砂利。
リンクはあるるかんの上体を傾けて、回転した剣で地面を掠るように抉った。
激しく何度も叩きつけられる剣の勢いで、散弾銃のように無数の飛礫がエヴァを襲う。
しかし、エヴァは動じない。
低い弾道で迫る至近距離からのそれを、エヴァは人間離れした反射神経で、跳躍して避けてのけた。

だが、それこそがリンクの狙いだった。
今までの攻撃のすべては囮。次の一矢こそが本命。

「跳んだな、そこだっ!」

回転を止めずにその勢いのまま、上体を傾けたあるるかんの右手から、大きな矢が飛んだ。
その手に握っていた、人形の腕を投げたのだ。
矢は違わず、空中のエヴァを真っ直ぐその軌道に捕らえている。
距離は間近。足場のないエヴァに、避けることは不可能だ。
リンクは勝利を確信した。

――次の瞬間。
必殺のはずの一矢は、見えない壁に遮られ、エヴァに届く前に弾き飛ばされた。

「……なっ!」

あり得ない結果に、リンクは一瞬硬直する。
それが致命的な隙を生んだ。
エヴァはそのまま虚空を渡り、唖然と動きを止めたリンクの背後に降り立つ。

「――チェックメイトだ」


784 :破れた誓い、そして…(5/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:06:44 ID:8BXCkGLU
腕を掴まれた、と思った瞬間に、周囲の景色がぐるりと回った。
地面に叩きつけられるまで、リンクは自分が投げられたのだと気付かなかった。それほど鋭く、素早い投げだった。
最初に殴りかかった時に投げられたのと同じだ。
ただ、先ほどは投げ飛ばされただけだったが、今度は砂利の上に叩きつけられてしまった。
さしものリンクも、ノーダメージというわけにはいかない。

「痛っ……!」

すぐさま立ち上がろうとしたが、左肩にズキリと痛みが走る。
投げられた勢いで糸は指から抜け、あるるかんは参道上を滑って転がっていってしまっていた。
今のリンクに、武器はない。
そしてエヴァは、間髪いれずに反撃の芽を摘んだ。

「ぐっ……」

背中をエヴァの指が押さえている、たったそれだけで、リンクはもう動けなかった。
腹ばいになって、地面に横たわるしかなかった。
わけがわからない。
そんなに強い力のはずはないのに、まったく自由が利かない。
合気や柔術なんてものを知らない彼にとって、それは不条理な魔法に等しかった。

「くっ、退けよ、ちくしょうっ!」

精一杯暴れようとするが、膝を曲げる事すらできない。
懸命にもがくリンクを無視して、エヴァは彼の長い耳元で、囁くように言った。

「なかなか面白かったが、それは貴様向きの武器ではないな」
「なにをっ」
「貴様は左利きだ」

エヴァは短く一言で核心を付いた。
図星だった。リンクの掌に、今更ながら汗が滲む。

「なぜ……」
「アホか貴様。なぜもなにも、先ほど左手で殴りかかってきただろうが。
 つまり貴様では、その左腕のない人形は宝の持ち腐れというわけだ」

その通りだった。あるるかんには、左腕がない。
人形操りは、別に操者の動きをトレースするわけではない。指の微かな返しや捻りが、その四肢を大きく動かす。
だから、利き腕など関係ないといえば関係ない。
しかし、リンクは自分の動きをイメージして、あるるかんに伝えていた。
リンク自身に右腕での攻撃経験がないのが、その操作に若干の齟齬をもたらしていたのだ。

まさか、そんな事まで見抜かれていたなんて。
冷や汗を浮かべるリンクに、エヴァはくつくつと笑いながら言葉を続けた。

「さて、質問タイムだ。私の事は聞いてるようだな?
 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。闇の福音。悪しき音信。禍音の使徒。
 ――好きに呼べ。で、貴様の名は?」
「リンクだっ!」

精一杯顔を上げ、リンクは強がって叫んだ。


785 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:07:50 ID:p6bCQIIr


786 :破れた誓い、そして…(6/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:08:01 ID:8BXCkGLU
「コキリの森のリンクだっ! 退けよっ、この……!」
「ではリンク、貴様はこの殺し合いのゲームには乗ってないんだな?」
「当たり前だっ! お前みたいな殺人鬼と一緒にするなっ!」
「ならば、ニケという小僧と合流しろ」

 エヴァは淡々とした声で言った。

「なのはという小娘も一緒のはずだ。
 ……いや貴様、インデックスに会ってたのだったな。ならばもう会っているか」

その物言いに、リンクは気付いた。
エヴァは知らないのだ。なのはがすでに仲間から離れ、独り修羅の道を歩んでいる事を。
ニケは今斥候に出ているだけで、じきにここへ戻ってくるはずだという事を。
そしてどうやら、エヴァには自分を殺すつもりがない。

「まあいい。とにかく奴らに会ったら伝えろ。私は私の道を行く――そう言ってたとな」
「……どういうつもりだよ。殺さないのか」

そう言うと、エヴァはやや目を細めて嗤った。

「そんなもったいない事はしない。私は美味いものは後に残しておくタイプなんでね」

そう言いながら、エヴァは背中に押し当てた指に力を込める。
ゴリ、という音と共に、リンクの背中から電撃のような痛みが全身に走った。

「ぐぁ……っ!」
「指一本だ。わかるか? これが今の貴様と私の差だ。
 お前は弱くはないが、さして強くもない。私が憎いのならば徒党を組め。
 どのみちジェダに挑むためには必要な事だろう?
 再び相まみえる時まで、その命、預けておいてやろう」

エヴァはそこで一旦言葉を切り、リンクの反応を薄ら笑いを浮かべながら眺める。
そして勿体をつけるかのように間を取りながら、眼に凄みを利かせて次の言葉を継いだ。

「では、これが最後の質問だ。貴様、リリスの居場所を知らんか?」

意外な問いに、リンクは一瞬息を呑んだ。
その話なら、小太郎に聞いて知っている。そこにシャナという仲間が向かっているはずだという事も。
それを山小屋の仲間たちに伝えるのが、もともとのリンクたちの役目の一つだったのだから。
しかしリンクは、エヴァを睨みながら反駁した。

「そんなこと、聞いてどうするんだ」
「殺す」

迷いなく即答するエヴァ。

「……知ってるようだな。ならばさっさと教えろ。私は気が長いほうではないぞ」
「知ってたら、なんだ。お前には教えない」

リンクは土のついた顔で、殺気を込めてエヴァを睨んだ。


787 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:09:05 ID:p6bCQIIr
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788 :破れた誓い、そして…(7/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:09:15 ID:8BXCkGLU
「お前が仲間なら、喜んで教えた。だけど、お前はもう仲間じゃない。
 お前自身がそう言ったんだ。だから、教えるわけにはいかない」
「それは困ったな」

エヴァはまったく困った様子もなく言った。

「それでは私は手当たり次第に参加者を襲いながら、情報を集めねばならん。
 ひょっとすると、また誰か殺してしまうかも知れんな……」
「くそっ、タワーだ!」

リンクは吐き棄てるように叫んだ。

「南の町にあるタワーに、18時にやって来るって聞いた!
 そこがゲームに乗った連中の待ち合わせ場所だって話だよ。
 リリスを倒すために、もうそこに向かってる仲間もいる! お前の出番なんてない!
 卑怯者め、満足したなら離せっ!」

その言葉に、エヴァは険しい顔で忌々しげに舌打ちした。

「18時だと? くそ、もう過ぎてるじゃないか。出遅れたか――」

玉砂利を鳴らしてエヴァは立ち上がり、リンクの背中から圧力が消える。
だが、まだ痺れが残っていて、自由には動けない。
リンクは転がるように仰向けになり、大きく喘いだ。
首を向けると、エヴァは先ほど投げた人形の腕を拾い、動かなくなったあるるかんへと歩み寄っている。

糸を指に通し、エヴァが軽く手招きすると、あるるかんは目を覚ましたかのように俊敏に起き上がった。
リンクは驚愕に、眼を見開く。
エヴァが何度か指を開いたり閉じたりすると、あるるかんは恭しく跪き、臣下の礼を示す。
満足げに、エヴァは頷いた。

