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ロリショタバトルロワイアル10

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:28:29 ID:hbTNo7d9
本性を晒け出せ!
衝動をぶち撒けろ!
欲望を解き放て!
情熱を、燃やせ!



ここは真性の漢共(女性可)が集まり、
ジャンルを問わないロリショタキャラでバトルロワイアルを行う、
あまりにもCOOLなスレです。
紳士淑女の心を忘れず冷静に逝きましょう。

前スレ
ロリショタバトルロワイアル9
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1175607059/

過去スレ
ロリショタバトルロワイアル8
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1174298614/
ロリショタバトルロワイアル7
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1173267370/
ロリショタバトルロワイアル6
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1171953607/
ロリショタバトルロワイアル5
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1170746599/
ロリショタバトルロワイヤル4
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1169810359/
ロリショタバトルロワイアル3
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1169293272/
ロリショタバトルロワイアル2
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1168265134/
ロリショタバトルロワイアルをやれるか話し合うスレ
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1167045572/

テンプレは>>2-5辺に
ロリショタロワ避難所(したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/8274/
LSロワお絵描き掲示板
http://oekaki2.basso.to/user11/hisou/
まとめwiki
http://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa


2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:29:11 ID:hbTNo7d9
〜参加者一覧[作品別]〜
【魔法少女リリカルなのは】高町なのは/フェイト・テスタロッサ/ヴィータ/八神はやて/アリサ・バニングス
【ローゼンメイデン】真紅/翠星石/蒼星石/雛苺/金糸雀
【魔法陣グルグル】ニケ/ククリ/ジュジュ・クー・シュナムル/トマ
【ポケットモンスターSPECIAL】レッド/グリーン/ブルー/イエロー・デ・トキワグローブ
【デジモンアドベンチャー】八神太一/泉光子郎/太刀川ミミ/城戸丈
【ドラえもん】野比のび太/剛田武/リルル
【魔法先生ネギま!】ネギ・スプリングフィールド/エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/犬上小太郎
【絶対可憐チルドレン】明石薫/三宮紫穂/野上葵
【落第忍者乱太郎】猪名寺乱太郎/摂津のきり丸/福富しんべヱ
【名探偵コナン】江戸川コナン/灰原哀
【BLACKLAGOON】ヘンゼル/グレーテル
【クレヨンしんちゃん】野原しんのすけ/野原ひまわり
【ドラゴンクエストX】レックス(主人公の息子)/タバサ(主人公の娘)
【DEATH NOTE】メロ/ニア
【メルティブラッド】白レン/レン
【ちびまる子ちゃん】藤木茂/永沢君男
【カードキャプターさくら】木之本桜/李小狼
【テイルズオブシンフォニア】ジーニアス・セイジ/プレセア・コンバティール
【HUNTER×HUNTER】キルア/ゴン
【東方Project】レミリア・スカーレット/フランドール・スカーレット
【吉永さんちのガーゴイル】吉永双葉/梨々=ハミルトン
【ヴァンパイアセイヴァー】リリス
【MOTHER】ネス
【サモンナイト3】ベルフラウ=マルティーニ
【Fate/stay night】イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
【みなみけ】南千秋
【武装錬金】ヴィクトリア=パワード
【BLACKCAT】イヴ
【からくりサーカス】才賀勝
【銀魂】神楽
【ひぐらしのなく頃に】古手梨花
【灼眼のシャナ】シャナ
【とある魔術の禁書目録】インデックス
【るろうに剣心】明神弥彦
【ボボボーボ・ボーボボ】ビュティ
【一休さん】一休さん
【ゼルダの伝説】リンク(子供)
【ベルセルク】イシドロ
【うたわれるもの】アルルゥ
【サザエさん】磯野カツオ
【せんせいのお時間】鈴木みか
【パタリロ!】パタリロ=ド=マリネール8世
【あずまんが大王】美浜ちよ
【ポケットモンスター(アニメ)】サトシ
【SW】ベルカナ=ライザナーザ
【Gunslinger Girl】トリエラ
【ぱにぽに】レベッカ宮本
【FINAL FANTASY4】リディア
【よつばと!】小岩井よつば
計86名

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:30:36 ID:hbTNo7d9
〜参加者一覧[あいうえお順(名簿順)]〜
01:明石薫/02:アリサ・バニングス/03:アルルゥ/04:イエロー・デ・トキワグローブ/05:イシドロ/
06:泉光子郎/07:磯野カツオ/08:一休さん/09:猪名寺乱太郎/10:犬上小太郎/
11:イリヤスフィール(略)/12:インデックス/13:イヴ/14:エヴァンジェリン(略)/15:江戸川コナン/
16:神楽/17:金糸雀/18:城戸丈/19:木之本桜/20:キルア/
21:ククリ/22:グリーン/23:グレーテル/24:小岩井よつば/25:剛田武/
26:ゴン/27:才賀勝/28:サトシ/29:三宮紫穂/30:シャナ/
31:ジーニアス・セイジ/32:ジュジュ・クー・シュナムル/33:白レン/34:真紅/35:翠星石/
36:鈴木みか/37:摂津の きり丸/38:蒼星石/39:高町なのは/40:太刀川ミミ/
41:タバサ(主人公の娘)/42:トマ/43:トリエラ/44:永沢君男/45:ニア/
46:ニケ/47:ネギ・スプリングフィールド/48:ネス/49:野上葵/50:野原しんのすけ/
51:野原ひまわり/52:野比のび太/53:灰原哀/54:パタリロ/55:雛苺/
56:ビュティ/57:フェイト・テスタロッサ/58:福富しんべヱ/59:藤木茂/60:フランドール・スカーレット/
61:ブルー/62:古手梨花/63:プレセア・コンバティール/64:ヘンゼル/65:ベルカナ=ライザナーザ/
66:ベルフラウ=マルティーニ/67:南千秋/68:美浜ちよ/69:明神弥彦/70:メロ/
71:八神太一/72:八神はやて/73:吉永双葉/74:李小狼/75:リディア/
76:リリス/77:梨々=ハミルトン/78:リルル/79:リンク(子供)/80:レックス(主人公の息子)/
81:レッド/82:レベッカ宮本/83:レミリア・スカーレット/84:レン/85:ヴィータ/
86:ヴィクトリア=パワード
計86名

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:31:27 ID:hbTNo7d9
〜ロリショタロワ・基本ルールその2〜
【舞台】
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/clip/img/76.gif

【作中での時間表記(2時間毎)】(1日目は午前6時よりスタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 真昼:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

【支給品】
・参加者が元々所持していた装備品、所持品は全て没収される。
・ただし体と一体化している装備等はその限りではない。
・また衣服のポケットに入る程度の雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される物もある。
・ゲームの開始直前に以下の物を「ランドセル」に入れて支給される。
「食料」「飲料水」「懐中電灯」「地図」「鉛筆と紙」「方位磁石」「時計」「名簿」
「ランダムアイテム(1〜3種)」。
なおランドセルは支給品に限り、サイズを無視して幾つでも収納可能で重量増加もない。
その他の物については普通のランドセルの容量分しか入らず、その分の重量が増加する。

【ランダムアイテム】
・参加者一人に付き1〜3種類まで支給される。
・『参加者の作品のアイテム』もしくは『現実に存在する物』から選択すること。
(特例として『バトルロワイアル』に登場したアイテムは選択可能)。
・蘇生アイテムは禁止。
・生物および無生物でも自律行動が可能なアイテムは参加者増加になる為、禁止とする。
・強力なアイテムには能力制限がかかる。非常に強力なものは制限を掛けてもバランスを
取る事が難しいため、出すべきではない。
・人格を変更する恐れのあるアイテムは出さない方が無難。
・建前として『能力差のある参加者を公平にする事が目的』なので、一部の参加者だけに
意味を持つ専用アイテムは避けよう。出すなら多くの参加者が使えるようにしよう。

【ご褒美システム】
・他の参加者を3人殺害する毎に主催者から『ご褒美』を貰う事が出来る。
・トドメを刺した者だけが殺害数をカウントされる。
・支給方法は条件を満たした状態で、首輪に向かって『ご褒美を頂戴』と伝えるか、
次の放送時にQBが現れるので、以下の3つから1つを選択する。

1:追加のランドセルが貰える。支給品はランダムで役に立つ物。
2:ジェダに質問して、知人の場所や愛用品の場所などの情報を一つ聞ける。
3:怪我を治してくれる。その場にいれば他の人間を治すことも可能。

5 :テンプレ投下順ミス:2007/04/25(水) 22:34:07 ID:hbTNo7d9
〜ロリショタロワ・基本ルールその1〜
【基本ルール】
参加者全員で殺し合い、最後まで生き残った一人が優勝となる。
優勝者のみが生きて残る事ができて『何でも好きな願い』を叶えて貰えるらしい。
参加者はスタート地点の大広間からMAP上にランダムで転移される。
開催場所はジェダの作り出した魔次元であり、基本的にマップ外に逃れる事は出来ない。

【主催者】
主催者:ジェダ=ドーマ@ヴァンパイアセイヴァー(ゲーム・小説・漫画等)
目的:優れた魂を集める為に、魂の選定(バトルロワイアル)を開催したらしい。
なんでロリショタ?:「魂が短期間で大きく成長する可能性を秘めているから」らしい。

【参加者】
参加者は前述の86人(みせしめ除く)。追加参加は認められません。
特異能力を持つ参加者は、能力を制限されている場合があります。
参加者が原作のどの状態から参加したかは、最初に書いた人に委ねられます。
最初に書く人は、参加者の参戦時期をステータス表または作中に記載してください。

【能力制限】
参加者は特異能力を制限されることがある。疲労を伴うようになっている能力もある。
また特別強力な能力は使用禁止になっているものもあるので要確認。

【放送】
放送は12時間ごとの6時、18時に行われる。内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」
「過去12時間に死んだ参加者名」など。

【首輪と禁止エリア】
・参加者は全員、爆弾の仕込まれた首輪を取り付けられている。
・首輪の爆弾が起爆した場合、それを装着している参加者は確実に死ぬ。
・首輪は参加者のデータをジェダ送っており、後述の『ご褒美』の入手にも必要となる。
(何らかの方法で首輪を外した場合、データが送られないので『ご褒美』もない)
・首輪が爆発するのは、以下の4つ。
1:『禁止エリア』内に入ってから規定時間が過ぎたとき。
2:首輪を無理やり取り外そうとしたとき。
3:24時間で死者が出なかったとき。
4:ジェダが必要と判断したとき(面と向かって直接的な造反をした場合)。

>>4

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:34:45 ID:hbTNo7d9
〜ロリショタロワ・基本ルールその3〜
【ステータス表】
・作品の最後にその話に登場した参加者の状態、アイテム、行動指針など書いてください。
・以下、キャラクターの状態表テンプレ
【現在位置(座標/場所)/時間(○日目/深夜〜真夜中)】
【キャラクター名@作品名】
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(身に装備しているもの。武器防具等)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なもの。
     収納している装備等、基本的にランドセルの中身がここに書かれます)
[思考・状況]
(ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
 複数可、書くときは優先順位の高い順に)

◆例
【D-4/学校の校庭/1日目/真夜中】
【カツオ@サザエさん】
[状態]:側頭部打撲、全身に返り血。疲労
[装備]:各種包丁5本
[道具]:サイコソーダ@ポケットモンスター
[思考]
第一行動方針:逃げた藤木を追い、殺害する
第二行動方針:早く仲間の所に帰りたい
基本行動方針:「ご褒美」をもらって梨花の怪我を治す

【予約】
・キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
・期間は予約から72時間(3日)。期間終了後は、他の人が投下してもOKです。
・予約しなくても投下することはできますが、その際は他に予約している人がいないか
十分に確認してから投下しましょう。

【投下宣言】
・投下段階で被るのを防ぐため、投下する前には必ずスレで 「投下します」 と宣言を
して下さい。 投下前にリロードし、被っていないか確認を忘れずに。

【トリップ】
・投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
 本人確認のため、書き手は必ずトリップをつけてください。


7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:41:16 ID:qcXI9Mxb
>>1乙。

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:53:40 ID:Ds5uIjSz
>>1乙!
ラジオまであと数日……wktkが止まらないと同時に、
せめてそれまで何事もないことを祈りたい

9 : ◆NaLUIfYx.g :2007/04/26(木) 07:44:58 ID:ZdzrLfk8
>>1乙です!
昨日は不覚にもダウンしてしまって……
では朝ですがタバサ、蒼星石、イシドロ、白レンを投下したいと思います
前回同様携帯からなので遅いですorz

10 :Do you need a friend? ◆NaLUIfYx.g :2007/04/26(木) 07:47:21 ID:ZdzrLfk8
蒼星石に白レンの行動を否定する術、材料がなかった。
否定すべき内容がなければ、残された道は肯定だけ……のはず。
蒼星石がイシドロの夢の中にいる時間は、大体後10分程度である。
それ以上過ぎてしまうと、出口のない迷路に一生彷徨い続ける事になる。
つまり、ここで結論を出さなければならない。即ち彼女の仲間になるか、否か。
本来ならここはタバサと相談した方が良い。勝手に決めてしまってはマズい、と思う。しかし、蒼星石はその思考を消し去るように振り払った。
タバサは白レン達を敵と見なしている。蒼星石が戻ってきたら、きっと白レン達を襲撃しに行くだろう。その間に例え相談したとしても一蹴されるに違いない。
だから、相談は出来ない。出来るわけがない。
となると、ここで彼女らと仲間になるしか方法が浮かばなかった。
幸いな事に、白レンの方は仲間にならないか? とこちらに呼び掛けている。
蒼星石にとってそれは願ってもいない望み。
今の内に戦力を増加するのも悪くないし、何より戦わなくて済むのだ。
そんな平和的な解決案を潰す事は……蒼星石には出来ない。
それでも彼女――白レンを全て信じるのはちょっと難しい。イシドロを『仲間』にした時、その行動は彼を改心させる為に必要であったとしても――
ただただ怖い。
まだ全てが分かったわけではないが、それが第一印象、感想であった。
正直今も怖い、自分の手の内を全て見透かれているかのように……
それでも、それでもだ。
逃げるわけにはいかない。戦うわけにはいかない。蒼星石は今、出来る事だけをする。残り時間を精一杯使って、

「条件を出してもいいかな?」

僅かに全身が震える。自分が上の立場みたいな気分が、少し嫌だった。
あるいはは、相手に対して緊張したのかもしれない。それだけ蒼星石は、その言葉を発するのに勇気が必要だった。
しかし白レンは不快感など出さずに、先程と変わらない様子でそれを受け入れた。



11 :Do you need a friend? ◆NaLUIfYx.g :2007/04/26(木) 07:48:57 ID:ZdzrLfk8
「いいわよ、可能な限りなら、ね」
「彼がもう僕達を襲う事はないんだね?」

と視線をイシドロに向ける。
『仲間』にした、と言っても本当に大丈夫なのかは蒼星石にはわからない。
実際また襲う可能性もある。何はともあれ、本人の口から開く必要があった。
まさかここで自分の話題が出るとは思わなかったのか、どう返答すべきかイシドロは対応に困る。
そんなイシドロを見て代わりに、表情に再度微笑みを浮かべた白レンが答えた。

「えぇ、それは決してないわ。今ここで命令した方がいいかしら?」

と、語尾の口調が変わる。
イシドロ既に服従している。故に気にしなかったが、蒼星石は感じた。その口調は恐怖の一言。
絶対的なる上の立場、心臓を手に掴まれたかのような錯覚を覚えてしまう。強者にただ従う、命令をただ聞くかのように、イシドロは答える。
彼に歯向かう精神など残っていなかった。

「はい。白レン様の命令とあればこのイシドロ……何があっても彼らに危害を加えません」

命令ではなく、脅しに近い形に感じられるが、とりあえず蒼星石はイシドロ本人の口から聞けて安心した。
イシドロ自身は命令として従ったのだからこれから先問題はないはず。
まぁ『彼』にはちょっと納得出来ないが……
また、イシドロ本人も本心から出た言葉であった。
白レンにも蒼星石達、どちらにも敗北した彼に立ち向かう勇気などカケラもない。
敗北者は勝利者の手下となり、生かされているだけで十分であった。
故に、たとえ白レンが言わなくても後々首を縦に振っただろう。
『命令』という理由付けがされた分、マシな点はあったかもしれないが……
時間も後もう少しだけ、残る必要な条件も後一つ

「もう一つ、君も僕達を襲わない事」

何をどうやったかはわからない。しかし、仮に白レンが自分達を襲うのであれば、イシドロにやった行為であろう。
そうなったら自分達も今のイシドロみたいに、絶対服従になってしまう。それだけは防いでおきたい。
端から見れば仲間になるのに失礼な態度であるかもしれないが、ちょっとのミスが死亡というゲームに参加している以上仕方がない。
白レンは蒼星石が何を言ったのかよくわからず、目を丸くした。
が、すぐに意味を理解したのか突如クスクスと、これまたいつも通り同じように笑い出した。
この時蒼星石は気付く、苦手なタイプであると

「えぇ、それぐらいでよければお安い御用よ。仲間を襲う事なんてするわけないでしょ?」

確かに言った。そんな当たり前な事、という意味を込められたかのようにも聞こえた。
今の蒼星石に出来るのは戦闘を避けて、彼女らと手を組む事。
もちろん今言った言葉を全部信じきるわけにはいかない。
たとえ皆に非難されようとも、自分には出来ない。背中を預けるような真似は出来るだけ避けた方がいい。
しかし、これ以上の案が他にはなかった。
だからこれが最良だと思った。これが最善だと思った。
そこでようやく蒼星石は結論へと辿り着いた。




12 :Do you need a friend? ◆NaLUIfYx.g :2007/04/26(木) 07:50:35 ID:ZdzrLfk8
 *  *  *


パチっと目を開けて、最初に入り込んだのはタバサの顔。彼女の息が地肌にかかる程近かった。
かなりの時間が経ち、大丈夫かなと思った直後であったので、このような結果となる。
そのあまりの近さに小さい悲鳴をあげ、後退りながら距離をとった。
一瞬ともよべるその時間だけで、蒼星石は心臓がバクバク激しく動く。まだ頭が混乱してて正常に働かない。
一方のタバサは展開についていけず、頭に浮かぶ疑問をぶつける。

「ねぇ? 結局どうだったの?」

と、聞かれて蒼星石はもう一つやらなければならない事を思い出す。
白レン達との交渉は終わった。円満に、とまではいかないがますまずの成果だ。
しかし、それだけで終わりというわけではない。
彼女らを『敵』だと思ってるタバサを何とか言いくるめなければならない。
そうしなければ、無意味な戦いが生じてしまう。
蒼星石のもうひと頑張り、これさえ乗り越えれば……

「えと……もう大丈夫、戦わなくても大丈夫だから」

まずは結果を教える。一語一語言葉に出す度に不安が自分を支配していく。
これで大丈夫なのか? と思っても、もう遅い。反応を待つしかない。
タバサは蒼星石の言葉を理解出来なかった。
予想外の言葉に驚きを隠せないようである。当然のようにタバサにとって常識な質問をぶつけた。

「どうして? あいつらは敵なんだよ?」
「えっと……もう敵じゃないから戦わなくてもいいんだよ」
「何で敵じゃないの? ……ひょっとしてタバサもやられちゃったの……」

途端緊張が走る。タバサがバルデッシュを蒼星石に向けて構える。
白レンの術にかかってしまった。そういう考えをタバサは持っていると直感で感じる。
すぐに否定の言葉を口にしようとしたが、後一歩の所でそれを飲み込む。
否定の言葉だけじゃタバサの疑念は晴れない。
そうじゃなくてちゃんとしたわかりやすい説明をしなければならない。
それも時間をかけずに。
何か、何かないのかと蒼星石は考える。と、前にタバサが言った言葉を思い出す。

『モンスターはとにかく倒して、その後で仲間になりたそうなら話を聞けばよい』

その言葉は印象的だった。相手をモンスターとみなしても、仲間になれる方法。
さっきも浮かび上がった言葉、だがあの時とは違う。運よく今、この必要な瞬間に再び思い出す。
もうこれしか浮かばない。他に考える時間も余裕もない。
蒼星石は半ば祈るように、平然を装いしながら答えた。


13 :Do you need a friend? ◆NaLUIfYx.g :2007/04/26(木) 07:55:46 ID:ZdzrLfk8
「えと、僕がもう夢の中であの2人を倒しちゃって……そしたら仲間になって欲しいと頼み込んだのでつい了承しちゃって……ダメだったかな?」

ちょっとずつ不安げな様子を見せて、最後は悪い事をしてしまったような振る舞いをとる。
自分でも不思議と出来、これなら大丈夫だとなぜか自負できた。
一方のタバサも、初めて蒼星石の言葉を信じるべきか悩む素振りをとった。
それだけ説得力があるのだろうか? 蒼星石は少し悲しさが体から沸いた。
悩みながらもこちらから目を離さない。もちろん蒼星石も離さず、ただ苦笑いを浮かべる。
内面は違う。この重圧に押し潰れないようにするのがやっとだ。

「ホントに?」
「うん」
「そっか、蒼星石は悪くないよー。夢の中でもちゃんとモンスターと戦ったんだから」

と、バルデッシュの形態をスタンバイフォームへと解いた。
服装が戻ったタバサは蒼星石の方へと近寄り、頭を優しく撫でてくれる。
突然すぎて面食い、驚いたが、とりあえず敵意がない事を理解して安心する。

(多分……大丈夫。バリアジャケットもバルデッシュも解かれてる。あ、白レンに話を合わしてくれるよう頼まなきゃ……)
「でも凄いねっ。2匹も同時に倒しちゃうなんて!」
「え? あ……う、うん。まぁね」

タバサの疑う余地もないその瞳と発言に蒼星石は戸惑った。
蒼星石は少なからず嘘をついた。確かに仲間になってくれないか? と言われたが、もちろん倒してなんかいない。
もちろんこれは誰1人として蒼星石を責めるような内容ではない。
むしろタバサと白レン達を争わないようにする為の嘘。どちらかというと褒められるべきである。
しかし、それは客観的な概念。
たとえ許されるとしても嘘は嘘である。
タバサの信じきった様子に蒼星石は余計に罪悪感を感じる。
自分の影が覆い被るような奇妙な感覚。しかし、これで関係がこじるような事はないし、ましてや蒼星石が闇に染まる事はない。
それでも蒼星石はさらに不安を抱くようになった。
本当にタバサや白レンを仲間と見ていいのだろうか? 嘘までつく必要があるのだろうか?
その根源となる問題は未だ解決されない。
彼女の気持ちは吐き出される事なく、ただ1人抱え込み、白レン達の方へと向かった。




14 :Do you need a friend? ◆NaLUIfYx.g :2007/04/26(木) 07:57:17 ID:ZdzrLfk8
 *  *  *


「……ッ!?」
「おはよ、いい夢から覚めたかしら?」

イシドロの視界が開けた時、自分の主となった白レンが微笑みを浮かべていた。
エーテライトを解き永き夢からイシドロは現実へと連れ戻される。
その際、腹の痛みが消え去っていた。白レンがもう必要ないだろうとヴェルグ・アヴェスターを一緒に解除したのである。
イシドロは改めて白レンの方を向く。
主従関係となった相手、自分に有望なる将来、あるいは全てを授ける約束をしてくれた相手。
そんな相手を目の前に頭が高いと思ったのか、イシドロは慌てて片膝を地面につけてポーズをとる。
やった事はない。ただこうやってる人を見たから真似た、それだけの事である。
しかし、その素早い行動に白レンはイシドロの忠誠心の深さに改めて笑みをこぼす。

「フフ、そんなに堅くならなくていいわ。側近みたいな関係でいきましょ?」
「はいっ!」

と、一回お辞儀をしてから再び立ち上がる。
白レンはイシドロの一つ一つの行動に不満など一切なかった。少し指導させようと思ったが必要ない様子。
完璧に言う事を聞いてくれる。手足となり、いざという時の壁にもなるだろう。味方としては文句の付け所のない最高の関係である。
それは白レンにとってこの戦いに生き抜く為に必要不可欠な人材。
が、これだけでは終わらない。さらに嬉しい予想外が白レンへの方に転がってきたのだ。

「ねぇイシドロ。あなたを襲ったのは何人かしら?」
「2人です」

2人も仲間になる。実力は不明だが、イシドロの左腕を切断できる技量なら足を引っ張る事はない。
実を言うとこれは命をかけた場面でもあった。
今の白レンとイシドロの戦力だけではまだ安定と言えはしなかった。
2人で挑んでも勝てない敵が現れてもおかしくない。
そんな時、あの人形みたいな子が現れた。
まさかのタイミング、この場所――夢の中で出会うとは予想していなかった。しかし、それは幸運でもあった。
話す機会を与えて、尚且つ仲間になるように交渉出来たのだ。
一歩間違えれば今頃死んでいたかもしれない。
結果、あの子は受け入れてくれた。この状況に感謝以外の言葉が見つからない。
自分が襲わない事という条件を出されたが問題ない。
あの子はまだ半信半疑であろう。きっとこれから先、疑いが晴れるまで警戒を解かないはずだ。しかし、白レンに蒼星石達をイシドロのようにする気は、ほとんど言っていい程なかった。
さすがに警戒している2人相手同時に調教するのはリスクが高い。それなら、これから信頼関係を築き上げ、巨大な力を持つ人物と戦う。
まぁ、悪くはない。もちろん自分が死ぬ可能性を僅かでも下げるように立ち回るつもりだが……
とにかく、白レンは蒼星石達を襲うような真似はしない。
だからと言ってずっとではない。見極めは大事に、だ。
いつかは自分の為に死んで貰う。出来る限り自分の手で。

(だから頑張ってね、皆)

白い悪魔が、笑った。

15 :Do you need a friend? ◆NaLUIfYx.g :2007/04/26(木) 08:01:25 ID:ZdzrLfk8
【C-3/塔の前/1日目/真昼】
【白レン@MELTY BLOOD】
[状態]:腹部に大きなダメージ(休んでマシになってきた)、中度の疲労、体の所々に擦り傷
[装備]:エーテライト×3@MELTY BLOOD、ヴェルグ・アヴェスター@Fate/hollow ataraxia
[道具]:支給品一式、バイオリン@ローゼンメイデン
[服装]:いつもの白いドレス(洗ったばかりなので一部が少し湿っている。深い意味はない)
[思考]:情報交換をして、状況把握をしたい
基本行動方針:優勝して志貴を手に入れる。
第一行動方針:これからどうするかを決めたい
第二行動方針:戦闘において蒼星石とタバサを前衛にさせたい(自分は死なないように立ち回る)
第三行動方針:信頼関係を維持する為、蒼星石とタバサに危害を加えるつもりはない、出来る限り彼女らの方針に合わせる。
第四行動方針:できれば『ご褒美』で傷を治したい。
第五行動方針:なので状況や場合によっては、三人目をイシドロにする。
※以後、ヴェルグ・アヴェスターはイシドロに対しては使用不能です。

【イシドロ@ベルセルク】
[状態]:左腕の前腕部から先を喪失(乱暴にだが止血済み)。右頬にかすり傷。失血と疲労による消耗。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料の半分は上着の裏)、手榴弾×2
[思考]:白レンに従う
第一行動方針:白レンを護る。
第二行動方針:出来ればちゃんと腕を手当したい。
基本行動方針:白レンの騎士として栄光を掴む。
[備考]:白レンに徹底調教されました。ただし悪夢の部分は忘却しています。

【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:精神的に疲労。姉妹達への精神的な壁、タバサに対して隠しきれない恐れ、白レンを若干警戒
[装備]:戦輪@忍たま乱太郎×9
[道具]:支給品一式、ジッポ、板チョコ@DEATH NOTE、ころばし屋@ドラえもん、小銭入れ(10円玉×5、100円玉×3)
[思考]:タバサの態度が少し正しくも思えて、深く踏み込むのが恐い。姉妹たちには会いたい。けれど会わせる顔がない。白レンとタバサの考えが正しいかどうかは判らない。
第一行動方針:今後の動向を皆で決める
第二行動方針:タバサや白レンに協力する(ただし、タバサにはまだ迷いが生じ、白レンには極力隙を見せない)
第三行動方針:タバサの『夢』に入ってレックスと接触する。そのための準備をする。
基本行動方針:タバサに協力しつつ自分探し?
[備考]:戦輪の命中精度に不安はありますが、とりあえず投げれば飛びます。

【タバサ@ドラゴンクエスト5】
[状態]:爆風で小ダメージ、MP消費(小)、バリアジャケット解除(普段の服装に戻りました)
[装備]:バルディッシュ・アサルト@魔法少女リリカルなのは(カートリッジ残数5)
[道具]:支給品一式
[思考]:皆、よろしくね♪
第一行動方針:目の前の味方達と挨拶、及び仲良くなる
第二行動方針:自分と仲間の身は「何としても」守る。
第三行動方針:信頼できる仲間を捜す。
第四行動方針:塔の探索。難しいようならば出直す
基本行動方針:「どんな手段を使ってでも」レックスを捜し出し、仲間と共に脱出する。
[備考]:「ドラゴンクエスト5」内でタバサが覚える魔法は全て習得しています。
ミッドチルダ式魔法について、バルディッシュからある程度説明を受けました。
イシドロの左腕切断に対して罪悪感は一切ありません。
白レン達を味方と認識、疑っておりません。

16 :Do you need a friend? ◆NaLUIfYx.g :2007/04/26(木) 08:05:08 ID:ZdzrLfk8
投下完了ですっ
では指摘等がありましたらお願いします

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/26(木) 08:08:33 ID:+yPeOoyn
投下乙。
正式にチーム結成したか。
白レンも一応即裏切るつもりは無い割と穏便なチームと………………言えるわきゃないw
蒼星石がタバサを御しきれるかにチーム方針が掛かりそうでなんだか面白そうだ。

ていうか相変わらずタバサこわいよ

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/26(木) 09:38:58 ID:zvoYQy1e
投下乙。夢の中で倒して仲間にしたになぜか笑ったw
蒼星石超頑張れ。タバサの機嫌を損ねたらヤバイぞ。


19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/26(木) 17:09:55 ID:mRvaNsKL

ギャー、デンジャラスパーティー結成だー!!
蒼星石、ローゼン勢最期の一人としてがんば……無理だな。

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/26(木) 17:30:37 ID:UYP/gvql
蒼星石が人形なのが唯一の救いだな

生身だったら過労とストレスでもうとっくに胃に穴が開いてるw

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/26(木) 22:13:36 ID:o5mLlVoj
◆uOOKVmx.oM氏の予約、確か今日までだったよな。
……今からWktk

22 : ◆RW6PC/GPu. :2007/04/27(金) 00:00:10 ID:Fd17IFXu
どうもこんばんわ。あえてこっちのトリップででてくることにします。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが現在「パロロワ企画スレ巡回ラジオツアー」をやってまして。
4/29の21:00からここでラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

実況スレとラジオのアドレスは当日に持ってこようと思います。

23 :R-0109 ◆eVB8arcato :2007/04/27(金) 00:00:57 ID:Fd17IFXu
念のため交流所のほうのトリでも。
一応交流所をご存知ない方のために。
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1177408737/

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/27(金) 00:04:52 ID:5UJulXhv
ついに来た……!
今までも何回か聴いていたけど書き込みはあまりしてなかったなー。
今回は最初から書きまくるぞ。

25 : ◆uOOKVmx.oM :2007/04/27(金) 00:30:51 ID:BxX5p24q
ごめんなさい。間に合いませんでしたので、予約を破棄します。
キャラを拘束して申しわけありませんでした

ラジオまでには動かせるといいなと思い、頑張って書いていますが
他に書きたい人がいましたら遠慮なく予約してください

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/27(金) 00:48:38 ID:Uqf7tj8d
>>25
がんばれ

27 : ◆bmPu6a1eDk :2007/04/27(金) 14:18:24 ID:mMZnHwE+
やっと私生活が落ち着いた……
はやて、トマ、アリサ、みか先生を予約します。

28 : ◆NaLUIfYx.g :2007/04/27(金) 14:56:46 ID:o9QDHnn1
生活安定してきたし日曜ラジオだから頑張って祭りにしよう!
シャナ、小太郎、グレーテル、紫穂、双葉予約します

29 : ◆ou3klRWvAg :2007/04/27(金) 19:41:57 ID:e8BRE4HD
光子郎、フェイト、ブルー、イヴ、ミミを予約します。

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/27(金) 20:04:41 ID:d1sS9ZZV
ナンダコノヨヤクラッシュハ。

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/27(金) 21:30:48 ID:E+dOhOgC
悠長に練っていたら乗り損ねたぜorz

32 : ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 12:50:45 ID:VmnTQJvX
遅くなりましたが、ニア、キルア、太一、それからカツオを投下します

33 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 12:51:53 ID:VmnTQJvX
 カッ……カッ……カッ……ヒュン…………カッ……カッ……カッ……ヒュン…………

 昼時、大通りに面したレストラン。
本来ならば腹を減らせた客を黙らせるために戦場となっている厨房は静寂に包まれ、
ただ小さく時を刻むような規則正しい音だけが零れていた。
飾り気のないコンクリート壁が取り囲み、天井をダクトが蛇のように這い回っている。
周囲には無数のオーブンコンロにバーナー、フライヤー、大鍋、フライパン。
数え上げればきりがないが、どれも料理人という名の戦士に相応しく磨き上げられ、
調理の炎が巻き起こるのを心待ちにしているかのようだ。
 そんな手入れの行き届いた調理台の上。あろう事かキルアは土足のまま座り込み、
数本のナイフをダーツのようにコンクリートの壁へと投げつけていた。
 純銀製のナイフは考え事をする彼の手と壁を一定のリズムを刻むかのように往復し、
仲間外れにされたフォークとスプーンが恨めしそうに見上げている。
その一転の曇りもなく磨き上げられたスプーンに映るキルアの顔は、歪んで見えた。

 追い詰めたつもりが、まんまと罠に誘い込まれていたなんて笑い話にもなりはしない。
幸いにして展望台で吸ったガスは致死性ではなかった。
幸い――そう、自分達がまだ生きているのは運が良かっただけに過ぎない。
ガスは流し場で水を被り洗い流したが、頭の隅にこびり付いた敗北感は拭えなかった。
(どうする、もう一度展望台へ攻め込むか? だけど……)
 相手が展望台に逃げ込んですぐにガスを準備したとは思えない。
あそこに仲間が控えているとすれば、その理由はなんだ?
目立つ上に逃げ場がないように見せて、自分のような間抜けを誘っているのだろうか。
あの高さならば周囲を監視することも容易だっただろう。
どちらにせよ先程の状況では、相手の方が一枚上手だった。そう認めざる得ない。

 攻め返すならどうする?
逃走時のように死角を移動するのは当然として、ザッと思いつくルートは四つ。
一、馬鹿正直にエレベータで上がる。平和的に交渉すると見せかければいい。
だが室内でガスを使うような相手に話し合いの余地があるかは疑問だ。
ニ、エレベーターの天井からワイヤーを昇る。奇襲としては有効だらろう。
しかし再びガスを使われたら、今度こそ命取りだ。
三、外部の非常階段を昇る。タワーの裏側にある鉄骨と鉄板で汲まれた長い非常階段。
当然ながら展望台から丸見えで、奇襲にはならないだろう。
四、タワーの外壁部をよじ登る。目算では展望台まで百メートル弱。
ワイヤーと同じく、昇る手間は掛かるが苦労するほどではない。

34 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 12:53:40 ID:VmnTQJvX
 カッ……カッ……カッ……ヒュン…………カッ……カッ……カッ……ヒュン…………

(外から昇るのが一番マシか。逆側で太一に気を引いてもらえば……いや、でも) 
 首輪探知機を持つ太一なら誰かがエレベーターで降りて来ても、容易に逃げられる。
しかし太一を一人残して危険に晒すわけにもいかない。
展望台にいる相手の力も未知数、罠を張る奴が戦えないと決め付けるのは早計だ。
こちらが相手を認識したと同じように、相手もこちらを認識しているのだから、
ただ手をこまねいて待っているとは思えない。
 では展望台は無視して別の所を探しに行くか。分かっている罠に飛び込む必要はない。
もっとも有効な手段だと思う。だが危険人物を放置するわけにもいかない。
別の誰か、ゴンや太一の友人が毒牙に掛からないとは言い切れず、無視できない。
『だが』とか『しかし』ばかりの否定的な考えばかりが頭の中でループしている。

 カッ……カッ……キン……ヒュン………………

 投げたナイフの一本が的を僅かに反れ、軽い金属音を奏でた。三本ずつ投げていた
ナイフは二本が互いに激突して床に落ち、手元に戻ってきたのは一本きり。
 何か重要な事を失念しているような気がしてモヤモヤする。
出会い頭に一杯食わされた事が、彼に冷静さを欠かせていたのかも知れない。
必要以上に相手を警戒し、逃げ腰になってしまう。
(ちっ、こんなだからビスケに『見切りが早い』とか言われちまうんだ)

「ぁー、やっと頭ン中スッキリした!」
「ちゃんとガスは抜けたか? ほら、頭を拭いとけよ」
 キルアは床に落ちたナイフを壁に残したまま、その近くあったタオルを支給品で
引き寄せると、流し場から顔を太一に向かって放り投げた。
 意識を失った太一はガスが抜く為に頭から水を掛けられ、顔を洗わされていたのだ。
「それってブーメランだろ。意外と便利そうだな」
「ちぇ……皮肉のつもりかよ」
 キルアがボヤいた。支給品の充実した太一に比べて、キルアはブーメランが一つだけ。
食器棚から掻き集めたナイフや包丁の方がよっぽど役に立つ。
さっきまで心底そう思っていたが、暇潰しに投げてみると意外なほど使い勝手がよかった。
本来は弧を描くように飛ぶ投擲武器なのだが、このブーメランはそれだけではない。
念でも篭っているのか、視界内ならば狭い室内でも狙った所へ正確に飛んでいく。
そして正確に手元へ返ってくる。例えキルアが動いていたとしても必ず戻ってくるのだ。
ついでに軌道上にある小物を引き寄せる不思議な力も合わせ持っている。
例えば壁に刺さったナイフを手元に戻したり、タオルを取ったりと応用範囲は広そうだ。
仕組みは分からないが、念能力と同じく物理法則を無視していることは理解できた。
それと同時に、支給品を持つ全員が念能力者並に警戒が必要であることもだ。

35 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 12:55:01 ID:VmnTQJvX

「はは、ごめんごめん。ここまで担いでくれたんだろ? ありがとな」
「いや、あれは俺の判断ミスだ。だから謝るのは俺の方だ。ごめんな」
 濡れた頭をタオルで拭きながら太一が頭を下げると、キルアも軽く頭を下げた。
そして二人でクスリと笑った。生きているからこそ笑える。

「ほらこれ。お前が頭を冷やしている間に色々と『使えそうな物』を探しといたぜ」
 そういうとキルアは調理台に店から無断で拝借した戦利品を広げた。
自分の支給品が少なかったからでもあったが、現地調達は基本中の基本というだけだ。
銀食器1ダース、包丁二本、フライパン、中華鍋、殺虫剤、油、着火用ライター、
テーブルクロス、タオルに着替え用の調理服、食料品などなど。

「フライパンとかはともかく、殺虫剤なんて何に使うんだよ。今の仕返しか?」
 太一が笑って口を尖らせた。彼の支給品の一つはコンチュー丹という丸薬だった。
飲めば数分の間、昆虫の凄い力を発揮できるのだが、虫取り網や殺虫剤に弱くなるのだ。
ガスを吸った時にこれを飲んでいたら煙に炙られた虫のように引っ繰り返っていただろう。
テントモンみたいな姿に変身したら格好悪いな、と躊躇したのが幸いした。
 ついでにだが三つ目の支給品は水陸両用のバギーカー。
音声入力で内臓コンピューターが運転してくれる便利な代物らしいのだが、
狭い路地裏や室内では宝の持ち腐れ。しかも音が大きくて目立ちすぎるので状況を選ぶ。
それでもブーメランだけだったキルアに対して充実しているし、なにより銃や刃物を
手にするより太一は安心していた。みんなと一緒にバギーに乗れるといいなと。

「殺虫剤はこう使うんだよ」
 悪戯っぽく笑ってキルアに太一が首を捻る。
次の瞬間、ライターをかざしてスプレーすると大きな炎が巻き起こった。
簡易的な火炎放射器として有名な組み合わせだ。良い子は絶対に真似すんなよ。
「ほら、これはお前の分」
 布で包んだ包丁とフライパン、殺虫剤スプレー、着火用ライターなどを太一へと渡す。
キルアは比較的扱い易い物を選んだつもりだったが、太一は強い拒絶を示した。
「包丁なんてどうすんだよ。危ないだろ」
「……今の状況を分かってんのか?」
「分かってるけど……やっぱり包丁は人に向けるもんじゃない」
「OK。じゃあ人に向けなくて良いから。ロープとか切る時とかにも必要になるだろ」
「まあ、そういう事なら持っとくけどさ」
 身を守る力は必要かもしれないけど、刃物で相手を傷つけるのは何かが違う気がする。
そう思いながらも太一は渋々と包丁をランドセルへ仕舞い込んだ。


36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 12:55:13 ID:/VOPi+DV


37 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 12:56:09 ID:VmnTQJvX

「ところで水を被っている間に思ったんだけど、水を止めるにはどうすれば良いと思う?」
「栓を閉めれば良いだけだろ。そんなことより今は展望台の方をどうするかで……」 
 攻めるか退くか、キルアはまだ迷っていた。
太一が退くと言えば、すぐにでも退きたいくらいに展望台の主を警戒していた。
それはキルアが臆病というわけではなく、幼いころからの教育と兄の影響だ。
「そう、それさ、展望台。それのことで、ちょっと思いついたんだよ」
「?」
 悪戯っぽく笑う太一に今度はキルアが首を捻った。

○   ○   ○

 明神弥彦が展望室を出て数十分。
一人取り残されたニアは双眼鏡でタワーの周囲を見回しながら、展望室から逃げ遂せた
二人の少年の事を考え、片手はしきりにアクション仮面人形を弄っていた。
こうして警戒していても姿が見えないのは、弥彦と会話していた間に遠くへ逃げたか、
あるいは監視を察して死角を移動しているのか。恐らくは後者だろう。
 逃げられてしまったこと自体は別にいい。誤算だといえるが、修正の行く範囲だ。
問題は彼らが自分達を完全に敵として認識したであろうこと。
彼らが誰かと好意的な接触をすれば、必ず自分達の事を敵意を持って伝えられるだろう。

(できれば無用な誤解を生む前に、話し合い『強力』をお願いしたいのですが……)
 人間には先入観というものがある。
矛盾する二つの情報がある時、先に得た情報の方が真実だと思いがちだ。
あまりに少ない情報で想像力を働かせても、ろくな事にならないというのに
それを理解できない人間は大勢いるのだ。
そう、今恐れねばならないのは二人のを敵に回したことではなく、彼らから広がる誤解、
疑心暗鬼の渦に巻き込まれることだ。
今の弥彦に接触されてもいらぬ誤解を生んでしまうだろう。
それに比べれば「決着をつけよう」と仕返しにこられた方が遥かに対処しやすい。

(いきなり乗り込まれたら少し困りますけどね)
 もう一度少年達がここへ来てガスを吸い、素直に話を聞いて仲間になってくれる。
流石に子供向けの番組でもありえない。考えている自分が情けなくなるほどに間抜けだ。
おそらく次に来る時は、十分過ぎるほどに対処法を用意してくるに違いない。
だから安全に話し合いをするには、少しでも直接的な接触を減らさねばならないだろう。

(そういえば、ここには内線もいくつかありますし)
 例えばエレベーターを上階に固定して侵入方法を断ち、下階の内線で連絡を取るように
放送で伝えるなど、直接顔を合わせずに意思疎通が取れれば、万々歳だ。
弥彦にも使い方を教えておくべきだったか。

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 12:56:45 ID:/VOPi+DV


39 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 12:57:24 ID:VmnTQJvX
(ん、あれは?)
 外に向ける視界の端に一人の少年が映った。初めて見る眼鏡をかけた茶色の髪に少年。
彼は建物の影に隠れて周囲を伺っているつもりなのだろうが、こそこそとした動きは
遥か上方から見降ろすと逆に目立って見える。
少年はタワーの方向に注意を払っている割には、展望台への警戒心は薄いようだ。
そうなれば答えは一つ、展望室から死角となっている下階の何かを見ているのだ。
(弥彦君が帰ってきたのでしょうか。彼が尾行されるのは想定の範囲内ですが……)
 安易な決め付けは禁物だ。あの二人組の少年達や全く違う第三者の可能性もある。
どちらにせよエレベーターに何らかの反応があるだろうと視線を移した時、
階数表示のランプは、展望室を照らしていた照明と共に消えた。

○   ○   ○

(あの二人がまたタワーに入っていくなんて……ちぇ、マズイ事になったな)
 磯野カツオはビルとビルの間にある路地から、再びタワーに入って行く二人の少年を
遠巻きに見かけて舌打ちをする。彼は自分の失敗を改めて突きつけられたのだ。

 一時間ほど前、その二人組の少年に追われてタワーに逃げ込んだ明神を見ている。
そしてその後で冷静に死体を調査しに戻った無傷の明神の姿もだ。
 タワーに入ってしまったら逃げ場はないはずだから、追いかけた二人と何らかの接触は
しているだろう。またタワーから出て来るところは見ていないが、彼らも怪我は負って
いないようだから戦闘にはならなかったと推測できる。
さっきの落ち着いた明神の態度を考えれば、二人から逃げ回っているのでもないだろう。
つまり明神と二人組は手を組んだ、もしくは和解したとしか考えられない。
そう考えるとタワーに再び二人組みが入っていくのは、単独で死体漁りしていた明神と
待ち合わせる為ではないだろうか。
 こんな事ならドンドン市街地を外れていく明神の追跡を諦めるんじゃなかった。
彼一人ならば何とでも言いくるめられただろうに。

(今から何食わぬ顔で出て行くって手もあるけど……)
 ミスを誤魔化すなら早い方が良い。
悪い点のテストも早目に見せれば小言だけで済むが、下手に隠してからバレれば
大きなカミナリが落ちる。さて、どうしようか――


40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 12:57:30 ID:/VOPi+DV


41 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 12:58:10 ID:VmnTQJvX
○    ○    ○

 誰が下にいるにせよ、展望室に人がいると考えて電源を落としたのだろう。
そうなれば次の手段は奇襲か強襲と予想できる。
警察でも軍隊でも、夜間の強行突入前には電源を落とすのは基本中の基本。
虚を突いて視界を制限し、少しでも戦況を有利に運ぶ為だ。
太陽は真上にあるのだから視界を奪うのが目的ではない。
奪われたのは足だ。ここに一台、下階に一台。展望室の出入口と言えるエレベーターは、
動く活力を奪われ単なる殺風景な独房へと姿を変えてしまっている。
(これで降りることは出来ない。しかし上ることも出来ないはず。ハッ!?)
 一瞬だけ、心臓が鼓動が大きくなる。
周囲が明るくて気付かなかったが、停電の中でも光を発しているものがあった。
通路の天井と足元にある緑色のボックス、人が歩くようなマークと矢印が描かれている。

『非常口→』

 非常用兼作業用の無骨な外階段だ。昇降手段は室内だけとは限らない。
外から悟られぬよう慎重に、そして素早く双眼鏡で上から下まで非常階段を観察する。
何度も確認しても人影はなく、ニアはホッと安堵の息を吐いた。
(安堵? 私は安心などしません。事実を確認しただけですから)
 外の階段でなければ、残るはエレベーターシャフト内のワイヤーを登るくらいか。
メタモンの例がある以上、ハリウッド映画のような展開もないとは言い切れない。

(あくまで可能性は可能性です。スパイダーマンでもあるまいし……)
 ニアが一階に降りている方のエレベーターの扉を横に引くと、電源の通わない
重そうな扉は左右にスッと開いた。どうやらここは手入れが行き届いているようだ。
 百メートル近いガラン胴のシャフト内は暗く、完全には下まで確認はできない。
だが微動だにしないワイヤーを見る限り、スパイダーマンは不在だったらしい。
もし勇敢にも昇って来ていても、眠り火に火をつけて放り込みガスを充満させるだけで、
蚊取り線香を吸った蜘蛛のように落ちるだろう。スパイダーマンに殺虫剤は有効か否か、
興味深い実験は残念ながら次の機会に持ち越しのようだ。

42 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 12:58:41 ID:VmnTQJvX
(逆にメタちゃんをワイヤーに変えれば、ここから降りれますね……いやいやバカな)
 一瞬だけ自分と無敵のヒーローを重ねるような想像をしたが、直ぐに思い直す。
メタちゃんが百メートルものワイヤーに「へんしん」出来るかどうか、
下に降りるまで人間一人を支えていられるかどうか疑問の余地が残る。
別に高い所が怖いわけではない、断じて違う。必要の無い危険は冒したくないだけだ。

 もう一度下を覗いてみると、どこまでも続く吸い込まれるような暗闇がパックリと口を
開けていた。体を支える両手にジットリとした汗が滲んでいくのが自分でも分かる。
前言撤回。恐怖することは人間として何も恥ずかしいことではない。
暗闇や高所、炎などに恐怖することは極めて普通のことであり、それを如何に理性的に
受け止め、どう対処・克服するかが凡人と天才やヒーローの違いであり――

 ビュウゥゥゥ――!
「――あ!?」

 一陣の突風。高いところは常に強い風が吹いている。展望室の外も例外ではない。
弥彦がガスを抜く為に開けた窓の穴から、強い風が吹き込んだのだ。
気圧差で水が流れるように上から下へ、展望室内の空気はエレベーターシャフトへと
大挙して飛び込む風たちに驚いた拍子に手が滑り――

 ヒーローは宙に舞った。

 マンガやアニメじゃあるまいし、空なんて飛べるわけがない。
地上まで百メートル弱、十秒にも満たない自由落下による無重力世界。
それすら堪能することも出来ずに彼は、風というファンに揉みくちゃにされつつ、
途中の壁に身を削るようなサインをプレゼントしながら降りていった。そして――

 鉄板に何かがぶつかったような小さな音がシャフト内に響いたが、直ぐに風達の喧騒が
掻き消してしまい、それは誰の耳にも届くことはなかった。
スパイダーマンは摩天楼からの落下しても大丈夫だった。
スーパーマンも無事だった。バットマンは無事じゃなかった。
はたして彼は無事だろうか。

 暗いシャフトの底を見つめるながら、ニアの首はガクリと力無くうな垂れた。

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 12:58:49 ID:/VOPi+DV


44 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 12:59:50 ID:VmnTQJvX
○    ○    ○

「よし、これで電源は止まった。グッドアイデアだぜ太一!」
「まーな。電気がなかったらエレベーターも電車も動かないしな」
 得意げに胸を張る太一にキルアが感心したような声を挙げた。
彼の手にした頑丈そうなレバーの根元には『主電源 OFF』と大きく書かれている。
 太一の発案は単純なものだった。
水を止めたければ水道栓を閉める、だからエレベーターを止めたいなら電源を切れば良い。
展望台はタワーの上階にあるが、水も電気も下から上に送っているのは明白だからだ。

 ここはタワーの一階、管理室と書かれたプレートの部屋。
壁のように大きな操作盤には色々なスイッチが数え切れないほど付いていた。
まるで古いスパイ映画に出てくる秘密基地を連想させるような機械設備だ。
どのスイッチを操作するとどうなるか細かいことは分からないが、目当てのスイッチは
直ぐに見つかった。主電源の大きなON・OFFスイッチは当然のように目立つ。

「残された逃げ道は丸見えな階段だけ。俺達の勝ちだな」
「一応、最初は話し合いでいこうぜ。みんなの事も上から見ているかも知れないし」
「分かってるさ。さて内線でオロオロしている奴に、脅迫電話でも掛けてやるか」
 キルアが嬉々として内線の受話器を手に取り、展望台の呼び出しボタンを押した。
内線を始め電話は停電時でも非常用電源で使用できるのが普通だ。
その顔はいつも通り冷静に見えるが『今度はこっちが出し抜いてやった』という感情が
太一の目にも見て取れる。
「やっぱ、すぐには応答しないか。そうだ太一、苦し紛れにエレベーターのワイヤーを
降りて来るかもしれないから、探知機でチェックしておいてくれ」
 呼び出し音の鳴り続ける受話器を首に挟んだままキルアが声を上げた。
自分が展望台にいたら降りることも考えるだろう。出来る用心はしておいた方が良い。
「ワイヤーを降りてくるって、どこのスパイ映画だよ。ってあれ?」
「なんだ? まさか本当に降りてきてるのか?」
「違う、向こうの方。一瞬だけど探知機ギリギリのところで反応が二つあったんだ」
 そう言って太一は商店街の方向を指差した。

 電源を落とす前、制御盤に設置された監視モニターには展望台も映し出されていたが、
残念ながら誰も写ってはいなかった。展望台の主はカメラの死角を選んでいるのだろう。
二人の方も展望台から死角になる建物の影を移動してきたのだから、容易に想像できた。
そしてモニターの隅に写る『割れたガラス』から、展望台に誰かいることも想像できた。
だから相手は死角に隠れている、又はタワー内部で待ち伏せしていると思ってしまった。
タワー内に気を配るあまり、遠くから目撃されている事は想像の範疇外だったらしい。

「出し抜かれたのは……俺達の方かよ!」
 相手は展望台に引き篭るばかりとは限らない。そんな簡単な事を見失っていたなんて。
キルアを嘲笑うかのように耳元で呼び出し音だけが響いていた。

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 13:00:43 ID:/VOPi+DV


46 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 13:01:03 ID:VmnTQJvX
○    ○   ○

(何事にも気を抜かず、冷静に状況を判断し、恐怖を克服する。
それがヒーローであるアナタが残したメッセージだというのなら、感謝します)

 ニアは突風に飛び乗って虚空へ消えたアクション仮面に、彼にしては珍しく礼を述べた。
一瞬の恐怖や油断は様々なものを奪う、それをあのヒーローは再認識させてくれたのだ。
これを感謝せずにして何に感謝しろというのだ。失敗からは何かを学ばねばならない。
そうでなければ、うっかり人形を落としてしまった自分が道化ではないか。
割りと気に入っていたのに。落胆にうな垂れた姿勢を正し、彼は改めて現実と立ち向かう。

 停電でエレベーターは動かず、移動には外から丸見えな非常階段しかない。
放送機材が使えず、下階の人物や弥彦と連絡も取れない。
だからどうした。そんな危険は承知でここに留まったのではないのか。
この程度の事で冷静さを欠くようでLを超えたなどと誰が認めてくれよう。

(そうです。停電において、気がかりなのは一つだけ)

 展望室は停電で放送機材が使用できなくなっている。
これが原因で18時の放送が聞けない事になれば圧倒的なマイナスだ。
目立つランドマークなだけに侵入禁止エリアに指定されでもしたら目も当てられない。
動かないエレベーターでは禁止時間までに移動できるかもままなら無いからだ。

(仕方がありません。予定よりも若干早いですが、一度動く必要があるようですね)

 タイムリミットは18時。放送までに電源を復旧するか、別の場所に移動するか。
弥彦との合流、そして下階の人物への対処も必要になってくるだろう。
問題はドンドン山済みになってゆく。だがそれがいい。
適度な緊張感は神経を研ぎ澄まさせ、人を新たなステップへと成長させる。
問題を一つ解決するたびに、打倒ジェダへと一歩ずつ近づく事ができる。

 トォルルルル…………トォルルルル…………トォルルルル…………

 彼の前途を祝う鐘のように、内線の呼び出し音が展望室に響いている。
 
【アクション仮面人形@クレヨンしんちゃん 破損確認】

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 13:02:24 ID:/VOPi+DV


48 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 13:03:02 ID:VmnTQJvX
【B-7/タワー内1F管理室/1日目/真昼】
【キルア@HUNTER×HUNTER】
[状態]:健康
[装備]:ブーメラン@ゼルダの伝説、純銀製のナイフ(12本)、
[道具]:基本支給品、調理用白衣、テーブルクロス、包丁、食用油、
[思考]:嘘だろ……また一杯食わされたか?
第一行動方針:展望室にいるはずの人物とコンタクトを取る
第二行動方針:探知機の見つけた相手を警戒する
第三行動方針:ゴンを探す
第四行動方針:太一に協力し、丈、光四郎、ミミを探す
基本行動方針:ゲームには乗らないが、襲ってくる馬鹿は容赦なく殺す

【八神太一@デジモンアドベンチャー】
[状態]:健康、
[装備]:フライパン
[道具]:基本支給品 首輪探知機、包丁、殺虫剤スプレー、着火用ライター、調理用白衣
水中バギー@ドラえもん、コンチュー丹(10粒)@ドラえもん、調味料各種(胡椒等)
[思考]:今、二つも反応があったけど……
第一行動方針:探知機が反応した相手を警戒、可能ならばコンタクトを取る
第二行動方針:展望室にいるはずの人物とコンタクトを取る
第三行動方針:丈、光四郎、ミミを探す
第四行動方針:キルアに協力し、ゴンを探す
基本行動方針:丈、光四郎、ミミを探した後、この場からの脱出方法を考える
備考:首輪探知機が捕らえた反応はカツオの首輪二つです。
展望室は高所にあるため、下からでは首輪探知機の範囲外です。

【B-7/人目につかない建物の間/1日目/真昼】
【磯野カツオ@サザエさん】
[状態]:少し疲労、高揚感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、天体望遠鏡@ネギま!、禁止エリア指定装置、首輪(しんのすけ)
[服装]:オレンジ色のシャツ、紺色の短パン、中島風伊達眼鏡、茶髪のカツラ(イメージは夜神月@デスノート)
[思考]:タワーの方が気になるなあ。どうしようかな?
第一行動方針:キルアたちと合流するかどうか考え中
第二行動方針:キルアと太一の動向には気を配る(特にキルア)
第三行動方針:臨機応変に動き、状況の変化に惑わされない
第四行動方針:首輪を調べてみる。または交渉に利用する
基本行動方針:優勝する

49 :放送中止? ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 13:04:53 ID:VmnTQJvX
【B-7/タワー内展望室/1日目/真昼】
【ニア@DEATH NOTE】
[状態]:健康、冷静、人形を亡くしてちょっと落胆
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、モンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL、
 眠り火×9@落第忍者乱太郎、タワー内放送用マイク
[思考]:さて、どうしますか
第一行動方針:とりあえず内線に対応し、停電の復旧もしくは移動を試みる。
第二行動方針:弥彦が首輪を持ってくるのを待って、解析作業
第三行動方針:展望室から見える部分の警戒&逃げた2人(太一とキルア)の警戒(双眼鏡である程度の特徴は掴んでいます)
第四行動方針:メロまたは、ジェダの能力を探る上で有用な人物と接触したい
基本行動方針:自分では動かず、タワーを訪れる参加者と接触して情報や協力者を集める
最終行動方針:殺人ゲームを阻止する
[備考]:盗聴器、監視カメラ等、何らかの監視措置がとられていると考えています。
そのため、対ジェダの戦略や首輪の解析に関する会話は、筆談で交わすよう心掛けています。
ジェダを時間移動能力者でないかと推測しました。
カツオがタワーの様子を伺っている事を知っています。
タワー内は非常灯や電話を覗いて停電しています。

【アイテム紹介】
【ブーメラン@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
 狙った所へ正確に飛ばせて、何かに当たっても必ず戻ってくる魔法のブーメラン。
相手に当てるとその部分を痺れさせて動きを止めるとができる。
軌道上にある小物を捕らえて手元に引き寄せる力も持っている。
弧を描く軌道以外にも直線的な投げ方も可能。

 【コンチュー丹@ドラえもん】
 食べると昆虫の力を得ることのできる小さな丸薬。10粒入り。
蝶のような身軽さ、蜂のように素早い動き、蟻のような怪力、カブトムシのような
硬い体などが身につく。ただし昆虫の弱点も同時に身についてしまう。
本来は効果が出るまで丸一日も掛かるが、これは飲めば直ぐに効果を発揮する即効性。
その代わりに効果時間は15分と短い。

【水中バギー】
水陸両用のバギーカー。水中用エンジンで陸上と水中を自在に走行できる。
中古品なのか内臓コンピューターによる音声ナビや自律走行は機能しない。
運転席もしくは助手席に座っていれば、音声入力で運転することが可能な便利設計。
本来の最高時速は800キロメートル以上なのだが制限されていると思われる。
陸上ではエンジン音が大きくて目立つようだ。

50 : ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 13:06:25 ID:VmnTQJvX
ニア、キルア、太一、カツオを投下完了しました。投下支援感謝します 

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 13:12:27 ID:/VOPi+DV
投下乙です。
キルアと太一のやり取りが少年同士らしくて微笑ましかった。
こちらでは普通に太一が役に立っているのを見るとなんともいえない感慨が……。
途中、ニアが墜落したかと緊張し、支援の手が遅れてしまいました……なんという上手いミスリード。GJ!

そしてとうとう出た乗り物の活躍に期待。

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 16:46:24 ID:apJxm3bj
GJ! 見事なミスリードにまんまと騙されたぜ。
この面子だとカツオは一歩も二歩も及ばないな。
隠れているつもりなのに全員に所在がばれているとかw
さて、アクション仮面追悼に……って、もう死者スレに逝っているぅ――!?

53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 20:10:30 ID:0n++bBbI
「気持ちよく騙される」とはこのことか。
そしてアクション仮面はヒーローの鏡だ。
GJ!

>>37の『強力』は『協力』ですか?

54 : ◆uOOKVmx.oM :2007/04/28(土) 21:12:35 ID:i2bWbf3x
>>53
その通りです。
括弧して強調しておきながら誤字とは恥ずかしいorz

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 22:54:30 ID:em5WGMB0
>>54
気持ちよくだまされた。

さて、ヒーローの葬式に行くか。

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 19:20:45 ID:h/RoHuW0
なんか誰もいないな
今日はせっかく画鋲ラジオが来るっていうのに……

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 19:57:01 ID:TafluoyQ
予約取れた人達の投下と画鋲ラジオを楽しみにしながら、のんびりしてる。

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 20:42:20 ID:P66JAMT1
予約していなかったけどラジオまでに投下しようとSS書いていた俺参上。
5割しか書けなかったがorz
こんなことならラジオを盛り上げるネタでも考えていれば良かったぜ。

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 20:47:32 ID:FLLn/Qh8
じゃあ>>58の代わりにといってはなんだけど、ネタでも振ろうかな。


やあ(´・ω・`)
帰ってきたアイテムまとめおじさんだよ。
古本屋でゲットしたりした分とかのアイテム画像をいろいろ追加したよ。
>>33の分は追加できなかったけど許してほしい。

ttp://up.spawn.jp/file/up17914.jpg
ttp://up.spawn.jp/file/up17916.jpg

特にドラクエXの攻略本があったのは幸運だったね。
ビアンカのエッチな下着イラストで思う存分ハァハァさせてもらったよ。

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 20:51:04 ID:TafluoyQ
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/clip/img/106.gif

それに乗じて最新マップも張っておこう。
更新にはまだ早いからうぃきには載せないけど現状最新マップ。
(うぃきの最新マップは117話まで、これはそれ+このスレの最新話二つ(125話)でこの状態)

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 20:53:55 ID:qESTz7pQ
>>58
同じく今日投下しようと頑張ったがまだ5、6割orz
こういう時急用はきついぜ

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 20:57:34 ID:7KiqR2sX
>>59
いえーい! アイテムおじさん最高ーっ!
前のは見れなかったので、再まとめは嬉しい限り。
マジカルアンバーミサイルに吹いたw

EROな話を投下しようと思ったが、完成度4割5分orz
ラジオ聞きながらがんばるよ……

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 20:57:48 ID:TafluoyQ
>>59
マジカルアンバーミサイル正しいけどちげえええええええええ!?w
2枚目の方はそれほど変わりなく……なく…………モザイクに吹いた。
なんてデンジャラスな。

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 20:58:39 ID:/b9Tm8D7
>>59
便座カバーw

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:00:39 ID:P66JAMT1
>>59
ちょ、イリヤの表情前と違わないっすか?w
黒くなってるよ!
>>60
乙! この地図見るとやる気が出るぜ。

66 :R-0109 ◆eVB8arcato :2007/04/29(日) 21:07:47 ID:JRLK/b4H
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1177848343/
http://121.112.181.25:8000/

ラジオ開始です。

67 : ◆NaLUIfYx.g :2007/04/30(月) 22:43:25 ID:LyT3H5fy
どうにも終わりそうもない……
すみませんが予約延長をお願いしてもよろしいでしょうか?orz


68 : ◆bmPu6a1eDk :2007/04/30(月) 23:30:35 ID:BTP/ABCa
此方も厳しいです。
朝までには上げられると思いますが……

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/30(月) 23:46:05 ID:3JDJyV3M
>>67>>68
がんばってください

あと、のび太やグリーン予約してた人はまだ書いてますか?
もう無理そうならそいつら使ってネタ練ろうかな、と。

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/30(月) 23:50:37 ID:XSy37Dhl
みんな無理しない程度にがんばれ〜。
のびたたち書いてる人は……。
さすがにこれからどうするのか、どういう状態なのかは
訊いておきたいな。書き手さんを信用したいけどさ。

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/01(火) 20:19:27 ID:7Z7V6Pre
…リリスは放置なのだろうか?
絡めそうな参加者は結構いるのに不憫な。
マーダーだから出会ったら即危険なんだけどね。

72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/01(火) 21:26:57 ID:SydOlOaL
>>71
だって、◆M42qaoJlNA氏が撤回なり何なりコメントをしてくれないことには、勝手に書けないんだもの
グリーン組でネタ考えてはいるんだけど…。

73 : ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:16:38 ID:tSX00FTJ
大変お待たせしました。投下します。

74 :拝啓、地獄の釜の底から(1/10) ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:17:17 ID:tSX00FTJ

「それで、ここはどこなん?」

狭く薄暗い、無機質な部屋の中。しゃべる人形をひとしきりいじくって元気になった私――八神はやては、
アリサちゃんと一緒にいたデバイスに現在位置を聞くことにした。

『どこって、ご存知ないんで?』
「私ら、瞬間移動できる道具でここまで来たんよ。島のどのへんにおるのかもわからへん」
『瞬間移動……空間転移ですか!? そんなほとんど魔法のアイテムまであるとは、驚きですね〜』

まあ私には及びませんけどねぇうっふっふ、とデバイスは笑った。微妙にくねくねと動いて見えるのは目の錯覚だろうか。

「それで、ええと、カレイドステッキやったっけ?」
『はいはい。より正確に言うならカレイドステッキに搭載された人工天然精霊・マジカルルビーです。
 気軽に親しみと恐懼の念をこめてルビーちゃんとお呼びください』

そんな器用な呼び方できそうにない。

『先ほどの質問の答えですけど、ここはシェルターの入り口です。島のどのあたりかは分かりませんが、
 民家がぽつぽつある平原から南に行った所にある四角い大きな建物の中ですよ』
「シェルター? って、あんまり知らんけど確か、」
『はやてさんが考えたのでおおむね合っていると思いますよ。
 地震雷火事オヤジ、天災人災大怪獣、ありとあらゆる死亡フラグから命と財産を守ってくれる
 厚さン十cmのコンクリートの要塞、いわゆるところのシェルターです』

大怪獣ってなんや、とつっこみかけて止めた。ルビーのいた世界では本当に大怪獣が街中をのそのそ歩いている可能性だってあるのだ。
ランドセルから地図を取り出して条件にあった場所を探す。
……G-5とH-5にまたがった四角い建物。私とアリサちゃんは割合近い場所にいたらしい。

『そちらにあるのが扉と開閉スイッチです。外からはそう簡単には開けられません。
 私達より前に人が入っていたり、ここ以外に入り口がある可能性もありますが、今のところ私の探知には引っかかっていませんねぇ』

とりあえずの安全は確保できた、と言っていいのだろう。
息をついて体の緊張を解く。車椅子に沈みこむと、歪んだフレームが嫌な音をたてた。

『あの〜、それであなた方はアリサさんのお知り合いで?』
「うん。こっちの男の子は違うけど私は八神はやてちゅうて、アリサちゃんの友達や」
『なるほどはやてさんですか。お話はアリサさんから伺っております』


75 :拝啓、地獄の釜の底から(2/10) ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:17:54 ID:tSX00FTJ

そこでぷかりと、疑問符が頭に浮かんできた。
浮かんできた、という表現は我ながら的を射ている。
最初から気になっていたけど、優先事項に押しのけられ意識の底でわだかまっていたもの。
それが『アリサちゃん』というキーワードによって浮かび上がり、陽の目を見たという感じ。
なんにせよ、分からないことがあったら聞けばいい。それに答えられそうな人物がいるなら尚更だ。

「『ところで――』」

二つの声が、

「『(アリサちゃん/はやてさん)は、どうして(ナース/メイド)の格好を?』」

はもった。







どこか安全なところに行きたい、と彼女は願った。







『レンさん……ですか?』
「そや。ルビー、なんか知っとるんか?」
『うーん……巨大化して空から地上にストライクする私の姿が脳裡に』
「なんでや」
『なぜでしょう』

『それは、おそらくアリサさんを襲ったのと同一人物かと』
「そうなん!?」
『名前まで同じなら間違いないでしょう。お強い方でしたね〜』

「マスターって、二人以上でもええんやろ? ほんなら私が契約すればアリサちゃんやトマ君の治療も……」
『大変ありがたい提案なのですが、はやてさんはスーパーオトメ力が足りないので契約できませんね〜。残念です』
「す、すうぱあおとめりょく??」

アリサちゃんとトマ君が目覚めるのを待つ間、私はルビーと今までのことを話し合っていた。
分かったのは、カレイドステッキは私のいうデバイスとは少し違う存在であること。
その能力によってアリサちゃんがゲームに乗った殺人者からなんとか逃れたこと。
そして、アリサちゃんを襲った殺人者は「レックス」と名乗る少年――私とトマ君を襲った子と同一人物であること。


76 :拝啓、地獄の釜の底から(3/10) ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:18:45 ID:tSX00FTJ

一通り情報交換が終わり、話題も尽きた頃。
ルビーがマジカル星がどうの80年代アイドルがこうのと言っているのを右から左に聞き流していると、小さな声が耳に入った。

「う……ん」

アリサちゃんだ。包帯だらけの体を丸めて、眠そうに目を擦っている。

「ふぁ……あれ、なんか暗い……ていうかここは……」
『お目覚めですか〜?』
「アリサちゃん、目ぇ覚めた?」
「はやて? ん〜……ってはやて!? 大丈夫だった!?」

完全に目が覚めたのか、ガバっと身を起こすアリサちゃん。真っ先に私の心配をするのが彼女らしくて、少し笑ってしまう。

「私は大丈夫や。アリサちゃんこそそのケガ、痛まんか?」
「あっ……と、結構痛むわね。我慢できない程じゃないけど、傷口はもっと水で洗わないと」
「消毒もした方がええな」
「そうでもないわよ。消毒って傷を治す為の細胞も殺しちゃうから、逆に治るのを遅れさせることにもなるし。
 とにかく水が必要ね。患部が……かなり広いけど、乾燥しないくらいの。
 背中の切り傷は縫合したいけど、設備もないし自分じゃできないし……」

すらすらと自分の状態と治療法を説明するアリサちゃん。
ルビーの説明によれば、今のアリサちゃんは本物の医者や看護士と同じくらいの知識と技術を持っているらしい。
少なくとも私が診るよりは的確な判断のはずだ。

……そうだ。

「アリサちゃん、目が覚めていきなりで悪いんやけど、そこの男の子も診てやってくれへん?」
「男の子……誰?」
「トマ君いうてな、一緒にここまで来たんよ」

私が視線を促した先には、横向きで眠るトマ君の姿。
顔つきは穏やかだが、実はひどいケガをしていないとも限らない。
専門家がいるのなら早めに診察してもらったほうがいいだろう。
小さく寝息をたてるトマ君の顔を見つめて、アリサちゃんはしかしそれ以上近づこうとしない。

「アリサちゃん?」
「……信用、できるの?」


77 :拝啓、地獄の釜の底から(4/10) ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:19:58 ID:tSX00FTJ

その声は、震えていた。
見れば、アリサちゃんの顔色はこの薄暗がりの中でも分かるくらい――それとも薄暗がりのせいなのか――青白くなっている。
失血のせいだけではないのだろう。
ルビーから聞いた話を思い返さずとも、彼女の痛々しい体を見れば分かる。
アリサちゃんは、私よりももっと直接的に死の危険を感じたのだ。感じさせられたのだ。
だから。
だから、私は。

「大丈夫やで、アリサちゃん」

私は答えた。

「私も何度か危ない目にあってな。
 正直何もかもいやになったりもした。
 でもな、その度に私を助けてくれる人がそばにいたんよ。
 トマ君だって、私を助けてくれた一人や。
 だから、押しつけがましいかもしれんけど、
 もしアリサちゃんが私のことを信じてくれるなら、同じようにトマ君のことも信じてほしい」

ここには危険な人たちがいっぱいいるけど、助けてくれる人も同じくらい――ううん、きっとそれ以上にいる。
それを伝えることが、レンちゃんの死を無駄にしないためにできることだと、私は信じる。

アリサちゃんはしばらく黙っていたが、やがて何かを飲み込むように喉を動かした。

「ん……。ごめん、ここに来てから最初に会ったのがとんでもない奴だったから、疑り深くなっちゃって」
『あ、その方ですけど、はやてさんにも襲い掛かったようでして』
「本当に!? ケガさせられなかった?」
「うん。それもトマ君が助けてくれたんよ」

それが最後の一押しになったのだろう。
アリサちゃんは「はやてに免じて、その子を一応信用してあげるわ。一応、だからね」とトマ君との同行を承諾し、
『さすがアリサさん! その言葉、スーパーオトメ力が溢れてますよ!』とはやすルビーを踏みつけながらも診察を行ってくれた。

数分後。アリサ先生によるトマ君の診察の結果は、
「さすがに脳や神経の損傷までは分からないけど」
前置きをしたうえで、特に問題は無いとのことだった。




78 :拝啓、地獄の釜の底から(5/10) ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:20:32 ID:tSX00FTJ

さっきルビーにしたのと同じ話をアリサちゃんにも聞かせた。
なのはちゃんやフェイトちゃんの行方がわからないのを残念がっていたけど、
二人とも――もちろんヴィータも、どこかでピンピンしていると思いたい。

「それで、これからのことなんやけど」
「ちょっと待ってはやて、その前に」

アリサちゃんが私の言葉をさえぎり、さっき踏みつけられた時のまま床に転がっていたカレイドステッキを持ち上げて言った。

「ルビー、私を剣使いの状態に戻しなさい」
『え〜』
「え〜じゃない!」
『だってアリサさん、まだナースの魅力を十分に引き出せていないじゃないですか。
 それにどうせ変身するなら一度着たものでなく新しいコスチュームにしましょうよ』
「私は着せ替え人形じゃないっての! この状態だと刀を持ってられないからいざという時に不便でしょ。
 応急処置は終わったんだから、さっさと戻しなさい!」
『せっかく多種多様なコスチュームを用意しておりましたのに〜。』

心底残念そうに呟くルビー。しかしすぐに気を取り直して、

『でもはやてさんとあわせて和洋メイドコンビというのも悪くないですね〜。
 わかりました、和風メイドに変身させましょうっ。それではっ』


瞬間、光と風が弾けた。


「な、なんや!?」

眩しさにくらんだ目を細め、腕を風防になんとか光の発生源を見る。
そこに私が見たのは――なんというか、どこか見覚えのあるものだった。






79 :拝啓、地獄の釜の底から(6/10) ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:21:51 ID:tSX00FTJ

金髪にナース服の少女が宙を舞う。

否、ここにはもはや宙も地面も無い。あるのはただ、少女と杖とよくわからないモヤモヤした背景だけである。
少女――アリサは神の啓示を受ける巫女のように目を瞑り、小さな口をわずかに開き、自身を動かす大いなる流れに身を委ねている。
すらりと伸びたアリサの足先が空を打ち、赤い波紋を描かせる。量感豊かに翻る金の髪。
すると、彼女の体を包んでいたナース服が、下着もろとも赤みがかった光の粒子となって飛散した。
白い肌が晒される。傷跡や包帯があったはずだが、なぜだろう。このシーンに限って見当たらない。
波紋をくぐったアリサが両手を広げ、縦横無尽ダイナミックにくるくると回転。
回転は風を生みかつて服だった光の粒子群を巻き込み従え、架空の円盤に降着させる。
そうして造られた光景はまさに絶景、渦状銀河さながらの光のスペクタクル。その中心、全裸のアリサとカレイドステッキが向かい合う。
銀河が糸のようにほどけた。その端緒、先陣を切った粒子がアリサの足先に絡みつき、細い脚を這い登る。
粒は波へ。いつしか粒子の群れは互いに融け合い、滑らかな液体の振る舞いを獲得する。
光の奔流は脚を征服した後も止まらない。二筋の川は少女の下腹で合流、鈍るどころか速度をいや増して螺旋を描きながら氾濫を続ける。
臀部から腰を巡り、臍を覆い隠してさらに胴を一巡、起伏の無い胸をやすやすと乗り越え、両手の指先までが一分の隙もなく埋め尽くされる。
少女が、光に満たされた。
一切の心を乱されることなくアリサは目を閉じたまま、カレイドステッキをそっと、しかし確固として掴み取る。
金属質の閃光。
熱の無い光を寸断し、剣聖の腰から抜かれた刃のごとく顕れたアリサが身に纏うのはもはや光でなく、暗紅色の着物。
その色彩は錆びた血のよう。両の袖がはためく様は幽界の焔のよう。
決して派手でも無ければケレンも無いただの和服が、なぜそんなにも禍々しいのか。
問いに答えぬまま、凶事を隠蔽するかのように純白の割烹着が被さり、肩紐をフリルが彩った。
これで完了か? ――いや、忘れてはならない画竜の睛。
微かに残っていた光の残滓が黒い髪ゴムを構成し、少女の象徴ともいえる小さなツインテールをくくり出す。
さあ、これで舞台に上る準備は整った。
その大きな眼を開き、アリサが今度は足を軸に大回転、最後の詰めと言わんばかりにカレイドステッキをバトンのように振り回し、目を見張るようなポージング。


しかと見よ、今ここに無限の並行世界随一の暗殺剣の使い手、アリサ・バニングスが降誕した。







光が収まり、風が凪いだ。

私はきっと、バカみたいに口を開けているんだと思う。
見慣れた薄闇と、いわくいいがたい沈黙の中。
アリサちゃんはゆるゆるとポーズを解き、凛とした顔を上げ、

「なんなのよ今のはーーー!!」

カレイドステッキをぶん投げた。



80 :拝啓、地獄の釜の底から(5/10) ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:23:39 ID:tSX00FTJ

『いえせっかく観客がいるものですから私、アリサさんに恥をかかせるわけにはいかないとつい張り切ってしまいまして』
「余計な気を回さなくていいっ! 変身する度にあんな事してたら進む話も進まないわよっ!」
『それもそうですね〜。わかりました、次の変身シーンは更に気合を入れて演出しましょう! 倍の尺くらいで』
「せめて会話を成立させなさい!! あ、いたたた……」
「ア、アリサちゃん。ケガしとるんやから大声は出さんほうがええよ。
 それにルビーももうちょっと真面目にしてくれんと、私怒るで?」
「あ〜、ルビーはそのまんまでいいわよ。不真面目でいるうちは安心ってことだから」
「へ?」

意外なところから援護射撃を食らってしまった。

「と、とにかく刀も持てるようになったし、準備完了。これからどうするのか考えましょ」

やっと本筋に戻れた感がある。

「うん、私考えたんやけど、ここってシェルターなんやろ? 災害時に避難する場所なら、医薬品や食料なんかが備えてあるはずや……そうやんな、ルビー?」
『はい、仰るとおり。これほど大規模なものでしたら厨房や医務室まであってもおかしくありません』
「でも、ここに備えられているとは限らないでしょ?」
「うん。でも、探す価値はあると思うんや。上手くいったらアリサちゃんの治療もできるし、
 島のどこかでケガをしてかもしれん人達を助ける事ができる」
「そう、ね。まあ、私は賛成。見つかったらめっけもんね」
「せやな。見つかったらめっけもんや。……じゃあ、悪いけどトマ君には起きてもらって、早速地下へ行こか
「そこまでして急ぐことないと思うけど」
「でもアリサちゃん、ケガの治療せなあかんのやろ?」
「まだボトルに水は残ってるし。それに、そんなに待つ必要は無いと思うわよ。さっき診た感じじゃあ……眼球が……呼吸……えっと、あれ?」
『今のアリサさんには説明できませんよ〜。医療の知識が無くなっていますから』
「そうなんだ。なんか変な感じ……とにかく、割と早く目を覚ましそうってこと。」
「そか。ほんなら、トマ君が目ぇ覚ますまで待とか」
『そうですね〜。トマさんが目を覚ますまで、ですね。うふふふふ』
「なんで笑ってるのよルビー」
『いえいえ、ラッキースケベがどうとかなんてちーっとも思っていませんよ、私は。うふふふふふ』
「? 何言ってるかわからないけど、なんかすごいヤな予感がする……」

そのままアリサちゃんとルビーは口論(ツッコミ漫才?)を始めだした。
こうして見るとこの二人、結構気が合っているのかもしれない。
二人の声を背にして、私は闇の向こうへ――シェルターの地下へ繋がっている廊下の奥へと目を向けた。

――地震雷火事オヤジ、天災人災大怪獣。

シェルターからの連想なのだろう、ふと、ルビーの言葉を思い出した。

ルビーのいた世界では、本当に大怪獣が街中をのそのそ歩いている可能性だってある。
それなら――この島にも大怪獣という程ではなくとも、危険な生物が生息している可能性もあるのではないか?
想像する。暗く無機質な地下建造物の中、迷い込んできた者たちを襲い死肉を食らう異形の化け物。
まるでホラーものの映画かゲームみたいな筋書きだ。そんなことが起こるとは考えにくい。
でも、考えにくいからといって万が一の可能性を排除するわけにはいかない。

拝啓、地獄の釜の底から(8/10)#yoyrzkmgm
(そうや。化け物はいないにしても、別の入り口からゲームに乗った人間が入ってくる可能性もあるんやし。――うちが二人を守らんと)

リインフォースやレンちゃんのようなことを繰り返さないためにも。
今度は、私が二人を助ける番だ。
私にそれを成す意志があるのを確かめるように、エプロン越しに懐のカードを固く握った。





81 :拝啓、地獄の釜の底から(8/10) ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:25:13 ID:tSX00FTJ



(シェルター……かぁ。どうやら、物がいっぱい貯め込んである所みたいですね)

冷たい床に身を横たえたまま、目を閉じ息を潜めたままトマは考える。

(これなら道具を作る材料や工具もあるかもしれませんよ。いっそ、ここに僕の店を構えてもいいですし)

彼が目を覚ましたのはつい先程。アリサが変身した際の光と風の刺激によるものだ。
既に意識は覚醒。二人の会話も密かに聞き取り、今後の行動方針も決定した。
……では、なぜはやて達に話しかけることもなく、気絶したふりを続けているのか?

(……顔の火照ってるの、戻らないなぁ……)

トマは商人である。
アイテムを扱う者としての修行を重ね、自分の店を持ったこともあるし、街づくりを主催した事だってある。
しかし、この状況にあってそんなものは何の役にも立たない。
彼に振り掛かっているものはもっとシンプルで根源的な問題。
社会レベルのステータスでは太刀打ちできない、生物としての構造的な命題。
要するに。

(こんなんじゃ目を合わせることもできませんよ……何か別のことを考えて気を散らさないと……魔法のアイテム……トマの店出店……
 ……でも、綺麗だったなぁ……あああ、脳内から消え去れーーーー!!)

彼だって、光と風のさなかで見た女の子の裸を意識せずにはいられない程度には、男の子なのだ。





82 :拝啓、地獄の釜の底から(9/10) ◆bmPu6a1eDk :2007/05/02(水) 00:26:13 ID:tSX00FTJ



結論から言おう。化け物は、いた。

シェルターは分厚いコンクリートで仕切られた要塞だ。
地震や竜巻といった自然の猛威や核の炎はもちろん、
異端の科学によって生みだされた霧も魔法の雷もここへなら届かない。
ここは、この上もなく「安全なところ」だ。


数百人は納められそうな大空間が、今は薄闇に沈んでいる。
それでも、目をこらせば見えるはずだ。壁に取り付けられたいくつかの無愛想な鉄の扉。
その一つ。その向こう。
配管が複雑に絡み合い、空調設備がやかましく唸り続けている、シェルターの心臓部。機械室。
そこに隠れるようにして。

千メートル先からでも間違うまい。
その体躯は、人間ではありえない。
その色彩は、人間ではありえない。
丸太もしのぐ豪腕は、人にとって凶器以外の何物でもない。
いやらしい程につり上がった口唇は、笑顔が本来威嚇の表現であったという仮説を思い起こさせる。
その巨体から繰り出されるであろう咆哮は、ともすればシェルターをも鳴動させるほどの――

「くー……くー……」

鳴動させるほどの――

「やん、ちょっ……北川さん、どこさわってるのよう……」

させる――かもしれないのだった。あるいは。



【H-5/シェルター地上部・入り口内/1日目/真昼】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:腹部に浅い切り傷
[装備]:メイド服(防弾仕様・腹部に裂け目)、車椅子(持ち手やフレームがひしゃげているが動作に問題なし)、カード×4@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式(はやてとレン)、自分の服、首領パッチソード@ボボボーボ・ボーボボ、
    ヘルメスドライブ@武装錬金(夕方以降まで使用不可)、アビシオン人形@ハズレセット
[思考・状況]:私が二人を守らんと……!
第一行動方針:トマが目を覚ますのを待つ。人形をトマに返す。
第二行動方針:シェルターの地下で物資を調達する。
第三行動方針:何かあったらカードを使ってアリサとトマを守る。
第四行動方針:ヘルメスドライブが使用可能になったらなのは、フェイト、ヴィータと合流したい。
第五行動方針:ヘンゼル、イリヤ、レックスを止める。
第六行動方針:脱出手段を練る。
基本行動方針:ゲームからの脱出。
※闇の書事件の数週間後ほど後から参戦。リインフォースUは未完成な時期。
※首領パッチソードの説明は読んでいません。馬鹿らしくなったので。



83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 00:32:06 ID:X+KeEvGT
今北支援

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 00:32:47 ID:0fUxtYs/
まさか……あの忌々しきさるさる規制か!

85 :代理投下:2007/05/02(水) 00:34:24 ID:UTYM0Wq+
拝啓、地獄の釜の底から(10/10):2007/05/02(水) 00:29:04 ID:L6tIFbvw0
【トマ@魔方陣グルグル】
[状態]:健康。別の意味でも健康。
[装備]:麻酔銃(残弾6)@サモンナイト3、アズュール@灼眼のシャナ
[道具]:基本支給品、ハズレセット(割り箸鉄砲、便座カバーなど)
[思考]:と、とにかく顔が赤いのはまずいですよね……
第一行動方針:平静を取り戻す。
第二行動方針:他の参加者と情報と物の交換を進める。必要ならその場で道具の作成も行う。
第三行動方針:シェルターを本拠地に店を開けるか確かめる。
第四行動方針:情報と物を集め、『首輪の解除』『島からの脱出』の方法を考える。
第五行動方針:ジュジュの安否が気がかり。
第六行動方針:できれば『首輪』の現物を手に入れたいんだけど……無理かな?
第七行動方針:できれば、トリエラと再び会いたい。それまでは死ぬわけには行かない。
基本行動方針:ニケたちとの合流。及び、全員が脱出できる方法を探す。
※ハズレセットのうち、豆腐セット、もずくセット、トイレの消臭剤、根性はちまきを使用しました。
 割り箸鉄砲の輪ゴムは、まだ残りがあります。


【アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:全身に軽い火傷(右腕・顔は無事)、左腕から出血(打撲によるもの、軽度)、
   背中から出血(切り傷、深い)
   上記の怪我は全て応急処置済み
[装備]:贄殿遮那@灼眼のシャナ、カレイドステッキ@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、マシカルアンバーミサイル×7@メルティブラッド
[服装]:和風メイド服
[思考]:ルビー、なんでさっきからニヤニヤしてんのよ?いや雰囲気が。
第一行動方針:トマが目を覚ますのを待つ。
第二行動方針:シェルターの地下で物資を調達する。出来れば傷の治療も行う。
基本行動方針:ゲームからの脱出。
※トマのことは「一応」信用することにしました。


【H-5/シェルター地下部・機械室/1日目/真昼】

【鈴木みか@せんせいのお時間】
[状態]:レム睡眠中
[装備]:参號夷腕坊@るろうに剣心、エスパーぼうし@ドラえもん、FNブローニングM1910
[外見]:夷腕坊の操縦席の中にすっぽり収まっている
   (ので、外見からでは一見して中に人がいるとは分からない)
[道具]:支給品一式
[思考]:小林さんもほっぺた引っ張らないでよう。
基本行動方針:殺し合いはしたくないが、どうしたらいいのか具体的には考えてない
※みかは、ベルフラウの説明によりここが「リィンバウム」だと思っています。
※リィンバウムについての簡単な知識を、ベルフラウから得ました。
同時に、ベルフラウの考察を教えてもらっています。

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 00:42:26 ID:0fUxtYs/
もう感想言っていいのかな?

投下乙!
なんというか、心が和む……アリサとカレイドは意外といいコンビだな。
一般人だったアリサが普通に活躍できそうだし……
そして少しばかり死者スレ控え室に言ってみようかトマ。なあに、少しばかり君が見たものを聞くだけだ。

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 00:46:07 ID:erE0F2HJ

妙に緻密に描写されてる返信シーンにワロタww

あと、今日のうちにトリ変えとくのをオススメしとく。

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 00:53:19 ID:X+KeEvGT
規制されてしまったか……、もう少し早く来ていれば支援しまくれたのに。

それはそうと投下乙&GJ!
和んだ、実にいい話だった。こいつらなら笑いの星を取れるに違いない。だが、あえて言おう。
君は実にバカだなー(誉め言葉)
魔法少女変身シーンに情熱注ぎすぎだろ。だがそれがいい、すごくいい。
そしてトマのラッキースケベ具合は異常。トリエラといいアリサといい。
トマのくせに……!

あ、はやての一人称は「私」です。
それとトリは変えておいたほうがいい……ってしばらくネット見られないのか。
少し心配だなぁ。


89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 00:56:54 ID:ujmEfVW6
投下GJ!
ルビーとはやての掛け合いが和むw 変身シーンが無駄に懲りすぎw
みか先生、誤解されて攻撃されないようになw

あと>>80でトリバレしてますよ! ID変わらないうちに新しいトリを!

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 00:58:50 ID:k7NX77yh
トマがどういうアングルで見ていたのかが問題だ

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 01:00:35 ID:X+KeEvGT
薄暗い地下に巨大肉達磨の夷腕坊……。
仮面ブルーがホラーなら、こっちは本当に怪獣映画の怖さになるなw
トラウマになりそうだ……。

92 : ◆Gs3iav2u7. :2007/05/02(水) 01:01:07 ID:tSX00FTJ
書き込めるかな?
ポカやらかしてしまい申し訳ありません……
以降はこのトリでいくことにします。

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 01:03:25 ID:0fUxtYs/
>>90
       r`"⌒`ー=v ‐-、
        1:::::.....................  }
       |:::::::::::::::::::::::___::リ,   「アリサは立って変身する」 
       r| ::::::::::::::( )|'爪|::jリ  「トマは寝たフリをして観察をする」 
      /``======_‐ラ(6,′
     ,>‐'つ__... =-〒rtッテ|h′つまり……下から下半身を丸ごと見上げる形になるな   
   /.ノ (:{,|| i   i l゙`~.jl|リ   そして……トマは(アリサと住人に)挟み撃ちされる形になるな
   ! }/゙ヽl.l ',  ヾツ  |l!|) _
   { (´/ヽ.):ヽ  r=- l/l:}/,r=,ヽ.._
    ヽ( イ- ) ̄l|、|!゙¨´ / l:八.>=iこ⊂⊃
     \ `ヽ:::::lドミ==‐' レ____l[二´__
 ̄:¨"7゙<〉   )::¨o7 /  ̄ フ 7ー-、:_:: ̄
::::::::::/:::::::\ ノノ:::/  '  '"´ /  / `ヽ

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 02:57:54 ID:To9yiC5G
>>93
ー-ニ _  _ヾV, --、丶、 し-、
ニ-‐'' // ヾソ 、 !ヽ  `ヽ ヽ
_/,.イ / /ミ;j〃゙〉 }U } ハ ヽ、}
..ノ /ハ  〔   ∠ノ乂 {ヽ ヾ丶ヽ    ヽ
 ノノ .>、_\ { j∠=, }、 l \ヽヽ ',  _ノ
ー-=ニ二ニ=一`'´__,.イ<::ヽリ j `、 ) \
{¨丶、___,. イ |{.  |::::ヽ( { 〈 (    〉  アリサは何色だったのか。
'|  |       小, |:::::::|:::l\i ', l   く  君の意見を聞こうッ!
_|  |    `ヾ:フ |::::::::|:::|  } } |   )
、|  |    ∠ニニ} |:::::::::|/ / / /  /-‐-、
トl、 l   {⌒ヽr{ |:::::::::|,///        \/⌒\/⌒丶/´ ̄`
::\丶、   ヾ二ソ |:::::::/∠-''´
/\\.丶、 `''''''′!:::::::レ〈
   〉:: ̄::`'ァ--‐''゙:::::::/::::ヽ
\;/:::::::::::::/::/:::::::::::://:::::〉
::`ヽ:::ー-〇'´::::::::::::::::/-ニ::::(
           /    \

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 05:19:22 ID:O2VU6/tW
>>92
カレイドルビーが楽しすぎる件について。
やたら力入った変身バンクに吹いたw
実にGJ。

それはそうとうっかりさんの称号を与えよう。
なに、気にする事はない。
このロワでは同じ事が過去にも有った。
それ以外にも埋め立てでトリップ付けちゃった事にへこんだ人も居た。
このスレ立てた人だってテンプレ順を間違えたうっかりさんだ。
その内の一人である私が言うのだから間違いない。

ただのチャームポイントさ。

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 12:50:10 ID:H0WzTX2T
>>92
GJですw
なんかトマがおいしい目に合ってるのが納得行かないですよw


……没SSスレに番外編投下。なんか電波が降りてきたんで。
ってこんなもの書いてる間があったら本編進めろ、私 orz

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 23:08:19 ID:Lu4i86ZY
>>96あるあるw

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 23:30:36 ID:X+KeEvGT
>>96
ソードマスター乙w
……俺も悪乗りしないで何か書こう。

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 00:55:44 ID:nM+UcFYR
ぎりぎり生きてる予約はこの二人だけかな?
のびたやグリーンを動かそうとした人は残念だけど破棄扱いでよさそう。
連絡ないし。

28 : ◆NaLUIfYx.g :2007/04/27(金) 14:56:46
シャナ、小太郎、グレーテル、紫穂、双葉予約します

29 : ◆ou3klRWvAg :2007/04/27(金) 19:41:57
光子郎、フェイト、ブルー、イヴ、ミミを予約します。

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 01:01:34 ID:1QnTfnKZ
かなりwktkで待ってるんだけど、今夜中に投下されるかなぁ。

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 01:06:28 ID:Nijy3BDm
最近は微妙にペースが落ち気味だから投下さえしてくれれば多少遅れてもいいやとは思ってる。
そりゃ期限内に投下してくれればうれしいけどね。
ただ、他にそのパートを書きたい人がいるなら話は別。

102 : ◆JZARTt62K2 :2007/05/03(木) 15:16:29 ID:DfsYtbX5
ニケ、なのは、エヴァ、インデックス、ヴィータ、勝を予約します。

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 15:23:35 ID:vfnPfp+h
>>102
爆弾集団その2キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
期待してますw

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 17:19:37 ID:2MU7WlKq
wktk

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 17:42:38 ID:nk49FyxN
GWも後半なのに過疎ってきたな
予定外だ


106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 17:47:01 ID:GGw6orp3
むしろGWだからだ。
普段なら「予定が合わない」とスルーできるリアルでの人間関係が書き手を縛る orz

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 20:49:41 ID:GxavfFVe
最近読み直していて、ヘンゼルが自分と姉様の名前(ヘンゼルとグレーテル)を口にするのに違和感を感じた。
原作確認しても、当人達は「僕、私」か「兄様、姉様」以外では呼び合ってなかったし、
スナッフビデオのクレジットなんて、本人達は知らないか、仮に知ってても自称しないと思ったんだけど、どうだろう?


108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 20:55:26 ID:KNEuSEB8
どうと言われても困る

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 22:29:54 ID:nM+UcFYR
>>107
あなたの書きたいように書けばいいのでは?
今までの作品の修正は、他の書き手さんじゃないと無理だし。
大きな矛盾でもないし。


110 : ◆NaLUIfYx.g :2007/05/03(木) 22:45:32 ID:YG6Pc5y8
よくよく考えたら予約延長期間過ぎてるやん俺orz

投下は大体0時ジャストを予定しております
もう少しだけお待ちを……

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 22:51:54 ID:YZO4xxFS
>>107
参考までにアニロワのヘンゼルの場合(グレーテルは名乗る暇も無く……)
同行者に名前を聞かれた際に名簿には自分の名前は無くて困ったが、
スナッフ映画の時の名前で書かれていたので「ヘンゼル」と名乗った(要約)

112 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/04(金) 01:40:36 ID:zmb+/aku
◆NaLUIfYx.g氏の作品待ちのあいだに支援絵投下。
ネタウケ狙いのバカ絵でごめんなさいorz
予約メンバーと関係ないキャラでごめんなさいorz

ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi88068.png.html

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/04(金) 01:45:38 ID:nfINEmEG
>>112
>ごめんなさい、ごめんなさい……。
貴様、乱太郎だな!?

それはそうとGJ。ランドセル背負ってること時々忘れてしまうから困るぜ。
しかしネタ絵には見えなかったんだがこれいかに?w

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/04(金) 01:49:48 ID:zmb+/aku
「風起こすマントなんだよね? 当然めくれたり翻ったりするよね?」
→「ランドセルに引っかかって後ろ丸見えになったりとかするんじゃね?」
→「で、そのまま気づかず過ごしちゃったりしそうだな」

結論:お尻が描きたかっただけです、まる

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/04(金) 11:52:54 ID:9ZrGIzot
◆NaLUIfYx.g氏の転載いっきまーす!

116 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 11:54:06 ID:9ZrGIzot
グレーテルは機嫌がいいのか、鼻歌を歌いながら颯爽と森の中を歩く。
敵など気にせずに、変わらない光景に飽きる事なく見渡し続ける。
一人、二人と遊べた。それもどちらとも星五つ評価、文句なしだ。
そして次なる子を探してまた遊ぶ。そう思うと、嬉しさが零れ落ちてしまうほど込み上げて来る。
今何処を歩いているのかは分からないし、調べる気もない。
まだまだ遊ぶ人は沢山いる。ただ歩き続ければ自然に出会えるに違いない。
と、いつまでも続くであろう森が突如開けた。
太陽がギラッと直接降りかかり、思わず目を瞑りかける。
片手で光を遮ると、目の前に聳え建つ建物に足を止めた。
廃病院。人がいなくなって随分経っているのか、外装は悲鳴をあげているかのようにボロボロである。
このような森の中に、ポツリと孤独に建っている廃病院を見たら、間違いなく幽霊関連を
想像するだろう。
しかし、今は昼であるし、何よりも常に生と死の狭間で暮らして来た彼女にとって、その
ような思考は持ち合わせていなかった。
むしろ、窓を通して見える人物に注目していた。

「あれは……?」

ズラリと横一列に並んでいる二階の窓に、一か所だけ人がいた。
もちろん幽霊なわけがない。立派な人間だ。
グレーテルはその人物に見覚えがあった。
このゲーム開始直後に出会った二人。尤も女の子の方とは出会ったわけではないが……
ついている、と率直に思った。
とりあえず窓から見えるのは二人だけ、恐らくあの後ここに向かったのだろう。
グレーテルの存在に気付く様子はない。彼らは口喧嘩に夢中なご様子。
それも好都合、と手に持っているウィンチェスターM1897の銃口を彼らに向ける。
距離は高さを含めても十数メートル、銃一つあれば余裕で埋められる距離。
スコープなる物はない。ちゃっちい照準合わせと、己の目だけを頼りにする。
最初と同じ展開。しかし先程と違って邪魔される心配はない。
正直つまらない、と一瞬新たな思考がグレーテルの手を止める。
ここで二人をちゃっちゃと殺していいのだろうか? 彼女の頭の中で短い討論が行われた。
沢山の意見がそれについて飛び交う中、グレーテルは迷う事もなく結論にへと辿り着く。
どうせまだまだ遊ぶ人はいるから殺そう。
彼女の方針は効率よく殺す事、不意打ちなど最も効率のよい殺し方だ。
それに、男の子の方はグレーテルの『殺し』を邪魔立てた。
それは許されぬべき行為。
最初に殺した子のように死体と戯れましょ、と思いながら、手に掛けてる引き金を迷わず引いた。


117 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 11:56:45 ID:9ZrGIzot
 *  *  *


「だ、か、ら! 小太郎はもう存在の力を沢山消費したから足手纏いなの!」
「なっ……足手纏いやと!? んなわけない、俺はいつも通り戦える!!」
「そんなわけない! 強がらなくても分かるんだから!!」
「そこまで言うんならこっちも言い分があるぞ! シャナに任せたらどーせまた変な状況に持っていくやろ!? 自覚なしが一番怖いんや!」
「う、うるさい、うるさい、うるさーい! そんなわけない!!」

双葉を瀕死の状態へと追いやり、ビュティを亡き者にしたブルーとイヴは既にこの病院から去ってったのに、相変わらず状況は変わらない。
むしろ、また当の目的を忘れてるように……見えはしないが、疑わしい。
とりあえず、床がコンクリートではちょっと……と感じ、二人は一つの病室へと双葉を運んだ。
人に安らぎを与えるベッドは一応健在。そこにそぉっと乗せると、再びどうするかで討論が行われたのだ。
顔と顔が喋る度に少しずつ近付いていき、終いには相手の息が地肌にかかる位置まできた。
新たな単語は吐き出されない。代わりに、お次は視線と視線の勝負。
どちらとも退く気はなく、無言の重圧をひたすら与え続ける。
端から見えば初々しい状況でもあるが……

(まぁ確かにシャナの言う通りなんやけど……)

小太郎は確かに気を根こそぎ奪われていった。
例えるならフルマラソンを終えたかの状態。
今の彼は気を使わない普通の体術がメインとなるだろう。
普通の体術だけで勝てるであろうとは、小太郎自身そんなに思っていない。本来ならここはシャナが偵察し、気の回復と共に小太郎が双葉を見張るのが普通の展開。
しかしそうしない。彼が女性に身を預けるのが好きではないからだ。
簡単に言うならば、つまらない意地を張っているだけであるのだ。
と、小太郎の視界に何かが写った。
無意識の内に、僅かにだけ右目を窓の方に向けたのか、何かがそこにはいた。
木や草だろと思ったが、別に減るものでもないし、なんとなく気にかけたのか、チラッとシャナから視線をちょっとだけずらした。
その瞬間彼は考える間もなく、小太郎は前へ出る。
外側から、銃口から、無数の銃弾がばらまかれるその直前で、小太郎はシャナの元へ突っ込んでいた。
最初から距離はない。そのまま勢いを殺さず、身を低く屈め、両手をシャナの腰に回すようにして、地面へ叩き付けるように一気に押し倒す。

「え? え?」

何が起きたのかわからず、間抜けな声をかき消すかのように、ガッシャァァン!! というガラスの悲鳴が炸裂した。
グレーテルがいたのは一階、小太郎達が二階、ならば必然的に銃弾の軌跡は下から上。つまり身を地面に預ければ避けられるという事。
双葉は窓から遠く離れた位置なので心配ない。
後は小太郎の方である。
倒れたシャナに覆い被さり、頭だけを守るかのように両手で盾を作る。
パラパラッと自分の体にガラスの破片が降りかかる。しかし、痛みは感じられない。
破片が地面に散らかり終わると、辺りは静寂が支配した。

118 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 11:57:39 ID:9ZrGIzot

(おしっ、なんとかなったか!?)
二発目が来る様子はない。相手から視界が外れたのだ。敵もそう馬鹿ではないという事。
「ねぇ……」

言われて、小太郎は意識を目の前の少女にやる。
先程シャナを押し倒して、手は身を守る為に後頭部へと持って行ってる。つまり……
二人は体と体が接触してるのだ。それも小太郎が押し倒す格好で、
シャナの小さなふくらみが今更になって感じてしまう。
既にシャナの顔が爆発したみたいに真っ赤にへと変貌していた。

「あ……え、と、これは……その……」
幾ら何でもこんな体験はそうそうない。小太郎の顔も見る見る内に赤く染まっていきカチコチに凍り付いている。
先程までは気にしなかったが、シャナの薄い吐息がさらに彼を混乱された。
「いい加減……」
シャナの足裏が小太郎の胸に触れる。何をされるのかわからない程小太郎は焦っている。
「離れなさいよっ!!」

思いっきり蹴飛ばした。
「グハッ!?」といういかにも負け犬な台詞を吐き出して、小太郎は後頭部を壁に激突した。
恥じらいと怒りに任せた蹴りは、予想以上に力が発揮する。しかし、そんな事をシャナが知るわけがない。
ゴン! という鈍い音にシャナはビクッと肩が震える。

「あっ、と……小太郎?」

呼び掛けるが返事はない。よく見ると頭上に星が回っている……わけないが、パッと見ても分かる通り、脳浸透でも起こしたのか気絶している。
慌てて声をかけようとするが、寸での所で飲み込む。
敵が襲って来たのだ。
ここにはまだ重傷の子がいる。こんな場所で戦場にするわけにはいかない。
小太郎にいたっても気を消費しすぎた。シャナは彼が戦闘で足を引っ張ってしまう可能性は多々あると判断している。
相手の力量がわからない今、シャナは一人で戦うべきだと決心する。今小太郎を起こしても、万全の状態ではない。

(大丈夫……きっとやれる)

彼女は坂井雄二や、アラストールといった仲間と一緒に戦ってきた。しかし、今はいない。
一人で、敵に立ち向かわなければならない。失敗は死。
負けてしまったら小太郎や双葉の命も危ない。
今万全に戦えるシャナが負けてしまったら、二人に勝てるわけがない。
プレッシャーが、見えない重圧が襲いかかってくる。暑くもないのに汗がツーっと顔を駆ける。
一回、二回と深く深呼吸をし、気持ちを落ち着かせる。
そしてチラッと小太郎の方を向く。

「…………」

なんて声をかければいいかわからない。むしろなんで声をかけようとしたのかわからない。
ちょっとだけ別れるだけだ。別に何の問題もないではないか。
プイッという効果音が合うように視線を戻す。彼女は気付いていないが、ホッペが少し赤くなっていた。
一歩一歩扉へと近付いていく。敵が迫りくるのにも関わらず、重りをつけられたかのように遅くなってしまう。
そして辿り着く。
自分より何倍も高く感じる。ただのドアなのに、開ける事がためらわれてしまう。
しかし、ここで止まるわけにはいかない。自分だけが頼りなのだ。
ぱんぱん、と自分に喝を入れるかのように頬を叩き、もう一度深呼吸。
そして彼女はドアノブを掴んだ。


119 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 11:58:56 ID:9ZrGIzot
 *  *  *


三宮紫穂は一階のとある部屋の中で、体を小さく丸めて息を殺していた。
音一つ立てないように注意を払っている為、心臓の音が、呼吸の音が、必要以上に大きく感じられる。
とりあえず、二階にいる彼らと接触しようと思った矢先、新たな敵が現れたのを紫穂は『透視』できた。
新たな、しかも今度は敵の登場に身の危険を感じたのか、廃病院内へと忍び足で侵入して今に至っている。

(それにしても……)

とりあえず敵は自分の存在を知らない。ターゲットはきっと上の三人達であろう。
安住の地を確保した紫穂は、再び『透視』を始める。
既に敵は廃病院内に侵入して、階段を登っている最中だ。
だろうという願望から確証へと変わる瞬間。このままここにいればやり過ごせる。
紫穂は自分の運の良さに感謝した。
ここで『透視』していれば、上の二人の力量がわかる。仮に負けたとしても自分になんらデメリットはない。
ここで負けるような人達と組んでも、この先生き残れる確率は低い。
それならまた地道に新たな人達を探せばよい。まぁそれにはリスクがやや生じるが……
よって紫穂本人の願いとしては上の人達に勝ってもらいたい。
しかし、
一人は重傷、もう一人は気を失っている。
実質戦えるのは少女一人だけ。
どちらが勝つか、結末を早く知りたい自分と、知りたくない自分が混ざり合わさっている。
紫穂は一人、誰にも気付かれる事なく観戦者へとなった。

 *  *  *


扉から出て、長い一本線の廊下に足を踏み入れたのと、階段からかけ上がり、同じく足を踏み入れたのはほぼ同時であった。
互いに気配を感じ、互いに顔を向け、無言のまま目を逸さない。
グレーテルはシャナの事を見たが、シャナはグレーテルの事は見ていない。しかし、そんな事今は関係ない。
人を殺すのに、殺されないようにするのに、面識などどうでもいい事。
必要なのは敵か否か。そしてそれは互いに十分に理解している。
シャナは舌打ちの代わりに、重たいマスターソードの柄を強く握り締めた。
戦闘前でもわかる事はある。
それは武器。名前まではわからないが、シャナの知識があの形状の武器を伝える。
ポンプ式ショットガン、それはこの幅が狭い廊下では効果を発揮する武器だ。弾をばら蒔く性質上、幅が狭いこの廊下で避けるのは至難の技。
距離は10M弱、彼女の身体能力と存在の力を使おうとも秒単位はかかる。その間に果たして何発貫かれるのだろうか?
そこでシャナは、今までの考えを吐き出した息と共に全て捨て去った。
やるしかないのだ。この距離をなんとしてでも埋めなければならない。

「あなた一人なのかしら?」
「お前など私一人で十分」

グレーテルが尋ね、シャナが迷いなく答える。
本当はシャナしか戦えないのだが、そんな事を言う必要などない。
互いに笑みを崩さない。グレーテルは不敵な笑みを、シャナは相手を見下すかのような笑み。
スッと銃口がシャナの方を向けられる。一方のシャナもそれに合わせるかのようにマスターソードを構える。

「ホント、あなたも楽しめそうね」
「お前にそれが出来るかしら?」

そして静寂。
常人には感知できない一秒の中の一秒という僅かな静寂の後、

『厄災』と『フレイムへイズ』の戦いの火蓋が落とされた。



120 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:00:23 ID:9ZrGIzot

ドン!! という轟音と共に、火炎放射器みたいな火花が銃口から伸びたのと、
ドン!! という壮絶な足音がしたのは同時であった。
正確に言うなら、足音――シャナの方が早い。引き金にかけていたグレーテルの手がピクリと動いた瞬間の事。
敵を貫かんと襲いかかる無数の銃弾が辿り着く前に、小太郎達がいる部屋の向かい側の方へと迷わず突っ込む。
ドガッ!! と無茶な使用をされた扉が悲鳴を上げながら壊れる。
後で弁償する気などさらさらないシャナは、ガッ! と足に杭で地面へ打ち付けるように無理矢理止めようとする。
ザザザ! と止まらず、滑りながら足を曲げて、身を屈め、バネを溜めて再び地を蹴る。
この部屋は診断室なのだろうか、とにかくもう一つの部屋――グレーテルとの距離を縮める部屋と繋がっている。
幸いな事に、繋りに遮る障害物など何もない。そのまま問題なく部屋を移る。
ここまでシャナは廊下を使わず、グレーテルとの距離を半分に詰めた。
時間に換算して二秒弱。しかし、シャナは止まらない。
部屋におかれてある寂れた物、壊れた物全て素通りして、
次なる部屋へと侵入する。
一方のグレーテルはその場から一歩も動かなかった。
初発目を避けられたのも予想外であったが、あの部屋に隠れたのも何かあるのでは? と思わされる。
だから少し様子見するべきだ、と考えた結論は瞬殺されてしまう。
ドガッ!! と先程シャナが逃げ込んだ一つ前の部屋の扉が豪快に吹っ飛んだ。
そこから現れる何か、いやシャナ以外に誰がいようか。
舌打ちと共に引き金を引こうとするが、寸での所で再び向かい側の部屋の中へと入られてしまう。
と、気付く。先程入った部屋の一つ手前から出てきたという事は――!
結論より体が先に動く。グレーテルは右隣りの部屋の扉を蹴飛ばす。シャナが今いる部屋と繋っているはずの部屋を。
いた。部屋と部屋という形上の区切りがされてるものも、目と目が再び合う。
距離は数M、グレーテルは有無を言わず銃口を向ける。
ピクッと指が動いた瞬間、シャナは一瞬と呼べる時間で素早く部屋から廊下へと移ろうとした。
思った通り――と、グレーテルは勝利を予想した。
相手、シャナはこの生死を賭けた戦いの中、グレーテルの指に視線を集中していた。
弾が出るには引き金を引く。引き金を引くには指が動く。それだけの事。
弾が飛び出るタイミングがわかればギリギリたが、銃口が変わらない限り避けられる。
それを初発目でグレーテルは見抜いていた。
シャナが部屋から離れ、廊下に出る同タイミングでグレーテルの体も独楽のように回転しながら迎え撃つ。
そして、ようやく引き金を引く。確実に避ける事の出来ない弾丸がシャナ目掛けて襲いかかる……はずだった。
しかし、そこにいるはずの人間がいなかった。

「!? ……チッ」

そのまま地団駄を踏むかのよな舌打ちをし、グレーテルは理解する。
シャナもグレーテルがどう対処してくるかを見抜いていた。
相手の力量がわからないなら、見抜かれている上でもう一工夫加えるべき。
しかし、グレーテルをハメるには完璧に廊下に出るふり、もとい出なければならなかった。
ならばこのタイミングだけしか使えない方法をシャナはとったまで。
相手は自分と同じタイミングで廊下に移り、相手の確認を取らずに放たなければならない。
その銃口は一直線。ならば逃げ道は――

空中だ。
シャナは廊下に出たわけじゃない。廊下の方へと飛んだのだ。
彼女は銃弾を飛び越えると、そのまま重力に従って地面と着地したや否や、すぐさまグレーテルの方へと視線を向ける。
あのタイプは弾を装填するのに独特な音がする。それが聞こえないと言うのならば……?
そこにはグレーテルが立っている。銃がいつの間にか何処かへいったのか、何も持っていなさそうなグレーテルが立っていた。

「……?」
シャナには理解できない。何故ここで自分の獲物を捨てるのだろうか? いやそもそも、
何で笑っていられるのだろうか?
「武装、錬金」


121 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:01:28 ID:9ZrGIzot

言葉を紡ぐ。以前聞いた、その単語を。
紡がれた瞬間、何かがシャナ目掛けて突っ込んできた。
ゾグン、とシャナの中にある知識、経験が、体中の回路に電気を与えるかのように危機感を訴えた。

「……ッ!?」

気付けばもう目前。無意識の内に体が動いた。
咄嗟に右足のバネを使って、中心を横にずらす。それがシャナの出来る精一杯の回避行動である。
ザシュ、と肉を引き裂く水っぽい音が響き渡った。

「クッ……」

熱を帯びた右肩は全身へと激痛とも呼べる痛感が襲いかかる。
幸いな事に、骨には一切ケガを負っていない。ただ、その上部の肉を丸々持っていかれた。
ぼとぼと、と重たい液体のこぼれる音が地面に響き、白い制服がジワジワと赤く染まっていく。

(あれは、槍……?)

形としては槍の一貫なのだが、どうみても普通の世間一般に知られてる物ではない。
持ち主と合わない程の大きさを、グレーテルは軽々構えている。
何か能力を持っているのか、と頭が警告し、先程の攻撃と関連があるのでは、と詮索する。
思考の中に埋没しかけたシャナは、グレーテルの笑い声で意識を戻す。
憐憫に、皮肉に、哀みに、愉快に、楽しく、嘲り、そして――
勝ち誇ったように、少女は笑っていた。

「この武器を使うなら」
グレーテルは髪の先を引っ張る。それはスルリと頭から離れていった。
「兄様でないとね」

カツラであったのかグレーテルは短髪の姿へと変貌した。美少女から美少年へ。但し服装は変わらない。
シャナは驚く素振りを見せなかった。先程のように油断させる為の罠であるのかもしれないからだ。

「さてと、これで終わりじゃないよね?」

轟! と風のうねりと共に、再び槍がシャナの喉元を貫こうとする。
その巨大な武器がリーチを生む。長さで言うなら贄殿遮那と引けをとらない。
刃が迫りきる前に、シャナは直角に右へと飛んだ。いくらリーチがあり早くても、辿り着く時間は必ずある。その時間に若干の余裕がある分、ゆとりがもてた。
飛び散る汗と血の球体が、槍の先によって弾かれる。
シャナは攻撃に転じようと、懐深くへと突撃しようとするが、
グレーテルが予定通りのように阻止してきた。
キィン! と甲高い金属音が響き渡る。グレーテルの所持している槍は特殊だ。その刃は根元まで及んでいる為、持ち方を変えれば剣みたいな形となる。
突き出した槍をそのまま間髪入れずに、横へと薙払う斬撃へとチェンジする。
懐に潜り込む前に上半身と下半身が別れてしまうので、シャナは咄嗟にマスターソードを壁として防いだ。

(リーチが……足りないっ)


122 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:02:03 ID:9ZrGIzot
シャナ奥歯をギリッと噛み締める。彼女の武器、マスターソードは小振りの剣。どうみてもリーチがない。
その為、この剣の射程範囲に入る為、彼女の懐へと入るという一動作を余分に行わなければならない。
それは相手に一動作余裕を与える行為でもある。その為、彼女は考える。
逆を言うならば、一動作余分な作業を与えれば良いのだ。
素早く出した結論を実行すべく、シャナは拮抗状態から抜ける。
後ろへと跳ね、距離を置き、痛みが未だに止まない左腕を上げた。
途端彼女の手から炎が巻き上がった。存在の力を炎へと変える、独自の力だ。
本来ならばもっと出力が上がるが、咄嗟に、しかもこの制限下では火炎放射器ぐらいの性質、それでも相手への不意打ちには十分のはず――!
炎が生き物のようにグレーテルに襲いかかる前に、何かが立ち塞がった。
シャナは気付かない。後ろへと距離を置き、炎を生み出す動作がある分、グレーテルにも余分な動作が生み出される事を。
それは扉、シャナが先程蹴飛ばした扉であった。しかし、木で成り立っていた為、みるみる内に灼熱の炎によって溶かされる。
それでも立派な壁としての役割を持つ。敵に姿が見られないようにする為の壁として。
直後、
シャナの右隣りの部屋からグレーテルが視界にへと入り込んだ。
そう、ここの部屋はもう一つの部屋と繋がっている。今気付いたが、自分がいる場所はちょうど扉と目と鼻の先に位置している。
慌てて防御ないし回避を取ろうとするが、遅い。
瞬間、
ザク! とシャナの左肩に刃が食い込んだ。

「がっ……」

熱を帯びた痛み。体の中で何かがブチブチと千切れるような感触。耳からではなく、直接体内を通って響き渡る音。
そのまま槍の勢いに身を預けられ、隣の壁へと激突し停止する。
全身の骨がくだかれたような激痛に、一瞬右肩の痛みを忘れてしまう。

「君もさっきの子の声と似てるんだね」

口調が男の子っぽくなったが、シャナにとってはどうでもよい事。むしろその笑みを気にした。
一言で表すなら狂喜と呼ぶのに相応しい。その狂喜にシャナは嫌悪感を覚える。
なんとかしなければ――と思うが、両肩をやられて、壁に激突したさいに剣も零れ落ちてしまった。炎を生み出してもまた対処されるのでは……
詰まる所、少女に残された手はなかった。

シャナは高い身体能力を持っていた。しかし、今まで敵と戦い勝ってきたのも、贄殿遮那という武器や、アラストールや坂井悠二の助言のおかげ。
それが無ければ、格段に弱くなってしまう。先程まではそうとは思わなかった。
たとえ一人で戦おうと負ける気などしなかった。一人でも勝てる自信はあった。
しかし、相手のちょっとした予想外の行動に翻弄され、
結果がこうだ。
条件が悪かったのもある。最初からシャナの方が不利であったのもある。しかし、そんなものはただの言い訳。
シャナはどうしようもなく、ただグレーテルを睨み付ける。
勝敗は決まったようなものだった。



123 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:02:58 ID:9ZrGIzot
 *  *  *


「あ、れ……」
轟音の後、意識が元に戻り始めた。
小太郎はうっすらと、ゆっくりと目を開ける。
何回かパチパチと瞬きをして、周囲を見渡す。
目の前には無数のガラスの破片が散らばっていて、重傷の子も起きる気配がなくただ眠っている。
何か考える度に頭がズキズキ痛みだす。誰かに鈍器で殴られた、そんな感触だった。

(一体……)
右手で頭を押さえ、痛みを和らげながら思考を巡らせる。
「あ……」
思わず声に出してしまった。
ここにある人物がいない。いるはずの人物がいない。先程まで一緒にいた人物がいない。
そこでようやく何が起きたのかを思い出す。
敵に襲われている最中である、と。
しかもシャナがその敵と戦闘中である、と。
そうでなければここにいない理由がない。
彼女は一人で戦いにいったのだ。怪我をしている二人を守る為に、一人で。

「く、そ……」

思わず唇を噛み締める。皮膚が切られ、口の中で血の味が充満してくる。
小太郎はイライラしていた。確かに自分の気はあまり残っていない。フルマラソン後みたいに疲れきった体でもある。しかし、たとえそうだとしても戦える。
そりゃあ心配しての行動は嬉しい。普通の人間ならそれは尤もである。
しかし、小太郎は普通ではない。彼にとってそれは、自分の力を信じてくれないのだ。
だから苛立った。自分を戦わないようにさせたのが。
一人で物事を進められては困るのだ。
最初に出会った、最初に出会えた仲間なのだから。これだけは一生事実として残る。
(仲間なんだろ)
だから少年は立ち上がる。
(やられたりなんか……ないよな?)
最悪な展開を危惧しながらも少年は扉を開けた。


124 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:03:57 ID:9ZrGIzot
 *  *  *


少年――犬上小太郎はそこに立っていた。
一つの病室の扉の前、ヘンゼル達と10メートル程離れている。
小太郎は頭を少しだけ下げており、その短い前髪で顔を隠していた。
まるで不合格を宣告された学生のように呆然と、ただ表情だけを悟られないように。
しかし、短く切られた前髪で隠しきれるわけがない。一本一本の隙間から目が見え、さらけ出してる口元が震えている。
その目の表情も何処となく寂しげでありながら怒りに満ちた様子、目の前の光景を受け入れようとしたくないようにも見える。
狭いエレベーターの中にいるかのように、重たい空気が辺りを漂う。
そんな中、グレーテルはただ一人笑みを崩す事はない。新しい玩具を手に入れた子供のように、心底嬉しい様子。
もちろん小太郎の目にその顔が入り込む。ギリッ、と奥歯を砕くかのように噛み締める。

「お前……男なんやな……」

ポツリと、しかし皆に聞こえるように呟いた。
最初見た時は服装、綺麗な顔立ち、腰まで届きそうな銀色の長髪、どう見ても女の子だった。
しかし、不思議な事に長髪から首もと辺りまでしか届かない短髪になるだけで、それは女装した可愛い男の子に見えてしまう。
文化祭の時、女狐に変貌したネギの姿を見ていた故に辿り着いた結論であった。

「うん、今は兄様よ。それがどうしたの?」

質問自体にやや呆れたのか、笑みが消え、冷たい口調へと変化する。
しかし、そんな小太郎の質問にグレーテルは悪気も何もなく、ただつまらなそうに答えた。
彼が期待した答えを、望んだ答えを、求めていた答えを……

心に決めていた。何が何でも裏切ってはならない信念、それを小太郎は持っていた。

『女には絶対手を出さない』

たとえこんな理不尽なゲームとも呼べる殺し合いに参加されようとも、それが原因で死ん
だとしても、ただ一つ、唯一無二の信念を曲げる気などなかった。
だからグレーテルが男と言った時、小太郎は内心喜んでいた。その信念を曲げる事がないからだ。
いや、それは違う。たとえ女であろうがそんな信念、目の前で傷ついてるシャナと比べたら紙屑以下へと思ってしまった。
なぜかそう思ってしまった。自分の信念が、こんなちっぽけなものだと笑えてくる。

「そりゃよかった」
声の音程が変わる。顔を天井へと向けて、再び目線を戻す。
今度は隠さない。もう悩む事など何もない。
「お前をぶっ倒せる……!」
決心した目をグレーテルに、シャナに見せつける。
今の小太郎を誰一人として止める事は出来ない。
それだけ彼が決心した事は深く、重い。この世界にたくさんある決心の中で小太郎は負ける気がしなかった。

彼には『女は殴らない』という信念がある。
ではなぜそんな信念を持っているのだろうか?
彼が言うには、命を賭けた戦いに女の出番はないという。

それは即ち、『男が女を守る』という事。


125 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:05:13 ID:9ZrGIzot

一歩、いや半歩でいい。
いつもより前に進め
一秒、いやコンマ一秒でいい。
いつもより早く辿り着け

自分に言い聞かせる。
自分の体に命令する。断る事は出来ない。この命令は絶対服従。
たとえ体内に残ってる気が僅かであろうと、フルマラソンした後みたいに疲れきった体であろうと――動かす。
動かすんだ。
足の裏に気を溜める。接着剤をつけたかのように、地面に足を縛り付ける。
溜めろ、もっと……もっと!

「瞬っ……」
目標はシャナを傷つけたあの男。ターゲットを定めた小太郎は足に溜めに溜めた気を爆発させる。
五本の指は強く握り締める。決して開かないように強く、強く!
「動ッ!!!」
轟! っと風のうねりと共に、10M弱離れてた距離を一歩で縮める。
パッと見ればそれは瞬間移動、瞬き一つで近寄って来た。
そのあまりの尋常じゃないスピードに、グレーテルはほんの一秒たじろいだ。
たとえ一秒であろうと、コンマ一秒の世界では致命的な隙を相手に見せる事になる。
体全体で空気を切り裂きながら、さらには右手でも空気を切り裂きながら突き進む。
狙うは顔面のみ!

肉と鉄、骨と鉄がぶつかる奇妙な音が辺りを響き渡った。
ガァン! と聞こえた瞬間、小太郎の右腕から肩を通り、痺れが全身へと渡る。
一方のグレーテルは衝撃波を相殺しきれず、そのまま後方へと押し戻される。
グレーテルは体が咄嗟に槍を盾にへと持っていったのだ。
距離が再び離れる。ようやく自由を得たシャナは、足を地面につけた瞬間、そのままズルズルと倒れ込む。二本の赤い線が壁に出来上がる。
どっと疲れが押し寄せてきたが、構わずシャナは小太郎の方を見続ける。

「…………」

視線をときよりずらしながらも何を言えばいいのかわからない。
とりあえずお礼を言いたいのだが、なかなか声に出ず、頬がややピンク色に染まる。
そんなシャナの姿を見た小太郎はため息をついて頭をがしがし掻いた。
それはセコいわと言いたげな表情で伝える。

「もう少し頼ってくれや」
膝を折り、シャナと視線を合わせる。
「俺ら、仲間やろ?」
微笑んだ小太郎にシャナの思考が一瞬停止した。そんな事など知らずに続ける。
「ええか? 今の俺じゃきっとあいつには勝てない」
言って立ち上がる。視線はグレーテルの方へと移っていた。
「全部背負わなくてええ、少しはわけな」
少年が少女に伝える最後のセリフだった。

いたのだ。アラストールや坂井悠二のように助けてくれる仲間が。共に戦ってくれる仲間が。
少年は万全の状態ではない。だから自分が戦うべきだ、そういう役割だと思ってた。
しかし、それは大きな間違い。
自分だって万全ではないのだ。得意の武器もなければ、助言を与える人物だっていない。
そういった不確定要素を補えれば良いのでは? 互いに足りない所をそれぞれ埋めあっていけばいいのでは?
仲間というのはそういうのだ。1+1が∞に広がるのと全く変わらない。たとえ1以下の小数点になろうとも。
ならば今やるべき事は? と別の自分が聞いてくる。
わかっている。小太郎は『自分じゃ勝てない』と言った。ならば――
少女は肩の応急処置に集中した。小太郎を信じて……



126 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:06:05 ID:9ZrGIzot
 *  *  *


波というのがある。
序盤シャナが押してたが、グレーテルの武装錬金により今度はグレーテルが終始押していた。そして今は、
小太郎の波である。
グレーテルは先程のスピードを警戒していた。故に様子見、動けない態勢へと変わる。それは小太郎にとっては嬉しい誤算
距離を詰めながら、ポケットに忍ばせていた手裏剣を取り出す。
右手は開かないので左手で数枚、見様見まねに牽制代わりに投げる。
小太郎よりも早く到達手裏剣は、屈んだグレーテルの頭上を勢いよく廻りながら通過した。
ダン! とその隙に一歩でグレーテルの懐へと飛び込もうとするが、
轟! という風のうねりと共に、下から神速の突きが迫りくる。
ガッと足に接着剤を付けたかのように停止し、小太郎は全力で身を屈める。
頭上スレスレで槍が突き出される。心臓がビクンと跳ね上がりながらも、今度は真横にほとんど転がるように跳躍した。
相手の突き出しをしゃがんで回避したのならば、普通そのままか、やや勢いをつけて振り降ろす。そちらの方が効率がいいからだ。
ベキッ! と床に刃がめり込む。予想通り、槍を剣として降り降ろしたのだ。飛び散る汗
が切り刻まれ、ゴロンと一回転した後、片膝を立てて停止する。
再度足に気を溜めるのと、槍を向けられるのは同時だった。
轟! という風のうねりと共に、恐るべき速度でグレーテルの横を通過する。瞬動とは離れた距離を一歩で埋める事が出来る移動手段である。しかし、弱点は存在する。
一歩で到達してしまう為、点と点で結ばれる線なのだ。もちろん修正する事は出来ないし、その線上に何かあったらぶつかる。それが刃であったら……自滅してしまう。
グレーテルはそれを知らなくても槍を前に出す。当然の行為が、小太郎の進路を大きく邪魔立てていた。だから――
背後を取るような瞬動しか彼は使えない。
右足でグレーテルの左斜め後方に着地すると、その足を軸にしながら回転、体を向ける。

(く……遠い!?)
自分の普段以上の力が発揮されて、いつもより一歩遠い地点に着地する。この距離では、まだ小太郎の射程範囲外。
「狗神!!」

ならばと別の攻撃手段に乗り移る。
小太郎の声と共に腕を横に払う。途端目の前の空間が歪み、そこから黒い獰猛な狗がグレーテルの喉笛を噛み切ろうと襲いかかる。
振り向きながら刃を横に薙払う。一瞬にてそれは真っ二つになり、絶命したかの如く、黒い煙状へと変化する。

「うぉぉぉおおおおお!!」

その煙を振り切るかの如く、小太郎が拳を構えて空からグレーテルへと突撃をかます。
瞬、と一瞬の間に片手で槍の軌道を修正し、
轟! と風のうねりと共に移動方向を変えられない空中にいる小太郎を迎撃する。
槍先が小太郎の額に辿り着いた時、先と同じように今度は白い煙へと変貌する。

「!?」
グレーテルが初めて焦りの表情を見せる。これが相手の罠だとしたら本物は――!?
「こっちが本体や」
ゾグリと、声がする前に背後から悪寒が体中に走り回る。
声がした時には、体を回転しながら槍を横に薙払う。
しかし、彼女の反撃は止められる。
キィン、と甲高い金属音を二度廊下に響き渡せる。
「お前に私達は倒せない」
小太郎と槍の間な、右肩の応急手当を終えたシャナが割って入る。
もう、グレーテルに身を守る武器はない。目の前には不敵の笑みを浮かべる小太郎。
「そういう事や!」
気もほとんど纏っていないただの拳。それでも十分すぎる威力をもつ。
グレーテルが苦渋の表情を浮かべた時、それは敗北を示す合図となった。
肉と肉、骨と骨が、グレーテルの頬に小太郎の拳が突き刺さる。
彼女の体が竹トンボのように回転しながら数m飛んだ。



127 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:07:12 ID:9ZrGIzot
 *  *  *


小太郎は肩を上下に激しく動かし、息を整えようとする。
負け=死という呪縛から抜けられたからだ。
ようやく使命を果たした右手が開かれる。爪が皮膚を傷つけて血が流れてるが、気にしない。
しかし、
彼はもう戦えない。気を消費しすぎて瞬動も狗神も分身も出来ない。
一方のシャナも存在の力はまだ残っているが、肩の怪我が治っていない。
応急処置の効果も虚しく、再び傷口が開いている。
彼女も戦える事は出来るが、確実に戦力としは普段より劣っている。
即ち、これ以上戦っても勝つのは難しいのだ。そしてなぜこれだけ気にしているのかと言うと、
グレーテルは倒れていなかった。
舌を少し切ったのか口から血は流れているものも、立っている。
ただ動こうともせずに視線だけはこっちを向いていた。
グレーテルは咄嗟に後ろに倒れ込み、衝撃を少し和らげた。その結果がこうだ。
意識が一瞬失いかけたりもしたが、なんとか保っている。
しかし、これ以上戦えばいずれ負けると思った。
炎や狗を生み出し、おまけに分身の術ときた。今まで不意打ちで戦ってきたが、これ以上は相手にも警戒される。
つまり、グレーテルには残っている手は塩酸の瓶一本。それだけでこの二人を殺せるとは思えない。
彼女は『効率よく』人を殺して兄様に出会う事。その目的が達せられないのならば長居は無用。
幸い向こうも追撃をする事なく様子を見ている。むしろそれは好都合。

(今度こそずっと遊んであげるね。姉様と一緒に)

彼らの名前は知らないが、顔は完璧に覚えた。グレーテルはいつか彼らを殺す為にも、
階段を降り、名残惜しむ事なく、颯爽と廃病院を去っていった。


 *  *  *


何も言わず、何事もなかったかねように、逃げ出すグレーテルを小太郎達は追わなかった。
否、追えなかった。これ以上戦う気力が残ってないからだ。罠かと思うが、十秒程度何もなく、戻って来る様子もない。
ドサッ、と緊張の糸がほどけたかのように、小太郎は廊下に仰向けになって倒れ込む。
「プハー」というなんとも間抜けな声に一瞬魂が持っていかれそうになる。
それだけ怖かった。それだけ敵は強かった。しかし、もうその敵はいない。
シャナもようやくそれに続いてしゃがみ込む。
こちらは再び存在の力を用いて開いた傷口を再び閉じようとする。

「大丈夫か?」

そういえば、と今更になって心配し始め、思わず小太郎は聞いた。
両肩の出血だけを見ると激しい。これからも戦いは何回も起きるだろう。その中でこの傷が残るのならば大きなハンデとなる。
常人が思わず目を瞑ってしまうだろう怪我を見て、なんの迷いもなく答える。

「大丈夫。ちょっと時間をかければちゃんと完治する」

と手際よく傷口に新しい皮膚が作製される。
「それよりも……」
「なんや?」
見ると顔を少し赤くしている。続きを言おうとしてるのだが、なかなかそれが吐き出されない。
頭に?マークが出ているかのように、小太郎は首を傾げる。

「た、助けてくれて……あ、ありがと……」

後半はもうごにょごにょと、言葉として小太郎に聞こえたかはわからない。
わからないが、小太郎は驚いたような顔をして、それから困ったように小さく笑った。



128 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:08:06 ID:9ZrGIzot
 *  *  *


(さて……そろそろですかね?)