「あるるかんと呼んでいたな。道化か、なるほど今の私には似合いの従者だ」

そう言い捨てると、エヴァはリンクを振り返りもせず、さっさと境内を歩き去っていった。
その後ろを、従順な召使いのようにあるるかんが続く。
立ち去るエヴァとあるるかんを、リンクは黙って見送るしかできなかった。
レベルが違う。まるで底が読めない。
自分でさえ操作に慣れるまで時間がかかったのに、エヴァはまるで旧知のように懸糸傀儡を操ったのだ。
その流れるような自然な動きは、自分のそれとは比べ物にならない。
リンクにはもはや、言葉もなかった。

あれは、とんでもない化け物だ。
力も技もスピードも、きっと経験や才能だってぜんぜん敵わない。
今、生きている事が不思議なくらいだった。


789 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:10:07 ID:z/zbkWha
 

790 :破れた誓い、そして…(8/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:10:30 ID:8BXCkGLU
エヴァは去った。境内に、静寂が戻る。
リンクは彼女の背中に向けていた警戒を解き、目を閉じて息を整え、痛みの回復を図った。
左肩はなお痛んだが、背中の痺れは大分マシになってきていた。
右手で体重を支え、リンクはよろけながら立ち上がる。

「ぐっ……。そうだ、梨花ちゃん……」

痛む身体を引き摺りながら、リンクは本殿へと向かった。
敗北感で胸は一杯になっている。
しかしリンクはなによりもまず、梨花のそばに行きたかった。

本殿の中は、先ほど見た時と変わらず薄暗かった。
土足のまま、リンクは中へと転がり込む。
梨花は板張りに仰臥し、まるで眠っているかのように瞼を閉じていた。手は丁寧にも、胸の上で組まされている。
だが、その首から肩にかけては真っ赤に染まり、首は不自然な角度で曲がっていた。

「梨花、ちゃん……。こんな……」

リンクは手を伸ばし、梨花の身体を抱えあげる。
力なく彼女の小さな身体はリンクの胸に収まった。組まれていた腕が、ぶらりと揺れた。
生きていない。もう、なんの返事もしない。
少女の無残な姿を前にして、初めてリンクの眼から涙が溢れた。

「守るって、絶対守るって誓ったのに……!」

リンクは掠れた声で呻いた。
学校で小太郎や小狼と別れた時、ひそかに誓ったのだ。
梨花だけは、なんとしても守ると。
口には出さない、しかしだからこそ大切な誓いだった。

しかし、たった数時間も経たず、誓いは破れた。
冷たくなった梨花の頬に自分の頬をすり寄せ、リンクは強く梨花の身体を抱きしめる。

「なんて……無力なんだっ。誰も救えない。誰も守れなかったっ!」

燃えるハイラル城でゼルダを見失った時と同じ無力感が、リンクを苛んだ。

こんな子供の身体じゃ、やっぱり本当に手強い相手には敵わない。
あの時みたいに、時の神殿で大人になる事ができれば。
時の勇者として、この手にマスターソードがあれば、誰にだって絶対に負けたりしないのに――!

無理な事だと知りつつも、そう思わずにいられなかった。
きつく唇を噛み、小さな遺体を強く抱いたまま、リンクは身じろぎもしないですすり泣いた。


791 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:11:11 ID:z/zbkWha


792 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:11:36 ID:p6bCQIIr


793 :破れた誓い、そして…(9/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:11:44 ID:8BXCkGLU
……どれくらい、そうしていただろう。
梨花の中に残っていた微かな温もりすら感じられなくなった頃、リンクはようやく顔を上げた。

「そうだ……さっきの建物の中に、武器があるって、梨花ちゃんが……」

どうすればいいかわからない。
今はなにも考えられない。
でも、最後に梨花がやろうとしていた事くらいは、果たしたい。

こんなに心が乱れるなんて、デクの樹サマが死んだ時以来だ、とリンクは思う。
大人だった時は、哀しみを乗り越える力だってあったのに。
きっと、心も前より弱くなってるのかも知れない。

梨花ちゃんは慥か、鍵を探していたはずだ。どこかに鍵が……。
そう思いながら、リンクは薄暗い室内を見渡す。
すると、滲む視界に三つのランドセルが見えた。

一つは、梨花のランドセル。それとは別に、あと二つ。
エヴァのものだろうか。それにしては二つある。
だとしても、どうしてあいつは荷物を置いてったんだろう。
代わりにあるるかんは取られちゃったけど……。

リンクは梨花をそっと横たえると、立ち上がって荷物の方へ歩き寄った。
ランドセルの一つを開き、中を探る。
ひょっとしたら、なにかこの状況を変えられるものが入っているかも知れない。
なにか、今のこの気持ちをどうにかできるものが入っているかも知れない。

出て来たのは、薄桃色をした一枚のカードだった。
翼のある女性が、同じく翼の生えたハートを抱えている絵が描かれており、一番下には文字が記されている。
見慣れない文字だったが、カードの持つ魔力故か、ハイラル人のリンクにもその意味は読んで取れた。

《THE HOPE》

再び一気に、わけのわからない激情が込みあがってくる。
思いっきり床板を叩きながら、リンクは絶叫した。

「希望って、なんだよっ !!」

それは確かにあった。さっきまで。
梨花と二人で、そう確かめ合ったばかりだったのに――。

まるでそれが見当外れのツッコミだとでもいうかのように勇者の拳は反応せず、
彼の悲痛な叫びに応える者は、どこにもなかった。


794 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:12:01 ID:z/zbkWha


795 :破れた誓い、そして…(10/15) ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 20:12:58 ID:8BXCkGLU

【C−4/古手神社本殿内/1日目/夜】

【リンク(子供)@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
[状態]:左太腿、右掌に裂傷(治療済み)、左肩に打撲、背中に痺れ(一時的なもの)
[装備]:勇者の拳@魔法陣グルグル
[道具]:共通支給品一式、クロウカード『希望』@CCさくら
[服装]:中世ファンタジーな布の服など。傷口に包帯。
[思考]:……。
第一行動方針:落ち着いたら梨花を埋葬して、祭具殿の中を探る。
第二行動方針:神社にて待機。集まってくる参加者との合流を目指す。
第三行動方針:もし桜を見つけたら保護する。ニケたちに会ったらエヴァの伝言を伝える。
基本行動方針:ゲームを壊す
参戦時期:エンディング後

※本殿内に、エヴァの荷物(基本支給品、歩く教会の十字架@とある魔術の禁書目録)
 なのはの荷物(基本支給品、時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん)が放置されています。
※梨花のランドセル(共通支給品×2(食料は1人分)、エスパー錠とその鍵@絶対可憐チルドレン、
 ふじおか@みなみけ(なんか汚れた)、5MeO-DIPT(24mg)、(古手梨花の)平常時の服)は
 梨花の死体が所持しています。
※祭具殿内に何があるかは不明です。


796 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:12:59 ID:YxNrbkke
  

797 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:16:15 ID:z/zbkWha


798 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:17:40 ID:z/zbkWha


799 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:17:44 ID:AAa6FG2J



800 :破れた誓い、そして…(11/15) ◇iCxYxhra9U(代理):2007/12/14(金) 20:27:42 ID:YxNrbkke

    ※    ※    ※    ※    ※

「やはり神社か……。あれから少し北東に移動したという事だな。
 しかし、わざわざ山道をここまで運んできたのか、あのお人好しどもは」

エヴァは朱塗りの鳥居を見上げながら、誰ともなしに呟いた。
背後には、懸糸傀儡のあるるかんが音もなく従っている。
人形使い――ドール・マスターはエヴァの異称の一つだ。
普段は魔力で人形を操るが、彼女ほどの手練ともなれば、糸操りだけで人形に忍び歩きさせる事くらい容易い。
二、三度試しただけで、あるるかんの構造はすでに把握していた。
魔力を通せば操作の必要すらなくなるのだが、この魔力はあの少女の命と引き換えにしたものだ。
リリスと対峙するまで、一滴たりとも無駄にはできない。

エヴァは糸を操ってあるるかんの手を伸ばし、その上に乗って抱え上げさせた。
ちょうど、胸の位置に座るような格好になる。
まだ足元が覚束ないのだ。自分で歩くよりはこうした方が移動の効率がいいし、魔力の温存にも繋がる。