紫穂は小太郎達からは死角になるような位置で、そっと様子を伺っていた。
実力を拝見さした結果、彼らは強い。自分とは違って前線で暴れる事の出来るタイプ。それ故貴重な戦力となる。
襲ってきた方は完璧何処かへと去って行った。新しい人物もさすがにもう来ないだろう。
ならばこれは接触のチャンスである。
彼らの様子から、多分友好的に話しかければ問題ないはず。
服装に関しても成り行きを説明すればいい。
失敗する所はない。大丈夫、絶対上手くいく。
そう何度も自分に言い聞かせてタイミングを伺うのであった。


【B-3/廃病院外/1日目/真昼】
【グレーテル@BLACK LAGOON】
[状態]:ヘンゼル状態(カツラを取っています)、疲労(中)、右腕損傷、全身に重度のダメージ。
[装備]:サンライトハート(発動状態)@武装錬金
[道具]:支給品一式、ウィンチェスターM1897(0/5)@Gunslinger Girl、ウィンチェスターM1897の弾(残り5発)、塩酸の瓶(残り1本)、 神楽とミミの眼球
[思考]:早く姉様見つけたいな♪
基本行動方針:兄様(ヘンゼル)を探しつつ、効率よく「遊ぶ」(合流したらヘンゼルを姉様にする?)
第一行動方針:誰か新しい相手を見つけて遊ぶ。
第二行動方針:シャナと小太郎を殺す?
[備考]:グレーテルの行先は後の書き手さんに任せます。

【B-3/廃病院・2F廊下/1日目/真昼】
【シャナ@灼眼のシャナ】
[状態]:左肩裂傷&右肩刺し傷(治療中)、疲労(中)、小太郎を頼れる仲間&戦える仲間と認識。炎髪灼眼発現中
[装備]:マスターソード@ぜルダの伝説(重量感あり、使えない事は無い)
[道具]:支給品一式
[思考]:なによ……
第一行動方針:両肩の治療
第二行動方針:コキュートスを見つけたい(アラストールと合流)
第三行動方針:小太郎の仲間(ネギとエヴァ)を探す
基本行動方針:ジェダを討滅する。

【犬上小太郎@魔法先生ネギま!】
[状態]:気が僅か、疲労(中)
[装備]:手裏剣セット×9枚@忍たま乱太郎
[道具]支給品一式、工具セット、未確認支給品0〜1
[思考]:いや、別に何でもあらへんよ
第一行動方針:気の回復、休みたい
第二行動方針:ネギやエヴァと合流
第三行動方針:シャナのコキュートスを探す
第四行動方針:グレーテルの存在が気になる
[備考]手裏剣×3が廊下に散らばっておします。

【B-3/廃病院2階病室内/1日目/真昼】
【吉永双葉@吉永さん家のガーゴイル】
[状態]:気絶。腹部の銃創と胸部の刺傷は塞がったが、絶対安静
[服装]:血のついたオーバーオール、腹部にカラフルな包帯。
[装備]:メガネ@ぱにぽに
[道具]:基本支給品一式、コキリの剣@ゼルダの伝説、ショックガン@ドラえもん
[思考]:気絶中。
基本行動方針:このふざけた殺し合いを終わらせ、脱出する
[備考]:双葉は、「仮面の看護婦」の顔を見ましたが幼女のブルー(4歳)と同一人物であることにまだ気付いていません。
双葉はまだ名簿をちゃんと確認していません。
知り合い(梨々)が参加していることに気づいていません。
血濡れの庭師の鋏@ローゼンメイデンは病室内の机の上に置いています。

129 :you-destructiv ◇NaLUIfYx.g:2007/05/04(金) 12:08:37 ID:9ZrGIzot
【B-3/廃病院2階廊下の突き当たり/1日目/真昼】
【三宮紫穂@絶対可憐チルドレン】
[状態]:スクール水着の上に全身タイツを重ね着
[装備]:ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOODスクール水着@魔法先生ネギま!、全身黒タイツ@名探偵コナン、
[道具]:支給品一式×2、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE
[思考]:そろそろ……かしらね?
第一行動方針:2Fの三人(小太郎&シャナ&双葉)と接触する
第ニ行動方針:真正面からの戦闘に限界を感じ、ステルスor扇動マーダー路線を目指す
第三行動方針:そのために利用できそうな仲間を探す
第四行動方針:機会があればコナンとネギの2人にはきっつい復讐をしてやる
基本行動方針:元の世界に帰るために最後の一人になる
[備考]:サイコメトリーを駆使し以下のことを知りました
1、神社で起こったコナン&ネギ&リリスの遭遇について、支給品を透視して大まかに把
握しました。先入観による勘違いあり。
2、廃病院内部で起こった事態について客観的に把握しました。表面的に透視していたの
で、会話以外の細かい部分は見落としている可能性あり。


130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/04(金) 14:01:12 ID:ifkT9/in
投下乙。待ってたよー。

生き残ったか。
そうか、生き残ったかぁ。

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/04(金) 15:49:31 ID:kI8PQsu3
投下乙。

シャナはツンデレだなー。

132 : ◆CFbj666Xrw :2007/05/04(金) 16:29:37 ID:OmliALJD
予約も延長無く切れてるし、
工場組(光子郎、フェイト、ブルー、イヴ)と、それからグレーテルを予約します。

グレーテルは出る話が投下された直後だから、少し待った方が良いかな?

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/04(金) 17:42:57 ID:nfINEmEG
◆ou3klRWvAg氏は延長の連絡なかったし、残念だけど破棄でいいかと。
しかし、投下後即予約とは驚いたw

投下乙。
次回、紫穂が接触してくるか否か。小太郎と紫穂はネギのことがあるからどうなることやら。
シャナが炎出したり傷の治癒をしたりしたけど、存在の力の消費が状態表にないです。
使った量が少ないからすでに回復しきったのか、疲労(中)が存在の力の消費という意味なのか
分かりにくいのですが…。本スレに書けないようでしたら、したらばで答えていただきたいです。


134 : ◆NaLUIfYx.g :2007/05/04(金) 21:53:05 ID:+fxqDdBB
本スレへの転載ありがとうございましたっ!

>>133
存在の力の消費は書き忘れてました……
とりあえず消費(小)で治療の為消費中と考えています。
問題がないようでしたらWIKIに載り次第修正します

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 00:42:01 ID:xeRminNt
>>129

なんとかなったと思ったら
のうみその中を読める
はんそくすれすれの奴がいて、さらに
はんのうだんなみに厄介な情報を持っているのがやばい。
おとなしくマーダーが引き下がればいいんだけど無理だろうな。
れんぞくしてマーダーが近づいてくるから
のんびりしてらんないけどまさか心の中を
よむような相手だと二人は知らないから
めんどうなことになりそうだ。

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 04:09:06 ID:TYnenhqI
>>128
遅ればせながら乙!!
なんていうか不器用な二人のコンビがいい感じですね。
こういう少しづつ歩み寄っていくという関係が好きだったり。
バトルも迫力あってよかったです。

137 : ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:41:32 ID:ytldpZrg
投下を開始します。
途中で規制に引っ掛かった場合はしたらばの一時投下スレに投下しますので、どなたか代理投下をお願いします。

138 :ディアボロス ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:44:19 ID:ytldpZrg
「つまり、ニケの魔術は四大元素を基盤にしてるってことだよね」

木材の匂いが篭る部屋にインデックスの声が反響する。
彼女の周囲を見れば、部屋がそれなりの大きさを誇っていることがわかるだろう。
一本の木から切り出した丸テーブルが中央に鎮座していても、特に息苦しさを感じさせないほどだ。
粗末な造りの椅子もいくつか配置してあったが、そのうちの一つはとても使い物にならなくなっていた。
赤毛の少女、ヴィータが投げ飛ばした上、粉々にしたからである。
砕かれた椅子の残骸は、一応隅に寄せられていた。しかし、片付け切れなかった細かい木屑は散らばったままだ。
僅かな空気の流れによって舞い上がる粉塵が、臨時の住人の肩に降り積もっていく。
現在山小屋の中にいるのは四人。だが、動いている者は二人しかいない。
インデックスの言葉に耳を傾けながら、ニケはちらりと視線を動かした。
視界の隅に、気絶したエヴァが横たえられている様子が写る。
ニケを挟んだ反対側には、ロープで縛られたヴィータが転がされていた。
二人は目を固く閉じており、目覚める気配はない。
女の子を硬い床の上に転がしておくのはどうか、とニケは思ったのだが、布団の一つも持っていない現状ではどうしようもない。
それでも、地面の上でないだけマシなのかもしれない、と自分を納得させている。

「ニケ、聞いてるの?」
「ん? お、おお悪い! 今年度における葉っぱ下着コンテストの話だっけ?」

ガブリッ
ギャー

「……噛むよ?」
「じ、事後報告の脅しは卑怯だぞ……」
『自業自得だ』

遠雷のように響く声も、流石に呆れの成分が混じっている。
三つめの声の主はアラストール。神器『コキュートス』を介して意志を伝える魔神である。

「全く、お腹が減ってるのを我慢してニケの悩みを聞いてあげてるのに……」

イライラっぷりを隠そうとしないインデックスが不機嫌な声を出す。
万年ハラペコ少女にとって、空腹は怪我にも勝る一大事だ。
その事実を知らないニケが、何だそんなことか、といった感じで気を抜いても、それは仕方がないことだろう。
食料に対してそれほど執着心がないお気楽勇者が、ゲッソリしているシスターに向かって暢気そうに提案する。

「支給された食料を食べればいいじゃん。俺の相談は食事の後でもかまわないぜ」
「今日の分はさっき食べちゃったんだよ……。明日の分を食べようとしたらアラストールに怒られるし」
『一日で全ての食料を消費するつもりか? ここは我慢すべきだろう』

一分の隙もない正論を振りかざすアラストールに、インデックスはぐうの音も出ない。
支給された食料はたったの二日分。無計画に消費する余裕はないのだ。

「うう、ひもじい……。それに、パンが全然おいしくないんだよジェダのバカーッ!」
「むう。そういうことならいいもんがあるぜ」

哀れなシスターを見るに見かねたニケが、自分のランドセルの中から紙箱を取り出した。
『不死屋』と書かれた紙箱を開くと、三個の苺大福が入っている。

「こっちがアドバイス受けるわけだし、一個くらいは……ってインデックスが無数の拳を繰り出している!? ダメだ、一個しかやらんぞ!!」
「やだっ!! 食う食う食う食う食う食う食う食う食う食う食う食うくーうーっ!!」
「NUAHHHH、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!! つーか、その動きをリリス戦で発揮しろよ!!」
「いーちーごーだーいーふっくっ、欲しい欲しいほーしーいーっ!!」

吸血鬼も真っ青な食料強奪ラッシュにニケが本気でビビる。
このままでは3つとも奪われると察したニケは、舌戦に持ち込むことにした。秘技、屁理屈乱舞。

139 :ディアボロス ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:45:21 ID:ytldpZrg
「ええいしつこい!! よく考えてみろインデックス、これは支給品のひとつだぞ? つまり、同じ支給品であるコキュートスと同価値!
 そしてコキュートス=魔神のおっさん、よって苺大福=魔神だ。お前は神をも喰らうつもりか!?」
『和菓子と同列に並べられることを我が許容すると思うか? インデックス、殲滅してしまえ』
「Yes,Sir!」
「ラッシュの速度が上がった!? おのれ、教会の白いシスターは化物か!」

結局、インデックスが全部食べた。
勇者、完全敗北。

「くそう、貴重な支給品が一つ減ってしまった……」
「ふぅ、久しぶりに甘い物を食べられたんだよ」

満足そうに息を吐くインデックスを、ニケが恨めしそうに見る。
ハズレ支給品が減ったところでそんなに影響はないのだが、なんともやりきれない気分なのだろう。

「お前なぁ……。まあいいや、早いトコ『地の剣』の強化方法を教えてくれ」
「わかったんだよ」

ニケが教えを請うたのは『力を失った地の剣に切れ味を取り戻す方法』。
インデックスが記憶している10万3000冊もの魔導書の中に、精霊の加護を取り戻すヒントがあるかもしれないと踏んだのだ。
今度こそ真剣に耳を傾けるニケの前で、10万3000冊の知識が披露されていく。

「話を聞く限り、『地の剣』の属性は『土』。錬金術において固体を表し、冷と乾の性質を持つエレメントだね。
 地を司る天使は『神の炎』ウリエルで、支配精霊はノームになるかな。だから、まずは属性色を……」
「ちょっと待った」

インデックスの講釈がニケの言葉によって遮られる。
相談者である勇者は戸惑ったような顔で、

「インデックス、『地の王』や『宝石の精』に関する情報はないのか?」
「ないよ。精霊魔術について記述している魔導書は何冊もあるけど、ニケの言うような『精霊』は知らない」
「そうか、俺の世界とインデックスの世界は別モノなんだよな……。
 ん、待てよ? そうすると、インデックスの知識は俺の剣には通用しないってことか?」
「あ、何が言いたいかわかったかも」

ニケは思ったことをそのまま口に出した。

「土の精霊はノームって言ってたけどさ、俺の知ってる土の精霊はカタカナ言葉の演劇人形なんだよ。
 それに、『地の剣』をくれたのはウリエルとやらじゃなくてRPG好きのミノオヤジだ。インデックスが教えてくれた法則とは前提から違う。
 いや、インデックスの世界ではその方法が正しいんだろうけど、根っこの部分から違う『地の剣』には効かないんじゃないか?」
「うー、そうとも言い切れないかも」

インデックスは静かに言葉を紡ぐ。

「ニケは『法則からして違う』って言ったけど、大体からこの島の法則はメチャクチャなんだよ。
 見たこともない『界』がいくつもいくつも混じり合ってるのに、それぞれの法則に基づく魔術が問題なく発動してるって実は凄すぎる事態なの。
 それこそローマ正教が誇る『聖霊十式』級の霊装を使ったとしても、実現できるかわからないくらい」

考えてみれば良い。あらゆる魔術は一定のルールに従って実行される。
もちろん、ルールは一つではない。
ニケの世界を例に挙げれば、光魔法には光魔法のルールが、闇魔法には闇魔法のルールがある。
世界はたくさんの色彩(ルール)が重なり合って描かれる巨大なキャンパスのようなものなのだ。
あらゆる魔術は何らかのルールに従っていることだけは変わりない。
そこへ、すでにルールが固まっている所へ、新たに『別のルール』を突っ込んだらどうなるか。
これまで安定していたルールはかき乱され、魔術を使うための『基盤』が書き換えられてしまう。
例えば、『決して死なない吸血鬼がいる世界』と『吸血鬼を殺す道具がある世界』を混ぜたときのことを考えてみるとしよう。
二つの世界のルールは互いに反発し合い、『吸血鬼』の概念自体が崩壊する。これは、あらゆる事象に対して言えることだ。
魔術の基盤が崩壊した世界で、果たして魔術は正しく使えるだろうか?

140 :ディアボロス ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:46:31 ID:ytldpZrg
できるはずがない。
浮力や揚力の基準値が大きく変化した地球上で、設計図通りに作った飛行機を飛ばそうとするようなものだ。
あらゆるルールは捻じ曲げられ、魔術を使おうとすれば身体が崩壊する。
いくつもの世界に存在する全てのルールをかき合わせて、その全てを保つことなど不可能。

「だけどジェダは“それを実現させた”。『神の祝福(ゴッドブレス)』の代わりに自分の魔力を使うことによってね。全く、非常識にも程があるよ」
「えーと、つまり、何が言いたいんだ?」
「だから、この島には私が知ってる『界』も混ざってるんだよ。
 魔術っていうのは、存在する『界』の影響を間違いなく受けるから、もしかしたら私の世界の法則が『地の剣』に効くかも」
「成る程、そういうことなら試してみる価値はあるな!」

実はあまり理解していないニケが気勢を上げる。
『地の剣』が使えるようになればいいやという投げっぱなしオーラが目に見えるようだ。
思索派というより行動派のニケは、さっそく試してみようと質問を放った。

「で、具体的に何をすればいいんだ?」
「そうだね。太鼓に注目するならペガーナの『スカアルの太鼓』や中国の『栴檀鼓』があるけど、『土』の性質から攻めたほうがいいかも。
 一番簡単な魔術の強化法は属性色を使うことだから、とりあえず『土』の属性色である『緑色』を使ってみようよ」
「色をつけるだけでいいのか? でも、『緑』って言ってもなあ……。インデックスの胸に張り付いてる葉っぱしか見当たらn」

ガブガブガブガブガブゥッ
ギィヤァアアアァアアアアァアアアアッッ

バーバラパッパパー♪ 【ニケの称号『すけべ大魔神』のレベルが無駄にあがりました】

「ニケは真面目に聞く気があるのかなあああああああああああああ!?」
「痛い痛い痛いハゲるハゲるハゲる! なんでお前はこんなにアグレッシブなんだよ!?
 普通、こういう過激なスキンシップは心を許した相手にしかやらないんじゃいだだだだだだだだ!」
なぜか『勇者さん、仕様なんです御察し下さい!!』などとのたまう褌精霊の姿が脳裏に思い浮かんだ(二回目)。

「くそう!? ギップル本体が出てこないのに声だけは聞こえるのも仕様かよ!」
『でも、安心してください勇者さん! 勇者さんの死に際にも声だけ友情出演させてもらいますから』
「返答された!? しかも全く安心できねえ!」
『全く、さっきから何を贅沢言ってるんや少年! すぐ下見てみろや、シースルーの下に輝く理想郷が目に入らぬか!
 これぞ究極のチラリズム、下手な全裸より戦闘力高いやないかい! どうするカミやん、お株奪われとるで!』
「誰だオマエ!?」
何故か脳裏に浮かぶ青髪ピアスの男(出演二回目)に向かってニケが叫ぶ。

『勇者さんは妙なところで鈍いですからねえ。そんなことだからククリさんを悪魔化させたりするんですよ』
『ケッ、嫉妬されるとは随分といい身分やないか。お前なんか選択肢ミスってデッドエンドルート直行してまえ!』
「うおお!? 幻聴同士で会話し出した!?」
『勇者さんのデッドエンド時には是非『ギップル道場』で竹刀を振り回してみたいものです』
『いやいや、ここは『教えて! 青髪ピアス先生』でガクガク動物ランドをやなあ……』
「お前らなんか消えてしまえええぇえええぇえええ!!」

割と必死で叫ぶニケを、噛み付き攻撃をやめたインデックスが冷たい目で見つめていた。
ドン引きだ。

「ニケが壊れちゃったんだよ……」
『まあ、しばらくすれば落ち着くだろう』
アラストールが冷静に分析する。その声は呆れを通り越して憐憫の情すら混じっていた。

数分後、体力を使い果たして仰向けに倒れるニケの姿があった。

「ニケ、今の一人芝居は体力と交換してまですることなの?」
「……触れないでくれ。今は何も考えたくない」

141 :ディアボロス ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:47:58 ID:ytldpZrg
ぐてーと寝そべるニケに向かってインデックスが小首を傾げる。
一連の流れを見たアラストールは、ニケのためにも早急にインデックスの服を探すべきだと結論付けた。
この勇者、そこにツッコミどころがあれば身体を張ったギャグ、またはツッコミに走らずにはいられない性質らしい。
なんとも面倒な性格だ。
すぐさま対策を打つべしとばかりに、アラストールはやや強引な話題転換を実行する。

『ところでインデックス、服を手に入れるアテはあるのか?』
「ふっふーん、そのあたりはちゃんと考えてあるんだよ」
『ほう?』

やけに自信満々なインデックス。
予想外の態度に、アラストールはいぶかしみながらも先を促す。

「『がっこう』の『ほけんしつ』には『たいそーふく』があるものだってひょうかが言ってた!」
『ふむ、確かに予備の服くらいはあるかもしれんな』
「それと『げーむせんたー』には超機動少女カナミンのドレススーツがあるの!」
『いや、それは知らんが』

超機動少女について熱く語るインデックスの言葉を聞き流しつつ、アラストールは思考する。
この島にゲームセンターがあるかどうかわからない以上、服を手に入れるには学校に向かったほうがいい。
それに、学校といえば『あの子』にも馴染みが深く、もしかしたら、という期待も捨てきれない。
だからこそ余計に“斥候に向かった二人”の帰りを待つべきだ、と。

「あー、そうそう、なのはのことなんだけどさー」

そうこうしているうちに戦闘不能状態から回復したニケが、性懲りもなく会話を続けようとする。
こいつは黙っていることができんのか、とアラストールは心中で溜息を吐いた。


時間は少々遡る。


   ※   ※   ※   ※   ※


「今すぐ島の中央部に向かう?」

疑問の声を発したのはニケ。その顔には戸惑いの色が浮かんでいる。
数十分前まで戦場であり、数分前まで拷問場であった山小屋も、ようやく平穏を取り戻そうとしていた。
騒動を起こした張本人であるヴィータはニケによって縛り上げられており、一時的ではあるが危機は去ったと言えるだろう。
その山小屋の中で、高町なのは――彼女も騒動の張本人と言えなくもない――がこれからの行動方針について主張し始めたのだ。
曰く、

「ヴィータちゃんが殺し合いに乗っている理由は、はやてちゃんが心配だからなの。
 だから、はやてちゃんさえ見つかればヴィータちゃんはきっと味方になってくれる。
 ううん、味方にはなってくれないかもしれないけど、少なくとも参加者を殺して回る理由はなくなるはずなの」

必死に言葉を紡ぐなのはの顔に浮かぶのは、焦燥。
知り合いの変貌ぶりを見て、改めて事態の深刻さに気づいたのだろう。
なお、彼女の聴覚障害はかなり治まってきていた。
爆発など強大な音響、気圧によって瞬時に聴力が低下する急性音響性外傷は一過性聴力閾値上昇と音響外傷があるが、
幸いにもなのはの症状は一過性聴力閾値上昇であり、可逆性の聴覚障害であった。
何度も繰り返して聴覚にダメージを与えない限り、安静にしていれば回復する症状だ。
だが、後遺症がないわけではない。耳鳴りは残り、精神的疲労は蓄積していく。
轟音に襲われた直後の状態では、聴覚がそこまで回復しておらず、かなり辛いはずだ。
それでも、なのはは訴えることをやめない。まるで、何かに突き動かされるように。

142 :ディアボロス ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:49:38 ID:ytldpZrg
搾り出すように訴え続けるなのはの言葉を、勝が補足する。

「つまり、参加者が集まりやすい場所、例えば島の真ん中とかで八神はやて、または八神はやての情報を持つ者を探す、ってこと?」
「うん。このままエヴァちゃんの回復を待ってじっとしていたら、その間にはやてちゃんが危険な目に合うかもしれない。
 そうしたら、きっとヴィータちゃんを止めることはできなくなる。今は、とにかく動くことが先決だと思うの」

ヴィータの行動原理を訴えるなのはは、純粋にヴィータのことを案じていた。
ヴィータに対して拷問を行ったのは、破滅にしか繋がらない彼女の凶行を止めるため。
決して、恨みや憎しみから来る行動ではない。
なのはの気持ちを察したのか、それまで黙っていたアラストールが、大気を震わすような声で確認を取る。

『つまり、八神はやてを探す者とヴィータを監視する者の二手に別れるということだな』

しかしなのはは、アラストールの言葉に頷かなかった。

「ううん、それだけじゃない。はやてちゃんの捜索を始める前にやっておくことがあるの」

なのはは自分の『意志』を提示する。
それは、絶対にヴィータを助けるという意志。
ほんの僅かな可能性も決して見逃さないという、鋼鉄の意志。

「エヴァちゃんもヴィータちゃんも含めて、皆揃って島の中央部に向かうの。
 島の真ん中に拠点を作れば他の参加者と遭遇しやすくなるし、その中に探し人がいる可能性も決して少なくはないと思う。
 はやてちゃんが見つかったときに、すぐヴィータちゃんを引き合わせられるようにしておきたいの」

その提案に、他の3人は意表を突かれたようだった。
ニケは天井を見上げて悩み始め、勝は俯いて何やらぶつぶつ呟き、インデックスは沈黙を保ち続けた。
皆、考えているのだろう。怪我人を二人も担いで移動することの大変さを。
動けない人間がいるということは、その人間が戦力にならない、というだけのことではない。
当然、その人間を運ぶ役が必要になるし、戦闘時においては庇いながら戦わなければならない。
戦争において『仲間が死ぬこと』より『仲間が動けなくなること』のほうが、数段厄介なのだ。
その反応を予期していたのか、なのはは特に慌てなかった。
気まずい沈黙の中、皆の意見を代弁するようにアラストールが懸念の意を示す。

『だが、気絶した人間を運ぶとなると、その分人手が削られるぞ。
 また、人が集まる場所には危険人物も集まる。そんな危険地帯に怪我人を連れて行くことも納得できんな。
 問題はまだある。いつ暴れ出すかもしれないヴィータを、一体誰が運ぶというのだ?』
「私が運ぶ」

迷いなく言い切るなのは。その言葉には有無を言わせない何かがあった。
彼女は決して他人に甘くない。しかし、それ以上に自分に厳しい。
一言でアラストールを黙らせたなのはは、反論を封じるかのように畳み掛ける。

「山小屋から動きたい理由のひとつは、この場所だと八卦炉が使いにくいからなの。出力を出しすぎると崖崩れを起こしちゃう。
 山が崩れたらこんな山小屋なんて一発で潰れちゃうだろうし、皆も巻き込んでしまうかもしれない。
 人が集まる場所は確かに危険だけど、それはどこでも言えることだと思うの。この島に危険じゃない場所なんて一つもない。
 だったら、八卦炉の性能が存分に引き出せて、はやてちゃんの情報があるかもしれないところに行くべきだと思うの」

一気に喋りきったなのはの額には、薄く汗が滲んでいた。
その気迫に押されたのか、話を聞いていた3人は暫く沈黙を保った後、

「……虎穴に入らずんば、ってやつか。一つの賭けになりそうだね」
「私も賛成なんだよ。元々、人が集まる場所に行くつもりだったし」
「つまり、俺がエヴァをおぶることになるのか……って四方八方からの視線が痛い! べ、別にやましい気持ちはないぞ!」
「みんな……」

143 :ディアボロス ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:51:21 ID:ytldpZrg
勝は渋々、インデックスは何とか納得して、ニケは空回り気味のギャグを言いながら承諾した。
勝もインデックスも、隅の安全地帯で震えているような性格はしていない。むしろ、危険地帯にどんどん首を突っ込んでいく性格だ。
ニケも、仲間の捜索より自己保身を優先するような人間ではなかった。仮にも勇者の端くれである。
そんな3人が、最初になのはの提案に乗ることを渋っていた理由はただ一つ。
果たして、エヴァやヴィータを守りながら行動できるのか、ということだ。
その対策を四人+アラストールで練った結果、

『まず、斥候役が罠や敵が潜めそうな場所を潰しながら、島の中央部までの道程を確保する。
 このとき、決して残りのメンバーから離れすぎず、敵と遭遇した場合はすぐさま撤退すること。
 通る道が安全だとわかったら、斥候役は来た道を戻って残りのメンバーと合流。
 その後、気絶している二人を守りながら全員で移動、と、この作戦でいいのか?』

アラストールが話し合いの結果をまとめ、それに対して皆が頷く。
何人かが先行して安全を確かめ、その後に全員が続くというシンプルな作戦。
保険をかけるとはいえ、動けない二人を庇いながら移動することは避けられず、全員が大きな負担を強いられる。
更に、そこまでやっても決して安全に移動できるとは限らない、細い綱を渡るような作戦。
それでも、動くしかない。いつヴィータが目覚めるかもわからず、今は一分一秒が惜しい状況だ。

『この作戦には穴がありすぎる。そう多用はできん。
 山を抜けたところで適当な施設を見つけたら、そこを拠点に改めて捜索を開始したほうがいいだろう』
「うん、わかってる。でも、まずはこの山脈を抜けなくちゃ」

斥候役であるなのはは八卦炉を片手に持ち、いつでも使えるようにしている。
作戦提案者のケジメとして、危険な役割である斥候役に自ら志願したのだ。

「ニケくん、ヴィータちゃんとエヴァちゃんを守ってあげてね。すぐに戻るから!」
「お、おう! 任せとけ!」

ニケがややぎこちない感じで言葉を返す。
二人の会話を横で聞いていた勝は、少し考えた後、なのはに向かって低い声を出した。

「それじゃ、行こうか。念のためにもう一度言っておくけど……」
「わかってる。八卦炉は『本当に必要な時』にしか使わないよ」
「……わかった」

なのはと共に斥候に赴くのは勝。彼も自ら立候補している。
それは、正義感のためだけではない。現時点での勝の最たる目的は、高町なのはの監視だ。
八卦炉に破壊以外の用途があることがわかったとはいえ、危険な武器であることに変わりはない。
譲り渡す相手を間違えれば、即大惨事に繋がりかねない代物である。
だから、勝は危険を承知で先見部隊に立候補した。
『なのはが八卦炉を正しく使えるかどうか』見極めるために。


   ※   ※   ※   ※   ※


そして、現在。

「はっ、はぁっ、はっ」

高町なのはは、山を通り抜けるルートを確認し終え、ニケたちが待つ山小屋に向けて走っていた。
地を蹴り岩場を縫う走りは風の如し。光に瞬かず影を射抜く眼光は獣の如し。
追走する勝を置き去りにしかねないほどの早さで、白い少女が走り抜ける。

「なのはちゃん、待った! 焦りすぎだよ!」

背後から静止の言葉をぶつけられても、高町なのはは走る速度を緩めなかった。
彼女がここまで必死になっているのには理由がある。
胸の裡に燻る『ヴィータを守らなければならない』という使命感。

144 :ディアボロス ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:52:16 ID:ytldpZrg
なのはは、ヴィータを傷付けたことに対して後悔はしていない。
あの状況では仕方がなかったことだと思っているし、結果的に誰も命を落とさなかった。
自分の行動は間違っていない。
それでも。それだからこそ。
ヴィータは助けなければならない。必ず主と合流させ、心を元に戻してあげなくてはならない。
高町なのはは、そう決意していた。
本人は気付いていないが、その決意は罪悪感の塊でもあった。
知り合いの皮膚を焼き、肉を抉り、身体を削る。
そんな行為を何も感じず平然と行える者は、もはや人間ではない。
それは、悪魔だ。
そして、幸か不幸か高町なのはは“まだ”人間だった。
どうにか。からくも。かろうじて。

「はっ、はっ、やっと、着いた……」

大きな角を曲がったなのはの目前に、目的地である山小屋が現れた。
いつの間にか、背後から聞こえていた勝の声も聞こえなくなっている。
知らない間に引き離してしまったのだろう。
ここに来てようやくその事実に気付いたなのはは、そこまで自分が焦っていたのかと愕然とする。
魔力を駆使して飛ぶように駆けるなのはに対して、勝は魔力を有していない。
加えて、子供の体格にとっては大きすぎる魔剣を装備しているのだから、本気で走り合えばどちらが早いかは言うまでもない。
この事態は、なのはの失敗。
ヴィータたちの身を案じるあまり、周りが見えていなかったのだ。積もり積もった精神疲労が原因である。
いくら安全を確認した帰路であったとしても、この分断が致命的な隙であることは疑うべくもない。
本来なら、この時点で自らの行いを振り返るべきなのだが、

「後で……勝くんに、謝らなくちゃ……」

それでも彼女は止まらない。
自らの意志を、決意を、貫き通す。

「ニケくんたちは――」

無事だろうか。そう、言いかけて。
山小屋のドアを開けようとして。
そして、聞いた。

145 :ディアボロス ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:53:04 ID:ytldpZrg
『――っきの――なのはは――かったな――』
『――ん。でも――れは――赦がないだけ――』
『――自分のこと――魔って言って――』
(私の、話……?)

山小屋の中から聞こえてくるのは、ニケとインデックスの話し声。
自分の話をされていると感づいたなのはの手が止まる。ほんの、一瞬の躊躇。
それが間違いだった。

『――今まで、色んなモンスターと戦ってきたんだけどさ。八卦炉使って拷問かましたときのなのはは――』

高町なのはとニケが出会ったのは、ただの偶然だ。
島に移動させられたとき、初期位置が近かったというだけの理由。
支給品は互いにハズレ。
出会った直後に、ニケがなのはのスリーサイズを計ろうとした。
その後、ニケはなのはにボコボコにされる。スケベ大魔神という称号を得たのもこのときだ。
ニケがいきなり太鼓を叩き出したこともあった。
思わずツッコミを入れてしまったなのはも、話の流れで何故か踊ることになる。
山の上で踊り狂うなのはと、更に調子に乗って太鼓を叩きまくるニケ。
そして、エヴァに説教される二人。
二人してヘコみ、二人して反省した。
否、ニケは反省していなかった。
『水の剣を使うため』と称して、なのはとエヴァにとてつもなくアホな要求をしてのけたのだ。
当然、ぷんすか怒ったなのはと殺意すら持ったエヴァにボコボコにされた。
……碌なエピソードがない。
友情を深めるシーンも、互いを励まし合う感動のシーンもない。
一緒に行動した時間は、半日にも満たない6時間程度。
それでも、二人は仲間だった。



『今まで出会ったどんな悪魔より悪魔らしかったぜ』





ドアノブが、遠い。







146 :ディアボロス ◆JZARTt62K2 :2007/05/05(土) 08:54:13 ID:ytldpZrg
【不安定性強集団】

【B-5/山小屋の前/1日目/真昼】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力消費中、精神疲労大、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、強靱すぎる鋼鉄の決意
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project
[道具]:クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら(ポケット)
[思考]:…………。
第一行動方針:???
第二行動方針:自分の友人(特にはやて)やニケ・エヴァの仲間を探す。そのために、島の中央部に移動して情報を集める。
第三行動方針:エヴァが回復するまでエヴァを、それから無力化したヴィータを護る。
第四行動方針:仲間や情報を集める。特にフェイトは使える知識を持っているはず。
基本行動方針:仲間と共にゲームから脱出。できれば主催者打倒。
      相容れない相手も出来るだけ殺さないで無力化する。その為には手段を選ばない?


【B-5/山小屋/1日目/真昼】
【ニケ@魔法陣グルグル】
[状態]:すけべ大魔神LV.6、魔力大消費、中程度の疲労、左肩に切り傷あり、なのはに隠しきれない恐怖
[装備]:スペクタルズ×8@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、クロウカード『光』、 コエカタマリン(残3回分)@ドラえもん、メタルイーターMX(弾切れ)@とある魔術の禁書目録
[思考]:俺が知ってる悪魔ってマヌケなやつばっかでさー
第一行動方針:自分の仲間となのは&エヴァの友人(八神はやてを優先)を探すため、島の中央部に移動して情報を集める。
第二行動方針:水の剣が使えるか試しておきたい
基本行動方針:とりあえずラスボスを倒す。その過程で女の子の仲間が増えればいいッスねぐへへ
[備考]:ニケとエヴァは、1つの仮説を立てました。その概要は以下の通り。

※『結界』は空中だけでなく、地中にまで及んでこの島を球形に包み込んでいると考えられる。
この『結界』は外部との念話や、転移魔法を阻害する性質を持つと思われる。
OPで全参加者を転移させたことなどを考えると、ジェダもまたこの『結界』内部にいる可能性が高い。
おそらくは島の地下。
その地下空間と地上の間に、緊急用の通路がある可能性がある。特に怪しいのは城や塔、洞窟など。


【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:それなりの空腹とそれなりの疲労、
[装備]:水の羽衣@ドラゴンクエストX、コキュートス@灼眼のシャナ、葉っぱの下着
[道具]:支給品一式(食料−1日分)、逆刃刀・真打@るろうに剣心
[思考]:あれ、小屋の前になのはの魔力が……。
第一行動方針:状況を打破するため情報を集める。(島の中央にある学校を目指す)
第ニ行動方針:シャナと合流
第三行動方針:太った男の子(パタリロ)を警戒
第四行動方針:普通の下着、てか服がほしいかも。保健室に『たいそーふく』はあるかな?
基本:誰にも死んで欲しくない。この空間から脱出する。
[備考]:主催者の目的を最後の一人か、この状況を何らかの魔術儀式に使うと考えています。
アラストールと互いの世界に関する詳細な情報交換を行いました。

147 :代理投下:2007/05/05(土) 09:48:59 ID:YkKCCsXT
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:気絶、一見無傷だが命に関わりかねない程に衰弱、魔力消費(空)
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、歩く教会の十字架@とある魔術の禁書目録、クロウカード 『希望』@CCさくら
   なのはの荷物(基本支給品、時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん)
[思考]:……(気絶中)
第一行動方針:????
第二行動方針:リリスに激しく警戒、というか殺す!
第三行動方針:同じ目的の者を探し、仲間と情報を集める
第四行動方針:ジェダが島の地下に居る、という仮定に基づき、地下空間に通じる道を探す
基本行動方針:ゲームからの脱出。ジェダを倒す。
[備考]:
エヴァンジェリンは、預けられた「なのはの荷物」を一通り調べています。
支給品の説明書も読んでいるようです。
光魔法『カッコいいポーズ』がジェダにも有効かもしれないと考えています
リリスが他の参加者と同じ待遇だと認識しました


【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:気絶、魔力消費小、両腕がほぼ動かない程の傷(治癒魔法で治療可能)、
   左足にもレーザー火傷、左手爪全剥、幾つかの打撲、聴覚障害軽微
[装備]:「ぬのハンカチ×20即席ロープ」(縛られている)、祈りの指輪@DQ
[道具]:基本支給品
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:………………(精神障害の可能性有り)
第一行動方針:???
基本行動方針:はやてを見つけ出し、守り抜く。
※:肉体強化を行っていた為か、なのはより聴覚障害は軽微です。
※:弾切れしたが床に転がっています。


【B-5/山脈地帯/1日目/真昼】
【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:両手の掌に軽い火傷、腰から背中にかけて打撲
[装備]:フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品(ペットボトル一本消費)、勇気ある者の盾@ソードワールド、ドラゴンころし@ベルセルク
[服装]:上半身裸(シャツは引き裂いてしまいました)
[思考]:早ッ!? てか道間違えた!
第一行動方針:高町なのはに着いていき、ミニ八卦炉を任せていいか見極める。というかまずなのはに追いつく。
第二行動方針:殺し合いに乗った人物に危険な武器を渡さない。
第三行動方針:対主催派で使いこなせる者にドラゴンころしを託す。
基本行動方針:殺し合いを止め、ゲームを壊す
参戦時期:????

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 10:59:20 ID:41wehtKL
これは……なんという間の悪さ
ニケ、ホントにお前って奴は……いや、お前は悪くないんだけどタイミングが悪すぎるというかなんというか……
なのはさん、絶望して暴走したりしないだろうなあ。不安だ……

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 11:08:01 ID:xeRminNt
GJ
ニケが駄フラグゲッターとたいしてかわらんようになってきて、
インデックスの考察もあいかわらず凄くて禁書ぽいギャグな雰囲気だ。

でも、後半は欝要素ばっちり。
なのはさんと禁書目録の反応が気になる。

ゲボコの状態のここはいらないよねぇ?
※:弾切れしたが床に転がっています。

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 12:14:06 ID:nh4Lncm9
ニケやっぱり空気読めないwwwwwww

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 13:46:39 ID:H8cp2kJ5
まあ原作でもククリが悪魔になったりしてるしきっと何とかしてくれる……とは思えないなあw

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 14:05:55 ID:Dqy3hFfD
>>151
なのはが「だいきらいだあ」とかいってデビルなのは化する姿を想像してしまったwww
ちょっとみてみたいかもw

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 14:08:08 ID:96/Bfjrd
投下乙。
思考欄が愉快なことになってるw
「悪魔でもいいよ」な以上、即暴走って事は無いだろうけど……積み重なるとじわじわ来そうだな。
なのはが暴走する他に、なのはへの恐怖でニケや勝が暴発する危険も高いし。

がんばれハラペコシスター

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 15:11:21 ID:LsqYWVur
投下GJ。初期の空気っぷりはどこへやら、ここ最近のインデックスは色々すごいな。
前半のギャグも禁書とグルグルの感じが出てて面白かった。
後半は……昨日とあるMAD見てたからなのはが今後「嘘だっ!」とか言いそうで怖くなってきたよ。
原作では一度も心が折れなかったなのはさんも今はやばいな。

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 15:12:19 ID:TYnenhqI
うわあ……欝だなあこりゃ。
ニケみたいな単純馬鹿でお人よしっぽい奴に
こういうこと言われた日にゃ、めちゃくちゃ精神的ダメージ大きそうw
投下GJ!!

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 15:16:20 ID:LsqYWVur
他の人の感想見返したらなのはに「さん」付けする人が多くて笑ったw


157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 22:55:36 ID:pQ+kebak
今気づいた。

[思考]:俺が知ってる悪魔ってマヌケなやつばっかでさー

ニケ……自重しろ……

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/05(土) 23:25:37 ID:D43xDKfQ
インデックスは小萌先生と同じ人種らしいからキチッと叱ってくれると思うが……
ニケの毛髪がロワ終了まで耐えられるかが心配だ

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 00:57:38 ID:kFbzSY2z
>>157
グルグルの敵キャラはコミカルなやつばっかだからね。
拷問するようなキャラはいないからしかたない……って、普通はいねえよ!

なのはが拷問したときそんなに違和感感じなかったのはなんでだろうな?

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 01:00:28 ID:cU9PNHNX
>なのはが拷問したときそんなに違和感感じなかったのはなんでだろうな?

その後、>>159の姿を見たものは誰もいなかった…。

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 01:21:55 ID:59nlH90M
インデックスにしてみれば、250人による一人に対しての集団リンチや
アイアンメイデン、生きたまま手足をゆっくりと腐らせる、魔女裁判等の
極悪クラスの拷問を知っているからなのはに対して怯えを見せないのだろうか?

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 01:53:49 ID:1HN1r72C
少し前に本物の悪魔が吸血鬼の顔面を変形させるところを見てるしなw

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 08:01:16 ID:yDCBNWR8
>>156
ヴィータ「高町なのは!」
なのは「"さん"を付けろよデコスケ野郎ォ!」


こうですか?分かりません!

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 09:35:22 ID:qMlbjcrF
ストライカーズ第一話ではこんなやり取りがある

すばる「あ、あの……高町教導官!」
なのは「なのは『さん』でいいよ、みんなそう呼んでるから」

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 10:11:36 ID:UXs5sdEY
ひいいいいいいいいいい

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 10:12:32 ID:UXs5sdEY
確か話かけられたすばるに「あぁ?」って言ってたような……

167 :某所から改変甜菜:2007/05/06(日) 10:34:05 ID:H3quVmLi
     ,>、ヽ ,. ゝ―-、////ニニヽ ,__
   jニ-―ty′            \__`フ
 /ィ''ア´ /   // /ハ     、 ̄ヽ、 |
/ / y′,イ::ィ  7!7,イ/ ! l |  \ \   <いいの ベイべー!
|/  / /,.〈 l トイfヒ7`  ハイ/!  ト、',、  ト、.  殺さずないで無力化する奴は悪魔なの!!
|、  !ク  ⌒| |    , 代},イ/! / |ト、ヽト、\ その為には手段を選ばないのはよく訓練された悪魔なの!!
ヽ\     vト、 {_ア  ,イ| | レ′,ト、 \  \\     
 \二Z_/> 'ト-‐ ァ'ヽ/ _, " ノ `ー'   ヽ \ リリカル
   ,, - 'ヽ, ゙L,::ヽィァ'"::::_} ゙l,   ホントLSロワは地獄なの! ナァノハハハーハァー
 /     ヽ〈_::::ィ::ト、::::::)_l_       ri                   *● < Don't worry.
,/(9    r‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
l ,===-_ l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
l´     `ヽ   _|_  _       "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
ヽ:,.     'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄  [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 11:34:58 ID:sDGem2xh
さすが鬼教官……RHもしっかり居るしw

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 12:00:07 ID:nqZuzAaC
>>167
I, ma'am!
敵対勢力は徹底的に無力化します!

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 13:03:34 ID:59nlH90M
ふと思った。この面子は誰もインデックスの名前をつっこまないんだな。
初見の人間で英語が多少できれば「目次かよ!」って突っ込みそうなのに。
忙しくてそれどころではないんだろうけど。

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 13:25:52 ID:kgR9XoMJ
あれだ
きっとイン=デックスみたいな苗字と名前に分かれていると思ってるんだよ

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 13:37:22 ID:sDGem2xh
常磐の森の黄色、緑、青、赤とか、
人類最初の女性、その前の妻、福音、天才とか、
淫らな姉妹とか他にもすてきな和訳が色々と

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/06(日) 13:41:47 ID:CG+y3QOp
>>171を見て真っ先にギャラン=ドゥを連想してしまった俺

174 :さすが肥溜め大阪府:2007/05/06(日) 17:51:31 ID:OQKphFax
エキスポランド側は午後4時から緊急会見。山田三郎社長ら同社責任者11人が勢ぞろいして行われた場では、車軸の点検について、施設営業部長が「毎年5月に実施していた。今年も5月15日から予定していた」と説明していた。
ところが、会見後、保守点検部門の責任者として1人で応対していた同部長は、報道陣の質問に「実は2月の予定だった」と“前言撤回”。例年2月に実施している年1回の解体点検を5月に先延ばししていた経緯を説明し始めた。
折れた車軸部分は外部から確認できないため、月1回の定期点検や日常的な目視点検の対象ではなく、解体検査が必要だが、今年2月の検査では、新アトラクション建設のため点検作業の場を確保できないとの理由で、解体して調べなかった。
最初の会見で、なぜ5月の予定と説明したか、との質問に、同部長は視線を落として沈黙。その後、新アトラクションについての問いには「見られていなかったら、ぜひ探検してほしいんですが」と笑みまで浮かべてアピール。危機意識に欠ける対応だった。

175 : ◆3k3x1UI5IA :2007/05/07(月) 13:35:59 ID:RgjcKrSv
本編ではお久しぶりになりますが……

 レックス、雛苺、ベルフラウ 以上3名予約します。

久しぶり過ぎてちゃんと書けるかどうか不安ですが、延長せずに済むよう頑張ります。

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 13:48:36 ID:a5c8fvVR
>>175
おお期待

177 : ◆CFbj666Xrw :2007/05/07(月) 16:25:07 ID:EeZkxQB6
間に合わず、予約延長します。申し訳有りません。
明日には投下したいと思います。

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 18:44:06 ID:a5c8fvVR
>>177
がんばれー

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 18:56:39 ID:rpl6dWM5
>>175,>>177
お二方とも超ガンガレ

180 : ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:17:37 ID:9C3e5TUi
ラジオ前からまったりと書いていたSSが完成したので投下します。
予約しなかったのは、考えがまとまらず、いつ完成にこぎつけられるのか
分からなかっただけなので深い意味はないです。ということで、
イリヤ、さくら、梨々投下します。


181 : ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:18:09 ID:9C3e5TUi
夢を見ていた。
聖杯戦争じみた、殺し合いの夢。
その中に放り込まれた私は、願いを叶えるためにそのゲームを肯定することにした。
まずは、生きている人形を壊した。
どうすれば息の根が止まるのか分からなかったから、入念に全身を砕いて水底に沈めた。

次に、寡黙な魔術師を殺した。
劫火に焼かれた死体からは、形容しがたい異臭が漂っていたことだろう。
そんなものに喜びを覚える趣味など持ち合わせてはいない。
獲物を仕留めた事実のみを胸に、私はその場を去った。

どこまで行っても光が見えない闇の中、私の足元には二つの死体がポツリと横たわっている。
これは私の夢の中。
支配しているのは私だというのに、いつまでも不快な死体を見ているつもりなどあるはずがない。
だから、人形の残骸と冷たくなった少女の姿を消し去った。
ほっと息を吐く。
しかし、それも束の間のこと。
二つの死体が消えた代わりに、二つの人影が現れた。

一人は少年だった。
触れればひんやりとしていそうな銀髪をたくわえ、そしてそれとは対照的に燃えるような怒りを瞳に点した少年。
堅く握られた拳には今にも血が滲んでくるのではないかというほどの力が込められ、
その視線は真っ直ぐと私の姿を捉え、片時も外されることはなかった。
まるで、不可視の檻に閉じ込められた猛獣だ。

もう一人は少女だった。
脚が不自由なのか車椅子に乗り、奇妙なことにメイド服を身に着けた少女。
こちらのほうは、ひたすら悲しそうな顔をしていた。
同時にその表情には自身の無力さを嘆き、悲しみ、それでも抗おうとする強さが宿っていた。

182 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:18:57 ID:9C3e5TUi

二つの視線の焦点に、私の身体はあった。
怒り、悲しみ、憎しみ、悔しさといった負の感情が私を射抜く。
だけど、足りない。
そんなものでは私の心にたった一つの波を起こすことさえ出来ない。
私の願いの前には、あまりにも非力過ぎる。
息をするよりも簡単に、彼らの姿を闇の中に溶かした。

何もかもがなくなり、世界が黒に染まった……はずだった。
だけど。
全てを消し去っても、消しきれないもの、たった一つだけ残るものが、そこにはあった。
現れた影は、私の迷いの極地。
会いたかったけど、今は会いたくなかった存在。
今の自分がその名前を口にするのは躊躇われる存在。
正義の味方を幻想する、赤い髪の青年。
彼は、とても悲しそうな顔をしていた。
男のくせに今にも泣きそうな顔をしながら。
それでも、その目は何かを訴えてくるような意思をはらんでいた。
言葉がなくても分かる。
彼は、私を非難しているのだ。
そのことが痛いほどよく分かるから、私は叫ばずにはいられない。

「一緒にいたいだけなの! 普通に生きていきたいだけなのに、そんなにいけないこと!?」

このゲームに参加している人間が、救いようのない悪人ばかりなら良かった。
余計なことを考えずに、殺すことだけを考えていれば願いに近づくのだから。
なぜ、ここで出会う人間はみんな彼みたいな澄んだ眼をしているのだろう。

「答えてよ……シロウ……」


――私は、あと何回正義を砕けば、願いに辿り付けるのだろう。


  *  *  *




183 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:19:30 ID:9C3e5TUi
寝覚めの悪い夢の終了に伴って、イリヤの意識は覚醒する。
高空へと投げ出されたような浮遊感が迫る。
何のことはない、夢から現実へと回帰する際に誰しもが経験しうるものだ。

ゆさ、ゆさ。

……だが、どうやら今回イリヤに訪れた目覚めは、通常とは異なるものであるらしい。
夢と現実の狭間。その一瞬に現れるはずの宙を舞う感覚、それがいつまで経っても消えないのだ。

ゆさ、ゆさ……。

(何なの……いったい……)
相変わらず、イリヤの意思とは無関係に身体がユラユラと上下に揺れ続ける。
これが揺りかごによるものだったなら、さぞ心地よかったことだろう。
イリヤにとっては幸か不幸か、今彼女が感じているのは揺れ幅もリズムも不規則な、言ってしまえば不快な運動だった。
当然、二度寝などできるはずもなく。
ようやく、貼り付いたように閉ざされていたイリヤの瞼が、ゆっくりと開かれ始める。
目に入ったのは、ごく僅かに朱が混ざり始めた高い空。そして空よりは低く、しかし手を伸ばしても届かない高みにある、
空を真っ直ぐに切り裂く灰色の無骨なコンクリート。
その風景を視界に収めたのをきっかけにして、イリヤの頭は回転を始める。
(あ、そうだ……。わたし、確か橋の下で休んでいたんだった……)
真上にあるのは、寝る前にも今と同じように見上げていた橋である。

ゆさ、ゆさ……。

(さっきから何で揺れてるんだろ……? 地震?)
思考がかみ合わない。どうやら、なぜ橋下で休憩する必要があったのかを思い出せていないらしい。
彼女は呑気な考えを頭に浮かべながら、視線を左右に巡らせる。
再び目に映るのは先ほどの空、橋。そのままグルリと左に目を向けると――、

「良かった〜、気が付いたみたいだね」
「!?」

見知らぬ少女と、目が合った。
(――っな、)
何これ、と思う間もなくイリヤの全身から冷や汗がドッと噴き出す。
同時に、はっきりとしていなかった頭も一気に目を覚まし、肺の中が詰まったような息苦しさを覚える。

――この少女は誰だ? あれからどのくらいの時間が経った?



184 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:20:03 ID:9C3e5TUi
混乱しているイリヤには分からない。
自身の背中と大腿の辺りに腕を回され、抱きかかえられている――いわゆるお姫様抱っこをされていることに。
そして、人一人を軽く持ち上げることができる、とあるグラブの存在など知る由もない。

「は、離しなさいよっ!」
「わわわ、暴れないで!?」

抱えられたままのイリヤが、空中でジタバタともがく。
不意を突けたおかげなのだろうか、あまりにも呆気なくイリヤは脱出し、
重力に従って転がるように地面に落着する。
ザッ、という鈍い音が響き、イリヤの身体が打ち付けられた。
痛いと思う暇などない。
体勢を整えるよりも前に、イリヤは懐からカードを取り出す。
起動は一瞬。
イリヤの手の中のカードが瞬く間もなく黒い長杖へと変化した。
手品のように現れた杖に驚愕した少女が、

「待って! わたしは――」

何かを言いかけるが、イリヤには届かない。
イリヤにとって遭遇した者は全員敵なのだ。
そして、敵という存在は彼女の願いに至るための手段であり、同時に障害でもある。
手段は行使すべきもの、そして障害は砕くべきもの。
眼前の少女がどういうつもりなのかは知らないが、そんなことはどうでもいい。
こちらの武器を取り上げずに接触してきたのが運の尽きだ。

(この距離、外さない! あなたが3人目――!)

デバイスの回路に魔力が注がれ、光の矢が放たれようとした瞬間。
音もなく飛来した物体が、膝をついたままだったイリヤの後頭部に直撃する。

「いたっ!」

何、と思ったときにはもう遅い。
背後から忍び寄った何者かによってS2Uが叩き落とされ、
間を置かずに今度は右腕を後ろ手に取られて、腰の辺りで捻り上げられ、押し倒すように地面に組み伏せられた。

185 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:20:35 ID:9C3e5TUi

(っ、仲間がいたの!?)

一瞬の出来事であったために、イリヤは自分を取り押さえた人間の顔を見ることもできなかった。
目覚めたばかりで頭の中を整理する間もない。
それなのに、そんな事情に構うことなく事態は止まることなく変化する。
今分かることは二つ。
一つは、相手に仲間がいたということ。しかもただの素人ではない。
拘束したときの手際の良さから、少なくとも護身術程度は身に着けているのだろうと推測する。
もう一つは、辛うじて捉えることができた地に落ちた自分のランドセル。
先ほど後頭部に走った衝撃の正体はあれらしい。
目覚めた直後、イリヤはランドセルを背負っていなかった。
つまり、今イリヤを拘束している人間が運び出し、仲間の危機を救うべく投擲したのだろう。

「さくらちゃん、大丈夫!?」
「私は大丈夫。……でも梨々ちゃん、それはやりすぎだよ!」
(さく、ら?)

記憶にある名前に反応し、イリヤは先ほどまで仕留めようとしていた少女の顔を見る。
無論、見上げた先にいる少女はイリヤの知っている桜とは年齢も外見もかけ離れている。
分かっていたはずなのに、落胆にも似た感情がイリヤの胸中に微かに広がっていく。
(……最初に確かめたじゃない、ここには知っている人間は誰もいないって。
 慌てる必要なんか、どこにもないのに)
視線を地面に戻す。
直後、イリヤの上に乗っている梨々と呼ばれた少女が厳しい口調で反論し始めた。

「そんなことないよ。やっぱり、最初からこうしておくべきだったんだ!
 私たち、さっき襲われたばかりなんだよ!?
 今だってそう、この子はさくらちゃんに何かをしようとしていた!
 話を聞くにしても、この子が寝ているときに縛るなり何なりしてからにすれば良かったんだ!」
「――でも!!」

一際大きな叫びが場を震わせる。

「……でも私は、もっと人を信じたい。目が覚めたときに知らない誰かに縛られてるって、
 とっても怖いことだよ。ちゃんと話せば仲良くなれるのかもしれないのに、そんなことしたら、
 きっと心を開いてくれなくなるよ……」


186 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:21:17 ID:9C3e5TUi
……なるほど、とイリヤは思う。
ここに来て状況が掴めてきた。
つまり彼女たち、少なくともさくらという少女は極度のお人よしであり、
眠っていた自分をどこかに運ぼうとしていたのだろう。
しかも、口ぶりからこちらと友好関係を結びたいらしいことも分かる。
(……S2Uは拾えないし、こんな体勢から魔術を使って二人まとめて片付けるのは面倒かな)
そう考えたイリヤは、苦もなく現状の打開案を導き出す。
必要なものは、恥、外聞、見栄、プライドを捨て去ることだけだ。

「……ごめんなさい。わたしも今まで他の人に襲われてばかりだったから
 驚いちゃって……。本当に、ごめんなさい」

その言葉を聞いたさくらは花が咲いたように明るく笑う。

「私のほうこそ、驚かせちゃってごめんね。梨々ちゃん、離してあげようよ」
「でも……」

あっさりと信用したさくらと比べると、梨々は慎重派であるらしい。
(あるいは臆病なだけなのかもしれないけど)
そう考えることができるくらいにイリヤの思考は平静さと余裕を取り戻していた。
組み伏せられ、その気になればいつ殺されてもおかしくない状態であっても、
さくらや梨々なら絶対にそんなことはしないという、確信めいたものを直感したからだ。
なぜなら、さくらの瞳には。
イリヤがここに来て出会った人間たち、そして、とある青年のような――、

――正義の味方と、同じ輝きが灯っていたのだから。

  *  *  *

「そういえば、さくらと梨々は何で私を見つけることができたの?
 普通だったら、こんな橋の下になんかわざわざ来ないよね?」

梨々が渋々拘束を解いた直後、彼女たちは互いに自己紹介をし、次にイリヤはこう言い放った。
この一言に重要性を感じているのは自分だけ、そうでなくてはならないとイリヤは思う。
積極的に話の流れを操らなければ、さくらと梨々は必ずこちらの今までの経緯を訊いてくるはずだ。
もちろん、イリヤには最初から正直に話すつもりなどない。
いざとなれば、根も葉もない嘘で塗り固めた答えを返すことになるだろう。
しかしそれは当然、最善の答えからは程遠いものになる。
100%の嘘など得てして脆いものであるからだ。
嘘と真実を程よくブレンドした情報のほうが、信憑性が高くなり、また応用が効くことも多い。
だが、考えなしに告げた真実により、足元をすくわれる可能性も多いにあり得る。
そこでイリヤは、嘘に混ぜる真実を選別するための手がかりを求めていた。


187 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:21:58 ID:9C3e5TUi

「それはね、この子のおかげなの」

さくらが答えを返す。
見ると、さくらの手のひらには青みがかった銀髪の小人が現れていた。
(使い魔?)

『ユニゾンデバイス、リインフォースUです〜。リインって呼んで下さい! よろしくです、イリヤさん』
「あ、はは……よろしく」

苦笑いを浮かべながらもイリヤは答える。

「私と梨々ちゃんは病院で変な頭の男の子とレックスっていう男の子に襲われて、
南の廃墟を隠れながら逃げていたの。
 ときどき、リインちゃんの魔法を使って周りに人がいないか確認しながら……」
『それで、橋に差し掛かるあたりで魔力探査をしてみたら橋の下に反応があったから
 降りてみたんですよ』
「……随分便利な力を持っているのね」
『? イリヤさんのデバイスには入っていないんですか?』

イリヤが目を見開く。デバイスという固有名詞が出てくるということは、

「S2Uを知っているの?」
『知っていますよ、クロノさんが以前使っていたストレージデバイスです。
 実物を見たのは初めてなので少し感激なのですよ』

と、リインはベタベタとS2Uを観察し始める。
その様子が微笑ましいのか、さくらは笑いながらイリヤに提案する。

「わたしね、今少しずつリインちゃんの世界の魔法を習っているところなの。
 イリヤちゃんも一緒にやろうよ」
『あ〜、リインは産まれたばかりなので、あまり期待されると困るのですが……』

……これは思いもよらぬ収穫だ、とイリヤは思う。
何もできない弱者であれば隙を見て殺す予定だったが、どうやら、利用価値があるらしい。
イリヤは更なる情報を引き出そうと試みる。


188 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:22:33 ID:9C3e5TUi

「ところで、さくらたちは元から知り合い同士だったの?
 私の知り合いはここにはいないみたいだから、気になっちゃって」

これも、イリヤなりに捻り出した作戦。
情報交換とは文字通り、一方が情報を差し出しているだけでは成り立たない。
相手に何かを言わせるためには、こちらも何かを言わなければならない。
ゆえに、イリヤはさくらたちに告げても不利益にはならない情報、
『自分の知り合いはここには参加していない』という事実を差し出すことにした。
もっとも、交渉相手が考えなしの間抜けであれば、こんなことに気を回す必要はないのだが。

「違うよ、みんなここに来て初めて会った子ばかり。元の世界での私の知り合いは
 小狼くんっていう男の子だけ。梨々ちゃんの知り合いは……」
「……双葉ちゃんっていう女の子」

さくらに促されて、ようやく梨々が口を開く。
その声質からは、未だイリヤを信用していないことがありありと読み取れた。

ここで、イリヤは再度頭の中を整理し、今まで出会った参加者のことを思い返す。
まず、名前を知ることは出来なかった動く人形。
その人形と同種だと思われる翠星石。
ジーニアスと名乗る魔術師。
ベッキーと呼ばれていた少女。
氷結魔術を行使したレン。
車椅子に乗ったメイドの八神はやて。
(これなら、どの名前を出しても問題はなさそうね……)
準備は整った、とイリヤはほくそ笑む。
あとはこれらの名前を使って――、

『次はリインの番ですねー。この島にいるリインの家族ははやてちゃんと――』

イリヤの動きがピタリ、と止まる。
同時に、彼女は背筋に冷たいものが走るのを感じた。

『ヴィータちゃん、それとなのはさんとフェイトさんとアリサさんが知り合いです』
「……イリヤちゃん、この中の誰かに会わなかった?」


189 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:23:17 ID:9C3e5TUi

友人の身を案じてか、さくらが心配そうな声色で問いかける。
イリヤがその問いに返答するのに要した時間は極僅か。
全てを塗りつぶすかのような笑みを顔に張り付かせながら、

「ゴメンね、誰にも会わなかった」

照れくさいような、申し訳ないような表情を浮かべ、イリヤは答えた。
それを聞いたさくらは力ない笑みとともに「そっか」と呟く。

「イリヤちゃん、そろそろ聞かせてくれない?
 今まで、どうしていたのかを。何で、こんなところにいたのかを」

ここで、積極的に話に参加していなかった梨々が口を出してきた。
これまでのことを何も話さないイリヤにしびれを切らした、といったところだろう。
だが、もう遅い。
場を有利に動かすための準備はすでに整っている。
イリヤは滞りなくこれまでの経緯を、“ふんだんに脚色を織り交ぜて”説明し始めた。

「うん、いいよ。私はここに来てまず翠星石っていう人形に出会ったの。
 そのすぐ後にジーニアスっていう魔術師の男の子に襲われて……、
 ……そのせいで、翠星石は……」

声が段々小さくなり、最後にイリヤは目を伏せる。
その様子を見たさくらが、そして不信感を募らせていたであろう梨々までもが、
僅かに申し訳なさそうな表情を浮かべる。

「必死に逃げた私はレンっていう女の子に助けられたの。
 でも、今度は他の魔術師にこの橋の上で襲われて…………レンも、死んじゃった……。
 私はレンが時間を稼いでくれている間に、S2Uを使ってここまで逃げたの。
 ……私がここで仲良くなった人はみんな死んじゃったから、きっとさくらと梨々も私と一緒にいると」
「それ以上は、言わないで」

言葉を続けようとしていたイリヤに、さくらが語りかける。

「ごめんね……辛いことを思い出させちゃって。不安だったよね……怖かったよね。
 大丈夫、私たちはいなくならないから……。きっと、みんなでここから出られるから」
「さくら……」

イリヤの不安そうな眼差しを受けて、いや、受けたからこそさくらはそれを包むように微笑む。
そして、ある言葉を口にする。
紡ぐのはどんな不安も吹き飛ばし、どんな絶望も乗り越えられる、優しく、力強い、無敵の魔法。

「絶対、大丈夫だよ」


190 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:24:49 ID:rA6qixZk

  *  *  *

イリヤの目の前では今もさくらが、梨々が、リインが談笑し合っている。
一箇所に集まっている今なら、全員を視界に収めている今なら。
不意を突けば纏めて殺せるかもしれない。
イリヤはそう考え、これからの展開の一つに組み込む。
しかし、その案をすぐに実行する気にはならなかった。
先ほど見ていた夢のせいで弱気になったわけではない。
彼女たちを片付けようとしないのは、純粋に戦力として価値がありそうだと判断したからだ。
ゲーム開始から数時間。
イリヤは、これまでの戦闘を冷静に振り返り、一人であることの限界を感じ始めていた。

ジーニアスの魔術が発動していれば、ただでは済まなかった。
ストラグルバインドの制御に失敗していたら、湖に沈んでいたのは翠星石ではなく自分。
レンの氷結魔術が直撃しなかったのは、ただ運が良かったから。

実に三回。
一歩間違えれば三回死んでいてもおかしくないほどの危うい橋を渡ってきた。
ゲーム序盤の今でさえこの有様だ。
生存者は何十人も残っているのだから、一人で殺し尽くすのは不可能だと悟った。
この島に来た直後は、例えバーサーカーがいなくとも一人で乗り切れると考えていた。
周りは幼い子供ばかり、ならば何人集まろうとも魔術の心得がある自分が遅れをとるはずがない。
だが、実際に他の参加者と接触した結果はどうだ。
今まで出会った参加者、そのほとんどが魔術を始めとする異能の使い手だったではないか。
認識を改めなければならない、他の参加者はただ狩られるだけの弱者などではなく、
死力を尽くすべき対等な相手なのだと。
そして、そんな強者たちを相手に正攻法で向かうのは得策ではない。
他者を利用し、潰し合わせたほうが何倍も効率的である。
今出会った二人は、実力的にも性格的にも概ね良い条件を揃えている。
魔術師であるさくら、そして、自分を左腕一本で取り押さえた怪盗見習いの梨々。
どう転がしてもおいしい存在である。
利用できるうちは、存分に役立ってもらおうと思うし、
使えなくなったら壊せばいいだけだ。
(私は絶対に生き残って、願いを叶えてみせる)
胸のペンダントを、決意とともに強く握り締める。
握った手のひらに返る微かな痛みに、イリヤが気が付くことはなかった。


191 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:25:37 ID:rA6qixZk

  *  *  *

警戒心は徐々に薄れていったが、梨々はイリヤを全面的に信用したわけではなかった。
さくらの言いたいことはよく分かる。
自分だって、できる限り人を信用したいのだから。
その思いを留めてしまったのは、未だ消えることのない右腕の痛みだった。
血が通うたびにズキン、とした鈍い痛みが走り、レックスと遭遇したときのことが否応なしにフラッシュバックされる。

――人が、怖い。

イリヤがさくらに杖を突きつけているのを見たときには、自分の判断の甘さを心底後悔した。
幸い、大事には至らなかったが、あの光景は梨々の中に強く焼きついている。
そして、一度マイナスな印象を持ってしまえばイリヤのとる一つ一つの行動、その全てが怪しく思えてしまう。
特に気になったのはイリヤの態度だ。
杖をさくらに向けているときのイリヤには、湧き上がる怯え、恐怖に押されての行動ではなく、
ある種の覚悟のような鬼気迫るものを感じた。
そう、そのあとの笑顔が不自然に思えるほどに、その落差は大きすぎた。
必要以上の笑顔を振りまくことで、彼女自身の本質を塗りつぶしているのでは、と邪推してしまう。
同時に、あれほど辛い思いをしてきたイリヤに対して、疑いの念を向ける自分を嫌悪し、
それでも、これは必要なことなんだと自身に言い聞かせる。

(さくらちゃんもリインちゃんも本当に良い子だ。だから、私一人くらいが気を引き締めておいてもいいよね……?)

自己弁護のような想いを胸に秘め、梨々は願う。
イリヤに感じている不信感が、ただの杞憂に終わって欲しいと。



【F-6/川辺/1日目/午後】
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]:魔力消費(中)、疲労(中)、全身に切り傷(応急手当済み、命に別状はない)
[装備]:S2U@魔法少女リリカルなのは、凛のペンダント@Fate/stay night
[道具]:支給品一式
[思考・状況]せいぜい役に立ってね。
第一行動方針:桜と梨々を利用して生き残る。
基本行動方針:優勝して、自分の寿命を延ばす。
※セイバールートの半年後から参戦。
※イリヤのついた嘘の内容
・翠星石を殺したのはジーニアス
・レンを殺したのは正体不明の魔術師
・はやてには会っていない


192 :『』shift ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:26:29 ID:rA6qixZk

【梨々=ハミルトン@吉永さん家のガーゴイル】
[状態]:右腕骨折及び電撃のダメージが僅かに有り(処置済) 。
    イリヤに僅かな疑念及び不安。若干精神不安定。
[装備]:白タキシード(パラシュート消費)&シルクハット@吉永さん家のガーゴイル
[道具]:支給品一式
[服装]:白タキシード&シルクハット
[思考]:イリヤちゃんを信じたいけど……。
第一行動方針:みんなと相談してどこに向かうのかを決める。
第二行動方針:双葉かリィンちゃんの友達(はやて優先?)及び小狼を探す。
第三行動方針:殺し合いに乗ってない人と協力する。
第四行動方針:イリヤが少し気になる。

【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:血塗れ、左腕に矢傷(処置済)、魔力消費(極小)
[装備]:パワフルグラブ@ゼルダの伝説
   リインフォースII(待機フォルム)@魔法少女リリカルなのはA's
[道具]:基本支給品
[服装]:梨々の普段着
[思考]:力を合わせればきっと大丈夫。
第一行動方針:リインのエリアサーチを定期的に使いながら移動し、友達を探す。
第二行動方針:他にも協力してくれそうな人を探す。
基本行動方針:襲われたら撃退する(不殺?)

※共通:永沢、レックス、ジーニアスを危険人物と認識。
    互いの知り合いの情報を交換済み。

193 : ◆IEYD9V7.46 :2007/05/07(月) 19:28:18 ID:rA6qixZk
投下終了です。見落としなどがあるかもしれないので指摘等ありましたら
よろしくお願いします。

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 19:35:09 ID:a5c8fvVR
おおう、不意討ちだ。投下GJ
さくらはいい子やなあ……ロワに対しては最悪に向かない性格だが。
梨々の勘は当たってるけど、決定的証拠はなし。イリヤは戦闘力があるステルスだし、結構ヤバいぞ……?
リィンの台詞が無駄に和むw

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 19:35:52 ID:Em/1Suuk
投下乙です!
女の子三人のパーティーとは、華があっていいなあ。
はやて、リイン、S2Uとリリカルなのは関連の因縁や、梨々の疑心もあって、
これからどう転がるか楽しみです。

そういえば、関係ないけど
最初はキャラ密集&マーダー大量投入の死地だった右下廃墟エリアが
いつの間にか過疎気味になってるな……

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 20:39:34 ID:cMhaao6V
>>193
投下乙!
確かにイリヤは健気だが、さくら。その子は大丈夫じゃないよ、絶対に大丈夫じゃないよ……
>>195
人が死にまくり&逃走しまくりだったからな。
生存者はほとんど北へ移動、残るのは死体の山のみ……恐ろしいロワだぜ。

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 20:50:37 ID:yocFJfPp
>>193
GJ。
イリヤは悪い子じゃないけど凄く悪い子だな。
悪運も強いし、こいつは……なかなか面白い。
さくら達もがんばって居るが、どう転ぶか。

>>195
ほんとだ、気づいてみたら誰もいない。
見事に廃墟になってるw

そして同じ方向に逃げてまた死地に突入と。

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 23:13:01 ID:GCOp+7TX
頑張れリリ、キミが魔法怪盗少女組最後の砦だ!
お願いだから警戒を解かないでくれ!

……コウシロウといいリリといい、慎重な子ほどチーム内で頑張らなきゃいけないのはロワ内に限った事ではないのかなぁ……ちょっと可哀想

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 23:26:16 ID:iphBZvEa
久しぶりにさくらで萌えた
老いたりとは言え、一大ブームを巻き起こした実力は健在だな

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/07(月) 23:35:17 ID:a5c8fvVR
>>198
蒼星石とか勝とかもだな。
この手のキャラは疑心暗鬼→発狂→チーム崩壊のコンボを辿ることが多い。
不遇だけどロワ的にはおいしいよ! 目立つし。

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 18:51:56 ID:hVy4LA4D
>>200
しかし蒼い子の場合、誰に対して疑心暗鬼しようと全く以ってその通り正解な罠。

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 23:41:58 ID:WJoBLe2W
CFbj666Xrw氏の投下が楽しみ

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 23:49:26 ID:qtUZl4Fg
>>201
蒼の子の詰みっぷりは異常。
微妙に違うけど初期の丈を思わせられるぜ。

204 : ◆CFbj666Xrw :2007/05/09(水) 00:01:20 ID:gRIh4d8Q
詰まってずるずると遅れておりますorz
朝には……仕上がっていなかったら予約破棄して書きます。

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 00:09:21 ID:Mlm+exIl
>>203
放送が来たら蒼い子が壊れそうな気もするな

DQのこんらんって殴れば治るんだったか?

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 00:13:16 ID:iWQcgcmi
                洗脳

    タバサさん       _□_ 
               \(^o^)/     ステルス

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 00:17:45 ID:GeJnD0wu
一番の問題は、蒼の子には今のところ逃げ出そうとする気がないということだ。
もう死んじゃったけど参戦時期的には翠たちにも顔向けできず、
ここで出会ったのは天然とステルスと洗脳って……。
逃げ場なしにもほどがあるw

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 00:32:20 ID:j6lGYROK
>>207
近くにいるやつがちょっかいかけたら状況も変わりそうだな。
イエロー・リルルやネスにミミ、もしくは病院組、はたまた城から出向した葵・ベルカナとかもいる。
学校も近いっちゃ近いし、カナリアやトリエラもうろついてるな。うーん、全然読めん。

>>204
ファイトー

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 00:33:13 ID:DCIlnoKf
>>204
頑張ってください。
>>205
まさかお前……タバサさんに蒼い子を殴らせる気か!

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 00:41:07 ID:S60H/jNX
>>204
じゃあ俺とどっちが早く投下できるか競争だな、一緒に頑張ろうぜ

>>208
ククリのこと忘れないで……ついでに、ヴィクトリアやしんべヱも来る可能性があるかも

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 00:48:04 ID:GeJnD0wu
>>210
アンタ誰だぁぁぁぁ!? 期限を待たずに◆3k3x1UI5IA氏が作品を完成させたのか、
はたまた別の誰かか!? なんにせよ期待。

>>204
言い忘れてたけど、無理せずに頑張ってください。

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 01:11:53 ID:GeJnD0wu
絵板のほうに久しぶりに二作も投下来た。
向こうを毎日見ている人ばかりではないと思うので、宣伝させてもらいます。
みんなで感想つけようぜ〜。


213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 01:17:03 ID:yFSEylPN
おお、ホントだ!ちょっくら感想つけてくるわ
絵師さんテラGJ





しかし、二つともエロいなw

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 07:25:50 ID:95K02FQU
その一言で見に行く気になった

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 08:04:33 ID:4csdxmFJ
描きたいけどペンタブがねぇぜ!orz

……PC復活したらペンタブ買って見ようかな

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 09:09:55 ID:MIeR/XuT
流れに沿ってエロいの描くか、怖いの描くか迷う

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 09:25:13 ID:vk16BRYR
>>216
それ以外の選択肢はないんかいっ

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 10:23:55 ID:D/Janik1
>>216
二種類描いてください

219 : ◆3k3x1UI5IA :2007/05/09(水) 12:13:39 ID:HwTTYpn4
遅レスですが>>107
拙作の「混沌の学び屋にて」のことでしたら……あれ?
ああっ、プロット段階ではあったはずの細かい一言が抜けてるっ!?

ちょっと不自然な流れの中でも、あえて名乗りを上げたのは、
「スタングレネードを使う隙を作るため」に加えて、もう1つ。
「戦闘相手が『姉様』と間接的にでも接触したかどうか確認するため」。
相手の反応を見て「接触してない」と判断して、それ以上の戦闘の継続に意味なし、と判断して引いたわけですが……
どうも、後者の理由を書き落としていたようです。

今、予約中の作品を抱えているので、それが終了次第、修正したいと思います。
おそらく、撤退後のヘンゼルの独白に一行追加するくらいの微修正になるでしょう。
また、言われてみればヘンゼルが『ヘンゼル』を自称するのは微妙かもしれません。
こちらも、名乗りのシーンを「僕は、名簿の上では『ヘンゼル』で登録されてるのかな?」のように微修正しようと思います。

情報量の多い話だったとはいえ、かなりマズいミス……。
気づくのに遅れたことも含め、重ねてお詫びします。そして、指摘に感謝。

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 12:15:16 ID:HwTTYpn4
>>210-211
それにしても>>210氏は誰なんだろう……? (自分じゃないですよ?)

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 14:02:05 ID:ud6pc257
>>219
ドンマイ
キャラの一人称・二人称はその作品を熟読/裸待機で視聴していても難しいブツだ
古の三大ロワでさえ一人称・二人称の誤り・ブレは存在しているから気にしなさんな

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 16:42:08 ID:yHAx/6tF
ここに書いていいかはどうかわかりませんが、wikiの編集の関連で教えてもらいたいことがあります。
前スレに「それは狂的なまでに」以降作品が投下されたかということと、「you-destructiv」のwikiにおける区切りをどこにすればいいかという2点です。

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 17:49:48 ID:vk16BRYR
>>222
前スレの投下は「それは狂的なまでに」で最後です。

区切りは……作者による指定が無ければ、編集者で決めてしまってもいいと思っています。
以前私が区切り指定の無い作品をwikiに追加した時は、作品の展開を鑑みたうえで、
場面転換など行が開いているところで区切りました。

独断で区切るのがいやなら、作者さんに区切る場所の指定をお願いしてはどうでしょうか。

224 :222:2007/05/09(水) 18:00:24 ID:yHAx/6tF
>>223
ありがとうございます。
123から後編としておきます。
作者さんが避難所で後で推敲・修正をするといっているので、
そのときに作者さんの区切りに直してもらっても大丈夫です。

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 22:20:09 ID:GeJnD0wu
>>224
超乙。wikiをGW中に更新したかったんだけどSS書いててできなかった……。
量多かったけど、本当にお疲れ様です。

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:31:34 ID:9tcTtcdw
CFbj666Xrw氏の作品はまだ書きあがらないのだろうか…。
氏のファンなので、昨日あたりから今か今かと投下を楽しみにしてるんだけどな。

227 : ◆CFbj666Xrw :2007/05/09(水) 23:39:32 ID:CoFa3FDj
今夜こそ書き上げる(朝投下)つもりです。遅くなって本当に申し訳有りません。

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 01:57:22 ID:y6c7Iwa+
>>227
がんばれー超がんばれー

229 : ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 06:34:25 ID:hWFrfb4k
8時くらいに行ける……かな……。

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 07:42:18 ID:AY5JdYxF
>>229
プレッシャーとか気にせず、気楽に投下するように。

231 : ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 07:49:17 ID:hWFrfb4k
土壇場で入れ忘れていた会話に気づくorz
更に30分程度は遅れそう。

232 : ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 08:22:33 ID:hWFrfb4k
>>230
……確かに焦りすぎるのも良くないか。
というか状態表纏める時間とか入れ忘れていたし。

ありがとう。ちょっと落ち着いてから、投下する。

233 : ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:33:23 ID:hWFrfb4k
それでは投下宣言です。

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:34:02 ID:n3gHgbwX
来たー!
支援いたしますぜ

235 :世界は皮肉に満ちていた(前編)(1/9) ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:34:17 ID:hWFrfb4k
「……フェイトさん、ちょっといいですか」
本当はフェイトに、イヴは危険だと伝える予定だった。
だがそれは僅かに間に合わず、イヴが部屋に戻ってくる音がした。
「何ですか、光子郎さん?」
それと同時に発せられたフェイトの言葉に困り。
「え、えーっと……この工場についての推測を話しておこうと思いまして」
光子郎は咄嗟に話を変えていた。
僅かに歯軋りすらしていたが、それを見た者はいない。
着替えを済ましてきたイヴに視線が向いた瞬間だったからだ。
「はい、判りました。……あ、イヴさんおかえりなさい。似合ってますよ」
「うん、可愛いわ」
「あ、ありがとう……」
イヴはナース服に着替えていた。
その可憐な姿は確かに愛らしかった。だけど光子郎にはそれを思う余地すら無い。
フェイトとブルーがイヴにおかえりというのを後目に、光子郎は思考を整理する。
フェイトにイヴへの危険性を伝えるのは後だ。まず今は……
「それで光子郎さん、工場についての推測というのは?」
「はい、それですが……この工場の存在意義については話しましたよね」
「『創造と破壊を繰り返すことで循環するエネルギーが正常かどうかを確認する為だけに存在している』
 ……でしたね」
光子郎は頷く。
「この工場にあった電池は偽物でした。ですがこの工場の目的は変わり無いと思います。
 そうでなければファクトリアルタウンの名が付けられている事も、
 同じように意味の無い創造と破壊を繰り返している事も説明がつきません。
 というより電池が偽物だったからこそ間違いないとも言えます」
「どういう事ですか?」
「この工場を維持するためにはエネルギーが要ります。
 あのファクトリアルタウンの物を丸々持ってきたというならまだ判ります。
 ですが単なる複製ではなく電池は偽物で、それなのにこの工場は動いている。
 仮に電池が使えないとすれば、別のエネルギーを使って改造してでも動かしている。
 そうまでしてこの工場の機能が必要なんです、この世界には」
フェイトはなるほどと頷く。
他に可能性が無いとは言わないが、少なくとも矛盾のない理論に思えた。
「その動力源が何処にあるかは判りませんが……きっと、この工場ではありません。
 あれだけ捜しても見つからなかったのですから」
「見えないところに有るんじゃ……」
「それは無いと思います。…………これは、根拠は有りませんけれど」
つまりは勘という事だろう。
彼もそういった勘に頼る事が有るのかと思うと、少し不思議な気に感じられた。
光子郎は話を誤魔化せた事、つまりイヴに対し妙な様子を見せなかった事に安堵すると、フェイトにメモを見せた。
そこには無数の文字とプログラムらしきもの、数式の走り書きがびっしりと書き込まれていた。
図式なども含まれている。
「一応、この工場内のエネルギーの流れを紙に書いてみたのですが……」
それは相当にややこしいものだった。
おそらく理解はされないだろうし、それで話が終わるならそれで良いと思った。
しかしフェイトはそれを見てあっさりと答える。
「向こうの部屋のラインが、この式ですね」
「え……判るんですか?」
「あ、うん。その……私、数式とかは得意だから。魔法の構造とか高等数学が絡んでいるんです」
「そうなんですか」
光子郎はふむと頷いた。
これは予想外の収穫かもしれない。
必要な式などを書いたのは自分だが、計算が必要な部分では多少手間取っていた。
そういう時に力を借りていたパソコンの処理能力が借りられない為だ。
しかしフェイトは光子郎が計算に時間を費やした式を一瞬で読み解いてしまった。
数学的な能力に置いて、フェイトは相当にずば抜けているらしい。
(パソコンの代わりというと言い方が悪いですが、複雑な計算を要する分析の時は頼りになるでしょうね。
 この世界の仕組みを解析する力になるかもしれません。
 ……この状況が解決すれば、ですけど)

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:34:57 ID:n3gHgbwX
 

237 :世界は皮肉に満ちていた(前編)(2/9) ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:35:02 ID:hWFrfb4k
イヴの方を横目で見てみた。
どうやらイヴも、それからもちろんブルーも、大した興味も無く聞き流したらしい。
「それではフェイトさん、難しい計算が有る時はまた聞いても良いですか?」
「はい。光子郎さんもあまり背負い込まないでくださいね」
フェイトは小さく笑ってそう言って。
光子郎は再び思考の海に沈んだ。
(さて、どうしたものでしょうね……)
それぞれの思惑が表面化することは無く、全ては水面下で絡み合う。

     * * *

ブルーは考えていた。
(光子郎って子はアタシを疑っているのかしら)
ブルーは、光子郎が自分を疑っているのではないかと疑っていた。
その可能性は随分と高い。
先程からブルーの話ばかり聞きたがっているのだからブルーから知りたい事があるのだろう。
フェイトに話しかけようとした時も様子が変だった。
イヴが帰ってきた途端、まるで途中から話題をすり替えたような違和感を感じた。
(イヴちゃんを刺激する……廃病院の話って事かしらね。
 廃病院での事について、フェイトちゃんと話したい事が有ったとか)
廃病院での出来事を勘ぐっているという事は、ブルーを疑っているようなものだ。
だが、もうブルーの正体に気づいているのだろうか?
少し考えて、すぐにその可能性を否定する。
(それは無いわね。まだ尻尾を掴まれてはいないはずだわ)
そもそも尻尾はまだブルーの内心にしまいこまれている。
病院で少女を扇動し争いを起こさせた事。
弱った心につけ込んでイヴを操りつつある事。
あの青い薬が年齢詐称薬である事。
どれも確信は無いはずだ。なにせ証拠が残るような事をしていないのだから。
(光子郎がアタシを疑っていたとしても、アタシを始末したりするには証拠が居るわ。
 襲ってきて正当防衛という言い訳も無いではないけど、4歳の女の子相手にはムリだもの)
まだ自らの方が優位に立っている事を確信して、言った。

「光子郎はわたしの話を聞きたいの?」
「え、それは……」
「……大丈夫。わたしは落ち着いたから、気になる事が有ったらできるだけ答えるわ」
光子郎が戸惑う一方で、風呂上がりのイヴの表情が暗くなる。
この島に来てからの事は何もかも思い出したくない事だ。
だからブルーは、そんなイヴに顔を向けて口元で優しく笑みを浮かべて見せる。
「でもイヴさんは思い出したくない事だから、続きは向こうの部屋で話しましょう」
根本的な解決ではないが、それでもイヴは少しだけホッとした。
そしてフェイトも心配げに気遣う。
「そんなにムリしなくても……」
「大丈夫よ、フェイトさん。わたしは大丈夫だから、良いの。
 光子郎さんはきっと、大切な事だから聞いているのよ」
「それは……」
フェイトにもそれは判る。
光子郎は確かに好奇心や探求心が強い、やや強すぎると言っても良い性格をしている。
だけど人の心を全く理解しない人でも、感情を無視する人でもない。
その事は判っている。


238 :世界は皮肉に満ちていた(前編)(3/9) ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:35:40 ID:hWFrfb4k
そして光子郎は、少し動揺していた。
今、光子郎が本当にしたいのはフェイトと二人だけで話す事だ。
そうしてイヴが危険である確証を彼女に伝えたい。
だが無理にそうすれば警戒したイヴは先手を打って襲ってくるかもしれない。
フェイトがすぐに信じてくれるとは限らない。
状況証拠が揃っていてもすぐには信じず、イヴが演技を続ければ隙を見せてしまうかもしれない。
イヴはフェイトを殺害し、更に物理的な面では弱い光子郎とブルーも殺されてしまうだろう。
(フェイトさんに伝えるのはフェイトさんが確実に信じてくれる確証を掴んだ後。
 あるいはイヴを警戒させないで伝えられる機会が有ったときだけだ)
もっと詳しくブルーから話を聞けば、より深く真相に迫ることが出来るかもしれない。
明確な証拠を見つければフェイトを納得させる事も出来る。
ブルーと二人だけで話すのは思いの外に有り難い機会だった。
「それではお願いしていいですか?」
「うん。それじゃ向こうの部屋ね」
そうして光子郎とブルーは、別の部屋へと移った。

     * * *

「それで光子郎は何の話を聞きたいの?」
「はい、病院での事なんですが……」
そう言って言葉に詰まる。
別室に別れてまで話を聞くことになったが、考えればその内容は非情なものだ。
人が死んだ光景とそれに関する事について掘り返すのだから。
(殺人事件を担当する刑事さんの気持ちが判る気がしますね)
それでも、光子郎の中で勝つのは理性と、そして探求心だ。
より良い選択をする為に全てを知ろうとするのが光子郎という少年だった。
あくまで良い事の為に。
「……良いですか、辛かったら無理に思い出してもらわなくても構いません」
「うん」
ブルーは見た目相応の子供らしく頷いてみせた。
「ビュティさんは……どういう風に死んだか判りますか?
 死因とか、争いの音とかです」
「それは……」
ブルーは少し考える。質問の意図とその回答を。
(アタシを疑っているとすれば、後になってイヴからも話を聞いて矛盾を洗う気かもしれないわね。
 でもアタシには“イヴを庇ってウソをつく”という建前が有るわ。
 それに今のイヴから病院の事を聞き出すのは難しいはず。
 だからウソを吐いたり話さなくても大丈夫な場面だけれど、適度に答えて信用を得た方がいいわ。
 アタシに絡む事は……無いはずだもの)
そこまでを考え、情景を思い起こして答える。
「死に方は……ひどかったわ。ビュティさんは、真っ二つになって死んでいたの」
「真っ二つですか。……想像以上だ」
光子郎は青ざめつつも、納得した様子で頷いた。
返り血で血塗れになるからには至近戦で鋭利な刃物を使ったと考えるのが妥当だ。
ただ、それに人を一刀両断にしてしまう程の破壊力が有る事は予想外だった。
(確か人の体は思いの外に丈夫で、首だけでさえ一刀で断ち切るのは難しいと聞いた事が有ります。
 小耳に挟んだだけですが、おそらく事実でしょう。
 つまりイヴさんはそれほどの切れ味を持った武器と技を隠している事になる。
 ……現時点でフェイトさんに話していない事は正解かもしれませんね)
思い悩む光子郎を見て、ブルーもまた思う。
ブルーには光子郎の思考が見えつつあった。
(つまり光子郎が考えてる事って……そういう事なわけ?)
それを確かめる為、揺さぶる。
「そういえば、駆け付ける前に銃声も聞こえたわ」
「銃声、ですか?」
「でもあれは、ビュティさんの使っていた銃の音だと思うの。
 きっとビュティさんがイヴさんに向けて撃ったんだわ」
「待って下さい、その銃はどこに?」
「イヴさんが持っている傘がそうなの」

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:36:01 ID:HIZVeB/H
 

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:36:21 ID:n3gHgbwX
  

241 :世界は皮肉に満ちていた(前編)(4/9) ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:36:47 ID:hWFrfb4k
「そ、そうですか……」
光子郎は顔を強張らせる。
あのアタッシュケースにばかり気を取られていたが、そんな武器まで有ったのだ。
(残弾が残っているかは判りませんが、遠近どちらの武器も有る事になる。
 その上でブルーさんを丸め込み隠れ蓑にしている狡猾な相手という事になります。
 まずいですね。現状は……劣勢です)
光子郎はブルーにまるで注意を向けず深刻に思い悩む。
その様子で確信を得て、ブルーはほくそ笑んだ。
間違いない、光子郎はイヴの方を疑っている。
(両方を疑ってるのかもしれないけど、それでも本命はイヴと思ってるようね。
 少なくとも、アタシがイヴちゃんを操って殺させた……そう思ってはいないようだわ。
 アタシが薬で若返っている事なんて思いもしない。
 気づけば何よりアタシを疑うはずだもの。
 ホホ、ざまーないわね)
光子郎に向けて抱いた警戒の念が解ける。
その後も光子郎はブルーに幾つかの質問をした。
だけどその目的が見えた以上、それはブルーにとって危惧するような内容ではなかった。
イヴのこと、病院のことを一つ一つ落ち着きすら見せて回答していく。
(適度に疑わせときましょ。つつきすぎて暴走させてくれたら御の字かしら。
 イヴちゃんには悪いけど、もっと傷付けばもっとアタシに依存してくれるはずだもの。
 人を殺すのをイヴちゃんに任せられれば楽で良いわね。あれは……とても疲れるし)
双葉を刺した感触は、あまり何度も感じたい物ではなかった。
それをイヴで間接的に行えるなら、願ってもない事だと言えた。
ブルーは浮かびそうになる薄笑いを押し込めて、心の中で光子郎を嘲笑った。

     * * *

光子郎がブルーと共に部屋を出ていくのを、イヴは複雑な表情で見送った。
傷を掘り返しかねない光子郎にしばらくの間だけ会わずに済む事。
自分を許してくれるブルーから離れてしまう事。
安堵と不安がイヴを包み込む。
イヴは自らを自らの腕で抱え込み、俯いて……震えた。
「大丈夫? ……イヴ」
そんなイヴに対して、フェイトは自然とそう呼びかけていた。
イヴはそっと顔を上げた。

フェイトが人をさん付けで呼ぶ事は、実はあまり無い。
呼び捨てる事が殆どだ。
この島に来てからさん付けでそう呼んでいたのは、最初に会った光子郎が
何故か“光子郎さん”と呼ぶ方がしっくり来るように感じられた事。
それと何よりフェイト自身が緊張していたからに他ならない。
フェイトはこの島の危険性について、十分に理解はしていた。
この島で人を信じるのが危険な事だって判っていた。
心の弱さだけでは無く、誰かの為の切ないまでに強い想いすら凶器になる事を知っていた。
だけどそれでも、フェイトは出会った人達を信じる事を迷わなかった。
(だって、疑って、すれ違って、傷つけ合って、失って……そんなのじゃあまりに悲しすぎるから)
話し合って解り合えない人も居るだろう。
だけど“話し合って解り合える人も居るかもしれない”。
明らかな敵でない限りは相手を信じて、人を信じて、話し合いたい。
それで騙されて殺される危険が有ったとしてもだ。
(でもこれも……傲慢なのかな)
フェイトは一瞬だけ母の最期を思い出した。
フェイトを裏切り傷つけた母親だった。だけどそれでもフェイトは母に手を差し伸べて……否定された。
フェイトの母親の最期は、そんなものだった。


242 :世界は皮肉に満ちていた(前編)(5/9) ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:37:32 ID:hWFrfb4k
「フェイト……さん……」
フェイトと同じ、金髪の長いツインテールがゆっくりと揺れる。
この一点においてだけ、二人の外見は驚くほどよく似ていた。
髪だけを見れば見間違える人も居るかもしれない。
そして内面も……フェイトにとって、到底放っておけるものではなかった。
本当は警戒しなければならない相手だと理屈では判っている。
だけどその姿はあまりに弱々しくて、寂しそうで……力になりたいと思った。
警戒なんて出来るはずがなかった。

「……お話、しよう」
「え……っ」
イヴは息を呑む。また、罪を思い出さなければならないのか?
フェイトはそれをすぐに否定した。
「なんでも良いよ。まずは出来るだけ楽しかった事、嬉しかった事……幸せな事を思い出そう」
「幸せな事を……?」
「うん。それに浸って立ち止まっていてもダメだけれど……悲しい顔や辛い顔だけじゃ前に進めない。
 誰かの笑顔を思い出そう。みんなに……力をもらおう……」
「前に……?」
真っ先に思い出したのは……スヴェンの笑顔。
イヴを鬼から人にしてくれた男の顔。だけど。
イヴの中のスヴェンは、悲しげな瞳でイヴを見ていた。
「ダメ。私じゃ……もう、笑ってもらえない」
「そんな………………」
そんな事は無いなんて、言えなかった。
一体何をしてどうしようとも笑顔をくれない人も居る。だから。
「…………え?」
ぎゅっと。
フェイトはイヴの手を取って、暖かく包んでいた。
「それじゃ私も力を上げる。だから……一緒に、がんばろう」
「わ、私は人を……ころ…………!!」
フェイトを振り払おうとする手を、優しく、しっかりと掴み続ける。
罪を抱き締め続ける。
「それも、忘れちゃいけない」
「…………!!」
フェイトはイヴがどんな経緯を辿ったのかは知らない。
正当防衛だという言葉を信じてはいた。
だけどそうと聞いただけの身で『あなたは悪くない』だなんて言えなかった。
何より……どんな理由であれ人を殺してしまった事を、忘れていい事だとは思えなかった。
だから罪に震えるイヴに共感を抱いて。
「でも、本当に悔いているなら……償いをして、それから前に進もう。
 出来るだけの事をしよう。同じ事を繰り返さず、同じ事が起きるのを止めよう。
 それでももし許してくれないというなら……」 
「許してくれなかったら……?」
温かい手になりたいと思った。
かつて自らに差し伸べられたような温かい手を差し伸べたいと思った。
「私も一緒に怒られるよ。一緒に泣いて、一緒に笑おう。……ね?」

イヴは思う。
……どうしてだろう。
「どうして、私にそこまでしてくれるの……?」
どうしてこの手は、こんなにも温かいのだろう。
フェイトはイヴに向けて、言った。
「私は、イヴと友達になりたい」
その言葉はとても温かくて…………嬉しかった。
だけど、それでもまだ怖かった。
「こんな島で……なれるの……?」
「なれるよ、きっと」
フェイトの言葉は力強かった。

243 :世界は皮肉に満ちていた(前編)(6/9) ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:38:18 ID:hWFrfb4k
「私がこの島で、光子郎さんとそうなれたみたいに。
 私の友達とも。光子郎さんの友達とも。ブルーちゃんとも。
 みんなきっと、友達になれる」
内心の不安――誰かの死や裏切りの可能性を抑え込み、フェイトは断言する。
理屈で言えばきっと有り得ない明るい未来を信じる言葉。
「でも……ビュティさんが死んだのは私のせい」
イヴはそれに圧されて口を滑らせる。
正当防衛という事にしていた罪が、本当の罪であるという懺悔を漏らす。
……何も変わりはしなかった。
「言ったはずだよ。償いをして、それから前に進もう。
 出来るだけの事をしよう。同じ事を繰り返さず、同じ事が起きるのを止めよう。
 それでももし許してくれないというなら……私が一緒に泣いて、笑うって」
今のフェイトはただイヴと話していた。
イヴがビュティの死を悔やんでいるのなら、それが正当防衛であろうと、過失であろうとも変わらない。
そんな不幸な出来事を繰り返さないように進まなければならない。
もう悔やんだりしなくて済むようにしなければならない。
起きた出来事についてなんて話していない。
ただイヴの心に訴えていた。
「フェイト…………」
イヴはフェイトの言葉に答えようとして。

二人分の足音が聞こえた。

「あ、二人とも帰ってきたのかな……」
「ぁ…………」
イヴは発そうとした言葉を呑み込んだ。
どうしてかは判らない。
だけど……怖い、と思った。
フェイトが間を取り持ってくれるとしても、光子郎とまた出会うことが。
なにより自分を赦してくれたブルーの居ない所でフェイトにも赦してもらった事が、怖かった。
それは、輝かしいはずの未来への怖れ。
例えるなら学校を卒業し上の学校に入学するような、未知への不安だった。

「……私、ちょっとトイレに行ってきます」
イヴはほんの少しだけ、逃げだした。
心の準備をするために。
「うん、じゃあいってらっしゃい」
きっと少しの間、一人で考えたいのだろう。フェイトはそれを正確に理解した。
だから快くイヴを送り出して。
それから、二人が帰ってきた。

「光子郎さんもブルーちゃんも、おかえりなさい」

     * * *

「イヴさんは、どうしたんですか?」
「少し、席を外してます。大丈夫、すぐに戻ってくるから」
「そうですか」
光子郎は少し考えた。
今ならイヴには聞かせずに、イヴに対する警告をフェイトにする事ができる。
だが、フェイトがイヴを信用していればそれを信じず、あるいはイヴに問いつめてしまうかもしれない。
といってもこのままイヴを泳がせておくのも危険だろう。
(さて、どうしたものでしょうね……)
光子郎の見つめる先で、フェイトはなにげなく部屋の窓から外を見た。
工場二階の部屋からは鬱蒼とした森が広がるばかりで、見えるものは少ない。
なんてことはない景色が広がっていて……。

「……光子郎さん、危なくなったらブルーちゃんとイヴをお願いします」


244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:38:25 ID:n3gHgbwX
   

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:38:36 ID:HIZVeB/H


246 :世界は皮肉に満ちていた(前編)(7/9) ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:39:12 ID:hWFrfb4k
「え……フェイトさん!?」
止める間も無く、フェイトは窓から外へ飛び出す。
次の瞬間、パンッと乾いた音がして閉まっている方の窓にひび割れが走った!

「な、まさか……狙撃ですか!?」
「え……!」
光子郎の言葉にブルーが身を縮め屈み込む。
それを見てハッと気づいた光子郎も体勢を低くする。
続けて二度目の銃声が響いた。
身を屈めた二人は外から狙える位置には居なかった。
(ここは二階です、銃撃はおそらく地上からでしょう。ですが……誰が?)
即座に思い浮かんだのは、何故かこのタイミングで席を外している一人の少女だ。
だがフェイトを殺すならさっき二人っきりで居た時に奇襲すれば良いはずだ。
わざわざ外に出てから撃つ理由なんて……
(……有る。ここで殺せば自分が犯人になってしまいます。
 もしまだブルーさんを利用しようと考えているなら、それでは不味い)
だが外からの襲撃で死んだ事にすれば話は別だ。
その時に丁度自分が居なかった事は疑惑を呼ぶが、外からの襲撃者を上手く作れば話は別だ。
例えばこの工場に『たまたま誰かが通りがかって』いるのかもしれない。
そうすればその相手に罪をなすりつければ全ては丸く収まる。
問題は外からの襲撃では確実性が落ちる事だが……
(……フェイトさんが魔法使いという事を知っていて尚やるならば、
 それは間違いなく十分な勝算があると考えるべきでしょう。
 最初の狙撃が失敗した程度で負ける作戦のわけがない。
 おそらく外にはなんらかの罠が仕掛けてある……フェイトさんが危ない!)
だが一つ有利な点は有る。
イヴが外に居ると判っていれば、光子郎はブルーを置いて援護に行ける。
そして光子郎にはイヴが武器と気づいていない武器、風の剣とジャスタウェイが有る!
「ブルーさん、ここで待っていてください。フェイトさんを助けに行きます」

「光子郎……」
それを聞いてブルーは少し考える。光子郎をここで行かせる利点は有るかどうか?
すぐに答えは出た。
「うん。お願い……行って、フェイトさんを助けて」
「ええ!」
光子郎はランドセルを手に扉から飛び出していった。
窓からに比べて遅れるが、光子郎にフェイトの真似はとても出来ない。
ブルーはそれを見送って。
(外からの襲撃だとすれば一人にされるのは危険かもしれないわ。
 でもすぐにイヴちゃんがこの部屋に戻ってくるはずだからこれは大丈夫ね。
 光子郎を行かせればフェイトが生き残る可能性は上がる。
 迷走しているとはいえ疑り深い光子郎が死んで純真なフェイトが生き残れば御の字だわ。
 ホホ、せいぜいがんばってらっしゃい)
こっそりとほくそ笑んだ。

――それから数十秒ほどして、イヴが部屋に帰ってきた。

     * * *


247 :世界は皮肉に満ちていた(前編)(8/9) ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:39:53 ID:hWFrfb4k
飛び出したフェイトはまず壁に伝うパイプに手を掛けた。
頭上を無数の散弾が駆け抜け一発は窓を破って音を立てた。
部屋に残った二人の無事を祈り、パイプを滑り降りながら窓から見た場所を振り返る。
それは森の入り口、工場との境目で……銃口が光を照り返し、輝いた。
(第二射……!)
壁を蹴り落下の方向を変える。フェイトの体が宙を舞う。
だが予想していた第二射は聞こえない。
そのまま体を回転させ体勢を立て直し全身を魔力で強化しながら大地に、降り立った。
(今度こそ、来る!)
落下の衝撃を横に逃がし着地した勢いで全身を転がす。
着地地点を無数の散弾が抉りその猛威を示した。
狙い澄ました二射目からを辛うじてかわしきり、フェイトはゆっくりと立ち上がる。
この回避は直勘などではない。
撃ってくるタイミングを計った予測と計算に裏打ちされた回避行動だ。
フェイトの回避行動は論理に基づいた動作を高速で行うものなのである。
それを見て狙撃者は、くすくすと笑った。
「……誰?」
問い掛けに答えずに、狙撃者は森の奥へと足音を響かせる。
茂みを踏む音が遠ざかっていく。
(誘いだ。でも……行くしかない)
そっと背後の工場を振り返る。
森の入り口から二階の窓までの距離はざっと30m程度。散弾でも狙える距離だ。
だが、再び狙撃されるならまだ良い。
工場は入り組んでいて、隠れる場所がとても多い。
散弾銃はそういった狭い場所で猛威を奮った武器なのだ。
フェイトは銃の歴史までは知らなかったが、散弾という特性からその危険性を理解していた。
(それに、みんなは戦わせられない)
工場に居るのは光子郎と、ブルーと、イヴ。
ブルーは戦力として論外だったし、光子郎も直接戦闘は苦手なようだ。
残ったイヴはどうやら戦えるようではある。
襲ってきた(?)ビュティという人を『返り討ちにしてしまった』のだから。
(だけど、今はダメ)
今のイヴは戦わせられない。
必然的に今戦えるのはフェイトだけだ。
そう言う意味で言えば他の皆を巻き込まずに戦えるこの誘いは都合が良いとさえ言えた。
「みんな……必ず戻るから」
だからフェイトは、一人で森へと足を踏み入れた。

そしてフェイトを、長い銀髪の少女が出迎える。
片手に散弾銃を下げた少女は優雅に一礼すらしてみせる。
その動作はとても優雅で、まるで天使のように美しくて。
「まだこんな時間なのに、なんて贅沢な御馳走なのかしら。お菓子の時間には勿体ないわ」
それなのに、天使のようなその笑顔はまるで悪魔のようだった。

     * * *

「それじゃフェイトは一人で戦いに行ったの!?」
「そうよ。でも光子郎がすぐに追いかけたわ」
「そんな……」
銃声に気づいて慌てて、だけど慎重に帰ってきたイヴはブルーの言葉に驚いた。
いきなり撃ってくるような相手にフェイトが一人で出ていってしまったのだという。
それがどれだけ危険な事か、考えるまでもない。
だからイヴも迷わず部屋を飛び出して行こうとする。
「待って! 置いていかないで!」
慌ててブルーはそれを止めた。
恐らく無い、あるいは居ても遅れて向かった光子郎を狙うだろうが、敵が複数だと危険だ。
だから言うことを聞くイヴを手元に置いておきたかった。
自分の“お願い”にイヴが逆らうはずもないと確信して。
……しかし。

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:40:25 ID:n3gHgbwX
     

249 :世界は皮肉に満ちていた(前編)(9/9) ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 09:41:09 ID:hWFrfb4k
「……ブルーさん……ごめんなさい、隠れていて。フェイトを放ってなんておけない」
「な……どうして?」
ブルーは目に見えるほどの動揺を浮かべた。
それを状況への恐怖だと受け取って、イヴはすまなさそうに言う。
「フェイトは……私の。ううん、私達の友達になってくれる人だから……」
ブルーはその言葉に違和感と疑問を感じて、訊ねる。
「どうしたの?」
「……フェイトも、私を赦してくれる……」
かもしれない、という一文を呑み込む。
フェイトはイヴを赦して友達になると良い、同時にイヴに前に進んで欲しいと言った。
フェイトは『友達になるから前に進もう』という意味合いで言った言葉だが、
イヴは『前に進めば友達になってくれる』と微妙に違う受け止め方をしていた。
(赦してもらう為に……護らなきゃ。フェイトを……光子郎さんも……!)
赦しと絆に餓えた少女は必死だった。
「……そういうこと」
イヴの言葉を聞いてブルーは納得した。
ふたりっきりで居る時にイヴとフェイトは言葉を交わし、フェイトはイヴを赦したのだ。
(純真だと甘く見ていたのは失敗かしら。このままじゃイヴちゃんを取られるかも……。
 ……でもフェイトごと丸め込めば問題ないか。
 それに無理に引き止めれば焦るイヴちゃんが暴走しちゃうかも……)
この場は仕方ないと考え、ブルーは言った。
「それじゃわたしは隠れているわ。イヴさん、みんなを助けてきて」
「うん……!」
そしてイヴも部屋を飛び出し。

すぐさまブルーも後を追った。

(イヴちゃんが移動した直後を追えば、危険は低いはず。
 とにかくあの部屋に残っているのは危険だわ。攻撃の標的にされた場所だし。
 深入りする気はないけど、離れすぎても危ないものね)
結果として4人全員が部屋を飛び出す事になり。

この混沌の舞台は森へと移った。


250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:42:25 ID:n3gHgbwX
        

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:43:51 ID:n3gHgbwX
         

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:45:15 ID:HIZVeB/H
 

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:45:51 ID:n3gHgbwX
          

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:49:55 ID:n3gHgbwX
ペロ……これはさるさる規制!

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:50:43 ID:HIZVeB/H
さるさん規制が入ったようなので、代理投下行ってもいいですか

256 :代理投下:2007/05/10(木) 09:51:51 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(後編)(1/8) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:45:32 ID:dSc9DAoY0
フェイトは少女と対峙していた。
長い銀髪の少女はくすくすと笑いながら、繊細な指で散弾銃を弄んでいる。
可憐な仕草はとても愛らしくて。
「さあ始めましょう。私達のためのお茶会よ。ブラッドパーティーを始めましょう。
 これまでのように、そしてこれからのようによ」
その言葉は一切の理解を拒絶していた。
「待って、あなたはどうしてこんな……!? これまでのようにって……?」
問い掛けを銃声が封殺する。
正面からの散弾を、引き金が引かれる瞬間に身を逃がす事で回避した。
背後の樹に無数の散弾が炸裂し、粉砕する。
へし折れた樹はメリメリと音を立てて倒れていく。
それはフェイトと少女の間に倒れ込み、互いの視線を遮った。
「どうして? そんな事は簡単だわ」
フェイトはバトルピックを構えて警戒する。
声の主は足音も短く駆け出して樹を乗り越えて。
「それが世界のルールだからさ!」
「な……!?」
高く跳躍した短い銀髪の少年が、手に持った巨大な槍を振り下ろす!
フェイトはそれを受け止めようとせず大きく飛んで回避する。
少年は咄嗟に槍を向け直しつつも、着地して体勢を僅かに崩す。
その間にフェイトは慌てて周辺を見回した。
(二人居た!? さっきの少女は何処に……)
……間など無かった。
「隙だらけだよ、お姉さん!」
叫びと共に槍に付いていた飾り布がエネルギーへと変化する。
崩れた体勢をものともせず、巨大な槍が迫り来る!
「しま……!!」
慌ててかざした手の先に半透明な力場が発生する。
ディフェンサー、バリア系の防御魔法だ。
だが防御魔法がさして得意ではないフェイトのそれは槍の刃先を僅かにずらしただけで砕け散る。
「きゃああああ!!」
跳ね飛ばされた。
二度三度とバウンドして立木に叩きつけられる。
しかし追撃は無かった。今度こそ少年の体勢は崩れていたのだ。
「く……っ!」
だけど反撃する余裕なんて有るはずが無い。
フェイトは咄嗟に近くの茂みへと飛び込んだ。
身を隠す事で生き延びた。

「あれ、隠れちゃった」
少年、“今は”ヘンゼルはくすくすと笑う。
獲物の抵抗を無駄な努力だと嘲笑う。
ヘンゼルは確かにフェイトの正確な居場所を見失っていた。
もしこのまま当てずっぽうに攻撃をすれば反撃を受けるかもしれない。
しかしヘンゼルには必勝の確証が有った。
ヘンゼルは大きな樹の陰に隠れると、サンライトハートを核鉄へと戻してポケットに入れる。
続けて背中のランドセルから散弾銃と、長い銀髪のカツラを取り出した。
「やっぱりここはお姉様の出番だね」
長い銀髪を被れば、そこにヘンゼルはもう居ない。
そこに居るのはグレーテルだ。
「あの子“達”に天使を呼んであげましょう」
流れるように兄姉は言葉を交わし、楽しげに笑い合う。
樹の陰に息を潜めて、軽やかに散弾銃の狙いを付けた。
グレーテルもフェイトの居場所を見失っている。
だけどそれなら、出てきてもらえば済むことだ。
「騒ぎが起きれば、ウサギは驚いて飛び出さずにはいられないわ」
引き金を引いた。

     * * *

257 :代理投下:2007/05/10(木) 09:53:56 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(後編)(2/8) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:46:23 ID:dSc9DAoY0
(居た……あの茂みですね)
光子郎は森の中に踏み入り、ひたすらにある色を捜していた。
それは金色だ。
フェイトもイヴも長い金色の髪をしている。
あの色を捜せば森の中でも二人を見つけるのは容易いはずだ。
その目論見は当たり、光子郎はすぐに金色の髪が飛び出ている茂みを発見した。
(問題は……どちらかという事ですが)
だが問題はここからだ。
茂みに隠れているのがフェイトなのかイヴなのか、光子郎には判らない。
フェイトなら良いが、もしもあれがイヴならば極めて危険だ。
(慎重な行動が必要です。まずなにより絶対に声は出さないように……?)
茂みで金属質の何かが光を反射した。
次の瞬間、視界が音が閃光が聴覚が真っ白に轟音で弾けた!
「が…………!!」
直前の決意が幸いしてか殆ど声は漏れなかった。
ただ判った。
――撃たれた。
(……しまっ…た…………逃げ……ければ……!!
 姿を見せちゃいけない……隠れて……逃げて…………!!)
よろめく足をくるりと反転させ、必死に足を交互に動かす。
声を出さずに茂みから茂みへと隠れるように。
姿無く音も無く。
痛みすら感じず頭の中は真っ白で耳鳴りが響く中で尚、思考だけが明晰に回り続ける。
(この状況で居るのは……フェイトさんと、イヴさんだけ……。
 フェイトさんは仲間ですし銃も持っていない。
 イヴさんは銃を持っていて……つまりあれは、イヴさんだ……!
 見つかって、撃たれた……っ)
光子郎は完全な思い違いと一つの致命的ミスを冒していた。
イヴへの疑念のあまり、それ以外に敵が居る可能性を見落としてしまった事。
そしてそれを前提に金髪だけに集中し森を探索した事だ。
何かに集中する事は、それ以外に対して無防備になる側面を持つ。
光子郎は視界の端に一瞬だけ映った銀髪を認識しそこねた。
森の光景の一部や木漏れ日に紛れその色を見逃した。
グレーテルの居る場所からは茂みに隠れているフェイトの姿は見えなかった。
だが光子郎の姿が見えていた。
グレーテルはフェイトを誘き出す餌として光子郎を撃ったのだ。

しかしここにグレーテルにとっても誤算が有った。
それは光子郎が悲鳴一つ上げず、静かに物陰を逃げていった事だ。
恐らくは仲間であるはずの光子郎の悲鳴を聞かせてやるはずだった。
それにより茂みから飛び出し、あるいは動揺したフェイトを探し当て、
一瞬でも生まれるはずの無防備な隙に散弾をプレゼントするはずだった。
だがその予定は崩れさる。
そしてフェイトは、射撃の為に姿を表したグレーテルの無防備な姿を目撃した。
「フォトンランサー!」
「え…………!?」
予定が崩れたグレーテルに三本の雷の槍が襲い掛かった。
一発目は辛うじてかわした。
二発目は左足を掠めて痺れを残した。
三発目は右腕に直撃した。
魔力ダメージだったが、魔力を殆ど持たないからこそダメージは大きい。
右腕はまるで動かなくなり、取り落としそうになった銃を慌てて左手で掴み取る。
「くぅ……!」
グレーテルは敗北を噛み締めた。
先手を打ってかなりのダメージを負わせたはずだが、負傷の度合いは判らない。
なにより相手には魔法が有る。理解できない不可思議な、強さが予測出来ない力。
他に仲間が居る可能性も有る。
「……ごきげんよう。またお会いできるかしら」
捨て台詞を残すと、グレーテルは身を翻して逃げ去った。

258 :代理投下:2007/05/10(木) 09:56:22 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(後編)(3/8) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:47:08 ID:dSc9DAoY0
     * * *

だらだらと溢れ始めた血を垂れ流し、光子郎は茂みの中を歩き続ける。
傷がどの程度の深さなのかはまるで判らない。
撃たれたのだから即死してもおかしくなかったが、
こうして逃げられる事からして急所は外れていたのかもしれない。
痛みは依然、殆ど無い。怖くなるほどに。
ただ寒さを感じつつあった。
(早く……皆に会わなければ……! それから治療と、イヴさんが危険だと……!)
だけどその足からも遂に力が抜ける。
そして、崩れ伏した。
「……ダメです……こんな所で…………倒れ…………」
呻く光子郎の上から、声がした。

「…………光子郎、大丈夫?」

ブルーの声だった。
「ブルーさん……ですか……」
どうして出てきてしまったのかと思うが、一方で少しだけ希望を見る。
フェイトに伝えたかったが、この際ブルーにでも伝えておこう。
――自分の傷の深さも、判らないのだから。
「良いですか……今から言うことを、良く聞いてください……。
 そしてフェイトさんを見つけて……伝えてください……」
「ええ……いいわ」
ブルーは落ち着いた声で、答えた。
……抑えきれない笑みをその顔に浮かべて。

ブルーは自らの幸運の一つに感謝していた。
疑っていたのが見当違いの相手だったとはいえ、疑り深い男が死にかけで倒れている。
それもふたりっきりだ。
今なら光子郎を殺すのに大人の姿になる必要すら無い。
ブルーはランドセルからそっとガラス片を取りだした。
最初に散弾による銃撃が有った時に割れた、ガラス窓の一欠片。
鋭利なこのガラスで首の後ろを一刺し。
それだけで光子郎には確実な死が訪れる。

「イヴさんは……周囲の人間を騙して利用し、無価値になったところで殺害しています……」
光子郎は苦しい息で必死に訴える。
ブルーは自らの緊張を押し隠すように、それを嘲笑う。
光子郎は気づかない。
頭上でブルーが浮かべている笑みも。
光子郎の背中側に回した腕に握られた、ガラスも。

「この傷も……彼女に撃たれました……」
「え……?」
ブルーは困惑し……しかしすぐにそれを振り切る。
(まさか。きっと誤射でもしたか、あるいは勘違いよ……)
この状況で嘘を吐く理由が有るとは思えない。
だがそんな事が有るはずも無いと、それを否定する。
静かに深呼吸をして息を落ち着けて、光子郎の背中側に回したガラスを……
「良いですか……イヴさんに気取られないように、フェイトさんと逃げてください。
 あなたなら、できます……」
「ムリよ。わたしは子供だもの」
「いいえ……あなたの中身は…………大人です…………」
「!?」
凍り付いた。
「あなたは……落ち着いている。
 受け答えだって、そうでした……。
 イヴを護ろうと泣きそうになったりする一方で……今も、こんな時に落ち着いています」

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:57:16 ID:n3gHgbwX
 

260 :代理投下:2007/05/10(木) 09:57:39 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(後編)(4/8) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:47:42 ID:dSc9DAoY0

光子郎はブルーの若返りを見破ったわけではない。
光子郎は未だにブルーの実年齢を見た目その物だと思っていた。
ブルーを大人だと言ったのは『子供なのに大人のように強い心を持っている』という意味であり、
イヴを護るなど仲間の為に必死になって泣く一方で、逆境でも泣かないでいられるという、
そういった精神的な面を何気なく誉めた言葉に過ぎなかった。

だが、ブルーの視点から見ればこの言葉の意味は変貌する。
光子郎は『ブルーの実年齢はもっと年上だがなんだかの手段で子供の姿をしている』と見抜いたのだ。
その理由は『イヴの時に泣きそうになったりする一方で泣くべき時に落ち着いている矛盾』だ。
その矛盾から、子供のフリをしているだけで実年齢はそうでない、騙していた事を見抜かれた。
それはブルーの認識する状況を一変させた。

「イヴさんは……あなたの幼い容姿を、集団に入り込む為の武器として利用している……」
これまではそれは自分がやっている事だと一笑に付していた。
だが今は違う。
ブルーは急いでガラスをしまい込むと、イヴについて考え出した。

相手の考えを知ろうとする時、人は大なり小なり相手の視点に立って考える。
しかしここに落とし穴がある。
それは幾ら相手の視点に立とうとも、そこから相手の事を想像する思考が自分の物である事だ。
知識において補完される事も有る。
例えば倫理的に人を殺すのは許されない事だから、皆は人殺しの自分を許さないだろうという具合に。
あるいは理論を積み重ねた先にどう考えても間違いのない思考が見える事も有る。
しかしそこまで明確に答えが用意されていない多くの場合において、
人は相手の中に自分の知るもの、つまり自分の考えうる事を見る。
人を騙そうと考えもしない者は、周囲の人々が自分を騙そうとするなど考えもしない。
逆に人を騙そうとしている者は、周囲の人々が自分を騙そうとする事を疑うだろう。
だからブルーは思った。

 『イヴは本当に怯える子羊か?』

最初に理論が状況を整理する。
光子郎は、ブルーが年齢を偽っている事に気が付いていた。
これはつまりブルーの状況を見抜いていた事になる。
その上で敵である筈のブルーに対して、イヴは危険だと助言した。
(いいように利用している筈のイヴが……アタシを操っていたってコト?
 まさか。あのイヴにそんな事をできるわけが……)
怯えた瞳を思い出す。あの涙を思い出す。
あれを見てイヴを体の良い操り人形に出来ると思った。
だけど“子供に化けて泣き真似、怯えたフリまでしてみせたブルー”は思う。
(…………できる……そういう事なの?)
全てがフリだったとしても矛盾は無い、と。
そう、疑心が芽生えた。

「光子郎、詳しい話を……」
ガサリと音がして。
振り返ると、そこにイヴが立っていた。
「イヴ……!」
(聞かれた……!?
 ううん、この距離なら……光子郎の声は切れ切れだった、聞こえてる筈がない。
 だけど……これ以上は、話せない)
そしてまた、今度は逆からガサリと音がして。
フェイトが姿を表した。
4人は再び集まった。

     * * *

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 09:58:14 ID:n3gHgbwX
  

262 :代理投下:2007/05/10(木) 09:58:41 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(後編)(5/8) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:48:26 ID:dSc9DAoY0
――フェイトは、見ていた。

グレーテルを撃退して少ししてから、フェイトは血の臭いに気が付いた。
最初は自分が出血しているのかと思ったが、跳ね飛ばされた傷は打撲に近い。
肋骨にヒビが入っているかもしれないが、血はあまり出ていなかった。
それから、その血の臭いが離れた方向から漂ってきている事に気が付いた。
(どこから……?)
そういえば最後のグレーテルの銃撃はなんだったのだろうか。
小動物か何かが居て、その動きをフェイトと見間違えたのだろうか。
それとも茂みを虱潰しに撃とうとした乱暴な一手だったのだろうか。
よろよろと立ち上がり……少し離れた地面に新しい血痕が付いてるのを見つけた。
「え……!?」
血の気が引いた。
この血痕は、誰のものだ?
戦った謎の少女に当たった有効打は最後のフォトンランサーだけだ。
魔力ダメージにしていたし、そうでなくとも血が出るような傷は付けられない。
フェイトのものでもない。
第一、血痕は点々と茂みの間を縫って工場の方へと続いているではないか。
「まさか……!」
痛む体を急き立てて血痕を追いかけた。
茂みの間を縫うそれを見落とさないためには、慎重に歩かなければならなかった。
それでも直に血痕の原因に辿り着く。
そこには……負傷した光子郎と、ブルーが居た。
(光子郎さん……!)
叫ぼうとした声が凍り付く。
光子郎はブルーに何かを話していた。必死に何かを伝えようとしていた。
だがブルーは……それを嘲笑っていた。
光子郎に見えないように、負傷した光子郎を抱えて声も無く笑っていた。
(ブルー……ちゃん……?)
そしてその手には……ガラスが握られていた。
光子郎の背中に回された、鋭いガラスを持った腕。
(それを……どうするの……?)
ブルーはゆっくりとそれを振りかぶって……!
「フォトン……!」
咄嗟にフォトンランサーを撃とうとして、止める。
ブルーの動きは止まっていた。
慌てた様子でガラスをランドセルに仕舞い込む。
……向かいの茂みが音を立てて、イヴが姿を表した。
きっと、彼女が現れたから止めたのだろう。
(ブルーちゃん……そんな…………)
それは殆ど決定的な場面と言ってよかった。
ブルーは……光子郎の危惧した通り、危険な人物だったのだ。
それでも話を聞きたいと、そして光子郎が負傷している事を思いだして慌てて、茂みから飛び出した。

     * * *

「光子郎さん……!」
イヴとフェイトは負傷し倒れている彼に駆け寄った。
その傷は幸い、どうしようもないほど致命的なわけではなかった。
ただしそれは、治療手段が有ればという条件が付く。
布切れや棒による素人の応急処置程度では生き残れないだろう。
フェイトも、ブルーも、そんな技術は持っていない。
「私が……私が治します……!」
「え……!?」
「イヴ……!」

263 :代理投下:2007/05/10(木) 09:59:48 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(後編)(6/8) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:50:52 ID:dSc9DAoY0
宣言したのはイヴだ。
光子郎に歩み寄るイヴの、髪の毛が変貌していく。
淡い輝きと共に奇妙なカタチを為していく。
その姿にフェイトは希望を見た。
フェイトの知らない力だけれど、イヴがそういうならそれはきっと真実だ。
これで光子郎は助かるとそう思った。
その姿にブルーは困惑した。
まだ疑心の時点でしかないブルーにとって、イヴの言葉の真偽が判らなかった。
その行為がどちらに転ぶか、咄嗟には想像すら出来なかった。
そして光子郎は、その姿に……恐怖した。

(僕の死を……利用するつもりですか……)
光子郎はイヴに撃たれたと思いこんでいた。
だから言葉通りに治療するわけがないと確信し、トドメを刺すつもりだと考えた。
死んだ理由は『ごめんなさい、私の力でも手遅れだった』とでも言えば良い。
仲間を助けようとする事で信用を得られて一石二鳥だ。
その後で依然取り入り続けるイヴは、やがてフェイトとブルーをも殺害するだろう。
(だけど……どうすれば……)
この状況を変えるにはフェイトにイヴを敵だと信じ込ませるしかない。
(…………? フェイトさん……生きて……)
一瞬だけ違和感を感じた。
だけどそれについて考える間も無かった。
イヴはもう目の前まで迫って屈み込んできて…………
(僕の死を利用はさせません。
 殺されるのは変わり無くても……助けたフリなんてさせません。
 そうすればきっと、フェイトさんがイヴさんと戦ってくれる!)
光子郎は弱った全身の力を振り絞って首に巻いていたマフラーを抜き取った。
「え……!?」
否、それはマフラーではない。
抜き取った瞬間、そのマフラーは変貌していく。
柄が見えた。それから刃が……至近距離のイヴに向けて振られて…………!
「きゃあああ!!」
悲鳴が上がった。

     * * *

「光子郎……さん…………?」
フェイトが茫然と、言葉を紡ぐ。
「光子郎さん!」
それは悲鳴となって。
「光子郎さん、どうして!? どうしてこんな……事に…………!!」
嘆きへと変わった。

光子郎の体は切り裂かれていた。
反射的に刃に変えた、イヴの髪の毛によって。
転がった首が……怨めしそうに、イヴを見上げた。

「あ……ああ…………」
イヴは怯えていた。
「違う……私、こんな事をするつもりじゃ……本当に、本当に治そうと…………!
 でも、でも……!」
突然、光子郎が剣を振るって襲い掛かってきた。そう思った。
だけど地面に転がっている剣に……刃は、無かった。
見るからに殺傷力の無い、猫のような奇妙な物が生えていた。
光子郎が何を考えてそんな物を手にしたのかは判らない。
しかしイヴに対して殺意を持って振るったようには、とても見えなかった。
「あ……いやああああぁああぁあぁあぁあぁあぁあああああああああああああああああ」
絶叫が上がった。

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 10:00:30 ID:n3gHgbwX
    

265 :代理投下:2007/05/10(木) 10:00:50 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(後編)(7/8) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:51:24 ID:dSc9DAoY0
そしてブルーは……ブルーもまた、怯えていた。
ブルーの中でみるみるうちに疑心が膨れ上がっていた。
(イヴはこれで二人目を殺した事になる。
 もう『ご褒美』まであと一人で、しかも自分を利用していると思いこんでいる少女と一緒に居る。
 その少女は物理的には無力で、自分の方は戦いにおいて圧倒的な実力を持っている。
 つまりフェイトと別れれば……いつでもアタシを殺せる。
 やろうと思えばあっさりとアタシを殺して『ご褒美』をもらえる……そんな事って有る?
 そんなの、偶然なんかで有り得るの?)
全身を悪寒が包み込む。
疑心は見る見るうちに未知という暗闇の中に怖ろしい鬼を作り出していく。
(まさかアタシは、いつでも『ご褒美』を貰えるように予備で置いておかれた獲物なの?
 『ご褒美』は放送の時に必ず消費される。
 でも今のイヴには遠近両方において十二分に戦える武器があるわ。
 『ご褒美』で追加の支給品をもらう必要は無い。
 多分ジェダに聞く事も無いし、怪我だってそこまでして治す必要は無いんだわ。
 きっとそう、ううん、間違いなく!
 この予想が当たっていたら、最悪だと一度目の放送直後にアタシは殺されてしまう。
 でも……どうすれば良いの?
 戦う? ムリよ、アタシ自身じゃ勝ち目なんて無い!
 逃げる? ダメ、逃げられっこない!
 廃病院の前でのビュティとイヴのやり取りは見ていた。
 イヴは羽を生やして空を飛べる。あんなのから逃げられるわけがないわ。
 不調そうではあったけど、あれだって全部演技だったのかもしれない。
 もし手が有るとしたら……)
一つは『同行』のカード。
GIというゲームの、しかし本当に効果が有るらしい不思議なカード。
その効果は自分と半径20m以内のプレイヤーを対象にして、
行ったことが有る場所やプレイヤーの元に飛ぶという効果だ。だが。
(ダメ、これは使えない)
20m以上離れなければイヴも来てしまうとか、まともな飛ぶ先が少ない事は何とかなる。
問題はこれが『イヴから譲り受けたカード』である事だ。
これを使って逃げようとするなんて相手の掌で踊る事に等しい。
最低でもそれを阻止するカードは持っているだろうし、
効果が有るというのは嘘っぱちでただのゲームカードという可能性が一番高い。
だがその程度ならまだ良い。
最悪なのは、このカード自体が罠である事だ。
使おうとしたら使用者の命を奪うだとかそういう代物かもしれない。
それを考えると試しに使ってみる事さえ出来ない。
ブルーはイヴにより外敵から護られていたが、イヴから身を護る術は何一つ持っていなかったのだ。
(やっぱり、残った手は一つしか無い)

それはフェイトに護ってもらう事だ。
フェイトは魔法使いだといい、更に謎の人物の襲撃を退けている。
イヴと比べてどちらが強いのかは判らないが、敵に回したくない実力者のはずだ。
とにかくフェイトと一緒に居なければならない。
フェイトの信用を得なければならない。
そう思うブルーに、イヴが縋り付いた。
「ブルーさん……」
「…………な……なに……?」
ブルーは目に見えるほどに怯えた。
だけど今のイヴはそんな事にすら気づかない。
「お願い……信じて。こんな事、やろうとしてやったわけじゃない。
 だから信じて……そして……」

――ゆるして。

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 10:01:32 ID:n3gHgbwX
          

267 :代理投下:2007/05/10(木) 10:01:54 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(後編)(8/8) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:55:02 ID:dSc9DAoY0
「え……ええ…………もちろんよ…………」
ブルーの返答は震えていた。
それでもそう答える。自らの利用価値を残すために。
もし赦さないと答えればどう動くか判らない。
こう答えれば、まだ自分には利用価値が有るはずだ。
そんなブルーにイヴは少しだけ落ち着いた様子で、そして。
「それと、フェイトさんと……別れられないかな……」
「え……!?」
その声は小声で、フェイトに聞こえないように、恐る恐る紡がれていた。
「私は……フェイトさんの、大切な友達を殺してしまった。
 前に進めって言われたのに……また同じ過ちを冒して……。
 ……もう、一緒に居たら…………どんな顔をすれば……!」
その言葉は真に迫り涙すら零していた。
だがそれはブルーにとって、『ここまで演じられるのか』という戦慄しかもたらさない。
「ダ、ダメよ。それはダメ。逃げるのは、ダメ。
 それにさっきの奴がまた襲ってくるかもしれない、集まっていないと危ないわ」
「…………そう、ですよね…………ごめん……なさい…………」
イヴは俯き。
フェイトとの間にブルーを挟む位置に立った。

しかしフェイトは、これをイヴのせいだと考えてはいなかった。
どうしてかは判らないが、光子郎はイヴに向けて風の剣を振るった。
ハズレが出たから良いが、そうでなければ死んでいたのはイヴだったかもしれない。
(光子郎さん……死にかけていたから……?)
失血で幻でも見て、だからイヴを殺そうとしたのだろうか。
そう考えれば光子郎の事は無理に説明できなくもなかった。
だけど、ブルーの事は……。
(死にそうで必死になっている光子郎さんを笑って……あんな…………)
明らかに意図的に、光子郎を殺そうとしていた。
どう思いたいどうこうではなくて、確証の領域に入る。
(どうして…………)
どんな理由が有るのか判らない。
ただ事実を事実として認めて、ブルーを危険人物だと理解していた。
(まさか、イヴの事も利用して……ううん、考えすぎてる)
思考が纏まらない。
本当はとても傷付いてしまったイヴに言葉を掛けなければならないのに。
これはイヴのせいではないと言わなければならないのに。
「光子郎さん…………」
今は、目の前の地面に転がる光子郎を悼む事しかできなかった。

     * * *

こうして一人は死に、盤面は混沌へと姿を変える。

ただ知ろうとし続けた光子郎こそが、もっとも真実から遠くに迷い込んでしまった。
ただ信じようと想い続けたフェイトこそが、ブルーの悪に気づいてしまった。
ただ全てを操ろうとしたブルーこそが、在りもしない影に怯え疑心暗鬼に囚われた。
ただ赦しを求めたイヴこそが、更なる罪を重ね本当の救いの手すら見失ってしまった。

イヴが信じるブルーは、イヴに悪魔を見ていて。
ブルーが求めるフェイトは、ブルーの罪を知っていて。
フェイトが救おうとするイヴは、フェイトから逃げたがっていて。
光子郎の想いは仲間に届く事無く、その貫き通した過ちが敵を狂わせた。

なんという皮肉か。

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 10:03:44 ID:n3gHgbwX
                       

269 :代理投下:2007/05/10(木) 10:03:48 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(報告) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:56:15 ID:dSc9DAoY0
【A-3/工場(ファクトリアルタウン)前/1日目/午後】
【悪夢の三角関係】
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:胸を強く打撲(肋骨にヒビ有り?)、魔力消費(極小)
[装備]:バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式、マジックバタフライ@MOTHER2、さとうきびセイバー@ボボボーボ・ボーボボ
[思考]:………………。
第一行動方針:まず…………
第二行動方針:ブルーになんらかの対処。イヴを救いたい。
第三行動方針:友人の捜索及び合流
基本行動方針:バトルロワイアルの打破
[備考]:光子郎から以下の仮説を聞きました。
1:この工場はなんらかのエネルギーが作動してるかどうかを確認している。
2:そのなんらかのエネルギーはここじゃない場所にある
3:そこは普通にしてたらわからないが、決して見つからないような場所ではない

【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康、4歳モード、イヴに激しい恐怖と誤解
[服装]:白衣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、チョークぎっしりの薬箱、年齢詐称薬(赤×4、青×3)、G・Iカード(『聖水』『同行』)@H×H、Lのお面@DEATH NOTE
[思考]:このままじゃいずれイヴに殺される……
第一行動方針:イヴから逃げたい。その為にフェイトの信用を得たい。
第二行動方針:生き残るためには手段を選ばない。自分の手も要所要所で汚す覚悟
第三行動方針:レッドやグリーン、イエローのことが(第二行動方針に矛盾しない程度に)心配
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出、元の世界への帰還(手段は問わない)
[備考]:ブルーは、ビュティが持っている傘に銃が仕込まれていることを知りました。
    また、イヴが持っているアタッシュケースが仕込み武器である可能性を強く疑っています。
    ブルーは、双葉を始末したであろうと思っています。
    フェイトの知人(なのは達)と、リリカルなのは世界の魔法についての知識を得ました。
    G・Iカードについて『使っても阻止され、最悪罠が仕掛けられている』と思いこみました。

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 10:04:48 ID:n3gHgbwX
 

271 :代理投下:2007/05/10(木) 10:04:50 ID:HIZVeB/H
世界は皮肉に満ちていた(報告) ◆CFbj666Xrw:2007/05/10(木) 09:56:15 ID:dSc9DAoY0
【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:左腹部に銃創(処置済み)、全身に中程度の打撲、精神衰弱、疲労感大、
[服装]:ナース服
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、G・Iカード(『左遷』)@H×H、
    基本支給品一式[ビュティ]、神楽の傘(弾0)@銀魂、コンマ(ランドセル異空間)@ボボボーボ・ボーボボ、血塗れの服
[思考]:………………。
第一行動方針:ブルーに服従し、命がけで守る。フェイトに会わす顔が無く、出来るだけ避けたい。
第二行動方針:危険回避のため、他人にはアタッシュケースを触らせないようにする
基本行動方針:ゆるして――
[備考]:イヴはコンマをどこかに落としたと思っている。ランドセルを逆さにすれば放り出せる。
   自分を許してくれたブルーに恩義以上のものを感じている。
   フェイトにもそれを感じ掛けたが、フェイトの友達である光子郎を殺してしまった事でもう赦されないと思いこんでいる。

【泉光子郎@デジモンアドベンチャー 死亡】
[備考]:風の剣(ハズレ発動中)@魔法陣グルグルを握っています。
全身を切り裂かれ首も刎ねられて首輪も転がっています。
ランドセルには支給品一式(食料少し減)、ジャスタウェイ@銀魂が残っています。

【A-4/森/1日目/午後】
【グレーテル@BLACK LAGOON】
[状態]:疲労(大)、右腕損傷&数時間は動かない、左足に痺れ、全身に重度のダメージ
[装備]:ウィンチェスターM1897(1/5)@Gunslinger Girl)、サンライトハート(核鉄状態)@武装錬金
[道具]:支給品一式、塩酸の瓶(残り1本)、神楽とミミの眼球
[思考]:少し疲れてしまったわ
基本行動方針:兄様(ヘンゼル)を探しつつ、効率よく「遊ぶ」
第一行動方針:そろそろ休憩場所を捜すのもいいかしら
第二行動方針:誰か新しい相手を見つけて遊ぶ。

272 :代理投下:2007/05/10(木) 10:06:01 ID:HIZVeB/H
投下終了です。
状態票で改行エラーが出たので、勝手ながら2つに分けさせていただきました。

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 10:24:56 ID:n3gHgbwX
感想もう言っていいのかな?