「南の町のタワーだったな。急ぐか、時間がない」

悠長にしていては間に合わない。もう18時は大分過ぎている。
目的地は山の向こうだ。ヘタをすると、終わってしまう。
エヴァは糸を操り、南に向けてあるるかんを走らせ始めた。
夜天の下を、黒衣の異形が風のように疾駆する。

あるるかんの胸の中で風を受けながら、エヴァはそっと息をつく。
神社で目覚めて以来のこの数分間は、彼女にとっても悪夢のような時間だった。
様々な事が起こり、肉体的にも精神的にも、息をつく暇もなかったのだ。
こんなザマは600年ぶりだ、とエヴァは思う。

リンクがやってきた時には、エヴァはすっかり醒めていた。
一時のマグマのような煮えたぎった激情がまるで嘘であったかのように、心は冷たく凪いでいた。
だからこそ、冷静な対応が取れた。

実際、リンクに言ったほど、今のエヴァと彼の強さに差はない。
エヴァが圧勝できたのは、ひとえに経験の差と言っていい。
リンクが慣れない武器を使っていた事も大きかった。しかもそれが人形であれば、エヴァに一日の長がある。
エヴァにはリンクの手の内が読めたが、リンクはエヴァが魔法使いだとすら知らなかったのだろう。
魔法を使わずに済ませるつもりだったエヴァを、一瞬ながら障壁を展開させるまで追いつめたのだから、
リンクは充分すぎるほど善戦したといえる。

エヴァが思うのは、今は亡き己が弟子の事である。

リンクに言った言葉は、そのままエヴァの実感だ。
ここでは意味もなく人が死ぬ。なんの理由もなく、あっけなく死ぬ。
だから、ネギもきっとそうして死んだのだろう、と彼女は思った。いや、わかってしまった。
意味もなく戦い、意味もなく命を散らしたのだ。殺した方も殺された方も、どちらも哀れであり、愚かでもある。


801 :破れた誓い、そして…(12/15) ◇iCxYxhra9U(代理):2007/12/14(金) 20:28:29 ID:YxNrbkke
恨みつらみがないとは言えない。あのぼーやは、こんなところで死んでいい男ではなかった。
真っ直ぐな意志を持ち、天賦の才に恵まれ、高潔な理想を持つがゆえに醜い現実との軋轢に迷い、
足掻き、苦しみながらも、父や自分をも超える遥か高みまで登りつめる可能性を秘めていた。
密やかな期待を込め、手塩にかけた弟子だった。
師の欲目でないとは言わないが、こんなバカバカしい状況に巻き込まれて死んでいい奴ではなかったのだ。

そしてそれは、リンクが梨花と呼んでいたあの少女も同様だ。
前途があったはずの、幼い少女。
この手で無残にも、殺してしまった少女。
エヴァはギリリと奥歯を噛む。

無様だった。
魔力切れで死にかけ、弟子の死に動揺し、挙句に力加減を誤って幼い少女の命を奪うなど、無様にも程がある。
故意ではないとはいえ、罪もない女子供を殺してしまったのだ。
それだけは、どんな時代においても、どんな状況にあっても避けてきた事だった。
いうなれば、唯一の聖域だった。エヴァは自分で自分が許せない。

エヴァは確かに、少女の限界まで血を吸うつもりだった。
ナギに封印されて以来控えてきた事とはいえ、それ自体は幾度となく繰り返した行為だ。
たとえどんな極限状態であっても、澱みなく行えるだけの経験が、エヴァにはある。
しかし、死に至らしめるつもりなどなかったにも関わらず、少女は死んでしまった。

エヴァの誤算。それは、ジェダの施した能力の制限。

真祖であるエヴァの吸血行為は、主従の契約という側面が強い。
それは、マギステル・マギとミニステル・マギの関係とよく似ている。
違うのは、吸血能力を与えること。そして、主人に対する絶対の忠誠を植え付けることくらいである。

先ほども、エヴァは少女に魔力を通し、臨時の契約を結ぼうとした。
血を吸いながら順次それを魔力に変換し、対象に送り込むのだ。
そうする事で、筋力や耐久力は勿論、血管や心肺機能までもが強化される。
限界まで血を吸う場合、そうやって身体を強化してやらないと、心臓がショック症状を起こしてしまうからだ。

制限されていたのは、まさにその部分。
吸血そのものではなく、同族能力の付与でもなく、下僕としての契約に伴う身体強化。それだった。

魔力による強化は、格闘経験のない子供にさえ岩をも砕くパワーを与える。
ジェダは吸血による回復や吸血鬼の氾濫は許しても、特定の参加者が強力な、しかも忠実な手駒を
簡単に手に入れる事は許さなかったのだろう。
強化されないまま血を吸われた少女は、いつも通り強化されていると思い込んだエヴァの
無意識の力加減に耐え切れず、あっけなく頚椎を砕かれた。
実に――無意味な死だった。

「くそっ……! ここは命の値段が安すぎるぞ!」

エヴァは低い声で毒づく。
同じ轍を踏むつもりは毛頭ないが、勿論、そんな事は言い訳にならない。
あの少女の命を奪ったのは、紛れもなくこの腕なのだから。
失われた命に、取り返しはつかないのだから。

802 :破れた誓い、そして…(13/15) ◇iCxYxhra9U(代理):2007/12/14(金) 20:30:53 ID:YxNrbkke
恨まれるべきである。
憎まれるべきである。
そして、討ち倒されるべきである。
許されざる悪は必ず、正しき者に殲ぼされなければならないのだ。
それが、闇に生きる者としての、エヴァの矜持。悪の美学。
無差別な殺戮者を演じ、リンクを挑発してみせたのも、すべてそのためだった。

――光に生きてみろ。

ふと脳裏に、かつて聞いた暖かい声が甦る。心まで溶けそうになるような、懐かしい、愛おしい声。
しかしエヴァは、自嘲と共にそれを振り切った。

「ふふ、ナギよ。やはり、どうやらそれは無理らしいぞ?
 私の業は思っていた以上に深くて昏くて、救いようがない」

もともと、自分は人殺しなのだ。
命の価値に、本来差はない。
エヴァがその人生において殺してきた悪人たちや賞金稼ぎどもの命だって、少女の命と等価である。
それでも、欺瞞だと知りつつも、女子供を殺さないという一線を引く事で、彼女は自身を見失わないで生きてきた。
ついさっきまで、そうやって自身の命を正当化してきたのだ。

だが、誓いは破れた。
いつか自分を超え、打倒してくれるはずだった、ネギのぼーやも死んだ。
つまり――潮時だということなのだろう。
思えば、永く生きてきた。そろそろ終わりの時を考えてもいい頃合だ。
私は悪だ。いずれ正しき者に討ち倒されるべき悪だ。
ならば、その“いずれ”は、今をおいて他にない。

先ほどの少年は、ぼーやと似た眼をしていた。光に生きる者特有の、力強い、濁りのない澄んだ眼をしていた。
ニケもそうだ。若干不純な光はあったが、迷いのない眼をしていた。
ぼーやの代わりというわけではないが、彼奴らに討たれるのならば、きっとそれも悪くない。

ぼーやを殺した犯人の事は心残りではあるが――。
堕ちるところまで堕ちた今の私に、仇討ちなんてご立派な大儀を掲げる資格はない。
それに、今の自分の命は、あの少女の犠牲の上にある。無辜の命を踏み躙って、今の自分は存在している。
それを無駄にはできない。
あの少女がゲームに乗らず、ジェダ打倒を目指していたというのなら、この命はそのために使うべきだ。
私怨など、ドブに棄ててしまえ。

「もっとも、うっかり出会ってしまったなら、こんばんはで済ますわけにもいかんがな……」

低い確率ではあるが、そんな事もあり得るかも知れない。だが今は、考える必要のないことだ。
どうするかは、その時になって決めればいい。
どうしようもない悪人ならば容赦はしないが、同じ穴の狢という事もあり得る。
それに、ネギがリリスの部下となってゲームに乗ったという情報もある。
普段なら到底信じられない話だが、同じく普段なら考えられないようなミスを犯したエヴァには、
それを完全に否定する事ができなかった。
この結界で覆われた異様な空間の中でなら、どんな不条理な事だって起こり得る。
すべてを疑ってかかるべきだ。常識すらも当てにできない。