これはいい泥沼……作者さんは人間関係の転がし方が物凄く上手いと思った
光子郎は、間接的には自分の疑心暗鬼というか間違った推理のせいで自爆したようなものだし
フェイトは真実の構図を垣間見ることはできたけど泥沼に取り残されてしまったし
ブルーはミイラ取りがミイラに、もとい騙す側が騙される事に怯える側に変わったし
イヴはさらにカワイソスだしで、これぞバトロワ、光が見えねぇ、救われねぇ!

乙&GJ!

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 10:27:25 ID:HIZVeB/H
◆CFbj666Xrw氏乙であります
混沌としてきたなぁ……
周りに悪意を持たれていない、フェイトの立ち回り次第になるかな?
にしてもデジモン勢が受難だな。無事なのは太一だけかよ

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 10:46:08 ID:AY5JdYxF
GJ
疑心暗鬼がグルグル

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 13:11:43 ID:EYXxXX7Q
GJ!
これは良い疑心暗鬼。
先がまるで読めない。

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 14:55:28 ID:bFWgdIUd
投下GJ。
これから一体どうなるのかまったく予想出来ないぜ

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 15:26:52 ID:OO7LERue
>>274
それは残った太一までもが碌な目にあわないというフラグかww

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 15:29:43 ID:KyxGf8Cq
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/clip/img/107.gif
130話って事で最新の状況。
最新話がうぃきに載ったら更新するとしよう。

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 16:22:22 ID:PeziRWHo
投下GJ!
互いが互いを疑い合ってカオスすぎる。本当に皮肉な結果だ。
今まで好き勝手やってきたブルーも、遂に怖がる側に回ったな。自業自得っちゃあ自業自得w
グレーテルが隠れた立ち役者してるなぁ……これからも盤面を引っ掻き回してくれることを期待する。

>>279乙です。
しかし、もう130話か。21人死亡は結構いいペースなのかな?

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 17:44:53 ID:fTJRxHUY
時間的にいいペースだが
話数的には遅いな

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 17:57:27 ID:KyxGf8Cq
話数に対する比率では結構遅いけど、
放送になってない内の死者数としては相当な物かな。

ただこれって、開始直後にあんまり殺さなかったからなんだよね。
単独出場のキャラが多い為か、最初はあんまり殺さずに全キャラ登場させようという風潮が有った。
だから60話時点で4人しか死んでいない。
他ロワの半分程度、下手すれば1/3以下のペースだ。

その後は4話に1人くらいのペースでバタバタ死んでたりする。

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 18:21:53 ID:AY5JdYxF
6時間で放送だったらもっとバンバン死んでたと思う。
…かもしれない。

放送で仲間の死を知るイベントはおいしいのだろうか?

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 18:25:35 ID:KyxGf8Cq
もう纏めに載り始めたのでwikiに地図を上げておきました。
さっきのから一部微修正もしたので改めて張っておきます。

ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa?cmd=upload&act=open&pageid=8&file=romap1143.gif

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 18:46:53 ID:PeziRWHo
>>284

>>283
仲間がいないキャラが多いからどうだろうな。あんまり変わらないんじゃないか?

286 : ◆CFbj666Xrw :2007/05/10(木) 19:25:40 ID:a1ZvMDmq
感想有り難うございます。
最後の方はかなり勢いで書いていたので細かいミスなどが無いか少し不安でした。
あとこちらでも。代理投下、どうもありがとうございました。

287 : ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:45:15 ID:3rF5Mus5
ちょっと予定よりも遅れてしまいました。
予約していたレックス・雛苺・ベルフラウ、投下します。

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:45:54 ID:AY5JdYxF
 

289 :それぞれの限界、それぞれの転向 (前編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:46:10 ID:3rF5Mus5
獣の耳持つ少女を追うか、それともみかの待つ廃墟の街に戻るか――
相反する二択を迫られたベルフラウ=マルティーニは、結局、どちらも選ばなかった。
否、正確に言えば……「どちらも選べなかった」、と言うべきか。

「我ながら、情けないですわね……!」

髪から水を滴らせながら、ベルフラウは下唇を噛む。
彼女に、もう少し魔力があれば。あるいは、彼女にもう少し体力があれば。
そう思わなくも無かったが、しかし実際問題として無いものは仕方が無い。
北に走り去る獣人の少女を追うだけの体力もなく、また来た道を引き返すための魔力もなく。
ベルフラウに選ぶことができたのは、一時の休息だけだった。

太い丸太を何本も組んで作られた、東西に走る橋の下。
そのままでも隠れられそうな場所であったが、ベルフラウはさらに『地』のクロウカードを使用。
残り少ない魔力を使って土を動かし、大地を掘り、作り出したのは小さな『洞穴』だった。
橋の上を渡る者からも道路を歩く者からも、共に死角になる位置。
多少狭いのが難だが、慣れない魔法での土木工事であることを考えれば十分過ぎる出来だろう。

ここなら誰にも見られる心配は無い。少しの逡巡の後、ベルフラウは濡れそぼった衣類を一気に脱ぎ捨てる。
水を吸った重いワンピース。肌に張り付く不快なタイツ。頭に乗っているだけの状態だったベレー帽。
さらにしばらく迷った後、思い切って濡れた下着も脱いでしまう。
重く冷たい服から完全に解放され、思わずほッと溜息が漏れる。心地よい開放感。

しかし、ここまでたっぷり濡れてしまっては、絞った程度ではなんともならない。
『火』のカードで焚き火でもすれば別だが、魔力の残りも乏しいし、火力調整も難しそうだ。
裸のままでしばらく過ごすか、それとも濡れた服をまた着るのか……?
あられもない姿のまま、彼女は少し思案する。

「そうですわ、そういえば確か、替えの服が……!」

ベルフラウの支給品は3つ。
1つ目は四大元素のクロウカード。もう1つは今は置いておくとして、最後の1つは女の子用の衣類のセット。
軽く調べたきり、すっかり存在自体を忘れていたソレを、彼女は取り出す。
幸い、こちらは濡れていない。ご丁寧にも下着まで揃えてあったものを、有り難く使わせてもらうことにする。

「……ちょっと、丈が短すぎませんこと?」

身につけてみたベルフラウは、その下着が見えそうな程のミニスカートに少し顔を顰めるが。
それでも、裸でいるよりはずっといい。サイズもさほど問題無いようだ。
内務省特務機関等能力支援研究局B.A.B.E.L.所属、『ザ・チルドレン』の制服――。
実はこれ、人によっては大きな誤解を生みかねない危険な衣装なのだが、今のベルフラウに知る由もない。
着替えを終えた彼女は、濡れた自前の服を畳んで仕舞い込むと、洞窟の中に腰を下ろす。

290 :それぞれの限界、それぞれの転向 (前編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:47:03 ID:3rF5Mus5
「まずは体力と魔力の回復を図らなければ、何もできませんわね……。
 いざとなったら、目立ってしまいますけど、『あの支給品』で一足飛びに……」

疲れきった頭では、なかなかまとまった思考ができない。
いつしかベルフラウは、橋の下の隠された洞穴の中、こっくりこっくり、と船を漕ぎ始め、そして……。

         *       *        *

――ガガガンッッ!!

「……はうッ!?」

まさに青天の霹靂。耳をつんざく轟音が、ベルフラウを叩き起こした。
普段なら考えられないような間抜けな声と共に飛び起きた彼女は、狭い天井に頭をぶつけて。
涙目になりながらも、ベルフラウの意識は一気に覚醒する。

ちょっとの休憩のつもりだったのに、眠ってしまっていたらしい自分。
どれほどの時間を浪費してしまったのだろう? 北に向かった獣人は? 廃墟で待っているはずのみかは?
そして、今の閃光と轟音は――!?

「落雷、ですの!? でも、それにしては――」

穴の入り口から覗き見た空は、到底雷が落ちるような天気ではない。
ここに潜り込む前に見た周囲の景色にも、雷が落ちそうな大木などは見当たらなかった。
けれど、それでもすぐ近くで落雷があったことは間違いなく。
こんな不自然な現象が起こる可能性は、いくつか考えられるが。

「召喚術? 召喚獣の能力? それとも――このカードのような、『魔法』?」

なんにしても、平和的な状況で必要となる『力』ではあるまい。
耳を澄ませば、風に乗って不穏な音が聞こえてくる。
途切れ途切れの声、何かを切り払うような切断音、そしてどこか壊れた笑い声――
明らかに、近くで戦闘が行われている。しかも、その気配は次第に近づいているようだ。
ベルフラウは、迷う。
様子を伺いに出てみるか、それとも、この隠れ家に隠れているか。
戦闘に介入するか、それとも、自分の安全を優先して見過ごすか。
獣耳の少女を見た時と同様の迷い。ベルフラウ本来の性格と、みかと交わした約束とが再びぶつかり合う。


291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:48:03 ID:AsfYaf1a


292 :それぞれの限界、それぞれの転向 (前編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:48:06 ID:3rF5Mus5

「ど、どちらにしても、いざという時には動けるようにしておきませんと……!」

答えの出ない二択を前に彼女が「選んだ」のは、またしても「第三の選択肢」だった。
いや、それは「選択肢」と呼んでいいのだろうか?
どちらの選択肢も選べる状況を意識しながら、「とりあえず」、問題解決の「方法」の確認と準備に入る。

ランドセルから取り出したのは、ランドセルよりも大きなスーツケース。
そう、支給品の中に「コレ」があったからこそ、ベルフラウは遠くまで出かける気にもなったのだ。
「コレ」を使えば、来る時にはあれだけの時間がかかった道も、飛んで戻ることが出来る。
いざとなれば、さほどの時間をかけずに引き返すことができる。

ただし、その定員は僅か1名。みかと一緒に乗ることはできない――だからこそ、彼女には残ってもらった。
またその移動方法は隠密性とは掛け離れた、目立つこと必至の「最後の手段」。
これの使用は、ここまでのベルフラウの行動方針を一転させることを意味する。
覚悟を決めるように一呼吸置き、静かにスーツケースを開く。

真っ先に目を引くのは、歪んだ笑顔を貼り付けたかのような大きなカボチャの頭。
説明書を確認しながら、後頭部に開いた穴に両手を突っ込む。指貫が装着され、操り糸が引き出される。
ベルフラウ第二の支給品、懸糸傀儡『ジャック・オー・ランタン』。
繰り糸を通して伝えられた指先の動きに応じ、自由自在に動き回る操り人形。
その体内には多数の武器が仕込まれており、付属の箒を使えば高速飛行も可能な戦闘用懸糸傀儡――
――とのことだが、しかし、ロクに練習もしていない彼女に扱いきれるものかどうか。

「……いえ、やってみせますわ。最悪でも、わたくし1人が逃げ切るくらいは……!」

ベルフラウは、胸に湧き上がってきた不安を頭から振り払う。
ジェダが添付した解説書には、詳細な操作方法と共に「素質さえあれば子供にも扱える」との記述があった。
自分にだって、やってやれないことはないはずだ。『水(ウォーティ)』のクロウカードの時のように。
それに理由は思い当たらないのだが、この操り人形にはどこか親しいものを感じるし――

         *       *        *

――ベルフラウは、知らない。
『 Jack-o'-lantern 』。
その名には、戯画化され定型化された『ハロウィンのカボチャ』の他にも、もう1つの意味がある。
それは、沼に漂い人を惑わす妖しい灯火、『 Will-o'-the-wisp 』の別名。

つまり、日本語に訳せば『狐火』――あるいは『鬼火(オニビ)』、である。

         *       *        *

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:48:12 ID:AY5JdYxF
 

294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:49:01 ID:AY5JdYxF


295 :それぞれの限界、それぞれの転向 (前編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:49:09 ID:3rF5Mus5

(……ここを一時退くのは「敗北」じゃない! 僕には優勝できるだけの力が、きっとあるッ!
 だけど……っ!)

手足に絡み付いてくる蔦を、片端から切り払う。
距離を詰めようとした所で、飛んできた薔薇の花弁を仰け反ってかわす。
そこから剣を振っても、人形は既に間合いの外。
決め手の無いまま、延々と体力と魔力を削られていく不毛な戦い。レックスの苛立ちは募る。

「このっ……バケモノめッ!」
「あははッ☆ 負けないのよ♪」

赤い実の揺れる蔦が、レックスの足首を捉える。
一瞬動きが止まった所に、「ヒナ」を自称する人形が振るった金属製の『こんぼう』が襲い掛かる。
咄嗟に盾も防具もない左腕でガード。
衝撃に吹っ飛ばされながら、それでもレックスは冷静に分析する。

(骨も折れてない、今のダメージは大したことない! この子、『攻撃力』そのものはあんまりない!
 この子がどちらかと言えば『魔法使い』、または『まどうし』タイプなのは明らかだ。でも……!)

人間として見るかモンスターとして見るかは、大した問題ではない。
重要なのは、接近戦より『魔法』に類する中・遠距離戦を得意としているという事実。
この手のタイプが単体で現れたとしても、本来ならレックスの敵ではない。
敵ではない、はずだったのだが。

(くっ、この蔦、しつこいッ……! 邪魔過ぎるッ!!)

勇者として戦ってきた長い旅の中でも、こんな技や魔法を使ってくるモンスターは1匹もいなかった。
いや、触手を持ったモノはいた。植物のようなモノもいた。
けれどそいつらだって、こんな風に自由を奪う使い方はしてこなかった。
赤い実が所々についた植物は、1本だけならかなり弱い。腕や足の力で容易に引き千切れる。
けれど、数が多い。複数の蔦に捕捉されたら、魔剣で切り払ってやらないと動けなくなる。
そしてそのタイムロスの間に、人形自身は素早く剣の間合いの外に逃げてしまう……。
それが、さっきから延々と繰り返されている。
徹頭徹尾、こちらの剣が「届かない」。
向こうが「1発殴ろう」とした隙に、すかさずこちらも「1発当てに行く」のがレックスたちの世界での基本戦術。
この人形相手に限ったことではなかったが、普段とはまるで勝手の違う戦いに、レックスは焦る。

では、剣が駄目なら魔法を使えば良いのでは? 彼は『戦士』ではなく『勇者』なのだから。
……しかし、それもまた危険なのだった。
試しに放ってみた牽制のベギラマは、舞い上がった薔薇の花弁の壁に阻まれ、人形本体に届かなかった。
まあ、マホカンタに類する(しかし反射効果のない)防御用の魔法だとは思うのだが……。
しかし、その対象範囲や効果時間が分からない。どこまでの魔法を防がれてしまうのか、見当もつかない。

(あの花びらの壁、『ギガデイン』なら貫けるか……? でも……!)

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:49:14 ID:AsfYaf1a


297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:49:57 ID:AsfYaf1a


298 :それぞれの限界、それぞれの転向 (前編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:50:04 ID:3rF5Mus5

もしも彼の最強魔法・ギガデインさえも通じなかったら、と思うと、迂闊に試すこともできない。
この人形は、ギガデインを一度見ている。すなわち、レックスの最強の技を既に知っている。
トマとはやての時のように、第三者の乱入を期待することもできない。
もしも万が一、ギガデインさえも防がれてしまったら――その消耗は、今後の命取りにもなりかねない。
『ドラゴンの杖』によるドラゴラムも同様だ。
それで確実に倒せる保障があればともかく、貴重な残り使用回数、間違っても浪費したくはない。

となると、この状況を突き崩せる唯一の可能性は、相手のミス、あるいはMPの枯渇……なのだが。
さっきから惜しみなく蔦や花弁を振るい続けているというのに、人形の表情に焦りは見えない。

(……ひょっとして、MPが無限なの!? それとも、あの技の消耗がゼロ?!)

だとしたら、これは容易な相手ではない。
装備が足りない、技量が足りない、条件が足りない、仲間が足りない――どれが原因かは、分からないが。
ともかく、今のレックスには倒しきれない。この戦闘が始まった時点で、詰んでいる。
実際には、先のことを考えすぎるあまり自縄自縛に陥っているだけなのだが、幼い彼には気づかない。

打つ手なし。決め手なし。突破口なし。使えるかもしれないモノは、ことごとく躊躇いがよぎる。
しかし走って逃げようとしたら「回り込まれる」――のではなく、やはり蔦によって拘束される。
これもまた、レックスのいた世界には無かった「逃走阻止の方法」だ。調子が狂う。
剣を振るい、手足を縛る植物を斬り払いながら、彼は考えを巡らせる。

(ここは――『アレ』を使うしかない!?)

実のところ、レックスにはもう1つ使えるモノがある。
手にした魔剣に加えてもう1つ、ボウガンの少年から奪い取った「3つで1組の」支給品。
1つ1つが異なる機能を持ち、使い方次第では今後の戦いを有利に進められる品々。
しかし、どれも1回使ってしまったら終わりの消耗品。残り2回分ある『ドラゴンの杖』よりも貴重だ。
使い方を間違えてはいけない。
もし万が一、「使ったけれど打ち消されました」ということにでもなれば、今度こそ確実に「詰む」。
冒険をしてでも「使う」べきか、それとも状況の好転を信じて、今の膠着状況をもう少し続けるか――。
レックスは剣を振るい、飛んでくる花弁を避けながら考える。
必死に、考える。

――戦いの中で余計なことを考えていた彼は、だから状況の急変に気付けなかった。
不意に、人形からの攻撃が止まる。『ヒナ』と名乗った人形が、驚いたような表情を浮かべる。
好機とばかりに突進しかけたレックスは、そして後ろから迫ってきた気配に、はッ!と振り返る。

「――きゃぁぁぁぁぁッ!?」

耳に飛び込んで来たのは、どこか可愛らしい、しかし聞き覚えのない女の子の悲鳴。
でもレックスの視界に移ったのは、女の子の姿からは程遠い、大きな頭を持ったカボチャの怪物の姿で――
それは恐るべきスピードで、突進というより墜落するような形で、レックス目掛けて「降って」きて――

避ける間もなく、衝突。
激しい衝撃音と共に、濛々たる土煙が上がった。

299 :それぞれの限界、それぞれの転向 (前編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:51:16 ID:3rF5Mus5

         *       *        *


ベルフラウ=マルティーニが「選んだ」のは……
いや、「選ぼうとした」のは、結局、「その場からの移動」だった。

物陰からこっそり窺った限りでは、戦っているどちらもベルフラウの求める「先生」ではない。
両者の戦い方を見ても、召喚術を使う様子はない。むしろ小柄な方が使う技は、召喚獣の使う技に近い。

これでは、接触する価値は薄い。
ベルフラウが探しているのは、「先生」あるいは「腕のいい召喚術師」だ。
戦い、殺しあっている2人に、干渉せずともいいのか? という葛藤は当然あったが……
脳裏に浮かんだのは、やはりみかとの約束。
「危ないことはしない」――。
片方が一方的に嬲られているなら助ける気にもなるが、遠目に見ても状況は膠着していたし。
どちらに味方していいか分からない以上、取れる選択は「自分の安全の確保」だけだった。
2人は次第に近づいてくる。
さっきの落雷のような広範囲に及ぶ攻撃が放たれれば、橋の下に隠れていても巻き込まれる危険がある。
安全を確保するには、逃げるしかない。

そう、ベルフラウはただ、逃げようとしただけだったのに。

懸糸傀儡『ジャック・オー・ランタン』に乗って、猛スピードで遠ざかるつもりだったのに。
2人の剣も魔法も蔦も花弁も届かぬ上空を、一気に走り抜けてしまうつもりだったのに。
複雑怪奇な機構を備えた懸糸傀儡は、やはり素人には難し過ぎたのだ。
ほんの僅かな操作ミスが、全く違う動作に繋がる。
ほんの僅かな指の動きが、数十倍数百倍にも増幅されて結果に反映される。

「ま、待ちなさい『ジャコ』、私が行きたいのは、そっちじゃな――!」

なまじ、飛びあがるのに成功してしまったのがいけなかった。
風に煽られ捲れ上がるスカートを気にする余裕もなく、カボチャ頭の妖怪は空中をフラフラと迷走して――
やがて、眼下で戦っている2人の居るあたりに向かって、墜落を始める。
こちらに背を向けたまま、気がついていない少年。驚きの表情を浮かべる小柄な少女。
少年がようやく気付いて振り返るが、今さら間に合うものではない。

「――きゃぁぁぁぁぁッ!?」

恥も外聞も忘れて、ベルフラウの口から悲鳴が迸る。もう避けられない。
激突。衝撃。舞い上がる土煙――
ベルフラウの意識は、またしてもそこで途絶えてしまった。

         *       *        *

300 :それぞれの限界、それぞれの転向 (前編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:52:14 ID:3rF5Mus5

「な――何をされたッ!?」

全身に走る痛みに耐えながら、それでもレックスは素早く跳ね起きる。
状況が把握しきれない。
唐突に飛び出してきた「何者か」に強烈な体当たりを喰らったのは分かるが、それ以上の状況が分からない。
仮にも天空の勇者、この程度の衝突でどうにかなるようなヤワな身体はしていなかったが……
レックスは、もうもうと舞い上がる土煙の中、目を凝らす。

「……ふーん、『ジャコ』って言うんだ♪ よろしくなの☆」
『…………』

土煙の中、2つの影が見える。
片方は、ついさっきまで戦っていた「ヒナ」という人形。そしてもう片方は……
声こそ聞き取れなかったが、さっきの乱入者。
身体に比して巨大過ぎる頭部を持つ、カボチャのモンスター。
「ヒナ」に「ジャコ」と呼ばれたソレは、凶悪な両手持ちの鎌を手に、少女人形を守るように身構える。

レックスは、戦慄する。
この状況は、まるでさっきと同じような――
『グルグル使いのトマ』が『アビシオンさん』を呼んだ時と、同じような――!

「仲間を呼んだ!? そんな……!」
「いけぇ、ジャコ! やっちゃえぇ♪」
『…………!』

レックスの考えがまとまるよりも早く、敵が動き出す。
鎌を振り上げ、突進してくるカボチャ頭。咄嗟に剣で受けようとしたレックスの動きが、急に止まる。
――全身に、蔦が絡み付いていた。
赤い実が揺れる蔦。「ヒナ」がさっきまで使っていた、拘束の技。
これでは、避けられない。

ザシュッ。
袈裟斬りに振るわれた大鎌の衝撃に、レックスの視界がブレる。

「ぐあぁぁぁッ!!」

思わず悲鳴が漏れる。まさに痛恨の一撃。
恐ろしい切れ味を持っていた鎌は、レックスを拘束する蔦もろとも、一刀両断。
ギリギリの所で蔦ごと身を仰け反らせ、即死こそ免れたが、それでもこれは相当な深手だ。
防具も何もない今の状態、いくら天空の勇者といえど、限界がある。
逆に敵が拘束を断ってくれたこのチャンス、転がるようにして距離を開けながら必死に頭を巡らせる。

301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:52:58 ID:AsfYaf1a


302 :それぞれの限界、それぞれの転向 (前編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:53:08 ID:3rF5Mus5

(このままじゃ、本当にダメだ! ここで倒されちゃうわけにはいかないんだ!
 やっぱり、『アレ』を使って――!)

レックスは懐にある3枚のカードに手を添える。
先ほども使用を検討し、しかしその希少性から躊躇ってしまったカード。
1枚は、今は意味が無い。
1枚は、行き先こそ『町』や『村』ではないが、基本的に『ルーラ』に近いモノ。
そして最後の1枚は、これも行き先は違うが、敵にかける『ルーラ』のようなモノ――
カードに添えられていた解説から、レックスはそのように理解していた。

(『キメラの翼もどき』は、ダメだ。選べる行き先が、「今の僕にとっては都合が悪すぎる」。
 『敵を吹き飛ばすカード』も、ダメだ。
 さっき、「ヒナ」って子だけだった時なら良かったけど、対象に取れるのは1人だけ。
 2人の敵の片方だけ飛ばしても、今はあまり意味がない……!)

カボチャ頭も「ヒナ」も、強敵だ。この負傷では、1人を相手にするだけでも危険な状態。
単純に彼らを対象に使用するのでは、十分ではない。
他に何か、この窮地を確実に脱する方法は――

「……そうか、その手があったか。なんでさっきは気付かなかったんだろう?」
「??」

ピンチは時に、人に思いも寄らぬ知恵を授ける。
この『カード』が、レックスの世界の『魔法』と似たものなら――
この『カード』に書かれた文面が、この通りの意味を持つのなら――
きっと、「そういうこと」もできるはずだ。
彼の表情の変化に首を傾げる「ヒナ」に、レックスは静かに声をかける。

「――僕の名前はレックス。君の名前は?」
「ヒナは、雛苺って言うのよ。聞いてなかった?」
「『雛苺』か。覚えておくよ。いつかチャンスがあれば、その時には――!」

レックスはそして、1枚のカードを取り出す。
彼の動きに気付き、カボチャ頭と蔦が迫ってくるが、しかし遅い。
カードを掲げ、レックスは高らかに叫ぶ。


「『初心(デパーチャー)』、使用(オン)! 対象――『レックス』!」



303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:54:02 ID:AsfYaf1a


304 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:54:27 ID:3rF5Mus5

         *       *        *


「うにゅ……またいなくなっちゃったの」

閃光と共にレックスが飛び去った後の、広い路上。
雛苺は虚ろな瞳のまま、残念そうな表情を浮かべる。

仕留めきれなかったことより、「雛苺を残して逃げられた」ことの方が悔しい――そんな表情。

「でもいいの。『ジャコ』が来てくれたし……って、あれ?」

グラリ。
何の脈絡もなく登場した、しかし間違いなく心強い味方に微笑みかけようとした雛苺の身体が、大きく揺れる。
激しい眩暈。慌てたような仕草で、繰り手もいないはずの『ジャック・オー・ランタン』が彼女を支える。
その動作はまさに一個の生き物だ。

命のない人形に、かりそめの命を吹き込む力――
それは、雛苺が真紅から引き継いだ特殊能力の1つだった。
薔薇の花弁に『力』を乗せ、人形に『力』を『貸し与える』ことで、彼らが自由に動けるようにする能力。
人形に元々宿っていた『魂』は、その恩義に応えようと薔薇乙女に従うのだ。

あの刹那。空からジャック・オー・ランタンが墜落してきたその時。
戦闘の膠着に飽き始めていた雛苺は、素早くこの力を『ジャコ』に対して行使。
想像以上の戦力となってくれたが……結局、敵には逃げられてしまった。
あのまま戦っていれば、レックスにトドメを刺せたはずなのに……。

戦闘の緊張が抜けたことで、雛苺に一気に疲労感が襲い掛かる。
実は、ローゼンメイデンの振るうことのできる『力』の量は、無限ではない。消耗が無いわけでもない。
確かに他の世界の『魔法』と比べ、比較的『燃費』はいいかもしれないが、それでも有限だ。
雛苺自身、元の世界で真紅と戦った際には『力』の浪費が原因で自滅し、敗北している。

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:57:11 ID:AsfYaf1a


306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:57:47 ID:HIZVeB/H
 

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 20:58:04 ID:AsfYaf1a


308 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 20:58:14 ID:3rF5Mus5

けれど――レックスが「無限なのかもしれない」と誤解し恐怖したのには、理由があった。
雛苺は、力の節約とか温存とかいったモノとは無縁の存在なのだ。
良く言えば、思い切りが良く、毎回全力で目の前の事態に当たる、一生懸命な性格。
悪く言えば、先のことを考えられない、ただのバカ。
そして、雛苺はいつもギリギリになるまで、そんなことは忘れている。表情や態度には表れない。

タネを明かせば、単純な話。
レックスが先々のことを考え、MPや道具を節約しながら戦っていたのに対し、雛苺は常時全力投球。
対レックス戦だけではない、真紅を倒した戦いの時も、その構図は似たようなもの。
ここまでの雛苺の圧倒的な強さは、有限のリソースを食い潰していくことで実現していたのだ。
その『力』は、今こうしてジャック・オー・ランタンを動かしているだけでも、どんどん消費されていく。

このままでは、いずれ雛苺の『ローゼンメイデンの力』は、枯渇する。
『魔力』や『精神力』、『MP』などといった明確な名前のない『力』だが、その本質には大差ない。
回復させるには、条件の整った環境でゆっくり休むこと。
あるいは、何らかの方法を用いて、外部から補充することだけだ。

『力』を完全に使い果たしたローゼンメイデンがどうなるのかは、雛苺自身にも分からない。
良くて気絶。下手すれば数年から数十年にも及ぶ永い眠り。
最悪の場合、『力』を全て失って、動くこともできない「ただの人形」に成り下がるのかもしれない。
それはローゼンメイデンの姉妹全てにとって共通の、最大級の恐怖だった。

「……でも、大丈夫なの。だって、ジャコが『持ってきてくれた』から」

実は密かに危機的で絶望的な状況の中、それでも雛苺はニンマリと笑う。
彼女の視線の先には、ジャック・オー・ランタンが墜落した時に出来た衝突の後。
そして、草の陰に隠れるように倒れ伏す、ピクリとも動かない金髪の少女――
相次ぐ事態の急変に、レックスが存在に気付くことすらできなかった、懸糸傀儡に「乗っていた」少女。
ふらつく身体をマジカントバットで支えながら、雛苺はその少女に歩み寄った。

         *       *        *

309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:00:00 ID:AsfYaf1a


310 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 21:00:23 ID:3rF5Mus5

「『ご褒美』を頂戴! ……いや、『ご褒美』を下さい! 『ご褒美』を……!」

巨大なシェルターのすぐ近く。川の向こうに廃墟を望む原っぱ。
つまりは、レックスにとっての『スタート地点』にて、彼は1人、声を張り上げ続けていた。
やがて、いくら待っても反応が無いと悟った彼は、大きな溜息をついて肩を落とす。
気が抜けると同時に、痛みが増したような気がする。重傷を負った胸を押さえて、彼は頭を振った。

「……ダメか。ということは――やっぱりあの2人、まだ生きているのか」

雛苺が乱入する中、ギガデインを使って仕留めたと思っていた、トマとはやて。
計算が狂ったとすれば、あの2人以外にはあり得ない。
死体すら残さず完全に破壊した、とあの時は判断したが、思い返せばあの痕跡は少し不自然だ。
きっと直撃の直前、ルーラに類する魔法か何かで、脱出したのだろう。

『グルグル使いのトマ』、『ヤガミハヤテ』、そして彼らが「仲間を呼んで」(?)現れた、『アビシオンさん(?)』。
彼らは、レックスの知らない方法で剣撃を止めた。ベギラマを止めた。仲間を呼び寄せた。
と、なれば、レックスの知らない方法で瞬間移動したとしても、おかしくはない。
あるいは、彼ら自身の能力ではなく、支給品の力を利用した可能性もある――レックス自身がそうしたように。

レックスは改めてカードを取り出す。
「グリードアイランド」という場所で使われていたという、魔法のカード。
3枚あったものが、1枚消耗して残り2枚。使用したその1枚は、綺麗さっぱり消滅してしまった。
改めてその希少性を思い知ると共に、その効果を思い出す。

先ほど使ってしまった『初心(デパーチャー)』は、「近くにいる参加者1人をスタート地点に戻す」魔法。
基本的な使用法は、目の前の敵を排除する『バシルーラ』的な運用だろう(レックスはその呪文を知らないが)。
いったん「この呪文の使い方はこうだ!」と思ってしまうと、それ以外のことは気づきにくくなる。
しかしギリギリの所で、レックスは思いつくことができた――
例えば、攻撃魔法を味方にも撃てるように、この呪文も自分自身を標的にすることができるのではないか、と。
普段ならあまり需要の無い、裏技的な余技。
けれどもそれは、この場において確かにレックスの命を救ったのだった。

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:01:14 ID:AY5JdYxF


312 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 21:01:48 ID:3rF5Mus5

残る2枚のカードは、『交信(コンタクト)』と『磁力(マグティックフォース)』。
『交信』は遠くの参加者との会話を、『磁力』は遠くの参加者との合流を可能とする魔法だが、1つ欠点がある。
どちらも、既に出会ったことのある参加者相手にしか使えないのだ。
これが「まだ会っていない参加者」にも使えるのなら、何の苦もなくタバサと合流できたのに……。

それにレックスが今まで遭遇した相手というのは、その全てが一度は戦った相手だ。
そんな連中と会話したり合流したりしても、得られるものは何もない。
むしろ、さっきのような状況で迂闊に『磁力』を使えば、飛んだ先に待っているのは新たな敵でしかない。
「ルーラに近いけれど窮地脱出には使えない」、というのは、そういうことだ。

「トマかハヤテを対象に、『磁力』……。
 ううん、やめておいた方がいいね。また逃げられたら、今度こそ終わりだ」

レックスは思案する。
『磁力』を使い仕留め損ねた獲物を追うのは、良い方法とは言えない。
相手が脱出に使った『魔法』の正体や使用条件が分からない以上、再び逃げられる危険がある。
ただでさえ限りのあるカードを使ってしまったのだ。この先の長い戦いを考えれば、慎重にならなければ。

「それにしても……キツ過ぎるよ。こっちも1人じゃ、限界ってものが……!」

1対1なら、倒しきれないまでも倒される心配は感じなかった敵、雛苺。
しかしそこにカボチャ頭が加わっただけで、この有様だ。
数の差による影響は、当初想像していたよりも遥かに大きい。
『魔法使い』タイプの雛苺に、『戦士』タイプのジャック・オー・ランタン……敵ながら恐ろしい組み合わせだ。

他にも、トマとハヤテのコンビは、片方が剣撃を止め、片方がベギラマを止めていた。
梨々とさくらのコンビは、2人揃った所で「新たな脱出方法」を使って見せた。
最初に仕留め損ねたアリサも、外見上は1人だったが、何やら「誰か」と相談しながら戦っていた。
レックスは、渋々ながら1つの結論に達する。

「……仲間が必要だ。モンスターでも何でもいいから、僕を助けてくれる仲間が」

それは、レックスにとっては大きな行動方針の変更だった。
1対1なら、誰が相手でも倒される気はしない。その自信には今も変わりがない。
けれど、相手が複数なら、倒しきれないこともある。逆に倒されそうになることもある。
確実に敵を仕留め、タバサを探し出し、優勝するためにも。
レックスには、「仲間」が必要だった。

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:02:32 ID:AY5JdYxF


314 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 21:02:42 ID:3rF5Mus5

もちろん、どんな相手でも仲間に加えればいい、という訳ではない。

まず最低限、こちらの足を引っ張らない程度の戦闘能力は必須だ。
欲しいのは「お友達」ではなく「戦闘のサポート役」。足手まといなんてもっての他。
そんな奴と行動を共にするくらいなら、さっさと殺して『殺害数』を稼いだ方がいい。

次に、人殺しに強い忌避感のある奴はダメだろう。
戦って殺害数を稼いでタバサを探す、というレックスの基本方針に変わりはないのだ。
人格者より、むしろ悪人の方がマシだ。

そして出来れば、『魔法使い』または『僧侶』タイプの者がいい。
万能型のレックスだが、それでもその本領は剣技にこそある。
今パーティに欲しいのは、前衛ではなく後方支援。同一タイプの人間が増えても仕方ない。

さらに望めるのなら、『殺害数』のカウントや『ご褒美』に対する執着心の無い奴。
なにしろ『ご褒美』の権利はタバサと合流するための重要な手段なのだ。他人に渡す余裕はない。
その分、例えば敵から奪った装備の所有権などは譲るべきかもしれない。

「けれど……そんな都合のいい相手が、果たしているんだろうか?」

胸の内で条件を並べながら、レックスは首を傾げる。
けれどともかく、ここにじっとしていても仕方が無い。レックスは地図を広げる。

「南の『廃墟の町』は、もう調べた。目の前にある『ほこら』は、今も鍵がかかって入れない。
 西に向かうと、さっきの雛苺と遭遇しちゃうだろうし……やっぱり、北に向かうしかないか」

西に行けないとなると、城の探索が遅れることになってしまうが、これは仕方が無いか。
島の北東の隅に広がる小さな街なら、きっと誰かがいることだろう。
荷物をまとめなおし、歩き出そうとしたレックスは、ふと傷の痛みを覚えて立ち止まる。
いや実際、痛いどころの話ではない。
重傷を負うことに慣れてしまった歴戦の勇者でなければ、倒れていてもおかしくない怪我だ。
この状況で他の参加者と遭遇するのは、それこそ死を意味する。

「……動く前に、傷の手当てをしないとね。回復魔法は制限されているようだし、さて……」

傷の深さ、すなわちHPの残量と、魔力の消耗、すなわちMPの残量。
荷物の中にあるエーテルの本数も計算に入れながら、レックスは考える。
何をどれだけ使って、どこまで傷を塞いでおくのが正しいのだろう?
この先の長く厳しい戦いを考えれば、どうしておくのが最善の選択なのだろう?

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:03:07 ID:AsfYaf1a


316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:03:19 ID:AY5JdYxF


317 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 21:03:54 ID:3rF5Mus5

         *       *        *

――悪夢から目覚めてみれば、そこはなおも悪夢の中だった。
頬をペチペチと叩かれる感触に、ベルフラウはゆっくりと目を開ける。

「…………! じゃ、ジャコ……!?」
「あ、起きたぁ♪」
『…………』

彼女の顔を覗きこんでいたのは、可愛らしい顔つきの小柄な人形。さっき少年と戦っていた人物だ。
しかしその瞳は不穏な色に濁り、その笑顔にもどこか歪んだモノが混じる。
大事そうに抱えている別の人形の生首も含めて、とてもではないが安心できるような笑顔ではない。

そして、その人形と共に自分を覗き込んでいる、「もう1人」は。
間違いない、懸糸傀儡『ジャック・オー・ランタン』。
しかし、その背後には居るはずの繰り手が居ない。少女の人形も、別に指貫を装備しているわけではない。
むしろ、よくよく見れば、操り糸は傀儡の背後に力なく垂れ下がっている。指貫もぶら下がっている。
自分で操ろうとしていたから、良く分かる――それは、絶対に懸糸傀儡が動くはずのない状況。
なのに、まるで命あるかのように大地に立ち、自分の力で動いている。
理解不能な状況に混乱するベルフラウ。
その動きを封じるように、ジャック・オー・ランタンが鎌を突きつける。

「ヒナはね、『雛苺』って言うの。あなたは?」
「べ……ベルフラウ、ですわ」

逆らうのは、得策ではない。会話が成立するなら、すぐに殺されることもあるまい。
混乱した頭のまま、それでもなんとか名乗り返したベルフラウの前に、小さな手が差し出される――
手の甲を、上にして。
指につけた薔薇の指輪を、誇示するかのように。

「な、何ですの?!」
「ベルフラウは、ここにキスするの。そうすれば、すぐにはジャコに斬らせないであげるの♪」


318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:03:59 ID:AsfYaf1a


319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:04:54 ID:AsfYaf1a


320 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 21:05:42 ID:3rF5Mus5

知識のないベルフラウにも、その接吻が単なる精神的な行為でないことが容易に分かる。
原理も何も分からないが、間違いなく魔術的な儀式の一種。
きっとロクなものでは無いのだろうが、しかし拒めば攻撃されるのは間違いない。
蔦と花弁を自在に操る人形と、勝手に動くジャック・オー・ランタンに挟まれたこの状況。
『クロウカード』だけを頼りに、強引に打開できるものだろうか……?

『雛苺』と名乗った人形は、それ以上の説明を拒むように、虚ろな笑みを浮かべたまま。
ベルフラウの口付けを、『契約』の成立を、しばし待つ。
強引に頭を押さえ、形だけのキスをさせてみても、それでは『契約』にはならない。
脅してでも騙してでも説明不足でもいい、あくまで自発的に接吻させなければ――!

         *       *        *

――それはおそらく、死に至る契約だ。
今の雛苺に『媒介(ミーディアム)』への気遣いは無く、ベルフラウのことも「力の供給源」としか考えていない。
その状態で雛苺が無遠慮に『力』を振るっていけば、どうなるか。
かつての契約者・柏葉巴がそうなりかけたように、消耗の果ての死が待っている。
そして今度は雛苺が躊躇う理由はない。契約者が死んだら、次の「力の供給源」を探すだけだ。
どっちみち彼女は、最後には「優勝してみんなと一緒に仲良く永遠に暮らす」つもりなわけだし。

……けれど一方で、契約を交わせば、そこに繋がりが生まれる。
『力』を融通しあうだけの関係ではない、魂の繋がりが生まれる。
道を外れ狂気に染まった雛苺も、ベルフラウの影響を受け、優しさや正気を取り戻せるのかもしれない――
もっとも、逆にベルフラウの方が雛苺に「引き摺られる」危険も存在するのだが。

         *       *        *

ベルフラウは迷う。
限りなく少ない情報の中、それでも結論を出さねばならなくて、彼女は迷う。
脳裏に浮かぶのは、みかとの約束。
危険なことは、避けねばならない。どんなことがあっても、彼女の下に戻らなければならない。
そのためには――しかし、何が本当に危険なことなのだろう?


  ――まきますか?
  ――それとも、まきませんか?




321 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 21:06:21 ID:3rF5Mus5

【G−6/シェルター前/一日目/真昼】
【レックス@ドラゴンクエスト5】
[状態]:疲労、魔力中消費。袈裟掛けに斬られて相当に深い重傷。
[装備]:ラグナロク@FINAL FANTASY4、ドラゴンの杖@ドラゴンクエスト5 (ドラゴラム使用回数残り2回)
[道具]:基本支給品、エーテル×4@FINAL FANTASY4、GIのスペルカード(『交信』×1、『磁力』×1)
[思考]:とりあえずの目標は、北東の街かな……。
第一行動方針:とりあえずこの重傷を治す(どの程度のMPを使ってどの程度まで治すか思案中)
第ニ行動方針:3人抜きを達成し、主催者にタバサの居場所を尋ねる。
第三行動方針:そのためにも、同盟を組む「仲間」を作るかどうか考え中。
第四行動方針:余裕があったら、お城を調べてみたい。
第五行動方針:雛苺に対して対抗心。準備が整ったらリベンジする?
基本行動方針:兄妹どちらかの優勝(タバサ優先)。優勝者がもう片方を蘇生させ、2人で両親の元に帰る。
[備考]:エンディング後なので、呪文は一通り習得済み
[備考]:
レックスは、先ほどの戦場にベルフラウが居たこと自体に気付いてませんでした。
彼が認識できた「乱入者」は、「ジャコ」と呼ばれたカボチャ頭のモンスターだけです。


【F-5/道路/一日目/真昼】
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:真紅のローザミスティカ継承。精神崩壊。見るものの不安を掻き立てる壊れた笑顔。
     ローゼンメイデンとしての『力』を相当に消耗(このままでは限界が近い?)。
[服装]:普段通りのベビードール風の衣装。トレードマークの頭の大きなリボンが一部破けている。
[装備]:マジカントバット@MOTHER2、真紅の生首(!)
    ジャック・オー・ランタン@からくりサーカス(繰り手もなしに動ける状態)
[道具]:基本支給品一式、ぼうし@ちびまる子ちゃん ツーカー錠x5@ドラえもん
    光子朗のノートパソコン@デジモンアドベンチャー、ジュジュのコンパス
[思考]:あなたもヒナのトモダチになるの☆
第一行動方針:目の前の女の子(ベルフラウ)と契約を結んで媒介(ミーディアム)にし、『力』の供給源にする。
第二行動方針:もしもベルフラウが契約を拒んだ場合、その首を刎ね、次の媒介候補を探す。
第三行動方針:「新ルールのアリスゲーム」(=殺し合いのゲーム)に乗って、優勝を目指す。
基本行動方針:優勝して、「永遠に孤独とは無縁な世界」を作り、真紅を含めた「みんな」と暮らす。
[備考]:
雛苺は真紅のローザミスティカを獲得したため、真紅の持っていた能力を使用できます。
雛苺は自分の支給品をマトモに確認していません。
『ジャック・オー・ランタン』は、真紅の持っていた「人形に命を吹き込む力」によって一時的に動ける状態です。
ただし雛苺の『力』を借りて動いているので、この状態は維持するだけでも雛苺の『力』を消耗します。


322 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 21:07:03 ID:3rF5Mus5

【ベルフラウ=マルティーニ@サモンナイト3】
[状態]:体力消耗、精神的疲労(どちらも休息を取って回復したが、まだ完全ではない)
    墜落によって軽い打撲。ジャック・オー・ランタンの鎌を突きつけられて迂闊に動けない。
[服装]:『ザ・チルドレン』の制服姿。
[装備]:クロウカード『水』『火』『地』『風』
[道具]:支給品一式、湿ったままの普段着
[思考・状況]:どうするべきかしら……!?
第一行動方針:危険そうな小人(雛苺)たちに捕らわれたこの状況から、なんとかして生き延びる。
第二行動方針:みかの安否が心配。早く戻って合流したいが、雛苺絡みの危険には巻き込みたくない。
第三行動方針:殺し合いに乗らず、仲間を探して脱出・対主催の策を練る。
基本行動方針:先生のもとに帰りたい。
[備考]:
ベルフラウは、ロワの舞台がリィンバウムのどこかだと思っています。
ロワの舞台について、「名もなき島」とほぼ同じ仕組みになっていると考えています。
(実際は違うのですが、まだベルフラウはそのことに気づいていません)
ベルフラウは、レックスが名乗るのを聞いていません(気絶していました)。


支給品解説:
【『ザ・チルドレン』の制服@絶対可憐チルドレン】
明石薫、野上葵、三宮紫穂の3名からなるチーム『ザ・チルドレン』が任務の際に着用する制服。
ブレザーにミニスカート、黒靴下に革靴、ベレー帽と、どこかオシャレな私立学校の制服のようなデザイン。
メンバーの1人である薫の特異な「趣味」を密かに反映し、スカートはパンチラ必至な短さとなっている。

(なお、各人ごとに細部が微妙に異なっていますが、誰のモノなのかは後の書き手さんにお任せします。
 ちなみに、リボンもベレー帽も、薫は赤、葵は青、紫穂は紫。それ以外の部分は基本的に共通。
 薫だけはベレー帽を着用せず、また靴も革靴でなくスニーカーを愛用しています。
 ご丁寧に同封されていた下着も、同じ人のモノでしょうか? こちらも後の書き手さんにお任せします)


【ジャック・オー・ランタン@からくりサーカス】
フェイスレスが自分のために作り、後に勝が愛用することになった3体の人形のうちの1つ。通称『ジャコ』。
大きなカボチャ頭と手にした箒が印象的で、3体の中でも特にギミックが多い。
巨大な頭にはミサイルが仕込まれ、口からは粘着性の泡『バブル・ザ・スカーレット』を射出。
箒の反対側についた刃は、超高速振動鎌『グリム・リーパー』として、ほぼ全ての物質を斬ることが可能。
だが何よりの特徴はその飛行能力。繰り手を頭に乗せたまま、箒に乗って空を飛ぶことができる。
3体の懸糸傀儡の中では最も勝との相性が良かったようだ。使用頻度も高く、登場話数も多い。

なお、ジェダは操作方法を詳しく記した解説書を添えていた模様。
そこだけ見ればかなり親切だが、「子供にも扱える」という記述は控えめに言っても誇張だろう。
(どう考えても本来の持ち主・才賀勝は「普通の子供」から掛け離れた存在だ)


323 :それぞれの限界、それぞれの転向 (後編) ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 21:07:43 ID:3rF5Mus5

【グリードアイランドのスペルカード】
元は永沢に支給されていたのを、レックスが奪い取ったもの。
グリードアイランドの島で使われている魔法カード。 イヴに支給されたものと同等、ただし呪文違い。
使用するときは「(カード名)、使用!対象、(対象者の名前)」を 叫ぶことで発動する。
永沢に支給されていたのは、以下の3種が各1枚ずつ。

初心(デパーチャー):対象の参加者を1名、スタート地点に戻す。
交信(コンタクト):指定した他参加者と、距離を無視して最大3分間会話することができる。
  相手はゲーム内で出会ったことのある参加者に限る。交信を切ることができるのは使用した側のみ。
磁力(マグネティックフォース):指定した他参加者の居る場所に飛ぶ。対象は使用者1人。
  ただし、指定できるのはゲーム内で出会ったことのある参加者に限る。

備考:現時点でレックスが『交信』『磁力』の対象に取れる相手
 アリサ、梨々、さくら、トマ、はやて、雛苺、以上6名。
 他にも「20m以内に近接」という条件を満たす者はいるが、名前や存在を知らないので発動できない。
 (上の面々は、互いに名乗りあったり会話から聞きとったりして名前を把握できている)


用語解説:
【人形に命を吹き込む力】
ローゼンメイデン第五ドール・真紅が持っていた特殊能力の1つ。同様の力は水銀燈も持っていた。
真紅の『力』が篭った薔薇の花弁を、人形やぬいぐるみに入れることで発動。
ローゼンメイデンの世界観では、元々人形やぬいぐるみ全般には魂が宿っており、
その魂にローゼンメイデンが『力』を貸し与えることで、命のない人形も自由に動けるようになる。

人形は「自分の意志」で動き回るが、基本的に『力』を分けてくれたローゼンメイデンに従順に従う。
人形は言葉を発することはない。かけられた言葉を理解したり、簡単な意思疎通を行ったりはできる。
命を吹き込まれると同時に、一様に「空を飛ぶ能力」が与えられ、さらに
クマのぬいぐるみなら鉤爪を出して引っ掻く、ピエロの人形ならトランプを投げて攻撃、などと、
それぞれの「元の人形」からイメージされる攻撃手段を獲得する。
(『ジャック・オー・ランタン』の場合、元々戦闘用だったせいか、新たな力の獲得はしていない模様)
なお、四肢をもがれたりして「元の形」を失うと、人形に宿っていた「魂」が維持できなくなり、「死亡」する。

作中で、真紅は常時人形たちを動かしていたわけではなく、必要が生ずる度に花弁を入れて動かしていた。
このことから、この能力は維持しているだけでも『力』を消費するものだと思われる。
ジェダはこの能力の発現自体は封じなかったものの、「燃費」がかなり悪くなるように制限している模様。


324 : ◆3k3x1UI5IA :2007/05/10(木) 21:08:29 ID:3rF5Mus5
投下完了です。
支援感謝。さるさる規制、実は初めて遭遇しました。厄介なモンですね。

で……やっちゃったかも……>本来意志あり支給品でもないのに意志ありなジャコ。
まあ、喋りませんし、雛苺には(多分)逆らえませんし、『力』を注いでいる間だけですし。
あとは制限の「燃費悪化」の部分の匙加減次第で、多くの問題は回避できると思います。

つまりぶっちゃけ、ベルフラウはダラダラと時間稼ぎさえできればこの窮地を脱せられるかも、という(ry
いや、彼女の視点でそれに気付けるかどうか、かなり厳しい所ですがね。



325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:17:50 ID:qU4+gihZ
乙GJ
某ボスのパロが入ったレックスが妙に凛々しいw
強マーダー同士の分散、その後それぞれが方針変更に至る心理が自然で面白かったです。
グレーテルといい、引き際や自分の限界をわきまえた抜け目ないマーダーが多いねぇ。

ジャコの制限具合については、サーカスを知らないので他の人にお任せ。
しかし、新出アイテムや用語の解説が丁寧で分かりやすかったです。

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:19:06 ID:gm0FOK2T
雛苺がきらきー化してる気がするのは気のせいだろうか

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:26:32 ID:HIZVeB/H
乙華麗
さて、レックスの言う条件にあった仲間は北東に……いるなぁ、ドンピシャのがw
おまけに天空の剣まで持って
また爆弾設置したよ、この人ww GJ!

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:27:19 ID:AY5JdYxF
GJ
jojo節だーーーーーーーーーーー!!

そういや、あったなそんな力。
ベルフラウが雛苺フォームになりそうだ。

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:37:33 ID:PeziRWHo
投下GJ!
今度のコスチュームチェンジはベルフラウか。バベルの制服は危険だぞw
あと、そのネジはまいちゃダメだー! ゴスロリコスで衰弱死させられるぞ!
レックスは強いはずなのにボロボロだな……。はやて組は周りにヤバイの多いな、外出たらヤバイw

ジャコは操り人形としての機能しかないしいいんじゃないかなあ。雛苺限定技だし。
からくりの勝はジャコに感情移入してる節があったから、出会ったらどうなるか楽しみだ。

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 21:48:51 ID:a1ZvMDmq
GJ。
まあ抑え目に近い格の相手と戦うとそうなっちゃうよな、レックス。
そしてベルフラウがやばいことに。
それと契約すると……マジでヤバイw

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/10(木) 22:02:21 ID:fTJRxHUY
GJ
>>327
城にもいい奴がいるわw

332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/11(金) 00:53:41 ID:tW5sUbli
今帰宅。お二方超GJ! お腹一杯っすよ。

>>286
光子郎、無念……。風の剣がこんな結末を引き起こすとは。
今までのフラグを活かしきった内容に感服しました。
……一番うれしいのはフェイトがようやくらしくなってきたことだったり。

>>324
つくづく人形と縁があるな、レックス。この際アルルカンあたりとも接触してもらいたいw
ばら撒かれた爆弾がどう動くのか……。

しかし、マーダーはどいつもこいつも元気だなw
対主催チームは前よりもボロボロになりつつあるというのにw



333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/11(金) 22:29:53 ID:/ikURAWZ
今更気付いたが……

>……ここを一時退くのは「敗北」じゃない! 僕には優勝できるだけの力が、きっとあるッ!
>だけど……っ!

これなんてディアボロ?

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 00:00:53 ID:BNZkysn9
【現時点での不明支給品所持者まとめ】
・ひまわり(ガードグラブetc.):1個
・犬上小太郎(手裏剣セット×12、工具セットetc):0〜1個
現時点の不明支給品総数:1〜2個

ふと思って調べてみた。
ローザミスティカも有ることだし庭師の如雨露はどこかに入ってて欲しいけど、どっちも遠いな。
これは出ないかな、如雨露。

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 01:29:38 ID:pHSYbe4v
小太郎の支給品に如雨露があれば微妙においしいかもしれん。
鋏もあるし蒼の子もすぐ近くにいる。

336 : ◆3k3x1UI5IA :2007/05/12(土) 20:53:57 ID:VHmCaSH/
えー、修正スレに先日予告した「混沌の学び舎にて」の修正をアップ。
同時にwikiの方も修正しました。
ついでに、お恥ずかしながら「学び舎」が「学び屋」になっていたので、タイトルの修正も……。

が、どうやらwikiのページ名自体の修正ができないようなので、新ページ作成する形にしました。
2種の追跡表や書き手紹介といった、そこに繋がっていたリンクは新ページの方に移しましたが……
ページ削除に必要なログインパスワードが分からず、旧ページがリンクもなしに残っています。

ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa/pages/351.html
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa/pages/352.html
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa/pages/353.html
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa/pages/354.html
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa/pages/355.html

以上の5ページは今や不要なので、wikiの管理権限持ってる方、お手数ですが削除お願いします。
(ページ削除可能かどうか確認してから新ページ作ればよかった……orz)

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 20:59:48 ID:IpF2SUiB
>>336
(・∀・)<オツー!


(・∀・)<11ジゴロ トウカスルヨー
(・∀・)<ドコノパートカハ オッタノシミー

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 21:03:18 ID:RQN9aeui
>>336乙カレー。
>>337期待機体気体


339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 21:04:17 ID:goPhaK7J
>>337

わーい、楽しみにしていますよぅ
パートは……、勝手に学校組のどこかだと予想。当たるかな?


340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 21:21:13 ID:pHSYbe4v
⌒*(・∀・)*⌒<337ガンバッテネー
顔文字見るとなのはさんを思い出す今日このごろ。

341 :337:2007/05/13(日) 00:49:25 ID:yDGxhBFN
(・∀・)<オクレテ ゴメンナサイ

(・∀・)<イマカラトウカスルヨー

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:50:55 ID:eswn8kuF


343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:51:02 ID:LAc4J15P
>>341
待ちくたびれたぜ!支援は任せろ!

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:51:11 ID:9tZsS87k
マッテマシター!

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:51:37 ID:eswn8kuF
sien

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:51:56 ID:JhB/3p6u
待ってたぜ!

347 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 00:51:59 ID:yDGxhBFN

 「ど、泥棒ー!」
 目の前でランドセルを漁っている忍者の少年を前に、のび太は咄嗟に周囲を探るが何もなかった。
 「か、か、返してよ! それ、僕のだ!」
 「おっと!」
 飛びかかってきたのび太を反射的な身ごなしでかわし、きり丸は弁解する。
 「泥棒だって? 人聞きの悪いこと言うなって、俺はただこれを……」
 そう言って、きり丸はランドセルの中に突っ込んでいた手を引き抜き、握ったペットボトルをのび太の目の前にちらつかせてみせる。
 しかし、のび太は頑なに頭を振ってあとずさる。
 「し、信じるもんか……!」
 のび太の頭は、寝起きの靄の中でめまぐるしく回転する。
 ……そうだ。きっとあのペットボトルを気絶していた僕の口に突っ込んで、水をむりやり飲ませて溺れさせて殺す気だったけど、
僕が起きたから慌てて言い訳してるんだ。
 だって本当に悪い人じゃなかったらまずは僕にあやまるはずだ、泥棒して悪かった、って!
なのに目の前のこの変な格好の忍者は謝らないで何か言い訳ばかりしてる。慌ててるから謝る言葉が出てこないんだ。そうなんだ。
僕がウソの言い訳を信じて油断したらズガン! と水の詰まった重たいペットボトルで頭を殴って殺すつもりなんだ?  そうなんだ?
でもアッカンベーだ、おあいにくさま。僕は絶対に騙されるもんか、知らない奴なんか信じるもんか!
 「信じないぞ! 僕は信じないぞー!」
 「なあ、ちょっとは話を聞けって。見捨ててもいいところを、せっかく助けてやったってのによ」
 「泥棒するつもりで助けたんだろ? 僕の荷物を勝手に取ったあと、そのペットボトルで僕を殺すつもりだったんだろ!
 僕はおまえなんか信じないぞー!」
 地団太を踏み疑心暗鬼まるだしで喚くのび太を前に、ダメだこりゃ、ときり丸は内心肩をすくめた。
 ついでにちらりと、自分のランドセルに目をやる。
 (……どうするか?)
 自分の商売の相手として、のび太はダメだということがわかった。
 泥棒呼ばわりの誤解を解くことも、情報を得ることも、この様子では無理だろう。
 なら……。
 (悪いウワサを撒かれる前に、口を封じておくべきか?)
 そんな考えが忍び寄る。
 相手は同年代の子供。見たところ何の訓練も受けてない、ひ弱そうな少年だ。
 とは言え、普通の子供のように親の手伝いをして野良仕事をしているという感じではない。
 手足は日焼けも薄く、筋肉のメリハリもなくたおやかで、女の子のようだ。しかし体格はそこそこ人並みにある。
 かなりいいものを食べて育ってきたのだろうか。
 (もしかしてこいつ、いいところの坊ちゃんなのか? おかしな服を着てるけど、そう悪い身なりでもないしな……)
 その可能性に思い当たり、きり丸はもう一度思い直した。
 (だとしたら、こりゃいいカモだ。ここで諦めるには惜しいなあ……)
 きり丸の手には、水のたっぷり詰まったずっしりと重い水筒がある。
 殴り殺す凶器には向かないが、ポカンとぶん殴ってもう一度ネンネしてもらうくらいはできそうだ。
 多分数コマ後には目を覚ますだろうし、都合よく記憶喪失になってくれる可能性もある。
 今度は気絶している間に逃げられないように縛っておいて、その後で改めてじっくり話し合いを行えばよい。
 きり丸は決めると、今にも逃げようとして踵を返しかけていたのび太の袖を掴んだ。
 「は、離せよー!」
 のび太は暴れるが、きり丸が片手で押さえ込めるくらいに弱い抵抗しかできない。
 痺れを切らして振り向いた先、のび太は見た。
 青い忍者服を着込んだ変わった服装の少年が、まるで謝るように顔の前で片手を立て、
人の良さそうな笑みを浮かべながらペットボトルを軽々振りかぶっているのを……

 (た……、た、た……)
 のび太は青褪め、頭が真っ白になり、


348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:53:32 ID:JhB/3p6u
 

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:53:34 ID:LAc4J15P
きりちゃーん!その行動は色々とやばいと思うぞー!?

350 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 00:53:57 ID:yDGxhBFN
 「う、わ―――――――っ!!! たたたた助けてドラえも―――ん!」

 火事場の焼け糞が何とやら、のび太は反射的に近くにあった観葉植物、灰皿、はてはテーブルまで
とにかく手に触れるものなんでもをきり丸目掛けてぶん投げはじめた。
 「おわっ?!」
 投げられた物品はどれもあてずっぽうな方向にすっ飛んで行き、きり丸にかすりもしなかったが、
幾らかの隙ができる。
 その間に、のび太は踵を返して脱兎のごとく逃げる。
 計算しての行動ではない。パニックに陥っていた。
 ただ我武者羅に、めちゃくちゃに走り、何も考えずにひたすらに背中を見せて逃げていく。
 「お、おい、ちょっと待てって!」
 きり丸も慌ててのび太を追う。
 落とすまい失くすまいと、守銭奴らしくしっかり小脇にのび太のランドセルを抱えながら。
 「ドロボウー!! ひとごろしー!!!」
 のび太は泣き喚きながらあっちを曲がりこっちを曲がりして逃げる。
 「人聞きの悪いことをあんま言うなって!
 ……とにかく待ってくれ、ホント間違いなんだって! 謝るからさ! なっ?」
 足で追いかけ口で平謝りしながら、きり丸は顔をしかめる。
 なんかマズくないか、この展開?
 もし、このまま逃げおおせたのび太がきり丸についての悪評を流すようなことがあれば、
きり丸自身が危険にさらされ、せっかくのビジネスチャンスもパアになりかねない。
 一方的に泥棒=危険人物とみなされ、不特定多数に敵意を向けられるなんて冗談ではない。
 働いてそれに見合ったカネがもらえるという仕組みは、信用があってこそ成り立つ仕組みである。
汗水たらして働いても、ゼニを貰う前に雇い主の不興をかってクビになっては元も子もないのだ。
しかもこの場においては、「クビ」というのは文字通りに首が飛ぶ意味にも繋がりかねない。
 いやまさに、信用あっての物種、命あっての物種である。
 なんとしてもきり丸についての誤解を振りまかれることだけは避けねばならない。
 最悪、本当に口を封じることも考えねば。

 しかし、最初のわずかな隙だけならまだ訓練を積んだきり丸が挽回することも可能だったのだが、
最初にのび太のランドセルをしっかり拾って小脇に抱える手間をとってしまった分だけさらに遅れを取ってしまった。
 おまけにのび太は考えなしに走りまくるのだから、逃げる先が読めずに追うのも一苦労である。
 さらに場所は入り組んだ都市の一角であった。
地の利は中世人のきり丸より、コンクリートジャングルに慣れた現代人ののび太に圧倒的にある。
 追いかけっこの末、気がつけばきり丸はのび太を完全に見失ってしまっていた。
 (まっじぃ……)
 きり丸は背を冷や汗が伝うのを感じる。
 どうする?



351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:54:38 ID:eswn8kuF


352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:55:32 ID:eswn8kuF


353 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 00:55:49 ID:yDGxhBFN


 □ □ □  


 時は、一と半刻ほど前に遡る。
 場所は、北西に数キロほど遡る。
 登場人物は、時代を越えて出会った少年二人から、世界を越えて出会った少年と乳児に変わる。


 グリーンの気を引いた太鼓の音はしばらくして止んだが、それでもグリーンは山頂へ進み続けていた。
 それは人が残っていることを期待してのものであったし、さらに言うなら上空を飛んでいく人影が目に入ったからだ。
 それは、最初の会場で見た、異装の少女。
 コウモリ翼のポケモンを背に張り付かせ、山頂へと先に向かっていく。
 とっさに地に伏し、疎らに山肌に生えている植物の陰に隠れながらそれを慎重に追った。
 敵側の人間である以上危険人物の可能性が高いが、うまくすれば情報を引き出せるかもしれない。
 直接に接触するのでなくてもいい。むしろ、迂闊に動いて一方的に気づかれるのは避けたい。
 目論見としては、あの少女が山頂で太鼓を叩いていた参加者たちに接触するのを待ち、それを様子見しつつ情報をかすめ得るというのが
最もグリーンとひまわりにとって危険が少なく、利を得られる方法であるだろう。
接触は、情報を得た上で安全を確認できればそうすればよい。

 そして――――。
 グリーンが黒翼を駆る少女に遅れること十数分して山頂に辿り着き、そこで目にしたのは、意外な光景であった。


 戯れじゃれあう少年少女、その仲良さげな様子に焼きもちを焼いているのか、ひとり怒った様子の少女。
 なにやら楽しそうな掛け合い声さえ聞こえてくる。
 グリーンは山小屋の陰でそれを窺う。
 こちらが注意深くしているのが馬鹿らしく感じられるほど、無邪気に遊んでいるように見える子供たち。
 この状況で遊びに興じるなど、正気か――――。
 呆れながら見守るが、この場に集められたのが子供ばかりなら、殺し合いの意味すらまだ
 よくわかっていない少年少女たちがいる可能性もある。わざわざ派手な音を立てて太鼓を叩いていたのも、
与えられた品でとりあえず遊んでみようとしただけで、人寄せの意図はなかったという可能性もある。
 目の前で戯れているのは、そういう参加者たちなのかもしれない。
 ――しかし、一人は確実に違う。

 紫がかった桃色のショートヘアの少女――確か、「リリス」と言ったか。
 ルール説明の補助をしていた人間が、ルールを理解していないということはあるまい。
 だが、なぜ敵側の人間であるリリスが、グリーンの目の前で参加者たちと遊び戯れているのか?
 殺し合いの意図を知らしめるべく、円滑に殺し合いを進行せしめるべく、特別に送り込まれたのだろうか?
 あるいは早々に裏切り、ジェダの寝首を掻くべく他の参加者と手を組んだのか?
 しかし――彼女の首には、よく見れば他の二人と同じに輝く首輪が嵌められている。
 あれがあるのに、軽々しく裏切り、参加者と馴れ合うというのは解せない。
 そもそも、彼女は最初のルール説明の時には首輪をつけていなかったはずである。
ちなみに服装もあの時のと違う。なぜかナース服などを身にまとっている。まあこちらはどうでもいいが。
 主催側だった人間が、なぜ首輪までつけ、この場にいるのだろうか?
 何かミスでも犯して、その罰に参加者と同格の扱いにまで貶められたあげく殺し合いに放り込まれたのだろうか?
 だが、それは一歩間違えば参加者に重要な情報をリークするもとにもなりかねない。
 ジェダという男は、そのような浅慮をする人間なのだろうか。
 あの少女はほんの下っ端で、たいした情報を与えられていないから簡単に切り捨てられたのだろうか。
 それとも、別の理由があるのだろうか。

 謎は弥増すばかりである。
 殺し合いを促進するための主催の差し金なのか?
 それとも、単純に罰か何かでこの場に放り込まれたのか?
 あるいはそれ以外の理由によるものなのか?

 まさかリリスたっての希望による参加であるとは思いもよらずに、グリーンは
目の前にいるリリスの存在の不可解さに頭をひねる。

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:56:35 ID:ycw3Ee8E
11時って昼の11時かなあと思っていた俺が支援。

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:56:41 ID:JhB/3p6u
 

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:57:16 ID:eswn8kuF
 

357 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 00:57:21 ID:yDGxhBFN

 しかし、裏事情を確かめられる機会は訪れなかった。

 途中で、山の向こう麓のほうから、マルマインの群れが一斉に大爆発を起こしたかのような、あきれた轟音が鳴り渡ったせいである。
 とっさにひまわりの口を塞いだが遅く――――大声で泣いてぐずる赤ん坊を抱え、グリーンは慌ててその場を離れざるを得なかった。
 よって山頂の三人の子供たちの、一時の遊び戯れの後の顛末は知らない。





 まだ、耳鳴りがしているようだ。

 グリーンは懐に抱えたひまわりを見やる。
 今は泣き疲れ、落ち着いた様子でいぎたなく眠っているが、響き渡った轟音に突然火のついたように大声で泣き出したときは肝が冷えた。
 山頂の参加者たちにこちらがばれなかったのは僥倖であった。

 山頂の子供たちへの接触は失敗した。
 得られた情報もほとんどない。
 見たものは三人の子供が遊び戯れる姿のみであるし、聞き取れた会話はほんの僅かである。

 ――――「きゃ、ニケ。頭大丈夫? 頭悪くない?」
 ――――「うぅ、俺はもうダメかも知れない……」
 ――――「ああん♪ 患者さんがそんなとこ触っちゃダメだよぉ」

 最近の子供のままごと遊びは随分とませているらしい。
 ――いや、それはともかく。
 この僅かなやりとりから分かる情報は、リリスと遊び戯れていた少年が「ニケ」という名であることくらいだ。
 リリスが名前を知っているということは、ニケという少年はリリスと同じく元主催側の人間だったのだろうか。
 ここに来て名前を教えあったという可能性もあるが、あれほど馴れ馴れしく遊びあっている様子だと、元もとの知り合いであった可能性が高い。
 武器を渡され、殺し合いをしろと宣告された場で、知らない人間と暢気に遊ぶような真似はたとえ子供でもすまい。
たいていは警戒してなかなか近づけないだろう。それが、敵側と皆に割れているリリスと遊び戯れているのならなおさらだ。
 ふと思う所あって名簿を見返し、あらためて確認してみる。
 「……そういうことか」
 リリスの名前はないが、ニケの名前は名簿の中ほどに銘記されていた。グリーンの記憶どおりに。
 彼はおそらく、殺し合いのゲームを円滑に進めるべく、主催側の差し金で最初から仕込まれていた、いわばジョーカー的存在だったのだろう。
 そこに、補助としてかイレギュラーとしてかは知らないが、リリスが二枚目のジョーカーとして仕込まれたのか。
 もしリリスがこの場に放り込まれた理由が罰でなければ、ニケとリリス、この二人は他の参加者に比べ色々と優遇が施されている可能性がある。
 例えば、首輪は見た目だけのハリボテかもしれない。グリーンの手にある複製首輪のように。
 例えば、支給品は強力なポケモンや殺傷能力の高い銃器で固められているかもしれない。
 例えば、ジェダの言った三大禁則――「この場からの逃亡」「禁止区域への侵入」「首輪の解除」を無視することができるのかもしれない。
かれら二人に限っては、自由にこの場とジェダのいる場所を行き来できたり、禁止区域を横断できたり、首輪を自由に取り外すことができるのだろうか。
 これらを考えると、接触を逸したのは結果的に幸運だったかもしれない。
 何も知らないまま接触していたら、ひまわり共々危険に晒されていたかもしれない。
 だが、接触を避けて逃げ回るだけではいられない。
 殺し合いに乗らず、この場から脱出するためには彼らから得られる情報が重要なヒントになるだろう。
 首輪のカラクリ、この場所からの脱出方法――この二人を捕まえて話を聞くことができれば、それらの解明もたやすく、
ジェダを倒す方法の糸口も見つかるだろう。

 しかし、ひまわりを共に危険に晒すわけにはいかない。
 足手まといにしかならない乳児。どこかに放り出していくわけにもいかない。
 ひまわりは善良そうな、赤ん坊を殺すなど思いもつかなそうな人間に預けておくのがよいだろう。
そうして身軽になったら、グリーンは単身で再びあの二人との接触を試みればよい。
 ひまわりを預けられそうな人間として、グリーンはふと麦わら帽子のトレーナーを思い出すが、
そう運良く出会えるということもないだろうと頭を振った。
 誰でもいい、信じられそうな人間を見つけて押し付けるしかない。
 もしグリーンの見込みが裏切られ、グリーンの与り知らぬ場所でひまわりがその相手に殺められるような結果に終わったとしても――仕方ない。
そこまでは責任を持ってやれない。


358 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 00:58:38 ID:yDGxhBFN

 山頂から撤退したグリーンが今いる場所は、最初にいた市街地の北外れ、道の左脇に広がる白砂の海岸である。
 地図で言えばA-6北西部に当たる地点だろうか。
 何故こんな場所に移動したのか。
 なんのことはない――理由は簡単である。
 見慣れた、それでいて明らかに奇妙な、良く目立つオブジェがあったから。
 海を臨むようにずらりと横一列に並んだ「電話ボックス」が。

 山頂で見たことの情報整理を終えて、グリーンはためしに一つのボックスに入り、
適当な番号をプッシュして受話器を耳に当ててみる。

 ――――……

 まるで繋がらないか、謎の交換手が訳の分からないことを喋るばかり。何か情報を求めて耳を傾け続けてみても、
まるで実の得られない意味不明な内容を垂れ流すのみ。
 通じることは端から期待していなかったが、やや落胆した気分で受話器を戻した。
 分厚い電話帳をめくってみたが、グリーンの知っている施設の名はひとつも載っていなかった。
 ポケモンセンターも、フレンドリィショップも、各シティにあるジムも、オーキド研究所も。


 ひまわりが、足元に落ちている貝殻をものほしそうに小さな手を伸ばしているのに気づく。
 「……これが欲しいのか」
 グリーンが手ずからピンク色の小さな貝を拾ってその掌に乗せてやると、きゅっと五指をまるめ握りこみ、
無邪気に微笑んでみせた。
 赤ん坊の笑みは感情表現ではなく単なる反射だというが――。


 ――――ふと、泣き声が聞こえた。


 「ヒック……ヒック……」

 ひまわりを片腕に抱えたまま、もう片手に竹刀を下げ、電話ボックスの陰にしゃがみこんで姿を隠しながら
様子を窺う。

 「ドラえもぉん……助けてよお、ドラえもぉぉん……」

 情けない涙声が、市街地はずれのうら寂しい風景に弱々しくこだまする。
 目を凝らすと、泣き声の主は、年はグリーンより二つ三つ下と思しき、普通の格好をした少年だった。
 洟を垂らし、よたよたと走る姿は無様で、これ以上ないくらいに無防備である。
 手に何も持っていない。腰に武器やボールを携えている様子もない。ランドセルすら持っていない。
 「うわああぁ……っ、ヒック……。うひッ……ひッく。
  ドラえ……もぉぉん、どこだよぉ……。助けてよお……」
 僅かに逡巡するが、懐に負ったひまわりの温みと重みに判断を迫られ、立ちあがった。
 ひまわりを抱えたまま、並んだ電話ボックス越しに声をかけてみる。
 「……おい」
 「うぇぇぇ……え…?」
 泣き声が、途中でいぶかしむような声に変わる。
 メガネの少年が、ぎこちなくこちらを向く。

 ガラス越しに、目が合った。



359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:58:41 ID:eswn8kuF
 

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:59:02 ID:rHPIfx8l
.

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 00:59:54 ID:eswn8kuF
 

362 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:00:09 ID:yDGxhBFN





 「磯野カツオ、と言うのか」
 「……うん。お兄さんは? その子は?」
 「俺はグリーン。コイツはひまわりだ」
 「た!」
 ひまわりが元気よく手を上げてのび太にあいさつするが、のび太は応えもしない。
 暗い表情、不信でぎらついた目を上目ぎみに向けて警戒もあらわな様子のカツオを見て、
グリーンは露骨に舌打ちしたい衝動をかろうじて堪えた。


 赤ん坊のひまわりを抱いていたのが功を奏してか、咽び歩いていた少年はおとなしくグリーンとの接触を受け入れた。
 否、正確には逃げたり刃向かったりする体力も気力も残っていなかったのが一番の理由のようであったが……。
 へとへとの様子だった少年を海辺の木陰に休ませ、簡単に介抱を施してから話を聞いてみた。
 少年――カツオは不信と疑心暗鬼をあらわにしていたが、それでもぽつりぽつりとグリーンの問いかけには答えた。
 いわく、気がつくと市街地にいたこと。他に二人の少年と会ったこと。しばらくその二人と一緒に行動していたが、
その中の一人、弥彦という少年が自分の友人「らしき」人物を殺したこと。自分はそれを確かめに戻らねばならないということ。
しかし、途中で忍者の格好をした怪しい参加者に襲われ、殺されそうになって、必死に逃げてきたところだということ――――。

 支離滅裂な言葉の内容を何とか意味の通るよう整理すると、大体こういうことらしい。

 カツオは支給品を忍者の少年に奪われたと言い、丸腰で膝を抱え座り込んだまま、
ちらちらとグリーンの竹刀に目をやっている。
 その瞳には、畏怖の陰りと狡い光が交互している。
 襲われやしないかという不安と、隙あらば奪えはしないかという下心。
 グリーンは竹刀を引き寄せ抱えこむ。
 これがただの竹刀ではなく、危険な品であるということを知らない人間に、うっかり持たれるわけにはいかない。

 結論から言えば、カツオは、ひまわりを預けられるような人間ではなかった。
 戦闘に際しての強さや人格の質には目をつぶるとしても、精神的に不安定な人間に、
一種のこわれもののような赤ん坊を押し付けることはできない。
 カツオはむしろ、ひまわり同様、他者の保護を必要とする弱者であった。

 グリーンは内心舌打ちせずにはいられない。
 何をやっている。
 これでは、足手まといが一人から二人に増えただけである。
 望む進展は得られず、行動を起こそうにも束縛が増えるばかり。


 相変わらず陰鬱な調子で、ぽつりとカツオが問いかける。
 「お兄さん、ジャイアンを見なかった?」
 「ジャイアン? そんな名前は名簿には……」
 「あ、ええと、違うんだった……。
  剛田武って名前で、僕と同い年で、体が大きくて、歌がヘタで――」
 「そんな人間には会っていない」
 「……そう……」
 礼すらも言わず、カツオは再び膝を抱え込み項垂れる。
 膝小僧越しに、陰気な目つきだけをこちらに寄越したまま。


363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:01:05 ID:eswn8kuF
 

364 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:01:21 ID:yDGxhBFN



 のび太はグリーンとひまわりに内心怯えていた。
 嘘の名前を教えたのも、何か策があってのわけではなく、ただ漠然とした警戒心のゆえだった。
 この人たちも、あの忍者のように襲ってくるつもりなのかもしれないと、のび太は二人から目を離さずに様子を窺い続ける。
 何かされそうになったらすぐ逃げ出せるように。
 今、のび太の手元には武器も、何もない。すべて忍者の少年に奪われてしまった。
 のび太は切実に思った。
 武器が欲しい。
 心を咬み続ける恐怖から逃れたくて、必死で願った。
 殺されないために、怖い目にもう遭わないために、生き残るためになんでもいいから武器が欲しい。
 (……そうだ……)
 のび太は、ふと思い出す。
 「三人をやっつければ、ご褒美で何でも叶えてくれる」と最初に誰かが言っていたことを。
 ――正確には、ご褒美でもらえるのは「武器」「情報」「回復」の三種に限定されるのだが、のび太はそこまで覚えていなかった。
加えて、ほとんど磨耗しかけた精神力は、何もかもを歪めて書き換えてしまう。のび太にとって都合のよいほうへ。信じたい方へ。
そして一方では、信じたくない最悪の可能性へ。
 あの、ジャイアンだったかもしれない子豚は、殺されるとき、ものすごく痛そうだった。苦しそうだった。
 もしかしたら、自分もあんな風に誰かに殺されるのだろうか、ここで。
 痛くて苦しくてのた打ち回りながら、ドラえもんにも、ジャイアンにも、スネ夫にも、しずかちゃんにも、
ママにも、リルルにも会えずに、ひとりで死んでしまうのだろうか。
 いやだ。
 あんなのは……
 (……嫌だ、死にたくない! 殺されるのはいやだよ、怖いよドラえもん……!)
 のび太は身を震わせ、歯を食いしばる。
 (死ぬのはいやだ。痛いのや苦しいのも嫌だ。
 僕ばっかり酷い目に遭うのはいやだ。
 でも、ジャイアンやリルルがいるのに、殺し合いなんてしたくないよ。)
 …………。
 ……。
 (……でも、……ジャイアンやリルルに知られなければ、そして二人が無事なら?
 目の前の二人は、僕の全然知らない人だ。
 これまで会ったのも、みんな全然知らない子だった。
 ……殺し合いの相手がみんな知らない人間なら、別にいいじゃないか。
 人を殺すのは悪いことだけど、誰かに怒られないなら……大丈夫なんじゃないだろうか)

 目の前で人殺しを見た。実際に襲われもした。
 いじめられっ子ののび太だって、やられっぱなしは悔しいと思う心がある。

 のび太が他のみんなと同じことをしていけない理由なんて、どこにもない。
 人を殺すのはいやなことだと分かっているけど、人を殺しちゃいけない理由なんて、知らない。

 (そうだ、みんな悪いことをしてるなら、僕もしたっていいじゃないか。
 どうせ他のみんなだって僕を殺そうとしてるんだ。だったら、ここで僕もゲームに乗って誰かを殺そうとしたって、
悪いはずがないじゃないか。むしろそのほうが正しいんじゃないだろうか。
 ――それに、ドラえもんのひみつ道具を借りれば、こんなのなかったことになんていくらだってできるじゃないか。頭いい、僕!)

 自分の閃きに、のび太は膝に深く顔を埋めてほくそ笑む。

 (ようし、僕も殺し合いに乗ってやる。
 そして、ご褒美をもらって家に帰してもらうんだ。
 で、ドラえもんの道具で全部なかったことにしてもらおう!
 ……でも……)


365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:01:43 ID:JhB/3p6u
 

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:01:58 ID:eswn8kuF
 

367 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:01:59 ID:yDGxhBFN
 ごくりと唾を飲み込む。
 膝小僧を見つめる。
 勉強も運動もビリッけつの自分が、ドラえもんの道具もなしに人を殺すなんて本当にできるのだろうか。
 でも、それでも……やるしかないのだ。
 死なないためには、元の場所に帰るためには誰かを殺して生き残るしかないのだ。
 でも、それはのび太が悪いのではないはずだ。こんな場所がいけないのだ、きっと。
 のび太は必死に心の内で誰かに言い聞かせる。
 相手はジャイアンか、母親か、ドラえもんか、はたまた自分自身か――。
 (僕は悪くない、誰かを殺したって悪くない! ここなら誰を殺したって悪くないんだ!)
 唾を飲み込んだばかりなのに、口がすぐに乾いてくる。
 無理やり唾を湧き上がらせて、また飲み込む。ゴクン、と喉が鳴る。

 自分でも殺せそうな相手で、真っ先に思い浮かんだのは、すぐ側にいる黄色いベビー服を着た赤ん坊のことだった。
 赤ちゃんを殺す?
 自分の考えに、のび太は思わず二の腕に鳥肌を立てた。どうやって殺すのか、その方法を考えただけで足が萎えそうになる。


 「……?」
 ふと、周囲が暗くなる。
 いつの間にか近づいてきたグリーンが、上から覗き込んでいるようだ。
 ……もしかして、考えていることに気づかれたんだろうか?

 うつむいた顎の下から首筋に、背中に、ぶわっと滝のように冷や汗が浮かぶ。
 頭に、何か触れる。
 「う、うわああああぁぁっ!」
 のび太は勝手に怯えて頓狂な悲鳴を上げ、弾かれたように砂浜の上を転がりあとずさった。
 「殺さないで! ごめんなさい! ごめんなさい!」
 襟首を掴んで引っ張り戻され、砂の上に転がされる。
 のび太は恐怖で思わず身を丸めるが、降ってきたのは殺意ではなく、呆れを含んだ声だった。
 「おい、落ち着け」
 「い、いやだいやだ殺さないで! ごめんなさい!」
 小気味の良い音が響いた。
 ずきりと首が痛む。頬が奇妙にじんじんと熱く、なぜか自分の顔が横を向いているのをのび太は不思議に思う。
 「落ち着け」
 ぶたれたんだ……のび太はようやく気づいた。
 怒りは湧かなかった。泣く気分にもならなかった。ただ、ぼんやりとして頭が回らない。
 「……落ち着いたか?」
 グリーンの声は、多少配慮を含んで柔らかくなっていた。
 のび太はつられて、首をこっくりと下に落とす。
 (……殺されるんじゃ、なかったのか)
 安堵を覚え、震える息を吐いた。
 小便の染みた生乾きの半ズボンの冷たさを、なぜかいまさらに感じた。


368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:02:35 ID:eswn8kuF
 

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:03:11 ID:eswn8kuF
 

370 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:03:22 ID:yDGxhBFN

 「お前がさっき話したことを、改めて確認させてもらう」
 さくり、と砂を掻く音にのび太は顔を上げる。
 「……最初に、二人の少年と会ったと言っていたな」
 のび太の目を見て喋りながら、手に持った竹刀は砂の上を滑り続ける。
 先生の教鞭に似たその動きを、のび太はなんとなく目で追い――
 「その二人と会ったのは、どこだった?」
 ――『ここから』
 「地図上の位置がわからないなら」
 ――『ぬけだす』
 「近くにあった目立つ建物を教えてくれるだけでいい」
 ――『ほうほうを』
 「お前が走ってきた方向からして、それは市街地のどこかだっただろう。
 タワーが見えた方角だけでも、覚えてはいないか?」
 ――『さがしている』


  『ここから ぬけだす ほうほうを さがしている』



 のび太は思わず声を上げかけたが、グリーンに鋭く睨まれ、すんでのところで声を上げるのをとどまった。
 幾分ためらいながら、のび太は喋り始める。
 「気が付いたら、ビルにいて……そこで泣いてたら、二人に会ったんだ。詳しい場所とか方角はわかんないけど……でも、タワーは見たよ」
 のび太は喋りながら、だらしなく足を引きずりながら歩き、時々八つ当たりするようにぐりぐりと靴のつま先で砂を抉る。
砂に文字を描いて返す。
 『ふつうにしゃべればいいじゃないか』
 「そうか。タワーの近くか」
 『きづかれたら まずい』
 『くびわを ばくはされる かのうせいが ある』
 「……だって、タワーの近くまで行ったんだ、僕たち」
 『どうやったら ここからぬけだせるの?』
 「そうか。タワーに着くまで、誰にも会わなかったんだな?」
 『くびわをはずすほうほうを さがすひつようがある』
 「うん、誰にも会わなかったよ。他の人には……」
 『どうやって?』
 「そうか……ついでだが、タワーの近くで子豚を見なかったか?」

 「!!?」
 砂文字の会話に集中を割いているうちは、あの忌まわしい記憶を思い出す作業も多少は楽だった。
それはグリーンの配慮でもあったのかもしれない。
 しかし、その一言で思い出されたものばかりは、そうはいかなかった。


371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:04:33 ID:JhB/3p6u
 

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:04:36 ID:eswn8kuF
 

373 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:04:51 ID:yDGxhBFN
 砂文字を描くのも忘れて、のび太はおののいた。
 「なんでそれを知ってるの!?」
 のび太の過剰な反応に、グリーンも動揺した様子を見せる。
 「子豚を見たのか? ……お、おい?」
 「み、見たけど………う、……うあ……あぁぁぁ……」
 あの光景を思い出し、どっと脂汗を浮かべながらのび太はうずくまる。
 胸がむかむかして吐きそうになり、何度か空えずきを繰り替えすが何も出てこない。
 そういえば朝食も昼食もまだだったことを、のび太はいまさらに思い出す。
 「おい、大丈夫か?」
 口元を押さえながら、のび太は側に来たグリーンにすがりつく。
 「お、思い出したら……うぇっ、きぼち…わるく……」
 「何があった? 子豚を見て、それから何があった?」
 「た? た?」
 ひまわりも心配したのか、のび太の脂汗で濡れて冷え切った額をぺたぺたと叩いてくる。
 「こ、子豚を、食べようとしたんだ。弥彦君が、剣を持ってたから、トンカツ、って。
 カ、カツオ君も賛成して、で、でもぼ、ぼく、やめた方がいいって思ったのに――」
 気分の悪さに朦朧としていたため、のび太はうっかりカツオの名を洩らしてしまうが、
グリーンもそのことに注意を向ける余裕がなかった。
 うつむき続けていたのび太は見ることができなかったが、のび太の言葉に「起こってしまったこと」を察し、
グリーンも顔色をやや悪くする。
 「……子豚を、殺したのか」
 のび太は、いよいよ震えを大きくしながらうなずいた。
 その続きは、子豚の正体を知っているグリーンには容易に想像できる。
 「でも、殺したあと……子豚が、人間の子供になっちゃったんだ!
 ち、血がいっぱいで、バラバラになって、……うえぇぇっ……」
 子豚の竹刀が起こした思わぬ惨禍に、さしものグリーンも内心平静ではいられない思いだった。
 あのイガグリ頭の子供は、間接的にはグリーンのせいで殺されたようなものなのだから。
 「そ、その子豚が、もしかしたらジャイアンかもしれなくて……だから、僕、戻って確かめなくちゃ……」
 「…………」
 その一言に、グリーンはかろうじて一筋の楽観をみる。
 ジャイアンは、のび太と同い年くらいの大柄な少年だという。
 ――あの子供は、せいぜい5歳くらいだった。加えて、間違っても「大柄」ではない。
 ということは、のび太が見た子豚は、殺された子豚は、グリーンが返り討ちにしたあの子供の豚になったものとは
違う可能性がある。


374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:05:06 ID:eswn8kuF
 

375 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:05:54 ID:yDGxhBFN
 グリーンはランドセルから『落書帝国』を取り出し、羽ペンを走らせる。
 思い出せる限りの情報をもとに具現させたのは、『落書帝国』の元の持ち主であり、
グリーンを最初に襲撃してきた、あの子供。
 かりそめの姿を得たゴーレムは、無表情に、ぽつねんとその場にたたずむ。
 ゴーレムしんのすけを指差し、グリーンはのび太に尋ねる。
 「カツオ、こいつを知っているか?」
 「……この子、だれ?」
 口をぬぐいながら、のび太はしんのすけを象ったゴーレムに純粋な奇異の目を向ける。
 「見たことはないか? こいつは、ジャイアンという人間ではないか?」
 「……ぜんぜん違うよ。こんな子見たこと……」
 ふと、のび太は目をしばたかせる。
 「あれ……」
 「どうした?」
 「……この子、知らないけど、どっかで見た気がして……どこだったろう」
 のび太は、ゴーレムしんのすけをじっと凝視する。
 「…………」
 今、ここでグリーンが一言言ってやれば、のび太を苦しみから救ってやることができる。
 おまえが見た子豚は、ジャイアンではないと。
 なぜなら、あの子豚はジャイアンと似ても似つかぬこの子供が正体であるからだと。
 俺が原因をつくったことだから、それは確かなことだと。
 ――しかし、言うべきかグリーンは迷う。

 これから脱出のために仲間を募ろうと思っている上で、他人に疑われたり、
警戒されたりする材料を作るわけにはいかなかった。
 その代償に、のび太が親友を見殺しにしたかもしれない罪悪感にしばらく泣き苦しむとしても。


376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:06:13 ID:eswn8kuF
 

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:06:53 ID:eswn8kuF
 

378 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:07:29 ID:yDGxhBFN


  □ □ □


 グリーンからもらったペットボトルの水で口をゆすぎ終わり、水でふやかしたパンを
無理にでも飲みこむと、気分もなんとか落ち着いてきた。
 胃液を吐き続けた時に、警戒する気持ちも一緒に吐き出してしまったのか、今は張り詰めた心も少し楽になっていた。
 誰かを信じるのは危険だという事は心に相変わらず刻まれたままだが、目の前のグリーンとひまわりなら、
自分に危害を加えることはなさそうだと思えた。
 自分を守ってくれるのかもしれないと感じた。
 ここから脱出する方法を教えてくれるのかもしれないと、期待できた。
 「具合はどうだ」
 同じように水で溶いたパンをひまわりに与えていたグリーンが、のび太が食事を終えたのを見計らって声をかけた。
 「……落ち着いたよ。水とパン、ありがとう」
 のび太の口調が警戒むき出しだった最初の時と変わっていることに気づいてぴくりと眉を上げるが、
それ以上さしたる反応も見せず、グリーンはひまわりを抱いて立ち上がる。
 「そうか。――これから移動するが、付いてこられるか?」
 「え……ど、どこに行くの?」
 「学校だ」
 「へっ?」
 意外な言葉に、のび太は間抜けな声を出す。
 学校? こんなところで?
 「地図の中心にあっただろう。
 ……中心にある施設には人が集まりやすい。それが、子供にとって慣れ親しみ深い学校ならなおさらだ。
 お前の探しているジャイアンだかタケシだかの知り合いも、そこに行けば見つかる可能性もある」
 「……え……?」
 「子豚が人間に変わるようなことがあるわけがないだろう」
 「な、何を言うんだよ!」
 「お前は緊張でおかしくなっていたから、豚を人間と見間違えたんだろう。
 ジャイアンを本当に見つけることができれば、おまえの心配もなくなるだろうさ」
 「あ……」
 そうだ。
 グリーンの言うとおり学校に行けば、もしかしたら元気なジャイアンに会えるかもしれない。
 だが、今ののび太はそれを素直に喜べない。
 ジャイアンに会ってしまえば、殺し合いに乗るのがつらくなる。
 下手をしたら再会した瞬間に、ジャイアンと殺し合いをしなければならない羽目になる可能性だってありそうだ。
そんなことはのび太はしたくない。
 でも帰りたい。
 殺されたくない。自分は痛い思いをしたくない。

 グリーンの言うことを信じ、人を殺さずに協力しあってここから脱出する方法を探すか。
 それとも、自分のみを信じ、殺し合いに乗って三人を殺し、脱出の願いを叶えてもらうか。
 どちらが容易いだろうか。
 どちらがのび太にとって楽だろうか。


379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:08:08 ID:ycw3Ee8E
 

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:08:18 ID:JhB/3p6u
 

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:08:41 ID:eswn8kuF
 

382 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:08:52 ID:yDGxhBFN

 (……楽なのは……僕ができそうなのは……)
 殺し合いなんて、運動もろくにできないのび太にできるわけがない。
 それこそ、勝てそうな相手なんてひまわりのような乳児くらいではないか。

 (…………殺し合いって、きっと楽じゃないよね)
 のび太など、逆に返り討ちにあって殺されるのが一番ありそうではないか。

 (それに……僕が殺し合いをしなくたっていいかもしれない)
 そのうち、ドラえもんが気づいて助けに来てくれることだってあるかもしれないじゃないか。
 わざわざ殺し合いをがんばらなくたっていいんだ。
 グリーンや他の頭がいい子たちがここから抜け出す方法を探してくれて、最後にドラえもんが迎えに来てくれる。
 のび太はそれを待っていればよい。
 テストは赤点、かけっこは最下位ののび太ができることなんて、大してありはしないのだ。
 自分はなにもしないで、他人任せ。それが一番楽な方法。一番安全な方法。
 のび太がわざわざ苦労しなくたってよかったのだ。
 そうだ、殺し合いなんてばかげてる。
 それに気づいて、のび太はあっさりと考えを翻した。

 やーめた。殺し合いなんてやめた。


 「無理強いはしないが、どうする」
 グリーンの言葉に、のび太は夢中でうなずく。
 「い、行くよ! 学校に行ってジャイアンを探す!」
 そうだ、グリーンの言うとおり、自分はきっと勘違いして見間違えたんだ。
 ジャイアン=子豚なんて、あるわけがないじゃないか!
 「お兄さんと一緒に探せば、ジャイアンだってきっと見つかるよね!」
 既に背を向けて歩き出しながら、グリーンがぼそりと呟く。
 「勘違いをするな」
 「……え?」
 「お前の用事だろう、お前が片付けるんだ。
 俺も学校に行く目的が別にあるから同行するだけで、人探しの手伝いはしない」
 「そんなぁー……あ、待ってよ〜!」
 のび太は、飲みかけのペットボトルを持ってグリーンのあとを追う。
 その足取りは、数時間前と違って希望がこもり、力を取り戻していた。



383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:09:57 ID:JhB/3p6u
 

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:10:04 ID:eswn8kuF
 

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:10:52 ID:eswn8kuF
 

386 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:12:24 ID:yDGxhBFN
  □ □ □

 学校までの道中を、二人は歩いていた。
 かなりの距離を移動してきたのに、拍子抜けするほど人に会わない。
 どこかに集団で固まっているのだろうか。
 とにかく警戒を怠らないようにしながら、グリーンは歩き続ける。
 その隣をついて歩くのは、ひまわりを抱えたゴーレムと、のび太。
 「……確か、最初に二人の少年と会ったと言っていたな。
 その少年は、一人は「弥彦」。そしてもう一人いたそうだが――それはどんな子供だった?」
 のび太は蒼褪める。
 グリーンに最初に名前を聞かれたとき、とっさに嘘の名前としてカツオの名を借りてしまったが、
それは深く追求される場合のことを考えてのものではなかった。
 いま唐突にその点を穿り返され、のび太は狼狽する。
 「三人目の少年」――カツオの名前はどうしたらいいのか。どう言い訳したらいいのか。
 「し、知らない……教えてもらわなかったんだ。教えてもらうまえに別れちゃったから」
 まわらない舌で新たに嘘を重ねるが、ばれないかと内心怯える。
 「そうか」
 しかし、グリーンは追求することはなかった。かわりに、どこか遠くを見やるようにしながら聞く。
 「その少年は―――黒髪で、赤い帽子をかぶっていなかったか?」
 「えっ?」
 「もしくは、麦わら帽子を被った、黄色い髪の……少年には」
 「会ってないよ。会った人はみんな僕と同じ日本人みたいで、誰も帽子はかぶってなかった」
 その二人、お兄さんの知り合いなの?」
 「ああ。レッドとイエローと言って……そうだ、お前は結局会ったのは少年の参加者だけで、
 女には会ってないんだな?」
 「うん、女の子には一回も会ってないよ」
 「う〜」
 ひまわりに睨まれ、のび太は言い直す。
 「……あ、えっと、ひまわりが初めて会った女の子なんだ。他の子には会ってないよ」
 「そうか」
 女の子、と聞いてのび太は思い出したことがあった。
 再び前に向き直ろうとするグリーンの背に呼びかける。
 「リルル……お兄さんはリルルを見なかった?
 ピンク色の髪してて、外国人みたいにキレイな女の子なんだけど」
 グリーンの足が止まる。
 「……ピンク色の髪に外国人のような綺麗な少女……そして名前が”リルル”?」
 「お兄さん、もしかして知ってるの? リルルに会ったの!?」
 「ああ、いや……」
 グリーンは言いよどむ。
 名簿には、リルルと言う名があった。おそらくそれがのび太の友人なのだろう。
 しかし、のび太の挙げた特徴はグリーンが見た”リリス”とも一致する。
 特徴の一致。そして名前の類似。
 「よく似た別人は見たが、おそらくお前の探しているのとは違う……
 確かめておくが、そちらの名前の覚え違いということはないな?」
 「ないよ! 友達の名前を間違えるもんか!」
 勢いよくまくしたてるのび太を見て、嘘や隠し事はしていないようだとグリーンは判断する。
 「そうか、ならいい」
 「リリスとリルルって子、そっくりなの? 会ってみたいな」
 グリーンは、振り返る。
 「……今、答えたのは誰だ?」
 のび太は狼狽して首を振る。
 「え、僕じゃないよ……?」
 「た?」
 「……」
 グリーンは竹刀の柄を握り締めながら、声のした方向を睨み据える。
 「居るのか、リリス」
 「うん、いるよ♪」

 グリーンの視線の先、天使の笑顔を浮かべて、淫魔の少女が木の梢に腰掛け手を振っていた。

387 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:13:29 ID:yDGxhBFN

 「呼・ん・だ?」
 リリスは軽やかに三人の前に着地し、品定めするように無邪気さと妖艶さを含んだまなざしを三人と一体に向ける。
 その表情、しぐさ、どれも無邪気に可愛らしいものであるのに、その顔かたちの造形の妖しい美しさゆえにどこか邪を含む。
 竹刀を構え、二人を背中に庇うように立ちながらグリーンが油断なく問いかける。
 「……リリス。なぜここに居る」
 「んーと、吹っ飛ばされちゃった」
 リリスは腕を後ろで組みにこにこと笑んだまま、まるで経緯と因果のわからない答えを返す。
 「でも、ラッキーだったな。
 だって、四人も来てくれたんだもん。これで勝負にも勝てそうだよ」
 ちろりと舌なめずりし、リリスは目を細める。
 「……勝負?」
 「えーっとね、ルールは簡単。たくさん首輪を集めた方が勝ちなの。
 だからね……」
 リリスが最後まで言い終えるより早く、危険を察知したグリーンはのび太の腕を強引に引いて
道沿いに広がり鬱蒼と茂る北の森へと走る。
 「走れ!」
 「な、なに!? なんで逃げるの?」
 わけがわからないまま、グリーンに引きずられるようにしてのび太も必死に走る。
 その後を、ひまわりを抱えたゴーレムが忠実についてくる。 

 「逃がさないよ、こっちだって約束の時間までもうあんまりないんだもん!」

 リリスは梢を蹴り、たたんでいた翼を伸ばし大きく展開する。

 日は既に空の頂から下りはじめ、約束の18時まで、残された時間は少なくなっている。
 なのに、リリスが獲得できた首輪はいまだ0個。
 このままではコナンとの競争に負けてしまう。
 とはいえ、まだ遊ぶ余裕がなくなるほどでもない。
 相手は四人もいる。みんなやっつければ、一気に四個の首輪が手に入るのだ。

 「せっかく見つけたんだもん、絶対逃がさないから!
 遊ぼう! いっぱい遊ぼう!」

 目を輝かせ、リリスは森の中へと逃げていくグリーンとのび太とひまわりを追って飛んでいった。



388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:13:41 ID:JhB/3p6u
 

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:13:55 ID:rHPIfx8l
.

390 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:14:58 ID:yDGxhBFN

 神社脇の森まで逃げ、グリーンとのび太は鬱蒼と茂る木陰に身を隠し息を潜める。
 リリスを振り切るまで走るつもりだったが、体力を消耗していたのび太が
それ以上走れなくなってしまったのだ。
 「ご、ごめんな……ゲホッ、ごめんなさい……。僕、足、遅くて……」
 ひまわりが、顔を真っ赤にし汗びっしょりののび太を気遣うようにつぶらな瞳で見つめてくる。
 「チッ……」
 木々の葉と梢に覆われた空を見上げ、グリーンは舌打ちする。
 とりあえずこちらの位置は気づかれていないようだが、リリスは諦めた様子もなく
空中から見張るように旋回を続けている。

 「かくれんぼー? いいよ、リリスが鬼だね♪」
 リリスの声が頭上から降ってくる。
 同時――鋭利な刺突の一撃が、重なり合い繁る木々の梢の間を縫ってグリーンたちの近くに突き刺さる。
 「ヒッ!」
 のび太が怯えた声を洩らす。
 その口を塞ぎ、抱えて引き寄せるようにして耳打ちする。
 「声を出すな。相手はこちらの位置がわかって攻撃しているのではない……こちらが攻撃に怯え、
 勝手に動いて目の前に飛び出してくるのを待っている。だからこの場は、動くな。静かに機を待て」
 「で、でも、怖いよ……」
 「ひまわりにもできることができないのか」
 「そんな……」
 赤ちゃんは状況が分かっていないだけじゃないか、比べないでよ――と言いかけた反論をかろうじて飲み込む。

 三人がしばらく息を潜めて隠れている間に、周囲は穴ぼこだらけに変わっていく。
 攻撃の余波を食って散らされた木の葉が落ち続け、自然破壊も甚だしい。

 「もーぅ! 隠れてばっかりじゃつまんないよっ!」

 上空からリリスの怒ったような声が聞こえ、攻撃が止む。
 (……いなくなったのかな?)
 (……去ったか?)
 グリーンとのび太は目配せし合い、茂みから移動しようと頭を出す。
 そして気づく。
 ――頭上から降り注ぐ、「まっさらな日光」。
 ざくりっ、と気味のいい音が届き、大量の枝が一斉に降ってくる。
 「なっ!?」
 「ええっ!?」
 のび太とひまわりをかばうように枝を払いのけながら、グリーンが頭上を仰ぐ。
 なんの障害物もなくなった空には、逆光を浴びて金の光に彩られたリリスの影が横切る。
 「アハハ、みーつけた♪ 見つけたよっ♪」
 リリスの翼は先程見たときと形を変え、二丁の鎌のように鋭利なカーブを見せて空を覆い交差している。
 その鎌を以って無造作に群れ繁る木の上部を刈り取り、グリーンたちの姿を隠している木々をなぎ払ったのだ。

 あまりの離れ技に絶句する少年たちの驚愕のまなざしを受け、リリスは満悦といったようすで嫣然と微笑む。
 「みんな見つけたから、リリスの勝ちだよね?
 それじゃあ――首輪、ちょうだい♪」

 リリスは翼を変形させた弓を手に構え――ひまわりを狙って撃った。
 ひまわりの小さな体が衝撃に吹っ飛んで、地に転がった。



391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:16:17 ID:JhB/3p6u
 

392 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:16:20 ID:yDGxhBFN



 「にーや! にーやー!!」
 のび太の足元に投げ出されたひまわりが、大声で泣き喚く。

 ―――リリスの射た矢は、しんのすけを模したゴーレムを貫いていた。
 グリーンが指示したわけでもないのに、なぜかゴーレムは寸前でひまわりを離れた場所へ放り投げ、
ひまわりの身代わりとなってそのかりそめの身を貫かれた。
 小さな体躯を深々と貫かれたゴーレムの口が、何か言いたげに小さく動く。

 ……ひまは、オラが……

 最後まで言い終える前に、消えた。


 「にーやー!」
 泣き止まないひまわりをどうしていいか分からず、のび太はおろつく。
 ひまわりのランドセルから小瓶を取り出しながら、グリーンは自分のランドセルとひまわりのランドセル、
二つをのび太に押し付け持たせた。
 「カツオ、ひまわりを連れて逃げろ」
 のび太が、自分に向けて言われているのだと気づくのに少しかかった。
 「え……」
 「ここは俺が食い止める。お前ら二人は、先に安全な所まで逃げろ」
 「い……いやだ!」
 ようやく声が出た。のび太はすでに泣き出しそうな声を振り絞る。
 グリーンの持っているのは竹刀一本。比べて、相手はとんでもない力を持った怪物。
 ここで自分とひまわりが逃げた後、グリーンがどうなるかくらい、のび太にだってわかった。
 「お、お兄さんも、一緒に逃げようよ! 僕一人じゃ怖いよ!」
 「勘違いするな。オレはこいつに聞きたいことがあるから残るだけだ。
 お前たちは足手まといになる。先に逃げていろ」
 「お兄さん、殺されちゃうかもしれないじゃないか……。
  僕、また一人になっちゃうじゃないか……!」
 「必ず後から追いつく。だから、さっさと行け」
 「いやだよ! 僕ひとりじゃなんにもできないよ!」
 「なら、俺の仲間を探して頼れ。
 ”レッド”、”ブルー”、”イエロー”この三人なら……
 俺の名前を出せば、きっとお前たちの力になってくれるだろう。
 ただ、”ニケ”という参加者は敵の手下である可能性が高い。ヤツにはなるべく近づくな」
 「わ、わかったけど……でも……でも……」


393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:16:24 ID:eswn8kuF


394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:17:17 ID:rHPIfx8l
.

395 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:17:49 ID:yDGxhBFN

 「あれ……一人やっつけたと思ったのに、いなくなっちゃった」
 上空では、リリスが首をかしげていた。
 まずは四人のうち一人を仕留めたつもりだったのに、どういうわけか首輪さえ残さずに煙のように消えてしまった。
 「ま、いいよね。まだ三人もいるもん♪」
 考えても分からないことはしかたない。
 とりあえず目の前のターゲットを狩りつくすべく、うきうきとリリスは次の矢を番える。


 それを見、グリーンはのび太を急かす。
 「早く行け、カツオ」
 「でも、でも……!」
 のび太は、ひまわりを抱いたまま、迷い立ちすくむ。
 なにを言えばいいのだろう。何を言おうとしていたのだろう。
 「行け、カツオ」
 口をパクパクさせ、のび太は舌をもつらせながら叫ぶ。
 「あっ……あ、あ、あの! 僕、ほんとうはカツオじゃないんだ、嘘ついたんだ、本当は……!」
 「早く行け!」
 グリーンに強引に背を押され、つんのめるようにのび太は駆け出した。


 背後からは女の子の甲高い嬌声、戦っているらしい恐ろしい音。
 きっとお兄さんは死んでしまう。僕たちのかわりに殺されてしまう。

 のび太は振り向くことも忘れて、ひまわりを抱きしめ必死に走った。
 怖かった。
 みっともなく逃げながら、のび太は洟をすすった。
 泣いていた。
 なんの役にも立てず、足手まといだと言われて逃がされた自分が、
 悔しかった。







396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:17:54 ID:eswn8kuF
 

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:17:58 ID:JhB/3p6u
 

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:18:30 ID:eswn8kuF
 

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:19:01 ID:rHPIfx8l
.

400 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:19:09 ID:yDGxhBFN


 グリーンの一撃を受けた矢は、手のひらサイズの子豚になってぽろんと地に落ちた。
 逃げていったのび太に向けて放たれた矢をこぶたのしないで叩き落し、グリーンは上空のリリスを睨みつける。

 二人を逃がしてしまったことに不満そうに頬を膨らませながらも、リリスがグリーンの前に降り立つ。
 「キミひとりになっちゃったね」
 「……ああ」
 「ひどいよ。コナン君との勝負に負けちゃったらキミのせいだからね」
 「……ああ」
 「とりあえず、責任とってほしいな。その首輪ちょーだい♪」
 リリスの翼が変形し、グリーン目掛けて撃ち出される。
 「断る」
 攻撃を予期し即座に回避行動をとったグリーンは、すげなく答えながらリリスの力量を計るように見据える。
 (さて、どうするか……)
 手持ちのポケモンもいない。
 手には、慣れた得物と言えど、人外の能力を持つ相手と渡り合うにはやや頼りない竹刀一本のみ。
 そのような不如意な状況でグリーンが臨んでいるのは、一歩踏み外せばすぐに死の待ち受ける、危険なバトル。
 しかし……。
 (俺は慣れている)
 自分よりも強い者に、正面から挑めば敗ける。
 自分よりも弱い者から、不意を突かれても敗ける。
 判断を誤ればいつ敗けても不思議はない。
 判断を誤らなくても敗ける可能性はある。
 たとえここが特殊な場だったとしても、その点でグリーンの踏んできた修羅場と変わりはしないのだ。
 トレーナーとしての旅の中で、一歩間違えれば死んでもおかしくないような場をいくつも潜ってきた。
 それらをすべて乗り越え、今のグリーンがある。
 ゆえに怯懦はない。覚悟だけがある。

 「エイッ♪」
 可愛らしい掛け声と釣り合わない、凶悪な一撃が再び迫る。
 かわすうちに、背中に木の幹が当たる。
 逃げることは難しいと悟り、グリーンは踏み留まった。
 こぶたのしないを構えてリリスの攻撃を真っ向から受ける。
 目を閉じ心を澄ませ――己の気配のみを頼りに、竹刀を振るう。
 打撃音が連続して響く。同時に、ボヮンと謎の音も連続して響く。
 リリスの翼から分かれた攻撃の槍は、何匹ものプチこぶたとなってぽてぽてと落ちた。

 「えっ!?」
 リリスの目が、好奇で輝く。
 「今の、どうやったの?」
 「……知らん」
 致命傷は負わなかったものの、攻撃すべてをさばき切ることはできなかった。
 体の数箇所を抉った傷の痛みを堪えながら、グリーンはリリスに肉薄する。

 「そーはいかないもんねっ!」
 竹刀を難なくかわし、リリスは身を空中へと翻す。
 「チッ」
 空中に逃げられては、グリーンに打つ手は無い。
 このままのび太たちを追われても困る。
 なんとか挑発してでもこちらに引き付けねば……。

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:20:09 ID:eswn8kuF
 

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:20:37 ID:JhB/3p6u
 

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:20:37 ID:xIjg6f+c


404 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:20:39 ID:yDGxhBFN

 「もう、よそ見しちゃイヤだよ?」
 はっと気がつくと、こぶたのしないの刀身の上にリリスが乗っていた。
 「今はリリスのことだけ見て……」
 リリスの伸ばした繊手が、グリーンの顎をなぞり持ち上げる。
 「!」
 整ったリリスの顔が近づけられ、グリーンはぎょっとして体を引くが、
それよりも早くリリスは身を乗り出してきた。

 ちゅっ。

 「……!!」
 反射的に腰の鞭を抜き放ち、リリスに叩きつける。
 「あははっ♪」
 しかしリリスはまるで堪えた様子もなくけらけらと笑いながら、上空へと舞い上がる。
 「キミもリリスとSMごっこがしたいの?」
 両手を後ろに回し、はしゃぐようにくるくると旋回し――細い体を撓う翼で鎧い、ドリルのように急降下してくる。

 しかしグリーンは避けようとしない。
 すぐ横を通り過ぎてゆく風圧で頬の皮膚が避け、視界に自分の血が跳ねる。
 それも意に介さず、グリーンはタイミングを見計らった一撃を、地面に突き刺さって一瞬動きの止まった
リリスの本体へと竹刀の一撃を叩き込む――――!

 見事な一本であった。

 だが、竹刀は空を切った。
 竹刀がヒットする寸前、翼を含むリリスの体が無数の蝙蝠の群れと変化し、
グリーンをあざ笑うようにばらけ散っていった。
 決定打を確信していたグリーンの表情が驚愕に彩られる。
 「な……!」
 「ざんねーん!」
 蝙蝠がグリーンの背後で収束し、リリスの姿に戻る。
 「囮だと……、」
 己の読み違いを悟って振り向いたグリーンを、容赦の無い一撃が迎え撃った。
 衝撃にグリーンの体が吹っ飛び、木に叩きつけられる。
 手からこぶたのしないが落ち、ずるずるとくずおれる。

 薄れゆく意識の中で、グリーンはレッドの幻影を見た気がした。

 (ひまわりとカツオは……逃げられただろうか)

 閉じそうになる目を、かろうじて上に向ける。
 マサラの空と同じ青さを湛えた空を最後に焼きつけ、グリーンは目を閉じた。







405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:21:08 ID:eswn8kuF
 

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:21:45 ID:eswn8kuF
 

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:21:48 ID:ycw3Ee8E
 

408 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:21:59 ID:yDGxhBFN


 ◇


 「あれ……もう動かなくなっちゃった。つまんないの」
 リリスは翼をたたむと、地に転がったグリーンの死体にとことこと近づく。
 「それじゃ、首輪もらうね」
 リリスはグリーンの傍らにしゃがみこみ、首輪を取るべく首筋に触れた。

 しかし、誰かの手に強引に頤を掴まれ、阻止される。
 「えっ?」
 ゆらりと眼前で擡ぐ人影。
 そのまま、唇が被せられる。


 人影はそのままリリスの薄い体の表を這いあがるようにして、肩と頭をせり上げ、
何かを少量の唾液を潤滑にしてリリスの喉の奥に滑り込ませる。
 リリスは嫌がり抵抗するような無粋なことはしない。
 ただ、「遊び」の、行為の一環として楽しむふうな様子で素直にそれを受けた。
 これまではする側だったけど、キスされる側になるのも悪くない。
 飲まされた「何か」は、おいしくなかったら吐いちゃおう、ぐらいは考えていたが、
 舌を転がる小さな粒はほんのり甘く、悪い味ではなかった。
 なんとなく、慣れ親しんだ味のようにも感じられた。
 おいしいならきっと毒ではない。リリスはそう思い、そのまま嚥下した。

 そのまましばらくしても、何も起こらない。
 やはり毒ではなかったらしい。
 苦しくもならないし、眠くもならない。痺れもしない。

 だけど……なんだろう。
 なんだか、胸が苦しくなってきちゃったよ…………。


 ◇



409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:22:52 ID:eswn8kuF
 

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:23:08 ID:ycw3Ee8E
     

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:23:10 ID:JhB/3p6u
 

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:23:26 ID:eswn8kuF
 

413 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:23:37 ID:yDGxhBFN


 ぽーっとしているリリスから顔を離し、グリーンは苦しげに咳き込んで
血反吐とリリスの唾液の混じったものを吐き捨てた。

 あらかじめ服の裏に海岸の電話ボックスから持ってきた電話帳を仕込み、さらに緩衝材として『落書帝国』で具現した
盾形の小ゴーレムを忍ばせて二重に備えておいたにも関わらず、リリスの必殺の一撃の前では紙切れとあまり変わらなかった。
 ――痛む。血が口の中に絶えずこみ上げてくる。
 目を閉ざした時は、このまま策を果たせず息絶えることさえ覚悟した。
 正直、いま胴がくっついているという事実が奇跡に思えた。

 (しかし、うまくいった)

 隙を突いてリリスに飲ませることに成功したのは、ひまわりのもう一つの支給品。
 「魔女の媚薬」というもので、説明書きを見るとその名のとおりいかがわしげな効果があって、
間違っても赤ん坊に与えるような品ではない。
 こんなものを支給したジェダの神経を疑わずにはいられなかったが、こういう場面で役立ったのは僥倖だった。

 相手がこちらに心酔していれば、情報を引き出すこともたやすくなるだろう。
 グリーンは落ちていた竹刀を拾いなおし、うっとりと濡れた瞳でこちらを見つめているリリスに近づく。
 「話を聞かせてもらいたい。まず、キサマがなぜここにいるかについてだが……」
 「えー? それよりもっと楽しいことしようよ♪」
 頬を染めたリリスはグリーンの言葉を無視し、子犬のようにじゃれついて押し倒す。
 「ま、待て! やめろ……っ」
 計算外の反応に狼狽しつつ、グリーンはリリスを押しのけようとする。
 「離……ぐっ」
 物凄い力で抱きしめられ、窒息死しそうな錯覚を覚える。
 「ダーメ♪」
 リリスの力は万力のごとくに強く、すでに抱きすくめられたこの状態では逃げるには手遅れであった。
 背に腕をまわし抱きしめられたこの状態で下手に逆らえば、さば折りに背骨をへし折られ胴を潰されるおそれもある。
媚薬が効いている上で、たとえ悪気はなくとも。
 (仕方ない……)
 相手が飽きるまでと思い、グリーンは仕方なくリリスの熱烈なキスに応じる。
 誰かに目撃され疑われたり、襲われたりする可能性を頭の隅に浮かべて周囲に目を走らせつつ、
万が一舌を食いちぎられたりすることのないよう警戒しながら、リリスが満足して離れるのを待った。

 しかし、それが誤算だった。
 リリスは淫魔と呼ばれる種の娘であり、その体液には催淫効果がある。
 そのことをグリーンは知らなかった。



414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:25:03 ID:JhB/3p6u
 

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:25:23 ID:eswn8kuF
 

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:25:25 ID:ycw3Ee8E
    

417 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:25:31 ID:yDGxhBFN
 リリスと唇を重ね合わせて一分も経たないうちに、グリーンは自らの内部に変な気分が湧き上がってくるのに気づいた。
 (……?)
 なんだか心が切なくて、それでいて心が温もって、そこから強い力が沸きだしてグリーンを勝手に何かへと駆り立てようとする。
なにかせずにはいられないような焦燥にも似ている。とにかく、無性にいい気分である。
 (何だ、これは……)
 唇を重ねたまま、リリスがささやく。
 「キミ、名前はなんていうの……?」
 「……グリー……ン……」
 心の中の、何か大事な部分が蕩かされ、崩されていく。そのことが怖い。
 しかし、そのことすら忘れそうな激烈な至福感がある。
 「そう、グリーンって言うんだ……あたしは、リリスだよ」
 「…………あ、あ」
 至近距離にリリスの小さな整った顔があり、無邪気な媚を含んだ視線がグリーンの目に入っていく。
するともうグリーンは金縛りのように動けなかった。
リリスを払いのけることも、自ら体を引いて離れることもできなくなる。
 (これは……、……い……)
 引き剥がそうとするが、手がろくに動かない。
 今更焦り、己の浅はかさを憎んでもどうにもならなかった。
 (……やめ……)
 リリスのしなやかな手が、背中をするすると這って登る。反射的にグリーンもリリスを抱きしめるようにしてしまう。
 崖から奈落へ足を踏み外すように、境界を踏み越えるのは一瞬だった。
 粘膜を通して意識が甘い毒に侵食され、淫靡なものにつくりかえられる。
 食虫植物に捕らわれ、じっくりと舐り溶かされる虫の最期に恐怖はないだろう。
 雌の蟷螂に食われる雄蟷螂は、恍惚として生まれ来る子を想うだろう。
 体の芯がぐにゃりとする。ぞわりと全身が慄えた。

 リリスが、潤んだ目を笑むように細めてみせた。
 それを見たグリーンは、とろりと幸福な気分に溶け込む。

 そして、グリーンはグリーンでなくなった。







418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:26:12 ID:eswn8kuF
 

419 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:26:21 ID:yDGxhBFN


  □ □ □



 森の中で、仲睦まじく少年少女が寄り添いあっている。

 「……そうか。リリスは、自ら望んでこの殺し合いに参加したのか」
 「うん、みんな遊んでるのにリリスだけ仲間はずれなんてつまんないもの」

 リリスの肩を抱きながら、完全にリリスに堕ちたグリーンはその首筋を見やる。
 グリーンは、ジェダがリリスの白くたおやかな首にまで首輪を填めたことが許せない。
 リリスがジェダのものであると示するような、銀色の輪が許せない。
 (リリス。その首輪、すぐに外してやるからな)

 リリスがグリーンの懐に、甘えるようにしなだれかかる。
 「……ね、グリーン。リリスのお願い、聞いてくれる?
 六時になるまでに、できるだけたくさん首輪を集めないとコナン君との勝負に負けちゃうの。
 負けたら、勝ったほうの家来にならなくちゃいけないんだよ。
 そんなのイヤだから、首輪を集めるのを手伝ってほしいんだ。ねぇ、いい?」
 上目遣いに見つめられ、グリーンの心は幸福感に浸されて奮い立つ。
 (リリスが、俺を頼みにしてくれる。俺はリリスのために力を尽くしてやることができる)
 「首輪を集めればいいんだろう? リリスのためならいくらでも集めてやる。
 リリスをどこの馬の骨とも知れないヤツの家来なんかにさせはしないさ。
 しかし、首輪を集めるだけでいいのか?
 俺はリリスの頼みだったらなんだって聞いてやる。だから、何だって言ってくれ」
 「ホント? うれしい……あたしも、キミの頼みだったらなんだって聞いちゃうよ。だから何でも言ってね♪」

 かくて相思相愛のふたりは初々しい恋人同士のように肩を寄せ合い、
 恋人同士のように再び唇を重ね合わせた。



420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:27:34 ID:eswn8kuF
 

421 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:28:08 ID:yDGxhBFN

【C-4/森/一日目/真昼】

【相思相愛】

【グリーン@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:リリスにメロメロ、体の数箇所に怪我、腹部打撲(内臓や骨を損傷しているおそれ有)
[装備]:こぶたのしない@FF4、ナインテールキャッツ
[道具]:魔女の媚薬@H×H、はりぼて首輪
[思考]:リリス……
第一行動方針:リリスのために首輪を狩る。
        また、リリスを首輪の束縛から解放してやるために、首輪解除方法の模索は継続して行う
第二行動方針:レッド達は……まあ、大丈夫だろう。リリスが許してくれたら探してみようか
基本行動方針:リリスのために何でもしてやる。対主催、首輪解除方法模索のスタンスは継続

【リリス@ヴァンパイアセイヴァー】
[状態]:グリーンにメロメロ、中程度の魔力消費
     腹部打撲(やや痛むがMっ気あるなため遊ぶのには支障はない)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料は無し)
[思考]:グリーン……
第一行動方針:グリーンと一緒に獲物を狩り、遊びを楽しむ
第ニ行動方針:18時にはB-7のタワーへ行く
基本行動方針:楽しく遊びつつ、優勝して本当の身体を手に入れる
[備考]:コナン&ネギと殺害数を競う約束をしています。待ち合わせは18時にB-7のタワーです


[備考]:グリーンはリリスの体液の催淫効果によって、リリスは魔女の媚薬によって、ともに相手にメロメロな状態にあります。
ちなみに、魔女の媚薬の効果は制限下で6時間程度。
どちらの効果が先に切れるかは、後続の書き手のかたにお任せします。



【魔女の媚薬@H×H】
掌ほどの大きさの林檎形の瓶にぎっしり丸薬が入っている。
「この薬に口づけして意中の相手に飲ませれば、その人はあなたの虜となる。
1粒の効き目は1週間、1ビン500粒入り。」(カード原文より)
ただし、ロワ内においては効果時間は6時間に限定されている。


422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:28:10 ID:eswn8kuF
 

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:29:15 ID:eswn8kuF
 

424 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:29:21 ID:yDGxhBFN



 ◇


 のび太が走って逃げた先に、グリーンの言ったとおり「学校」は見つかった。
 しかし、その学校は理由は分からないが――のび太のよく知っていた、通っていた小学校であった。
 なぜ、こんなところに、自分の学校があるのかわからなかったが、そのことでのび太の心に一つの希望が湧いた。
 もしかしたら、この世界から帰れるかもと思ってのび太が疲れた体に鞭打ち走り続けた先に目指したのは――学校の裏山。
 一緒にリルルが参加しているということは、もしかしたら裏山には鏡面世界の入り口がそのまま残っているかもしれない。
 もしかしたらここは鏡面世界のほうで、もしかしたらその鏡面世界の出入り口さえ見つければ帰れるかもしれない、と思ったのだ。

 しかし、へとへとの体を引きずり、土にまみれて裏山じゅうを探し回ってみても、お座敷釣り堀の置かれた場所は見つからなかった。

 山中で、のび太は疲れきってへたりこんでいる。
 傍らでは、ひまわりがぐずり続けている。
 「うるさいなあ……黙れよ。怖い人に見つかったらどうするんだよ……」
 苛々しながらつぶやいても、ひまわりがぐずりをやめる様子はない。
 よく見ると、ベビー服のお尻のあたりに、土とは違う汚れが染み出している。
 それがわかっても、のび太はオムツ替えの仕方などわからない。
 なので放っておくしかないのだが、泣き声だけは延々と聞かされ続ける。
 「うるさいなあ! 黙れってば!」
 とうとう怒鳴っても、よけいに泣き声は高くなるばかり。
 のび太の神経も磨り減るばかり。

 周りには、誰もいない。
 遠くが騒がしいような気もするが、山の中は静寂そのものである。
 目の前には、邪魔にしかならない赤ん坊。

 この状況に、忘れかけていた考えを思い出してのび太は唾を飲み込んだ。
 心臓が動悸を増し、手のひらが汗ばむ。


 周りには、誰もいない。
 遠くが騒がしいような気もするが、山の中は静寂そのものである。
 のび太を見咎めるものは、誰もいない。

 目の前には、邪魔にしかならない赤ん坊。




 この子を、殺そうか……?





425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:30:20 ID:eswn8kuF
 

426 :his sin, his crossroads ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:30:43 ID:yDGxhBFN
【D-3/学校の裏山/一日目/真昼】

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:心身ともに疲労
[装備]:なし
[道具]:グリーンのランドセル(金属探知チョーク@ドラえもん、基本支給品(水とパンを一つずつ消費)、
アーティファクト『落書帝国』@ネギま!(残ページ3))、ひまわりのランドセル(基本支給品×1)
[服装]:いつもの黄色いシャツと半ズボン(失禁の染み付き。ほぼ乾いている)
[思考] :この子を……
第一行動方針:ひまわりを殺す?
第二行動方針:子豚≠ジャイアンだと確信するために、ジャイアンを探す
第三行動方針:出会う人には警戒し、基本的に信用しない。
   だが、自分を守ってくれそうな人・脱出する方法を知ってそうな人なら考える
基本行動方針:死にたくない
[備考]:「子豚=ジャイアン?」の思い込みは、今のところ半信半疑の状態。

【野原ひまわり@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:ガードグラブ@SW
[道具]:ピンクの貝がら、基本支給品
[思考]:たー……(しんのすけにもう一度会いたい)
第一行動方針:(おにいさんを待つ)
第二行動方針:(しんのすけに会いたい)
基本行動方針:(おうちに帰る)



【B-6/市街地外れ/一日目/真昼】

【摂津のきり丸@落第忍者乱太郎】
[状態]:健康、戸惑い
[装備]:デッキブラシ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品一式 魔晶石(15点分) テーザー銃@ひぐらしのなく頃に
のび太のランドセル(基本支給品一式、ロボ子の着ぐるみ@ぱにぽに、林檎10個@DEATH NOTE)
[服装]:青い忍者服
[思考]:まっじいなあ……どうすっかなあ……
第一行動方針:のび太を見つけ、誤解を解きたい。無理なら口を封じることも考える
第二行動方針:道具と情報を手に入れる
第三行動方針:ゼニにつながるものを集める
第四行動方針:乱太郎、しんべヱの情報を探す
基本行動方針:生き残り脱出する。他人には極力会わないし、会ってもまずは疑う
[備考]:きり丸にとって、テーザー銃はあくまで「拾った」ものです


427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:31:52 ID:eswn8kuF
投下乙。全体的に怖いよぉ。

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:32:41 ID:OHkrXDNP
乙です
リリスに媚薬って…混ぜるな危険

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:32:54 ID:JhB/3p6u
乙。

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:33:46 ID:ycw3Ee8E
投下乙。
ヤバイ思考に転げてもヘタレて戻ってくるのび太やその他諸々に癒されていたら……!
しんのすけ(ゴーレム)……グリーン、おまえは良い絵を描いたよ。

そして媚薬合戦に完全に予想を外された。
まさかそんな展開になるとは。
どう転がるんだこれは。
GJだ。



読んでてちょっと気になった所。
のび太が偽名を使ってるのは判るんだけど、グリーンと会った直後の

>ひまわりが元気よく手を上げてのび太にあいさつするが、のび太は応えもしない。

この後はカツオになってるから、こののび太は変え忘れかな?
のび太とカツオの二人が居るのかと思ってしまった。

431 : ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:36:25 ID:yDGxhBFN
投下終了しました。
たくさんの支援ありがとうございました。
おかげで、さるさんを最後まで食らわずにすみました。
内容については……いろいろ突っ込みどころがありそうなので指摘どんどんお願いします。

最初は年少者二人を逃がしたところで華々しく散らせるつもりだったのに、
不明支給品に気づいて何かしたくなってしまったのが彼の運命の分かれ道。

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:37:15 ID:nMIjED3l
GJ!
しんのすけ型ゴーレムの最期に軽く涙が……。
そして、そんなおにいちゃんの想いも知らずに、ひまに手を掛けようとするのびたが怖い怖い。
やばいよコイツ、いい感じに狂い始めてるよ。アニロワでもああでこっちでもこうなのか。

だがそんなことより重要なのはグリーンだ、羨ましいヤツめ。
そのポジション、殺してでも奪い取りたいぞ。

433 : ◆M42qaoJlNA :2007/05/13(日) 01:39:49 ID:yDGxhBFN
>>430
ご指摘のとおり、変え忘れですorz
その部分を以下のように修正します。

(誤)
>ひまわりが元気よく手を上げてのび太にあいさつするが、のび太は応えもしない。

(正)
>ひまわりが元気よく手を上げてカツオにあいさつするが、カツオは応えもしない。

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:40:46 ID:mL1AH1uB
投下乙。
ある意味、一番堕ちそうにない奴が堕ちたな。
リリスの強さにグリーンの知恵&慎重さが加わったら、どんだけ厄介なことになるんだコレ。

のび太とカツオは、そうとも知らずに互いに互いを偽り合ってる関係になるのか。
これもまた厄介な火種を……。

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:50:14 ID:JhB/3p6u
ぎゃあ途中で書きこんじまった!
ともかく、乙。
グリーンはまさかのMカップル誕生になったとはいえ、
のび太を逃がしたり、リリスとやりあったりして、すごく良かった。
ポケモン男性勢は全員全滅かと思っちまったもんなぁ……。

のび太は、くれしん勢によってどんどん狂って行くねぇ。

たとえ狂っても、素手じゃあ、ひまわりにすら勝てない気がするぜw

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:51:01 ID:rHPIfx8l
投下乙。
白レンといい淫魔連中が大活躍ですね。
でも男ばっかり堕ちてもつまらんしそろそろ女も……ゲフン!