803 :破れた誓い、そして…(14/15) ◇iCxYxhra9U(代理):2007/12/14(金) 20:32:30 ID:YxNrbkke
「……いや、とにかくまずはリリスだ。急がねば間に合わん」

懐疑的になりがちな思考から瞬時に頭を切り替え、彼女は人形操りに集中する。
ジェダの子飼いであるリリス。あの女だけは、必ずこの手で討ち倒す。
確かに体調は万全とはいい難いが、人生などそんなもの。いつだって準備不足の連続だ。
油断さえなければ、磨き抜いた体術と人形使いのスキルだけでも充分圧倒できる。
あるるかんが手に入った事は、存外の幸運だったといえるだろう。
それに、リリスさえ倒してしまえば、後は何も問題はない。
リリスの血を、思う存分吸えばいいのだ。魔力の出し惜しみをする必要だってない。
あの巫山戯た小娘相手ならば、容赦する理由はどこにもないのだから。

ただし、リリスを倒すのは目的ではなく、あくまでも手段だ。怨みはあるが、今となってはどうでもいい。
情報を得るための手段なのだ。
リリスならば、ジェダの居場所を知っているはずだ。
ジェダは間違いなく、この地下のどこかにいる。リリスを倒し、そこへ至る道の詳細を聞き出さなくてはならない。
贅沢を言えば、ジェダの能力や、弱点も知りたい。情報は多いほどよい。
そして、大ボスへと通じる道を切り開き、その扉をこじ開けて、
万難を排してお膳立てを整え、その前で悠然と彼らを待つのだ。

悪の中ボスとして。

それがきっと、この無駄に長かった生涯の決着に相応しい。
それでやっと、この砂上の楼閣めいた悪の誇りを保つ事ができるのだ。

西の空を仰ぐと、太陽はすでに地平に沈み、うっすらと空の端だけを赤く染めている。
東を振り返れば、暗天の端に真白い月明かりがくっきりと輝いて見える。

「日没と共に昇る月――か。できすぎてるな。ありがたくて反吐が出そうだよ」

それはつまり、満月という事だ。
エヴァは冷笑に疲労を隠し、魔力を極力抑えながら、あるるかんを音もなく走らせ続ける。

己が誇りの最後の牙城を守るため、終の従者と定めた物言わぬ懸糸傀儡と共に、背後に希望を打ち棄てて――。
闇の福音は独り、暗澹たる道を往く。

804 :破れた誓い、そして…(15/15) ◇iCxYxhra9U(代理):2007/12/14(金) 20:34:13 ID:YxNrbkke

【C−5/路上/1日目/夜】

【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:衰弱(中)、魔力(中回復)
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア、あるるかん@からくりサーカス
[道具]:なし
[思考]:くそ、間に合うか……
第一行動方針:タワーに行ってリリスを倒し、ジェダの情報を聞き出す。
第二行動方針:ジェダの居場所に至る道を突き止め、露払いをする。
第三行動方針:ジェダを倒そうと挑む者たち(リンクたちならなお良し)の前に立ち塞がり、討たれる。
基本行動方針:ジェダ打倒のために暗躍。ただし仲間は作らない。
最終行動方針:誇り高き悪として、正義の前に散る。
※ジェダの甘言は無視しています。
※なのは、ニケ達が気絶していた自分を切り捨てたと思っています。そして、そのことを喜んでいます。
※あるるかんの構造を把握しました。魔力なしでも充分操れます。
※梨花の血を大量に吸いました。雛見沢症候群、及び女王感染者との関連は不明です。

805 :◇iCxYxhra9U(代理):2007/12/14(金) 20:35:29 ID:YxNrbkke
以上、投下終了。支援感謝します。さるさん初経験でしたorz
我ながら文章が堅い……というかくどいなぁ。すみません、エヴァ様暴走しませんでした。
どうにもマーダー化した師匠が想像できず、こんな感じに。堕ちるところまで堕ちたとか自分では言いながら、全然堕ちてませんね。
エヴァの制限の詳細も決めてしまいましたが、多分矛盾はないと思います。多分きっと。
ちなみにリンクについては、姫川明氏の漫画版に多くを依っています。原作ゲームとの決定的な相違があれば、ご指摘下さい。
あと、やっぱり満月にしちゃいました。新人のくせにすみません……。太陽と逆の位置なので、昇ったばかりです。
指摘、ツッコミ、お待ちしてます。


(以上、代理投下終了)

806 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:40:43 ID:AAa6FG2J
投下、代理投下乙

エヴァが完全にニケチームと決裂か
熱血リンクも健闘したが、やはり慣れない武器では分が悪かったか

無残な結果の末に出てきたのが希望のカードというのが一番印象に残った

807 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:43:08 ID:z/zbkWha
投下GJ!
偽悪エヴァがカコイイ!戦闘も面白かったです。リンクで回転斬りは上手い。

808 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:49:48 ID:pj900+0T
GJ!
ここから立ち直るか更に堕ちるかが楽しみだ

809 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 20:55:14 ID:YxNrbkke
投下乙です。
エヴァの覚悟が悲壮で、かつ、らしくてイイなぁ……。
梨花を殺してしまった理由の説明や、ネギと勇者たちを重ねて見る視線が上手い。
GJです。

810 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:02:20 ID:/oQ7MVz5
乙です

格好いい
文体、キャラの心情、考察、演出、全体において格好いい

811 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:10:35 ID:dVFp+inj
エヴァ様実にらしいなあ……偽悪っぷりがほろりと来る。
満月に決定は良いんじゃないでしょうか。考えてみれば特に満月以外にする理由も無さそうだし。
そしてがんばれリンク。負けたけどようやく色濃さが見えてきたので今後の活躍に期待。
梨花ちゃん死んじゃったのをせめて無駄にしないように頑張って。

812 : ◆r39666tJr2 :2007/12/14(金) 21:52:52 ID:lKpc2iD5
今日は投下ラッシュだな
という訳でミミ投下良いですか?
予約なしですが、ミミに予約入ってなかったみたいなので…

813 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:55:15 ID:YxNrbkke
>>812
OK。予約被りがなければ無予約投下もOKなスレですから。
支援しますよ

814 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 21:56:19 ID:/oQ7MVz5
ミミ!

815 : ◆r39666tJr2 :2007/12/14(金) 21:58:30 ID:lKpc2iD5
ありがとうございます。
もう一度見直して、10時ちょっとぐらいから投下します。

816 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:00:16 ID:ETYukxA3
ニケもいるしまだ希望も残ってそうだ
楽しみやね

817 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:01:41 ID:YxNrbkke
あっと、スレの残り容量は……きっと大丈夫か。ミミ1人なら。
投下終わったら次スレ考えるくらいの感じですかね。

818 :幸福な夢 ◆r39666tJr2 :2007/12/14(金) 22:06:42 ID:lKpc2iD5
私は、真っ白な場所にいた。あれ?私、どうしたんだろう。何してたんだっけ。
なんでひとりぼっちなんだろう。パルモン、ママ、パパ、みんな、どこ?
辺りを見回しても誰もいない。

「ミミちゃん」

突然、背後から声がして、私はゆっくりと振り返った。
(太一さん……?)

白い空間に、ぼんやりと人が浮かび上がる。

「ミミさん」
「ミミ君」

(光子郎君に丈先輩……?)

「無事でよかった」

なんでここに?という考えは、太一さんの言葉に遮られた。
太一さんが、私に向かって笑う。無事?と言葉の深い意味は分からなかったけど、私は頷く。
みんなも無事でよかった!と私の口は動くのだけど、いつまで経っても音にはならなかった。
なにかがおかしい。なにかを忘れているような気がする。気持ち悪い!

「ミミさん、思い出してください。僕たちは、殺し合いを命じられてこの場所にいるんです」

殺し…合い?光子郎君の言葉がぐるぐると頭を掻き乱す。殺し合いなんて、そんな訳……。否定したいのに、体の震えが止まらない。脳裏に浮かぶ光景は、その言葉を肯定している。
私は見た。殺されている少女を。殺した殺人者を。
思い出すだけで、震えが、涙が、恐怖が押し寄せてくる。
殺し合いは、本当に行われているんだ。怖い。怖い。怖い!死ぬかもしれない。殺されるかもしれない。仲間が死ぬかもしれない。仲間が殺されるかもしれない。

「安心したまえ、ミミ君!」

(丈先輩……?)