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 01:51:44 ID:ohrEJSgk
投下乙
また色々と火種を撒いたもんだなwwwwww
のび太はヤバい状態だけど、うまく学校組と合流できたら多少は落ち着くかな?
まあメロとヘンゼルがいる以上無事に合流するのはかなり厳しいけどw
そしてグリーン、こっちはさらにやばいなw
早く正気に戻らないとろくな死に方しそうにないw

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 02:09:32 ID:vki9mWdu
>お前の用事だろう、お前が片付けるんだ。
ポケスペの元ネタが一瞬で分かってしまった

それはともかくGJすぎる
ひまを守って散るしんのすけ、へタレのび太、クールな剣士グリーン
そして全てをぶち壊すリリスw
誤解フラグも立てまくリングでわくわくしてきたぜ

しかし、やっぱりグリーンは色気に堕ちてしまったかorz
俺はかっこよく散るか堕ちるかだと予想してしまっていた…

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 02:22:57 ID:H8wpgshg
乙。
これはまた……エロいな
なにげにのび太、リルル組全員とのフラグ持ってね?

鳥に見覚えあるなと思ったら、第一話書いた人か。
まとめで書き手紹介見てきて思ったが、貴方ポケスペ大好きだなw

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 02:24:12 ID:xIjg6f+c
投下GJ
おお、いいねえ……
「身体を張って弱者を逃がした戦士」が「弱者を殺す殺人鬼」に堕ちるというのは燃える。
もう一度のび太とであった場合、のび太の反応が楽しみだ。このマーダーカップルには期待を隠しきれん。

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 02:29:23 ID:ExM/ElI7
これだけ長いのにまったく苦にならない引き込み方は圧巻
二転三転する展開もお見事だー、GJ

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 10:33:38 ID:rMZ2urCH
GJ!誤解フラグ立ちまくりのすごくいい展開でした。
のび太、よくきり丸から逃げられたなあ。場所に救われたか。

最初きり丸が軽くマーダー化するかと焦ったら、次はのび太ー!
しかもこっちの方はへたれとはいえど、本気になる可能性あり……
これからどうなるか分からないけど、のび太の行動次第では、きり丸に
誤解フラグが立ちまくりそうで怖いなあ。

そしてグリーン。このロワの媚薬って惚れ薬なのかー。つまり洗脳?
これもまた今後にすごい影響を与えそう。

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 11:40:06 ID:Zc9Q9X/F
〜各地の状況まとめ〜

@北東エリア(湖上の城、平原、商店街etc.)
・【F-3/昼】葵が偽明石薫(ベルカナ)を保護したまま、紫穂を探しに城の外へ逃亡。
・【G-1/真昼】RHを携えたヴィクトリア、【G-2】にいるウニョラーしんべヱを狙っている?

@北西エリア(大森林、工場、廃病院、謎の塔、モニュメント跡)
・【B-1/昼】オッドアイにされたミミが倒れている。
・【B-3/真昼】廃病院にて、シャナ・小太郎がグレーテル戦を切り抜ける。紫穂が接触のため動き出す。
・【C-3/真昼】白レン&イシドロ+蒼星石&タバサがパーティーを組む。
・【D-3/真昼】イエローとリルルがレッドの死体を埋葬。ククリが逃亡を企てている。
・【A-3/午後】工場前にて、光子郎死亡。残されたのはフェイト・ブルー・イヴの三つ巴ドロドロ状態。
・【A-4/午後】グレーテル、そろそろ休憩場所を探そうとしている。

@中央エリア(学校、森、湖)
・【D-4/昼】学校4Fにて、ヘンゼルVSコナンVSメロ。
・【D-4/昼】学校1F保健室にて、一休さんVSリンク&小狼。
・【D-4/昼】学校2F/3Fの階段にて、梨花と灰原が押し問答。
・【E-4/昼】学校近くの森で、金糸雀が壊れかけながら逃亡。トリエラは休む場所を捜す。
・【E-6/昼】翠星石のローザミスティカに惹かれ、薫・ジーニアス&ベッキーが湖上で遭遇。
・【C-4/真昼】グリーン&リリスのマーダーカップル誕生。
・【D-3/真昼】学校の裏山にて、のび太がひまわりを殺めようとしている。
・【E-3/真昼】ネス、リディアの死を看取る。「白い女の子」を倒して、と遺言を残される。
・【F-4/午後】プレセアとアルルゥが森を探索。

@南西エリア(市街地、タワー、山脈、道路)
・【B-5/昼】山小屋の大集団、MAP中心部に向けてこれから移動を開始する。
・【B-6/昼】ビルのロビーにて、目覚めたのび太がきり丸を泥棒と思い込む。
・【B-7/真昼】太一&キルアが展望室の人物/首輪探知機に反応した二人の人物とコンタクトを取ろうとしている。
  同タワーの展望室ではニアが思案中。
・【B-7/真昼】人目につかない建物の影にて、カツオが太一&キルアと合流しようか考え中。
・【C-8/真昼】千秋、藤木を殺害し黒化。
・【D-8/真昼】弥彦&パタリロが千秋のもとに急行中。

@南東エリア(湖、橋、廃墟、病院、シェルター)
・【F-5/真昼】ベルフラウ、雛苺に契約を迫られる。
・【G-6/真昼】シェルター前にて、仲間を探してレックスが北東の街へと移動。
・【H-5/真昼】はやて、トマ、アリサがシェルター内にて合流。
  同シェルターの機械室では夷腕坊@みか先生がおやすみ中。
・【F-6/午後】さくら&梨々、イリヤがパーティーを組む。イリヤ、二人を利用することを画策。


そこかしこでパーティー更新があったりして、各参加者の単独行動が減ってきたようす。
同時に、中央部に向けての参加者集中っぷりが凄まじい。比べて四隅は過疎気味に。
現学校組がひと段落しても、間をあけず第二次学校戦に移行しそうなのが恐ろしい。

全員が昼以降の時間軸まで進み、第一回放送まで6時間を切りました。
現時点までの死者は21人。生存者は65人。

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 11:52:03 ID:Zc9Q9X/F
オット間違い
>・【B-6/昼】ビルのロビーにて、目覚めたのび太がきり丸を泥棒と思い込む。

ここは削除で。
そういえば、不明支給品も残り一個あるかないか、かあ……

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 18:46:18 ID:8hoQGpp6
ポケスペ勢
レッド:死亡
グリーン:リリスに洗脳
ブルー:ステルスマーダー
イエロー:衣装がやばい

ペロッ……これは多人数参加作品はロクなことにならない法則!

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 19:39:33 ID:2b5nvkhb
ポケスペは額面上の死者数が1名だからまだマシだと思った。
全体としては。

仲間のマーダー化でイエローがひどい逆境。

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 19:59:33 ID:4xVTV6L6
>>446
それを言うなら蒼の子なんて逆境通り越して棺桶一歩手前だぞ。

なのは勢もなのはさん悪魔化でヴィータがやばい事になっとるし、
デジに至っては二人死亡一人(人工)オッドアイ化、マトモに稼動は太一のみ。
しかし放送聴いたキルアがどう出るか……

多人数参加作品逆境大杉

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 20:06:31 ID:QyGAn4v/
乙!


>>434
互いの持ち味を殺しあうがメロメロなので殺しあわない微妙なマーダーコンビになるかもしれないな
戦略ではリリスが台無しに戦闘ではグリーンが足を引っ張る

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 22:01:26 ID:ccLF5xE7
周囲に色々集まってきたし、そろそろ学校組を動かすべきかな……
と思うが、分断された三組に書けないキャラが一人ずつ入ってて手を出せないorz

学校周りのゴタゴタと、大集団(時間軸が昼だから、おそらく遅くても午後には学校付近に着く)が
どうにかなったら、時間軸を夕方〜放送前に移してゆくこともできそう。
放送まであとひとふんばり。

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 23:59:21 ID:VRIYTDC6
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/clip/img/113.gif

学校のカオスっぷりも少しは一段落しつつあるかと思ったら、
いつの間にか周囲が物凄いことになってたんだな。

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 00:04:23 ID:Aj/eic9z
>>450
地図まとめ乙です!
また凄いことになってるなあ……いつの間にか学校周りにいくつも集団が。
今のところ安全なのが南西市街地組とシェルター組ぐらいしかいないw

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 00:08:28 ID:MRtJ+FjZ
>>450
学校中心にした9マスに22人、生存者の3分の1が集まってるとかwww
これになのはたち足したら30人近くになるwww


453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 00:14:01 ID:ej2a22BO
>>450
すいません、黄色と赤多すぎなんですけどw
どいつもこいつも危険人物ばっかりという展開に吹いたw

そして相変わらず蒼い子の周りは絶景だなあ。

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 00:41:40 ID:0mwrPKAF
Q:周囲が物々しくて怖いです。どうすれば良いでしょうか?
A:南方に避難してバカンスを楽しんではどうでしょう。
  しかし湖や山脈地帯程度では逆に危険です。
  その更に南も西の市街地は妙な緊迫感が漂い6時にはリリスが訪れようとしています。
  南東の廃墟の病院などがお薦めですが、空気化するとそれはそれで危険なので注意しましょう。

455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 09:29:35 ID:fKTmfaEG
>>453
ホントだwwwなんて先が読めないんだw
建物の中は対主催が多かったりするが、外歩いてるのはヤバイやつばっかだなあ。

純粋マーダーの数は10人ちょいと以外に少ないが、危険因子持ったやつがゴロゴロいる。

>>447
蒼の子は、紅→マーダー化した上雛に殺される。
翠→ジニベキを庇って死亡、雛→ぶっ壊れて無差別マーダー化、金→壊れかけで、
パーティー組んでる3人が言うに及ばず……。確かに棺桶に片足突っ込んでるなw

イエローもイエローで大概だが(リルルが危険人物だったり拡声器厄病神に初っ端から関わったり)

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 17:02:06 ID:cDdWow83
あ……ありのまま起こったことを話すぜ!
俺が動かし始めたキャラのうち、一つの話に出た中で最低一人が必ずロクなことになってない……!

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 17:40:32 ID:/vBorQu0
>>456ロワなんてそんなもの。

逆に考えるんだ。
贔屓にならないぐらいに良い方向に動かすチャンスだと。

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 21:30:20 ID:zMAQdI7u
1ヶ所に参加者が集まりすぎると他ロワで時々起こるような、
「書き手が把握してないキャラの乱戦」みたいな状況になるんじゃね?
ここは他以上に全作品把握するのは難しいだろうし、それだけの数を上手く捌ききれる人が居るのかどうか怪しいな
まあまだ完全に集まったわけではないから手の打ち用はいくらでもあるだろうが

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:41:05 ID:O0iYrG7w
>>455
その二人の未来はのび太の行動によって大きく変わるな

蒼…ヘタレステルスマーダー&赤ん坊でさらにストレスアップ
   あのメンバーでひまわりの面倒をちゃんと見れるのは蒼の子しかいない

黄…グリーン、ニケの情報を持っているのび太はフラグ処理が大変そう
   大長編モードになってくれればかなり安定しそう

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:56:22 ID:fKTmfaEG
>>458
なのはチームが学校に向かってるのが厄介だが、個人的にこれはなんとでもなる気がする。
なのはは山脈地帯から出たいだけみたいだし、いきなり学校までは行かないと思う。
アラスも言ってるが、ヴィータやエヴァ担いで長時間移動するのは難しいだろう。

461 : ◆aAwQuafMA2 :2007/05/15(火) 00:04:19 ID:7Ic3+sW8
動かしたい所があるけど、モロに自己リレーになってしまうから手が出せない……
時間軸が昼のキャラ達も動かしたいけど、各々知らないキャラが混じっていて手が出せない……
うむう……難しい。

とりあえず、グレーテルを予約。

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 00:11:37 ID:ZPF96cG6
動かせそうなところはあるけどネタの神様が降ってこないんだぜ!orz
>>461
期待

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 00:25:14 ID:4JnsfydG
>>461
期待。

というか一月以上経ってるし、こんなに空けば自己リレーも有りなんじゃなかろうか?
有りか無しか、有りならすぐでも有りか期間を空ければ良いかとか考えてみても良いと思う。

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 00:29:41 ID:ZPF96cG6
>>463
ライダーは一週間空いたら自己リレーしてもいいんだっけ?
ここも1、2週間くらいで可能とか考えてみるかねー。

465 : ◆aAwQuafMA2 :2007/05/15(火) 00:31:07 ID:7Ic3+sW8
うーん……前の話で推敲の結果切り捨てた残り部分のリサイクルなので
投下しようと思えばわりとすぐにできそうだったり。
でも、自己リレーするのもなんだかな。

とりあえずグレーテルの繋ぎ書いてから考えます

466 : ◆o.lVkW7N.A :2007/05/15(火) 00:46:49 ID:2zqw0XLd
◆aAwQuafMA2氏、こんなタイミングでの予約、本当にすみません。
(恐らく、氏が書こうとしていたキャラが含まれている面子だと思うので…)

野比のび太、野原ひまわり、リルル、イエロー、ククリ、ネス、トリエラで予約します。


467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 00:52:06 ID:POxk6vYp
>>466
大人数予約キター
しかし微妙にタイミングが悪いw こういうことってあるんだなぁ。
とにかく頑張れー!

>>461も期待。ファイトっす。

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 00:54:45 ID:7Ic3+sW8
予約きたー!
リレー小説の無上の喜びは「リレーしてもらえる」ということにあるッ・・・
大人数がどう転がるのかwktk期待

469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 02:39:26 ID:4JnsfydG
>>466
噂をしたら予約キターw
wktkして待つ。

自己リレー可否云々は急いで考えなくても良さそうかな。
その内に同じケースが出てきそうではあるが。

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 15:54:06 ID:3PGt+q9H
キャラ予約したいがPCがない今前話の修正が出来ない……
やはりちゃんとWIKIにて修正し終わってからキャラを予約した方がよろしいでしょうか?

471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:04:23 ID:oX7PwCDS
wiki見れない携帯も有るのかな。
したらばの修正スレに書き込むのも出来ないのでしょうか。
あと事情があるならその旨を書いてくれれば有りだと思う。
平常時は前話の事を解決してから予約して欲しいけど、出来ないなら後回しも仕方ないかな。

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:53:11 ID:3PGt+q9H
>>471
あーいや、見れるんだけど編集出来ない感じなんです
大人しく明日ネカフェにでも行って修正したいと思います

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/16(水) 00:07:05 ID:W0dvLMO9
>>472
がんばれー
どうせ流れは遅いから慌てる必要はないと思いますよ。

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 01:19:56 ID:e0/X7wO0
流れが止まってるなあ……



荒れる元になるかもだが、「今だからこそ言える、出したかったロリショタ」アンケートでもしてみるか?

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 01:34:42 ID:gCfPbzxl
投票時からこのスレを知っていればな……。
【チェスワフ・メイエル@BACCANO!】
薬で不老不死になった錬金術師。いわゆる「見た目は子供頭脳は(ry」系キャラ。
10歳ぐらいに見えるけど、実質170歳とか。外見を利用して大人に取り入ったりする腹黒さん。
虐待経験があったり拷問経験があったりと色々おいしい設定満載。対主催にもステルスにも。

【小林倫@僕の地球を守って】
宇宙人だった前世の記憶がある、強力エスパーな小学生。こちらも腹黒で捻くれてる。
前世で恋人だった美人なお姉さんを現世でも独占するため、色々やらかしたガキ。

腹黒ひねくれトラウマ少年キャラを、いっぱい入れたかったのに…

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 01:40:58 ID:S0L9xG6D
人気がなかったのかあったのかは知らんが、何気にイオン様がいない件

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 01:46:19 ID:4h19v2Ar
ちょくちょく覗いてはいるんだが、雑談は交流所のほうでしてるんだ、スマソ。

【紫木一姫@戯言シリーズ】
腹黒幼言葉殺人達人ジグザグ幼女。糸さえあればたいていのものは切り裂ける。ただし糸がないと貧弱。
敵は必ず殺す主義。容赦なし。殺人への抵抗なし。

【イユ=イエール@ルナティックムーン】
狂気に目覚めた女の子。血の味で殺すか生かすか決める人外。
架空のルービックキューブで相手を捻り殺します。

478 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 02:01:02 ID:3QAPIgTe
【シンシア・ロウ@CYNTHIA_THE_MISSION】
代々暗殺者稼業をしてきたロウ一族の後継者。
日本での生活の中でそれまでの生き方に疑問を持つようになり、組織を抜ける。
本来は銃も武器も使いこなし、カンフーにも長けた万能暗殺者……
……だったのだが、現在は「武器なしで非殺」という路線を選ぼうとしている。
なお15歳だがどう見ても小学生な幼児体型。広すぎるデコを気にしている。

殺しをやめた暗殺者、ってのが実にロワ向き。

【中塚侑実子@CYNTHIA_THE_MISSION】
無痛症でサイコパスな天才通り魔。
「理由の無い殺しは悪ではないのでは?」との仮定に立ち、「実験」と称して平気で人を傷つける。
彼女自身には武道の心得も何も無いが、先天的な無痛症ゆえに常人離れしたタフネスと怪力を誇る。

実にロワ向きなキャラ。モロにマーダー候補。最凶だけど武道の心得無いあたり、丁度いいバランス。

【ブリギット・マクラウド@CYNTHIA_THE_MISSION】
シンシアの姉・シベールの部下で元国際指名テロリスト。
実は彼女の左腕はバイオニクスアームを応用した義手で、万力のような怪力を誇り、いざとなれば爆破できる。
他にも銃や爆薬の扱いに長け、鍵開けや潜入などの工作員的なスキルも備えている。


479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 08:30:44 ID:Sl0exJwX
地道に書いてる所とか有るが、書き上がるまでしばらく掛かりそうだな。

>>476
イオンには3票ほど入ってた。
ちなみにセスには4票入っていた。
当選ラインは6票だった。
票が入ってた中にも面白いの結構居るんだよな。
個人的にはSWのキャラ(ベルカナだけ通った)と閻魔あい、あとデモベ勢が入れたかった。
サーラ(知恵と勇気の英雄見習い)&デル(奉仕型マーダーに走りそうな悪魔娘、姿変身能力有り)とか。
お気楽極楽草原妖精のパラサも面白かったか。
意外に撃墜数の多い盗賊の達人だし、仲間のおかげでズル技にも詳しいしw
憎しみで人を殺したら自分も地獄行きになってしまう、他人の復讐を請け負う必殺仕事人な閻魔あいも良い。
デモベのアル・アジフとエセルドレーダが出たら他のキャラと契約して魔術師にとか考えてたよ。
エンネアと梨花との絡み(輪廻が云々とかそういう同士って意味ですよ?)も妄想していた。

そんな私の既知キャラは約8割。まさかここまでこのロワに相性が良いとは思いもしませんでした。

480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 09:45:59 ID:jtHsLEEP
ロワ向きではないキャラだけど、ミサカミコトとか白井黒子とか出したかった。

なんだかんだでパワーファイトな面子をマーダーがいかに攻略するか
もしくは敗れていくかを見たい。

……マーダー狩りがいないなぁ。

481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 10:07:57 ID:Sl0exJwX
なのはさんとかが狩りに……行けないか、足手まとい多いし。
シャナ&小太郎も動ける状態じゃないし方向性も少し違う。
マーダーキラーに転向しそうな奴すら居ないんだな。
放送の後なら多少ネタは有るんだが。

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 13:44:55 ID:RASc1HwM
トリエラぐらいか。
でもこのロワには対主催のはずなのにマーダーより危ないれんちゅ……方々がいらっしゃるから無問題さ。

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 22:01:16 ID:4pUdMPNx
>>480
あの二人はロリじゃないだろ

【アトム@鉄腕アトム】
【001@サイボーグ009】
【マリオ@ヨッシーアイランド】
【中岡 元@はだしのゲン】
【金田 正太郎@鉄人28号】
説明不要


【峯崎 拳一@熱血最強ゴウザウラー】
学校に人が集まるのが目に見えてるので
機械化状態なら生身でもいける

484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 22:10:58 ID:og6/Twz5
中学生ならありじゃないか?

>>480
確かにロワ向きじゃないし、制限もきつくかけないとだが出したかったなー。
このロワのおかげで絶チル読み始めたから尚更そう思う。
禁書の科学側のキャラも一人くらい欲しかった……。

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 22:14:39 ID:e0/X7wO0
【デュアルNo.33@ウィザーズ・ブレイン】
【セレスティ・E・クライン@ウィザーズ・ブレイン】
あとちょっと……あとちょっと票が足りていれば……ッッッ!!!
物理定数を書き換えたり身体能力を異常に引き上げつつ双剣を操る騎士と、特殊デバイスを使ってバリア生成したり荷電粒子砲ぶっ放したりする光使い
特に騎士の方は参戦時期をずらせば「殺せない」「覚悟完了済」どちらもいけるおいしいキャラ、専用装備あれば「人を殺すのに最適なラインを構築し、それに沿って剣を走らせることで敵を殲滅する」なんて真似も出来るし……
問題はラノベ出典だからキャラ描写がすげー緻密、深く掘り下げるのに苦労しそう

【エリオ・モンディアル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
放送開始が本ロワ開始後だったためどう頑張っても入れれなかった二人、まあ現時点での公開情報も少ないんだけどね
正統派ショタの槍使いと典型的ロリの竜使い、バイアスかけてみれば騎士とその守護対象であるお姫様に見えなくもない二人
なんとなく女性同士コンビが多いなのはシリーズにしては貴重な男女コンビだけに期待がかかる

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 22:33:16 ID:lUs4yFvC
【エミリオ・ミハエロフ@サイキックフォース2】
【炎のさだめのクリス@KOFシリーズ】
【バレッタ@ヴァンパイアセイヴァー】

票が足りずに落選だったが、相手を口汚く罵れるキャラが一人くらい欲しかった。
ヘンゼル達は少しサドッ気の方向性が違うしw

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/17(木) 23:03:58 ID:mbO5NyoJ
【真人 @人魚の森】

あの極悪っぷりを発揮して欲しかった。




488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 00:26:18 ID:pId0QD2/
【まめきち@どうぶつの森】
【つぶきち@どうぶつの森】

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 00:49:28 ID:IRy5rXNj
こいつらを忘れてた

【八谷良平(ハチベエ)@ズッコケ三人組シリーズ】
【奥田三吉(モーちゃん)@ズッコケ三人組シリーズ】
【山中正太郎(ハカセ)@ズッコケ三人組シリーズ】

小学校の学級文庫での知名度は日本トップクラス
ただ全員マーダー化しそうな気がしないでもない

490 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 01:48:41 ID:hckSWvpV
R.O.D THE TVからアニタとジュニアを出したかった。
片方は武器の現地調達が得意で、片方は実は一休宗純の(遺伝子上の)息子。

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 08:40:20 ID:9iFo8S9M
トリエラ以外の義体も出したかったな〜。票が割れて落ちた感があるだけに勿体無い。
トリエラに限らず、1作品から1人しか来てないキャラはなんとなく勿体無い。
まあ、そいつしかロリショタキャラいない作品も多いんだけど……。

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 10:01:59 ID:QYze4jMc
途中参加なので投票当時のことは良く知らないが
【堀内愛理衣“C(シー)” @ムシウタ】
電子を操る虫憑き、適度に歪んでいて、適度に過剰な解析能力を持ち、適度に対処可能な凶悪戦闘能力を持つ。
ぶっちゃけ首輪解析要因その一。電子的に繋がっているところのありとあらゆる一次情報を得ることができるが、まぁこれは制限の方向で。
虫憑き全員に言える事だが、人を傷つけることは嫌いだがそれでも戦うことに躊躇せず、というか自分のためには相手を踏みにじることが出来るというおいしいキャラ。
問題はサブキャラなうえに、元が群像劇なのであかされてない経緯があるところ、まぁ描写が多くないので把握しやすくもあるが。

【ディスク@NEEDLESS】
首輪解析要員その2、100歳越えのハーフ(サイボーグ)。見た目は子供、頭脳h(ry
ハッキング用コードを体内に仕込み、プログラマーとは別次元の電子戦のエキスパート。
さまざまな知識を蓄えた記憶素子を持ち歩き、目から投影することが出来る。
など体内にいくつもの機能を仕込んでいる。
またフラグメントの「スキャン」は一見で敵の身体・特殊能力を見抜くというもの。
彼女を敵にすれば、切り札から始まり出生、実年齢、果てはスリーサイズや乙女の秘密まで余すことなく白日に晒される。
ただしわかるのはデータなのであまりに特異で複雑な能力には解析が必要。
また取り扱いのさいには下ネタに注意する必要がある。

いまさらだがここって過去ログなんだな。

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 17:44:54 ID:0HyCwgm0
【ドリィ・グラァ@うたわれるもの】
【アムルリネウルカ・クーヤ@うたわれるもの】
【玖渚友@戯言シリーズ】
【レティシア@ヴァンパイア十字界】
後はサモンナイト3の残り三人の生徒達とか。

494 : ◆o.lVkW7N.A :2007/05/18(金) 21:03:01 ID:dDgQp/Na
すみません、一応予約では今日までになっていますが、後数日延長させてください。
多分、土日を使えば週明け位までには何とか書き上がると思います。

てか、予定プロットの三分の一も進んでないのに20k越えとかもうね(ry
……長くなりそうなので投下するときは暖かい支援お願いします


495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 21:07:27 ID:4VQaJKg6
がんばれー。
このロワで最長の作品になるのかもしれないのかぁw


496 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 21:13:21 ID:yo9htxld
hahaha,序盤なのに長編がこうも続くとは、ここの書き手は化物か!
頑張ってください。

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 21:52:14 ID:V+thbCla
応援している

【ペーパーマスター@創竜伝】

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 22:19:23 ID:JxBgoWQq
まあ、あの人数、あのキャラたちじゃなぁ。
グレーテル分は今日来るんだろうか。心配だ。

投票時には思いもよらなかった魅力的なキャラ、と言えば……

【ねこ娘@ゲゲゲの鬼太郎(第五期)】

499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 22:21:13 ID:CvawF+c6
【ミニラ@ゴジラシリーズ】

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 22:59:55 ID:IRy5rXNj
>>497
あいつは地味すぎるだろ


【ポコ@ジョジョの奇妙な冒険】
【スモーキー・ブラウン@ジョジョの奇妙な冒険】
【家出少女@ジョジョの奇妙な冒険】
【川尻 早人@ジョジョの奇妙な冒険】
【ベイビィ・フェイス@ジョジョの奇妙な冒険】
【エンポリオ・アルニーニョ@ジョジョの奇妙な冒険】
【ポーク・パイ・ハット小僧@ジョジョの奇妙な冒険】
ジョジョの歴代ロリショタキャラたち
本当に出れそうなのは早人とエンポリオぐらい

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 23:02:11 ID:JxBgoWQq
>>500
家出少女は出したいねぇ。早人はいい働きをしそうだ……

……ってちょっとまて、ベイビィ・フェイスって何だ、ベイビィ・フェイスってw
そんなのを出すくらいなら「デス13の赤ん坊」をだな(ry
透明な赤ちゃんでも可

502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 23:05:20 ID:4VQaJKg6
この流れで新しく挙げられたキャラたち見ても、半分以上はキャラはおろか出典作品作品すら知らなかったぜw
何だかんだで今の面子は有名どころが集まってたんだなとしみじみ実感したわ。

503 : ◆aAwQuafMA2 :2007/05/18(金) 23:18:20 ID:4SyWe710
グレーテル投下します。
ごく短いので支援がなくても大丈夫そう……

504 :海の見える街 ◆aAwQuafMA2 :2007/05/18(金) 23:19:24 ID:4SyWe710


 六角形の金属塊をかざすと、少しずつ痛みが癒えていく。

 核鉄を脚にあてたまま窓にそっと肩をあずけ、グレーテルはガラスに映る顔に囁いた。
 「綺麗ね、兄様」
 鏡像の顔も一緒に口を動かし、微笑んで返事をする。
 (綺麗だね、姉様)
 グレーテルは満足そうに笑む。
 窓の向こうに広がる海を指差し、言い聞かせるように喋る。

 「兄様、見て。本当に、海って広かったんだわ――ほら。遠くまで青以外なにも見えないの。
  ずっとずっと海なのよ。血とそっくりの匂いをさせて、ずっとずっと、続いてる――」

 グレーテルの今いるビルの最上階のバーからは、眼下に海が一望できるようになっていた。
 隣に赤いタワーも見え、夜になれば夜景も楽しめるのだろう。
 しかし、見慣れたネオンの明かりより、グレーテルは太陽に照らされた海をもっと見ていたかった。
 初めて眺める本物の海を、もっと見ていたかった。

 TVで見るより、実際に見た海は明るく、きらきらと輝いていた。
 なにより、匂いがあった。そこが一番大きな違いであった。

 纏わる長髪をかき上げ、血の匂いと潮の匂いを纏わせた自分の体を抱きしめる。
 「お風呂に入りたいけど、匂いが落ちてしまうのはもったいないわ」
 うつむいた拍子にさらさらと膝のあたりに落ちる銀髪の先を爪繰りながら、グレーテルは呟いた。


505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 23:20:27 ID:7MODQye5
猛烈な勢いで支援!

506 :海の見える街 ◆aAwQuafMA2 :2007/05/18(金) 23:21:19 ID:4SyWe710


 足が動くようになったのを確認し、今度は布で核鉄を腕に固定してから
グレーテルは目の前のテーブルに向き直った。

 艶をのせた黒い天板の上には、トイレや掃除用具棚から持ってきた何種類かの洗剤ボトル。
 片手が動かしにくいのに少し眉を顰めながらグレーテルは水色のボトルの蓋を開け、
中の液体を少し残して捨てると、次に隣の霧吹き口の付いた白いボトルの中身をマドラーを使って静かに注ぎ入れる。
 全体量で三分目まで入ったところで蓋をしっかり閉め、その上から布きれを幾重にも巻いて
ガス漏れがないように頑丈に補強する。
 「うまくいくかしら?」
 グレーテルは、出来上がった毒ガスボトルの腹を軽く指でつつく。
 実際に作るのは初めてだが、もっと面白い遊びができるに違いない。
 例えば、子供をだまして密室に誘い込み、このボトルをこっそり置いて外から鍵を閉めてしまうとか。
 そうしたら閉じ込められた子供は、窯に押し込まれた魔女のように苦しんでのた打ち回って
それでも助からなくて涎と泡と血を吹いて泣いて――
 「――――ああ、」
 甘美な想像に、グレーテルは熱いため息を吐いて頬をうっとりと染めた。


 今ある狙撃銃の残弾数はわずか1。
 どこかで銃弾が補充できれば良かったのだが、ここでは望みは薄そうだとグレーテルは悟っていた。
 血と硝煙、どぶと路地の腐敗した匂いのまったくない「綺麗すぎる」この街では、
銃や銃弾がどこかに隠してある気がしないのだ。
 もっとも、「兄様」ならあの大きな槍さえあれば十分に遊べる。
 それでも、いや、それだからこそ、「姉様」だけ遊べなくなってしまうのは不公平だとグレーテルは思うのだ。
 だからこのような即席の玩具も作ってみた。
 準備しておくのに越したことはない。
 ――――「魔法使い」には、銃は効かないかもしれないから。
 (あれは何だったのかしら)
 金髪の少女が撃ってきた、謎の攻撃。銃弾でも刃物でも爆発物でもない、理解できない不可思議な、強さが予測出来ない力。
 目を引く光でグレーテルの注意を惹きつけ、死角から打撃を当てた、一種の手品である可能性もあるが
その仕掛けがわからなければ、それはグレーテルにとって「魔法」と変わりない。
 ならば、こちらも何かの対策が必要になるであろう。
 毒ガスを封入したボトルは、未知の相手と対峙した際の保険でもあった。


507 :海の見える街 ◆aAwQuafMA2 :2007/05/18(金) 23:22:38 ID:4SyWe710


 ボトルを三つ作り終え、グレーテルは再び窓の外に目を向けて――息を呑んだ。
 夕陽を受けて海面がオレンジ色に輝いている。
 昼に見たものとはまた違う海の表情に、グレーテルは見入る。
 見つめながら、思う。

 (同じなんだわ)

 この海も、双子の生きる円環と同じ世界に組み込まれている。
 果てなく、果てしなく、どこかに繋がっていて、途切れて絶えることのないのは、神様の作った仕組み。
 海の水が円環(リング)を描いて廻るのも、神様の作った仕組み。
 海は川の水を飲みこみ、雨の水を受け止めたぶんだけ、枯れることなくいつまでも在り続けられる。
 いつまでも、これからも。

 (そうよね、兄様。
 神様の仕組みに従って世界が動く限り、私たちは永遠に死なない。
 世界の仕組みに従って殺し続ける限り、私たちは永遠に生きられる)

 着たままの服に染み付いて、今も香る血と臓物の香り。
 瞼の裏にちらちらと明滅する、日に輝く海の波の光り。

 「これから、もっと楽しくなるのかしら?
  ――そう考えるだけで、ただ休んでいるのがこんなに辛いなんて」

 銃身に頬ずりし、グレーテルは夢見るように目を瞑る。
 瞼の裏には、夕暮れの海の照り返す赤光がちかちかと光る。



 次は何をして遊ぼうかしら。
 誰と遊べるのかしら?




【B-7/タワー向かいのビル・最上階のバー/1日目/夕方】
【グレーテル@BLACK LAGOON】
[状態]:疲労(中)、右腕損傷&1〜2時間は動かない、全身に中度のダメージ
(左足の痺れは核鉄によって治癒。その他のダメージも核鉄で回復傾向にあり)
[装備]:ウィンチェスターM1897(1/5)@Gunslinger Girl)、サンライトハート(核鉄状態)@武装錬金
[道具]:支給品一式、塩酸の瓶(残り1本)、神楽とミミの眼球 、毒ガスボトル(3個)
[思考]:次は誰と遊べるかしら
基本行動方針:兄様(ヘンゼル)を探しつつ、効率よく「遊ぶ」
第一行動方針:放送まで休む
第二行動方針:誰か新しい相手を見つけて遊ぶ。


508 : ◆aAwQuafMA2 :2007/05/18(金) 23:23:30 ID:4SyWe710
投下終了しました。
繋ぎらしい繋ぎを書きなれていないので、色々不安が……
こんなので大丈夫でしょうかorz

509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 23:23:39 ID:7MODQye5
支援

510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 23:28:41 ID:4VQaJKg6
GJ。トイレの洗剤で毒ガス、って混ぜるな危険のあれかw
南西部には今までステルスはたくさんいたけど、遂に直接戦闘可能なマーダーが
やってきましたな。リリスとグリーンまで来たら一気に地獄になるw

511 : ◆aAwQuafMA2 :2007/05/18(金) 23:37:53 ID:4SyWe710
言い遅れてしまいましたが、支援ありがとうございました。
ちなみに作中の洗剤はサンポールとカビキラー……
なので、以下の部分を修正。見た目のくだりを他種洗剤と混同しておりましたorz

>水色のボトルの蓋を開け
 →>緑色のボトルの蓋を開け

512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 23:39:21 ID:JxBgoWQq
投下乙、雰囲気良し、なのだが……

A−4からB−7まで誰とも会わず誰の死体も見つけずに移動して、もう夕方か……。
いや前の話が午後枠だったから、距離的時間的には無理のない程度ではあるんだが。
武器の補充や休憩ってのは、グレーテルの現状を考えれば無理のない展開なんだが。

それでも、まだ真昼枠で続き待ちの連中で溢れた街の中心に持ってこられると、少し戸惑う。
これから波乱必至のタワーや、今回新登場の「向かいのビル」も(少なくとも外見上)大きな変化無し……。
まぁ、タワー倒壊させるような能力や支給品は見当たらないから、問題ないのかもしれないけど。
せめて、もうちょっと街外れの方が良くはないか? この先の南西エリア真昼組の自由度を考えると、さ。

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 23:46:05 ID:yo9htxld
投下乙。
双子の雰囲気が出てて凄くよかった。

だが、ちょっと時間進めすぎじゃねえですかい?
動かしやすい単独行動のキャラを一気に夕方まで進める理由がちょっと不明瞭。
昼枠のキャラもまだいるわけですし、時間は午後に留めておいたほいうがいいとオモ。
マヒルですら数組しか到達してないのに、夕方キャラがいきなり出るのはどうも……。

514 : ◆aAwQuafMA2 :2007/05/18(金) 23:48:07 ID:4SyWe710
>>512>>513
確かに、時間軸が二つ以上ずれている参加者が複数側にいる中に放り込むのは
後続の書き手の方に迷惑を掛けそうなので、
時間を【午後】、場所を【B-7】から【A-6】へと訂正します("ビル最上階のバー"はそのまま)
ご指摘ありがとうございました。



場所については、キルア組と絡ませようと思って無茶をして挫折した名残ですorz

515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 23:50:35 ID:JxBgoWQq
>>514
なるほど、その辺に絡めるつもりでしたか。ならなんとなく分かるw
素早い対応、乙です。

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 23:54:27 ID:yo9htxld
>>514
迅速な修正乙!

517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 11:25:21 ID:z8V4OwZk
【ベビィマリオ@ヨッシーアイランド】
【ベビィルイージ@ヨッシーアイランド】
【カスミ@ポケットモンスター】
【ハルカ@ポケットモンスター】
【ヒカリ@ポケットモンスター】
【ピカチュウ@ポケットモンスター】
【チコリータ@ポケットモンスター】
【プリン@ポケットモンスター】
【アシュリー@さわるメイドインワリオ】
【ナインボルト@メイドインワリオ】
【カット@メイドインワリオ】
【アナ@メイドインワリオ】
【ヤングクリケット@おどるメイドインワリオ】
【ディディーコング@ドンキーコング】
【リュカ@MOTHER3】
【クラウス@MOTHER3】

任天堂関連で。大体は任天ロワに出てるけど……

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 16:47:54 ID:NOOWE5W+
>>517
………あえて何も言うまい


519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 17:07:32 ID:wFC0F4yU
ネタがないので状況整理。
現在は遅くて昼、早くて午後の面子が多いようです。
マーダーの状況は、

ブルー
レックス
メロ
リリス&グリーン
ヘンゼル
グレーテル
白レン&イシドロ
雛苺
カツオ
イリヤ
ミミ


確実なマーダーは以上の13名だと思われます。全体的に結構元気です。
生存者は現在65人。マーダー一人が五人ぐらいのペースで人数を削っていけばたぶん優勝ENDになるでしょう。
また、精神的に不安定な人物達も多いです。

ところで、毒吐きでは第一回放送後は放送の間隔を短くしようという案が出ていますが、みなさまどうでしょうか?
ここいらで全体的なペースを上げていってもいいのではないかと私は思います。

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 17:48:21 ID:33Rfn30w
>>519
午前0時の放送追加はやめてほしい。
元々、子供は夜に弱いから設定されたことだし。安直に増やしたら本末転倒。
第三放送を二日目の昼にするのはアリだと思う(個人的には追加自体必要ないと思うが)。

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 17:50:04 ID:SbesSz2W
>>519
放送間隔縮小については、アリだと思う。
おそらく、第一回放送以降は「ご褒美」をもらえる参加者も出てくるだろうし、
もらうタイミングの調整のために殺し控えるキャラも出てきそうな気がするから
6時間間隔にしたほうがいい気がする。
そのほうが、進行も、ご褒美ゲットも円滑に進む気もする。

ただ、そうすると次の放送は午前0時になって、寝たロリショタたちを起こすことになってしまうなw


そしてマーダーまとめ乙。
各パーティーの戦力まとめ(幾つか前のスレの埋めであったようなもの)とかも欲しいなあ、
なんて他力本願に呟いてみる

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 18:54:11 ID:wFC0F4yU
チーム(名称が決まってないのは適当)
【不安定性強集団】
なのは、インデックス、ニケ、エヴァ、ヴィータ、勝:戦力的に一番優れている。ただし人が多くなってしまったためか、信頼感に傷が見える。
【危険4人組】白レン、イシドロ、蒼星石、タバサ:戦力的には【不安定性強集団】に喧嘩を売れると思われるが、言い表せれない不安がある。
【爆弾三人組】弥彦、パタリロ、千秋:戦力的にはパタリロの制限がきついために下位に位置する。しかも千秋が危険。後の二人もやばめ。
【ツンデレ組】シャナ、犬上小太郎、双葉、紫穂:武装が充実しておらず、けが人も抱えているためにキビしい。紫穂はステルス。
【シェルター組】はやて、トマ、アリサ:戦力的はそこそこ、ただし一番安定感がありそう。
【爆弾三人娘】プレセア・コンパティール、アルルゥ+レミリア:戦力的には上位に位置するが、3人それぞれの爆弾を抱えている。
【ステルス危険】イリヤ、梨々、桜:戦力的には真ん中ぐらい、ステルスマーダーのイリヤが爆弾。
【悪夢の三角関係】フェイト、ブルー、イヴ:戦力はそこそこだけど、崩壊まじか?
【相思相愛】グリーン、リリス:一番絆が強いマーダーカップル。戦力の差は愛でなんとか。

後はパーティといいにくそうな面子や、単独の子が多いので省略。

>>520
チームを組んでおらず寝過ごした子とかは、0時の放送は起きたらQBが教えてくれるとかどう?

523 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 18:54:16 ID:z8V4OwZk
>>518
ある意味で言ってるなこのセリフって

524 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 19:02:11 ID:SbesSz2W
>>522
まとめ乙!
【不安定性強集団】、【危険4人組】、【相思相愛】は
どこがどことぶつかってもおかしくない位置・行動方針だな……修羅場にwktk

巻き込まれそうにないのは都市南部のパタリロ組や工場組、シェルター組くらいか?
プレミア組は、移動した方向によってさくら組とも学校・森方面の組とも接触できるおいしい位置だな。


525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 19:29:47 ID:9B/B2sJr
>>522
まとめ乙。
俺も上から順に不安要素でもあげつらってみるか。
【不安定性強集団】
なのはの悪魔っぷり&恐れられっぷりが鍵。悪魔でいいよ……みんなそう呼ぶから。
ヴィータやエヴァ様の今後も気になる所。ぶっちゃけ内部崩壊の方が怖い。
【危険4人組】
これってマーダー集団だよな?タバサさんとか。
見所は蒼い子の今後と白レンのエロ調教だろう。
【爆弾三人組】
内部問題的には、全ては千秋にかかっている。
外部的には、OPのせいでパタリロはゲームに乗っていると勘違いされがち。
【ツンデレ組】
ステルスに入り込まれているのが怖い。
あと、ツンデレは悲惨な目に遭わないというロワの法則も。
【シェルター組】
不安要素は近くに眠るデカ人形くらい?カレイドステッキは殺伐としたこのロワの救世主。
本来一般人なハズのアリサが一番戦力的に安定してると言うおかしな面子。
【爆弾三人娘】
一歩間違えばマーダー集団な人達。というか元マーダーばっか。
レミリアは妹死亡、プレセアはジーニアス次第、アルルゥは帰れるなら手段はどうでもいい。
【ステルス危険】
ステルスマーダーがいても大丈夫だよ、きっと大丈夫だよ(棒読み)
【悪夢の三角関係】
どう見てもズタボロです、本当にありがとうございました。
【相思相愛】
崩壊要素は期間限定なこと。グリーンの命のタイムリミットにならなきゃいいが。

【子守られ組】のび&ひまわり
ぶっちゃけ不安要素しかない。
【ミーディアム】ヒナ&ベルフラウ
まきますか?まきませんか?鎌で脅しつけながら壊れた人形が言ってます。

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 19:39:53 ID:SbesSz2W
>>525見てて思い出したんだが
グリーンの持ってる「魔女の媚薬」って、説明だと一瓶500粒入りのが支給されてるんだよな?
それを再度リリスに服用させれば惚れさせ続けることができるから、
連続使用になんらかの制限があったほうがいいんじゃないか?(一人につき効果を発するのは一粒まで)

それに、ヘタにばらまかれたら「ドーピングコンソメスープ現象@TCBR1st」が
起こりかねない気も……いや、ま、そのあたりは書き手さんがバランスとってくれるか。
(チラ裏…見てみたいけどね、媚薬の超ハーレムとか)

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 19:45:11 ID:T9uCy1hx
>>526
味をしめたグリーンが魔女の媚薬を多用
 ↓
グリーンを中心とした一大ハーレム作成
 ↓
その構成員の女の子同士が嫉妬にかられる
「グリーン様は私のものよ!」「きぃ〜ッ、新参者のくせに生意気よ!」
 ↓
大惨事

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 19:45:27 ID:z8V4OwZk
たまにはジーニアス&ベッキーの天才組のことも思いだしてやって下さい

529 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 19:50:28 ID:SbesSz2W
たまには葵とベルカナのことも(ry

絶チル組が空気ぎみだなあ……

530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 19:59:09 ID:8ymYXdSK
なるほど
>>528>>529が足された薫+天才組が最強空気ということだな。
……動かせるけどあの状況をうまく動かすネタが浮かばないorz


531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 20:09:12 ID:BjV8rAFa
リリスの唾液の方は惚れ薬じゃなく催淫剤だからグリーンの暴走はありうる。
リリスが嫉妬で暴走するだろうけどw

ところでサキュバスって好きな相手ほど精気を吸い取って殺しちゃう種族じゃなかったっけ?

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 21:14:18 ID:SbesSz2W
グリーン「やらないか」
ショタ参加者「アッー!」

こういうこともありうるわけか


しかし、この時期は皆忙しいのかな……
とりあえず>>494を見ると何か物凄い長編を執筆中らしい◆o.lVkW7N.A 氏を猛烈に応援

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 21:40:08 ID:E0eo9wdK
>>530
そことFラインのたくさんで書いてるぜと言ってみる。

すぐには書き上がりそうにないからまだ予約できない(=予約行ける人いたらどーぞ)けど。

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 22:19:28 ID:33Rfn30w
>>533
書いてる人がいたか! 
単純にバラそうと思って書き始めてたが、どうやら必要なさそうだな。
大作潰しの危険が減るから、こういう報告は助かる……。
極力、進行のためだけに書くべきじゃないだろうし。

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 22:43:36 ID:SbesSz2W
今の所、時間軸が【昼】で、なるべく率先して動かしたほうがいいのは
・葵&ベルカナ(誰か執筆中?)
・学校組
・山小屋の大集団
あたりか。

周囲との時間軸の整合性も考えると、【午後】のプレアル組とさくら組に挟まれている
・湖上組(誰か執筆中?)
・雛苺&ベルフラウ

あたりも、他の時間の進んでる組と矛盾しないよう気をつけて動かしていった方がいいかも。

536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 22:52:07 ID:T9uCy1hx
葵ベルカナは慎重な行動をしててもおかしくないし、向かう方向に自由度もある。
他のところを動かす契機として利用できる材料だが、何が何でも動かさなきゃいけないモノじゃない。
それこそ、夕方くらいまでどこかに隠れてベルカナの回復待ってたことにしてもいい。(昼枠で動かしちゃってもいいが)
まだ慌てるところじゃない。むしろ下手に慌てて書かれると後々面倒。

他の部分はちょっと同意。どれももうなし崩しに真昼枠に移行していい気もするけどね。

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 22:54:32 ID:zWAX3Y+z
>>535
一応学校組を書いてるけど来週から試験orz
ただの報告なので他に書いている人がいたら遠慮なくどぞ〜

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 23:37:07 ID:CxsWYBwV
>>531
初代ヴァンパイアだと同族のモリガンがデミトリ(真祖吸血鬼)の熱烈な求愛を
EDで受け入れて、キスだけでミイラにしてた気がする。
元々「気に入ったわ。殺したいほど」とか「あなたの全てを奪ってあげる」とか危ない台詞を吐いていたけど、
デミトリの方も求愛しておきながら吸血して殺そうとしてるし、どっちもどっちなですがw

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 01:20:49 ID:5go7brBG
>>535-536
葵ベルカナ組はもう午後まで進んでるんじゃない?(108話)
あと山小屋組ももう真昼までいってるような(123、128話)


540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 01:21:47 ID:5go7brBG
sage忘れスマソ

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 15:27:02 ID:R3Jnnbwt
>>539そういやそうだったな。ちょっと調べてみた。

午後枠:レミリア、プレセア、アルルゥ、葵、ベルカナ、桜、イリヤ、梨々、フェイト、ブルー、イヴ、グレーテル

真昼枠:グリーン、リリス、のび太、ひまわり、きり丸、レックス、ベルフラウ、雛苺
    なのは、インデックス、ニケ、エヴァ、ヴィータ、勝、シャナ、小太郎、双葉、紫穂
    はやて、トマ、アリサ、みか、キルア、太一、カツオ、ニア、白レン、イシドロ、蒼星石、タバサ
    イエロー、リルル、ククリ、ネス、千秋、パタリロ、弥彦、ヴィクトリア、しんべヱ
    
昼枠:金糸雀、トリエラ、ヘンゼル、コナン、メロ、小狼、リンク、一休さん、梨花、灰原
   ミミ、ジーニアス、ベッキー、薫


どうやら今のメインは真昼っぽい。
昼に取り残されているのは学校周辺、湖上、ミミの三箇所。

542 : ◆o.lVkW7N.A :2007/05/20(日) 23:16:57 ID:hGFlvPln
投下しようと思うのですが、誰かいてくれるでしょうか……。
後半丸々無くしたので予定より随分短くなったとはいえ、それなりの長さはあるので。

543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:18:49 ID:hJhPiEFC
ノシ

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:18:55 ID:Dp1/A9Hr
僭越ながらこの私、支援させていただく!

545 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:19:45 ID:hGFlvPln
ドクンドクンドクンドクン。

鼓動が胸の奥で痛いほど大きく反響し、耳朶を潜って鼓膜に突き刺さった。
野比のび太は今、無力な、――そう余りにも無力な命を腕の中に抱え、人生最大の二択に悩まされている。

殺すか、殺さないか。

言葉にすればあんまりにも簡単で単純なその問いに、けれど彼は答えを出せずにいる。
悩んでいる。考えている。理科や算数や、難しい問題を考えるのは大の苦手なこの眼鏡の少年が。
彼は複雑なことを考えるのが嫌いだった。重要な選択を自分で選び取ることも、不得手だった。
テストのときはいつだって、秘密道具に頼るか、六角鉛筆を転がして出た目の通りにマスを埋めるか、だ。
そうやって、いつもいつものんびりだらだらと結論を先延ばしにして生きてきた。今までは。
けれどこの問題は、自分で答えを掴み取らなければならない類のものだ。
どちらを選ぶにせよ、決めるのは自分自身。誰かに決めてもらうことも、適当な何かに任せることも出来ない。

……頭が、痛い。

もともと頭を使うのは不得意なほうだ。考え込むと、すぐに頭痛を起こす。
じんじんと側頭部を苛む重い偏頭痛は、更に思考を裁断し、分断する。まさに悪循環。
焦るな、慎重になれ、KOOLになるんだ。氷のようなKOOLさこそが、今は必要なんだ!
のび太は自分にそう言い聞かせ、伸ばした指先で頭をがしがしと掻き毟る。
そう暑くも無いのに汗がやたらと流れ落ち、背中をべたつかせて気分が悪い。
おまけに、さっきから目の前を飛び交っている薮蚊の羽音が妙に耳障りだ。苛立ちが膨らむ。
口腔内に纏わりついている粘っこい唾液を、空気の塊とともに無理やりごくんと飲み込む。
けれど口中のべっとりとした不快さは拭いきれず、のび太は舌打ちしてランドセルの中を漁った。
蓋を開けるのももどかしい、といった手つきでペットボトルを取り出して、中の水を一気に流し込む。
ボトルの中身は既に随分と生温くなっていたものの、喉を潤すには十分だった。
いや、十分なんてものではない。リリスから走って逃れ、裏山中を駆け回ったのび太は、本人が感じている以上に疲労していたのだ。
乾いた身体に染み込んでいく水分は、ただの飲料水どころか甘露のようだった。
スネ夫のうちでおやつに出されるアイスクリーム入りのメロンソーダだって、きっとこんなに美味しくはないだろう。
ごっくごっくと喉を鳴らしボトルの半分近くを飲み干して、漸くのび太はほっと人心地をつく。

「た〜た〜」

泣き声交じりにズボンの裾を引っ張られ、すっかり頭から抜けていたひまわりのことを思い出す。
声のした先に視線をやれば、ひまわりは「じぶんにもくれ」と言いたげに口をぷぅっと膨らませていた。
恐らくひまわりも喉が渇いているのだろう。
彼の手にあるペットボトルを羨ましそうに見上げて、両手をばたばたと振り上げている。

「だ、駄目だよ。これ、僕んなんだからね!!」

正確にはのび太本人の物ではなく、グリーンから譲ってもらった品なのだが構わない。
ひまわりの届かない高さまでペットボトルを持ち上げると、幼児相手に舌を出してあっかんべーをしてみせる。

「絶対に駄〜目っ!!」
「あうーっ」

その仕草に癇癪玉が爆発したかのように怒って、ひまわりは尚も手足を振り上げた。
紅葉のように小さな掌でぱたぱたとのび太の腿を叩くものの、当の相手はどこ吹く風だ。
だが、ひまわりはそれしきのことで諦めるほどやわな赤ん坊ではない。
一見普通の健康優良児にしか見えない彼女は、実の所、家族ともども何度も世界を救っているスーパーな赤ちゃんなのだ。
そんな彼女にとって運動音痴の小学五年生など、そうそう手強い相手ではなかった。

「た〜、ううっ!」

ひまわりはのび太にちょこちょこと近付くと、グラブから出ている指先で器用に彼のシャツを鷲掴んだ。
コアラのようにぎゅっと抱きつき、全身を芋虫さながらに蠕動させてのび太の身体をよじ登る。
突然の行動に驚いた彼が振り払おうとするも、しがみ付く腕力は予想以上に強く、容易には引き剥がせない。
そのまま虚をついて短い両手を精一杯に伸ばし、のび太の掲げているボトルを奪い取る。
突然のことに目を白黒させている相手を無視して、まだ蓋が開けっ放しだったそれを身体ごと両手で抱え込んだ。

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:20:47 ID:Dp1/A9Hr
  

547 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:21:00 ID:hGFlvPln
とはいえ対するのび太も流石に、幼児にやられっぱなしで平気なほど鈍い人間ではない。
慌てて立ち上がり、ひまわりの手には少々余るサイズのボトルを再びひったくり返す。
う〜う〜唸っているひまわりには構わず念入りに硬く蓋を閉め、ランドセルの奥底へボトルを放り入れた。

「あげないよ!」
「あぅあ〜っ!!」
「うるさいな、駄目だって言ってるだろっ!」

ひまわりへ叫ぶのび太の言葉の端々に、先刻同様苛立ちが見え隠れし始める。
先ほどは先延ばしにしていた答えを選択するときが、ついにやってきたのかもしれない。
顔を真っ赤にして怒気を含んだ台詞を放ちながら、彼は苛々とひまわりを見据えて再び自問自答する。

殺すか、殺さないか。

目の前には、軟語を喚きながらぶんぶんと両腕を回して自己主張する、ひまわりがいる。
何の役にも立たない、自分一人では身を守ることすら不可能な、小さくて柔らかい命の塊。
それでもこの殺し合いの中では確かな参加者として一人前に扱われ、殺せば『ご褒美』へと一歩近付ける命の塊。
のび太は眼前のひまわりと視線を合わせ、ごくりと固唾を飲み込んだ。
さっき水でべたつきを洗い流したばかりの筈なのに喉は苦しく、やたら痰が引っかかった。
胸元に手を当て、とくとくと鳴り響く鼓動のうるささを抑え込む。
ぴんと張り詰めた静寂の中、その音は実際以上に大きく聞こえていた。

……赤ちゃんなんて、大っ嫌いだ。
うるさいし、わがままばーっかりだし、自分じゃ何にもできない足手纏いだし。
今も僕の大切な水を取ろうとしたし、これからだってきっとこの子がいたら邪魔になるはずだ。

のび太は自分自身にそう言い聞かせる。
おそらく彼の中で、答えはもう決まっているのだ。二者のどちらを選ぶのか、その回答が。
だから後は無理やりに、そのゴールへ繋がる道筋を、結果へ繋がる過程を考えているだけ。

「それに、……それにこれ以上泣かれたら、僕まで誰か怖い相手に見つかっちゃうかもしれないし。
 ひまわりがいたら、走って逃げることだってできないし。だから……、だから今僕がここで殺してやる!!」

のび太は眼下のひまわりをねめつけて宣言すると、肺の奥深くまで大きく酸素を取り込んだ。
心を落ち着かせるため、二度三度とゆっくり深呼吸を重ねる。
恐怖で震える指先を伸ばし、傍らに落ちていた手頃なサイズの石を拾い上げた。
振り上げたときにすっぽ抜けないよう強く握り締めると、ゴツゴツした感触が掌全体を襲う。
尖った底部が掌中に食い込み、刺すような痛みがした。その鈍痛に、のび太はふと考える。

……これだけでこんなに痛いんじゃ、一体殴ったらどのくらい痛いんだろう。
きっと、ジャイアンの拳骨より痛いよね。ママにお仕置きでお尻を叩かれるのよりも痛いよね。
落とし穴に落ちるのより、ラジコンで小突かれるのより、ずっとずっとずっと痛いよね。苦しいよね。

そう分かってはいても、今ののび太に自身の行いを止めるすべは無かった。
のび太は手にした石塊を振り上げ、未だあうあう呟いているひまわりに狙いを定めた。
外すことなど、到底ありえない距離だ。おまけに相手はただの赤ん坊。
しくじることの方が難しかった。否、その筈だった。
しかしのび太の予想に反し、彼の振りかぶった石がひまわりの頭部へと到達することは無かった。
幼児の脳天めがけて振り下ろされたその石は、瞬間、彼女の周囲に発生した力場によって遮られ、破砕した。
ひまわりはなにも、考えて回避行動をとったわけではない。
ただ本能的な恐れを感じて、両の握り拳で頭を庇っただけに過ぎない。
だが握り締めた拳は特殊な技術により力となって具現化され、そこに現出したのだ。

――巨大な盾と同等の力を誇る、素晴らしく堅牢な防御壁として。

ひまわりの装着している手袋は、ただの手袋ではない。
ガードグラブと名付けられたそれは、握り締めるだけで強固な力場を作り出し盾代わりの役目を果たす代物だ。
使用法も使用意図も、実に単純にして明快。だがそれ故、乳児のひまわりにも感覚的に使いこなせる!

「た〜っ!!」

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:21:38 ID:Dp1/A9Hr
  

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:21:37 ID:hJhPiEFC
支援

550 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:21:58 ID:hGFlvPln

ひまわりは周囲の力場を継続させたまま、高速のはいはいでのび太へと突進した。
身を守る、という概念くらい乳児にだって存在する。
むしろ言葉も喋れないような幼子のほうが、他者から放たれる悪意には敏感だ。
ひまわりは、のび太の全身を覆っている殺気にしっかり反応し、そして判断した。『このおにいさんは敵だ』と。

だからひまわりは反撃に転じた。
――拳を、一段強く固める。

己の一撃を防御されたのび太は、未だ驚愕から覚めやらない。あまりの驚きで、呆気に取られていた。
ずんずんと接近してくるひまわりに対処することもできず、その場に立ち尽くすままだ。
その間にひまわりは容赦なくのび太の股座に突っ込むと、脛を狙ってグラブの嵌められた両手を叩きつけた。
単なる赤子の一撃と甘く見てはいけない。周辺に力場を纏わせた拳は、破壊力に長けた十分な戦闘武器だ。
最高の守備は最高の攻撃だ、という言葉がある。だとするなら、最強の盾はある意味で最強の矛だ。
強力な力場を備えたひまわりの両拳もまた、それそのものが一対の矛に匹敵する威力を備えていた。
足元を崩され、のび太の身体が後方へぐらりと大きく傾ぐ。その隙を無駄にせず、ひまわりは更に二打、三打と追撃。
のび太は足を踏ん張ってその衝撃に耐えようとするものの、時を空けずに繰り出される数度の打撃は堪え切れるものではない
膝がすとんと地面へ向けて引っ張られるのを感じると同時に、彼は背中から草の間へ激しく倒れ込んだ。

「くそっ……、何で赤ちゃんなんかに……」

のび太は苛立ちに顔を歪め、足に力を込めてよろよろと立ち上がる。
辺りに散乱している小石を掴んでかき集め、めったやたらにひまわりへと投げつけた。
しかし相手は、何の労苦もなくこれを全弾回避。
その行動がますます頭へ血を上らせ、のび太は大股でひまわりへ走り寄ろうとする。
血走った目でひまわりを見据えるその顔は、まさに子供を追い詰める悪役といった感じだ。
迫るのび太の鬼気迫る表情に、だがひまわりは怯えることなく果敢に対応する。
タイミングを見計らい、走る相手の脚の間を得意のはいはいですり抜ける。
まるで冗談のような綺麗さで股を潜り抜けると、くるりと片腕を軸にして真反対に方向転換。
目の前にある大きな背中を押し倒すようにして、背後から再びガードグラブでの殴打を与える。
確かな手ごたえを感じ、ひまわりはほっと息を吐いた。
自身の前進する勢いに背中を押された衝撃が加わり、のび太はまたしても地面へつんのめった。
同時に、先ほどのび太自身がばら撒いた石に足を取られ、ごろごろと地面を転がる。
バランスを崩し、完全に仰向けになった身体を起こそうと、のび太が身を捩じらせる。
しかしひまわりはそれに目もくれず、今のうちにと急いでその場を走り去った。
何もひまわりだって、のび太の息の根を止めたいわけではないのだ。
ただ自分の安全が確保できれば、この場から逃げ出せればそれでよい。
ひまわりは、一秒でも早くグリーンの元へ戻りたいという焦燥を胸に、できる限りのスピードで地面を這った。
……もっとも、「してやったり」という達成感が全く無かったと言えば、嘘になるが。
土が黄色のベビー服をあちこち汚し、突き出している小枝や草葉がチクチクと手指を刺す。
汚いし、痛い。お漏らししたまま替えてもらっていないオムツも、むずむずして気持ち悪い。
けれどひまわりはそんなことに構っている余裕などなかった。
手足を這い動かし黙々と、グリーンと別れた森林部を目指す。

(おにいさん、どこ……?)