俯いていた私は、その声に顔を上げる。太一さんも光子郎君も丈先輩も、笑顔で私を見ていた。

「俺たちはデジタルワールドを救ったんだ。この世界だって、救えるはずだ。殺し合いなんて、絶対止めてみせる!今はアグモン達はいないけど、みんなで力をあわせればあんな奴に負けるもんか!」

力強い言葉が、恐怖に染まった私の心に響く。デジタルワールドでは、みんなを引っ張ってくれた太一さん。

「太一さんの言うとおりです。僕は脱出方法を探します。きっとどこかに手がかりがあるはずですから」

いつだって、私たちを導いてくれる光子郎君。

「僕はみんなが、こんなことに乗らないように説得してみるよ。僕たち子供には、生きる権利が保障されている。こんなことは、やる必要はないんだ」

頼りない所もあるけど、私をいつも支えてくれた丈先輩。

仲間たちはみんな、このゲームに反抗しようとしていた。

819 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:08:31 ID:UcytZohf
 

820 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:08:58 ID:dXV7DvKs
 

821 :幸福な夢 ◆r39666tJr2 :2007/12/14(金) 22:09:08 ID:lKpc2iD5
(じゃあ、私は………?)
太一さんたちが、私の言葉を待っている。私にはなにができるだろう。必死で、あんまり使わない頭を動かした。
私は弱い。パルモンがいるならまだしも、今はひとり。優勝なんて無理に決まっている。人を殺すのも怖い。
だったら、どうすればみんなで元の世界に帰れる?考えてみる。
……そう、答えは最初から分かってた。私をこんな場所に連れてきた、あいつを倒すしかない。
でも、私だけではあいつには勝てない。太一さんたちだって、アグモンたちがいなければただの子供に過ぎない。
答えは出てこない。私は縋るように、仲間を見つめる。こういう事は、デジタルワールドでもあった。その時は、みんなで意見を出し合って前に進んだ。
今はデジタルワールドの時よりも、過酷だ。
太一さんたちは、何も言ってくれない。私の事をただ見据えている。
私が、考えなきゃいけないんだ。
私はデジタルワールドでの出来事を思い出す。あいつを、デビモンだと考えてみた。
デビモンを倒した時……私は特に役にたっていない。デビモンは、エンジェモンとみんなで倒したっけ。
これじゃダメだ。
次にヴァンデモンを倒した時のことを考える。
あの時は……また、私何もしてない。
手下を倒したり、人質を助けたりはしたけど……私って、実は役にたってなかったのかな。
ちょっとくじけそうになるけど、私は思考を続ける。
ピエモンを倒した時、私は……。

(仲間を集めて、みんなを助けた!)

ピエモンが最後の軍勢を差し向けてきた時、私と集めた仲間たちはこれを食い止め、太一さんたちはピエモンとの戦いに集中することができた。

ピエモンの時も私は、直接は何もしてないけど、今の状況では、これが一番出来そうだ。
倒し方は、太一さんたちと一緒に考えればいい!みんなで考えれば、良いアイデアが出てくることを私は知っている。
私の言葉が、聞こえたのかはわからないけど、太一さんは強く頷いてくれた。光子郎君も丈先輩も賛成してくれるように、笑顔を浮かべている。

(私は仲間を集める!そして、太一さん、光子郎君、丈先輩とみんなであいつを倒して、おうちに帰る!)

そう決めると、随分体が軽くなった気がした。
怖い人もいるけど、それだけじゃないと信じたい。自分たちとまったく違うデジモンとだって、分かり合うことができたんだから、人同士が分かり合えないはずがないんだから―――

822 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:09:32 ID:AAa6FG2J
支援

823 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:11:00 ID:YxNrbkke
 

824 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:11:50 ID:UcytZohf
 

825 :幸福な夢 ◆r39666tJr2 :2007/12/14(金) 22:12:26 ID:lKpc2iD5
ミミが幸せな希望に満ちた夢を見ている頃、島全体に悪魔の声が響き渡った。そこに呼ばれるのは、ミミの仲間たち三人の名前。
ミミは知らない。夢の中で出会った仲間たちが、すでにこの世の人でない事を。ミミの望みが決して、叶わない事を。


【C-1/道路上/一日目・夜】
【太刀川ミミ@デジモンアドベンチャー】
[状態]気絶中(夢を見ている)頭に大きなタンコブ。左目損失(神楽の左目が入っています。長時間治療していません)頬に軽度の弾痕。精神回復?
[装備]塩酸の瓶
[道具]支給品一式、ポケモン図鑑@ポケットモンスター、ペンシルロケット×5@mother2
[参戦時期]無印終了後
[思考]太一さん、光子郎君、丈先輩、待っててね!私頑張る!
基本行動方針:みんなでおうちにかえる。
第一行動方針:目と頬の治療の為に街に向かいたい。もし駄目なら次は病院に向かう。
第二行動方針:協力してくれそうな仲間を探して、太一、光子郎、丈と合流。
第三行動方針:仲間(太一達優先)を殺してしまいそうな人は自分が倒す。
第四行動方針:銀髪の少女(グレーテル)にはもう会いたくない。
[備考]頭を強く打ったのと、精神的&肉体的疲労も重なって昼間から気絶中です。
距離感や遠近感に多少のズレが生じています。また、視力が微妙に低下しています。
ずっと気絶していたので、感覚にはまだ慣れていません。
第一次放送を聞き逃しました。

826 : ◆r39666tJr2 :2007/12/14(金) 22:16:30 ID:lKpc2iD5
投下終了です。
初投下なので、ひとりぼっちで話に矛盾がでなそうなミミを書いてみました。
ミミを他の邪魔にならないようにと考えたら、こんなことに。
時間は強引過ぎたでしょうか?左目の痛みは麻痺してそうなぐらい動かしました。
仲間を大事にする彼女なので、仲間の死をじらしてみました。

修正の準備は万全なので、おかしい所があったらつっこみお願いします。

827 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:18:49 ID:AAa6FG2J
投下乙
やっとミミが動いたか、動いてないけど
まぁ、いいんじゃない
あえて幸福な夢を見させた方が後の落差の反動がでかいってもんだ

828 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:22:31 ID:YxNrbkke
投下乙です。
結局ミミは動いてないのか……というかあの後すぐに転んで気絶したのか。
前の話に無かったタンコブのできた経緯が気になるくらいで、大きな問題は無いと思います。
(できれば状態表の補足説明だけでなく、文中で明言して欲しかったな、とは思いましたが)
ここで休息を取ったことで、夜の間も大きく動き回れそうですね。
行動方針がはっきりしたのも良かったと思います。

829 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:25:21 ID:8BXCkGLU
GJ
気絶中ってのはいい感じ。ずっと動いてなかった理由になる。
ただ、C−1ってホント動いてないww リルルとトリエラ通りかからなかったっけ?
ちょっと調べてみないとわからないけど、通ったなら気付くはず。道路上だし。

830 : ◆iCxYxhra9U :2007/12/14(金) 22:26:52 ID:8BXCkGLU
おおっと、さるさん解けました。
代理投下、感謝します。概ね好評のようで、書いてよかったww

831 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:34:30 ID:8BXCkGLU
んで、調べてみた。リルルとトリエラは、
「全ての終わり、一つの始まり――そして誰かいなくなった」で
B−2からD−1へ移動してる。
森の中を突っ切っていったのなら、C−1は通ってないかも。微妙ですねww

832 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:43:32 ID:YxNrbkke
>>829
今じっくり読み直したら、微妙に厳しいかもしれません。

エリアは明言されてないが、おそらくD−1になるであろう路上で、リルル・トリエラはのび太と遭遇している。
(その前のトリエラ・リルルの遭遇地点がD−2の森の中。道路に出たところで後ろから来たのび太に気付いている)
で、トリエラ・シャナの戦闘開始地点はモニュメント付近(B−1)。つまり道路を西に進んで、C−1を通過している。
戦闘終了地点はB−2で、そこからD−1に行く間なら、道路上でなく平原を横切ったことにしても問題ないけど……。

同じエリア内でも、道路からズレた位置になれば、生い茂った草か何かで見つからなかったことにできるとは思います。
ただ、このまま道路の真ん中というのはマズいかもしれません。

833 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:44:38 ID:dVFp+inj
話としては報われなすぎる持ちあげっぷりがGJ。

ただ、位置はまずいです。
18時時点でリルルとトリエラはミミのC−1を通り過ぎてD−1まで行っていますので。
更に夜直後の話で二人はスムーズにF−1まで移動済です。
一本道なのでまず見つかってしまうでしょう。道を外れて移動する描写も有りませんし。

前の話ではミミが極めて低速で移動していたことを考えると、E−1でも放送直後の話で追いつかれます。
場所をF−1かG−1の街入り口辺りか、あるいは道路から外れた場所に移動させる必要が有るでしょう。

…………と思ったら>>831の解釈も有るんですね。

834 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:50:36 ID:8BXCkGLU
>>832
戦闘前は見逃してた。本当ですね。
現在地は一考の余地アリかな。側溝に落ちて頭を打ったとか……?