求める相手が、いまや別の女にメロメロなことを、ひまわりはまだ知らない。
彼女のためなら死んでもいいと、殺しても殺されてもいいとすら思っていることを、ひまわりはまだ知らない。
きっとその事実を知れば、彼女は泣き喚くことだろう。――――悲しみで? いいや、嫉妬で。
何せ、どんなに幼くとも彼女は一人前のレディーなのだから。ジェラシーを感じて、当然だ。

     *     *     *

イエローが手を組んだので、リルルも同様に手を組んだ。
イエローが目を瞑ったので、リルルも同様に目を瞑った。
イエローが「おやすみなさい」と呟いたので、リルルも同様に「おやすみなさい」と呟いた。

イエローに強制的に服を着させられた後、(リルルは必要ないと言い張ったが、イエローに怒られて仕方なく袖を通した)
レッドの埋葬を手伝ったリルルは、て今、彼のために祈っていた。

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:23:05 ID:hJhPiEFC
 

552 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:23:10 ID:hGFlvPln
リルルにも、『祈る』という概念はあった。神や天国、天使の存在を信じてすらいた。
メカトピアにも宗教はある。神は強欲で我侭な人間をお見捨てになり、アムとイムという始祖のロボットを作られたのだ。
神は人間の代わりに天国のような世界を創るよう、自身の作ったロボットに命令なさった。
――それから数万年の時が経ち、ロボットは確かに天国のような世界を築き上げた。
支配する者もされる者もいない、貴族ロボットも奴隷ロボットもない、夢のように平和な世界だ。
すべてのロボットは平等だ。世界ロボット権宣言でもそれは語られ、広く承認されている。
曰く、『すべてのロボットは、作られながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である』と。
なんて素晴らしい、ロボット社会。欲にまみれ互いに殺し合ってばかりの人間とは、天と地ほどの格差がある。
人間は、ロボットのために奉仕するべきであり、労働するべきであり、支配されるべきだ。
だって彼らはロボットの道具であって、 ロボットが人間を自由にする行為は悪いことではない筈で。

……その筈なのに、ほんの少し前まで確信していた想いが揺らぐ。

人間には『こころ』があると言う。『人を思いやる気持ち』があるのだと。
……『こころ』とは何なのだろう。それは、そんなにも素晴らしいものなのか。人間だけに備わっているのだろうか。
『こころ』を有する人間は、ロボットよりも優れた存在なのだろうか?
自身の脳裏を過ぎるその考えを、一概にただのエラーだと切り捨てられない。
桜の下で交わしたサトシとの会話を、先ほど自分を癒そうとした少女の呟きを思い出す。
彼らには、他者の痛みを感じそれを想うことのできる精神があった。
けれど、人間にそんな感情が備わっているだなんて、リルルには疑わしい。そんなの聞いたことも、考えたこともなかった。
何故ならそれらは、メカトピアでは教えられることのなかった知識だからだ。
ロボットこそが万物の長であり、絶対的な君主であるとの思想が当然のこととしてまかり通る祖国。
そこで徹底的に植え付けられた人間への不信感や優越感。
だがリルルの思考回路に錆のようにこびり付いたそれらの常識は、今や少しずつ剥がれ出していた。
それが良い兆候なのか悪い兆候なのかも分からず、リルルは少し恐くなった。
彼女は瞳を開き、隣で膝を折る少女をちらりと横目で確認する。
粛々とした空気を纏わせた彼女は、その視線に反応するかのように両の目蓋を持ち上げる。
僅かにしっとりと濡れた長い睫毛が、呼応するように軽く揺れた。

「ありがとう、……きっと、レッドさんも喜んでくれるよ」

リルルはその言葉に無言で小首を頷かせ、肯定の意を示す。そんな自分の反応が、彼女には不思議だった。
きっとこの殺し合いが始まった当初の彼女なら、『喜ぶ? 彼はもうモノでしかないのに』とでも答えていたことだろう。
けれど今のリルルは、どうしてかその台詞を口にすることが出来なかった。
彼女は今まさに自分に訪れている変化に戸惑いを隠せず、その正直な気持ちの丈をイエローにぶつけた。

「私、自分の中の知識が信じられなくなりそう」
「……どうして?」
「人間は強欲で残忍で身勝手な生物だって、私、ずっと教えられて生きてきたわ。だからこそ、奴隷になっても仕方がないって。
 ……でも、私が今まで会った人間は皆、そんな性格には思えないの。のび太さんやサトシさん、それにあなたも。
 ねえ、教えてちょうだい。一体、どっちが人間の本当の姿なの? 何が真実なの?」

そう言ったリルルの声は、切実だった。彼女は、まるで縋るようにイエローを見つめて尋ねる。
その視線に射竦められ、イエローもまた、胸から搾り出したように困惑した声で答えた。

「……確かに人間は、我侭だったり欲張りだったりすることもあるよ。
 ポケモンをお金儲けのために使ったり、自分の気晴らしのために虐めたりするような酷い人も、中にはいる。
 だから、キミが今まで教えられてきたことは多分、そんなに間違ってないと思う。
 だけど……、そうじゃない人だって、いっぱいいっぱいいるんだ。
 優しくて、あったかくて、誰かのために自分を犠牲にできるような人も、いっぱいいっぱいいるんだよ」

イエローは、自分自身に言い聞かせるように語る。
強欲だったり、残忍だったり、身勝手だったり。そういう人がたくさん存在することを、イエローは知っている。
それでも決して、全ての人間がそうな訳ではない。世界にはきっと、純粋な人も大勢いる。
この殺戮の舞台の中で、後者に当てはまる人間がどれだけいるのか、イエローには判断できない。

553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:24:05 ID:Dp1/A9Hr
 

554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:24:13 ID:hJhPiEFC
 

555 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:24:13 ID:hGFlvPln
もしかしたらほんの数人しか、そんなお人よしはこの場にいないのかもしれない。
軽々しく『人間は皆、善良だ』なんてことは到底言えない。けれどせめて、目の前の彼女には知っていてほしい。

「そういう人が、人間の中には、確かにいるよ」

無力な者の庇護と友人の無事を願って死んでいった、優しい城戸丈のような人。
己の危険も顧みずイエローを戦場から逃がした、強いベルカナのような人。
そんな彼らの存在を、彼女には知っていてほしい。
そして、もし出来るなら――――。

「そして、もしキミがそんな人間に逢えたなら、まずはその人と友達になってみてほしい。
 その人と色々話して、付き合ってみて、人間がそう悪いものじゃないって、分かってほしいんだ」
「友達……」

リルルは、イエローの言葉を完全に理解してはいないのかもしれなかった。
彼女が反復した『友達』という単語は、まるで片仮名で書かれた『トモダチ』という別の言葉のように、イエローには聞こえた。

「うん、『友達』。友達っていうのは、うーん……。そう、相手のために、泣いてくれる人、かな」
「私のために、泣いてくれる……? それが、友達の定義なの?」
「定義だなんて、そんな難しいことじゃないよ。ただ、今ボクが思いついただけだから」
「そう……」

リルルは、イエローに語られた内容について考え込んでいるようだった。
表情そのものに大きな変化は無かったが、前髪で見え隠れる眉間に少しだけ皺が寄っている。
その様子に「これでよかったのかな?」と思いながら、イエローは彼女へ告げた。

「ボク、あの子のお墓を作りに行くよ」
「……さっきあなたが言っていた、あなたが壊してしまった相手?」
「うん」

イエローは、心に苦しいものを覚えながらも、真っ直ぐな瞳で肯定する。
自分の罪から目を逸らしてはいけないと思った。見なかったことにして進んでは、いけないと思った。
それに真っ向から向かい合うことが、彼女へのせめてもの償いになるのだろうと。
その言葉にリルルはしばし思案すると、イエローを伺うような声音でぽつりと漏らした。

「……私も、ついて行っていいかしら」

     *     *     *

拾った太い枝を地面に突き刺して、ざくざくと深い穴を掘った。
ろくな道具もなしに人一人入れるだけの穴を独力で堀り上げるのは、なかなかの重労働だ。
ネスは垂れ落ちる汗を掌で拭いながら、それでも一人、無言で墓を掘っていた。
自分に出来ることは限られていた。絶対の信頼を寄せていたPSIも、今はまともに作用しない。
己の腕の中で徐々に弱っていく少女の前で、彼は、何一つ彼女にしてやれなかったのだ。

「僕は、何も出来なかった」

そう口中で呟いて、重い息を吐いた。それは決して、疲労だけのせいではなかった
自身の無力さに嫌気がさす。その苛立ちをぶつけるように、手にした枝を力一杯大地に突き刺した。
垂直に突き立てられたそれを目の端に留めながら、ネスは先刻見た彼女の最期を思い出す。
「……白い女の子……、あたしの大事なひとのカタキ……」そう言葉を遺して、彼女は逝った。
そして切れ切れな声で、自分を見上げ縋るように頼んだ。「おねがい、やっつけて」と。
自分が彼女にしてあげられたことは、ひとつも無かった。けれど、これから『してあげられる』ことはある。
ネスは、決意していた。彼女の仇を打とうと。
自分と彼女は本来友人でも何でもなく、ただ偶然死に際に居合わせただけの関係だ。
けれどそれはネスにとって、『ただそれだけ』と冷静に割り切れるようなものではなかった。
だから彼は、その行為の実行を心に決める。
自分の目の前で死んでいった少女の、せめて最期の望みを果たしてやりたいと、そう思った。
手がかりは、ゼロに等しい。そもそも『白い女の子』の指す意味が、よく分からない。
肌が? 髪が? 服が? 一体何が『白い』のか、どう『白い』のか、彼女の末期の言葉に、ヒントは皆無。

556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:24:47 ID:Dp1/A9Hr
   

557 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:25:01 ID:DkkwGWS9
 

558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:25:18 ID:hJhPiEFC
 

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:25:47 ID:Dp1/A9Hr
  

560 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:26:12 ID:hGFlvPln
そもそもこの広い島のどこにいるかも不明なその『彼女』と、どうすれば遭遇できるのだろう。
少女の願いを叶えることの難関さ、クリアしなければならない課題の多さを改めて感じる。
問題は、今もって全くのところ山積みだった。

「だけど、きっとやってみせる。……せめて一つくらい、君に何かしてあげたいから」

ネスは傍らに横たわっている少女に視線を移し、そう口にした。
当然ながら返事などしない彼女に「きっとだよ」と念を押して、彼は墓穴掘りを再開した。
漸く形だけは何とかなった穴の中へ少女の遺体を安置しようと、脇の間に手を入れて抱きかかえる。
自分と同じくらいの体格をしている筈の彼女の体は何だかやたら軽くて、きっと魂が抜けてしまったからだろうなと思った。
ネスは掘り終わったばかりの土穴に彼女を横たえようとして、しかしふとその手を止めた。
腕の中の彼女と、目が合った気がしたからだった。どくん、と心臓の音が大きくなる。
こちらを見上げる少女の瞳に恨みがましいところは無く、死者の怨念のようなおどろおどろしいものは感じなかった。
どちらかといえば彼女は、眠っているように穏やかな表情でネスに語りかけている風に見えた。
その視線から瞳を逸らすことなく、想いをしっかと受け取る。無言で頷いて、指先に力を込めた。
     
     *     *     *

「……構わないけれど、どうして?」
「理由なんて、分からないわ」

リルルは、そういえばさっきも同じ台詞を言った気がするな、と思いながらそう告げた。
実際、理由なんて自分でもよく分かっていなかった。しいて挙げるなら、彼女に対して興味を持ったのだ。
彼女にとって、先ほどのイエローの言葉は衝撃的だった。
人間の過ちを認め、弱い部分を認めたうえで、それでもなお、良い人間はいるのだと彼女は言った。
それはサトシさんやのび太さんのことなのだろうか。或いは、この眼前の少女自身がそうなのだろうか。
リルルはそれを見極めたかった。彼女に同行することで、人間のことをより深く理解したかった。

「いいよ、一緒に行こう。ボクはイエロー。……キミは?」
「……私は、リルル」
「リルルさん、だね」

歩き出したイエローに続こうとして、リルルはそこで今更ながら大切なことを思い出し、「あっ」と声を上げた。
イエローばかりに気を取られていたせいで、元々行動サンプルにする予定だったあの少女のことを、すっかり忘却していたのだ。
リルルは慌てて木々の間を抜け、少女を寝かせた筈の茂みへと戻る。
しかしそこはもぬけの殻で、彼女は思わず落胆に肩を落とした。
僅かに遅れて到着したイエローが、「どうしたの?」と荒い息で尋ねる。

「ここに女の子を寝かせておいたの。でも、もういなくなってしまったみたい」
「いなく……? じゃあ、その人のこと探さなくちゃ」
「いいえ、いいの」

リルルは首を横に振り、イエローの提案を切り捨てる。
それは合理的で機械的な判断のように思えたが、口にする少女の表情は、少しばかり悲しそうにも見えた。

「あの子はきっと、私ともう一度会いたいとは思っていなもの。だから、いいの」

リルルは俯きがちにそう告げると、イエローに口を挟ませる間もなく「さあ、行きましょう」と促した。
それは快活な口ぶりだったが、無理やり元気を出そうとしているように、不思議にもイエローには聞こえた。

     *     *     *

息が苦しい。吸っても吸っても必要な酸素が足りなくて、全身が悲鳴を上げる。
ククリは一人、森の中を逃走していた。背後をちらちらと伺い、あの少女が追いかけてこないことを確認する。
振り返った先には兎一匹おらず、ただ森閑とした森が広がっているだけだ。
しんと静まり返った森の中、そのことに安堵の息を漏らしながらも、ククリは自分の弱さに胸を痛くする。

……また、私は逃げ出してしまった。
ゴン君のことを勝手に勘違いして、怖がって、逃げてきてしまったときと同じように。

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:26:44 ID:hJhPiEFC
  

562 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:27:13 ID:hGFlvPln

ククリはそんな自分が許せなかった。同じ過ちを繰り返している気がして、悲しかった。
自分がとてつもない卑怯者に感じられて、擦り傷でも出来たみたいに胸がじんじんと痛んだ。
そう。ゴン君の時だって、きちんと話をすれば、きっと誤解することなんてなかったのに。
ゴン君は優しくて勇気がある人で、私を逃がすためにあの女の子と戦ってくれた。
そんないい人だったのに、私はろくに話も聞かずにゴン君を悪い人だって決め付けて、そしてすぐに逃げ出してしまった。
……本当に私は、なんて自分勝手なお馬鹿さんなんだろう。

ククリは、草陰から盗み聞いていた会話を思い出す。
あの会話を聞いたとき、本当はあの人も、そんなに悪い人でないのかもしれないと思った。
だから本当は、彼女の元に姿を現して、ちゃんと話を聞いてみたかった。
――でもククリにとってそれは、やっぱりとても勇気がいることだった。
血塗れで自分の前に現れた彼女。
平気な顔して「自分が殺した」と口にした彼女。
そして自分を電撃で気絶させ、連れまわそうとした彼女。
そんな相手を簡単に信用するなんて、怯えるククリには到底出来なかった。

「勇者さまなら、きっと逃げたりしなかったよね」

恋する相手の、きりりと整った涼やかな横顔を脳裏に浮かべる。
彼ならきっとあの女の子に対しても、いつもどおり平気な顔して接するのだろう。
もしかしたら「ふむ、なかなか刺激的な格好だな。してスリーサイズは〜」なんてことまで尋ねかねない。
偏見とか思い込みとか、そういうものが勇者さまにはないから。
彼にとって女の子は皆ただ女の子でしかなくて、それがどんな種族かなんて関係ないのだろう。
人間だろうがロボットだろうが、吸血鬼だろうが夢魔だろうが魔砲少女だろうが、勇者さまの前では一緒なんだ。
普段ぼんやりしているようにも思える彼の、そういうところがククリは好きだった。
勿論、「他の女の子ばっかり気にしてないで」って嫉妬したくなることもしょっちゅうだけど。
けれどそれでもククリは、そういうところをひっくるめて彼のことが大好きだった。

「……勇者さま」

会いたいな、と思った。口に出したら余計にその思いが強くなって、ククリはぎゅっと拳を結んだ。
手にしていた杖を握り締め、彼女は心中の彼をひたすらに想う。
勇者さまならきっと、こんな殺し合いの中でも普段と変わらずにいてくれるだろう。
そう、予感があった。いや、それは予感などといった曖昧なものでなく、確信だった。
すぐにでも逢いたい。そう願うククリの心は、ガサガサと音の鳴る前方の茂みに、現実へと引き戻された。
最初は、あの女の子が追いかけてきたのかと思った。こんなところでぐずぐずしている間に追いつかれてしまったのだと。
でも、もしそうならどうして後ろじゃなくて前から足音がするのだろう。
先回りされた? まさか、流石にそれはないはず……。
そこまで考えてククリは、もしかして、と胸を跳ね上がらせる。
そんな偶然あるわけがないと理性が告げる。それが当然だと、ククリだって分かっている。
「噂をすれば影」だなんて単なる諺に過ぎないし、こんなギャグ漫画みたいなタイミングで再会できるなんてわけはないと。
そう理解していても、期待せずにはいられない。
ドキドキと鼓動を弾ませてそちらへ目をやると、なぜか足元の草だけが左右に揺れ動いた。
だがその上方に、人影はない。草を分ける足音だけが、こちらに少しずつ近づいてくる。

「ゆゆゆ幽霊……っ?」

ククリは恐れ戦き、右回りしてその場を離れようかと一歩踏み出した。
しかし瞬間、呼応するように聞こえた声に思わずその足が止まる。

「た〜、た〜」

…………それは、誰がどう聞いても幽霊の呻き声ではなく。
まだ生まれて間もないような、幼い赤ん坊の声だった。

     *     *     *

少女の身体を屈伸させて穴へ収め、手で掬った土を上から乗せる。
彼女の綺麗な長髪の上に、それはぱらぱらと音を立てて落ちた。

563 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:27:27 ID:Dp1/A9Hr
    

564 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:28:02 ID:hGFlvPln
黙々とその行為を続けていたネスが、ふと何かに気付いて動かしていた手を止めた。
背後から、茂みを分けて歩く足音が聞こえたのだ。おそらくは二人分の。
ネスがそちらへ振り返ると、丁度、森の終わりの辺りから姿を現すところだった二人の少女が見えた。
彼女ら二人に、ネスは思わず目を奪われる。
二人のうちピンク色の髪をした少女は、先刻ネスが交戦し見失った少女に間違いなく、それだけでも驚きだった。
だが、しかしネスがより気になったのは、その隣にいるポニーテールのもう一人のほうだった。
彼女は手に余るほどの長大な剣を脇に携え――、そしてその刀身にはべっとりとついた赤い血ともう一つ。

一本の、長い緑色の髪が、必死にその存在を訴えるように絡み付いていた。

ネスは、彼女から視線を逸らすことができない。
鼓動が逸りを増していき、全身の血液が沸騰したように熱く温度を上げた。
どういうことなのだろう。あの子の剣に絡まっている、あの髪の毛は誰のものなのだろう。
ネスは咄嗟に、もう半分近く埋まっていた穴を掘り返し、土に塗れた少女の遺体を引き上げた。
――――長い、緑色の、髪だった。
彼は激情に身体を震わせながら、拳を握り締めた。
「犯人は現場に戻る」だなんて、お話の中だけだと思っていたけれど。
ネスは気付いた。彼女を殺したのは、あの子だ、と。そう思ったら居ても立ってもいられなくなって。
彼は近づいてくる彼女らに向け、呟いた。

「……人殺し」

握った拳を緩め、伸ばした指先で少女の長髪をゆるゆると梳く。
髪は柔らかく艶々していて、触れていると心地よかった。
ネスはその感触を指に覚えさせ、そして心にも刻み込もうと誓いながら、心配しないでというように囁く。

「仇はとってあげる。君の大切な人も、それに勿論君の分も」

     *     *     *

イエローは、自分が殺してしまった少女の元へ早足で駆け寄った。
否、駆け寄ろうとして、しかし、鬼の形相で立つ少年の瞳に身体を射抜かれた。
それが、先ほど『ころす』の札を携えていた少年であるのに気付き、イエローは息を呑む。
彼がそこに残っているのは、自分を糾弾し罰するためであるように思われたからだ。
細木にもたれて佇んでいた彼はイエローを憎そうに見やると、ぽつりと彼女に尋ねた。

「止めを刺すために戻ってきたの?。その必要は無いよ。……あの子は、もう死んでしまったから」
「……っ」
「君の、その剣のせいで。…………だよね?」

少年がダイレクを指差して、再度そう質問する。
イエローは何事か口にしようと一瞬唇を開きかけ、――だが結局、抗弁の言葉は生まれなかった。
彼女は項垂れたように視線を足元へ落とし、叫びたくなる衝動を堪えた。
彼の言葉はナイフのようにイエローの心に刺さり、そして奥深くを貫く。
それが紛れも無い事実であるがゆえに、救われがたかった
何も、言えなかった。本意でなかったと伝えたところで自分が許されるとは思えなかったし、許されてはいけないと思った。
本当は「違う」と、そう言いたかった。「それは違う。そんなつもりじゃなかったんだ」と。
だがもしそれを言ってしまったら、きっと自分の中の大切なものが汚れてしまうだろう。
だからイエローは悲しみに泣き叫ぶ心を振り絞り、眼前の少年に答えた。

「そうだよ。……その人は、ボクが殺した」

イエローの言葉に頷く間もなく、ネスは片手を持ち上げて叫んだ。
空を切り裂くような声が静寂の中に響き、そして念動力を生み出す。

「PKひっさつ!」

ネスは容赦しなかった。彼が放った呪文は、先ほどは使用を自制していた全体攻撃だ。
緑の髪の少女を殺したポニーテールの女の子。その子と一緒にいる、ザーグの手下らしき子。
ネスにとってはそのどちらもが敵であり、倒すべき相手であった。

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:28:08 ID:Dp1/A9Hr
  

566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:28:23 ID:hJhPiEFC
  

567 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:28:57 ID:hGFlvPln
……もしかしたら二人とも、ザーグの部下なのかもしれない。
そうなら、ちょうどいいさ。遠慮はいらないもの。
二人の少女を狙い撃たれた彼の念力は、激しい威力を持って襲い掛かった。
だが彼女らは動じない。見れば、ポニーテールの少女が周囲に起こした風で、念動力を散らしているらしい。
多少は効いているのか、着衣の所々に切り裂き跡ができ白い肌が露出していたが、攻撃が皮膚まで到達している様子はない。
あちらの表情にも、苦痛は見られなかった。
ネスは舌打ちする。彼女のバリアは自分のシールドとは原理が違うようだが、それでも十分な防御力だ。
粘って相手のPP切れを待つ作戦もあるが、見たところあのバリアは彼女の着ているフードに備わった特殊効果のようだ。
ならば――――。
ネスは素早く足元に落ちていた小石を拾い上げると、それを少女に向けて投擲した。
当然その程度の攻撃など当たるはずもなく、フードの巻き起こす風によって蹴散らされる。
だがネスはそれを気にせず、更に続けて一つ、二つと石を投げ飛した。
瞬間だけでも、気を逸らせればそれでいい。
あのフード自体は殆ど自動的に防御が出来るようだけれど、人の意識の方はそうもいかない。
石が近づいてくれば、ついそっちに視線がいってしまうものだ。その一瞬一瞬をついて、僅かずつ走る。
ネスは投石を続けながら「ころす」の立て札を剣のように振りかぶり、少女へ走り寄った。
徐々に接近するネスに、ロボットの少女があの電撃を発しようと立てた人差し指をこちらに構える。
それをガードしようと手にした立て札を顔の前に掲げ、電撃を待つ。しかし。

「ダメ、リルルさん!」

仲間割れだろうか? 
ポニーテールの少女の一喝に、リルルと呼ばれた彼女は不思議そうに首を傾ぐ。
「どうして?」と言いたげに首を横に振るリルルに、尚も少女は告げる。

「攻撃しちゃ、だめだよ。……絶対に何もしないで」

なんだ、それ。それじゃ僕の方が悪者みたいじゃないか。
ネスは憮然としながら、それでも足を止めない。
自分の最大PPは、なぜかここでは制限されている上に、さっきかなりの量を消費してしまったので無駄撃ちは出来ない。
おまけにこちらにはろくな武器がない。精精が今もっている立て札くらいのものだ。
向こうの二人がそれぞれ手にする切れ味のよさそうな剣とは、雲泥の差だ。
ネスはポニーテールの少女へまた一歩接近する。
そしてそこでふと、何故向こうはあの剣で自分へ攻撃してこないのだろうと疑問に思った。
どうして防御に徹しているのか。どうして、あちらからは攻撃を仕掛けてこないのか。
さっきも感じたその奇怪さに、だがそれ以上深く考えることはなく、ネスは再び石を投げつけた。
その石が偶然、フードの起こした風を逸れて飛距離を伸ばし、少女の左のこめかみに当たる。
尖った先で切れたのか、瞼の上がぱっくりと開き、そこからだらりと血が落ちる。
目に入った血に視界を奪われたのか一瞬よろけた彼女に、ネスは駆け寄って相手ごと倒れ込む。
両腕で少女の身体を抱え、その半身を纏っているフードを力任せに引き裂いた。
ほの白い身体と薄っすらとした膨らみがネスの視界をぼんやりと犯し――――、それと同時に、風が止んだ。
先ほどまで唸りをあげていた強風が嘘のように治まり、ネスはこくんと息を呑む。
身体の下には、あの子を殺した憎い相手。
握っているのは、木製とはいえ確かな強度を誇る立て札。
ネスは覚悟を決めてそれを振り下げようとし――――、視線に射抜かれた。

「気分が、済んだ……?」

押し倒された少女は、それでも強靭な意志の感じられる瞳でネスに訊いた。
血で顔面を濡らし、所々に傷を負った彼女はそれでもはっとするほど真摯な顔で。
その声音には羞恥も恐怖もなく、許しを請うような媚もなかった。
彼女は仰向けのままネスを見上げ、そして淡々と告げた。

「その子を殺してしまったのがボクなのは事実だよ。……言い訳はしない。
 それに、キミがそのせいでボクを憎んでるんだろうってことも分かる。敵討ちをしたいんだろうって。
 ……でもボクは、ここでキミに殺されるつもりはない」
「なんだよ、それ」

568 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:29:04 ID:Dp1/A9Hr
 

569 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:29:18 ID:QNvJ7JML


570 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:29:55 ID:hGFlvPln

ネスは少女の言葉に反論しようとした。
それは虫が良すぎるんじゃないかと、自分勝手に過ぎるんじゃないかとそう言おうとした。
だがネスがそう言おうとする前に、彼女は再び口を開き、言葉を続けた。

「だってボクは、やらなきゃいけないことがあるから。だから、まだ死ねないんだ。
 丈さんやベルカナさんのためにも、ボクはまだ生きてなきゃいけないんだ。…………だから、ごめん」

その言葉は重くて、苦しくて、それなのになぜか真っ直ぐだった。
夜の海を照らす一筋の灯台の明かりのように、彼女の言葉は眩しい光となってネスに突き刺さった。
ネスにとって彼女はやっぱり許せる相手ではなく、今も腹立たしい思いのほうが勝っていたのだけれど。
それでも今更、握っている立て札を振り下ろす気にはなれなかった。
誰かが誰かを殺して、それを悲しんだ誰かがその誰かを殺して、それを悲しんだ誰かがまたその誰かを殺して。
そんな『誰か』の連鎖を、きっと、彼女は止めたがっているのだ。
それが単に自身の命惜しさから来た詭弁だというのなら、ネスは手加減なく彼女を殺めたことだろう。
けれどどうしてか、彼女の瞳に宿る意思にはそんな自己保身が一切感じられず。
――――ただ、強い想いだけが在った。
ネスは握っていた立て札を逆の手に持ち替え、精一杯右手を振りかぶると、彼女の頬を叩いた。
パン!と小気味良い音がして、打たれたそこが赤く色づく。
驚いたような表情で目を見開く少女に、ネスは少々ぶっきらぼうに言った。

「これで……許すよ」

割り切れない思いも、やりきれない思いもまだたくさん残っている。
でも、多分これでいんだとネスは思った。
だって、今彼女を叩いた自分の右掌は、じんじんと痺れるような鈍痛がしたから。
叩いたほうも叩かれたたほうも同様に痛いのなら、きっと、殺したほうも殺されたほうも痛いんだろう。
緑の髪が綺麗だった、名前も知らない女の子のことを思い浮かべる。

ごめんね。君の命を奪った子に復讐することは、出来なかった。
……でも、きっと分かってくれるよね。




【E-3/城の外堀を臨む平地/1日目/真昼】

【ネス@MOTHER2】
[状態]:やや疲労/PP消耗(大) 、顔に軽い火傷、ホームシックにかかりそう
[装備]:立て札(こ ろす)@一休さん、ウサギずきん@ゼルダの伝説 時のオカリナ
[道具]:ひろしの靴&靴下(各一足)@クレヨンしんちゃん、基本支給品
[服装]:普通の現代服
[思考]:…………ごめんね、敵を討てなくて。
第一行動方針:リディアの仇(白い女の子)を討つ?(するべきかどうか、少々迷い)
第二行動方針:PPを回復する
第三行動方針:リルルに話を聞く
第四行動方針:役立つものを探す
基本行動方針:ゲームに乗らない
[備考]:「ヒーリング」の威力が大幅に落とされているのを認識しました。

571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:30:10 ID:Dp1/A9Hr
  

572 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:30:18 ID:hJhPiEFC
  

573 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:31:13 ID:hJhPiEFC
  

574 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:31:19 ID:hGFlvPln

【リルル@ドラえもん】
[状態]:左手溶解、故障有(一応動くが、やや支障あり)、人間への強い興味
[装備]:長曾禰虎徹@るろうに剣心
    (※レッドの体液でべっとりと汚れ、切れ味がほとんどなくなっている)
[道具]:基本支給品×2、命の水(アクア・ウイタエ)一人分@からくりサーカス
  さくらの杖@カードキャプターさくら、クロウカード(花、灯、跳)@カードキャプターさくら
[服装]:機械部分の露出している要所や左手を巻いたシーツで隠した上から、服を着ている
[思考]:イエローさんって、不思議な人だわ
第一行動方針:とりあえずイエローに同行、手伝い。
第二行動方針:人間に興味。「友達」になれそうな人間を探す
第三行動方針:ネスを追い、その記憶を消去する? (どうすべきか少々戸惑い)
第四行動方針:強い参加者のいる可能性を考え、より慎重に行動する。
第五行動方針:兵団との連絡手段を探す。
第六行動方針:のび太を見つけたら、一緒に行動する(利用する)
基本行動方針:このゲームを脱出し(手段は問わない)、人間についてのデータを集めて帰還する
参戦時期:映画「のび太と鉄人兵団」:中盤
(しずかに匿われ、手当てを受ける前。次元震に巻き込まれた直後からの参戦)



     *     *     *

じんじんと痛む頬に意識をやりながら、これでよかったのかな、とイエローは思った。
『やりたいことがあるから』『やらなきゃいけないことがあるから』生かしてほしいなんて、すごく身勝手だと自分でも思う。
それを言ったらあの子だって、やりたいこともやらなきゃいけないことも、たくさんあっただろうに。
でも、どんなに勝手だって分かっていても、ボクはまだ、生きてなきゃいけないんだ。

丈さんの遺した言葉を、丈さんの友達に伝えなきゃいけない。
ベルカナさんに、必ずもう一度会わなきゃいけない。
ブルーさんやグリーンさんを探さなきゃいけない。
そして何より、この殺し合いをとめるため、出来る限りのことをしなきゃいけない。

……ごめんね。やっぱり、勝手だよね。
ボクが言ってることは結局ただの言い訳に過ぎないのかもしれない。ううん、きっと言い訳なんだ。
本当に罪悪感があるなら死んで償えって、そう言われたら、ボクは何も言い返せない。
でも、やっぱりボクはどうしても死ねないんだ。……絶対に、絶対に。



【E-3/城の外堀を臨む平地/1日目/真昼】

【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:全身に擦り傷と打撲(行動にやや支障)、左目蓋に大きく切り傷、シーツ一枚きりを纏ったほとんど全裸姿、深い悲しみ、精神不安定
[装備]:魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー、レッドのグローブ、おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:シルフェのフード@ベルセルク、スケッチブック、基本支給品、首輪@城戸丈、
[思考]:……ごめんね。
第一行動方針:リディアのを埋葬をする
第二行動方針:グリーンやブルーと合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ
第四行動方針:丈の首輪を調べる。または調べる事の出来る人間を探す。
基本行動方針:絶対にゲームに乗らない。生きてマサラに帰る。
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[備考]:魔剣ダイレクのソードエレメンタル系は魔力を必要とするため使用不可
シルフェのフードを脱がされ、引き裂かれました。フードがまだ使えるかどうかは不明です。

     *     *     *

575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:32:40 ID:Dp1/A9Hr
        

576 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:32:44 ID:hGFlvPln


木々の間から半身を覗かせ、トリエラは銃口を構えている。
物音に気付いて走って来てみれば、そこに広がっていたのは予想していた光景。
またか、と言いたくなる。全くこの島は危険人物だらけだ。
人使いの荒い公社だって、一度任務を終えたらそのあとには休暇期間が用意されているものなのに。
そう思いながら、彼女は視界の先の光景に眉を顰める。
視線の先にあるのは、ひん剥かれた半裸の女の子と彼女へ馬乗りになっている少年。
そしてその手には――――よくよく目を凝らせば「ころす」の三文字。
真っ当な常識を持つ人間なら、それを見て何が行われているのか、想像することはたやすい。
手の中の拳銃を目深に構え、その銃口を少年へ向けて狙い定める。
普通の人間なら、少し難しい距離の狙撃。でも、義体の自分になら必ず出来る。やってみせる。
唇を舌でぺろりと濡らし、トリエラは呼吸を落ち着かせる。
掛けた指先に力を込め、瞬間、どうしてか感じたのは違和感と嫌な予感。
何か間違っているような気がする。でも、それが何なのかは分からない。
もう少し、様子を見てから判断しようかとも思った。
あれが双方同意の行為なら、別に私がテロリストとして排除する必要はないのだし。
……まさか、こんな状況と場所(なにせ屋外だ)でコトに及ぶような色ボケした馬鹿がいるとも思えなかったが、念のため。
だが、トリエラが様子を見ようかと判断した直後、事態が動いた。
少年が突如、少女の頬を思い切り強く叩いたのだ。
それに対し反撃することもなく、少女はしんとされるがままに大人しくしている。
……いくらなんでも、これはもう決定だろう。
トリエラは、少年を紛うことなきテロリスト――即ち危険人物として認定する。
あんなのを放って置いて、あとで自分が襲われることにでもなったら大迷惑だ。
友人のヘンリエッタと違い、自分にはまだ、一応体内器官としての子宮が残っているのだし。
先ほど感じた嫌な予感をただの気のせいだと振り絞り、彼女は再度、少年の心臓へと狙いを付ける。

惨劇の二幕目。少女がその引き金を引くまで、――――後、五秒。




【E−3/森/1日目/真昼】

【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:胴体に重度の打撲傷、中程度の疲労
[装備]:拳銃(SIG P230)@GUNSLINGER GIRL(残段数3)
  ベンズナイフ(中期型)@HUNTER×HUNTER、 トマ手作りのナイフホルダー
[道具]:基本支給品、回復アイテムセット@FF4(乙女のキッス×1、金の針×1、うちでの小槌×1、
   十字架×1、ダイエットフード×1、目薬×1、山彦草×1)
   首輪@ネギ、金糸雀の右腕(コチョコチョ手袋が片方だけついている)、血塗れの拡声器
[思考]:あいつを殺そう。女の子達は、いざとなったら巻き込んでもいいや。
第一行動方針:少年(ネス)を殺す
第二行動方針:安全な場所まで移動して休息。
第三行動方針:好戦的な参加者は倒す。
第四行動方針:トマとその仲間たちに微かな期待。トマと再会できた場合、首輪と人形の腕を検分してもらう。
基本行動方針:最後まで生き延びる(当面、マーダーキラー路線。具体的な脱出の策があれば乗る?)




     *     *     *


577 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:33:57 ID:hGFlvPln


あうあう言っている赤ん坊を抱きかかえて、ククリはどうしようと溜息をついた。
その首には確かに、参加者としての証である銀鈍色の首輪が嵌められている。
襟に刺繍された文字で分かった「ひまわり」という名前についても、同様に名簿に載っている。
こんなに小さな、戦いの手段なんて何にもなさそうな赤ちゃんまで参加者に入れるなんて。
そう思って改めて、ジェダに対する怒りが増した。
だが、当のひまわり本人はそんなククリの思いなど露知らず、彼女の腕の中で丸まっている。
尤もこれでも、出会ったときは泣いたり喚いたり大変だったのだ。
何で泣いているのかも、どうすればいいのかも全然分からなかった。
それでもオムツを森の中の湧き水で洗って替えてやったり、水を飲ませてやったりしたことで、何とか笑顔が戻り大人しくなってくれた。
今ではすっかり安心しきったように、ククリの服にしがみ付いている。

「うー、たぅ」

赤ん坊らしい高い体温を温かく感じながら、ククリは恐々、ひまわりの頭を撫でた。
ふわふわした柔らかい髪が、指先に気持ちいい。
ついでにりんごのようなほっぺにも触ってみると、こちらもぷにぷにっとした感触が心地よかった。
先ほどロボットに抱えられていたのとは全く違う、そうした人間特有の触感に、心がほっと休まる。
撫でるククリの手つきに呼応するように、ひまわりもまた、気持ちよさそうに目を閉じていた。
静かで平穏な光景だった。きっとこの一瞬だけを切り取ったなら、誰も殺し合いの最中だとは思わなかったろう。
ククリとひまわりは森の中、大木の根元に腰掛けて、暫しの休息を取っていた。
だがその静寂は、突如聞こえた叫び声によって中断を余儀なくされた。
南方から聞こえたその声に、ククリがはっとして耳を澄ませる。
また、誰か危険人物だったらどうしよう。でももしかしたら、今度こそ勇者さまやトマ君かもしれない。
ククリは木陰に身体を隠したまま立ち上がり、声の主を見ようと茂る葉の間から顔を出した。
視線の向こうにいた眼鏡を掛けた少年は、残念なことに彼女の知る人間ではなかった。
落胆して肩を落とす。いい人か悪い人か分からないなら、このまま隠れていようかな、とも思う。しかし。

「ひまわり〜、どこ行っちゃったんだよ!!」

少年の叫んだその言葉に、ククリは驚いて、思わず自分が抱えているひまわりの顔を見た。
あの人は、どうしてひまわりちゃんを探しているんだろう?
そう不思議に思って、一つ、思いついたことがあった。
さっき名簿を開いたとき、ひまわりちゃんの上にあった「野原しんのすけ」という名前。
苗字が同じということはもしかしたら、しんのすけ君とひまわりちゃんは兄弟や親戚なのかもしれない。
あの人はその「野原しんのすけ」君で、だからあんなに必死にひまわりちゃんを探しているのかも。
ククリはそう思い、腕の中のひまわりに「違うかな?」とでも言うように、顔を向けた。

「うー、あぅっ!!」

それに対し何か言いたげな顔でククリを見上げると、ひまわりは「あう、あう〜っ!!」と大声で訴える。
ばたばたと両足をめったやたらにばたつかせ、ククリの腕の拘束から逃れると、ひまわりは怒ったように口を尖らせた。
その姿を不審に思い、ククリは膝を屈ませてひまわりに尋ねた。

「どうしたの? ひまわりちゃん。あれがひまわりちゃんのお兄さんじゃないの?」
「たう、たーっ!」

ひまわりが、そんなわけあるかと言うように両手両足を更にばたばたさせる
あんなのとしんのすけを一緒にするなとでも言いたげに、その顔は真っ赤だ。
――――だが、隣のククリにその内容は伝わらない。
ひまわりが何を言いたいのか、何を教えようとしているのか、彼女には全く判断できない。
だからまさか、思わなかったのだ。

すぐ側にいるその少年が、幼児のひまわりさえも殺そうとした、危険な人物であるなんて。



578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:34:17 ID:QNvJ7JML


579 :人はいつでも間違うもの 大切なのはそれからの:2007/05/20(日) 23:34:57 ID:hGFlvPln
【D-3/森/1日目/真昼】

【ククリ@魔方陣グルグル】
[状態]:「なみだ」
[装備]:ベホイミの杖@ぱにぽに
[道具]:基本支給品、インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録、目覚まし時計@せんせいのお時間
[服装]:ファンタジーに普通のローブ姿?
[思考]:……ひまわりちゃん、何が言いたいのかな?
第一行動方針:声の主の前に姿を現すか現すまいか迷っている。
第二行動方針:ひまわりの保護とお世話
第三行動方針:できれば、間に合わなくてもゴンくんとフランドールちゃんの所に……
第四行動方針:勇者さまとジュジュちゃんとトマくんを探す。
第五行動方針:リルルやイエローのことが、少し気になっている
基本行動方針:勇者さまと合流してジェダを倒す
[備考]:ゴンに対する誤解は解けた。ゴンとフランドールの戦いを自分のせいだと思っている。
[備考]:気絶したまま運ばれていたことにより、地図上の現在位置を知らない(森の中、ということしかわからない)。また、ネスを見ていない。

【野原ひまわり@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:ガードグラブ@SW
[道具]:ピンクの貝がら、基本支給品
[思考]:たう!!(あのおにいさんはあぶないんだよ!)
第一行動方針:(おねえさんといっしょに、おにいさんからにげる)
第二行動方針:(おにいさん(グリーン)を待つ)
第三行動方針:(しんのすけに会いたい)
基本行動方針:(おうちに帰る)

【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:心身ともに疲労
[装備]:なし
[道具]:グリーンのランドセル(金属探知チョーク@ドラえもん、基本支給品(水とパンを一つずつ消費)、
アーティファクト『落書帝国』@ネギま!(残ページ3))、ひまわりのランドセル(基本支給品×1)
[服装]:いつもの黄色いシャツと半ズボン(失禁の染み付き。ほぼ乾いている)
[思考] :ひまわりはどこだろう……?
第一行動方針:ひまわりを探して殺す
第二行動方針:子豚≠ジャイアンだと確信するために、ジャイアンを探す
第三行動方針:出会う人には警戒し、基本的に信用しない。
  だが、自分を守ってくれそうな人・脱出する方法を知ってそうな人なら考える
基本行動方針:死にたくない
[備考]:「子豚=ジャイアン?」の思い込みは、今のところ半信半疑の状態。


580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:35:07 ID:Dp1/A9Hr
   

581 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:35:09 ID:hJhPiEFC
  

582 : ◆o.lVkW7N.A :2007/05/20(日) 23:36:43 ID:hGFlvPln
以上で終了です。名前欄が入りきらなかったんで、投下中は鳥はずしました。
トリエラさん大暴れの後半戦も書く予定でしたが、色々あって結局ここまでです。
支援ありがとうございましたー。


583 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:41:00 ID:tnqI4g66
投下終了……かな?
乙でした、支援できやんで申し訳ないですorz

ネスー、逃げて逃げてー!トリエラ、違うんだ、ネスは悪い子じゃないんだ!だから撃たないでくれ、頼むー!
ククリもひまわりがのび太の声を聞いて暴れ始めたんだから「何かあったのか?」くらい察してくれー!
ああもう、もどかしいったらありゃしない!実際口出しの出来ない立場にある自分が恨めしい('A`)

584 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:48:35 ID:Dp1/A9Hr
投下乙です!
大人数にもかかわらずそれぞれのキャラがしっかり把握されていて、凄いの一言。
そして二手に分かれたかと思えば、それぞれに爆弾が! にげてーククリとネス逃げてー!!
これはどちらも次に来る展開が楽しみ……◆o.lVkW7N.A氏、GJ!



にしても、イエローはよく肌チラしたりひん剥かれたりするなあw

585 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 23:58:12 ID:hJhPiEFC
投下乙! KOOLなのび太の滑稽さが可笑しくもあり恐ろしくもあり。
武器がないのび太でもククリとひまわり相手なら脅威のマーダーになりそう。
普段弱いものいじめされている人間がいじめる側にまわるとは……。
リルル、イエロー、ネスは一先ず穏便に……ってトリエラ、またお前かwww


586 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 00:07:30 ID:4UPOpipo
投下乙。
長くなったから途中で切り上げたんだな。
しかし……なんという所で投げるかっ。
すごい状況で投げてきやがりましたな本当にっ。
GJ!!

587 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 00:11:05 ID:K7GSO7ux
投下GJ!
ネス! なんでお前は誤解されることばかりするんだw このままじゃ一休さん二号だぞ。
フードを引き裂いて馬乗りって……そりゃトリエラも誤解するわw
しかし、ひまわりはスーパー赤ちゃんだな……まさか勝ち星上げるとは思わなかった。
これで純粋マーダー0ってんだからすげえ。


トリエラ大暴れの後半も見たかったぜ……orz

588 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 00:21:23 ID:JIirdhlo
ひまわりの戦闘シーンにも度肝を抜かれたことを書き忘れたorz
グリーンのはめてやったガードグラブがこんなところで生きるとは……

ところで、そろそろ次スレの季節かな?
ゲリラ投下か予約が一つ二つ来たら立てたほうがいいかな。

589 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 00:23:42 ID:iC2+jbWc
ゲリラ投下……今日あたり出来るかも。
あと25kも残っているからこのスレで充分投下できそうです。

590 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 00:28:47 ID:K7GSO7ux
>>589
大いに期待する!
つーことで、次スレ立てるのは待ったほうがいいな。

591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 02:08:52 ID:Bafgq3Xf
投下乙
もう何ていうか、のび太wwwwwって感じだな
何とか立ち直ってほしいけど…もう無理かな

それはそうと、ひとつ指摘
MOTEHR2のラスボスの名前は「ザーグ」じゃなくて「ギーグ」ですよ

592 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 02:22:15 ID:nvLK08ZP
1つ大きな間違いの指摘
ネスの心理部分のザーグはギーグかな

593 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 02:23:31 ID:nvLK08ZP
読んでるうちに同様の指摘があったか…リロればよかった

594 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 02:24:16 ID:OzsIAm8w
乙です
イエローの服装がドンドンやばいことになってるww
最早ロリショタのお色気担当筆頭かもしれんwww
ひまわりがただの赤ん坊じゃないのを差し引いてものび太ヘタレwwww
そしてトリエラ…お前一応PKKの筈なのに何対主催の戦力ばっか減らすようなことをww

後、イエローの第一行動方針とククリの出典に誤字がありましたんで指摘しておきますね

× 第一行動方針:リディアのを埋葬をする
○ 第一行動方針:リディアを埋葬をする

× 【ククリ@魔方陣グルグル】
○ 【ククリ@魔法陣グルグル】


595 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 16:45:47 ID:41+RfkMs
>>594
>× 第一行動方針:リディアのを埋葬をする
>○ 第一行動方針:リディアを埋葬をする

正しくは
第一行動方針:リディアの埋葬をする でね?

596 : ◆o.lVkW7N.A :2007/05/21(月) 22:01:47 ID:khKyKFrY
感想&指摘ありがとうございます。
>>591>>592
ちょ、ザーグとか完全にトイストーリーのラスボスとごっちゃになってたww
そりゃ、地球征服狙ってるのは一緒だけど……

>>594>>595
こちらもWIKI載ったら直しておきます。
イエローは、『リディアを埋葬をする』の誤字ですね。 見落としてました。
ククリは前話の状態表をコピペした筈?と思って見返したら、
どうやら登場話から今回までずっと「魔『方』陣」になってたみたいですよ

597 : ◆o.lVkW7N.A :2007/05/21(月) 22:04:34 ID:khKyKFrY
>>596
×:イエローは、『リディアを埋葬をする』の誤字ですね。 見落としてました
○:イエローは、『リディアの埋葬をする』の誤字ですね。 見落としてました

何でこう、うっかりばかりなんだ……orz

598 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 22:54:34 ID:K7GSO7ux
>>596
修正乙です! 最初から魔方陣だとは気付かなかった……。

599 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 23:43:42 ID:8NWILKJj
投下乙
トリエラやめてぇぇーーー!!!
のび太は今ならまだ引き返せるが……

>テストのときはいつだって、秘密道具に頼るか、六角鉛筆を転がして出た目の通りにマスを埋めるか、だ。
コンピューターペンシル……


600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/21(月) 23:50:55 ID:2BgkWJmr
>>596
修正お疲れ様でした。
「魔方陣」については、自分も前の話からそのままコピペして気づかなかったorz

……昨晩ゲリラ投下を予告してた人はどうなったのかな?
次スレを立てるべきか待つべきか少々迷っている。

601 :589:2007/05/22(火) 00:02:49 ID:FgnQlHEA
投下はまだですけど、状態表とか含めると容量が微妙かも。
次スレあったほうが安心なので、どなたかお願いします。

……容量の心配がされたからつい言ってしまったけど、
言ったらゲリラ投下じゃなかったよな……。


602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/22(火) 00:20:21 ID:ozGNETit
たてたよー

ロリショタバトルロワイアル11
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1179760274/l50

603 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/22(火) 00:21:12 ID:nZCqJKJO
>>601
どのパートを投下するか分からないだけでもゲリラ。

新スレ立てようとしたらホスト規制が掛かった。

604 : ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:11:26 ID:+fjA+0i3
こんな時間に投下する俺は間違いなく駄目人間。
明日遅出だから大丈夫……か?

ヴィクトリア、しんべヱ投下します。

605 :隠密少女U ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:12:23 ID:+fjA+0i3
一日の中で、最も日差しが強い時間帯。
島の北東には昭和の町並みを髣髴とさせられる商店街があり、その少し南には広大な草原が広がっていた。
何をするにも充分な広さを誇る草原は、子供たちの遊び場としてはこの上ない場所だと言えるだろう。
事実、青々とした草の絨毯の上を、縦横無尽に駆け回るものがそこにはいた。

蝶のように空を舞う赤いマントと戯れる、忍び装束を着た少年。
その少年の後を追い、先を行き、そして包み込むのは穏やかな風だ。
草原を吹き抜ける風はその存在を無理に主張しようとはせず、ただ自然にその空間に溶け込む。
静かな風をその身に受けて、ふわりとマントが上昇。刹那、少年の眼がキラリと光り、彼は静かに身を屈めた。
彼は今まさに、物事の波というものを理解しようとしている。上がったものはいずれ下がる、下がったものはいずれ上がる。
たゆたうマントを飽きることなく追い続けていた少年は、間もなくマントが落下し始めることを経験から悟った。
数瞬の後、風が弱まる。
それに呼応して、マントの高度が下がる。
予想の通りだ。
機は熟したとばかりに、再度少年の眼が獰猛な輝きを放つ。
限界まで身を屈め、力を溜め込み、顎を上向きにして上空のマントを威嚇するように睨みつけ……。
全身、両手両足のバネをフルに活かして、――跳ぶ!

「ウニョラー!!」

日の光と、マントと、寸胴な体躯が一直線上に重なる。
パシっという爽快な音。
太陽を掴み取ろうとしたかのような大跳躍により、遂に大地を疾走する忍者は、変幻自在に空を行くマントを?まえた。
長いようで短い滞空が終わり、太く、雄雄しい4脚が重々しく大地に着地。
そこで彼の動きは止まり、狩りの成果であるマントを口にくわえ、誇らしげに遠くを見つめ始める。
意思疎通などできなくとも、一目見れば分かるだろう。
『やったぞ、俺はこいつに勝ったんだ!』とばかりに自分の勝利を深くかみ締めていることが。
止まることを知らなかった少年は達成感に身を委ね、

――地面が爆ぜた。

「トッピロキー!?」

我に返った少年が慌てて西のほうへと逃げ出す。
彼の背後で起こった爆発の正体は、桜色の光の球。
獲物を食いそびれた光球は地面にボウリングの球ほどの穴を空け、ガラス細工のように砕け散っていた。
その光景を、苦虫を噛み潰したような表情で見つめるのは少女――ヴィクトリアだった。

606 :隠密少女U ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:13:10 ID:+fjA+0i3

(せっかくできた隙だったのに……弾体制御が重くなってきたわね……)

フランドールとの戦闘での消耗は相当大きなものだ。
魔法という未知の力を、ホムンクルスの強靭な体力と精神力を持って強引に使ったのだから、当然の結果と言える。
このような異世界の技術、本来ならば試行錯誤を繰り返してから実戦に用いたいところだが、
悠長なことを言っている場合ではない。
というのも、達磨の動きは見た目に反して、驚くほどの敏捷性を誇っているからだ。
それも、ホムンクルスであるヴィクトリアが捉えきれないほどに。
単純な速力で圧倒しても、それを上回る直感、野生の勘とでも言うべきものをあの達磨は持っている。
ヴィクトリアの立てた予測は悉く外され、結局素手で捉えることは叶わなかった。
自然に、無手が駄目なら道具を使うしかないという結論が導き出され、
ヴィクトリアは色々と気に入らない点がある魔法の杖を使うことを余儀なくされていた。
しかし、それにもそろそろ限界が見え始めている。
今しがた忍者の不意をついた魔法は、たった一発のディバインシューター。
一発しか放たなかったのは、作戦があったからではない。
それしか撃てなかったのである。
最早、複数の弾を制御することが不可能なほどに、彼女は疲労困憊だった。
アクセルシューターを撃つ余裕などないし、シャイニングケージシフトなどもってのほかだ。
時間が経てば経つほど、採れる戦略の幅はどんどん狭まる。
ならば、次に何を仕掛ければいい?

……この状況がもう少し続いていれば、ヴィクトリアの焦りと苛立ちは限界を迎えていたことだろう。
あんな野生児にいいようにやられて、いつまでも穏やかでいられるはずがない。
そうならなかったのは誰にとっての幸運なのか、あるいは不幸なのか。
事態は変化を迎える。

作戦を練っていたヴィクトリアの耳に届いたのは盛大な水音だった。
何事かと思い音がした方向を見ると、そこには誰もいない。
奇妙に思ったのはほんの一瞬、答えはすぐに出た。
「……まさか、川に落ちたの?」
どうやら魔法による不意打ちは思いのほか効果があったらしく、
マントを掴まえたことで油断していた忍者は容易くパニックに陥り、運悪く川に転落してしまったようだ。
ヴィクトリアはゆっくりと忍者の道筋を追い、川岸に立ち、注意深く水面を観察する。
岸辺に立ってみて分かったが、川と言うよりは湖と表現したほうが適切だと思えるくらい、川幅は広い。
その広さに見合うほどの深さがあるのか、水中に消えた達磨はその姿をなかなか現さなかった。
(このまま浮かんでこなければ、溺死として殺害カウントが増えるのかしら?)
ヴィクトリアがそう思い始めたところで、しかし彼女の思いとは裏腹に、岸から離れた川の中腹に青達磨がプカリと浮かび上がってきた。

「キロキローッ!? ト、トッピロキーッ!?」


607 :隠密少女U ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:13:54 ID:+fjA+0i3
彼にとって水中とは未知の領域であったようで、陸上にいたとき以上に取り乱し、やかましいほどに手足を水面に叩きつけている。
普通の人間ならば、その様を滑稽だと笑い飛ばしていたかもしれない。
善良な人間ならば、哀れに思い手を差し伸べていたかもしれない。
だが、ヴィクトリアは“普通”でも“善良”でもない。
再び視界に現れた忍者を冷たく睨むと同時に、瞳にうっすらと暗いものが灯る。
やはり、この手で始末するしかないか。
酷薄な決断が下される。

「レイジングハート」
『……Buster mode. Drive ignition』

丸みを帯びていた杖の先端が、二対の鋭利な突起状に変化し長距離砲撃モードへと移行。
肉達磨を川に落とすことを意図していたわけではないが、好都合と言える。
いかに予測困難な動きをするといっても、所詮は陸上の生物、水中で同様の動きをこなせるはずがない。
ヴィクトリアはそう推測し、実際、忍者の跳ねるような動きは完全になりをひそめていた。
墓穴を掘った達磨を見やり、薄い笑いが漏れる。
緩やかな水の流れを予測し、ばたつく手足の動きによる僅かな位置の誤差を考慮。
右手で杖の先のグリップを軽く握り、水上で無様にもがく達磨に照準を合わせる。

「モッチョレー!」

達磨の放つ獣の叫びが、そしてバシャバシャと響き渡る水音がいちいち癇に障る。
あぁ、頭が可哀想な子だったんだな、などという余裕は既に微塵も残っていない。
代わりにあるのは達磨に対する冷ややかな激情だ。
何が忍ぶ者だ、笑わせるな。血まみれの戦場で、馬鹿みたいにわめく人間がどうなるのか身を持って知れ。
そう、心の中で幾つかの悪態を吐き、最後にこう思う。

――消えてしまえ。

杖に力が収束。
魔法の発動を示す陣が杖を取り巻くように現れる。
それなりの距離があるが、外すわけにはいかない。
確認と、そして別れの意味を込めて忍者の姿を睨み――、

……バシャバシャ……トッピロキー。


608 :隠密少女U ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:14:39 ID:+fjA+0i3
「……ッ」
と、そこで何を思ったのか、彼女は舌打を一つしながら静かに構えをとく。
遠ざかる鳴き声と水音、そして流れていく達磨が絶え間なく上げ続ける水しぶき。
それらを注視していたヴィクトリアは、自分の迂闊さに気がつき、
何をやっているんだと心の中で戒めた。
川に石を投げ込めば音がする、それが大きな石であれば当然音も大きくなる。
ヴィクトリアが見落としていたこととは、子供でも分かる簡単なことだった。
だが、そのような単純な法則は、ここでは大きな意味を持つ。
ヴィクトリアが今投げ込もうとしていたものは、石などという生易しいものではない。
直撃すれば人を殺傷することも可能な、強大な魔力の塊だ。
忍者がいる水上にディバインバスターを撃ち込めば大量の水が吹き上がり、
それに伴う轟音がどれほどの範囲にまで聴こえてしまうのか計りきれない。
視覚的にも聴覚的にも目立つことになってしまうのは、
隠れ潜むことを旨とするヴィクトリアにとって、あまりにもリスクが大きすぎる。
僅かな間逡巡したヴィクトリアは、再び舌打ちをしながら流される忍者を見やる。
……どうも、ここに来てから調子が悪い。
自分らしくないミスや見落とすことが多すぎる。
無意識のうちに、未知の状況への恐怖を抱いているのか、
あるいは新しい玩具を手に入れて年甲斐もなく浮かれてしまっていたのか。
何にしろ私もまだまだ子供なのね、と軽く自嘲し、

「……深追いは禁物ね」

無感情にそう呟く。
その呟きは誰でもない、自身に向けたものだ。
言葉にすることで、自分は冷静だという認識を全身にゆっくりと丁寧に染み渡らせる。
……ようやく、落ち着いてきた。
肉達磨を食料にできず、ヒラリマントも餌として与えてしまったが、腹を立てても仕方がない。
目障りで耳障りな忍者を追い払えただけでも良しとしよう、と考える。

もしもあの達磨が普通の思考の持ち主であれば、こうも簡単に見逃すことはしなかった。
他の参加者と出会った際に、ヴィクトリアの情報が漏れてしまう可能性があるからだ。
今の彼女はバリアジャケット・ルリヲヘッドフォームのおかげで顔まで完全に隠れている。
フランドールを始末した今、ヴィクトリアの素顔とその力を知るものはあの少年をおいて他にはいないが、
奇声を上げている野蛮な忍者が、他者にこちらの情報を伝えられるとは到底思えない。
そもそも、溺れているようにも見えるあの達磨が生きて岸に辿りつくかも定かではない、
放っておいても野垂れ死にするのが関の山だろう。
未練も興味も完全に失せたヴィクトリアは、踵を返しどこか休む場所を探そうと歩き始める。
歩きながら、刻々と体力を削っていくバリアジャケットを解除しようとして……堪える。
安心するのはどこか家屋にでも身を潜めてから、だ。

  *  *  *


609 :隠密少女U ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:15:28 ID:+fjA+0i3
ヴィクトリアが辿りついたのは、商店街の外れにポツリと建っている2階建ての質素な民宿だった。
入り口には戸がなく、その代わりにすだれが垂れているという、防犯のことなど全く考えられていない作り。
そのことを不可解に思いつつ中に入ってみても、やはりヴィクトリアの知るところのホテルや民宿などとは雰囲気が大きく異なっていた。
まず印象深いのは、一階のほぼ全体が吹き抜けになっていて、その一角には畳が敷かれているスペースが大きくとられていること。
他に目に付くものは、受付と思われる粗末な敷居、その奥の厨房。2階に上がるための階段が一つ。
そして更衣室、シャワー室と書かれている扉だ。
どうやら、ここは海の家と簡易の民宿の両方を兼ねているらしい。
無論、ヴィクトリアは知識の上でしか知らなかったことだが。
内装はボロボロで、木造の作りを支えるくすんだ柱には多くの傷が刻まれ、
階段を上ればミシミシと今にも抜けそうな音が立つ。
風通しはいいのに埃っぽくて気に入らない空間だ、という文句をしまいこみ、
ヴィクトリアは2階にある個室のうちの一つに入り、長い息を吐きながら座り込む。
そのまま外を眺めたヴィクトリアは、思わず薄い笑みを浮かべる。
視界に広がるのは、歪な太陽をユラユラと映し出す湖、そしてそよ風に揺れる青々とした草原。
これが、ヴィクトリアがここへ来た最たる理由だった。
とは言っても、当然、彼女は景色を楽しみに来たわけではない。
この部屋からなら、窓を通して西側と南側の様子を容易に監視できるのである。
他の参加者を見つけた際に、相手が誰であろうと先手をとることは重要だ。
先の忍者のような価値のない弱者であれば身を潜めてやり過ごす、
聡明な強者であればこちらの弱みを見せず、常に有利になるように立ち回らなければならない。
これらの見極めを慎重かつ迅速に行うには、広範囲を見渡せる拠点が必要だった。
ヴィクトリアが今いる民宿は、拠点などという仰々しいものからはかけ離れていたが、
それでも最低限の目的を果たすのには充分な場所であった。

「バリアジャケット解除」
『……All right』


610 :隠密少女U ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:17:24 ID:+fjA+0i3
全身に纏っていた堅固な防護服が姿を消し、元の制服姿へと戻る。
適正がないヴィクトリアにとって、バリアジャケットは防護服であると同時に枷でもあった。
枷と言っても、重かったり、動きを制限したりするものではない。
むしろジャケット自体の質量は見た目と一致しないほど軽い。
それに加えて、どういう仕組みなのかあらゆる衝撃や空気抵抗を緩和し、
更に顔全体が隠れるため、隠密行動にまで使えると言う大盤振る舞いさがある。
そんな防護服の唯一にして最大の欠点が魔力の消費だ。
ジャケットを展開するだけで、特殊な疲労感がゆるゆると蓄積されていく。
限界がはいつ来るのか? そのときを迎えたらどうなってしまうのか?
ヴィクトリアは得体の知れないものにじわじわと力を食われていく感覚を憶え、
こんなものを常時身に着けている人間の気が知れないと吐き捨てた。

ともあれ、久しぶりにまともに休めるのだから、と彼女は気持ちを切り替える。
島に来てからずっと張り詰めていた緊張の糸が切れ、手足を大きく伸ばす。
心地よい伸びのおかげで僅かに気が晴れたヴィクトリアは、
ふと、杖から宝石へと姿を変えたレイジングハートを見やる。
あれから、必要最低限の音声応答しか返ってこない。
機械のくせに分かりやすい性格――根に持つタイプであるらしい。
まぁ、黙ってくれているならありがたい。
むしろ、いざと言うときに余計なことを口走らないように、
黙れとでも命令してしまうのもいいかもしれない。
こちらには、最初から仲良くするつもりなんてさらさらないのだ。
……だから、今から言うのはただの独り言だ。

「現在位置、島の北東。
 ……考えてみたら、わざわざこんな辺境まで来る参加者なんているのかしら?
 人探しなら中央部に目立つ建物がいくらでもあるし。
 となると、もし誰か来たとして、それは他人に会いたくないと考える臆病者か。
 それとも何らかの意図を持ち、自分の脚でしっかりと歩く強者か……。どちらかしらね?」

答える声は何もない。

その場に響くのは涼やかな水のせせらぎ。そして柔らかく、淑やかさを感じさせる微風だけ。
ジリジリと大地を照らしていた太陽は力尽きたように傾き始め、世界は間もなく朱に染まる。

ヴィクトリアの望んだ静寂は、今しばらく続く。





611 :隠密少女U ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:18:35 ID:+fjA+0i3
【G-1/民宿2階/1日目/午後】
【ヴィクトリア=パワード@武装錬金】
[状態]:慣れない魔法の連発により、精神的に相当の消耗。かなり限界に近い状態。
[服装]:制服の妙なの羽織った姿。(バリアジャケット展開時の外見は『ルリヲヘッド』そのもの)
[装備]:レイジングハート・エクセリオン(スタンバイモード)@魔法少女リリカルなのは(カートリッジ残数5発)
[道具]:アイテムリスト、天空の剣@ドラゴンクエストX、基本支給品×2(食料のみは1人分)、
    首輪×2、i-Pod@現実?、詳細名簿(ただし損傷して情報が一部欠損)
[思考]:ゆっくり休みたい。
第一行動方針:ひとまず、放送まで休憩。
第ニ行動方針:参加者を見かけたら慎重に観察し、場合によっては接触。
第三行動方針:首輪を外す。主催者の目的について考える。
第四行動方針:“信用できてなおかつ有能な”仲間を捜す。 ホムンクルスのイリヤに興味。
基本行動方針:様子見をメインに、しかしチャンスの時には危険も冒す
参戦時期:母を看取った後
[備考]:能力制限により再生能力及び運動能力は低下、左胸の章印を破壊されたら武器を問わずに死亡。
  いわゆる「ジョーカー」の存在を疑っています。
  詳細名簿が損傷する前に、『01:明石薫〜46:ニケ』の顔写真とプロフィールにざっと目を通しました。
  ヴィクトリアは、レイジングハートから使い方の解説をまともに教えて貰えていません。

[備考]:
レイジングハートは、ヴィクトリアに非協力的です。ヴィクトリアのことを憎んですらいます。
デバイスの性質上、下された命令には逆らえませんが、その命令の範疇で可能な限りの抵抗を試みます。
レイジングハートは、ヴィクトリアの持ち物や情報をほとんど把握していません。
(特に、アイテムリストの存在を知らないため、自分をどうやって使ったのかが大きな謎になっています)

[備考]:
支給品の1つ、「詳細名簿」の縁を魔法の弾が掠め、大きく削られるように損傷しました。
そのため、残された情報は一部欠けたモノになっています。
具体的に誰のどんな情報が失われ、どんな情報が残っているかは、後の書き手さんに委ねます。


【G-2/湖/1日目/午後】
【福富しんべヱ@落第忍者乱太郎】
[状態]:凶暴化。体のあちこちに軽い傷。体力消費(大)
[装備]:なし
[道具]:ヒラリマント(チョンマゲに纏わりつくように引っかかっている)
[思考]:ウニョラー
[備考]:
凶暴化は数時間経つか、呪いを解く効果のある魔法や道具で治ります。
ただし一旦治った後、何かのきっかけでフラッシュバックのように再発した例も報告されています。
[備考]:
体力消費が激しいため、いつ気絶してもおかしくない状態です。
意識があるうちは奇声や水しぶきをあげ続けるので結構目立ちます。


612 : ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:22:05 ID:+fjA+0i3
投下終了です。申し訳ありませんが、今日は所用がありますので、修正等は23時以降になります。
……さすがに遅いなんてものじゃない時間なので寝ます。

613 : ◆IEYD9V7.46 :2007/05/22(火) 03:24:53 ID:+fjA+0i3
あ、それと◆JZARTt62K2氏の作品からタイトルを無断で拝借しました。
こちらも問題があるようでしたら言ってください。では。

614 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/22(火) 09:13:53 ID:gp7YLa0O
乙!しんべヱは一応難を逃れた感じかな。体力消費が激しいけど。
さてこれからどこに流れ着くのやら……
ところで、しんべヱって確か水に沈まない体質(自分から潜ろうとしても、
体脂肪率高すぎて浮かんできてしまう)だよ。
慌ててるのは凶暴化のせいかもしれないけど……ちょっと気になった。

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/22(火) 11:59:23 ID:qs75PhtW
乙!
ヴィクトリアは対主催のはずなのに、どんどん危険人物になっていくなw
しんべヱはどこに流れ着くやら……
そういえばウニョラー化が治まれば、その間の記憶は残っているのかな?
もし残ってるなら、ヴィクトリアの思惑が外れて面白いんだが

616 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/22(火) 14:17:09 ID:Rorbj1k1
……しんべヱが生き残るとは思わなかったw
あと民宿な海の家の描写になんだか癒された。良いな。
GJですよ。

617 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/22(火) 17:25:29 ID:mm/rYn73
投下乙!
序盤のしんべヱ奮闘記が妙に力入っててワロタw
そして二人とも中央に移動か。島の中央は地獄の釜だな……。

618 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/22(火) 20:47:59 ID:nOl+Tsbd
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  /   ヽ |  /! l! }! / /⌒「`ヽ、   ! l! | /     ヽ-ヽヽ、
/ ̄¨ - ,,_ ヽ ! l/ ノ ノ/ 才^lトヘ、 ヽ ヽヽ|  _, '´ ̄´ V^ヽ ヽ、
−- ,_   `ヽ| l| {!// r火{ !!メ}k   !  ヽ|/   _,. - ,ハ }〉
 /   冫- 、 ! ヽ|!'  |}く }i! ; jハ{ ヽ、|   }「 _,ィ ´  `く  ノノ'
/   /ー‐‐イ  h  K{’}{ !}ミム  `!  ノトー‐\   ヽ
   / /! |! ||       トソ丱、 ノ戎        | | li |! j!ヽ   \

対主催なのにマーダー並に怖いヴィクトリアさんのAAで埋め

619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/22(火) 20:48:36 ID:131rmwyO
500なら次スレで誰か感電する

620 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/22(火) 20:54:42 ID:nZCqJKJO
        ,r‐──ー-- _
       /´         `.、
      ,',r  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄丶 `ト、
     ,f f______ ヽ!  i、
     i i, '`' ヽ;  ヾ,'`ヽ ̄i、 |
     i i' i ̄ ̄    ̄ ̄ !ヽ,ト ヽ
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