835 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/14(金) 22:50:53 ID:bvm4mZWs
だいたい修正(といっても大がかりなことはしていないが)出来てきたので途中報告を。
トマの予約は破棄します。絡めることが出来そうにないんで。
後、日曜日諸事情でPCをさわれそうにないので土曜日に決着をつけます。

836 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 22:54:43 ID:YxNrbkke
>>834
気絶とするなら、Eー1orFー1の橋の下、あたりがおいしいかも。
足を踏み外して気絶するにはもってこいのポイントです。
通過する人が気付かなくても不注意を咎められないし、でも偶然見つけてもおかしくないような位置。

場所の問題だけでなく、気絶の経緯が不明なのも微妙に惜しい所だったんで。

>>835
報告乙です。かなりの決断ですね。これにめげずに、今後も挑んでみて下さい。
修正完了&再投下、待ってます。

837 : ◆r39666tJr2 :2007/12/14(金) 23:04:23 ID:lKpc2iD5
指摘有難うございます。
コブは、遠近感が分からなくて石躓いてこけた、と自分では考えていたんですが、話に経緯を入れられるように修正してみます。
C1のまま森というのは厳しいでしょうか?

でも橋も魅力的ですね。人も通りそうだ。

838 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:08:27 ID:YxNrbkke
>>837
私もみんなも、あくまで一案として挙げただけなので、決断は書き手さん任せですよ。
じっくり考えて、書きやすい展開、面白そうな展開を選んで下さい。
残念ながら修正は必要だと思うので、期待して待っています。

839 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:12:35 ID:8BXCkGLU
同じく、最終判断はお任せです。書きたいものを書くのがベストかと。
ただ、C−1は残念ながら森からはギリギリ外れてるようですね……。
修正加筆、期待してます。

840 : ◆r39666tJr2 :2007/12/14(金) 23:24:41 ID:lKpc2iD5
有難うございます。
数日中には修正してあげたいと思います。

841 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/14(金) 23:25:49 ID:0lFHoy/L
つまり……トマはまた命拾いしたってことか?
何というラッキーボーイ

842 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 00:07:23 ID:LAN+V+Bq
ここまで来ると見えざる手が働いていると思わざるを得ない

843 : ◆r39666tJr2 :2007/12/15(土) 00:46:08 ID:8nZKAWcA
土日は時間が取れそうにないので、今のうちに修正スレに直したものを投下しました。

844 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 01:06:16 ID:7bECGf8Q
>>843
素早い修正乙です。これなら問題なさそうですね。お疲れ様でした。

……やはりのび太が最もミミを見つけやすい位置にいますねぇ。
次点がアリサ(廃病院を通過して北東に進めば)、続いて紫穂&ヴィータ(進む方向不明)、といったところでしょうか。
ちなみに大穴:タバサ&蒼星石(動く動機は無いけど距離的には近い)

845 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 03:40:55 ID:YPA6SjwZ
正にデッドオアアライブw

846 : ◆keLxQwtUhQ :2007/12/15(土) 22:57:06 ID:e+v/4Skx
泥沼にはまっていったので破棄します。
お騒がせして申し訳ありませんでした……

847 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:05:23 ID:5kUCas2U
そうですか
残念だけど、仕方ないですね
次回作楽しみにしてます

848 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/15(土) 23:13:49 ID:3v3B7lSH
一体なにがw
ああでも、書いても書いてもなんだか完成する気がしなくなるって感覚は経験あるなぁ。
書き続けるのがスキルアップのコツです。それしかありません。
次の作品を待ってます。

849 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 00:14:25 ID:CqrbP2me
了解です。
一つ問題が見つかると、芋づる式に次々とやばいところがっていうのはよくある……
これにめげずに、またチャレンジしてみてくださいな。

850 : ◆sUD0pkyYlo :2007/12/16(日) 00:24:47 ID:i1PqAySp
>>846
報告お疲れ様です。
これにめげずに、また挑戦してみて下さい。

さて、色々ありましたが、活発な動きを受けて、こちらも……

ニア、グリーン、リリス、
メロ、ニケ、ブルー、一休、 以上7名、同時に予約します。

851 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:55:30 ID:JCjKdLPN
二アktkr
この面子…二ア大丈夫かww

あと、テスト投下スレに投下しました。タバサと蒼星石です。

852 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 01:57:15 ID:OxZM4Qnd
>>850に期待

ところで、しんべヱの時みたいにさくらが殺していって3人抜きした時は
多分雛苺がご褒美権使おうとするんだろうな…とふと思った

853 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 02:28:27 ID:HjzJFmIS
>>851
テスト投下乙です。
放送前の話ってことですよね。自分は問題ないと思います。
放送が来たらタバサのところに戻ってもいいし、一人だけ遠くに移動しててもいいので展開の幅が広がりそうですね。

854 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 17:16:41 ID:R5ddnWte
>>850
曲者が集ってますね
楽しみです

855 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 19:00:29 ID:onfrpFN8
>>850
期待!
タワーに向かってるシャナやエヴァの続きを書くためにも、必須の箇所ですね。
学校探索チームも、今後の流れに大きく影響しそう。楽しみにしてます!

>>851
乙です。
タバサのゲーム脳は徹底してるなーww
遭遇の可能性が増えて、いいと思います。仲間になりそうなのも近くにいるし。

856 : ◆r39666tJr2 :2007/12/16(日) 20:32:11 ID:JCjKdLPN
問題がなさそうなので、タバサと蒼星石を投下します。

857 :リスキーダイス ◆r39666tJr2 :2007/12/16(日) 20:35:15 ID:JCjKdLPN
「うーん。移動したいけど、難しいよね。イシドロを運ぶのも大変だろうし」
「そうだね」

タバサは僕の問いかけに考え込むような動作をする。僕たちは塔を出て進むか、留まって休息をとるかの選択を迫られていた。タバサは、まだ悩んでいるみたいだ。
もし進むなら、急がないと完全に日が暮れてしまう。森を歩くのは、ただでさえ視界が悪くなる。
夜にそんな場所を移動するのは危険だ。僕としては、ここで休んで欲しいと言うのが本音だったりする。
タバサは先程の戦闘で、僕よりも酷いダメージを受けて、ボロボロ。動くのも大変なんじゃないかと思う。
それでも平然としていられるのは、タバサが前の冒険で怪我などに慣れているからだろう。魔王を倒す旅がどのくらい大変なのかは分からないけど、僕は改めてタバサの強さに感嘆した。

「でも、まだ夜まで時間もあるし、休むのはもったいないなぁ」
「そ……、そうかな?」

思わず同意しそうになるが、それではダメだ。
タバサには、旅をしたことない僕には分からないこだわりがある。そのひとつがこれだ。
【もったいない】どうせ宿屋に泊まるなら、MPを使い果たしてから泊まろう、というのに似た気分らしい。よく分からない。
僕がちょっと困惑していると、タバサは立ち上がって窓に近寄った。窓の外には、緑色の景色が広がる。タバサ?僕はその後ろ姿に声をかけた。
タバサが、何を思って行動しているのか知りたい。タバサを理解したい。
今までにない感情を、僕は持ち始めていた。これが【仲間】ということかもしれない。

「何をしているの?」
「戦力を増やしたいな、と思ったんだけど…、誰もいないね。少なくともここからじゃ、何も見えない」

どういうこと?と聞くとタバサは説明してくれた。それを完全に理解できない事が悔しい。僕の世界の常識が通じないのだから、仕方がないのかもしれないけど。
タバサの世界では、4人パーティーで戦うことが普通だという。だから今の状態は落ち着かない。
それに、前の戦闘で敵を逃がしたことが、タバサには無視できない問題として残っているという。こっちは4人で戦ったのに、倒せなかった。この先、あいつら以上の敵に出会ってしまったら、大変なことになる。
戦力を増やしたいと思うのは、タバサにとって必然だった。

858 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:35:32 ID:R5ddnWte
 

859 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:37:55 ID:ijnlM3ds
紫炎

860 :リスキーダイス ◆r39666tJr2 :2007/12/16(日) 20:38:23 ID:JCjKdLPN
「おにいちゃんと会えれば、イシドロも生き返るから丁度いいんだけど……どこにいるんだろう」

前衛タイプと後衛タイプが、バランス良く仲間になるのに。タバサはそう言葉を続けた。

「お兄さんが眠っているなら、夢を繋げることができるんだけど…、」
「おにいちゃん、こんな早くに寝てないと思うよ」
「……一回目の放送も終わってないしね」

僕はため息をつく。レックスの居場所の手かがりを掴めそうなのは、僕の力だけなのに、相手も眠っていないと使えないのは不便だ。
相手がいつ眠るかなんて分からないのに。もうちょっとこの力も、融通が効けばいいのになぁ。
不満を呟きながら、僕が再び窓に目を向けると、タバサは窓の外から視線を外してこちらを見ていた。じぃ、と青い瞳に僕の顔が映っている。
先に言葉を発したのはタバサだった。

861 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:39:48 ID:ijnlM3ds


862 :リスキーダイス ◆r39666tJr2 :2007/12/16(日) 20:42:24 ID:JCjKdLPN
「蒼星石、ありがとう」
「え?」

その言葉に、僕は驚いてしまう。

「い、いきなりどうしたの?」
「急に言いたくなったの。蒼星石が仲間でよかったなって思ったから」
「そんな、それは僕だって同じだ」
「本当?」
「本当だよ!」

僕とタバサは、お互いに笑い会う。タバサの言葉が純粋に嬉しい。僕は最初からタバサという仲間に出会えた。それがどれだけ心強かったか。姉妹たちも、同じだったらいいな。
殺し合いをさせられているという事実を忘れてしまいそうな、穏やかな時間がこの一室には流れていた。


++++++++++++++++++


「じゃあ、行ってくるね。蒼星石はここで待ってて」

しばらく外を眺めていたタバサは、突然こんな事を言い出した。じゃあ、って話の繋がりが分からない。

「行くってどこに?」
「仲間になってくれるモンスターを探しに行くの。またあいつらが襲ってきた時のために、戦力を増やした方がいいと思うし。あんまり遠くまで探せないけど、今ならまだ動いても大丈夫そうだから」

言い終わるとタバサは、テキパキと準備を始める。疲れなど微塵も表に出さない。タバサは、疲れているはずなのに。
言葉が、僕の意識に関係なく口から零れ落ちた。

「だったら僕が行くよ!タバサは少しでも体を休めた方がいい」
「え…?でも、危ないよ」

力が入ってしまったせいなのか、普段のそれより幾分か大きくなってしまった声にタバサは目を丸くする。タバサは声の大きさより、内容に驚いたみたいだった。

「タバサだって、その怪我じゃ危ない」
「…蒼星石は、モンスターを仲間にできないでしょ?」

タバサの言葉に僕は頷く。僕には確かに、タバサが持っているというモンスターの言葉を理解したり、仲間にする能力は持っていない。
だけど、タバサにもしものことがあったら……。
僕はそれを想像するだけで怖くてたまらない。タバサとレックスは、この恐ろしいゲームの唯一の希望なんだから!
本当は僕だって休みたいけど、タバサはこうでもしないと自分が行くと譲らないだろう。だったら、タバサよりも動ける僕が行った方がいい。僕は、天空の勇者たちの従者になると決めたんだからこれぐらいできる。

863 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:43:42 ID:R5ddnWte
 

864 :リスキーダイス ◆r39666tJr2 :2007/12/16(日) 20:45:20 ID:JCjKdLPN
「何かを見つけたら、すぐにタバサを呼ぶ。だからその間、タバサには少しでも休んでいて欲しい。これなら問題はないでしょう?
もし、タバサに無理をさせちゃったらお兄さんにあわせる顔がないよ」
「蒼星石……」

呆然とタバサは僕を見据える。
視線が重なった。
そのまましばし見つめ合う。

「……分かった。でも、気をつけてね」

少しの沈黙の後―――折れたのはタバサの方だった。
どす、とタバサはそのまま床に座り込む。表情には、今まで見せなかった疲労の色が覗く。タバサは、僕に任せることにしてくれたらしい。
本当に、僕はタバサの仲間として認められたのかもしれない。そう思うと、自然に頬が緩んだ。

「タバサも気をつけてね。外よりは安全だと思うけど、何があるか分からないから」
「うん。放送までには戻ってきてね」
「分かってる」



それだけ言葉を交わして、僕はついさっき通った道を辿る。
また外に出ることになるとは思わなかった。だけど、タバサが必要だと言うなら仕方がない。
外は変わらず薄暗い。森が不気味に僕を迎える。18時の放送まで、そう時間はないだろう。
友好的な参加者だけではないのは分かっている。だからこそ、僕は行かなくちゃいけないんだ。僕だけじゃ、タバサを守るのに充分だとは言い辛い。仲間が欲しいのは確かだ。
もし、好戦的な参加者に会ったとしても、この薄暗さと森を使えば撒くことぐらいはできるはず。
ついバイオリンの弓を握る手に力が入る。大丈夫。僕は出来る。
まずは、塔の周りから探してみようか?

865 :リスキーダイス ◆r39666tJr2 :2007/12/16(日) 20:47:00 ID:JCjKdLPN
【C-3/森(塔の近く)/一日目/夕方(ほぼ夜)】
【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]全身打撲(行動には余り支障なし)疲労(中)
[装備]バイオリンの弓@ローゼンメイデン、こぶたのしない@FF4、戦輪×9@忍たま乱太郎
[道具]支給品一式、ジッポ、板チョコ@DEATHNOTE、金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン
[思考]早く戻りたいけど……、タバサの役に立ちたいな。
基本行動方針:タバサとレックスをどんなことをしてでも守る
第一行動方針:C-3を中心にC-2、C-4、B-3、D-3辺りに仲間になってくれそうな参加者がいないか探す。危険そうな人を見つけたら逃げる。
第二行動方針:レックスを最優先で探す。姉妹たちは後回し。
第二行動方針:タバサの『夢』に入ってレックスと接触する?
[備考]タバサに強い感情(忠誠心?)を寄せています。

866 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 20:48:02 ID:ijnlM3ds


867 :リスキーダイス ◆r39666tJr2 :2007/12/16(日) 20:48:48 ID:JCjKdLPN
【C-3/塔の中の一室/一日目/夕方(ほぼ夜)】
【タバサ@ドラゴンクエスト5】
[状態]全身に大ダメージ、MP消費(大)バリアジャケット解除(普段の服装に戻りました)
[装備]バルディッシュ・アサルト@魔法少女リリカルなのは(カートリッジ残数2)(待機形態)(破損あり)イシドロの死体In棺桶
[道具]支給品一式×2(イシドロの服の食料も回収済み)、手榴弾×2、ヴェルグ・アヴェスター@Fate/hollow ataraxia
[思考]蒼星石、大丈夫かな?
基本行動方針:「どんな手段を使ってでも」レックスを捜し出し、仲間と共に脱出する。
第一行動方針:蒼星石の帰りを待ちながら、体を休ませる。
第二行動方針:自分と仲間の身は「何としても」も守る。
第三行動方針:信頼できる仲間を捜す。
第四行動方針:イシドロを「復活」させる手段を考える。
[備考]「ドラゴンクエスト5」内でタバサが覚えている魔法は全て習得しています。
ミッドチルダ式魔法について、バルディッシュからある程度説明をうけました。
いずれイシドロは「復活」させるつもりです。
(最悪、全ての戦いが終わった後にでも)
白レンのことを見限りました。もう味方だと思っていません。
バルディッシュ・アサルトはダメージを受け、自己修復中です。受けたダメージは相当なものですが、少なくとも、手足が動かなかったり欠損したりはしていません。
(具体的な怪我については、後の書き手さんに委ねます)
[備考]C-3に立つ塔の外壁に、大きな穴が一箇所開いています。
塔の周囲の木々が、バルディッシュ・ザンバーの攻撃の余波で何本か倒れています。

868 : ◆r39666tJr2 :2007/12/16(日) 20:51:53 ID:JCjKdLPN
投下終了です。
支援ありがとうございました。

このまま休ませるのもなあ、ともうひとつ余計な動きを入れました。
蒼星石よりたいした武器のないタバサの方がやばい気がします。

ありがとうございました。

869 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:37:28 ID:onfrpFN8
乙。
まあ、こっち向かってるマーダーもいないし、それほどやばくはないかと。
いや、別の意味でタバサはやばいけどww
探索に出たのが蒼星石でよかったw タバサはまず戦闘ありきだもんなぁ。

870 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:44:35 ID:R6gvOKra
乙!
蒼の忠犬ぶりがすげぇwwww

871 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 21:55:55 ID:i1PqAySp
投下乙です。
蒼い子は思いこむと一筋ですからねぇ。悪い意味で。
もうほとんどタバサをマスターとしてるように見えるw
この分散がどういう結果をもたらすのか、楽しみです。

872 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 22:59:23 ID:bI7w7Y1R
そろそろ次スレの時期だな
今までで1番速かったんじゃない?

873 : ◆o.lVkW7N.A :2007/12/16(日) 23:42:26 ID:N8jjzcr5
乙です。蒼の子とタバサはいいコンビだなぁ……(タバサ教さえなければ)。
登場話で組んだ中で健在なのってもうここだけだから、頑張ってほしいところだ。
周囲に危険人物も少ないし、今後の布教活動…いや仲間集めにも期待が掛かりますね。

折角の予約・投下ラッシュを断ち切ってしまってすみませんが、
自分の予約は、少し延長させてくださいorz 

874 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:51:01 ID:Ju4yd44r
立てたよ。

ロリショタバトルロワイアル16
ttp://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1197816204/

>>873
期待してます!

875 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/16(日) 23:52:13 ID:dkgCRiQy
期待してます

876 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 22:18:05 ID:8r+aPYQ8
>>868
乙!
世の中には棺桶一つに何度も危機を救われたパーティーがあってだな……

877 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 22:47:39 ID:ddsZvVI2
あと容量どのくらい?
予約入ってるのは人数多めだから足りるか?

だが、俺の掛け持ちロワと比べると恐ろしく進行早いな

878 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 22:49:40 ID:2RNsP++w
あと6kbしかない。作品投下をこっちにするのはまず無理だね。
また愉快な埋め立てが来ないかちょっと期待しているw

879 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/17(月) 23:59:01 ID:ddsZvVI2
じゃあ埋めついでに他ロワで見た面白そうなのを

LSロワ用語集

【ヘタレックス】
LSロワでも屈指の戦闘力を持っているマーダーなのに、ほぼサラマンダー化したことからこの愛称がついた。
最近、対主催に覚醒したが汚名を返上できそうな気配はない。

【タバサ教】
教祖タバサ。
しんだらいきかえらせればいいんだよ。
が合い言葉。信者はまだ1人だが、これからの布教活動に期待。
タバサのゲーム脳を指して使われる。

880 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 20:19:20 ID:LHwT5O8r
フェイトは温泉入浴中に盗撮されて、
ゲインにそれを見られる。
はやては温泉の近くで放送禁止をクレアに見られる。

なのはも今すぐ温泉に向かうべきだと思うんだ。

サービスシーン目撃する被害者はニケ辺りで。

妄言だけどね…

881 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 20:54:27 ID:tU0HkdI/
ニケ死ぬぞwwwwwwww

882 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 21:16:49 ID:hzIPhGU1
ツンデレは誰が残ってる?

883 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 21:25:46 ID:9uRyeDzn
加害者ではなく被害者なのかwww
いや、実に分かっていらっしゃる

884 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 21:45:22 ID:HIwvj5k4
用語集かぁ、ちょっと面白いかも。

【銀髪白眼】
生命の水を飲んだことによってしろがね化したシャナの事。炎髪灼眼にかけてこう呼ばれる。
文字通り髪と眼の色が変わっており、お絵かき掲示板にもその姿が描かれている。

885 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 21:50:12 ID:9uRyeDzn
【Fライン】
LSロワ序盤における、最大の乱戦場。複数の陣営が入り乱れ、
総勢10人以上が戦闘に参加し、何人も命を落としたカオスな森。
丁度地図で見たときにFの座標にあったこと、
一連のSSのタイトルが全てFから始まったことからこう呼ばれる。

886 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 22:22:14 ID:hzIPhGU1
【ひきこもり】
二アの愛称。開始から、まったく動いてない事や自分で行動しない事から名付けられた。
だが今は、出るにも出られない引きこもり。

【ご褒美制度】
LSロワ独特の制度。三人殺るごとに全回復、アイテム支給、主催に質問のどれかを得られる。
この制度のせいで、対主催が人を殺すなどカオスに。元凶はパタリロである。

【こぶたのしない】
鬱展開のお供。実際はそれほど使われていないが、最初の被害者のせいでそのイメージを拭えないアイテム。

887 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/18(火) 23:33:11 ID:8w2XfgiH
【変態坊主】
一休さんの事。現代の常識を知らないとはいえあんまりすぎるコスプレ列伝が原因。

【悪魔】
(1)悪・不義・闇(やみ)の擬人化されたもの。人を悪に誘い、滅ぼすもの。堕天使。
(2)極悪人。
(3)高町なのはの事。当人もこの呼び名を認めており、方々でそう呼ばれている。
  ヴィータに始まりブルーやイヴ、グリーンなどマーダーの連中から言われる事が多い。

【対主催派閥(LS)】
知恵と勇気と希望を胸に秘めて殺し合いの絶望に抗い続ける健気な子供達……の筈である。
何故か冷酷であったり人命軽視主義だったり、狡猾な事もしばしばある。
主催ジェダ打倒or脱出を共通の目的とするが、不思議な事にかなりの割合で互いに敵対している。
結果を見てみればその殺害総数はゲームに乗った者達と大差無い。

【サディスト星人(聖人)】
LSロワの書き手の事。
誤変換により聖人ともいう。紳士という言葉でも同義となる。
当然ながら尊称である。

888 :最後は、このスレで死んだロリ達で〆:2007/12/19(水) 00:51:15 ID:F1deQGOG
でま小  ヘ:.il:.:.:.:.:.ll l:.:.::.l l l:.:.:.:.:.:.::.:.l i l:.:.:.:.:.:::::l l:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::/  リ大
すた狼    |:l:.:.:.:.:|_l_i_:.:.:l l .|:.:.:.:.:.:.:.:l lト、l:.:.:.:.:.::::l |:.:.:.:.:.::::::::::::::::イ   ン丈
・ 会.た   l:.`ーt┘| L`土l-l:.:.:.:.:.:.├+-L_:.:.:.:.:::l !:.:.::::::::::::::::::::::l.   ク夫
・ .え.ち   l:.:ハ彡7辷=-ミ ` ー-┘! l ヽ二ニ i ヽ:.::::::::::::::::::::i    で
・ .ま.と   /:./:.:ハ |ゞ;;:::::::ヾ、       彡ニ==三、`ー/:::::::::::ヽ、  す
 .す.は ./:.:/:./ハ.弋_""ツ       lゞ:::::::::::::::ミ、 /::::::::::::::::::::ヽ、_よ
__,,, /:.:/:./i::::::',    ̄        弌""ー-''ツ ツ:::::::::::::::::::::::::::::::::: ̄
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【古手梨花】
吸血鬼に首コキャされて死亡

889 :上のAAずれた…orz:2007/12/19(水) 00:54:05 ID:F1deQGOG
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   ⌒⌒^/`ー-.{@       /::::<'"'"'ーz::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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【吉永双葉】
サイコメトラーに短剣で惨殺されて死亡


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